JP2017217887A - 装飾カード - Google Patents
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Abstract
【課題】天然の貝殻から製造した螺鈿シートを使用することによって、螺鈿細工の持つ優れた装飾性を生かした非接触型ICカードを提供すること。【解決手段】装飾用中間層1を表裏のカード基材2,3の間に挟んで一体化して成る装飾カードであって、前記装飾用中間層を、周辺の枠の内側に貫通孔又は凹部を有する固定用シート11と、この貫通孔又は凹部に固定され、天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめた螺鈿シート12とで構成すると共に、裏側カード基材3にICインレット53を内蔵させ、かつ、前記カード基材のうち少なくとも一方と、固定用シートとを接着剤2a,3aによって一体化する。ICインレット53によって非接触で通信可能となり、しかも、真珠層の持つ優れた特有の光沢、色彩変化、あるいは深みを生かしながら、全体が強固に一体化して、螺鈿シートもカード基材から分離することがない。【選択図】図1
Description
本発明は、外部機器との間で情報を交換することができるICチップを内蔵するカードで、しかも、螺鈿細工を利用してその装飾性を高めたカードに関するものである。
螺鈿細工は、天然の貝殻からその内側の真珠層の部分を板状に切り出して、これを散りばめたもので、漆器や木工品の表面に嵌め込んで使用されている。この螺鈿細工は特有の真珠光沢を有し、また、見る角度によってその色彩が変化する等、極めて深みと装飾性に優れた材料である。一方、この螺鈿細工は天然の貝殻を多量に使用することから、極めて高価であった。
ところで、このような螺鈿細工状の装飾柄を印刷や塗料の塗布によって表現した装飾品が知られている(特許文献1〜2)。このように印刷等によって螺鈿柄を表現した装飾品は、天然の貝殻を使用しないから安価に製造することができるが、その一方、螺鈿細工の持つ装飾性、すなわち、特有の光沢、色彩変化、あるいは深みを表現することは困難であった。
一方、ICチップを内蔵して外部機器との間で情報を交換することができるカードは、ICカードの名称でよく知られている。このICカードに装飾を施すこともあるが、せいぜい金粉や銀粉等を施して蒔絵調とするに過ぎず(特許文献3)、螺鈿特有の真珠光沢を有するものは皆無であった。
そこで、本発明は、天然の貝殻から製造した螺鈿シートを使用することによって、螺鈿細工の持つ優れた装飾性を生かした非接触型ICカードを提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、装飾用中間層を有し、この装飾用中間層を観察できる方向を表側とし、その反対側を裏側として、前記装飾用中間層を表側のカード基材と裏側のカード基材との間に挟んで一体化して成る装飾カードであって、
前記装飾用中間層が、周辺の枠の内側に螺鈿シート収容部を有する固定用シートと、この螺鈿シート収容部に固定され、天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめた螺鈿シートとで構成されており、
前記表側カード基材と裏側カード基材のうち少なくとも一方と、固定用シートとが接着剤によって一体化されており、
前記表側カード基材と裏側カード基材のうち一方にICインレットが内蔵されていると共に、このICインレットがインレット基材と、このインレット基材に設けられたアンテナ回路と、このアンテナ回路を通じて外部機器との間で情報を交換するICチップとを備えている、
ことを特徴とする装飾カードである。
前記装飾用中間層が、周辺の枠の内側に螺鈿シート収容部を有する固定用シートと、この螺鈿シート収容部に固定され、天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめた螺鈿シートとで構成されており、
前記表側カード基材と裏側カード基材のうち少なくとも一方と、固定用シートとが接着剤によって一体化されており、
前記表側カード基材と裏側カード基材のうち一方にICインレットが内蔵されていると共に、このICインレットがインレット基材と、このインレット基材に設けられたアンテナ回路と、このアンテナ回路を通じて外部機器との間で情報を交換するICチップとを備えている、
ことを特徴とする装飾カードである。
次に、請求項2に記載の発明は、前記表側カード基材の厚みと裏側カード基材の厚みとの差が0.20mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の装飾カードである。
また、請求項3に記載の発明は、前記ICインレットが裏側カード基材に内蔵されていることを特徴とする請求項2に記載の装飾カードである。
また、請求項4に記載の発明は、固定用シートの螺鈿シート収容部が螺鈿シートの厚みより深いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装飾カードである。
また、請求項5に記載の発明は、前記表側カード基材が透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装飾カードである。
また、請求項6に記載の発明は、前記螺鈿シートが前記真珠層を接着剤で固定してシート形状に成形したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装飾カードである。
また、前記螺鈿シートが、シート状支持体に前記真珠層を固定したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装飾カードである。
本発明の装飾カードにおいては、表側カード基材と裏側カード基材とのうち少なくとも一方のシートとして、ICインレットを内蔵したシートを使用しており、しかも、このICインレットがアンテナ回路とICチップとを備えているから、このアンテナ回路を通じてICチップと外部機器との間で非接触で情報を交換することができる。すなわち、いわゆる非接触型ICカードを構成している。
そして、この装飾カードにおいては、天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめた螺鈿シートを使用しており、この螺鈿シートを表側カード基材と裏側カード基材とで挟んでいるから、螺鈿シートの持つ優れた装飾性を生かしたカードとすることができる。
ところで、このように天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめた螺鈿シートは、一般に上下のカード基材と接着し難く、両者は剥離し易い。しかしながら、本発明の装飾カードにおいては、この螺鈿シートを固定用シートの貫通孔又は凹部に固定して装飾用中間層とし、その固定用シートを接着剤で少なくとも一方のカード基材に一体化しているから、装飾用中間層とカード基材とが強固に接着して剥離することがない。そして、このため、固定用シートに固定された螺鈿シートもカード基材から分離することがないのである。
本発明は、螺鈿シートとICインレットとを必須の構成要素とする非接触型ICカードである。このうち、螺鈿シートは天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめたものである。この螺鈿シートは、前記真珠層を接着剤で固定してシート形状に成形したものであってもよいし、シート状支持体に前記真珠層を固定したものであってもよい。
天然の貝殻としては、例えば、ヤコウガイ(夜光貝)、ミミガイ(南洋貝)、シロチョウガイ(白蝶貝)、クロチョウガイ(黒蝶貝)、カワシンジュガイ(青貝)、アコヤガイ(真珠貝)、タカセガイ(高瀬貝)、アワビ等の貝殻を使用することができる。これら貝殻を原料として、薬品を使用して内側の真珠層を剥がすことにより、厚み0.05〜1.50mmの薄膜の真珠層を得ることができる。また、厚み1.50mm〜2.00mmの貝殻を研磨することにより、厚膜の真珠層を製造することもできる。本発明の螺鈿シートには、これら薄膜の螺鈿及び厚膜の真珠層のいずれであっても使用することができるが、装飾カードの厚みとの関係から、厚み0.05〜1.50mmの薄膜の真珠層が好適である。
また、この真珠層を固定する接着剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤等が使用できる。また、この接着剤として粘着剤を使用することもできる。例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等である。また、これら接着剤に硬化剤を混合して、硬化型の接着剤としてもよい。例えば、ウレタン系又はエポキシ系の硬化剤である。
カードがJIS X 6301の規定に適合するカードである場合には、螺鈿シートの大きさは、その長辺側および短辺側が、この規格より1.0mm〜10.0mm程度小さい大きさであることが望ましい。より望ましくは、この規格より1.0mm〜3.0mm程度小さい大きさである。
固定用シートは螺鈿シートと共に、表側カード基材と裏側カード基材との間に挟まれて装飾カードを構成するものである。その外形はカードより小さいものであってもよいが、カード厚みを均一にするため、カードと同形同大であることが望ましい。
固定用シートには、螺鈿シートを収容して固定する螺鈿シート収容部が設けられている必要がある。この螺鈿シート収容部は固定用シートの貫通孔又は凹部で構成することができる。固定用シートと螺鈿シートとは接着している必要はなく、螺鈿シートが固定用シートの螺鈿シート収容部に収容されて、この螺鈿シート収容部を越える大きい揺動が防止されていれば十分である。図1(a)は螺鈿シート収容部として貫通孔を設けた固定用シート11に螺鈿シート12を固定した装飾用中間層1の例を示す断面図である。また、図1(b)は凹部を設けた固定用シート11’に螺鈿シート12を固定した装飾用中間層1’の例を示す断面図である。螺鈿シート収容部の位置は任意でよく、例えば中央であってもよい。
この螺鈿シート収容部は、螺鈿シート12と同じ厚みか、螺鈿シート12の厚みより0.10〜0.20mm深いものを使用することができる。螺鈿シート収容部の深さを螺鈿シート12と同じ厚みより深いものとすることにより、装飾カードが反った場合にも、螺鈿シート12が表側カード基材や裏側カード基材と接触することを防いで、螺鈿シート12あるいは表裏のカード基材の損傷を防止することができる。望ましくは、螺鈿シート12より0.10〜0.15mm深い螺鈿シート収容部である。例えば、螺鈿シート収容部として固定用シートの貫通孔を利用する場合には、この固定用シート11,11’として螺鈿シート12と同じ厚みか、螺鈿シート12より0.10〜0.20mm厚いシートを使用すればよい。また、同じ理由から、螺鈿シート収容部として固定用シートの凹部を利用する場合には、凹部の深さが螺鈿シート12の厚みとほぼ同一であるか、あるいは螺鈿シート12の厚みより0.10〜0.20mm深くすればよい。
次に、固定用シート11,11’の螺鈿シート収容部の大きさは、螺鈿シート12の大きさと同一であるか、あるいはこれよりわずかに大きいことが望ましい。例えば、螺鈿シ
ート12の大きさより0.5〜2.0mm大きいものである。より望ましくは螺鈿シート12の大きさより0.5〜1.5mm大きいものである。
ート12の大きさより0.5〜2.0mm大きいものである。より望ましくは螺鈿シート12の大きさより0.5〜1.5mm大きいものである。
固定用シート11,11’としては、着色又は無着色の樹脂シートを使用することができる。樹脂シートとしては、ポリエステル樹脂、PET−G、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリアセテート樹脂、ポリアミド樹脂等のシートを使用することができる。このシートを着色するためには、着色顔料を添加してこれら樹脂シートを製膜すればよい。着色顔料としては、白色、黒色、藍色、紅色、黄色等、各色の着色顔料を使用することができ、これら着色顔料を添加することで光透過性のない樹脂シートを製造することができる。着色顔料の具体例を例示すると、ブリリアントカーミン6C、ジスアゾイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルー、メチルバイオレットレーキ、カーボンブラック、チタンホワイト等を挙げることができる。
固定用シート11に貫通孔を形成する場合には、機械的に打ち抜いたり、あるいはレーザー照射して貫通孔の形状に切り抜くことによってこの貫通孔を形成することができる。また、凹部を形成する場合には、座刳り加工を施したり、あるいは貫通孔のあるシートとないシートとを張り合わせることにより、凹部を形成することができる。
そして、この螺鈿シート収容部に螺鈿シート12を固定することにより、装飾用中間層1,1’を形成することができる。前述のように、螺鈿シート12は、固定用シート11,11’に接着固定されている必要ななく、固定用シート11,11’の螺鈿シート収容部に螺鈿シート12を収容するだけでよい。固定用シート11,11’の螺鈿シート収容部は螺鈿シート12と同形同大であるか、せいぜい両者の間に0.5〜2.0mmのわずかな隙間があるに過ぎないから、螺鈿シート12はこの螺鈿シート収容部を越えて揺動することなく、実質的にその位置が固定される。
次に、ICインレットは、インレット基材、アンテナ回路及びICチップの三者を備えて構成されるものである。図2はこのようなICインレット33の例を示す断面説明図で、この図から分かるように、アンテナ回路332及びICチップ333の両者はシート状のインレット基材331の上に設けられている。このようなICインレット33は公知であるが、例えば、インレット基材331としてはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム等の電気絶縁性フィルムを使用できる。また、アンテナ回路332は、このインレット基材331の上に銅箔又はアルミニウム箔を貼り合わせた後、フォトリソグラフィ法を利用してエッチングすることにより形成することができる。また、導電性インキを印刷したり、あるいは金属細線を引き回してアンテナ回路332を形成することも可能である。ICチップ333は裸のチップのまま、あるいはモジュール化してインレット基材331上に搭載すればよい。なお、ICチップ333は、アンテナ回路532を介して外部機器との間で情報交換ができるように、電気的にアンテナ回路332と接続する必要があることはもちろんである。
次に、表裏のカード基材の一方又は両方と固定用シートとを接着する接着剤は、カード基材とこの固定用シートとを強固に接着する役割を有するものである。この接着剤によって表裏のカード基材と螺鈿シートとを接着している必要はない。表裏のカード基材と螺鈿シートとが接着されていない場合でも、螺鈿シートは固定用シートの貫通孔又は凹部に固定されており、固定用シートが表裏のカード基材に強固に接着されているため、螺鈿シートは位置固定されて実質的に揺動することがない。なお、固定用シートは、表裏のカード基材の両方と強固に接着していることが望ましい。
表裏のカード基材と固定用シートとを接着する接着剤は、表裏のカード基材や固定用シ
ートの材質に応じて汎用の接着剤の中から選択することができる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等である。また、一般に粘着剤として知られているものを接着剤として使用することも可能である。例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等である。もちろん、これら粘着剤に前述のエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤等を添加して使用してもよい。なお、表裏のカード基材や固定用シートとの密着性や相溶性の点から、望ましい接着剤は、エポキシ系接着剤又はウレタン系接着剤である。
ートの材質に応じて汎用の接着剤の中から選択することができる。例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤等である。また、一般に粘着剤として知られているものを接着剤として使用することも可能である。例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤等である。もちろん、これら粘着剤に前述のエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤等を添加して使用してもよい。なお、表裏のカード基材や固定用シートとの密着性や相溶性の点から、望ましい接着剤は、エポキシ系接着剤又はウレタン系接着剤である。
これら接着剤は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の印刷方法で表裏のカード基材の上に塗布することができる。また、一旦仮の支持体上に印刷して、その後表裏のカード基材に転写する転写印刷法で形成することも可能である。接着剤層の厚みは0.5〜1.0μmでよい。
次に、表裏のカード基材のうち一方のシートは、螺鈿を透視できる程度の透明性を有することが望ましい。また、これら表裏のカード基材のうち一方のシートには、前記ICインレットが内蔵されている必要がある。一般にICインレットのアンテナ回路とICチップとは不透明であることから、表側カード基材として透明なシートを使用し、裏側カード基材としてICインレットを内蔵するシートを使用することが望ましい。また、このように裏側カード基材としてICインレットを内蔵するシートを使用することによって、表側カード基材の厚みと裏側カード基材の厚みとの差を0.20mm以下に小さくすることが可能となり、装飾カードの反りを防止して、反りに起因する螺鈿の割れ、真珠層の分離、あるいは後述する絵柄印刷層の割れ等を防止することが可能となる。
次に、図3は、表裏のカード基材の両方が積層構造を有する装飾カード100の例を示す分解断面説明図である。この例では、表側カード基材2は、透明シート21、オーバーシート22、絵柄印刷層23、保護層24を積層して構成されており、全体として透明である。そして、この表側カード基材2は接着剤層2によって装飾用中間層1の固定用シート11に接着して一体化している。なお、固定用シート11は螺鈿シート12より0.10〜0.15mm厚いシートであり、このため、表側カード基材2と螺鈿シート12とは接着されていない。
一方、裏側カード基材3はICインレット33を内蔵した多層構造のシートである。この裏側カード基材3においては、ICインレット33の一方の面に、ICチップ333を収容するチップ収容用凹部を有するチップ収容用シート34が重ねられており、ICチップ333はこの凹部に収容されて、これらICインレット33とチップ収容用シート34との積層体が均一な厚みとなるように構成されている。なお、この例では、チップ収容用凹部はチップ収容用シート34を貫通する貫通孔で構成されているが、もちろん、貫通することのない凹部であってもよい。そして、これらICインレット33とチップ収容用シート34との両側には、ICインレット53を保護するインレット保護シート32,35が重ねられている。
そこで、この例の裏側カード基材3は、装飾用中間層1側から順に、下地印刷層31、インレット保護シート32、ICインレット33、チップ収容用シート34、インレット保護シート35、絵柄印刷層36、オーバーシート37の層構成を有している。なお、この裏側カード基材3も接着剤層3aによって装飾用中間層1の固定用シート11に接着して一体化されている。また、この裏側カード基材3は螺鈿シート12に接着していない。
なお、表側カード基材2の厚みと裏側カード基材3の厚みとの差が0.20mm以下となるように表側カード基材2と裏側カード基材3の厚みを調整することで装飾カードの反りの値をJISの規格である1.5mm以下に抑えることができる。これは、装飾用中間
層1,1’を構成する螺鈿シート12が熱の影響を受け難く、熱プレス時に他のシートの熱収縮に追従できないことに起因している。このため、表裏の両カード基材2,3の厚みの差が0.2mmを越えると、熱プレス後、装飾カード100が表裏のいずれかの方向に反る結果となる。これに対して前記差が0.20mm以下の場合には、反り値がJIS X 6301の規定の範囲内におさまるのである。
層1,1’を構成する螺鈿シート12が熱の影響を受け難く、熱プレス時に他のシートの熱収縮に追従できないことに起因している。このため、表裏の両カード基材2,3の厚みの差が0.2mmを越えると、熱プレス後、装飾カード100が表裏のいずれかの方向に反る結果となる。これに対して前記差が0.20mm以下の場合には、反り値がJIS X 6301の規定の範囲内におさまるのである。
次に、既に説明した各層を除き、装飾カード100を構成する各層について順次説明する。なお、既に説明した層は、装飾用中間層1、装飾用中間層1と表側カード基材2とを接着する接着剤2a,装飾用中間層1と裏側カード基材3とを接着する接着剤3a、ICインレット33である。
まず、表側カード基材2を構成する透明シート21としては、例えば、ポリエステル樹脂(PET)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、PET−G、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセテート、ポリアミド等の樹脂から成るシートを使用することができる。また、2枚あるいはそれ以上の樹脂シートを積層した多層構造のシートを透明シート21として使用することも可能である。また、オーバーシート22も透明シート21と同様の材質の透明な樹脂シートを使用することができる。
次に、絵柄印刷層23は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等の印刷方法でオーバーシート22上に印刷して形成することができる。また、一旦仮の支持体上に印刷して、その後オーバーシート22に転写する転写印刷法で形成することも可能である。絵柄印刷層23は0.5〜1.0μmの厚みを有することが望ましい。
オフセット印刷法で絵柄印刷層23を印刷する場合を例として説明すると、このオフセット印刷法は、顔料とビヒクルとを必須成分とするオフセットインキを使用して印刷することができる。なお、オフセットインキには、このほか、裏移り防止剤、光重合開始剤、熱重合禁止剤等を混合することができる。このオフセットインキとしては、そのビヒクルに応じて、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキ、浸透型インキ、加熱乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ等を使用することができる。
このオフセットインキに使用する顔料としては、ブリリアントカーミン6C、ジスアゾイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシナニンブルー、メチルバイオレットレーキ、カーボンブラック、チタンホワイト等が例示できる。また、ビヒクルとしては、ロジン変性フェノール樹脂、桐油、高沸点脂肪族石油溶剤、ポリ酢酸ビニル又はその共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、環化ゴム、塩化ゴム等が使用できる。また、加熱や紫外線照射によって重合するアクリル系モノマーやオリゴマーをビヒクルとして使用することもできる。また、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンジル、ジメチルアミノベンゾフェノン等を使用できる。熱重合禁止剤としてはハイドロキノンを例示できる。
保護層24は、顔料を含まない透明インキを絵柄印刷層23の上に印刷することによって形成することができる。印刷方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、あるいは転写印刷法を採用することができる。保護層24の厚みは1.0〜1.5μmでよい。
次に、裏側カード基材3を構成する下地印刷層31は、グラビア印刷法、スクリーン印
刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、あるいは転写印刷法を使用してインレット保護シート32上に印刷することによって形成することが可能である。下地印刷層32の厚みは1.0〜3.0μmでよい。
刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、あるいは転写印刷法を使用してインレット保護シート32上に印刷することによって形成することが可能である。下地印刷層32の厚みは1.0〜3.0μmでよい。
スクリーン印刷法で下地印刷層31を印刷する場合を例として説明すると、このスクリーン印刷法は、顔料とビヒクルとを必須成分とするスクリーンインキを使用して印刷することができる。このスクリーンインキとしては、そのビヒクルに応じて、紫外線硬化型インキ、酸化重合型インキ、浸透型インキ、加熱乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ等を使用することができる。
このスクリーンインキに使用する顔料としてはカーボンブラックやジスアゾイエローが例示できる。また、ビヒクルとしては、ポリ酢酸ビニル又はその共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ニトロセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、環化ゴム、塩化ゴム等が使用できる。なお、インレット保護シート32と下地印刷層31との密着性や相溶性の点から、ビヒクルとして、酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−アクリル三元共重合樹脂、あるいは塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル三元共重合樹脂を使用することが望ましい。
次に、インレット保護シート32としては、透明又は着色不透明な樹脂シートを使用することができる。透明な樹脂シートとしては、表側カード基材2を構成する前記透明シート21と同様の材質のシートが使用できる。また、着色不透明シートは、樹脂に着色顔料を混合してシート状に成形したものが好適に使用できる。着色顔料としては、ブリリアントカーミン6C、ジスアゾイエロー、フタロシアニングリーン、フタロシナニンブルー、メチルバイオレットレーキ、カーボンブラック、チタンホワイト等が使用できる。
チップ収容用シート34についても、保護シート32と同様に透明樹脂シートと着色不透明シートのいずれを使用することができる。
一方、チップ収容用シート34の裏面側、すなわち、装飾カードの外面側に配置されるインレット保護シート35は、アンテナ回路332やICチップ333を隠蔽するため、着色不透明な樹脂シートを使用することが望ましい。
また、インレット保護シート35に設けられる絵柄印刷層36は、表側カード基材2の絵柄印刷層23と同様に印刷して形成することができる。
また、オーバーシート37としては、透明シート31と同様の材質の透明な樹脂シートを使用することができる。
次に、このカードは次のように製造することができる。すなわち、まず接着剤3aを塗布した裏側カード基材3の接着剤層3a面に固定用シート11,11’を重ね、次に、この固定用シート11,11’の螺鈿シート収容部に螺鈿シート12を収容して装飾用中間層1を形成する。次に、接着剤2aを塗布した表側カード基材2を、この装飾用中間層1の上に重ね、全体を熱プレスして一体化することによって本発明の装飾カードを製造することができる。
これらを一体化させる熱プレスは、表側カード基材2、装飾用中間層1及び裏側カード基材3を、加熱した金属板やロールの間に挟んで行うことができる。また、表側カード基
材2とこれら金属板やロールとの間、あるいは、裏側カード基材3とこれら金属板やロールとの間にフィルムを介在させてプレスすることによって一体化することも可能である。プレスの条件は、80〜180℃、1.0〜50MPa、1〜30分が適している。
材2とこれら金属板やロールとの間、あるいは、裏側カード基材3とこれら金属板やロールとの間にフィルムを介在させてプレスすることによって一体化することも可能である。プレスの条件は、80〜180℃、1.0〜50MPa、1〜30分が適している。
表面凹凸状のマット加工を施した装飾カードを製造する場合には、算術平均粗さRaが0.2〜1.5μmの表面を持つ金属板やロールを使用してプレスすればよい。また、同様の算術平均粗さRaを持つフィルムを介してプレスした場合にも、表面マット状の装飾カードを製造することができる。一方、表面鏡面状の装飾カードを製造する場合には、算術平均粗さRaが0.2μm以下の表面を持つ金属板やロールを使用すればよい。もちろん、同様の算術平均粗さRaを持つフィルムを介してプレスした場合にも、表面鏡面状の装飾カードを製造することができる。このように表側カード基材2とこれら金属板やロールとの間、あるいは、裏側カード基材3とこれら金属板やロールとの間に介在させるフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム等を使用することができる。
なお、本発明の装飾カード100を製造する場合、表裏のカード基材2,3として大面積のシートを使用し、全体をプレス一体化して多面付けの装飾カードを製造し、次に個々の装飾カード100に断裁することが望ましい。もちろん、この場合には、固定用シート11,11’として、それぞれの装飾カード100に対応する多数の螺鈿シート収容部を有するシートを使用する必要がある。そして、螺鈿シート12として個々の装飾カード100より小さい面積の螺鈿シート12を使用し、これら複数の螺鈿シート12を固定用シート11,11’の螺鈿シート収容部に収容した後、表裏のカード基材2,3の間に挟んでプレス一体化すればよい。このように、表裏のカード基材2,3の間に、小面積の複数の螺鈿シート12を挟んでプレス一体化することにより、プレス時の表裏のカード基材2,3の逃げ場を確保することができる。
以上、表裏のカード基材2,3として、オーバーシート22、保護シート35等に絵柄印刷層23,36を設けたものを例として説明したが、本発明がこれに限られないことは明らかである。例えば、表裏のカード基材2,3として、磁気記録層が内在するシートを使用することができる。磁気記録層としては磁気テープを例示することができる。そして、この磁気テープが表面に位置するように重ねてプレス一体化することにより、表面に磁気テープを埋め込んだ装飾カードを製造することができる。
また、装飾カードの表面に接触端子を露出させ、電気配線によりこの接触端子とICチップ333とを接続させれば、ICチップ333と外部機器との間で情報を非接触で交換することができると共に、この接触端子を通して情報を非接触で交換することもできるハイブリッドな装飾カードとすることが可能である。
(実施例)
図3に示す装飾カード100を製造した。
図3に示す装飾カード100を製造した。
すなわち、まず、厚さ0.125mmの大面積のPET−Gシートを2枚重ねて、その全体を透明シート21として使用した。この透明シート21の厚さは0.250mmである。また、オーバーシート22として厚さ0.070mmの二軸延伸ポリエステルシートを使用した。そして、透明シート21に接着剤層2aを形成した。また、オーバーシート22上に、順次、絵柄印刷層23と保護層24とを印刷した。絵柄印刷層23と保護層24とは、いずれも、オフセット印刷法によって形成した。そして、これら透明シート21(厚さ0.250mm)とオーバーシート22(厚さ0.070mm)との合計厚み、すなわち、表側カード基材2の厚みは約0.320mmである。
次に、インレット基材331として厚さ0.080mmのシートを使用し、このインレット基材331上にアンテナ回路332を形成した後、厚さ0.200mmのICチップ333を固定してICインレット33を製造した。なお、チップ収容用シート34としては、厚さ0.200mmのシートを使用した。
また、オーバーシート37として厚さ0.070mmの二軸延伸ポリエステルシートを使用した。そして、そのオーバーシート37上に絵柄印刷層36を印刷した。また、インレット保護シート32として厚さ0.050mmのPET−Gシートを使用し、下地印刷層31と接着剤層3aをこの順に形成した。また、インレット保護シート35としては厚さ0.050mmのPET−Gシートを使用した。
これら、インレット保護シート32(厚さ0.050mm)、ICインレット33(厚さ0.080mm)、チップ収容用シート34(厚さ0.200mm)、インレット保護シート35(厚さ0.050mm)、オーバーシート37(厚さ0.070mm)の合計厚み、すなわち、裏側カード基材3の厚みは約0.450mmである。
以上のように、表側カード基材2の厚み(約0.320mm)と裏側カード基材3の厚み(約0.450mm)との差は約0.130mmである。
また、固定用シート11として厚さ0.150mmのPET−Gシートを使用し、貫通孔を設けて、螺鈿シート収容部を形成した。なお、螺鈿シート12としては、天然の貝殻の真珠層を接着剤で固定して厚さ0.135mmのシート形状に成形したものを使用した。
そして、オーバーシート37の上に、インレット保護シート35、チップ収容用シート34、ICインレット33、インレット保護シート32、固定用シート11をこの順に重ね、固定用シート11の螺鈿シート収容部に螺鈿シート12を収容した後、さらに、透明シート21とオーバーシート22とをこの順に重ね合わせた。次に、その全体を熱プレスして一体化することにより、全体の厚みを圧縮して、多面付けの装飾カードを製造した。最後に、断裁して、個々の装飾カード100を製造した。
この装飾カード100は、反りが1.5mm以下であり、カード全体の厚みも含めてJIS規格に適合していた。また、反りに起因する螺鈿の割れ、真珠層の分離、あるいは絵柄印刷層の割れもなく、通信状態も良好であった。
(比較例)
表側カード基材2の厚みと裏側カード基材3の厚みとの差が0.300mmの装飾カードを製造した。
表側カード基材2の厚みと裏側カード基材3の厚みとの差が0.300mmの装飾カードを製造した。
この装飾カードは、反りが1.5mmを越えており、JIS規格に適合していなかった。また、反りに起因する螺鈿の割れ、真珠層の分離、あるいは絵柄印刷層の割れ等がみられた。
100:装飾カード
1,1’:装飾用中間層 11,11’:固定用シート 12:螺鈿シート
2:表側カード基材 21:透明シート 22:オーバーシート 23:絵柄印刷層 24:保護層 2a:接着剤
3:裏側カード基材 31:下地印刷層 32:インレット保護シート 33:I
Cインレット 331:インレット基材 332:アンテナ回路 333:ICチップ 34:チップ収容用シート 35:インレット保護シート 36:絵柄印刷層 37:オーバーシート 3a:接着剤
1,1’:装飾用中間層 11,11’:固定用シート 12:螺鈿シート
2:表側カード基材 21:透明シート 22:オーバーシート 23:絵柄印刷層 24:保護層 2a:接着剤
3:裏側カード基材 31:下地印刷層 32:インレット保護シート 33:I
Cインレット 331:インレット基材 332:アンテナ回路 333:ICチップ 34:チップ収容用シート 35:インレット保護シート 36:絵柄印刷層 37:オーバーシート 3a:接着剤
Claims (7)
- 装飾用中間層を有し、この装飾用中間層を観察できる方向を表側とし、その反対側を裏側として、前記装飾用中間層を表側のカード基材と裏側のカード基材との間に挟んで一体化して成る装飾カードであって、
前記装飾用中間層が、周辺の枠の内側に螺鈿シート収容部を有する固定用シートと、この螺鈿シート収容部に固定され、天然の貝殻の内側の真珠層を散りばめた螺鈿シートとで構成されており、
前記表側カード基材と裏側カード基材のうち少なくとも一方と、固定用シートとが接着剤によって一体化されており、
前記表側カード基材と裏側カード基材のうち一方にICインレットが内蔵されていると共に、このICインレットがインレット基材と、このインレット基材に設けられたアンテナ回路と、このアンテナ回路を通じて外部機器との間で情報を交換するICチップとを備えている、
ことを特徴とする装飾カード。 - 前記表側カード基材の厚みと裏側カード基材の厚みとの差が0.20mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の装飾カード。
- 前記ICインレットが裏側カード基材に内蔵されていることを特徴とする請求項2に記載の装飾カード。
- 固定用シートの螺鈿シート収容部が螺鈿シートの厚みより深いことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装飾カード。
- 前記表側カード基材が透明であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装飾カード。
- 前記螺鈿シートが前記真珠層を接着剤で固定してシート形状に成形したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装飾カード。
- 前記螺鈿シートが、シート状支持体に前記真珠層を固定したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装飾カード。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016116210A JP2017217887A (ja) | 2016-06-10 | 2016-06-10 | 装飾カード |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019209502A (ja) * | 2018-05-31 | 2019-12-12 | 日立化成株式会社 | 非接触式icカード及びその製造方法 |
-
2016
- 2016-06-10 JP JP2016116210A patent/JP2017217887A/ja active Pending
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