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JP2018050488A - 免疫賦活用組成物 - Google Patents

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JP2018050488A JP2016187123A JP2016187123A JP2018050488A JP 2018050488 A JP2018050488 A JP 2018050488A JP 2016187123 A JP2016187123 A JP 2016187123A JP 2016187123 A JP2016187123 A JP 2016187123A JP 2018050488 A JP2018050488 A JP 2018050488A
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啓輔 飛田
Hirosuke Hida
啓輔 飛田
樹 渡邉
Shige Watanabe
樹 渡邉
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Abstract

【課題】βグルカン及び乳酸菌における免疫賦活効果を相乗的に増強させる。
【解決手段】βグルカンとラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT−11株 (FERM BP−11332) の菌体とを有効成分として含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒト、家畜動物又はペット動物に対する免疫賦活効果を有する免疫賦活用組成物、その利用、食品又は飼料に免疫賦活効果を付与する方法、免疫賦活効果を有する食品又は飼料の製造方法に関する。
免疫とは、生体内で病原体などの非自己物質である異物や癌細胞などの異常な細胞を認識して、排除することにより、生体を病気から保護する多数の機構が集積した機構のことである。すなわち、体内に進入した病原菌やウイルスを排除する作用、或いは、生体内に出現する癌細胞、変異した遺伝子や変性したタンパク質、脂質等の生体老廃物を除去する作用機構を示す。この免疫機能は、生物、特に高等生物が環境中で健康を維持して生存するために、必要不可欠の機能である。しかしながら、加齢、食生活の変化、環境汚染などの様々な環境的要因によって、免疫機能の低下や免疫不全が起こり、悪性腫瘍や感染症の発症を引き起こす。したがって、健康状態を維持する上で、日常的に正常な免疫機能を維持する必要がある。
βグルカンは、グルコースが連なった多糖類であり、植物、菌類、細菌など自然界に広く分布する。グルコースがβ1−4型の結合で連なったβ1,4−グルカンは由来に関係なくセルロースの名称として広く知られている。なお、βグルカンとは、β1,3−グルカン、β1,4−グルカン及びβ1,6−グルカンの総称として使用される用語である。βグルカンに関しては、近年、その優れた生体調節機能や生理活性機能、例えば、脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用、血糖値低下作用、抗腫瘍作用、免疫賦活作用、生活習慣病改善作用等が確認されている。とりわけ、βグルカンは、優れた免疫賦活効果を有しており、βグルカンを多く含有する植物や細菌、或いはその抽出物等が免疫賦活剤や健康補助食品として、更にはこのようなβグルカンを含有させた飲食品が健康食品として広く利用されている。
βグルカン含有量の多い素材としては、担子菌類の子実体やその菌糸、大麦、アウレオバシジウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans) などが知られている。例えば、担子菌類の子実体やその菌糸、あるいは大麦は、そのまま食品原料として使用する場合もあるが、βグルカンを濃縮するために、これらを粉砕し、熱水抽出し、乾燥したものが食品素材や化粧品素材として実用化されている (特許文献1、2参照)。また、アウレオバシジウム・プルランズを発酵させて得られた培養液から、βグルカンを抽出・乾燥したものが知られている (特許文献3参照)。
しかし、いずれもβグルカンが免疫賦活効果を発揮するには大量に摂取しなければならなく、さらにその効果は十分に満足できるものではない。
一方、乳酸菌を利用した免疫賦活剤として、例えば、ラクトバチルス(Lactobacillus)属の乳酸菌、とりわけラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)を利用したものが知られている。具体的には、当該乳酸菌を培養し、培養液のpHが実質的に低下しなくなった時点で直ちに菌を死滅させる。このようにして得た死菌体を飲食品に添加することにより、IL−12産生誘導活性を有する乳酸菌含有免疫賦活用組成物を製造している(特許文献4参照)。しかし、乳酸菌が免疫賦活効果を発揮するには大量に摂取しなければならなく、その効果は十分に満足できるものではない。
また、免疫賦活作用を相乗的に高めることを目的として、βグルカンと乳酸菌を併用することも提案されている。例えば、アウレオバシジウム・プルランズ(Aureobasidium pullulans)を培養して得られるβグルカンを含有する培養物と、乳酸菌体とを含有する免疫賦活剤(特許文献5参照)や、βグルカンを含有する素材と乳酸菌とを含有する免疫増強用組成物(特許文献6参照)などが提案されている。しかし、いずれもβグルカンと乳酸菌とが相乗効果を発揮するには至らず、その効果は十分に満足できるものではない。
特許公開2008−228676号公報 特許公開2005−307150号公報 特許公開2004−049013号公報 特許公開2010−95465号公報 特許公開2005−220065号公報 特許公開2001−323001号公報
以上のように、βグルカン及び乳酸菌については、それぞれ免疫賦活効果を有することが知られていたものの、その効果は十分に満足できるものでは無いといった問題点があった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑み、βグルカン及び乳酸菌における免疫賦活効果を相乗的に増強させることができ、少量の摂取でも十分な効果を発揮する免疫賦活用組成物、当該免疫賦活用組成物を含む食品、飼料並びに医薬品、当該免疫賦活用組成物を用いた食品又は飼料に免疫賦活効果を付与する方法、及び当該免疫賦活用組成物を利用した免疫賦活効果を有する食品又は飼料の製造方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らが鋭意検討した結果、βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株とを組み合わせたときに、免疫賦活効果が相乗的に増強することを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)βグルカンとラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT−11株 (FERM BP−11332) の菌体とを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活用組成物。
(2)上記βグルカンが、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来βグルカンであることを特徴とする(1)記載の免疫賦活用組成物。
(3)ヒト、家畜動物又はペット動物に対する免疫賦活効果を有することを特徴とする(1)記載の免疫賦活用組成物。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活用組成物を含む食品。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活用組成物を含む飼料。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活用組成物を含む医薬品。
(7)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活用組成物を食品又は飼料に添加することを含む、食品又は飼料に免疫賦活効果を付与する方法。
(8)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の免疫賦活用組成物を食品又は飼料に添加することを含む、免疫賦活効果を有する食品又は飼料の製造方法。
本発明に係る免疫賦活用組成物は、βグルカン及びラクトバチルス・クリスパタスKT−11株による免疫賦活効果が相乗的に増強した、優れた免疫賦活効果を示す。したがって、本発明に係る免疫賦活用組成物によれば、少量で免疫賦活効果を得ることができ、食品や飼料等に容易に展開することができる。
本発明に係る免疫賦活用組成物を含む食品、飼料及び医薬品は、上述のように、当該免疫賦活用組成物による優れた免疫賦活効果を示すため、免疫機能の改善に非常に有効となる。
以下、本発明に係る免疫賦活用組成物について詳細に説明する。
本発明に係る免疫賦活用組成物は、βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株とを有効成分として含有する組成物である。すなわち、当該組成物は、免疫賦活効果、換言すると、低下した免疫反応を増強する効果を奏する。すなわち、免疫賦活用組成物は、生体内に例えば経口的に摂取されると、腸管において樹状細胞、マクロファージなどの免疫細胞を刺激して、インターロイキン12などのサイトカインを分泌させる。インターロイキン12は、ナチュラルキラー細胞などを活性することで、抗癌効果や感染症の予防改善効果に導く。このように、免疫賦活作用のメカニズムは、上記インターロイキン12(IL−12)産生誘導が最も深く関与する作用である。よって、免疫賦活効果はIL−12の産生量に基づいて判定することができる。
本発明に係る免疫賦活用組成物は、βグルカンによる免疫賦活効果とラクトバチルス・クリスパタスKT−11株による免疫賦活効果とが相乗的に作用することで格別顕著な免疫賦活効果を奏する。すなわち本発明に係る免疫賦活用組成物による免疫賦活効果は、βグルカン単独による免疫賦活効果と、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株単独による免疫賦活効果とから予測できない程度に免疫賦活効果を奏することができる。
本発明に係る免疫賦活用組成物において、βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株との含有割合は、特に制限されるものではないが、好ましい含有割合は次の通りである。βグルカン及びラクトバチルス・クリスパタスKT−11株の合計含有量を100質量%として、βグルカン0.1〜99.9質量%及びラクトバチルス・クリスパタスKT−11株99.9〜0.1質量%、特に好ましくはβグルカン50〜99質量%及びラクトバチルス・クリスパタスKT−11株50〜1質量%である。
ここで、βグルカンとは、βD―グルカンとも称され、細胞壁を構成する多糖類として知られている。また、βグルカンとは、グルコースがβ1,3結合及び/又はβ1,4結合で繋がった主鎖と、グルコースがβ1,6結合で結合した側鎖とから構成される。免疫賦活用組成物を構成するβグルカンとしては、特に限定されないが、例えば食品に用いることができるものを使用することが好ましい。具体的には、βグルカンとしては、担子菌類の子実体やその菌糸、酵母、麹、大麦、アウレオバシジウム・プルランズ等に由来するものを使用することができる。
免疫賦活用組成物を構成するβグルカンとしては、特に限定されないが、以下のような特性のものを使用することが好ましい。例えば、本発明に使用するβグルカンは、グルコースから構成される多糖類のうち、グルコースがβ型の構造で結合したものなら如何なる構造の多糖類でもよく、β1,3結合グルコース、β1,4結合グルコース及びβ1,6結合グルコースのいずれか一種又は二種以上から構成されるβグルカンであるか、β1,3―グルカン、β1,4―グルカン及びβ1,6―グルカンのいずれか一種または二種以上の混合物であってもよい。
なかでも、βグルカンとしては、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来βグルカンを使用することが好ましい。サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカンとしては、例えばサッカロマイセス・セレビシエの培養液、菌体又はその細胞壁画分をそのまま用いてもよいし、これらを熱水抽出することで得られた高濃度のβグルカンを使用しても良い。さらに、サッカロマイセス・セレビシエの培養液、菌体又はその細胞壁画分の熱水抽出物を得た後、アルカリ処理して不溶性画分を水洗浄し、次いで酸で中和した後、水洗浄して乾燥し、アルコール処理した後に乾燥する方法により得られた更に高濃度のβグルカンを使用しても良い。
また、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカンは、例えば、以下のような特徴を有し、この点において他の生物由来βグルカンと区別される。すなわち、サッカロマイセス・セレビシエ由来のβグルカンは、複合型のグルカン構造を有するβ1,3及びβ1,6結合のD―グルカンが主体であり、細胞壁にその多くが含まれる。とりわけ、サッカロマイセス・セレビシエの細胞壁の骨格をなすβグルカンは、β1,6―グルカンの主鎖に、3の位置で分枝した比較的長いβ1,3−グルカンの側鎖が数多く出ている構造を有していることが特徴である。
さらに、サッカロマイセス・セレビシエの細胞表層はマンナン等の他の多糖類で覆われているため、サッカロマイセス・セレビシエ由来のβグルカンとしては、マンナン等の他の多糖類が十分に除去されていることが好ましい。マンナン等の他の多糖類を除去することで、サッカロマイセス・セレビシエの培養液、菌体又はその細胞壁画分をβグルカンとして使用する場合でも、βグルカンの作用を十分に発揮することができる。
また、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカンとしては、特に限定されないが、例えば、分子量の範囲を1,000〜1,000,000とすることが好ましく、5,000〜700,000とすることがより好ましく、20,000〜500,000とすることが最も好ましい。βグルカンの分子量をこの範囲とすることで、免疫賦活効果をより増強することができる。
一方、本発明に係る免疫賦活用組成物を構成するラクトバチルス・クリスパタスKT−11株は、特許第4921499号公報に開示された、従来の乳酸菌より抗アレルギー効果の高い乳酸菌である。ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号:FERM BP−11332として寄託され、独立行政法人製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター特許生物寄託センター(NITE-IPOD)にて分譲可能に保管されている。
当該菌株の菌学的 (形態学的、培養学的、生理学的) 性状は、特許第4921499号公報に記載しているように以下の通りである。
〔1〕形態学的性状
MRS寒天培地(Difco)で37℃、72時間培養後の観察では、細胞の大きさが0.5〜1×3〜5μmの桿菌であり、運動をしない。胞子形成は無く、グラム染色は陽性である。
〔2〕培養学的性状
MRS寒天培地(Difco)で37℃、72時間培養後のコロニーは直径2〜3mm、円形、全縁である。コロニーの色調は黄白色で、半透明である。
〔3〕生理学的性状
ガス産生:陰性
グルコース資化:陽性
カタラーゼ活性:陰性
ゼラチン液化性:陰性
硝酸塩還元性:陰性
インドール産性:陰性
硫化水素産性:陰性
酸素に対する態度:通性嫌気性
至適生育温度:37〜40℃
至適生育pH:pH5.5〜5.8
本発明に係る免疫賦活用組成物において、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株は、培養物のまま配合してもよく、培養物を濃縮した配合してもよく、培養物から回収した菌体として配合してもよく、或いは、回収した菌体を乾燥してから配合してもよい。また、本発明に係る免疫賦活用組成物においてラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を用いて動物性或いは植物性材料を乳酸発酵し、得られた発酵産物を配合してもよい。また、本発明に係る免疫賦活用組成物において、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株は生菌状態でも良いし、加熱処理等を施し殺菌した死菌体でもよい。
さらに、本発明の免疫賦活用組成物は、上記βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株とに加え、必要に応じて食品として許容される種々の担体、賦形剤、その他の添加剤、その他の成分を配合して製剤化してもよい。
本発明の免疫賦活用組成物の剤型は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などの経口剤にしてもよく、常法により製剤化することができる。また、他の成分として、その他の免疫賦活作用を有する成分、医薬品類、各種ビタミン類、生薬、ミネラル類などを適宜配合することができる。
本発明の免疫賦活用組成物の摂取量は、1個体1日当たりの摂取量が1〜10,000mg、特に10〜2,000mgとなるように食品に含有することが好ましい。本発明に係る免疫賦活用組成物は、食品添加剤として、或いは飼料添加剤として使用することができる。
<食品>
本発明はさらに、免疫賦活用組成物を含む食品、好ましくは、免疫賦活用組成物を含む機能性食品を提供する。言い換えると、上述した免疫賦活用組成物を食品に添加することにより、当該食品に免疫賦活効果を付与することができ、免疫賦活効果を有する食品を製造することができる。
免疫賦活用組成物を含む食品としては、パン類、麺類、タブレット、ゼリーやキャンディーなどの菓子類、サプリメント、健康補助食品、清涼飲料、ジュース、栄養ドリンクなどの飲料、アイス、氷菓子、スムージーなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、免疫賦活用組成物を含む食品としては、例えばタブレット状、粉末状のサプリメントであってもよい。サプリメントは、本発明に係る免疫賦活用組成物を定量的に摂取しやすいといった利点がある。また、免疫賦活用組成物を含む食品としては、ケール等の緑葉野菜を絞った汁(青汁)に上記免疫賦活用組成物を添加した飲料を挙げることができる。
また、免疫賦活用組成物を含む食品において、免疫賦活用組成物の食品への添加時期は、特に制限されるものではなく、食品の製造工程中に添加してもよく、製造された食品に添加してもよい。あるいは、免疫賦活用組成物を含む食品としては、免疫賦活用組成物のうちラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を含む部分と、βグルカンを含む部分とを個別に包装し、摂食時に添加するようにしても良い。例えば、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を用いた乳酸菌食品と、当該乳酸菌食品に使用するための調味料であってβグルカンを含む調味料とを個別に包装したものも、本発明に係る免疫賦活用組成物を含む食品に含まれる。
本発明に係る免疫賦活用組成物を含む食品は、免疫賦活効果を有するため、免疫賦活用、免疫機能改善用、免疫回復用、或いは免疫機能低下抑制用との用途を表示することができる。ここで、表示とは、これら用途を知らしめるための全ての行為を含む意味である。具体的には、本発明に係る免疫賦活用組成物を含む食品を、上記用途を記載した包装で提供すること、上記用途を記載した印刷物とともに提供することができる。
また、表示としては、行政等によって許可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましい。例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができ、その他、行政庁により認可される表示、例えば、特定保健用食品、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができる。さらに詳細には、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示等を例示することができる。
<飼料>
本発明はさらに、免疫賦活用組成物を含む飼料を提供する。言い換えると、上述した免疫賦活用組成物を飼料に添加することにより、当該飼料に免疫賦活効果を付与することができ、免疫賦活効果を有する飼料を製造することができる。
ここで飼料とは、ヒトを除く動物に供される食物を意味する。飼料を供する対象の動物とは、脊椎動物、具体的には、ヒトを除く哺乳動物、例えば、霊長類(サル、チンパンジーなど)、家畜動物(ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、家禽類など)、ペット動物(「愛がん動物」ともいう)(イヌ、ネコなど)、実験動物(マウス、ラットなど)、競技用動物(ウマなど)、その他、爬虫類、鳥類(ニワトリなど)などである。好ましくは哺乳動物、鳥類およびペット動物であり、より好ましくは家畜動物及びペット動物である。
また、飼料は、上記免疫賦活用組成物の他に、トウモロコシ粉、米粉、糠などの穀粉、粕類、糠類、魚粉、骨粉、油脂類、脱脂粉乳、ホエー、鉱物質飼料、酵母類、無機物、アミノ酸、タンパク質、ビタミン類、脂質などを含んでいても良い。具体的には、日本標準飼料成分表(2009年版、農業・食品産業技術総合研究機構編)に記載されるような成分が含まれていても良い。
さらに、本発明に係る飼料は、例えば、タブレット状や粉末状の剤形として動物用、特にペット動物用のサプリメントとしても良い。或いは、本発明に係る飼料は、青刈り作物や生の牧草等の飼料作物をサイロに詰め、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株により乳酸発酵させたサイレージであってもよい。
<医薬品>
本発明はさらに、免疫賦活用組成物を含む医薬品を提供する。ここで医薬品とは、ヒトや動物の疾病の診断、治療或いは予防を行うために与える薬品を意味する。本発明に係る医薬品の使用形態としては、特に限定されず、内服薬、外用薬、注射剤等の如何なる剤形であってもよい。また、本発明に係る医薬品は、医療用医薬品及び一般用医薬品の両方を含む意味である。
具体的に、本発明に係る医薬品の剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、坐剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、点眼剤、及び点鼻剤等を挙げることができる。製剤化にあたっては、製剤担体として通常使用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤、又は注射剤用溶剤等の添加剤を使用することができる。
本発明に係る医薬品において、免疫賦活用組成物の含有量(或いはβグルカン及びラクトバチルス・クリスパタスKT−11株)は、剤形、用法、患者の年齢、性別、疾患の種類、疾患の程度、及びその他の条件等により適宜設定される。
また、本発明に係る医薬品は、他の医薬、例えばIL−12産生促進剤や免疫賦活剤等を併用してもよい。本発明に係る医薬品の投与時期は特に限定されず、対象となる疾患の治療方法に従って、適宜投与時期を選択することが可能である。また、予防的に投与してもよく、維持療法に用いてもよい。また、投与形態は製剤形態、患者の年齢、性別、その他の条件、患者の症状の程度等に応じて決定されることが好ましい。なお、本発明の医薬は、いずれの場合も1日1回又は複数回に分けて投与することができ、また、数日又は数週間に1回の投与としてもよい。
本発明に係る医薬品は、βグルカン及びラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を有効成分として含有するものであり、生体内のIL−12の産生を顕著に促進することができる。増加したIL−12は、生体内の免疫を活性化させるため、免疫賦活剤として使用することができる。したがって、本発明に係る医薬品は、免疫が賦活されることによって予防又は治療され得る疾患の予防又は治療に使用することができる。「治療」には、改善も含まれる。
本発明に係る医薬品の適用として具体的には、例えば、アレルギー症状、例えば食物アレルギー、気管支喘息、じんま疹、鼻炎、花粉症、アナフィラキシーショック等の緩和の他、感染症に対する抵抗力の増進、癌の予防、進行の防止等が挙げられる。また、本発明に係る医薬品は、抗腫癌剤、日和見感染症の予防剤又は治療剤、アレルギー疾患予防剤、又は治療剤として広く利用することができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されず、様々な実施形態が可能であり、本発明は本明細書に開示の思想に従ったものであるかぎり、すべての実施形態を包含することは理解されるべきである。
(βグルカンと乳酸菌の免疫賦活作用の評価)
各βグルカンに、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株又はラクトバチルス・プランタラムJCM1149を添加した際の免疫賦活作用を以下のように評価した。
(使用したβグルカン)
βグルカンは、サッカロマイセス・セレビシエ、アガリクスとしてアガリクス・サブルフェセンス(Agaricus subrufescens)、ハナビラタケとしてスパラシス・クリスパ(Sparassis crispa)および大麦としてホルデウム・ウルガム(Hordeum vulgare)由来のものを使用した。
具体的には、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカン及び大麦由来βグルカンは、Sigma−Aldrich(MO、USA)より購入した。アガリクス由来βグルカン及びハナビラタケ由来βグルカンは次のように調製した。先ず、子実体の乾燥物を小切片とし、まず水を加え100℃で一時間煮沸して熱水抽出した。その後、熱水抽出物を1M水酸化ナトリウム中に浸漬し、一晩放置後、遠心分離により得られた上清を更に一晩透析し、その濃縮液を凍結乾燥物とし、βグルカンとして試験に供した。
(菌体試料液の調製)
ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株又はラクトバチルス・プランタラムJCM1149をMRS液体培地にそれぞれ接種し、37℃、20時間培養した。培養後、遠心分離で菌体を回収し、精製水で3回洗浄した。洗浄した菌体は凍結乾燥処理後、滅菌0.15M塩化ナトリウム−0.01Mリン酸緩衝液(PBS、pH7.2)に懸濁して熱処理(110℃、15分間)したものを菌体試料液とした。
(マクロファージ細胞の培養)
マクロファージ細胞であるJ774.1細胞は、5%FBS、100U/mLペニシリンGナトリウムおよび100μg/mLストレプトマイシン硫酸塩を含むRPMI−1640培地に懸濁後、滅菌プラスチックシャーレ内で37℃、5%CO存在下でコンフルの状態まで培養したものを用いた。1×10個/mLに調製したJ774.1細胞懸濁液800μLを分注した48ウェル平底マイクロプレートに、最終濃度が0から100μg/mLに調製したラクトバチルス・クリスパタスKT−11株あるいはラクトバチルス・プランタラムJCM1149の菌体試料液、およびPBSに懸濁させて最終濃度0から100μg/mLに調整したβグルカン液100μLを各ウェルに添加し、37℃、5%CO存在下で48時間培養した。培養後、4℃、7,000rpmで1分間遠心分離を行い、培養上清液を回収した。
(IL−12の測定)
培養上清液中のIL−12量は酵素免疫測定法(ELISA)を用いて測定した。すなわち、抗マウスIL−12抗体と1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含む0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)100μLを96ウェルマイクロプレートの各ウェルに分注し、4℃で一晩静置した。0.05%Tween20を含むPBS(PBS−T)で洗浄した後、1%BSAを含むPBSを200μL加え、25℃で120分間静置した。再びPBS−Tで洗浄した後、1%BSAを含むPBSで最適な倍率に希釈した培養上清液100μLを各ウェルに分注し、25℃で120分間反応させた。さらに、PBS−Tで洗浄した後、1%BSAを含むPBSで最適な倍率に希釈したビオチン標識抗マウスIL−12抗体溶液100μLを各ウェルに分注し、25℃で60分間反応させた。次いで、PBS−Tで洗浄した後、1%BSAを含むPBSで最適な倍率に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン溶液100μLを各ウェルに分注し、25℃で30分間反応させた。TMB溶液100μLを各ウェルに分注し、完全に遮光して25℃で30分間反応させた後、4N硫酸100μLを各ウェルに分注して反応を停止させ、直ちにBio−Radモデル550マイクロプレートリーダーを用いて、450nmにおける吸光度を測定した。なお,IL−12量は既知濃度のIL−12から得た検量線より算出した。
〔実施例1〕(βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11の組合せによるIL−12産生)
表1は、各βグルカン99μg/mLにラクトバチルス・クリスパタスKT−11株1μg/mLを添加して培養したJ774.1細胞の培養液上清中のIL−12量を示したものである。
Figure 2018050488
表1に示すように、各βグルカンにラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を添加した際のIL−12量は、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株無添加の場合と比べて顕著に増加した。その値は、それぞれ単独で使用した際のIL−12生産量を上回っていた。このことから、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株は、βグルカンの免疫賦活作用を相乗的に高めることが本試験により示された。なかでもサッカロマイセス・セレビシエ由来のβグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株の組み合わせの時に相乗作用が特に顕著であることが明らかとなった。
〔実施例2〕(サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカンと乳酸菌の組合せによるIL−12産生量)
表2は、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカン99μg/mLに対して、ラクトバチルス・クリスパタスKT−11株又はラクトバチルス・プランタラムJCM1149を1μg/mLになるように添加して培養したJ774.1細胞の培養液上清中のIL−12量を示したものである。
Figure 2018050488
表2に示すように、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株の組合せでみられたIL−12産生における相乗作用は、ラクトバチルス・プランタラムJCM1149の場合と比較して高かった。
〔実施例3〕(添加比率の違いによるIL−12産生の相乗作用)
サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカンとラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を含有する組成物の添加比率の違いによる免疫賦活作用の相乗作用について検討した結果を表3に示した。
Figure 2018050488
表3に示すように、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカン50質量%に対してラクトバチルス・クリスパタスKT−11株を50質量%で添加した際にIL−12産生量は顕著に高まり、サッカロマイセス・セレビシエ由来βグルカン単独で使用した場合と比較して高くなることが示された。

Claims (8)

  1. βグルカンとラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus) KT−11株 (FERM BP−11332) の菌体とを有効成分として含有することを特徴とする免疫賦活用組成物。
  2. 上記βグルカンが、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来βグルカンであることを特徴とする請求項1記載の免疫賦活用組成物。
  3. ヒト、家畜動物又はペット動物に対する免疫賦活効果を有することを特徴とする請求項1記載の免疫賦活用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫賦活用組成物を含む食品。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫賦活用組成物を含む飼料。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫賦活用組成物を含む医薬品。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫賦活用組成物を食品又は飼料に添加することを含む、食品又は飼料に免疫賦活効果を付与する方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項記載の免疫賦活用組成物を食品又は飼料に添加することを含む、免疫賦活効果を有する食品又は飼料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022244580A1 (ja) * 2021-05-21 2022-11-24 アサヒグループホールディングス株式会社 免疫賦活剤及びグルカン組成物の製造方法

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