JP2018047703A - シーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋 - Google Patents
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Abstract
Description
この問題に対し、シーラントフィルム中にブリードアウト抑制剤を存在させることにより、基材層とのラミネート強度を高めることができたが、その一方で、滑り性が低下するという問題が生じた。
ことを見出した。さらに、植物由来ポリエチレン系樹脂を含むシーラントフィルムにおいて、その基材層積層面を、低分子量成分をほとんど含まない石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層で覆うことにより、滑り性を低下させることなく、該植物由来樹脂中の低分子量化合物の基材層積層面へのブリードアウトを防ぎ、基材層とのラミネート強度を高められることを見出した。
1.基材層に積層して用いるシーラントフィルムであって、1層またはそれ以上の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層またはそれ以上の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる多層積層フィルムであり、基材層積層面を形成する最表層は、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であって、該石油由来ポリエチレン系樹脂は、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により得られる分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量領域の面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%
以下であり、シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%であることを特徴とする、上記シーラントフィルム。
2.1層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる2層積層フィルムであることを特徴とする、上記1.に記載のシーラントフィルム。
3.2層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる3層積層フィルムであって、基材層積層面を形成する最表層、及び、その反対側のヒートシール面を形成する最表層が、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であり、その間の中間層が、植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層であることを特徴とする、上記1.に記載のシーラントフィルム。
4.基材層と、上記1.〜3.のいずれかに記載のシーラントフィルムからなる層とを有することを特徴とする包装材。
5.上記4.に記載の包装材を用いてなる包装袋。
6.詰め替え用スタンディングパウチであることを特徴とする、上記5.に記載の包装袋。
、植物が生育時に吸収したCO2量と等しいため、大気中のCO2量の増減には影響を与えないことを指す。したがって、植物由来の原料を多く含むほど、CO2量の増加を抑制す
ることができる。
系樹脂は、GPCによって得られるその分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量成分の占める面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下である。これに
より、この最表層は、薄い層厚であっても、植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子量化合物の透過を効果的に遮断し、且つ、シーラントフィルム中に添加されるスリップ剤等を吸着せず、滑り性の低下を引き起こさない。したがって、本発明のシーラントフィルムは、80%もの高いバイオマス度を達成することができ、且つ、基材層と高いラミネート強度を示し、且つ、優れた滑り性を示す。
図1は、本発明のシーラントフィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明のシーラントフィルムは、その一方の面、すなわち基材層積層面〔A〕に任意の基材層を積層し、さらに、他方の面であるヒートシール面〔B〕を任意の被着体と対向させて重ね合せ、ヒートシールして用いるものである。以下の本明細書において、シーラントフィルムの基材層と接する面を「基材層積層面」といい、シーラントフィルムの被着体と接する面を「ヒートシール面」という。
且つ、高いバイオマス度を示すシーラントフィルムを、簡易且つ低コストで生産性良く製造することができる。
は、好ましくは3μm以上であり、且つ、シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%となる厚さである。
本発明において、「植物由来」とは、植物を原料として得られるアルコールから製造される、植物原料に由来する炭素を含むことを意味する。
密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.91
0〜0.925g/cm3、エチレンとα−オレフィンとの共重合体)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
本発明において好適に使用される植物由来ポリエチレン系樹脂としては、ブラスケム(Braskem S.A.)社製のグリーンPE等が挙げられる。
本発明において、「石油由来」とは、植物原料に由来する炭素を含まず、従来どおり、石油から得られるナフサを熱分解して得られるエチレンに由来する構造を主成分とするものである。また、「石油由来ポリエチレン系樹脂」とは、シーラントフィルムとしてヒートシール性を有するものとして一般的に用いられる任意のポリエチレン系樹脂を指す。
エチレン系樹脂中の低分子化合物の透過を防ぐ効果が劣り、好ましくない。
さらに、上記基材層積層面を形成する石油由来ポリエチレン系樹脂は、任意の石油由来ポリエチレン、例えば、HDPE、MDPE、LDPE、LLDPE、及びこれらの混合物からなる樹脂組成物であってよいが、耐衝撃性及び植物由来ポリエチレン系樹脂中の低分子化合物の透過を防ぐ観点から、石油由来LLDPE15〜100質量%、好ましくは50〜100%、さらに好ましくは60〜100質量%と、その他の石油由来ポリエチレン系樹脂、例えばLDPE、MDPE、HDPE等0〜85質量%、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜40質量%とを含む樹脂組成物である。
本発明のシーラントフィルムは、各層を構成する樹脂または樹脂組成物を調製し、溶融混練後、慣用のフィルム成形法を用いて共押出することにより、製造することができる。
樹脂フィルムには、加工適性を確保すべく滑り性が要求される。そして、必要に応じて、フィルム中にスリップ剤、帯電防止剤等の滑り性付与剤を配合して、滑り性の向上を図ることが行われている。しかしながら、滑り性の向上は、一般的に、フィルムのラミネート強度の低下をもたらす。
本発明のシーラントフィルムは、用途に応じて種々の基材層を積層した積層体として用いることができる。
本発明のシーラントフィルムに積層する基材としては、金属類、セラミックス類、木材類、紙類などであってもよいが、包装材料の分野では、熱可塑性樹脂で構成されたフィルム及び/又は紙である場合が多い。
脂等で構成できる。これらのフィルムは単独の熱可塑性樹脂で形成してもよく、二種以上の熱可塑性樹脂で構成された複合体(アロイ系フィルム)又は積層体であってもよい。
これらの基材フィルムは無延伸であってもよく、一軸又は二軸延伸フィルムであってもよい。
基材層とシーラントフィルムとの積層は、接着剤を介して、ドライラミネート法で貼り合わせることができる。使用する接着剤としては、例えば、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。
本発明の更なる態様において、基材フィルム上またはシーラントフィルムと基材フィルムとの間に、文字、図形、記号、絵柄等の印刷層を設けてもよい。
上記で使用する接着剤や印刷インキとして、植物由来樹脂を含むものを使用することにより、バイオマス度をさらに高めることもできる。
上記基材層と本発明のシーラントフィルムとを有する積層フィルムは、蓋材や包装袋等の包装材として、好適に使用することができる。例えば、該積層フィルムを二つ折にするか、又は該積層フィルム2枚を用意し、そのシーラントフィルムの面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型
、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋とすることができる。
「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、植物由来の原料(バイオマス)との混合比率を表す指標であり、放射性炭素(C14)の濃度を測定することにより決定され、下記式で表される。
バイオマス度(%)=C14濃度(pMC)×0.935
このC14は、植物由来の原料中には一定濃度で含まれるが、地中に閉じ込められた石油中にはほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
本発明において、石油由来ポリエチレン系樹脂の分子量分布、及び、低分子量成分の割合は、GPCにより以下の条件下で測定した。
装置:Waters社製 GPC−150
カラム:昭和電工(株)製 GPC HT−806m×2本、HT−803×1本
溶離液:ジクロロベンゼン(140℃)
流量:1mL/分
試料濃度:1g/L
注入量:5mL
検出器:赤外分光計
測定温度:0〜140℃
標準物質:ポリスチレン
石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.9
16kg/m3、MFR=2.3g/10分)70質量%、石油由来LDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N、密度0.920kg/m3、MFR=1.2g
/10分)29質量%、及びスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%を十分に溶融混練し、第1の樹脂組成物を調製した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.5面積%であった。
/m3、MFR=1.0g/10分、バイオマス度87%)99質量%とスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%とを十分に溶融混練し、第2の樹脂組成物を調整した。
第1の樹脂組成物において、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020)の代わりに、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP1540、密度0.913kg/m3、MFR=3.8g/10分)を用いた以外は
、実施例1と同様にして、本発明のシーラントフィルムを製造した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.3面積%であった。また、バイ
オマス度は50%であった。
石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.9
16kg/m3、MFR=2.3g/10分)99質量%とスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%とを十分に溶融混練し、第1の樹脂組成物を調製した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.4面積%であった。
/m3、MFR=1.0g/10分、バイオマス度87%)99質量%とスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%とを十分に溶融混練し、第2の樹脂組成物を調整した。
第1の樹脂組成物において、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020)の代わりに、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製ウルトラゼックス2022L、密度0.919kg/m3、MFR=2.0g/10分)を用いた以
外は、実施例1と同様にして、シーラントフィルムを製造した。第1の樹脂組成物におけ
る分子量1000以下の低分子量成分の割合は、0.6面積%であった。また、バイオマ
ス度は50%であった。
第1の樹脂組成物において、石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020)の代わりに、石油由来LDPE(日本ポリエチレン(株)製ノバテックLD、LC600A密度0.918kg/m3、MFR=7.2g/10分)を用いた以外
は、実施例3と同様にして、シーラントフィルムを製造した。第1の樹脂組成物における分子量1000以下の低分子量成分の割合は、3.3面積%であった。また、バイオマス
度は80%であった。
植物由来LLDPE(ブラスケム社製C4−SLL118、密度0.916kg/m3、MFR=1.0g/10分、バイオマス度87%)58質量%、石油由来LLDPE((
株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.916kg/m3、MFR=2.3g/10分)12質量%、石油由来LDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDP
E−F120N、密度0.920kg/m3、MFR=1.2g/10分)29質量%、及
びスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%を十分に溶融混練し、得られた樹脂組成物を上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、厚さ120μmのシーラントフィルムを製造した。バイオマス度は50%であった。
石油由来LLDPE((株)プライムポリマー製エボリューSP2020、密度0.9
16kg/m3、MFR=2.3g/10分)70質量%、石油由来LDPE(宇部丸善ポリエチレン(株)製LDPE−F120N、密度0.920kg/m3、MFR=1.2g
/10分)29質量%、及びスリップ剤(日本ユニカー(株)製M−3)1質量%を十分に溶融混練し、得られた樹脂組成物を上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により製膜し、厚さ120μmのシーラントフィルムを製造した。バイオマス度は0%であった。
(ラミネート強度)
実施例1〜3のシーラントフィルムの基材層積層面、及び比較例1〜2のシーラントフィルムの一方の面に、コロナ処理を施し、その処理面に、接着剤層を介して二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)をドライラミネートして、積層フィルムを作製した。この積層フィルムを、40℃×3日間エージングし、さらに23℃で2週間経過後のラミネート強度を、15mm幅あたり、T型剥離、引張速度50mm/min.にて測定した。
実施例1〜3及び比較例1〜2のシーラントフィルムをそれぞれ2枚用意し、フィルム(ヒートシール面)対フィルム(ヒートシール面)の滑り性について、JIS K7125:1999(摩擦係数試験方法)に準拠して摩擦係数を測定した。
結果を以下の表1に示す。
これに対し、比較例1〜2のシーラントフィルムは、ラミネート強度がやや劣るものであった。また、比較例3のシーラントフィルムは、ラミネート強度がさらに劣るものであった。
実施例1〜3及び比較例1〜4のシーラントフィルムについて、上記のラミネート強度測定と同様にして、積層フィルムを作製し、パウチの胴材用の包装材を得た。
回、及びさらに床と垂直に(底部が床に当たるように)5回落下させて、パウチの外観の変化を目視にて観察した。
結果を以下の表2に示す。
B. ヒートシール面
1、3. 石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層
2. 植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層
4. 基材層
Claims (6)
- 基材層に積層して用いるシーラントフィルムであって、
1層またはそれ以上の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層またはそれ以上の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる多層積層フィルムであり、
基材層積層面を形成する最表層は、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であって、該石油由来ポリエチレン系樹脂は、そのゲルパーミエーションクロマトグラフィ法により得られる分子量分布図において、分子量1000以下の低分子量領域の面積割合が、全ピーク面積に対して0.5面積%以下であり、
シーラントフィルム全体のバイオマス度が45〜80%であることを特徴とする、上記シーラントフィルム。 - 1層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる2層積層フィルムであることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。
- 2層の石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層と、1層の植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層とからなる3層積層フィルムであって、
基材層積層面を形成する最表層に加えて、その反対側のヒートシール面を形成する最表層も、石油由来ポリエチレン系樹脂からなる層であり、
これらの間の中間層が、植物由来ポリエチレン系樹脂からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載のシーラントフィルム。 - 基材層と、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシーラントフィルムからなる層とを有することを特徴とする包装材。
- 請求項4に記載の包装材を用いてなる包装袋。
- 詰め替え用スタンディングパウチであることを特徴とする、請求項5に記載の包装袋。
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