JP2017219737A - 撮像装置及びその制御方法、プログラム、記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】照度やコントラストが低く、相関方向と直交する方向とは異なる方向に輪郭成分がある被写体の焦点検出精度を向上する。【解決手段】焦点検出画素の相関方向である第1の方向と、第1の方向に直交する第2の方向とに要素を有する2次元の第1のフィルタにより、焦点検出画素の信号を走査して第1信号を取得する。第2の方向の要素数が第1のフィルタよりも少ない2次元の第2のフィルタにより、焦点検出画素の信号を走査して第2信号を取得する。第1信号と第2信号により焦点検出の対象である被写体が斜めの輪郭成分を有するか否かを判定する。判定の結果、斜めの輪郭成分を有しない場合は焦点検出画素の信号を第2の方向に第1の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行い、斜めの輪郭成分を有する場合は焦点検出画素の信号を第2の方向に第1の所定数よりも少ない第2の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行う。【選択図】図12
Description
本発明は、撮像面に配置された焦点検出画素を用いて位相差検出方式の焦点検出を行う撮像装置に関するものである。
近年、撮像素子の撮像面上に焦点検出画素を配置して位相差検出方式により焦点検出を行う装置が提案されている。このような撮像面上に焦点検出画素を有する装置における焦点検出は、撮像画素に結像した被写体像をリアルタイムに観察しながら撮影を行なう、いわゆるライブビュー撮影の状態で行われるのが一般的である。ライブビュー撮影においては、実際に記録が行われる被写体の露出状態を確認しながら撮影が行える利点が有る。
一方、低照度被写体の焦点検出を行う場合は、焦点検出の観点だけから言えば、実際の撮影に必要な被写体の露光量よりも、露光量をさらに多くすることで信号強度を増やし、相対的にノイズ信号強度を低下させて焦点検出精度を向上させるのが望ましい。しかしながら、焦点検出のために、被写体の露光量を撮影に必要な露光量よりも高めてしまうと、撮影される画像とは異なる露出の画像がライブビュー表示されるため、上記のライブビューの利点を損なってしまうことになる。
また、撮影に必要な露光量を保ったまま、焦点検出のために単純に撮像素子の信号のゲインを上げて信号強度を確保することは、S/N比の改善にはならず、暗電流やショットノイズ信号が増大してしまい、焦点検出精度を向上することにはつながらない。
従来は、低照度や低コントラストの被写体に対しては、相関方向と直交する方向の信号加算(ライン加算と呼ぶ)を行い、信号量を増やすと同時にランダムノイズを平滑化することで被写体像を鮮明にし、焦点検出精度を向上させることが一般的に行われている。特に撮像面に位相差検出画素を有する撮像装置では、焦点検出に用いる信号を撮像画素の領域から選択可能であるため、幅広い画像領域の信号をライン加算処理することが可能である。
このような焦点検出信号のライン加算を行う撮像装置が例えば特許文献1で提案されている。特許文献1では、焦点調節光学系の駆動状態によりライン加算数を変化させることで焦点検出精度を向上させる方法が提案されている。
ところで、一般的に、低照度である被写体の画素信号にはノイズ成分が多く含まれており、被写体の輪郭成分も不明瞭となっている。そのため、既に上記で説明したように、相関方向と直交する方向の画素信号を加算(ライン加算)することで焦点検出画素の受光出力を稼ぎ、ノイズ成分を平滑化しつつ被写体の輪郭成分を明瞭化した相関信号を取得することが従来より行われている。
しかしながら焦点検出を行う被写体には、相関方向と直交する方向とは異なる斜め方向の輪郭成分が存在する場合がある。被写体の輪郭成分の方向を考慮せずにライン加算を行うと、斜めの輪郭成分が存在する場合にはノイズ成分は平滑化されるものの、被写体の輪郭成分が不明瞭になった(輪郭成分が鈍った)相関信号となってしまう。そのため位相差検出を行う際に焦点検出精度の低下を招いてしまう問題が生じる。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、低照度や低コントラストの被写体の焦点検出を行う場合に、相関方向と直交する方向とは異なる輪郭成分があった場合でも、精度のよい焦点検出を行うことが可能な撮像装置を提供することである。
本発明に係わる撮像装置は、撮影光学系の射出瞳を瞳分割する機能を有する焦点検出画素が複数配列された撮像素子と、前記撮像素子の焦点検出領域について、前記焦点検出画素の相関方向である第1の方向と、該第1の方向に直交する第2の方向とに要素を有する2次元の第1のフィルタにより、前記焦点検出画素の信号を走査して第1信号を取得するとともに、前記第2の方向に前記第1のフィルタよりも少ない数の要素を有する2次元の第2のフィルタにより、前記焦点検出画素の信号を走査して第2信号を取得する走査手段と、前記第1信号と前記第2信号とを用いて、焦点検出の対象である被写体が斜めの輪郭成分を有するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記被写体が斜めの輪郭成分を有さないと判定された場合には、前記焦点検出画素の信号を前記第2の方向に第1の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行い、前記判定手段により前記被写体が斜めの輪郭成分を有すると判定された場合には、前記焦点検出画素の信号を前記第2の方向に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行う焦点検出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、低照度や低コントラストの被写体の焦点検出を行う場合に、相関方向と直交する方向とは異なる輪郭成分があった場合でも、精度のよい焦点検出を行うことが可能な撮像装置を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
(実施形態の概要)
まず、本発明の一実施形態の概要について説明する。最初に、焦点検出の対象である被写体が低照度あるいは低コントラストの場合に、斜め方向の輪郭成分を有する被写体の焦点検出信号に対し、多数のライン加算を行うことの問題点について図1を用いて説明する。
まず、本発明の一実施形態の概要について説明する。最初に、焦点検出の対象である被写体が低照度あるいは低コントラストの場合に、斜め方向の輪郭成分を有する被写体の焦点検出信号に対し、多数のライン加算を行うことの問題点について図1を用いて説明する。
図1(A)は相関方向(図1では横方向)と直交する方向(図1では縦方向、ライン加算方向)に輪郭成分が多い被写体の例を示し、図1(B)は相関方向と直交する方向に対して斜め方向の輪郭成分が多い被写体の例を示している。図1(A)及び図1(B)の上の図の白い矩形範囲は焦点検出を行うために被写体信号を取得する領域を示している。矩形範囲内の横線は相関方向に配列されている焦点検出画素群からの信号であるライン信号を取得する画素列範囲を示している。また、図1(A)及び図1(B)の下の図は、それぞれの被写体にライン加算(各ラインの信号を図1の上下方向に加算)を行った場合の加算信号を示している。
詳細は後述するが、位相差検出方式の焦点検出では、撮影光学系の異なる射出瞳領域を通過した光線を焦点検出画素が受光して得られる1対の相関信号から像ズレ量を検知し、そこからデフォーカス量を取得する。図1(A)及び図1(B)は、この1対となる2つの相関信号の一方を示している。そして、本実施形態では、この1対となる2つの相関信号に関して同様な処理を行うものとする。そのため、以後では片方の相関信号を取得する方法について説明を行うが、もう一方の相関信号も同様な処理を行って取得されるものである。
一般に、焦点検出画素の相関方向(図1では横方向)と直交する方向(図1では縦方向)に被写体の輪郭成分がある被写体の場合、相関方向と直交する方向に多数のライン加算を行うことは、低照度や低コントラストの被写体の輪郭を鮮明にする有効な方法である。
図1(A)では、被写体の輪郭成分が相関方向と直交する方向(縦方向)に存在している。そのため、相関方向と直交する方向にライン加算を行うことにより輪郭が強調されるとともに、例えばショットノイズのような被写体暗部にランダムに発生するノイズ成分が平滑化される。よって、低照度下の被写体でも、輪郭が鮮鋭な相関信号を取得でき、精度の高い位相差検出方式の焦点検出結果が得られる。
一方、図1(B)では、被写体の輪郭成分がライン加算方向とは異なる斜め方向に存在している。このような斜めの輪郭成分が存在している被写体に対してライン加算を行うと、上のラインから下のラインに向かって加算するにつれて、被写体の輪郭位置が相対的に横方向にズレながら加算されることになる。そのため、多数のライン加算を行うと、図1(B)の下の図のようにライン加算後の相関信号は被写体の輪郭が鈍った信号波形となる。このような被写体の輪郭の鈍化した相関信号を用いて焦点検出演算を行うと、焦点検出精度の低下を招く。
このように斜め方向の輪郭成分を有する被写体の場合は、むしろライン加算を行わず、1ライン毎に1対の相関信号について相関演算を行って位相差を検出し、その位相差の結果を全ラインについて平均した方が精度の高い焦点検出結果が得られる場合がある。あるいは、全ラインを複数ライン毎に複数の領域に分割し、各分割領域ごとにライン加算(所定数分加算)を行った信号に対して相関演算を行って位相差を検出し、その結果を全分割範囲について平均してもよい。このように、被写体の輪郭成分の方向がライン加算方向に対してどのような方向となっているかを検知し、その結果に応じてライン加算数を決定することが望ましい。
また、更には、ライン加算数が少なくなると、上述したようなノイズ成分の平滑化が行えなくなってくる。そのため、相関信号に発生するノイズの平滑化を行うような、例えば移動加算処理を行うデジタルフィルタ(加算型フィルタで走査する処理)を用いてもよい。但し、デジタルフィルタをあまり強く適用しても被写体の輪郭成分が鈍ってしまう。そのために、ライン加算数が減少することでノイズの平滑化が行えない短所を補いつつ、被写体の斜め輪郭の鈍りも抑制できるようなバランスをとった設定が必要である。
以上のような状況に鑑みて、本実施形態では、2種類の2次元フィルタで焦点検出範囲の信号を走査することで、2種類の走査信号を取得し、その走査信号を用いて被写体の輪郭成分の方向と、輪郭成分の傾きの程度の検出を行う。そして、検出された被写体の輪郭成分の方向と、輪郭成分の傾きの程度に基づいて、焦点検出領域の全ライン(ラインの総数)を加算した信号に基づいて相関演算を行うか、全ラインを複数の領域に分割して、分割領域毎にライン加算を行って相関演算を行うかを判定する。具体的には、例えば、被写体の輪郭成分が相関方向に直交する成分を多く含む場合は、全ラインを加算した信号に基づいて相関演算を行い、位相差を算出する。また、例えば、被写体の輪郭成分が斜めの成分を多く含む場合は、全ラインを複数の領域に分割して、分割領域毎にライン加算を行って相関演算を行い、位相差を算出する。なお、全ラインを複数の領域に分割する場合は、それを何分割にするかを、輪郭成分の傾きの程度を参照して決定する。また、複数の分割領域毎に得られた相関演算の結果は、例えば平均するなどして、最終的なデフォーカス量を求める。また、複数の分割領域について、ライン加算をする代わりに、移動加算フィルタを用いてライン加算と同様のノイズの平滑化効果を得るようにしてもよい。
以上が本発明の一実施形態の概要である。
(実施形態の詳細な説明)
図2は、本実施形態に係わる撮像装置200の構成を示すブロック図である。撮像装置200は、カメラ本体と、カメラ本体に対して交換可能である撮影光学系ユニット201とを有し、動画及び静止画が記録可能な例えばデジタル一眼レフカメラである。なお、表示部や操作部材等の、本発明と直接的な関わりがない要素に関しては図示を省略している。
図2は、本実施形態に係わる撮像装置200の構成を示すブロック図である。撮像装置200は、カメラ本体と、カメラ本体に対して交換可能である撮影光学系ユニット201とを有し、動画及び静止画が記録可能な例えばデジタル一眼レフカメラである。なお、表示部や操作部材等の、本発明と直接的な関わりがない要素に関しては図示を省略している。
図2において、撮影光学系ユニット201は、撮影光学系を構成するレンズ群、及び絞り202を有する。撮影光学系ユニット201により結像された被写体像は、撮像素子204で光電変換され、撮像素子204から出力された信号は、画像信号抽出部205に入力される。測光部206は取得された画像信号の信号強度情報を検知し、露光量決定部207は適正露出となるような撮像素子204のゲイン値と絞り202の絞り径を決定する。ゲイン調整部208と絞り制御部209は、露光量決定部207で決定されたゲイン値と絞り径に基づいて、適正露光となるように撮像素子204と絞り202を制御する。
次に焦点検出動作に関わるブロックについて説明する。撮影光学系ユニット201においては、レンズ群の一部であるフォーカスレンズ群203をフォーカス駆動部222によって光軸に沿う方向に移動させることにより焦点調節が行われる。フォーカス駆動部222は、詳細は後述するが、撮像面での位相差検出情報に応じて制御される。撮影光学系ユニット201を介して得られた被写体像は、撮像面に焦点検出画素を有する撮像素子204上に結像されて、位相差検出方式の焦点検出が行われる。また、画像信号抽出部205は画像信号と焦点検出画素から得られた焦点検出用の相関信号とを分離して、画像信号から記録用画像信号を抽出する。抽出された記録用画像信号は、記録用画像生成部210を介して画像記録部212に記録される。
また、撮像素子204はC−MOSイメージセンサとその周辺回路で構成された撮像素子である。撮像素子204には、横方向にM画素、縦方向にN画素の受光ピクセルが正方配置され、ベイヤー配列の原色カラーモザイクフィルタがオンチップで形成された、2次元単板カラーセンサが用いられる。そして詳細な構成は後述するが、撮像画素中に焦点検出画素が配置されている。
焦点検出範囲決定部13は、焦点検出画素から得られた焦点検出用の信号から焦点検出を行う範囲の信号を取得する。ここで、焦点検出領域は被写体認識機能により自動的に決定されてもよいし、撮影者が任意に選択できるようにしてもよい。測光部206は、決定された焦点検出範囲での被写体の照度情報を取得し、低照度被写体判定部214は、焦点検出を行う被写体範囲が低照度であるか否かを判定する。低照度であると判定された場合は、第1、第2のフィルタ走査部215により、第1のフィルタと第2のフィルタの2種類の2次元フィルタを用いて焦点検出領域を走査し、2種類の走査信号を取得する。そして、詳細は後述するが、被写体形状判別部216は、取得された2種類の走査信号の差分値を用いて被写体の斜めの輪郭成分の有無を判定する。
上記の低照度被写体の判別と、被写体形状の判別により、被写体が低照度であり且つ斜めの輪郭成分を有していると判定された場合は、その成分量(傾きの程度)を検出する。そして、その成分量(傾きの程度)を用いて、焦点検出領域の縦方向を何分割するかという分割数を決定する。そして更に、決定された分割数に基づいて、移動加算フィルタ特性選択部218が、被写体の状態に適したフィルタ特性を決定する。相関信号生成部219は、得られた縦方向の分割数と決定されたフィルタ特性を用いて、一対の相関信号を生成する。なお、焦点検出領域の縦方向の分割数が決定されたら、移動加算フィルタを用いる代わりに、分割領域毎に単純にライン加算を行い、その信号から、相関信号生成部219が、分割領域毎に一対の相関信号を生成するようにしてもよい。相関演算部220は、生成された一対の相関信号を用いて、位相差検出方式の相関演算を行って像ズレ量を算出し、予め撮像装置に記憶されている基線長情報からデフォーカス量を算出する。フォーカス駆動量算出部221は、得られたデフォーカス量から合焦状態とするためのフォーカス駆動量を求める。フォーカス駆動部222は、求められたフォーカス駆動量に基づいてフォーカスレンズ群203を移動させ、撮影光学系を合焦状態とする。
次に、撮像素子204内に配置される焦点検出画素の構成について、図3、図4を用いて説明する。図3は、本実施形態の撮像素子204の画素配列の例を示した図である。図3に示す画素配列では、一つのマイクロレンズに対し2つの光電変換部を有し、瞳分割機能を有する単位画素が行列状に複数配列されている。ここで上下方向をY方向、左右方向をX方向とする。
図3において、符号300で示される画素は、Y方向(図3の上下方向)に並ぶ一対の光電変換部304,305を有する。そして、それらの光電変換部から得られる一対の相関信号を用いて、図3のX方向に輪郭成分を有した被写体(例えば横線)の焦点検出を行うことができる。
また同様に、符号301で示される画素は、X方向(図3の左右方向)に並ぶ一対の光電変換部302,303を有する。そして、それらの光電変換部から得られる一対の相関信号を用いて、図3のY方向に輪郭成分を有した被写体(例えば縦線)の焦点検出を行うことができる。
なお、画素300,301から得られる信号を撮影画像信号として用いる場合は、光電変換部302,303で得られる信号を加算して画素300の信号とし、光電変換部304,305で得られる信号を加算して画素301の信号とすればよい。なお、図3では、全画素が2つの光電変換部を有する画素で構成される撮像素子を示したが、光電変換部を1つ有する複数の撮像画素の配列の間に、光電変換部が一部遮光された焦点検出画素を離散的に配置した撮像素子を用いてもよい。
図4は、一つのマイクロレンズに対して4つの光電変換部を有する単位画素が行列状に配置された撮像素子を示した図である。4つの光電変換部の信号の加算方法を変更することにより、図3と同様の焦点検出画素の特性を得ることができる。図4の上下方向をY方向、左右方向をX方向とする。
図4においては、Y方向に輪郭成分を有する被写体(例えば縦線)の焦点検出を行う場合には、Y方向に並んだ光電変換部401,403の信号を加算するとともに、光電変換部402,404の信号を加算する。これにより得られた2列の信号波形を一対の相関演算用の信号として用いることができる。
また、X方向に輪郭成分を有する被写体(例えば横線)の焦点検出を行う場合には、X方向に並んだ光電変換部401,402の信号を加算するとともに、光電変換部403,404の信号を加算する。これにより得られた2行の信号波形を一対の相関演算用の信号として用いる。図4の構成の場合は、X方向またはY方向のどちらか一方向にしか輪郭成分を持たない被写体であっても、光電変換部の加算の組み合わせを変えることにより焦点検出が行える。そのため、焦点検出動作に際して、被写体の輪郭方向への依存度を少なくすることができる。
次に、図3及び図4に示した画素構造における位相差検出の原理について、図5及び図6を用いて説明する。ここで位相差検出を行うための一対の相関信号をそれぞれA像信号、B像信号と呼ぶ。また、図5においては、各部の符号を図3に示した画素配列に対応させて示している。
図5において、単位画素における光電変換部302,303は、それぞれA像信号取得用及びB像信号取得用の光電変換部であり、2つの光電変換部の間には遮光部材310が配置されている。遮光部材310の上にはマイクロレンズ311が配置されている。EP0は撮影光学系の射出瞳領域を示し、EPa0は光電変換部302が受光する光が通過する瞳領域、EPb0は光電変換部302が受光する光が通過する瞳領域を示す。なお、図4に示した画素配列では、4つの光電変換部のうち、X方向又はY方向に並ぶ2つを加算することにより疑似的に図5で示す光電変換部302,303を実現することができる。本実施形態では、単位画素が複数の光電変換部を有することにより、図5に示すように、撮影光学系の射出瞳領域を分割する作用を得ることができる。
本実施形態では、このような焦点検出画素が図3、図4で説明したように一列方向に配置され、各焦点検出画素群から相関演算を行うための一対の相関信号であるA像信号及びB像信号を生成することができる。
図6は、合焦位置から外れてボケを生じている場合のA像信号(AI0)とB像信号(BI0)の位置関係を示した図である。ここで、L0はA像信号とB像信号の信号強度の重心位置の隔たりを相関量の代りとして示したものである。位相差検出方式ではA像信号とB像信号の相対位置をズラして互いの波形を重ね合わせ、差異部分の面積が最も小さくなる状態を相関が最も取れている状態とする。そして、その状態におけるA像信号に対するB像信号の相対的なずらし量を像ズレ量とし、像ズレ量を基線長で除算することによりデフォーカス量を算出することができる。
このことから分かるように、精度の良い相関演算を行うためには、相関演算を行う一対のA像信号とB像信号の輪郭の鮮鋭度を高めることが必要である。そして更には、パルス形状のノイズ信号で偽の相関を取ってしまうことを防止するためには、ノイズ成分の平滑化を行うことが必要となる。なお、基線長情報は、予め撮影光学系の各絞り値において求められており、撮像装置が読み出せるように記憶されているものとする。
次に、図7は、既に「実施形態の概要」の欄で説明したように、2種類の2次元フィルタで焦点検出範囲の信号を走査することで、2種類の走査信号を取得し、その走査信号を用いて被写体の輪郭成分を検出する第1の例の動作を説明する図である。
ここで、焦点検出範囲の信号を2次元フィルタで走査するにあたり、画素列の並び方向(図中横方向)である走査方向を第1の方向とし、画素行の並び方向(図中縦方向)であるライン加算方向を第2の方向とする。
図7(A)は、第1のフィルタと第2のフィルタの要素(フィルタ係数)を示しており、全ての要素(フィルタ係数)を1としている。ここで、第1のフィルタの第1の方向の要素数をM1、第2の方向の要素数をN1とすると、図7(A)では、第1のフィルタの例として、M1=2、N1=8である2列×8行配列の16要素のフィルタを示している。また、第2のフィルタについては、同様に第1の方向の要素数をM2、第2の方向の要素数をN2とすると、M2=4、N2=4の4列×4行配列の16要素のフィルタの例を示している。そして、第1のフィルタの全要素数と第2のフィルタの全要素数を等しくしている。また、第1のフィルタと第2のフィルタの全要素の和(フィルタ係数の総和)を、等しくして16としている。
ここで第1のフィルタの全要素数の和と第2のフィルタの全要素数の和を等しくする理由は、フィルタで走査した後のそれぞれの信号の強度の整合性を取るためであり、信号強度を正規化している。また、要素は非負値とすることでフィルタ走査後の信号強度が負値になってしまうことを防止する。
図7(B)は、図1(B)と同様の斜めの輪郭成分を有する被写体を示しており、この図では、図7(A)に示した2つの2次元フィルタを、焦点検出範囲の左端から右端に向けて走査する。以後、説明を分かりやすくするために、第1のフィルタを走査して得られた信号を第1信号、第2のフィルタを走査して得られた信号を第2信号と呼ぶ。ここで、2次元フィルタを走査することは、相関方向と直交する方向であるライン加算方向にライン加算を行うことと同様の意味を持つ。
図7(C)は、図7(B)に示す被写体に対して2次元フィルタの走査を行った後の信号の強度分布を示している。図7(C)の左図は第1信号の強度分布を示し、右図は第2信号の強度分布を示す。ここで、2つの2次元フィルタの要素の第2の方向(縦方向)の行数N1、N2の関係は、N1>N2となっている。つまり、第2のフィルタよりも第1のフィルタの方が縦方向のラインの加算数が多くなっている。既に説明したように、被写体が図7(B)に示すような斜めの輪郭成分を有する場合には、より多くのライン加算を行う第1のフィルタの走査信号(左図)の方が第2のフィルタの走査信号よりも輪郭部が鈍った信号強度分布を示す。
なお、第2のフィルタの第1の方向の列数(M2)と第1のフィルタの第1の方向の列数(M1)とを異ならせることで、ライン加算方向(縦方向)の加算ライン数が異なることに起因してノイズ成分の平滑化処理の違いが発生することを防止する。ここではM2>M1となるような列数関係とすることでライン加算数が少ない第2信号に対して第1信号よりも強いローパスフィルタ効果を与える。これにより、ノイズ成分の平滑化状態が2つのフィルタ走査で異ならないようにする。
このようにして取得された2つの第1信号と第2信号を比較することで被写体が斜め輪郭を有しているか否かの判断を行うことができる。
以下に、被写体が斜め輪郭を有しているか否かの判断の具体例について説明する。図7(D)は図7(C)の第1信号から第2信号を減じて得られる差分信号強度を示した図である。ここで、差分信号強度は、絶対値を取ってその差分量を検知することで、被写体の斜め輪郭の存在有無の判別に利用できる。図7(B)の例では、最初に走査される被写体の左側の輪郭については、輪郭の左側が低輝度で右側が高輝度であるため、輪郭鈍りの大きい第1信号から鈍りの小さい第2信号を減じた値は負値をとる。そして、被写体の右側の輪郭については、輪郭の左右の輝度関係が上記とは逆になるため、差分量は正値に反転する。このように、2つの走査信号の差分値とその正負分布を判別することにより、被写体の斜めの輪郭成分の有無とその方向が判別可能となる。
図8(A)は、2次元フィルタの要素(フィルタ係数)の第2の例を示した図である。図8では、要素(フィルタ係数)が同値では無いフィルタを用いて、図7(B)と同様な被写体を走査した例を示している。なお、その要素数の総和は第1のフィルタ、第2のフィルタ共に24となっている。この場合においても、第1のフィルタの行数N1、列数M1と、第2のフィルタの行数N2、列数M2の関係が、N1>N2、M1<M2、N1xM1=N2xM2の関係になっていれば、図7の場合と同様な斜め輪郭成分と走査信号の関係が得られる。ここで、列方向の要素(フィルタ係数)は、被写体の状態に応じて輪郭検出を行うのに最適な周波数特性を選択すればよい。
図8(B)は、左図が第1信号を右図が第2信号を示し、図7(C)と同様な特性を有している。その結果、図8(C)で示した差分信号は、図7(D)と同様な強度分布となり、写体の斜め輪郭成分の検出が行える。なお、第1のフィルタの行方向の要素数N1と第2のフィルタの行方向の要素数N2の関係は、N2≒N1/2のように、N2をN1の約半数としておくと被写体の斜め輪郭成分を検出し易くなる。また、フィルタとして、ガウスフィルタのような2次元点対称フィルタを用いてもよいが、上記の要素例のように走査方向(列方向)に対称となる要素配列のフィルタが、走査方向と交差する輪郭成分を検出するのに適している。
図9は、2種類の2次元フィルタで焦点検出範囲の信号を走査する場合に、第1のフィルタの行方向の要素数N1に対し、第2のフィルタの行方向の要素数N2を半数にした第3の例を示した図である。
行方向の要素数N1の第1のフィルタで焦点検出範囲の走査を行うとともに、行方向の要素数N2がN1の半数であり、列方向の要素数M2が第1のフィルタの列方向の要素数M1の2倍である、第2のフィルタで焦点検出範囲の走査を行う。また、第2のフィルタの走査は、焦点検出範囲の上半分と下半分の2回行う。このように、第2のフィルタを複数に分割して、それぞれの走査信号差を検知する方法を用いることで、より正確な被写体の斜め輪郭の検知を行うことができる。そして、被写体形状判別部216が斜め輪郭が存在すると判定した場合においては、焦点検出範囲のうちの上半分についてライン加算を行って得られた相関信号に基づいて相関演算を行い第1のデフォーカス量を求める。また、同様に焦点検出範囲の下半分についてライン加算を行って得られた相関信号に基づいて相関演算を行い第2のデフォーカス量を求める。そして、これらの第1及び第2のデフォーカス量を例えば平均するなどして、最終的なデフォーカス量を求める。あるいは、上記のフィルタの走査で、斜め輪郭の鈍りが抑えられている状態の第2信号を相関信号として、位相差検出方式の焦点検出を行ってもよい。
一方、斜め輪郭が存在しないと判定された場合は、焦点検出範囲の全行についてライン加算を行って得られた相関信号に基づいて相関演算を行いデフォーカス量を求める。あるいは、上記の第1信号を相関信号としてデフォーカス量を求めてもよい。
次に、図9に示した方式を具体的な被写体に適用した例について、図10、図11を参照して説明する。ここで、図9で示した第1のフィルタの行方向の要素数N1の範囲を以後は全ライン範囲と呼ぶ。また、2分割した第2のフィルタの行方向の要素数N2の範囲を、分割ライン範囲と呼ぶ。また、第1のフィルタで得られる走査信号を以後全ライン加算信号、第2のフィルタで得られる走査信号を分割ライン加算信号と呼ぶ。
図10、図11は、低照度状態で画素の信号にノイズが発生してS/N比が低下した状態の焦点検出範囲の信号と走査信号を示した図である。なお、以下に説明する各走査信号は、図7(A)に示した第1のフィルタと第2のフィルタを、図9に示したように走査して得られる全ライン信号と分割ライン信号であるものとする。図10は、相関方向と直交方向(縦方向)に被写体の輪郭があることを示し、図11は、被写体の輪郭が一様な斜め方向であることを示している。また、図10、図11において、上図は、図2の焦点検出範囲決定部213により決定された被写体像の領域を示している。図の横方向は、信号走査を行って走査信号(ライン信号)を取得する方向を示し、縦方向はライン信号の加算を行う方向(ライン加算方向)を示している。
次に、図10、図11に示す処理方法により走査信号がどの様に変化するかについて説明する。ここで説明する焦点検出を行う被写体は、黒い暗部の背景中に存在する白い帯状の物体であり、被写体の白部が輝度信号を有するものとする。また、帯の幅は同じであるが、図10ではライン加算方向(縦方向)と帯の輪郭の方向が一致し、図11では帯の輪郭が右斜め下方向に傾いている。
図中の記号BRは焦点検出を行う被写体像を全ライン範囲で加算した場合の被写体信号幅を示している。また、同様にBR1,BR2は、それぞれ分割ライン範囲1と分割ライン範囲2でライン加算した場合の被写体信号幅を示している。既に説明したように、図11では帯状の被写体が斜めに傾いて配置されているため、図10におけるBRよりも図11におけるBRの方の幅が広くなっている。
また、図11のLE,REは、それぞれ帯の左側と右側の輪郭部を全ライン範囲で加算した場合の輪郭の加算信号幅を示している。さらに、図11のLE1,RE1は、それぞれ帯の左側と右側の輪郭部を分割ライン範囲1で加算した場合の輪郭の加算信号幅を示している。LE2,RE2は、それぞれ帯の左側と右側の輪郭部を分割ライン範囲2で加算した場合の輪郭の加算信号幅を示している。なお、図10においては、帯の輪郭が相関方向に垂直(縦方向)であるため、上記のLE,LE1,LE2,RE,RE1,RE2はそれぞれの値が0となり、図示を省略している。
図10、図11における(A)は、図中の全ラインをライン加算方向(縦方向)に加算した全ライン加算信号を示し、各ライン信号を加算することによりノイズ成分の平滑化を行っている。また、(B)は、全ライン範囲を2分した上部の分割ライン範囲1でライン加算を行った分割加算信号1を示し、(C)は、全ライン範囲を2分した下部の分割ライン範囲2でライン加算を行った分割加算信号2を示す。
ここでは、単純な処理方法として、全ライン範囲を2分した例を示しているが、全ライン加算信号との差分で被写体の斜め輪郭が検出可能であればよいため、例えば3分割や4分割としてもよい。
次に、本実施形態では、被写体の輪郭方向を検知するために、図10、図11に示すように、(A)の全ライン加算信号から(B)の分割加算信号1を差し引いて、(D)で示される差分信号を得る。同様に、(A)の全ライン加算信号と(C)の分割加算信号2を用いて上記と同様の処理を行い、(E)で示される差分信号を得る。ここで差分信号(D)、(E)は、後に輪郭方向の一様性を判別するために用いるため、一時的に記憶しておく。
次に(F)は、(D)で示される差分信号の絶対値をとった信号であり、(G)は、(E)で示される差分信号の絶対値をとった信号である。そして、得られた絶対値信号(F)、(G)の信号強度を判定閾値と比較し、被写体の輪郭が斜め成分を有しているか否かを判定する。なお、この判定閾値は事前に机上シミュレーションを行って求めてもよいし、撮像装置の実機実測で求めてもよい。
ここで、図10の(F)、(G)では、被写体の輪郭成分がライン加算方向(縦方向)であるため、差分信号が小さくなり、判定閾値以下の信号強度となっている。そのため、輪郭成分の方向がライン加算方向に類似していると判別できる。よって、図10の被写体においては、相関演算を行うための一対の相関信号に、図10に(A)で示した全ライン加算信号を用いても問題が無いと判断される。
一方、図11の絶対値信号(F)、(G)の信号強度は、判定閾値を上まわっており、焦点検出を行う被写体は斜め輪郭成分を有したものであると判定できる。よって、焦点検出範囲の全ラインを複数の領域に分割して、分割領域毎にライン加算を行って相関演算を行い、位相差を算出する。あるいは、分割領域毎に移動加算フィルタを用いてライン加算と同様のノイズの平滑化処理を行い、その信号を用いて相関演算を行う。そして、分割領域毎に求めた位相差を平均するなどして、最終的な位相差を求める。
次に、一時記憶されている差分信号(D)、(E)を用いて被写体の斜めの輪郭成分の方向と傾き具合を検出する方法について説明する。
差分信号(D)、(E)は、全ライン加算による被写体の輪郭の鈍りと分割ライン加算による輪郭の鈍りの差分である。そのため、差分信号における相関方向に対する正負値の発生分布を検出することにより、斜めの輪郭成分の方向を判断することが出来る。
図11の(D)に示される差分信号の山の形状は、(A)のBR範囲から(B)のBR1範囲の信号を差し引いた信号を示している。既に説明したように、斜めの輪郭成分を有する被写体に対して多くのライン加算を行うと輪郭部が鈍り、ライン加算数で正規化した場合、全ライン加算信号の強度は分割ライン加算を行った信号の強度よりも小さくなる。そのため、差分信号(D)は、相関方向の左端から右方向に走査を進めるに従って、先ずLE1で示す範囲で負値を取る。そして、さらに右に走査を進めると、差分信号(D)は、RE1の範囲で正値の信号となる。このことから、図11における被写体の上半分は、中央の白部が2つの輪郭成分を有し、その輪郭方向は共に左上から右下方向へ向かう斜め線であることが判別できる。
また、分割ライン範囲2の加算信号(C)は、分割ライン範囲1の加算信号(B)の信号に対し右方向にオフセットしている。そのため、全ライン加算信号(A)は分割ライン範囲2の加算信号(C)に対してLE2の範囲では大きく、RE2の範囲では小さくなる。従って、全ライン加算信号(A)から図11の分割ライン範囲2の加算信号(C)を減算した差分信号(E)は、相関方向に対して正値、負値の順の信号分布となる。このことから、図11における被写体の下半分は、中央の白部が2つの輪郭成分を有し、その輪郭方向は共に左上から右下方向へ向かう斜め線であることが判別できる。このように、加算信号での被写体の輝度分布状態と、上記の信号変化特性との組み合わせにより、被写体の輪郭方向を判定することができる。
また、被写体の輪郭成分の方向が斜めであると判断された場合には、既に説明したように、分割ラインの加算数を少なくする。その場合、ノイズ成分の平滑化の効果が少なくなるため、ノイズの平滑化をより強く行うように移動加算フィルタ処理を行ってもよい。
ここで、移動加算を表すn個の1の係数が羅列されるフィルタにおいては、フィルタの強度はnの個数(例えばn=3なら[1 1 1])で示すことが出来る。このnの個数を例えば「終値」と呼ぶことにする。
この終値は、例えば全ライン範囲のライン数に対する分割ライン範囲のライン数の比率で求めるのが良く、図11の例では全ライン範囲を2分割しているため、終値2の[1 1]フィルタを適用するのが良い。
図11の(H)は、分割ライン範囲1の各ライン信号を終値が2のフィルタ[1 1]を用いて加算処理した後の信号を示す。(I)は(H)と同じく、分割ライン範囲2の各ライン信号をフィルタ[1 1]を用いて加算処理した後の信号を示す。(I)、(H)では、(B)、(C)の信号に対してノイズ成分が平滑化され、ノイズ量は(A)と同等となっている。
このように、例えば全ラインを3等分した場合には終値が3のフィルタ[1 1 1]、全ライン範囲を4等分した場合には終値が4のフィルタ[1 1 1 1]を適応して、ライン加算を行うのが良い。以上のように、フィルタ特性を変化させる終値を図2のフィルタ特性選択部217内で決定し、相関信号を取得することにより、高精度な焦点検出を行うことが可能となる。
ここで、全ラインの分割数の決定には、例えば(F)と(G)の判定閾値を超える被写体の斜め輪郭の成分量を検知し、その量に応じてライン分割数を決定する方法などを用いればよい。
図11の(F)、(G)において、それぞれ閾値を越えた斜め輪郭成分を示す信号幅をそれぞれOS1、OS2とする。そして、この信号幅とライン分割を行う分割数の関係を予め撮像装置内に記憶しておくことにより、最適なライン分割数を決定することができる。
以上説明したように、本実施形態では、低照度下の被写体の輪郭方向と斜め輪郭量を検知することにより、
(1)全ライン範囲で加算を行った信号を用いた相関演算処理による位相差検知
(2)全ライン範囲を分割した各分割範囲で加算した信号を用いて相関演算処理を行い、その結果の平均による位相差検知
の(1)、(2)どちらによる焦点検出が好ましいかの判断を行うことができ、焦点検出精度を向上させることができる。
(1)全ライン範囲で加算を行った信号を用いた相関演算処理による位相差検知
(2)全ライン範囲を分割した各分割範囲で加算した信号を用いて相関演算処理を行い、その結果の平均による位相差検知
の(1)、(2)どちらによる焦点検出が好ましいかの判断を行うことができ、焦点検出精度を向上させることができる。
またさらには、上述した方法で複数の被写体の輪郭方向が同じ斜め方向であると判別された場合には、分割加算信号(B)、(C)、またはフィルタ適用後に加算した分割加算信号(H)、(I)を相関方向にオフセットして、さらに加算を行ってもよい。
例えば、図11の被写体を例に挙げると、加算信号(H)に対して加算信号(I)を、(F)、(G)におけるOS1とOS2の平均値分左側にオフセットして、(J)、(K)に示すように加算することにより、輪郭の明瞭化とノイズの平滑化が行える。
なお、ノイズの平滑化に移動加算フィルタ処理の必要が無い場合は、フィルタの終値を1とすれば実質的にフィルタ処理がなされていないライン信号とすることができる。
以上説明したように、被写体の複数の輪郭が同一の斜め方向である場合には、上述したようにライン分割の加算信号の斜め方向の成分量を検知する。そして、その成分量に応じて信号のオフセットを行い、加算して得られる相関信号を用いて位相差検出方式の焦点検出を行ってもよい。
次に、本実施形態における、焦点検出用の信号を抽出してから相関量を取得するまでの処理の流れについて、図12を参照して説明する。ここで言う相関量とは、図6で説明したデフォーカス量を求めるための像ズレ量のことを意味するものである。なお、ここでは測光情報により抽出された相関信号は低照度であり、本実施形態の被写体輪郭方向の検知を行うことを前提としている。
まずステップS1において、焦点検出範囲を決定し、図3、図4に示した撮像面の構成で得られる焦点検出信号から焦点検出を行う範囲の信号を抽出する。ステップS2では、決定した焦点検出囲に対して、例えば図7(A)に示したような第1のフィルタ要素と第2のフィルタ要素を設定する。また、全ライン方向の分割数は例えば図9のように2分割とする。ここで、フィルタ要素は撮像装置の露光情報や絞り値や撮影モードにより決定してもよい。
ステップS3では、第1のフィルタで走査して得られる第1信号を取得する。ステップS4では、第2のフィルタで走査して得られる第2信号を取得する。そしてステップS5では、被写体の斜め輪郭の存在の有無を判別するために、第1信号と第2信号の差分値を取得する。なお、図9のような設定では第2信号は2つ発生し、そして差分値も2つ取得される。
ステップS6では、差分値の絶対値をとり、ステップS7で、その信号から被写体の斜め輪郭の存在有無を判別する。そのために予めノイズ成分を検知しないために設定している閾値と差分をとり、その差分値の量を用いて判別する。また、他の方法として、絶対値の信号強度から閾値を差し引いた場合に正値となる信号の数をカウントしてそのカウント値で判別を行ってもよい。これらの方法では、何れも差分値やカウント値が大きくなるほど被写体の斜め輪郭成分が大きいと判定される。
ステップ7で、被写体の斜め輪郭成分が少ないと判定された場合にはステップS8において、第1信号を相関信号とする。そして、ステップS18では、得られた相関信号を用いて相関演算処理を行い、一連の焦点検出処理を終了する。
一方、テップS7で、被写体の斜め輪郭成分が有ると判定された場合には、ステップS9において、斜め輪郭成分の量を検出する。ステップS10では、ステップS9で検出された斜め輪郭成分の量に基づいて新たな分割数を決定する。この分割数は、既に説明したように、図11の(F)、(G)におけるOS1、OS2と、予め装置内に記憶されているこれらの値とライン分割数の関係とに基づいて決定する。ステップS11では、決定された分割領域毎にライン加算信号を算出する。なお、ステップS11においては、単純にライン加算を行う以外に、さらにノイズを低減させるために2次元のフィルタ処理を行ってもよい。
ステップS12では、ステップS5で取得されている絶対値処理を行う前の評価信号から、信号強度をY方向、相関方向をX方向とした場合に、X方向に対してY方向の正、負の符号がどのように変化するかを検知する。ステップS13では、例えば、正負の信号変化が、正→負:負→正のように反転して交互に現れる場合には、被写体の斜め輪郭方向が例えば図11のように一様であると判定する。
ステップS13において、斜め輪郭方向が一様では無いと判定された場合には、ステップS16に進み、ステップS11で分割領域毎に加算して得られた、分割領域ごとの相関信号それぞれについて相関演算処理を行う。なお、一様な斜め輪郭を有さない被写体の例を図13(A)、(B)に示す。そして、ステップS17では、得られた複数の相関演算結果を平均して最終的な相関量として決定する。
一方、一様な方向の斜め輪郭であると判定された場合は、ステップS14において、図11の(J)、(K)で説明したように、複数の相関信号を加算する際に被写体の輪郭成分をより鮮鋭化することが出来るオフセット量を決定する。ここで言うオフセット量とは上記の複数の相関信号のそれぞれの始端位置を斜め輪郭成分が直線成分になるように相対的にオフセット(ずら)して加算するためのずらし量を意味する。ステップS15では、求められたオフセット量を用いて、複数の相関信号を相関方向に相対的にオフセットして加算処理を行い、新たな一対の相関信号を生成する。
そして、ステップS18では、得られた一対の相関信号を用いて相関演算処理を行い、相関量を取得して終了する。なお、上述した相関信号に関わる処理は一対の相関信号の双方に対して同等に施すものである。また、同様に、相関信号を用いた諸評価のための信号は、一対の相関信号の双方に対して処理を行った結果の平均とするのが良いが、一方の信号のみでの評価結果を採用しても良い。
以上説明した処理を行うことにより、斜め輪郭成分を有した低照度被写体に対して焦点検出精度を向上させることができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、位相差検出方式の焦点検出画素を有する撮像素子を用いた一眼レフカメラやコンパクトデジタルカメラ、ムービーカメラに適用できるものである。
200:撮像装置、201:撮影光学系、202:絞り、203:フォーカスレンズ群、300,301:画素、302,303,304,305:光電変換部
Claims (15)
- 撮影光学系の射出瞳を瞳分割する機能を有する焦点検出画素が複数配列された撮像素子と、
前記撮像素子の焦点検出領域について、前記焦点検出画素の相関方向である第1の方向と、該第1の方向に直交する第2の方向とに要素を有する2次元の第1のフィルタにより、前記焦点検出画素の信号を走査して第1信号を取得するとともに、前記第2の方向に前記第1のフィルタよりも少ない数の要素を有する2次元の第2のフィルタにより、前記焦点検出画素の信号を走査して第2信号を取得する走査手段と、
前記第1信号と前記第2信号とを用いて、焦点検出の対象である被写体が斜めの輪郭成分を有するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記被写体が斜めの輪郭成分を有さないと判定された場合には、前記焦点検出画素の信号を前記第2の方向に第1の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行い、前記判定手段により前記被写体が斜めの輪郭成分を有すると判定された場合には、前記焦点検出画素の信号を前記第2の方向に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行う焦点検出手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。 - 前記第1のフィルタの前記第2の方向の要素の数は、前記焦点検出領域の前記第2の方向に並ぶ前記焦点検出画素の総数に等しいことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記第2のフィルタの前記第2の方向の要素の数は、前記焦点検出領域の前記第2の方向に並ぶ焦点検出画素の総数をそれぞれ同じ数になるように分割した数であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
- 前記第1のフィルタの要素の総数と前記第2のフィルタの要素の総数とが等しいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記第1のフィルタの各要素と前記第2のフィルタの各要素は、非負値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記第1のフィルタの各要素の値の総和と、前記第2のフィルタの各要素の値の総和とが等しいことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記第1の所定数は、前記焦点検出領域の前記第2の方向に並ぶ焦点検出画素の総数であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記第2の所定数は、前記焦点検出領域の前記第2の方向に並ぶ焦点検出画素の総数をそれぞれ同じ数になるように分割した数であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記焦点検出手段は、前記判定手段により前記被写体が斜めの輪郭成分を有さないと判定された場合には、前記第1信号を用いて焦点検出を行い、前記判定手段により前記被写体が斜めの輪郭成分を有すると判定された場合には、前記第2信号を用いて焦点検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記判定手段は、前記第1信号と前記第2信号の差分値の絶対値の値が所定の閾値を超える場合に、前記被写体が斜めの輪郭成分を有すると判定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記判定手段は、前記第1信号と前記第2信号の差分の正負の符号の現れ方によって、前記被写体の斜めの輪郭成分の方向を判定することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記判定手段により、前記被写体の斜めの輪郭成分の方向が一様であると判定された場合に、前記焦点検出手段は、前記焦点検出画素の信号を前記第2の所定数分加算した複数の信号をさらにオフセットさせて加算した信号を用いて焦点検出を行うことを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
- 撮影光学系の射出瞳を瞳分割する機能を有する焦点検出画素が複数配列された撮像素子を備える撮像装置を制御する方法であって、
前記撮像素子の焦点検出領域について、前記焦点検出画素の相関方向である第1の方向と、該第1の方向に直交する第2の方向とに要素を有する2次元の第1のフィルタにより、前記焦点検出画素の信号を走査して第1信号を取得するとともに、前記第2の方向に前記第1のフィルタよりも少ない数の要素を有する2次元の第2のフィルタにより、前記焦点検出画素の信号を走査して第2信号を取得する走査工程と、
前記第1信号と前記第2信号とを用いて、焦点検出の対象である被写体が斜めの輪郭成分を有するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記被写体が斜めの輪郭成分を有さないと判定された場合には、前記焦点検出画素の信号を前記第2の方向に第1の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行い、前記判定工程において前記被写体が斜めの輪郭成分を有すると判定された場合には、前記焦点検出画素の信号を前記第2の方向に、前記第1の所定数よりも少ない第2の所定数分加算した信号を用いて焦点検出を行う焦点検出工程と、
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。 - 請求項13に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項13に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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