JP2018072624A - 光学素子およびそれを有する光学系、撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望の波長特性の透過率を得ることのできる光学素子を提供することである。
【解決手段】 光学素子10は、基板11と、基板11に設けられた反射防止膜13と、基板11と反射防止膜13の間に設けられ入射光の一部を吸収する吸収層12と、を有する。波長400nmから700nmにおける吸収層12の消衰係数の最大値をkM、波長400nmから700nmにおいて前記吸収層の消衰係数がkMとなる波長をλM[nm]とする。また、波長400nmから700nmにおける光学素子10の反射率の最大値と最小値の差をΔRとする。このとき、光学素子10は以下の条件式を全て満足する。
kM/λM≦2.0×10−3[nm−1]
0.01<ΔR
【選択図】 図1
【解決手段】 光学素子10は、基板11と、基板11に設けられた反射防止膜13と、基板11と反射防止膜13の間に設けられ入射光の一部を吸収する吸収層12と、を有する。波長400nmから700nmにおける吸収層12の消衰係数の最大値をkM、波長400nmから700nmにおいて前記吸収層の消衰係数がkMとなる波長をλM[nm]とする。また、波長400nmから700nmにおける光学素子10の反射率の最大値と最小値の差をΔRとする。このとき、光学素子10は以下の条件式を全て満足する。
kM/λM≦2.0×10−3[nm−1]
0.01<ΔR
【選択図】 図1
Description
本発明は、デジタルカメラ等の光学系に用いられる光学素子に関する。
光学系に用いられるレンズ等の光学素子が特定の波長の光を吸収することにより、透過光に色づきが生じる場合がある。
色づきが生じる波長帯域の光の透過率を低減させる光学素子を光学系に設けることで、透過光の色づきを低減することができる。特許文献1には、特定の波長の光を吸収する光学素子が記載されている。
特許文献1の光学素子のように光の吸収によって透過率を変化させる場合、透過率の波長特性は吸収層に用いる材料の物性値に依って決まることになる。そのため、透過率の波長特性を所望の特性とすることが困難であった。
本発明の目的は、所望の透過率の波長特性を有する光学素子を提供することである。
本発明の光学素子は、基板と、前記基板に設けられた反射防止膜と、前記基板と前記反射防止膜の間に設けられ入射光の一部を吸収する吸収層と、を有する光学素子であって、波長400nmから700nmにおける前記吸収層の消衰係数の最大値をkM、波長400nmから700nmにおいて前記吸収層の消衰係数がkMとなる波長をλM(nm)、波長400nmから700nmにおける前記光学素子の反射率の最大値と最小値の差をΔRとするとき、
kM/λM≦2.0×10−3[nm−1]
0.01<ΔR
なる条件式を満足することを特徴とする。
kM/λM≦2.0×10−3[nm−1]
0.01<ΔR
なる条件式を満足することを特徴とする。
本発明によれば、所望の透過率の波長特性を有する光学素子を実現することができる。
以下、本発明の光学系およびそれを有する光学機器の実施例について説明する。
[実施例1]
図1に実施例1の光学素子10の概略図を示す。光学素子10は基板11と、基板11に設けられた反射防止膜13を有する。また、基板11と反射防止膜13の間には吸収層12が設けられている。
図1に実施例1の光学素子10の概略図を示す。光学素子10は基板11と、基板11に設けられた反射防止膜13を有する。また、基板11と反射防止膜13の間には吸収層12が設けられている。
基板11は平行平板であっても良いし、レンズなどのように曲率を有するものであっても良い。反射防止膜13は1層以上の層を積層して構成されている。本実施例において反射防止膜13は3層で構成されている。吸収層12は、光を吸収する材料を含んでおり、光学素子10に入射した光の一部は吸収層12で吸収される。
波長λ、強度I0(λ)の光が吸収層12に入射したとき、吸収層12を透過する透過光の強度I(λ)は吸収層12の消衰係数をk(λ)、厚さをtとしたとき、以下の式(1)で与えられる。
I(λ)=I0・exp(−4πk(λ)t/λ) (1)
I(λ)=I0・exp(−4πk(λ)t/λ) (1)
式(1)は吸収層12による吸収のみを考慮しており、光学素子10における各界面での反射は無視している。
式(1)より、吸収のみを考慮した場合の透過率の波長特性(波長に対する変化)はk(λ)/λによって決まる。すなわち、光の吸収のみで所望の波長特性の透過率を得るためには、消衰係数の波長特性が適切である材料を用いて吸収層12を形成する必要がある。しかしながら、吸収層12を形成する材料の選択肢は限られているため、光の吸収のみで所望の波長特性の透過率を得ることは困難である。
一方、光学素子10の透過率の波長特性は、光学素子10において特定の波長の反射率を大きくすることによっても調整することができる。光学素子10の反射率の波長特性は反射防止膜13の層数や各層の厚さを変化させることで比較的容易に調整することができる。しかしながら、この場合光学素子10は特定の波長において大きな反射率を有することになり、光学素子10を光学系に用いる場合、光学素子10で反射した光がフレアやゴーストを生じる要因となってしまう場合がある。
そこで本実施例の光学素子10では、入射光のうち一部の波長の光を吸収し、一部の波長の光を反射することで所望の波長特性の透過率を得ている。そのため、本実施例の光学素子10は以下の条件式(2)および(3)を共に満足する構成となっている。
0[nm−1]<kM/λM≦2.0×10−3[nm−1] (2)
0.01<ΔR (3)
0[nm−1]<kM/λM≦2.0×10−3[nm−1] (2)
0.01<ΔR (3)
式(2)におけるkMは波長400nmから700nmにおける前記吸収層の消衰係数の最大値であり、λM[nm]は波長400nmから700nmにおいて前記吸収層の消衰係数がkMとなる波長である。また、式(3)におけるΔRは波長400nmから700nmにおける光学素子10の反射率の最大値と最小値の差である。
ここで、光学素子10の反射率とは、反射防止膜13から基板11に向かって光を垂直に入射させた時の反射率である。また、式(3)および以下の説明では、光学素子10において吸収層12が設けられていない側の面における光の反射は考慮しない。光学素子10の反射率を実測する際には、光学素子10において吸収層12が設けられていない側の面での反射の影響が小さくなるようすれば良い。例えば、輪帯状の光源を有する顕微分光測定器を用いて反射率を計測することで、光学素子10において吸収層12が設けられていない側の面での反射光をカットすることができる。または、光学素子10において吸収層12が設けられていない側の面を粗面化し、黒色塗料を塗ることで光学素子10において吸収層12が設けられていない側の面での反射の影響を低減することができる。
式(2)は、吸収層12の消衰係数を規定するものである。式(1)に示すように、吸収層12における所望の吸収量を得るために必要なk(λ)/λと吸収層12の厚さtには相関がある。式(2)の上限値を超えるほどにkM/λMの値が大きくなる場合、吸収層12の厚さが薄くなりすぎてしまう。この場合、吸収層12を成膜する際に吸収層12の厚さの制御が困難になってしまう。
なお、kM/λMの値が小さすぎる場合、吸収層12の厚さが厚くなりすぎてしまう。吸収層12の厚さが厚すぎると、蒸着などを用いて吸収層12を成膜する場合に成膜時間が長くなりすぎてしまったり、吸収層12の膜応力に起因したクラックや膜剥がれが生じたりする。そのため、式(2)は以下の式(2a)の範囲とすることが好ましく、式(2b)の範囲とすることがより好ましい。
6.0×10−6[nm−1]≦kM/λM≦2.0×10−3[nm−1] (2a)
1.0×10−5[nm−1]≦kM/λM≦8.0×10−4[nm−1] (2b)
6.0×10−6[nm−1]≦kM/λM≦2.0×10−3[nm−1] (2a)
1.0×10−5[nm−1]≦kM/λM≦8.0×10−4[nm−1] (2b)
式(3)は光学素子10の反射率の波長特性を規定するものである。光学素子10において所望の波長特性の透過率を得るためには、一部の波長における反射率が他の波長における反射率よりも大きくなるような反射率の波長特性を光学素子10が有していれば良い。式(3)の下限値を下回るほどにΔRが小さい場合、透過率の波長特性に対する反射率の寄与が小さくなりすぎる。この場合、光学素子10の透過率の波長特性は主として吸収層12おける光の吸収率の波長特性によって定まることになり、所望の波長特性の透過率を得ることが困難となる。
なお、ΔRの値が大きすぎる場合、一部の波長の光を強く反射することになる。この場合、光学素子10で反射した光がフレアやゴーストを生じる要因となってしまう場合がある。そのため、式(3)は以下の式(3a)の範囲とすることが好ましく、式(3b)の範囲とすることがより好ましい。
0.015<ΔR<0.15 (3a)
0.02<ΔR<0.10 (3b)
0.015<ΔR<0.15 (3a)
0.02<ΔR<0.10 (3b)
なお、反射により透過光の波長特性を効果的に変化させるためには、より感度の高い波長帯域において一部の波長における反射率が他の波長の反射率よりも大きくなっていることが好ましい。このため、波長450nmから650nmにおける反射率の最大値と最小値をΔRとしたときに式(3)を満たしていることが好ましい。
なお、吸収層12の厚さtは8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。これによって、吸収層12を成膜する際に吸収層12の厚さの制御を容易にすることができる。
また、400nmから700nmの各波長に光学素子10における光の吸収率の最大値をAMとしたとき、以下の式(4)を満足することが好ましい。吸収層12における波長λの光の吸収率A(λ)は、式(1)におけるI(λ)とI0(λ)を用いて、A(λ)=1−I(λ)/I0(λ)で定義される値である。
0.02<AM<0.2 (4)
0.02<AM<0.2 (4)
式(4)の上限値を超えるほどにAMが大きい場合、光学素子10の透過率が小さくなりすぎてしまい、光学素子10を光学系に用いる際に像を暗くしてしまうため好ましくない。また、式(4)の下限値を下回るほどにAMが小さくなると、光の吸収量が少なくなりすぎ、光学素子10の透過率の波長特性に対する光の吸収の寄与が小さくなりすぎてしまう。
なお、式(4)は以下の式(4a)の範囲とすることが好ましく、式(4b)の範囲とすることがより好ましい。
0.025<AM<0.15 (4a)
0.003<AM<0.10 (4b)
0.025<AM<0.15 (4a)
0.003<AM<0.10 (4b)
さらに、波長400nmから700nmにおける吸収率の最大値と最小値の差をΔAとするとき、以下の式(5)を満たすことが好ましい。
0.4<ΔR/ΔA<2.5 (5)
0.4<ΔR/ΔA<2.5 (5)
ΔR/ΔAの値が大きくなることは、光学素子10の透過率の波長特性に対する反射の寄与が大きくなることに相当する。光学素子10の透過率を所望の波長特性にするためには、光学素子10の透過率の波長特性に対する反射の寄与はある程度大きいことが好ましい。一方、光学素子10の透過率の波長特性に対する反射の寄与が大きすぎる場合、光学素子10において反射した光がフレアやゴーストを生じる要因となってしまう。
式(5)の下限値を下回る場合、光学素子10の透過率の波長特性に対する反射の寄与が小さくなりすぎてしまうため好ましくない。式(5)の上限を超える場合、光学素子10の透過率の波長特性に対する反射の寄与が大きくなりすぎ、光学素子10を光学系に用いる場合にフレアやゴーストを生じやすくなってしまう。
なお、式(5)は以下の式(5a)の範囲とすることが好ましい。
0.5<ΔR/ΔA<2 (5a)
0.5<ΔR/ΔA<2 (5a)
また、光学素子10は式(3)を満たすため、一部の波長において反射率が高くなっているが、他の波長においては反射率が低いことが好ましい。これによって、光学素子10を光学系に用いる場合にフレアやゴーストの発生を低減することができる。
このため、反射防止膜13は少なくとも2層以上の層を積層して構成されていることが好ましい。
また、d線における吸収層12の屈折率をNaとするとき、反射防止膜13はd線における屈折率が1より大きくNaより小さい値の層を有することが好ましい。これにより、反射防止膜13から基板11に向かって光が入射したときの反射率を低減することができる。
また、本実施例の光学素子10は入射光の一部を吸収する吸収層12を有するため、反射防止膜13から基板11に向かって光が入射したときの反射率と基板11から反射防止膜13に向かって光が入射したときの反射率は異なる。このため、吸収層12を基板11に接する位置に設ける場合、基板11から反射防止膜13に向かって光が入射したときの反射率を低減するためには、d線における基板の屈折率をNsとしたとき、以下の条件式(6)を満たすことが好ましい。
|Ns―Na|≦0.3 (6)
|Ns―Na|≦0.3 (6)
式(6)は基板11の屈折率と吸収層12の屈折率の差が小さいことを表わしている。式(6)を満たすことにより、基板11と吸収層12の界面における屈折率の差を小さくすることができ、基板11から反射防止膜13に向かって光が入射したときの反射率を小さくすることができる。
なお、式(6)は以下の式(6a)の範囲とすることが好ましい。
|Ns―Na|≦0.2 (6a)
|Ns―Na|≦0.2 (6a)
さらに、基板11から反射防止膜13に向かって光が入射したときの反射率を低減するため、基板11と吸収層12の間に1層以上の層を有する中間膜(中間反射防止膜)を設けても良い。このとき、中間膜はd線において屈折率がNaとNsの間の値の層を有することが好ましい。これによって、基板11から反射防止膜13に向かって光が入射したときの反射率を低減することができる。
次に、吸収層12における吸収率の波長特性について述べる。
吸収層12に用いる材料としては、短波長側の光よりも長波長側の光を多く吸収するものや、反対に長波長側の光よりも短波長側の光を多く吸収するものがある。例えば、短波長側よりも長波長側の光を多く吸収する材料を吸収層12に用いた場合、吸収によって赤や黄色の色づきを補正することができる。また、長波長側よりも短波長側の光を多く吸収する材料を吸収層12に用いた場合、吸収によって青の色づきを補正することができる。
長波長側の光を短波長側の光よりも多く吸収する場合、波長λ[nm]における吸収層12の消衰係数をk(λ)、波長400nmの光の波長をλ400、波長700nmの光の波長をλ700としたとき、次の式(7)を満たすことが好ましい。
k(λ400)/λ400<k(λ700)/λ700 (7)
k(λ400)/λ400<k(λ700)/λ700 (7)
式(7)は、吸収層12の波長700nmにおけるk(λ)/λの値が波長400nmにおけるk(λ)/λの値よりも大きいことを表わしている。このため、吸収層12が式(7)を満たすことで、波長400nmの光よりも波長700nmの光の方を多く吸収することができる。
また、このとき以下の式(8)を満たすことが好ましい。
1.5≦a・λd/k(λd)≦10 (8)
1.5≦a・λd/k(λd)≦10 (8)
式(8)におけるaは、波長400nmから700nmにおいてk(λ)を波長λに対して最小二乗法により線形近似した際のλの係数である。すなわち、aは波長400nmから700nmにおけるk(λ)の近似直線の傾きである。また、λdはd線の波長である。
式(8)は、透過率の減少を抑えつつ長波長側の光を吸収するために必要な吸収層12の消衰係数の波長特性を規定したものである。式(1)より、k(λ)/λが波長に依らず一定となる場合、吸収層12による吸収は波長に依らず一定となる。短波長側よりも長波長側の光を多く吸収するためには、吸収層12において短波長側のk(λ)/λに比べて長波長側のk(λ)/λが大きくなっている必要がある。
d線を基準として、仮に吸収層12における吸収量が波長に依らず一定である場合、吸収層12の消衰係数の波長に対する傾きはk(λd)/λdとなる。このため、吸収層12の消衰係数k(λ)を波長に対して線形近似したときの傾きaがk(λd)/λdよりも大きい場合、吸収層12は、短波長側の光よりも長波長側の光を多く吸収することになる。
式(8)の下限値を下回ると、短波長側の光に比べて長波長側の光の吸収率が小さくなりすぎてしまう。このとき、長波長側の光を十分に吸収させようとすると短波長側の光の吸収率も高くなってしまい、光学素子10の波長400nmから700nmにおける透過率が低くなってしまう。一方、式(8)の上限値を上回ると、長波長側の消衰係数が大きくなりすぎるため、吸収層12の厚さを薄くしなければならない。このため、吸収層12を成膜する際の厚さの制御が困難となる。
なお、式(8)は以下の式(8a)の範囲とすることが好ましい。
2.0≦a・λd/k(λd)≦9.0 (8a)
2.5≦a・λd/k(λd)≦6.0 (8b)
2.0≦a・λd/k(λd)≦9.0 (8a)
2.5≦a・λd/k(λd)≦6.0 (8b)
反対に、吸収層12において短波長側の光を長波長側の光よりも多く吸収する場合、波長λ[nm]における吸収層12の消衰係数をk(λ)としたとき、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
k(λ700)/λ700<k(λ400)/λ400 (9)
k(λ700)/λ700<k(λ400)/λ400 (9)
式(9)は、吸収層12の波長400nmにおけるk(λ)/λの値が波長700nmにおけるk(λ)/λの値よりも大きいことを表わしている。このため、吸収層12が式(9)を満たすことで、波長700nmの光よりも波長400nmの光の方を多く吸収することができる。
また、このとき以下の式(10)を満たすことが好ましい。
−10≦a・λd/k(λd)<0 (10)
−10≦a・λd/k(λd)<0 (10)
式(10)におけるaは、波長400nmから700nmにおいてk(λ)を波長λに対して最小二乗法により線形近似した際のλの係数である。また、λdはd線の波長である。
式(10)は、透過率の減少を抑えつつ短波長側の光を吸収するために必要な吸収層12の消衰係数の波長特性を規定したものである。長波長側よりも短波長側の光を多く吸収するためには、吸収層12において長波長側のk(λ)/λに比べて短波長側のk(λ)/λが大きくなっている必要がある。すなわち、吸収層12の消衰係数k(λ)を波長に対して線形近似したときの傾きaがk(λd)/λdよりも小さければ良い。
式(10)の上限値を上回ると、長波長側の光に比べて短波長側の光の吸収率が小さくなりすぎてしまう。このとき、短波長側の光を十分に吸収させようとすると長波長側の光の吸収率も高くなってしまい、光学素子10の波長400nmから700nmにおける透過率が低くなってしまう。一方、式(10)の上限値を上回ると、短波長側の消衰係数が大きくなりすぎるため、吸収層12の厚さを薄くしなければならない。このため、吸収層12を成膜する際の厚さの制御が困難となる。
なお、式(10)は以下の式(10a)の範囲とすることが好ましい。
−5≦a・λd/k(λd)≦−1 (10a)
−5≦a・λd/k(λd)≦−1 (10a)
次に、吸収層12を形成する材料について説明する。
式(2)を満たす材料としては、チタン酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物などがある。これらの金属酸化物は、金属原子に対する酸素原子の量を変えることによって消衰係数の大きさや波長特性を変化させることができる。
吸収層12において短波長側の光よりも長波長側の光を多く吸収させる場合、チタン酸化物を用いると良い。チタンと酸素の原子比が1:2であるTiO2は無色透明であるが、チタン原子に対する酸素原子の比をTiO2よりも減らしたTiO、Ti2O3、Ti3O5、Ti4O7等は可視光を吸収する。これらのチタン酸化物における光の吸収は長波長側においてより大きくなる傾向がある。式(2)を満たすためには、チタン原子に対する酸素原子の比率が2より小さく3/2以上である範囲のチタン酸化物を用いることが好ましい。
また、吸収層12において長波長側の光よりも短波長側の光を多く吸収させる場合は、タンタル酸化物またはニオブ酸化物を用いると良い。金属原子に対する酸素原子の比を調整してタンタル酸化物またはニオブ酸化物を成膜することによって、長波長側の光よりも短波長側の光を多く吸収する吸収層を得ることができる。
なお、吸収層12としては式(2)を満たしていればよく、上述した金属酸化物に限定されるものではない。
次に、本実施例の光学素子10の透過率の波長特性について述べる。
本実施例の光学素子10における各層の詳細を表1に示す。表1において、nはd線における屈折率、kはd線における消衰係数、dは各層の厚さを表わしている。
本実施例における吸収層12の屈折率および消衰係数の波長特性を図2に示す。本実施例の吸収層12のd線における消衰係数k(λd)は0.0120である。また、本実施例の吸収層12の消衰係数を波長に対して最小二乗法によって線形近似した際の波長に対する傾きをa、d線の波長をλdとしたとき、a・λd/kdの値は5.91である。すなわち、本実施例の吸収層12は式(8)を満たしている。
なお、このような特性の吸収層は、Ti3O5を主成分とする蒸着材料OS−50(キヤノンオプトロン株式会社製)を適切な酸素ガス導入量で蒸着することにより得ることができる。
図3に、本実施例の光学素子10における反射率および吸収率の波長特性を示す。なお、反射率の波長特性は反射防止膜13から基板11に向かって光を入射させた際の値を示しており、以降の実施例でも同様である。
図3に示すように、本実施例の光学素子10の吸収率は長波長側において大きくなっており、式(7)を満たしている。また、図3に示すように、本実施例の光学素子10の反射率は、長波長側よりも短波長側で大きくなっている。具体的には、波長400nm以上550nm未満の波長帯域における反射率の最大値は、波長550nm以上700nm以下の波長帯域における反射率の最大値よりも大きくなっている。
図4に本実施例の光学素子10の透過率の波長特性を示す。図4に示すように、本実施例の光学素子10の透過率の波長特性は、波長400nmから700nmにおいて、波長550nm付近に極大値を有するような特性となっている。すなわち、本実施例の光学素子10を透過した光は緑色となる。高透過率硝材を用いた光学系では透過光が紫色に着色してしまうことがあるが、このような透過率の波長特性の光学素子10を光学系に用いることで、透過光の色付きを補正することができる。
吸収層の吸収率の波長特性は吸収層に用いる材料の物性値に依るため、光の吸収のみで光学素子の透過率を図4に示すような波長400nmから700nmにおいて波長550nm付近に極大値を有するような波長特性にすることは困難である。しかしながら、本実施例の光学素子10では、反射率と吸収率の波長特性を図3に示すような特性とすることで図4に示すような波長特性の透過率を実現している。
また、光学系において赤色のゴーストは青色のゴーストよりも目立ち易いため、光学系に用いる光学素子の長波長側の反射率は低いことが好ましい。本実施例では、短波長側の光の透過率を主として反射により低減し、長波長側の光の透過率を主として吸収により低減しているため、光学素子10に起因する赤色のゴーストを生じにくくすることができる。
[実施例2]
次に、実施例2の光学素子について説明する。実施例2の光学素子は実施例1と同様に、基板と、基板上に設けられた反射防止膜と、基板と反射防止膜の間に設けられた吸収層を有している。本実施例の光学素子では反射率の波長特性および吸収率の波長特性が実施例1の光学素子10と異なっている。
次に、実施例2の光学素子について説明する。実施例2の光学素子は実施例1と同様に、基板と、基板上に設けられた反射防止膜と、基板と反射防止膜の間に設けられた吸収層を有している。本実施例の光学素子では反射率の波長特性および吸収率の波長特性が実施例1の光学素子10と異なっている。
実施例2の光学素子における各層の詳細を表2に示す。
本実施例における吸収層の屈折率および消衰係数の波長特性を図5に示す。本実施例の吸収層のd線における消衰係数k(λd)は0.0209である。また、本実施例の吸収層12の消衰係数を波長に対して最小二乗法によって線形近似した際の波長に対する傾きをa、d線の波長をλdとしたとき、a・λd/kdの値は−2.53である。すなわち、本実施例の吸収層12は式(10)を満たしている。
図6に、本実施例の光学素子における反射率および吸収率の波長特性を示す。図6に示すように、本実施例の光学素子の吸収率は短波長側において大きくなっており、式(9)を満たしている。また、本実施例の光学素子の反射率は、長波長側よりも短波長側で大きくなっている。
図7に本実施例の光学素子の透過率の波長特性を示す。図7に示すように、本実施例の光学素子の透過率は短波長側で小さくなっている。このため、本実施例の光学素子を光学系に用いることで、青色の色付きを補正することができる。
本実施例では、短波長側の光の透過率を反射と吸収により低減しているため、反射率を低くしつつ短波長側の透過率を十分に低減することができている。
[実施例3]
次に、実施例3の光学素子30について説明する。図8に本実施例の光学素子30の概略図を示す。実施例3の光学素子は基板31と、基板上に設けられた反射防止膜33と、基板31と反射防止膜33の間に設けられた吸収層32を有している。本実施例の光学素子は、基板31と吸収層32の間に中間膜34を有する点で実施例1および2と異なる。本実施例において中間膜34は3層で構成されている。
次に、実施例3の光学素子30について説明する。図8に本実施例の光学素子30の概略図を示す。実施例3の光学素子は基板31と、基板上に設けられた反射防止膜33と、基板31と反射防止膜33の間に設けられた吸収層32を有している。本実施例の光学素子は、基板31と吸収層32の間に中間膜34を有する点で実施例1および2と異なる。本実施例において中間膜34は3層で構成されている。
実施例3の光学素子30における各層の詳細を表3に示す。
本実施例における吸収層32の屈折率および消衰係数の波長特性を図9に示す。本実施例の吸収層のd線における消衰係数k(λd)は0.0304である。また、本実施例の吸収層12の消衰係数を波長に対して最小二乗法によって線形近似した際の波長に対する傾きをa、d線の波長をλdとしたとき、a・λd/kdの値は3.98である。すなわち、本実施例の吸収層32は式(8)を満たしている。
なお、このような特性の吸収層は、Ti3O5を主成分とする蒸着材料OS−50(キヤノンオプトロン株式会社製)を適切な酸素ガス導入量で蒸着することにより得ることができる。
図10に、本実施例の光学素子30における反射率および吸収率の波長特性を示す。図10に示すように、本実施例の光学素子30の吸収率は長波長側において大きくなっており、式(7)を満たしている。また、本実施例の光学素子30の反射率は、短波長側よりも長波長側で大きくなっている。
図11に本実施例の光学素子30の透過率の波長特性を示す。図11に示すように、本実施例の光学素子30の透過率は長波長側で小さくなっている。このため、本実施例の光学素子30を光学系に用いることで、黄色の色付きを補正することができる。
本実施例では、長波長側の光の透過率を反射と吸収により低減しているため、反射率を低くしつつ長波長側の透過率を十分に低減することができている。
[実施例4]
次に、実施例4の光学素子について説明する。本実施例の光学素子は実施例3の光学素子30の素子構成と同様である。すなわち、本実施例の光学素子は基板に近い側から順に積層された中間膜と、吸収層と、反射防止膜を有している。本実施例において中間膜は4層で構成されている。
次に、実施例4の光学素子について説明する。本実施例の光学素子は実施例3の光学素子30の素子構成と同様である。すなわち、本実施例の光学素子は基板に近い側から順に積層された中間膜と、吸収層と、反射防止膜を有している。本実施例において中間膜は4層で構成されている。
実施例4の光学素子における各層の詳細を表4に示す。
本実施例における吸収層は実施例3の吸収層と同じ材料で形成されている。そのため、本実施例における吸収層の屈折率および消衰係数の波長特性は図9に示した通りである。
図12に、本実施例の光学素子における反射率および吸収率の波長特性を示す。図12に示すように、本実施例の光学素子の吸収率は長波長側において大きくなっている。また、図12に示すように本実施例の光学素子の反射率は波長400nmから700nmにおいて波長の増加に伴って山なりに変化するような波長特性となっている。具体的には、本実施例の光学素子の反射率は、500nm以上600nm以下の波長帯域で波長400nmから700nmにおける最大値をとるような波長特性となっている。
図13に本実施例の光学素子の透過率の波長特性を示す。図13に示すように、本実施例の光学素子の透過率は長波長側では波長に対して略一定であり、短波長側よりも小さくなっている。すなわち、本実施例の光学素子10を透過した光は青色となる。高屈折率硝材を多く用いた光学系では透過光が黄色に着色してしまうことがあるが、本実施例の光学素子を光学系に用いることで、透過光の黄色い色付きを補正することができる。
吸収層の吸収率の波長特性は吸収層に用いる材料の物性値に依るため、光の吸収のみで光学素子の透過率を図13に示すような特定の波長帯域の透過率のみを他の波長と比べて大きくすることは困難である。しかしながら、本実施例の光学素子では、反射率と吸収率の波長特性を図12に示すような特性とすることで図13に示すような波長特性の透過率を実現している。
また、光学系において赤色のゴーストは青色のゴーストよりも目立ち易いため、光学系に用いる光学素子の長波長側の反射率は低いことが好ましい。本実施例では長波長側の光の透過率を主として吸収により低減しているため、光学素子に起因する赤色のゴーストを生じにくくすることができる。
[実施例5]
次に、実施例5の光学素子について説明する。本実施例の光学素子は実施例3の光学素子30の素子構成と同様である。すなわち、本実施例の光学素子は基板に近い側から順に積層された中間膜と、吸収層と、反射防止膜を有している。本実施例において中間膜は3層で構成されている。
次に、実施例5の光学素子について説明する。本実施例の光学素子は実施例3の光学素子30の素子構成と同様である。すなわち、本実施例の光学素子は基板に近い側から順に積層された中間膜と、吸収層と、反射防止膜を有している。本実施例において中間膜は3層で構成されている。
実施例5の光学素子における各層の詳細を表5に示す。
本実施例における吸収層は実施例2の吸収層と同じ材料で形成されている。そのため、本実施例における吸収層の屈折率および消衰係数の波長特性は図5に示した通りである。
図14に、本実施例の光学素子における反射率および吸収率の波長特性を示す。図14に示すように、本実施例の光学素子の吸収率は短波長側において大きくなっている。また、本実施例の光学素子の反射率は、波長550nm付近に極大値を有し、波長440nm付近に極小値を有するような波長特性となっている。
図15に本実施例の光学素子の透過率の波長特性を示す。図15に示すような波長特性の透過率である本実施例の光学素子を光学系に用いることで、透過光の青緑色の色付きを補正することができる。
[実施例6]
次に、実施例6の光学素子について説明する。本実施例の光学素子は実施例3の光学素子30の素子構成と同様である。すなわち、本実施例の光学素子は基板に近い側から順に積層された中間膜と、吸収層と、反射防止膜を有している。本実施例において中間膜は3層で構成されている。
次に、実施例6の光学素子について説明する。本実施例の光学素子は実施例3の光学素子30の素子構成と同様である。すなわち、本実施例の光学素子は基板に近い側から順に積層された中間膜と、吸収層と、反射防止膜を有している。本実施例において中間膜は3層で構成されている。
実施例6の光学素子における各層の詳細を表6に示す。
本実施例における吸収層は実施例3の吸収層と同じ材料で形成されている。そのため、本実施例における吸収層の屈折率および消衰係数の波長特性は図9に示した通りである。
図16に、本実施例の光学素子における反射率および吸収率の波長特性を示す。図16に示すように、本実施例の光学素子の吸収率は長波長側において大きくなっている。また、本実施例の光学素子の反射率は短波長側よりも長波長側において大きくなっている。
図17に本実施例の光学素子の透過率の波長特性を示す。図17に示すような波長特性の透過率である本実施例の光学素子を光学系に用いることで、透過光の黄色の色付きを補正することができる。
[実施例7]
次に、実施例7の光学素子について説明する。実施例7の光学素子70の概略図を図18に示す。本実施例の光学素子70は、上述した実施例1乃至6の光学素子とは異なり、吸収層を2層有している。すなわち、光学素子70は、第1の吸収層72aと第2の吸収層72bを備えている。第1の吸収層72aと第2の吸収層72bの間には層75が形成されている。光学素子70に入射した光の一部は、第1の吸収層72aおよび第2の吸収層72bで吸収される。なお。図18において73は反射防止膜であり、3層で構成されている。また、74は中間膜であり、3層で構成されている。
次に、実施例7の光学素子について説明する。実施例7の光学素子70の概略図を図18に示す。本実施例の光学素子70は、上述した実施例1乃至6の光学素子とは異なり、吸収層を2層有している。すなわち、光学素子70は、第1の吸収層72aと第2の吸収層72bを備えている。第1の吸収層72aと第2の吸収層72bの間には層75が形成されている。光学素子70に入射した光の一部は、第1の吸収層72aおよび第2の吸収層72bで吸収される。なお。図18において73は反射防止膜であり、3層で構成されている。また、74は中間膜であり、3層で構成されている。
実施例7の光学素子70における各層の詳細を表7に示す。
本実施例における第1の吸収層72aと第2の吸収層72bは、共に実施例3の吸収層と同じ材料で形成されている。そのため、本実施例における吸収層の屈折率および消衰係数の波長特性は図9に示した通りである。
図19に、本実施例の光学素子における反射率および吸収率の波長特性を示す。図19に示すように、本実施例の光学素子の吸収率は長波長側において大きくなっている。また、本実施例の光学素子の反射率は長波長側において大きくなっている。
図20に本実施例の光学素子の透過率の波長特性を示す。図20に示すような波長特性の透過率である本実施例の光学素子を光学系に用いることで、透過光の黄色の色付きを補正することができる。
なお、本実施例では第1の吸収層72aと第2の吸収層72bを有している例について説明したが、吸収層を3層以上有していても良い。このとき、複数の吸収層のうち少なくとも1層が式(2)を満たしていれば良い。また、吸収層を複数有する場合、複数の吸収層のうちで基板から最も遠い位置に配置されている吸収層よりも基板に遠い位置に積層された膜が反射防止膜に相当する。また、複数の吸収層のうちで基板に最も近い位置に配置されている吸収層よりも基板に近い位置に積層された膜が中間膜に相当する。
以上、実施例1乃至7で説明したように、式(2)および(3)を満たし、入射光のうち一部の波長の光を吸収して一部の波長の光を反射することで所望の波長特性の透過率を得ることができる。
各実施例における種々の値を以下の表8にまとめて示す。
[実施例8]
次に、本発明の光学系に関する実施例8について説明する。
次に、本発明の光学系に関する実施例8について説明する。
図21に本実施例の光学系80の断面図を示す。光学系80はデジタルスチルカメラ等の撮像装置に用いられる光学系である。
図21において、82は開口絞り、83は像面である。また、光学系80は複数のレンズを有しており、実施例6の光学素子が物体側から数えて3番目のレンズ81として設けられている。したがって、光学系80の第3レンズ81の透過率の波長特性は図17に示した通りである。
本実施例の光学系80は、後述する数値実施例でも示すように、株式会社オハラ社製S−NPH2、S−TIH53W、S−TIH6など、短波長側の光を吸収するような硝材が多く使用されている。仮に第3レンズ81の物体側の面に表6に示した膜が形成されていない場合の光学系80全体の透過率は、波長450nmでは86.8%、波長550nmでは97.3%、波長650nmでは98.2%となっている。したがって、第3レンズ81の物体側の面に表6に示した膜が形成されていない場合、光学系を透過した光は黄色に色づいてしまう。
ここで、図17に示すように本実施例の第3レンズ81の透過率は短波長側よりも長波長側の方が低くなっている。このため、実施例6の光学素子である第3レンズ81によって、黄色の色づきを補正することができ、光学系80を透過した光の色づきを低減することができる。
ここで、実施例6と同等の透過率の波長特性を反射のみで実現した比較例の光学素子における反射率の波長特性を図22に示す。なお、本比較例の光学素子は第3レンズ11の物体側の面上に表9に示す6層構成の膜を設けたものである。
図22に示す比較例の光学素子反射率の波長特性と、図16に示す本実施例における第3レンズ11の反射率の波長特性を比較すると、本実施例における第3レンズ11は比較例の光学素子よりも反射率が低いことがわかる。これは、本実施例の第3レンズ11が反射と吸収を組み合わせて透過光の色づきを補正しているためである。したがって、比較例の光学素子のように反射のみで透過光の色づきを補正する場合と比べて、本実施例の第3レンズ11はゴーストやフレアの発生を低減することができる。
なお、本実施例の光学系80では本発明の光学素子を1つのみ有する例について説明したが、光学系に複数の本発明の光学素子を設けても良い。
さらに、本発明の光学系は撮像装置に用いられる光学系に限定されない。本発明の光学系は、望遠鏡、双眼鏡、顕微鏡の光学系であっても良いし、プロジェクタに用いられる投射光学系であっても良い。
以下に、本実施例の光学系80の数値実施例を示す。面データの硝材の欄に記載した硝材名は、フッ化カルシウム(CaF2)以外はすべて株式会社オハラの商品名である。また、レンズ全長は最も物体側のレンズ面から像面までの距離である。
[数値実施例]
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 硝材
1 285.181 10.70 1.48749 70.2 S-FSL 5
2 -365.280 45.00
3 77.200 19.00 1.43387 95.1 CaF2
4 -201.628 0.12
5 -211.919 3.10 1.65412 39.7 S-NBH 5
6 185.490 0.74
7 68.270 9.50 1.43387 95.1 CaF2
8 241.309 4.51
9 49.323 5.00 1.51633 64.1 S-BSL 7
10 36.974 18.45
11 -366.928 4.05 1.92286 18.9 S-NPH 2
12 -98.774 2.40 1.74950 35.3 S-NBH51
13 101.913 29.58
14 (絞り) ∞ 5.56
15 153.525 1.33 1.84666 23.8 S-TIH53W
16 52.297 5.67 1.65160 58.5 S-LAL7
17 -178.690 10.22
18 80.489 3.59 1.84666 23.8 S-TIH53W
19 -117.581 1.80 1.72916 54.7 S-LAL18
20 38.409 5.45
21 -114.990 1.70 1.83400 37.2 S-LAH60
22 105.792 4.62
23 83.144 3.75 1.80518 25.4 S-TIH 6
24 -362.882 3.23
25 118.635 5.83 1.74950 35.3 S-NBH51
26 -68.316 1.61 1.92286 18.9 S-NPH 2
27 -658.596 67.07
28 (像面) ∞
各種データ
焦点距離 294.99
Fナンバー 2.9
半画角(°) 2.1
像高 21.64
BF 67.07
レンズ全長 273.58
単位 mm
面データ
面番号 r d nd νd 硝材
1 285.181 10.70 1.48749 70.2 S-FSL 5
2 -365.280 45.00
3 77.200 19.00 1.43387 95.1 CaF2
4 -201.628 0.12
5 -211.919 3.10 1.65412 39.7 S-NBH 5
6 185.490 0.74
7 68.270 9.50 1.43387 95.1 CaF2
8 241.309 4.51
9 49.323 5.00 1.51633 64.1 S-BSL 7
10 36.974 18.45
11 -366.928 4.05 1.92286 18.9 S-NPH 2
12 -98.774 2.40 1.74950 35.3 S-NBH51
13 101.913 29.58
14 (絞り) ∞ 5.56
15 153.525 1.33 1.84666 23.8 S-TIH53W
16 52.297 5.67 1.65160 58.5 S-LAL7
17 -178.690 10.22
18 80.489 3.59 1.84666 23.8 S-TIH53W
19 -117.581 1.80 1.72916 54.7 S-LAL18
20 38.409 5.45
21 -114.990 1.70 1.83400 37.2 S-LAH60
22 105.792 4.62
23 83.144 3.75 1.80518 25.4 S-TIH 6
24 -362.882 3.23
25 118.635 5.83 1.74950 35.3 S-NBH51
26 -68.316 1.61 1.92286 18.9 S-NPH 2
27 -658.596 67.07
28 (像面) ∞
各種データ
焦点距離 294.99
Fナンバー 2.9
半画角(°) 2.1
像高 21.64
BF 67.07
レンズ全長 273.58
[実施例9]
次に、本発明の撮像装置に関する実施例9について説明する。
次に、本発明の撮像装置に関する実施例9について説明する。
図23は、本実施例の撮像装置(デジタルスチルカメラ)90を示す概略図である。本実施例の撮像装置90は、カメラ本体91と、実施例8と同様である光学系91と、光学系91によって形成される像を受光して光電変換する撮像素子93を備える。
本実施形態の撮像装置90は、実施例8と同様である光学系92を有するため、透過光の色づきが補正された画像を得ることができる。なお、撮像素子93としては、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を用いることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
10 光学素子
11 基板
12 吸収層
13 反射防止膜
11 基板
12 吸収層
13 反射防止膜
Claims (19)
- 基板と、前記基板に設けられた反射防止膜と、前記基板と前記反射防止膜の間に設けられ入射光の一部を吸収する吸収層と、を有する光学素子であって、
波長400nmから700nmにおける前記吸収層の消衰係数の最大値をkM、波長400nmから700nmにおいて前記吸収層の消衰係数がkMとなる波長をλM[nm]、波長400nmから700nmにおける前記光学素子の反射率の最大値と最小値の差をΔRとするとき、
kM/λM≦2.0×10−3[nm−1]
0.01<ΔR
なる条件式を満足することを特徴とする光学素子。 - 波長400nmから700nmの各波長の光に対する前記光学素子の吸収率の最大値をAMとしたとき、
0.02<AM<0.2
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学素子。 - 波長400nmから700nmにおける前記光学素子の吸収率の最大値と最小値の差をΔAとしたとき、
0.4<ΔR/ΔA<2.5
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素子。 - 前記反射防止膜は少なくとも2層以上の層を積層して構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記吸収層の厚さは、8nm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記吸収層のd線に対する屈折率をNaとするとき、前記反射防止膜はd線に対する屈折率が1より大きくNaより小さい値の層を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記基板のd線に対する屈折率をNs、前記吸収層のd線に対する屈折率をNaとするとき、
|Ns―Na|≦0.3
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光学素子。 - 前記基板と前記吸収層との間に中間膜を有し、
前記吸収層のd線に対する屈折率をNa、前記基板のd線に対する屈折率をNsとしたとき、
前記中間膜はd線に対する屈折率がNaとNsの間の値の層を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学素子。 - 400nm以上550nm未満の波長帯域における反射率の最大値が、550nm以上700nm以下の波長帯域における反射率の最大値よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の光学素子。
- 波長λ[nm]における前記吸収層の消衰係数をk(λ)、波長400nmの光の波長をλ400、波長700nmの光の波長をλ700としたとき、
k(λ400)/λ400<k(λ700)/λ700
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。 - 波長λにおける前記吸収層の消衰係数をk(λ)、波長400nmから700nmにおいて最小二乗法によりλに対してk(λ)を線形近似した際のλの係数をa、d線の波長をλdとしたとき、
1.5≦a・λd/k(λd)≦10
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項10に記載の光学素子。 - 前記光学素子の反射率は、500nm以上600nm以下の波長帯域で波長400nmから700nmにおける最大値をとることを特徴とする請求項10または11に記載の光学素子。
- 前記吸収層はチタン酸化物を含むことを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項に記載の光学素子。
- 前記チタン酸化物は、チタン原子に対する酸素原子の比は2より小さく3/2以上であることを特徴とする請求項13に記載の光学素子。
- 波長λ[nm]における前記吸収層の消衰係数をk(λ)、波長400nmの光の波長をλ400、波長700nmの光の波長をλ700としたとき、
k(λ700)/λ700<k(λ400)/λ400
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の光学素子。 - 波長λにおける前記吸収層の消衰係数をk(λ)、波長400nmから700nmにおいて最小二乗法によりλに対してk(λ)を線形近似した際のλの係数をa、d線の波長をλdとしたとき、
−10≦a・λd/k(λd)<0
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項15に記載の光学素子。 - 前記吸収層はニオブ酸化物とタンタル酸化物の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項15または16に記載の光学素子。
- 複数のレンズと、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の光学素子を有する光学系。
- 請求項18に記載の光学系と、該光学系によって形成された像を受光する撮像素子を備えることを特徴とする撮像装置。
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