JP2017226340A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような車両制御装置に対して、特許文献1では、自車両が走行する車線の進路上に障害物が存在し、走行中の車線が狭められている場合に、車線維持支援制御の機能を停止することが提案されている。
たとえば、運転者による進路上の障害物の発見が僅かに遅れた中で、障害物を回避するような状況で、車線維持支援制御が機能した場合、回避操作と干渉してしまう可能性がある。そこで、特許文献1では、条件付きで車線維持支援制御を停止し、運転者による回避操作を優先している。
また、運転制御が機能しているため、障害物に衝突する方向への運転操作は、制限される。これによって、運転者が、障害物へ向かう誤った運転操作を行おうとした場合には、運転操作が制限され、障害物との衝突を回避することができる。
つまり、運転者による回避操作を優先しつつ、回避支援を行うことができる。
さらに、自動運転が可能な車両に採用した場合には、走行中の車線からの逸脱防止と障害物回避とを自動運転において両立することができる。つまり、設定される走行軌道(車両の行動計画)に制限がかけられる場合に、その制限を緩和することができる。
図1に示すように、本実施形態の車両制御装置1を搭載した車両Cは、車輪W、操舵装置S(舵角比可変手段SF、補助操舵手段SR)、および制動手段BRを備えている。
左右の前輪WFR、WFLは、車両Cの進行方向を変える操向輪として機能し、操舵装置Sの操舵方向に沿って転舵する。
左右の後輪WRR、WRLは、操向輪以外の車輪からなる従動輪として機能し、車両の走行に伴って転動する。
また、左右の後輪WRR、WRLには、補助操舵手段SRが設置されており、左右の前輪WFR、WFLの転舵に同期して、トー角が変更される。
ステアリングホイールSWは、前輪WFR、WFLの転舵を行う際の操作部として設置され、運転者によって回動操作(ステアリング操作)される。
たとえば、左右の前輪WFR、WFLについて、図2(a)に示すように、通常走行時(通常制御時)における低速域では、ステアリング操作量に対して、前輪WFR、WFLの転舵量が大きくなるように、舵角比を大きく設定する(クイックレシオ)。これによって、車両Cの小回りを良くし、車庫入れ等が楽に行えるようにする。また、通常制御時における高速域では、ステアリング操作量に対して、転舵量が小さくなるように、舵角比を小さく設定する(スローレシオ)。これによって、車両Cの走行安定性を高めることができる。
このような通常制御時に対して、運転者によるステアリング操作(横方向移動操作)によって、障害物との衝突を回避する場合(回避制御時)には、図2(b)に示すように、低速域と高速域でのギヤ比の傾向はそのままに、速度域全体で舵角比を大きくする。これによって、旋回性能が向上し、ステアリング操作による障害物の回避が容易に行える。
このような通常制御時に対して、運転者によるステアリング操作(横方向移動操作)によって、障害物との衝突を回避する場合(回避制御時)には、図3(b)に示すように、低速域、高速域を問わず、後輪WRR、WRLのトー角が、前輪WFR、WFLの転舵方向と同相になるように設定する。これによって、障害物Mを回避する際の車両Cの挙動が乱れることを抑制することができる。
また、横移動制御手段SUは、車両Cを横方向へ移動させる際に、前述の操舵以外に、トルクベクタリングを用いることが可能である。トルクベクタリングとは、車輪Wに掛かる駆動力、および制動力を車輪W毎に違えることで、左右にトルク差を生じさせて、車両を横方向に移動させる手法である。
なお、電子制御負圧ブースタBR2の入力ロッド(図示せず)はロストモーション機構(図示せず)を介してブレーキペダルBR1に接続されている。ロストモーション機構を介することで、電子制御負圧ブースタBR2が制動制御手段BRUからの信号により作動して前記入力ロッドが移動しても、ブレーキペダルBR1は初期位置に留まるように構成されている。
また、ブレーキペダルBR1に踏力が入力され、且つ制動制御手段BRUから制動指令信号が入力された場合、電子制御負圧ブースタBR2は、両者のうちの何れか大きい方に合わせてブレーキ油圧を出力させる。
各圧力調整器BR6は、制動制御手段BRUの指令によって、車輪W毎に設けられたブレーキキャリパBRFL,BRFR,BRRL,BRRRの作動を個別に制御する。これによって、急制動時の車輪Wのロックを抑制するアンチロックブレーキ制御を行うことができる。また、車輪W毎に制動力を発生させることによって、車両のヨーモーメントを任意に制御し、旋回時の車両挙動を安定させることができる。
本実施形態の車両制御装置1は、車両走行中における、うっかり、ぼんやり、居眠り、わき見等による、運転者が意図しない車線からの逸脱を防止するための車線逸脱防止制御を行う。また、車両制御装置1は、車両Cの進路上に障害物Mの存在を検出した場合には、障害物回避制御を行う(図6参照)。
車線逸脱防止制御では、車両Cが車線Pを逸脱するようなステアリング操作に対して、操舵負荷トルクを付与し、ステアリング操作に制限を加えることで、車線Pからの逸脱を防止する。
障害物回避制御では、車線逸脱防止制御中の場合に、衝突回避が可能と判定された方向へのステアリング操作に対する制限(操舵負荷トルクの付与)を解除、または緩和する。
なお、障害物Mとして検出されるものには、路上の落下物等の静止物の他に、他車両・歩行者・自転車等の移動物、工事現場等の突発的、および一時的な走行不可領域が含まれる。
車線情報取得手段12は、外界センサ11からの情報を基に、周知の手法を用いて、車線を区画するために路上に設置された区画線L(所謂白線)を検出する。そして、車線情報取得手段12は、車両Cの両脇から前後に延びる2本の区画線Lに挟まれた領域を走行中の車線と判断する。また、車線情報取得手段12は、外界センサ11からの情報を基に、衝突を回避するための余地として、車両Cが走行可能な別の車線、および路側帯を検出する(図6参照)。
障害物検出手段13は、外界センサ11からの情報を基に、周知の手法を用いて、車両Cの進路上に存在する障害物Mを検出するとともに、障害物Mまでの距離、および障害物Mの大きさを算出する。
たとえば、ウインカー操作が行われていれば、運転者が意図した車線変更や旋回と判定し、操舵負荷トルクの付与は行わない。
そして、運転者が意図していない逸脱の可能性がある場合には、制御手段15は、横移動制御手段SUに対して、操舵負荷トルクの付与を行うように指令を出す。
そして、制御手段15は、障害物回避制御において、進路上に検出された障害物Mと車両Cとの間で想定される衝突が、運転者によるステアリング操作によって、回避可能か否かの判定を行う。
ステアリング操作による衝突回避が不可能と判定する場合とは、たとえば、道路が狭く、回避する先(路側帯等)に車両Cが走行する余地が無い場合、隣接する車線を別の車両が走行中で、急な車線変更が危険な場合、障害物が路面全体を覆っている場合等である。
なお、ステアリング操作による衝突回避が不可能と判定した際には、操舵負荷トルクの付与を継続しつつ、制動制御手段15に対して、車両停止するように指令を出し、強制制動をしても良い。
ステアリング操作による衝突回避が可能と判定した場合には、回避可能な方向へのステアリング操作に対する操舵負荷トルクの付与を中止、または緩和するように、横移動制御手段SUに対して指令を出す。
つまり、制御手段15は、衝突回避が可能と判定された方向へのステアリング操作に対する制限を解除、または緩和する。
そして、車両Cが走行軌道を走行中に、迂回路PAが設定された場合、制御手段15は、走行軌道よりも迂回路PAを優先する。
つまり、走行軌道上に迂回路PAが設定された区間では、制御手段15は、走行軌道からの車両Cの逸脱を許可しつつ、迂回路PAからは逸脱しないように、操舵負荷トルクを付与する。
制御手段15では、図7に示すフローチャートFLに従って、前述の各判定、および制御が実施される。なお、本フローチャートFLでは、仮想路設定手段14による迂回路PAの設定を行わずに、障害物Mを回避する手順について説明する。
本フローチャートFLとは別に、図示しないメインフローが実行されている。そして、メインフローの中で、自車両Cの進路上に、障害物Mの存在を検知した場合に、本フローチャートFL(障害物回避制御)が実行される。本フローチャートFLでは、まず障害物Mとの衝突の可能性について判定を行う(ステップS11)。
たとえば、検出された障害物Mが、自車両Cの前を走行する他の車両の場合には、自車両Cとの間隔が自車両の車速で縮まらないので、衝突しないと判断し、本フローチャートFLの制御を終了する。
検出された障害物Mが、進路上に静止している場合には、自車両Cの走行速度で相対的に近づいてくるため、衝突すると判断し、ステップS12に移行する。
なお、本実施形態では、衝突回避が可能な方向へのステアリング操作に対する操舵負荷トルクの付与を中断する制御としているが、付与するトルク量を緩和する制御としても良い。
たとえば、図8に示すように、車両Cが障害物Mの手前、且つ迂回を開始する前の状態(領域AR1)では、左右両方への操舵を制限するように操舵負荷トルクを付与する。
車両Cが障害物Mの手前、且つ迂回を開始する直前から右側へ操舵中の状態(領域AR2)では、左側への操舵に対する操舵負荷トルクの付与は継続し、右側への操舵に対する操舵負荷トルクの付与は中断する。
車両Cが障害物Mとすれ違った後は、元の車線Pの中央に戻る。そこで、左側へ操舵する状態(領域AR3)では、右側への操舵に対する操舵負荷トルクを付与し、左側への操舵に対する操舵負荷トルクの付与は中断する。
元の車線Pへの復帰が完了した状態(領域AR4)では、左右の両方への操舵に対する操舵負荷トルクの付与を再開し、障害物回避制御を終了する。
また、障害物Mを迂回するために、隣接する車線(図示せず)に車線変更した場合には、元の車線Pへ復帰するステアリング操作が行われなくても、回避が完了したと判定し、障害物回避制御を終了する。
車両制御装置1を前述のように構成することによって、進路上に障害物Mが存在する場合に、衝突回避可能な方向へのステアリング操作に対する制限のみを解除、または緩和することで、運転者が衝突回避操作をスムーズに行える。
また、運転制御が機能しているため、障害物Mに衝突する方向への運転操作は、制限される。これによって、運転者が障害物Mへ向かう誤った運転操作を行おうとした場合には、運転操作が制限され、障害物Mとの衝突を回避することができる。つまり、運転者による回避操作を優先しつつ、回避支援を行うことができる。
たとえば、ステアリング操作による衝突回避が不可能な場合に、車両挙動安定化制御を強制的に作動させるとともに、車両Cを強制的に停車させる制御としても良い。
次に、フローチャートの第1の別態様について、図面を参照しながら説明する。前述のフローチャートと同様のステップには同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図9に示すように、本フローチャートFL1の制御は、進路上に障害物Mを検出し、障害物Mを回避する際に、運転者によるステアリング操作に対する制限のみを変更する制御となっている。したがって、前述のフローチャートFLの制御と異なる点は、障害物Mを回避する際に、車両挙動安定化制御を強制作動させない点、舵角比を変更しない点、後輪WRR、WRLのトー角の制御を変えない点、つまり、フローチャートFL1のステップS15(図8参照)以降の処理を行わない点である。
このようなフローチャートFL1に従って、車両操作支援制御を行うことによって、前述のフローチャートFLに従った制御と同様の作用効果が得られる。
次に、フローチャートの第2の別態様について、図面を参照しながら説明する。前述のフローチャートと同様のステップには同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図10に示すように、本フローチャートFL2の制御は、進路上に障害物Mを検出し、障害物Mを回避する際に、運転者によるステアリング操作に対する舵角比のみを変更する、ステップS18のみで対応する制御となっている。つまり、前述のフローチャートFLの制御と異なる点は、障害物Mを回避する際に、操舵負荷トルクを付与しない点、車両挙動安定化制御を強制作動させない点、後輪WRR、WRLのトー角の制御を変えない点である。
このようなフローチャートFL2に従って、車両操作支援制御を行うことによって、前述のフローチャートFLに従った制御と同様の作用効果が得られる。
次に、フローチャートの第3の別態様について、図面を参照しながら説明する。前述のフローチャートと同様のステップには同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図11に示すように、本態様のフローチャートFL3の制御と、前述のフローチャートFLの制御とでは、運転者によるステアリング操作に対する制限の方法が異なる。
本態様のフローチャートFL3の制御では、ステップS14の代わりに行うステップS21、ステップS22の処理によって、迂回路PAを設定し、迂回路PAから逸脱しないように走行することで、障害物Mを回避する(図6参照)。
また、車両Cが仮想された迂回路PAから逸脱しないように、制御手段15が運転者のステアリング操作に制限を加えることによって、障害物回避のために操作支援の制御を複雑にすることなく、運転者による回避操作を優先しつつ、回避支援を行うことができる。
つまり、車両Cの進路上に障害物Mが存在しない場合(もしくは衝突リスクが低い場合)には、車両Cが走行中の車線Pからの逸脱を防止すべく、走行軌道の車線幅方向へのズレが制限される。
これによって、運転者は適切な経路で、目標地点に到達できる。
また、車両Cの進路上に障害物Mが存在する場合(もしくは衝突リスクが高い場合)には、障害物Mとの衝突を回避する際に、車線幅方向における回避可能な方向に対して、走行軌道の制限が解除あるいは緩和される。
これによって、走行軌道を走行中に、障害物Mを検出した場合には、走行軌道よりも迂回路PAが優先され、進路上の障害物Mの回避を円滑に行うことができる。
これに加えて、本実施形態の車両制御装置1を自動運転が可能な車両Cに採用した場合には、走行中の車線からの逸脱防止と障害物回避とを自動運転において両立することができる。つまり、設定される走行軌道(車両の行動計画)に制限がかけられる場合に、その制限を緩和することができる。
12 車線情報取得手段
13 障害物検出手段
14 仮想路設定手段
15 判定手段(制御手段)
16 走行軌道設定手段
SU 横移動制御手段
SF 舵角比可変手段
SR 補助操舵手段
BRU 制動制御手段
C 車両
WFR、WFL 操向輪(前輪)
WRR、WRL 従動輪(後輪)
P 車線
M 障害物
PA 迂回路
Claims (6)
- 車両が走行する車線を逸脱せずに走行するように、車両の横方向移動に対する制限を含む運転制御を行う横移動制御手段と、
該車両の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
検出された該障害物と該車両との衝突が、該横方向移動によって、回避可能か否かの判定を行う判定手段と、
を備えた車両制御装置において、
前記横移動制御手段は、
前記判定手段によって、衝突回避が可能と判定された方向への前記横方向移動に対する前記制限を解除、または緩和する
ことを特徴とする車両制御装置。 - 前記車両の車輪を構成し、該車両の向きを変える操向輪(前輪)と、
ステアリング操作量に対する該操向輪の転舵量の比である舵角比の可変設定が可能な舵角比可変手段を備え、
該舵角比可変手段は、
前記障害物検出手段による前記障害物の検出によって、該舵角比(転舵比)を該障害物が検出される前よりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記操向輪以外の前記車輪からなる従動輪(後輪)と、
ステアリング操作に同期して、該従動輪のトー角を変更する補助操舵手段を備え、
該補助操舵手段は、
前記障害物検出手段による前記障害物の検出によって、該従動輪の該トー角を該操向輪と同相に設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。 - 前記車両の走行状況に応じて、前記車輪毎に制動制御を行う制動制御手段を備え、
前記障害物検出手段による前記障害物の検出によって、該制動制御手段を強制的に作動する
ことを特徴とする請求項2、または請求項3に記載の車両制御装置。 - 車両が走行中の車線の車線情報を取得する車線情報取得手段と、
取得した該車線情報に基づき、該車両が走行中の該車線に沿って、逸脱せずに走行するように、車両の横方向移動に対する制限を含む運転制御を行う横移動制御手段と、
該車両の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
該横方向移動によって、検出された該障害物との衝突が回避可能か否かの判定を行う判定手段と、
該車両が該障害物との衝突を回避する迂回路を仮想する仮想路設定手段と、
を備えた車両制御装置において、
前記横移動制御手段は、
仮想された前記迂回路の車線情報に従って、前記車両の横方向移動に対する前記制限を行う
ことを特徴とする車両制御装置。 - 車両が走行中の車線の車線情報を取得する車線情報取得手段と、
該車両の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出手段と、
取得した該車線情報および障害物に基づき、走行軌道を設定する走行軌道設定手段と、
検出された該障害物との衝突が、車両の車線幅方向への移動により回避可能か否かの判定を行う判定手段とを備え、
前記走行軌道設定手段は、
前記障害物検出手段により障害物が検出されない場合に、
車線幅方向に対する走行軌道の制限を行い、
前記障害物検出手段により障害物が検出された場合に、
前記判定手段によって、衝突回避が可能と判定された方向への前記車線幅方向に対する前記走行軌道の制限を解除、または緩和する
ことを特徴とする車両制御装置。
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