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JP2017215526A - 光導波路構造、光導波路、及び光集積回路 - Google Patents

光導波路構造、光導波路、及び光集積回路 Download PDF

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JP2017215526A JP2016110289A JP2016110289A JP2017215526A JP 2017215526 A JP2017215526 A JP 2017215526A JP 2016110289 A JP2016110289 A JP 2016110289A JP 2016110289 A JP2016110289 A JP 2016110289A JP 2017215526 A JP2017215526 A JP 2017215526A
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Abstract

【課題】リブ型の光導波路の曲り導波路領域において偏光変換を抑制する。【解決手段】光導波路は、湾曲した光伝搬方向に光を伝搬するコア13と、コア13よりも屈折率が低いクラッド12、14とを有する。コア13は、スラブ部と、スラブ部から突出する突起部13aとを含む。スラブ部は、突起部13aに対して湾曲した光伝搬方向の外側にある第1のスラブ部13cと、湾曲した光伝搬方向の内側にある第2のスラブ部13bとを含む。第1のスラブ部13cの厚みは、第2のスラブ部13bの厚みよりも薄い。【選択図】図1

Description

本発明は、光導波路構造に関し、更に詳しくは、リブ型の光導波路における光導波路構造に関する。また、本発明は、そのような光導波路構造を有する光導波路、及び光導波路を有する光集積回路に関する。
近年、100Gb/s(ビット/秒)を超える超高速通信において、デジタルコヒーレント通信の検討が活発に行われている。デジタルコヒーレント通信の中でも、偏波多重4値位相変調(DP−QPSK: Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)方式は,スペクトル利用効率と各種分散耐性の向上が期待されることから、多くの研究機関で精力的な開発が進められている。
DP−QPSK方式では、受信器において偏波分離する機能と、分離した光信号から位相情報を取り出すための90度光ハイブリッド機能とが必要とされる。このような機能を有する受信器(ICR:Integrated Coherent Receiver)は、現在、石英を基本とした光導波路技術を用いた平面光回路(PLC:Planer Lightwave Circuit)で構成されている。今後、CFP2−ACO(C form-factor pluggable 2 - Analog Coherent Optics)やCFP4−ACOといったトランシーバの小型化が望まれている中で、ICRに対する小型化も強く望まれている。そのため、PLCで構成される90度ハイブリッドミキサ自体の小型化も強く望まれている。
PLCで構成される90度ハイブリッドミキサなどの光集積回路を小型化するためには、より屈折率が高い半導体材料、特にSiを用いたSiフォトニクスが有望である。シリコンフォトニクスにおいては、Siをコアとし、SiOをクラッドとした光導波路が用いられる。この光導波路は、コアとクラッドとの間の屈折率の差が非常に高くため、光を強く閉じ込めることができ、石英導波路に比べて小さな曲げ半径を実現することができる。
図14及び図15は、Siフォトニクスを用いた光導波路の構成例を示す。図14は、一般的なチャネル型構造の光導波路を示し、図15は、一般的なリブ型構造の光導波路を示す。図14に示されるチャネル型光導波路50は、基板21、下層クラッド22、コア23、及び上層クラッド24を有する。基板21は、シリコン基板であり、シリコン基板の上層に下層クラッド22が設けられる。下層クラッド22は、例えばSiO膜であり、例えば埋め込み酸化膜(BOX: Buried Oxide)で形成される。
コア23は、下層クラッド22の上層側に設けられる。コア23は、例えば、絶縁層である下層クラッド22の上に形成された断面が矩形状のSi膜から成る。コア23の上層には、コア23を覆うように上層クラッド24が設けられる。上層クラッド24は、例えばSiO膜である。コア23の屈折率は、下層クラッド22及び上層クラッド24よりも高い。コア23は、光伝搬方向に沿って形成されており、コア23に入射した光は、コア23に沿って伝搬される。
図15に示されるリブ型光導波路51は、図14に示されるチャネル型光導波路50と同様に、基板21、下層クラッド22、コア23、及び上層クラッド24を有する。チャネル型光導波路50ではコアが断面矩形状に形成されるのに対し、リブ型光導波路51では、コア23が下層クラッド22を全体的に覆う。また、コア23は、突起部(リブ部)23aとスラブ部23bとを有する。スラブ部23bは、突起部23aに対して光伝搬方向に直交する方向の両側に配置される。突起部23aは、スラブ部23bから上層クラッド24側へ突き出している。突起部23aは光伝搬方向に沿って形成されており、リブ型光導波路51において、コア23に入射した光は突起部23aに沿って伝搬される。
チャネル型光導波路50(図14を参照)は、矩形状のコア23が下層クラッド22及び上層クラッド24で挟み込まれた構成であり、光閉じ込め効果が高いことから、数μmオーダの急峻な曲げ半径が実現できる。しかしながら、チャネル型光導波路50は、石英導波路に比べて伝搬損失が大きく、効率面で不向きである。これに対し、リブ型光導波路51(図15を参照)は、チャネル型光導波路50に比べて実現可能な曲げ半径は大きくなるものの、チャネル型光導波路50に比べて伝搬損失が小さい。チャネル型光導波路50は、例えば石英導波路並みの伝搬損失を実現しつつ、石英導波路に比べて1ケタ小さい数100μmレベルの曲り導波路を実現できる。
ここで、曲り部(湾曲部)における光導波路構造として、特許文献1に記載のものが知られている。図16は、特許文献1における光導波路を示す。この光導波路60は、リブ型の光導波路であり、クラッド22と、その上層に形成されたコア23とを有する。コア23は、スラブ部から突き出す突起部23aを有している。特許文献1に記載の光導波路60は、湾曲部において、突起部23aに沿って設けられた、通常のスラブ部23bよりも厚みが薄い溝部23cを突起部23aの両側に有する。
特許文献1において、溝部23cが形成されるのは湾曲部のみであり、直線部では、突起部23aはスラブ部23bからクラッド22と反対側に突き出す。光導波路60は、直線部と湾曲部との接続部分にテーパ部23dを有する。テーパ部23dの厚みは、スラブ部23bの厚みと同じである。テーパ部23dの光伝搬方向に直交する方向の幅は、直線部から湾曲部にかけて、徐々に減少する。テーパ部23dの幅が狭くなることで、直線部から湾曲部にかけて、溝部23cは突起部23aに近づく。溝部23cは、湾曲部の開始端では、突起部23aに隣接して形成される。
曲り部(湾曲部)における別の光導波路構造として、特許文献2に記載のものも知られている。図17は、特許文献2に記載の光導波路を示す。この光導波路70は、リッジ型光導波路として構成される。光導波路70は、基板74側から順に、下側クラッド73、コア71、及び上側クラッド72を有する。上側クラッド72は、湾曲の外側にある外側サイドクラッド75と、内側にある内側サイドクラッド76とを含む。光導波路70において、導波光は、コア71中を、上側クラッド72に沿って伝搬される。
特許文献2において、外側サイドクラッド75及び内側サイドクラッド76は、上側クラッド72をエッチングすることで形成される。上側クラッド72のエッチングにおいて、湾曲の外側と内側とではエッチング量が異なっており、外側サイドクラッド75は、内側サイドクラッド76に比べて深くエッチングされる。従って、特許文献2に記載の光導波路70では、コア71の上層に形成されるサイドクラッドの厚みは、湾曲の外側と内側とで異なる。光導波路70では、湾曲の外側のおける厚み方向の等価屈折率が、内側における厚み方向の等価屈折率よりも低くなっており、放射損失(曲り損失)が抑制される。
特開平2−110405号公報 特開平5−288943号公報
ここで、Siフォトニクスをはじめとする超High−Δの光導波路では、光導波路中のモード形状が非対称となる曲り部分において、伝搬される光の偏光が変化する偏光変換が生じる。偏光変換自体は、光導波路構造に応じて決まる複屈折と、光モードの対称性とに依存して決まる。一般的に、複屈折が小さいと偏光変換が起こりやすい。また、光導波路内での光モードの対称性が崩れても、偏光変換が生じる。Siフォトニクスでは、基本的に屈折率差が大きいために複屈折は大きく、これに起因する偏光変換は起こりにくい。一方で、光モードの対称性という観点では、Siリブ型光導波路は、光導波路構造が上下非対称であるために、光モードの対称性は崩れやすい。
リブ型光導波路での光モードの振る舞いを図18に示す。図18(a)は、直線部(直線導波路領域)における光導波路内の光モード形状を模式的に示し、(b)は湾曲部(曲り導波路領域)における光導波路内の光モード形状を模式的に示す。同図(a)及び(b)において、コア23及びその突起部23a内を伝搬される光の光モード形状は破線で示されている。
図18(a)に示すように、直線導波路領域では、リブ型光導波路(コア23)内において、光モードの左右の対称性が取れているために、偏光変換は起こらない。しかしながら、リブ型光導波路の曲り導波路領域では、図18(b)に示すように、光は光導波路の側壁方向に寄り、光モードの一部が突起部23aからコア23のスラブ領域に染み出す。このとき、上下の対称性だけでなく、左右の対称性も崩れるために、偏光変換が発生する。
光導波路において偏光変換が生じると、光導波路を含む光デバイスにおいて、下記の問題が生じる。例えば、光導波路を含む光デバイスとして、シリコン光導波路を用いた90度ハイブリッドミキサを考える。90度ハイブリッドミキサは、信号光と局発光とを干渉させる。このような90度ハイブリッドミキサにおいて、偏光変換は非常に問題である。すなわち、90度ハイブリッドミキサにおいて、導波中に偏光変換が起こると、各経路での偏光状態が変化する。各経路で偏光状態が異なると、変換された分の光強度は干渉することができず、出力端での干渉振幅が低下する。干渉振幅の劣化は、SN比の悪化につながるため、伝送特性の劣化を引き起こす結果となる。そのため、光導波路の曲り導波路領域において、偏光変換は可能な限り抑制されることが望ましい。
シリコン光導波路の中でも、チャネル型光導波路(図14を参照)では、コア23の断面形状は上下及び左右で対称であり、曲り導波路領域においても光モードの対称性の崩れは小さく、偏光変換は起こりにくい。偏光変換の抑制という観点では、チャネル型光導波路はリブ型光導波路よりも有利であるといえる。しかしながら、前述したように損失の問題があるために、リブ型光導波路を採用したいという要望がある。特許文献1及び2には、湾曲部における放射損失を抑制することは記載されているものの、偏光変換の抑制については記載されていない。従って、偏光変換を抑制可能な光導波路構造が望まれる。
本発明は、上記問題に鑑み、リブ型の光導波路の曲り導波路領域において偏光変換の抑制が可能な光導波路構造、光導波路、及び光集積回路を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、湾曲した光伝搬方向に光を伝搬するコアと、該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有する光導波路構造であって、前記コアは、スラブ部と該スラブ部から突出するリブ部とを含み、前記スラブ部は、前記リブ部に対して前記光伝搬方向の外側にある第1のスラブ部と、前記光伝搬方向の内側にある第2のスラブ部とを含み、前記第1のスラブ部の厚みが、前記第2のスラブ部の厚みよりも薄い光導波路構造を提供する。
本発明は、また、光を伝搬するコアと該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有し、前記コアは、リブ部と該リブ部に対して光の伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部とを含み、かつ前記リブ部は前記スラブ部から突出する光導波路であって、直線状に光を伝搬する直線部であって、前記リブ部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部の厚みが相互に等しい直線部と、湾曲した方向に沿って光を伝搬する湾曲部であって、前記リブ部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部のうち、湾曲の外側のスラブ部の厚みが、湾曲の内側のスラブ部の厚みよりも薄い湾曲部とを有する光導波路を提供する。
本発明は、基板上に、光を伝搬するコアと該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有し、前記コアは、リブ部と該リブ部に対して光の伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部とを含み、かつ前記リブ部は前記スラブ部から突出する光導波路が形成された光集積回路であって、前記光導波路が1箇所以上の湾曲部を有し、前記1箇所以上の湾曲部の少なくとも1箇所において、前記湾曲部の外側に配置されたスラブ部の厚みが、前記湾曲部の内側に配置されたスラブ部の厚みよりも薄い光集積回路を提供する。
本発明の光導波路構造、光導波路、及び光集積回路は、リブ型の光導波路の曲り導波路領域において偏光変換を抑制することが可能である。
本発明の一実施形態に係る左回りの導波路領域における光導波路構造を示す断面図。 本発明の一実施形態に係る右回りの導波路領域における光導波路構造を示す断面図。 (a)は、直線導波路領域における光導波路内の光モード形状を模式的に示し図、(b)は曲り導波路領域における光導波路内の光モード形状を模式的に示す図。 光導波路の曲げ量と偏光変換率との関係を示すグラフ。 非対称光導波路の光導波路パラメータを示す断面図。 光導波路の曲げ量と偏光変換抑制率との関係を示すグラフ。 偏光変換抑制率の最小値とオーバエッチング量ROHとの関係を示すグラフ。 直線部と曲り部との間に設けられる接続部を示す上面図。 光導波路における接続部を介した直線部と曲り部との接続を示す上面図。 片テーパ長TLと偏光変換抑制率との関係を示すグラフ。 TW/TLと偏光変換抑制率との関係を示すグラフ。 図11に示されるグラフの一部を拡大して示すグラフ。 TW/TLと接続部の過剰損失との関係を示すグラフ。 Siフォトニクスを用いたチャネル型光導波路の構成例を示す断面図。 Siフォトニクスを用いたリブ型光導波路の構成例を示す断面図。 特許文献1に記載される光導波路を示す斜視図。 特許文献2に記載される光導波路を示す斜視図。 (a)及び(b)は、リブ型光導波路での光モードの振る舞いを模式的に示す図。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明の一実施形態に係る光導波路構造を示す。光導波路10は、一般的なリブ型の光導波路(図15を参照)と同様に、基板11、下層クラッド12、コア13、及び上層クラッド14を有する。なお、図1及び図2に示す構造の光導波路は、光集積回路において、光伝搬方向が湾曲する湾曲部に用いられる。直線方向に光を伝搬する直線部における光導波路構造は、図15に示される一般的なリブ型の光導波路の構造と同じでよい。
基板11は、例えばシリコン基板であり、そのシリコン基板の上層に下層クラッド(第1のクラッド)12が設けられる。下層クラッド12は、例えばSiO膜であり、例えば埋め込み酸化膜(BOX: Buried Oxide)で形成される。コア13は、下層クラッド12の上層側に設けられる。コア13は例えばSi膜から成る。
コア13の上層には、コア13を覆うように上層クラッド(第2のクラッド)14が設けられる。上層クラッド14は、例えばSiO膜である。SiO膜を上層クラッド14として用いるのに代えて、空気層を上層クラッドとして用いることとしてもよい。コア13の屈折率は、下層クラッド12及び上層クラッド14よりも高く、コア13に入射した光は、コア13内に閉じ込められる。
ここで、図1は、光伝搬方向が紙面に向かって左側に湾曲する湾曲部における光導波路構造を示し、図2は、光伝搬方向が紙面に向かって右側に湾曲する湾曲部における光導波路構造を示している。以下の説明において、湾曲した光伝搬方向の内側とは、湾曲した光伝搬方向を円で近似し、湾曲の度合いを曲率半径で表した場合に、円の中心が置かれる側を指す。また、湾曲した光伝搬方向の外側とは、湾曲した光伝搬方向を円で近似し、湾曲の度合いを曲率半径で表した場合に、円の中心が置かれる側とは反対側を指す。
コア13は、突起部(リブ部)13aとスラブ部13b及び13cとを有する。突起部13aは、スラブ部13b及び13cから上層クラッド14側へ突出する。突起部13aは、光伝搬方向に沿って形成される。スラブ部(第1のスラブ部)13cは、突起部13aに対して湾曲した光伝搬方向の外側に位置しており、スラブ部(第2のスラブ部)13bは、突起部13aに対して湾曲した光伝搬方向の外側に位置している。
図1及び図2に示されるように、本実施形態において、突起部13aに対して湾曲した光伝搬方向の外側にある第1のスラブ部13cの厚みは、光伝搬方向の内側にある第2のスラブ部13bの厚みよりも薄い。別の言い方をすれば、第1のスラブ部13cに対する突起部13aの突出量は、第2のスラブ部13bに対する突起部13aの突出量よりも大きい。あるいは、第1のスラブ部13cの上面から突起部13aの湾曲した光伝搬方向の外側の端部までの高さは、第2のスラブ部13bの上面から突起部13aの湾曲した光伝搬方向の内側の端部までの高さよりも高い。第1のスラブ部13c及び第2のスラブ部13bは、例えばコア13を構成する平板状のシリコン膜を、突起部13aとする領域の両側で異なるエッチング量でエッチングすることで形成される。
図3(a)は、直線部(直線導波路領域)における光導波路内の光モード形状を模式的に示し、(b)は湾曲部(曲り導波路領域)における光導波路内の光モード形状を模式的に示す。上記したように、直線導波領域では、光導波路構造は図15に示される一般的なリブ型光導波路と同様な構造であり、コア13は左右対称に形成される。図3(a)に示すように、直線導波路領域では、リブ型光導波路(コア13)内において、光モード形状の左右の対称性が取れており、偏光変換は起こりにくい。
本実施形態では、リブ型光導波路の曲り導波路領域において、外側となるスラブ領域を内側に比べて薄くする光導波路構造が採用される(以下、このような構造の光導波路を非対称光導波路とも呼ぶ)。リブ型光導波路において非対称構造を導入することで、図3(b)に示すように、曲り導波路領域において光導波路内への光閉じ込めを強くすることができ、スラブ領域への光の染み出しを抑制することができる。光モードの染み出しを抑制することで、曲り導波路領域において光モードの対称性を向上させることができる。その結果として、一般的なリブ型光導波路の構造に比べて、曲り導波路領域において偏光変換を抑制することができる。
なお、特許文献2では、光導波路の曲り部において、コア71(図17を参照)の上部に形成される上側クラッド72の外側サイドクラッド75が、内側サイドクラッド76よりも薄く形成される。これに対し、本実施形態では、コア13の曲がり方向外側の第1のスラブ部13cが、内側の第2のスラブ部13bよりも薄く形成される。このように、本実施形態に係る光導波路10と、特許文献2に記載される光導波路70とでは、光導波路の構成が異なる。
ここで、偏光変換は、光導波路において、光が曲り導波路領域をどれだけ通過したかに依存して変化する。以下、光導波路の曲げ量に対する偏光変換効率について説明する。偏光変換効率は、例えばTEモード(Transverse Electro mode)の光を光導波路に入射した場合に、入射光がどれだけTMモード(Transverse Magnetic mode)に変換されるかを示す割合で定義される。具体的には、偏光変換率は、TMモードとTEモードとの比(TM/TE)で定義される。偏光変換が起こらない場合は偏光変換率は0であり、全ての光がTMモードに変換された場合は偏光変換率は無限大である。
図4は、光導波路の曲げ量と偏光変換率との関係を示す。図4に示されるグラフにおいて、横軸は光導波路中での曲げ量(曲げ角度)を表し、縦軸は偏光変換率を表す。ここでは、擬似的に、光が一定の曲げ半径(曲率半径)を有する光導波路を周回している状況を仮定している。設計パラメータが異なる2つの光導波路について、TEモードの光を入射した位置を基準(曲げ角度0)に、各曲げ角度においてTEモードとTMモードとの比を求めたところ、図4にグラフ(a)及び(b)として示される結果が得られた。
光導波路中での偏光変換は、光導波路の曲り角度に応じて一方のモードから他方のモードに乗り移る量が決まる。また、モードの乗り移る量は周期的に変化する。つまり、ある曲げ角度においていったんTEモードからTMモードに乗り移った光は、さらに曲り導波路領域を進行する間に再度TEモードに変換され、それが繰り返される。図4に示されるグラフ(a)の例では、曲げ角度180度程度の周期で偏光変換率が周期的に変換し、グラフ(b)の例では、曲げ角度300度程度の周期で偏光変換率が周期的に変化している。
例えば、グラフ(a)では、曲げ角度90度付近で偏光変換率のピークを迎えた後に、曲げ角度180度では偏光変換率が0となる。これは、曲げ角度90度までにTEモードからTMモードに変換された光が、180度付近では元のTEモードに戻ることを示す。この場合、曲げ角度180度付近で光を取り出したとすると、あたかも光導波路において偏光変換が起こっていないように見える。しかしながら、実際には、途中の曲げ角度では偏光変換が生じている。
例えば、90度ハイブリッドミキサにおいて、光を干渉させる光カプラまで光を導光する光導波路を考える。その光導波路から光カプラに光を出力する地点において、出力光の偏波状態が光導波路への入射時と同じであれば、偏光変換が生じていない光導波路と同義とも言える。しかしながら、実際には、光導波路の途中において偏光変換が起こると、光導波路中の複屈折に起因して位相差が付き、同じ光導波路内で遅延が起こることとなる。これは、位相誤差が起こることと同義である。従って、あらゆる曲げ角度で偏光変換が抑制されることが望まれる。すなわち、図4に示されるグラフにおいて、偏光変換率のピーク値(最悪値)を抑えることが望まれる。
本発明者は、図1及び図2に示される非対称光導波路において、第1のスラブ部13cの厚みと第2のスラブ部13bの厚みとの差が偏光変換に与える影響を、シミュレーションを用いて調べた。図5に、非対称光導波路の光導波路パラメータを示す。シミュレーションでは、下層クラッド12から突起部13aまでの高さSiHを1.5μmとし、突起部13aの紙面横方向の幅(リブ幅)RibWを2.0μmとし、突起部13aが第2のスラブ部13bから突き出す量(リブ高さ)RibHを0.85μmとした。また、非対称光導波路の曲げ半径は300μmとした。本発明者は、第2のスラブ部13bの厚みと第1のスラブ部13cの厚みとの差をオーバエッチング量ROHと定義し、オーバエッチング量ROHを変化させながら、非対称光導波路について、フルベクトル3次元ビーム伝搬法を用いて、どれだけ偏光変換が起こるかを計算した。
図6は、シミュレーション結果を示す。図6に示されるグラフにおいて、横軸は光導波路中での曲げ角度を表し、縦軸は偏光変換の度合い(指標)を表す。偏光変換の指標には、例えば偏光変換抑制率が用いられる。偏光変換抑制率は、−10log(TM/TE)で定義される。偏光変換抑制率は、偏光変換効率(図5を参照)の逆数に対応する。図6において、グラフ(a)はROHが0μmの場合の偏光変換抑制率を示し、グラフ(b)はROHが0.1μmの場合の偏光変換抑制率を示す。また、グラフ(c)はROHが0.15μmの場合の偏光変換抑制率を示し、グラフ(d)はROHが0.2μmの場合の偏光変換抑制率を示し、グラフ(e)はROHが0.25μmの場合の偏光変換抑制率を示し、グラフ(f)はROHが0.3μmの場合の偏光変換抑制率を示し、グラフ(g)はROHが0.35μmの場合の偏光変換抑制率を示し、グラフ(h)はROHが0.4μmの場合の偏光変換抑制率を示す。
グラフ(a)から(h)を参照すると、曲げ角度の増加に伴って偏光変換抑制率が低下していき、ある曲げ角度で偏光変換抑制率が最小値(最悪値)をとった後、偏光変換抑制率が上昇していく様子がわかる。偏光変換抑制率の最小値は、オーバエッチング量ROHに依存して変化する。具体的には、オーバエッチング量ROHが0μm(グラフ(a))の場合に偏光変換抑制率が最も低く、オーバエッチング量ROHが0.2μm(グラフ(d))の場合に偏光変換抑制率が最も高くなっている。
図7は、偏光変換抑制率の最小値とオーバエッチング量ROHとの関係を示す。図7に示すグラフにおいて、横軸はオーバエッチング量ROHを表し、縦軸は偏光変換抑制率を表す。オーバエッチング量ROHを変換させつつ各曲げ角度の偏光変換抑制率を計算し、偏光変換抑制率の最小値をプロットすると、図7に示すグラフが得られた。図7を参照すると、オーバエッチング量ROHが0μmの場合、つまり、光導波路が対称構造を有する場合に偏光変換が最も起こり、外側のスラブ部の厚みをわずかでも薄くすることで、偏光変換を抑制できることがわかる。図7の例では、オーバエッチング量ROHが0.22μmのときに偏光変換抑制効率が最大値(最良値)をとる。このとき、偏光変換抑制率は、オーバエッチング量ROHを0μmとした場合に比べて27dB以上改善できていることがわかる。
ここで、本実施形態に係る光導波路構造は、例えば光集積回路に適用される。光集積回路は、例えば、マッハツェンダー干渉計などを含む干渉系デバイス、及び/又は可変光減衰器(VOA:(Variable Optical Attenuator)などを、その構成要素として含む。具体的には、光集積回路は、90度光ハイブリッドミキサ又は光スイッチなどであってもよい。光集積回路に形成される光導波路は、一般に、直線部と曲り部(湾曲部)とを含む。
前述のように、直線部における光導波路構造は、図15に示される一般的なリブ型の光導波路の構造と同様である。本実施形態において、非対称光導波路は、光導波路の曲り導波路領域に使用される。非対称光導波路を直線部に適用した場合、対称構造を有する通常のリブ型光導波路と比較して非対称性が強いことから、直線部において偏光変換が生じることとなる。従って、直線部には、対称構造を有する通常のリブ型光導波路を用いることが望ましい。
本実施形態において、直線部に用いられるリブ型光導波路では、突起部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部の厚みが相互に等しい。一方、曲り部に用いられる非対称光導波路(非対称なリブ型光導波路)では、突起部13aの光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部のうち、湾曲の外側のスラブ部(第1のスラブ部13c)の厚みが、湾曲の内側のスラブ部(第2のスラブ部13b)の厚みよりも薄い。この場合において、対称構造を有する光導波路と非対称光導波路とを直接接続させると、モードミスマッチが起こり、それに起因して過剰損失が発生することも考えられる。
上記過剰損失の発生を抑制するために、本実施形態に係る光集積回路は、光導波路の直線部と曲り部との間に接続部を有することが好ましい。図8は、直線部と曲り部との間に設けられる接続部を示す。図8に示す接続部は、紙面向かって右側に湾曲する曲り部と直線部との間に設けられる。図8において、位置Bは直線部と接続部との境界を示し、位置Dは曲り部と接続部との境界を示す。接続部の光進行方向の長さはTLであるとする。
なお、光導波路は、直線部(位置A)では、突起部13aの両側のスラブ部の厚みは相互に等しく、直線部におけるスラブ部の厚みは、非対称光導波路(図1又は図2を参照)における第2のスラブ部13bの厚みと等しいとする。以下では、便宜上、直線部におけるスラブ部と、第2のスラブ部13bとを同一のものとみなす。
また、光導波路の直線部は、光導波路が完全に直線状に形成されている部分のみには限定されず、ほぼ直線状に延びている部分をも含む。例えば、例えばある方向に1mm進行したときにそれに直交する方向に10μm程度の変位している場合も直線であるとみなすことができる。また、曲率半径(その絶対値)が十分に大きい場合、例えば曲率半径1cmや10cm程度の場合も、直線であるとみなすことができる。さらには、曲り部の曲率半径に対して十分に大きな曲率半径をもつ場合、例えば曲り部の曲率半径の30倍程度の曲率半径を有する場合も直線であるとみなすことができる。
接続部では、突起部13aの光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部のうち、曲り部における湾曲の外側に対応する側のスラブ部の厚みは、突起部13aから所定の距離だけ離れた位置までは直線部におけるスラブ部13bの厚みに等しい。また、外側に対応するスラブ部の厚みは、突起部13aから所定の距離離れた位置よりも遠い位置では、スラブ部13bの厚みよりも薄い。突起部13aから所定の距離離れた位置よりも遠い位置におけるスラブ部の厚みは、例えば非対称光導波路における第1のスラブ部13cの厚みと等しい。以下では、便宜上、突起部13aから所定の距離離れた位置までに形成されるスラブ部を第2のスラブ部13bと同一のものとみなし、所定離れた位置よりも遠い位置のスラブ部を第1のスラブ部13cとを同一のものとみなす。
具体的に、接続部と直線部との境界である位置Bでは、突起部13aの端部から所定の距離TWだけ離れた位置までは第2のスラブ部13bが形成され、それよりも遠い位置では第1のスラブ部13cが形成される。第2のスラブ部13bの厚みは例えば0.85μmであり、第1のスラブ部13cの厚みは第2のスラブ部13bの厚みよりも0.22μm薄い。つまり、第1のスラブ部13cの厚みは0.63μmである。
接続部では、直線部との接続部分から曲り部との接続部分にかけて、第1のスラブ部13cと第2のスラブ部13bとの境界は突起部13aに近づく。別の言い方をすれば、接続部では、上記所定の距離の最大値はTWで、直線部との接続部分から曲り部との接続部分にかけて、上記所定の距離が減少していく。例えば、図8に示される位置Cでは、位置Bに比べて、第2のスラブ部13bの長さが短く、第1のスラブ部13cが突起部13aに近づいている。接続部と曲り部との境界である位置Dでは、上記所定の距離は0であり、第1のスラブ部13cは突起部13aに隣接して形成される。
接続部において、第2のスラブ部13bは、曲り部の外側に対応する側にのみ、片テーパ状に形成される。別の言い方をすれば、接続部において、第2のスラブ部13bは、突起部13aを中心として非対称な片テーパ構造(傾斜構造)を有する。非対称な片テーパ構造の外側の領域には、オーバエッチング量ROHだけ更に掘り下げられた第1のスラブ部13cが形成されている。接続部において、片テーパ状に形成された第2のスラブ部13bの幅を、直線部から曲り部にかけて徐々に狭めていくことにより、対称構造を有する光導波路から非対称光導波路への変換がなされる。このような接続部を用いることで、対称構造を有する直線部のリブ型光導波路から、曲り部の非対称光導波路への、急激な構造変化を回避することができる。
図9は、接続部を介した直線部と曲り部との接続を示す。この例では、光導波路の曲り部は、紙面の上下方向と左右方向との間で、光進行方向を90度曲げる。例えば、紙面の下側から上側に向かって、突起部13aの両側に第2のスラブ部13bを有する対称構造の光導波路(直線部)を進行してきた光は、曲げ方向の外側にのみ片テーパ状に第2のスラブ部13bが形成された接続部(第1の接続部)に入射する。光導波路は、曲り部に向かうに連れて、第1の接続部の片テーパ構造において徐々に非対称性が強められ、第1の接続部と曲り部との境界で、曲がり方向の外側に第1のスラブ部13cを有する非対称光導波路に変換される。
曲り部に入射した光は、曲り部において進行方向が90度曲げられる。曲り部では、突起部13aの曲がり方向外側の第1のスラブ部13cの厚みが、内側の第2のスラブ部13bの厚みよりも薄いため、光の対称性が維持され(図3(b)を参照)、曲り部における偏光変換が抑制される。進行方向が90度曲げられた光は、曲げ方向の外側にのみ片テーパ状(逆片テーパ状)に第2のスラブ部13bが形成された接続部を通じて、紙面に向かって左右方向に延びる直線部に入射する。光導波路は、曲り部から直線部に向かうに連れて、第2の接続部の逆片テーパ構造において徐々に非対称性が弱められ、第2の接続部と直線部との境界で、突起部13aの両側に第2のスラブ部13bを有する対称構造の光導波路に変換される。
なお、曲り導波路領域において曲がり方向の外側にあるスラブ部は、突起部13aからある程度離れた距離まで薄く形成されていればよく、その距離以降は直線部におけるスラブ部と同様な厚みを有していてもよい。例えば、曲り導波路領域では、突起部13aの端部から1μm〜2μm程度離れた位置まで第1のスラブ部13cが形成されていればよく、それよりも遠い位置では第2のスラブ部13bが形成されることとしてもよい。接続部についても同様である。
一般に、90度ハイブリッドミキサなどの光集積回路では、多数の直線光導波路と曲り光導波路とが混在する。直線光導波路と曲り光導波路との接続部分の全てに上記接続部を設けることとした場合、接続部が多数設けられることから、接続部単体における過剰損失、及び偏光変換抑制率が非常に重要となる。接続部における過剰損失及び偏光変換抑制率は、接続部(片テーパ状に形成された第2のスラブ部13b)の長さTL、及び片テーパ状に形成される第2のスラブ部13bの片テーパ幅(図8のTW)に依存して変化するものと考えられる。本発明者は、シミュレーションを行い、接続部の長さ(片テーパ長)TLと片テーパ幅TWとが偏光変換抑制率及び過剰損失に与える影響を調べた。
図10は、片テーパ長TLと偏光変換抑制率との関係を示す。図10に示されるグラフにおいて、横軸は片テーパ長TLを表し、縦軸は偏光変換抑制率を表す。シミュレーションにおいて、片テーパ幅TWが0.5μmの場合と、1.0μmの場合と、2μmの場合とのそれぞれについて、片テーパ長TLを変化させつつ、各形テーパ長とした場合の偏光変換抑制率を求めたところ、図10に示される結果が得られた。
図10を参照すると、片テーパ長TLが長くなるに従って、偏光変換抑制率が徐々に低下することがわかる。偏光変換抑制率が低下する理由は、接続部において光導波路を対称構造から非対称構造へと滑らかに変動させているとはいえ、接続部自体が非対称構造であるため、光の伝搬距離が長くなると、接続部において偏光変換が生じるためであると考えられる。一方で、片テーパ幅TWを変化させた場合、同じ片テーパ長TLで比較すると、片テーパ幅TWが大きいほど、偏光変換抑制率は向上する。これらから、非対称構造となる接続部の長さをできるだけ短くし、かつ急峻な片テーパ構造とすることで、偏光変換抑制率を高めることができると考えられる。
接続部における片テーパ状に形成された第2のスラブ部13bの接続部の長さ方向の勾配は、TW/TLで与えられる。図11に、偏光変換抑制率をTW/TLで規格化した結果を示す。図11に示されるグラフにおいて、横軸はTW/TLを表し、縦軸は偏光変換抑制率を表す。図11を参照すると、TW/TLの値が大きくなるにつれて、すなわち片テーパ構造の勾配が急峻になるにつれて、偏光変換抑制率が高くなることがわかる。従って、偏光変換抑制の観点からは、TW/TLの値は大きいことが好ましい。
図12は、図11に示されるグラフの一部を拡大して示す。TW/TLが0.005以下の範囲において、TW/TLをxとし、偏光変換抑制率をyとして、xとyの関係を表す近似式を求めると、y=3.548×108x5-1.130×108x4+7.912×106x3-2.318×105x2+3.630×103x+2.225×101という近似式が得られた。偏光変換抑制率の指標の1つとして30dBを考えると、30dB以上の偏光変換抑制率を得るためには、TW/TLを0.0025以上とする必要がある。
図13は、TW/TLと接続部の過剰損失との関係を示す。図13に示されるグラフにおいて、横軸はTW/TLを表し、縦軸は接続部の過剰損失を表す。図13を参照すると、接続部自体の過剰損失は、TW/TLが小さいほど低いことがわかる。従って、過剰損失の観点からは、TW/TLの値は小さいことが好ましい。
ここで、接続部自体の過剰損失は0.01dBよりも低く、個々の接続部で生じる損失は非常に低い。しかしながら、光集積回路では、直線部と曲り部とが接続される部分が100箇所以上存在することがある。接続部の数が増えると、1箇所あたりの過剰損失が低いとしても、全体として見たときに接続部の過剰損失が無視できなくなる。
上記したように、TW/TLの値は、偏光変換抑制の観点からは大きいことが好ましく、過剰損失の観点からは小さいことが好ましい。TW/TLの値が小さければ、過剰損失を低下させることはできるものの、偏光変換抑制の効果は薄れる。逆に、TW/TLの値が大きければ、偏光変換は抑制できるものの、過剰損失は増加する。光集積回路では、過剰損失及び偏光変換抑制率のバランスに応じて、接続部における片テーパ長TLと片テーパ幅TWを選定することが好ましい。
本実施形態では、リブ型光導波路の曲り導波路領域において、突起部13aの曲がり方向外側の第1のスラブ部13cの厚みを、内側の第2のスラブ部13bの厚みよりも薄くする。このように、曲り導波路領域に非対称構造を導入することで、曲り導波路領域において光導波路内への光閉じ込めを強くすることができ、スラブ領域への光の染み出しを抑制することができる。その結果として、曲り導波路領域において光モードの対称性を向上させることができ、一般的なリブ型光導波路の構造に比べて偏光変換を抑制することができる。
また、本実施形態では、対称構造を有する光導波路と非対称光導波路との接続部分に、曲り部の外側に対応する側にのみ、第2のスラブ部13bが片テーパ状に形成される接続部が設けられる。接続部では、曲がり方向の外側に対応する側でのみ、第2のスラブ部13bの幅が直線部から曲り部に向けて徐々に狭くなる。このような接続部を用いることで、直線部における対称構造から曲り部における非対称構造へ、又は、曲り部における非対称構造から直線部における対称構造へと、構造を緩やかな変換することができる。その結果として、モードミスマッチを抑制し、それに起因する過剰損失の発生を抑制することができる。
なお、上記実施形態では、光導波路がシリコン導波路である例を説明したが、これには限定されない。光導波路は、例えばInP系化合物などの半導体導波路であってもよい。前述のように、上記実施形態では、曲り導波路領域において、外側のスラブ部を内側のスラブ部よりわずかでも薄くすることで偏光変換の抑制が可能である。上記したSi膜厚、リブ幅、及びリブ高さなどの数値は一例であり、特に上記した値に限定されることはない。
上記実施形態では、接続部において、曲り方向の外側に対応するスラブ部の幅が直線部から曲り部に向かって一次関数的に減少する例を示したが、これには限定されない。接続部において曲がり方向の外側に形成されるスラブ部の幅は、直線部から曲り部に向かって単調に減少するものであればよい。例えば、接続部において曲がり方向の外側に形成されるスラブ部の幅が、直線部から曲り部に向かって、2次関数或いはより高次の関数に従って減少することとしてもよい。
上記実施形態では、光集積回路において、直線部と曲り部との間に接続部が設けられる例を説明したが、これには限定されない。接続部を設けずに、直線部と曲り部とを直接に接続することとしてもよい。あるいは、接続部が設けられる場合において、接続部は、光集積回路における光導波路の全ての曲り部と直線部との間に設けられている必要はなく、接続部を介さずに、直線部と曲り部とが接続する箇所が存在してもよい。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本発明に含まれる。
(付記)
本発明の光導波路構造は、コアの第1のスラブ部及び第2のスラブ部が平板状に形成され、かつリブ部が矩形状の断面形状を有するものであってよい。ここで、「平板状」とは、例えばコアの断面形状において縦横比が扁平のもの(リブ部の突出方向の長さ(高さ)が、突出方向に直交する方向の長さ(幅)よりも短いもの)を指す。
10:光導波路
11:基板
12:下層クラッド(第1のクラッド)
12:下層クラッド
13:コア
13a:突起部(リブ部)
13b:スラブ部(第2のスラブ部)
13c:スラブ部(第1のスラブ部)
14:上層クラッド(第2のクラッド)
21:基板
22:クラッド
22:下層クラッド
23:コア
23a:突起部(リブ部)
23b:スラブ部
23c:溝部
23d:テーパ部
24:上層クラッド
50:チャネル型光導波路
51:リブ型光導波路
60、70:光導波路
71:コア
72:上側クラッド
73:下側クラッド
74:基板
75:外側サイドクラッド
76:内側サイドクラッド

Claims (13)

  1. 湾曲した光伝搬方向に光を伝搬するコアと、該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有する光導波路構造であって、
    前記コアは、スラブ部と該スラブ部から突出するリブ部とを含み、
    前記スラブ部は、前記リブ部に対して前記光伝搬方向の外側にある第1のスラブ部と、前記光伝搬方向の内側にある第2のスラブ部とを含み、
    前記第1のスラブ部の厚みが、前記第2のスラブ部の厚みよりも薄い光導波路構造。
  2. 前記第1のスラブ部に対する前記リブ部の突出量が、前記第2のスラブ部に対する前記リブ部の突出量よりも大きい請求項1に記載の光導波路構造。
  3. 前記第1のスラブ部の上面から、前記リブ部の前記光伝搬方向の外側の端部までの高さが、前記第2のスラブ部の上面から、前記リブ部の前記光伝搬方向の内側の端部までの高さよりも高い請求項1又は2に記載の光導波路構造。
  4. 前記コアはシリコンから成る請求項1から3何れか1項に記載の光導波路構造。
  5. 前記クラッドは、前記リブ部が前記スラブ部から突出する側と反対側に配置された第1のクラッドを含む請求項1から4何れか1項に記載の光導波路構造。
  6. 前記クラッドは、前記リブ部が前記スラブ部から突出する側に配置された第2のクラッドを更に含む請求項5に記載の光導波路構造。
  7. 前記第1のクラッド及び前記第2のクラッドは酸化シリコンから成る請求項6に記載の光導波路構造。
  8. 光を伝搬するコアと該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有し、前記コアは、リブ部と該リブ部に対して光の伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部とを含み、かつ前記リブ部は前記スラブ部から突出する光導波路であって、
    直線状に光を伝搬する直線部であって、前記リブ部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部の厚みが相互に等しい直線部と、
    湾曲した方向に沿って光を伝搬する湾曲部であって、前記リブ部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部のうち、湾曲の外側のスラブ部の厚みが、湾曲の内側のスラブ部の厚みよりも薄い湾曲部とを有する光導波路。
  9. 前記直線部と前記湾曲部との間に、前記リブ部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部のうち、前記湾曲部における湾曲の外側に対応する側のスラブ部は、前記リブ部から所定の距離だけ離れた位置までは前記直線部における前記スラブ部の厚みに等しい厚みを有し、かつ前記リブ部から所定の距離離れた位置よりも遠い位置では、前記リブ部から所定の距離だけ離れた位置までにおけるスラブ部の厚みよりも薄い厚みを有する接続部を更に有し、
    前記接続部では、前記直線部との接続部分から前記湾曲部との接続部分にかけて、前記所定の距離が減少する請求項8に記載の光導波路。
  10. 前記接続部の前記湾曲部との接続部分では、湾曲の外側に対応する側のスラブ部の厚みは、前記湾曲部における湾曲の外側のスラブ部の厚みと等しい請求項9に記載の光導波路。
  11. 前記直線部における前記リブ部の光伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部の厚みと、前記湾曲部における湾曲の内側のスラブ部の厚みと、前記接続部における、湾曲の内側に対応する側のスラブ部の厚みとは相互に等しい請求項9又は10に記載の光導波路。
  12. 基板上に、光を伝搬するコアと該コアよりも屈折率が低いクラッドとを有し、前記コアは、リブ部と該リブ部に対して光の伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部とを含み、かつ前記リブ部は前記スラブ部から突出する光導波路が形成された光集積回路であって、
    前記光導波路が1箇所以上の湾曲部を有し、
    前記1箇所以上の湾曲部の少なくとも1箇所において、前記湾曲部の外側に配置されたスラブ部の厚みが、前記湾曲部の内側に配置されたスラブ部の厚みよりも薄い光集積回路。
  13. 前記光導波路は直線状に光を伝搬する直線部を更に有しており、
    前記直線部では、前記光の伝搬方向に直交する方向の両側に配置されたスラブ部の厚みが相互に等しい請求項12に記載の光集積回路。
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