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JP2017202969A - SiC単結晶及びその製造方法 - Google Patents

SiC単結晶及びその製造方法 Download PDF

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Hironori Oguro
寛典 大黒
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Kazuhiko Kusunoki
一彦 楠
和明 関
Kazuaki Seki
和明 関
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Abstract

【課題】4H以外のポリタイプの発生を抑制して4H−SiC単結晶を成長させるSiC単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶基板が4H−SiCであり、前記種結晶基板の(000−1)面を成長面とすること、前記Si−C溶液の表面のうち前記種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部の温度を1900℃以上にすること、及び前記中央部と前記中央部から鉛直方向下方に10mmの位置との間の温度勾配ΔTcと、前記中央部と前記中央部から水平方向に10mmの位置との間の温度勾配ΔTaとの比ΔTc/ΔTaを1.7以上とすることを含む、SiC単結晶の製造方法。【選択図】図14

Description

本開示は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥及び異種ポリタイプ(結晶多形)が生じやすい等の欠点を有するが、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されており、成長結晶の欠陥を低減する試みも行われている。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
そして、溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液またはSi以外の金属を融解したSi融液を形成し、その融液中にCを溶解させ、低温部に設置した種結晶基板上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ熱平衡に近い状態での結晶成長が行われるため、低欠陥化が最も期待でき、異種ポリタイプも生じにくい。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されている。
例えば、特許文献1には、種結晶基板として六方晶SiC単結晶の(000−1)面を使用して、融液の深さ方向の温度勾配を1〜5℃/mmの範囲内で結晶成長させる、六方晶SiC単結晶の製造方法が提案されている。しかしながら、特許文献1等の従来の方法では、例えば、4H−SiC種結晶上に結晶成長させても、6Hや15R等が結晶成長し、4Hを維持できないといったように、ポリタイプの制御を十分に行うことが難しかった。
特開2007−197274号公報 特開2006−131433号公報
SiC結晶には、2H、3C、4H、6H、及び15Rといったポリタイプ(結晶多形)を有することが知られている。各ポリタイプは、物理的、電気的特性が互いに異なるため、SiC結晶をデバイスに応用するためには、ポリタイプの制御を行う必要がある。デバイス応用には、ホール移動度が大きくパワーデバイスとして用いたときのオン抵抗を小さくできる観点から、4H−SiCが好ましく用いられる。しかしながら、特許文献1等の従来の方法では、異種ポリタイプが生成し、4H−SiC単結晶を安定して得ることが難しかった。
したがって、ポリタイプの制御を十分に行うことができるSiC単結晶の製造方法が望まれている。
本願発明者は、ポリタイプの制御について鋭意研究を行い、特許文献1等の従来技術においては、Si−C溶液の水平方向(成長面に平行方向)の温度勾配が考慮されておらず、水平方向の温度勾配が大きくなった場合、テラス幅が広くなり、異種ポリタイプの核がテラスに発生し、ポリタイプの制御を十分にできないという知見を得た。そして、本願発明者は、種結晶基板として4H−SiC単結晶を用い、種結晶基板の(000−1)面を成長面としつつ、Si−C溶液の鉛直方向の温度勾配に対して水平方向の温度勾配を小さくすることによって、4H以外のポリタイプの発生を抑制して4H−SiC単結晶を成長させることができることを見出した。
本開示は、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
前記種結晶基板が4H−SiCであり、
前記種結晶基板の(000−1)面を成長面とすること、
前記Si−C溶液の表面のうち前記種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部の温度を1900℃以上にすること、及び
前記中央部と前記中央部から鉛直方向下方に10mmの位置との間の温度勾配ΔTcと、前記中央部と前記中央部から水平方向に10mmの位置との間の温度勾配ΔTaとの比ΔTc/ΔTaを1.7以上とすること
を含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示はまた、成長面におけるテラス幅が11μm以下であり4H率が46%以上のSiC単結晶を対象とする。
本開示の方法によれば、4H以外のポリタイプの発生を抑制して4H−SiC単結晶を成長させることができる。
図1は、本開示の製造方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の断面模式図である。 図2は、Si−C溶液24の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部付近の拡大模式図である。 図3は、大きな幅を有するテラスに4H以外の二次元核が発生する態様を表す断面模式図である。 図4は、テラス幅が小さく4H以外の二次元核が発生しない態様を表す断面模式図である。 図5は、種結晶基板14とSi−C溶液24との間に形成されるメニスカス34の断面模式図である。 図6は、4Hと判定した成長結晶のラマンスペクトルである。 図7は、得られた成長結晶を成長面から観察した外観写真である。 図8は、得られた成長結晶の成長面を拡大した光学顕微鏡写真である。 図9は、得られた成長結晶を成長面から観察した外観写真である。 図10は、得られた成長結晶の成長面を拡大した光学顕微鏡写真である。 図11は、4H以外のポリタイプが発生した成長結晶のラマンスペクトルである。 図12は、得られた成長結晶を成長面から観察した外観写真である。 図13は、得られた成長結晶の成長面を拡大した光学顕微鏡写真である。 図14は、ΔTc/ΔTaによる4H率を表すグラフである。 図15は、Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部の温度と4H率との関係を表すグラフである。
本明細書において、(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
SiC結晶にはさまざまなポリタイプがあり、自由エネルギーに差がほとんどないため、従来、溶液法を用いて4H−SiCの種結晶基板の上に結晶成長させた場合でも、6Hや15R等が結晶成長し、4H−SiC単結晶を安定して得ることが難しかった。
これに対して、本願発明者は、種結晶基板として4H−SiC単結晶を用い、種結晶基板の(000−1)面を成長面としつつ、Si−C溶液の鉛直方向の温度勾配に対して水平方向の温度勾配を小さくすることによって、4H以外のポリタイプの発生を抑制して4H−SiC単結晶を安定して成長させることができることを見出した。
本開示は、内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、前記種結晶基板が4H−SiCであり、前記種結晶基板の(000−1)面を成長面とすること、前記Si−C溶液の表面のうち前記種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部の温度を1900℃以上にすること、及び前記中央部と前記中央部から鉛直方向下方に10mmの位置との間の温度勾配ΔTcと、前記中央部と前記中央部から水平方向に10mmの位置との間の温度勾配ΔTaとの比ΔTc/ΔTaを1.7以上とすることを含む、SiC単結晶の製造方法を対象とする。
本開示の方法によれば、4H以外のポリタイプの発生を抑制して安定して4H−SiC単結晶を成長させることができる。
本開示の方法においては、溶液法が用いられる。溶液法とは、内部(深部)から液面(表面)に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、SiC種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法である。Si−C溶液の内部からSi−C溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成することによって、Si−C溶液の表面領域を過飽和にして、Si−C溶液に接触させた種結晶基板から、SiC単結晶を成長させることができる。
図1に、本開示の製造方法に用いられ得るSiC単結晶製造装置の断面模式図の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の液面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、鉛直方向に昇降可能な種結晶保持軸12の先端に保持された種結晶基板14をSi−C溶液24に接触させて、種結晶基板14からSiC単結晶を成長させることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶基板14の下面近傍は、Si−C溶液24の内部よりも低温となる温度勾配ΔTcが形成されているので、高温で溶解度の大きい溶液内部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶基板付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶基板14上にSiC結晶を成長させることができる。
本開示の方法に用いる種結晶基板は、(000−1)面を有する4H−SiC単結晶であればよく、SiC単結晶の製造に一般に用いられる品質の単結晶を種結晶基板として用いることができる。例えば、昇華法で一般的に作成したSiC単結晶を種結晶基板として用いることができる。
種結晶基板は、4H−SiC単結晶であり(000−1)面を有する限り、板状、円盤状、円柱状、角柱状、円錐台状、または角錐台状等の任意の形状であることができる。
本開示の方法においては、種結晶基板の(000−1)面を成長面とする。種結晶基板の(000−1)面を成長面とすることによって、成長界面に金属インクージョンを混入することなく単結晶成長することができる。
本開示の方法においては、図2に示すように、Si−C溶液24の表面(液面)のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部(中央位置)と前記中央部から鉛直方向下方に10mmの位置との間の温度勾配をΔTcとし、前記中央部と前記中央部から水平方向に10mmの位置との間の温度勾配をΔTaとし、ΔTcとΔTaとの比であるΔTc/ΔTaを1.7以上とする。図2は、Si−C溶液24の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部付近の拡大模式図である。
ΔTcは、Si−C溶液24の液面に対して垂直方向の表面領域の温度勾配であって、Si−C溶液の内部から溶液の液面(表面)に向けて温度低下する温度勾配である。ΔTcは、Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部における低温側となる温度Aと、前記中央部から鉛直方向に10mmの深さにおける高温側となる温度Bを、種結晶基板をSi−C溶液に接触させる前に熱電対を用いて事前に測定し、その温度差を、温度A及び温度Bを測定した位置間の距離10mmで割ることによって、平均値として算出することができる。
ΔTaは、Si−C溶液の液面(表面)の水平方向の温度勾配である。ΔTaは、Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部から外周部に向かって水平方向に温度上昇する温度勾配である。ΔTaは、Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部における低温側となる温度Cと、前記中央部から水平方向に10mmの位置における高温側となる温度Dを、種結晶基板をSi−C溶液に接触させる前に熱電対を用いて事前に測定し、その温度差を、温度C及び温度Dを測定した位置間の距離10mmで割ることによって、平均値として算出することができる。
ΔTc/ΔTaは1.7以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは4.0以上、さらにより好ましくは5.0以上、さらにより好ましくは5.3以上である。ΔTc/ΔTaを上記範囲内にすることによって、テラス幅が小さくなり、ステップフロー成長が進行する。その結果、4H−SiC単結晶を安定して成長させることができる。テラス幅を小さくして、SiC単結晶を成長させることにより、テラスに4H以外の異種ポリタイプが発生することを抑制することができ、成長させるSiC単結晶の4Hの割合(以下、4H率ともいう)を高めることができる。
ΔTc及びΔTaは、ΔTc/ΔTaを上記範囲内にすることができれば特に限定されるものではないが、ΔTcは、好ましくは5℃/cm〜50℃/cm、より好ましくは7℃/cm〜30℃/cm、さらに好ましくは8℃/cm〜25℃/cmであり、ΔTaは、好ましくは0℃/cm〜15℃/cm、より好ましくは0℃/cm〜8℃/cm、さらに好ましくは0℃/cm〜4℃/cm、さらにより好ましくは0℃/cm〜1.5℃/cm、最も好ましくは0℃/cmである。
Si−C溶液の鉛直方向の温度勾配であるΔTcは、従来と同様の方法で制御することができ、坩堝の周囲に配置した加熱装置の出力調整、坩堝上部の蓋の開口部の大きさ等により制御することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる所定の温度勾配ΔTcを形成することができる。Si−C溶液の水平方向の温度勾配であるΔTaは、坩堝内径、坩堝の周囲に配置する断熱材の厚み等により制御することができる。例えば、坩堝内径を小さくすれば、水平方向の温度勾配ΔTaを小さくすることができる。また、坩堝の周囲に配置する断熱材の厚みを大きくしても、水平方向の温度勾配ΔTaを小さくすることができる。このようにしてΔTc及びΔTaを制御することにより、ΔTc/ΔTaを制御することができる。
本開示の方法において、Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部の温度は1900℃以上、より好ましくは1950℃以上、さらに好ましくは2000℃以上、さらにより好ましくは2050℃以上である。前記中央部の温度を上記範囲内にすることによって、成長させるSiC単結晶の4H率をより高めることができる。前記中央部の温度の上限は、例えば2200℃以下であることができる。
本開示の方法によれば、成長させるSiC単結晶の4H率を従来よりも高めることができる。本開示の方法によれば、4H率が46%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは68%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは100%のSiC単結晶を得ることができる。
成長結晶における4H率は、成長結晶の成長面についてラマン分光分析を行うことによって、測定ことができる。4H率の測定手順の具体例を、後述の実施例に記載する。
理論に束縛されるものではないが、本開示の方法による4H率向上のメカニズムを以下に説明する。
SiCの結晶成長は、ステップフロー成長により進行する。ステップフロー成長とは、結晶成長面上に向きが同じで幅がほぼ等間隔のステップが順次に形成される態様で結晶が成長する態様をいう。ステップのうち、次に成長したステップに覆われない部分をテラスという。
図3に示すように、結晶成長時にテラス幅が大きくなると、テラスに4H以外の二次元核が発生する確率が高くなり、そして、その核を起点として、6H、15R等の異種ポリタイプが発生することにつながる。Si−C溶液の水平方向の温度勾配が垂直方向の温度勾配に対して大きくなると、ステップ前進速度が速くなるため、テラス幅が大きくなる。図3は、大きな幅を有するテラスに4H以外の二次元核が発生する態様を表す断面模式図である。
Si−C溶液の液面における水平方向の温度勾配を小さくすると、Si−C溶液の液面における水平方向の温度勾配を駆動力とするステップフロー成長の成長速度が遅くなる。Si−C溶液の液面における水平方向の温度勾配を駆動力とするステップフロー成長速度が遅くなると、図4に示したように、テラス幅が小さくなる。テラス幅が小さくなることにより、4H以外の二次元核がテラスに付着し難くなり、4H−SiCが安定して生成し易くなると考えられる。図4は、テラス幅が小さく4H以外の二次元核が発生しない態様を表す断面模式図である。
本開示の方法によれば、上記メカニズムによって、SiC成長結晶の4H率を向上することができると考えられる。
テラスは、成長面の外周部において同心円状に形成される。本開示の方法によれば、成長面におけるテラス幅が11μm以下、好ましくは4μm以下の4H−SiC単結晶を得ることができる。本願において、テラス幅とは、成長面の外周部から成長面の中心に向かって1mm、5mm、及び10mmの3箇所を、光学顕微鏡にて視野範囲600μm角(10倍で観察時)〜1.5mm角(20倍で観察時)で観察して測定されるテラス幅の平均値であり、成長面を光学顕微鏡(倍率10倍〜20倍)で観察することにより測定される。
坩堝は、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝が好ましい。坩堝の形状は円筒形が好ましい。坩堝の内径は、使用する単結晶製造装置の大きさに応じて適宜に設定することができ、例えば、30〜200mm、40〜120mm等とすることができる。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。断熱材18は、黒鉛系断熱材料、炭素繊維成形断熱材料等であることができ、断熱材の厚みは、例えば4〜15mmであることができる。
本開示の方法において、Si−C溶液とは、SiまたはSi/X(XはSi以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするCが溶解した溶液をいう。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。
Si−C溶液は、Si/Cr/X(XはSi及びCr以外の1種以上の金属)の融液を溶媒とするSi−C溶液が好ましい。原子組成百分率でSiが30〜80、Crが20〜60、及びXが0〜10(Si:Cr:X=30〜80:20〜60:0〜10)の融液を溶媒とするSi−C溶液が、Cの溶解量の変動が少なくさらに好ましい。例えば、坩堝内にSiに加えて、Cr、Ni等を投入し、Si−Cr溶液、Si−Cr−Ni溶液等を形成することができる。
Si−C溶液24は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製したSiまたはSi/Xの融液に、Cを溶解させることによって調製される。坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝またはSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液を形成することができる。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、または固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、またはこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
単結晶製造装置への種結晶基板の設置は、種結晶基板の上面を種結晶保持軸に保持させることによって行うことができる。種結晶基板の種結晶保持軸への保持には、カーボン接着剤を用いることができる。
種結晶保持軸12は、その端面に種結晶基板14を保持する軸であり、黒鉛の軸であることができ、円柱状、角柱状等の任意の形状を有することができる。
種結晶基板14のSi−C溶液24への接触は、種結晶基板14を保持した種結晶保持軸12をSi−C溶液24の液面に向かって降下させ、種結晶基板14の下面である(000−1)面をSi−C溶液24の液面に対して平行にしてSi−C溶液24に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液24の液面に対して種結晶基板14を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。
種結晶基板14の水平方向の保持位置は、ΔTc/ΔTaの比率を上記範囲にし、且つSi−C溶液24の表面温度を上記温度範囲にして、種結晶基板14の成長面から結晶成長を行うことができる限り、特に限定されるものではないが、好ましくは、坩堝10に収容されるSi−C溶液24の表面の略中央部に保持される。
種結晶基板14の鉛直方向の保持位置は、種結晶基板14の下面の位置が、Si−C溶液面に一致するか、Si−C溶液面に対して下側にあるか、またはSi−C溶液面に対して上側にあってもよい。図5に示すように、種結晶基板14の下面にのみSi−C溶液24を濡らしてメニスカス34を形成するように、種結晶基板の下面の位置が、Si−C溶液面に対して上方に位置してもよい。図5は、種結晶基板14とSi−C溶液24との間に形成されるメニスカス34の断面模式図である。
メニスカスを形成する場合、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に対して0.5〜3mm上方の位置に保持することが好ましい。種結晶基板の下面をSi−C溶液面に対して上方の位置に保持する場合は、一旦、種結晶基板をSi−C溶液に接触させて種結晶基板の下面にSi−C溶液を接触させてから、所定の位置に引き上げる。メニスカスを形成して結晶成長させることにより、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触することを容易に防止し、多結晶の発生を防止することができる。
種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液面に一致するか、またはSi−C溶液面よりも下側にしてもよいが、多結晶の発生を防止するために、種結晶保持軸にSi−C溶液が接触しないようにすることが好ましい。これらの方法において、SiC単結晶の成長中に種結晶基板の位置を調節してもよい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
断熱材18に覆われた坩堝10は一括して、石英管26内に収容される。石英管26の外周には、加熱装置として高周波コイル22が配置される。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、装置内の雰囲気調整を可能にするために、ガス導入口とガス排気口とを備える。
坩堝10は、上部に種結晶保持軸12を通す開口部28を備えており、開口部28における坩堝10と種結晶保持軸12との間の隙間(間隔)を調節することによって、Si−C溶液24の液面からの輻射抜熱の程度を変更することができる。概して坩堝10の内部は高温に保つ必要があるが、開口部28における坩堝10と種結晶保持軸12との間の隙間を大きく設定すると、Si−C溶液24の液面からの輻射抜熱を大きくすることができ、開口部28における坩堝10と種結晶保持軸12との間の隙間を狭めると、Si−C溶液24の液面からの輻射抜熱を小さくすることができる。開口部28における坩堝10と種結晶保持軸12との間の隙間(間隔)は片側2〜10mm程度が好ましい。メニスカスを形成したときは、メニスカス部分からも輻射抜熱をさせることができる。
一実施態様において、SiC単結晶の成長前に、種結晶基板の表面層をSi−C溶液中に溶解させて除去するメルトバックを行ってもよい。SiC単結晶を成長させる種結晶基板の表層には、転位等の加工変質層や自然酸化膜などが存在していることがあり、SiC単結晶を成長させる前にこれらを溶解して除去することが、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。溶解する厚みは、種結晶基板の表面の加工状態によって変わるが、加工変質層や自然酸化膜を十分に除去するために、およそ5〜50μmが好ましい。
メルトバックは、Si−C溶液の内部からSi−C溶液の液面に向けて温度が増加する温度勾配、すなわち、SiC単結晶成長とは逆方向の温度勾配をSi−C溶液に形成することにより行うことができる。高周波コイルの出力を制御することによって上記逆方向の温度勾配を形成することができる。
一実施態様において、あらかじめ種結晶基板を加熱しておいてから種結晶基板をSi−C溶液に接触させてもよい。低温の種結晶基板を高温のSi−C溶液に接触させると、種結晶に熱ショック転位が発生することがある。種結晶基板をSi−C溶液に接触させる前に、種結晶基板を加熱しておくことが、熱ショック転位を防止し、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。種結晶基板の加熱は種結晶保持軸ごと加熱して行うことができる。この場合、種結晶基板をSi−C溶液に接触させた後、SiC単結晶を成長させる前に種結晶保持軸の加熱を止める。または、この方法に代えて、比較的低温のSi−C溶液に種結晶基板を接触させてから、結晶を成長させる温度にSi−C溶液を加熱してもよい。この場合も、熱ショック転位を防止し、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。
本開示はまた、成長面におけるテラス幅が11μm以下であり従来よりも4H率が高い、特に4H率が46%以上のSiC単結晶を対象とする。
テラスは、成長面の外周部において同心円状に形成されている。成長面におけるテラス幅が上記範囲内の4H−SiC単結晶は、テラスに異種ポリタイプの核が発生することが抑制されるので、従来よりも4H率が高いSiC単結晶が得られる。
テラス幅は、好ましくは4μm以下である。4H率は、好ましくは50%以上、より好ましくは68%以上、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。
上記の製造方法において記載したテラス幅の観察、測定方法等の内容は、本SiC単結晶についても適用される。
以下の実施例及び比較例における4H率の算出は、以下の方法によって行った。
成長結晶の成長面を、均等に1mm間隔に区分けして、それぞれの区画の略中央部について、ラマン分光分析を行った。分析条件は次の通りである:励起波長532nm、20mW、レーザー照射径2.7μm、後方散乱配置、露光時間2秒、積算回数1回、回折格子1600gr/mm、共焦点ホール径10μm、室温、大気中。
ラマン分光分析した成長面の全区画が4Hであった場合、成長結晶を4H−SiCと判定した。各区画における4Hかどうかの判定は、4Hのみのラマンピークが得られていれば4Hと判定し、4H以外のラマンピークがみられたら4Hではないと判定した。各実施例及び比較例において同条件で複数回結晶成長させて複数個の成長結晶を得て、前記複数個の成長結晶の成長面についてラマン分光法で分析を行い、4H−SiCと判定された成長結晶の数の、前記複数個の成長結晶の個数に対する割合を4H率とした。すなわち、4H率が100%とは、例えば30個の成長結晶のうち、30個の成長結晶のそれぞれの成長面の全区画が4H−SiCと判定される場合をいい、4H率が50%とは、例えば30個の成長結晶のうち、15個の成長結晶のそれぞれの成長面の全区画が4H−SiCと判定され、残りの15個の成長結晶が4H−SiCと判定されない場合をいう。成長面の全区画のうち一つでも4H−SiCと判定されない区画がある場合は、その成長結晶は4H−SiCではないと判定した。
(実施例1)
図1に示す単結晶製造装置を用いた。直径が12.7mm、厚みが700μmの円盤状4H−SiC単結晶であって、下面が(000−1)面を有する昇華法により作製したSiC単結晶を用意して、種結晶基板14として用いた。直径が12.7mm及び長さが200mmで種結晶基板の上面と同じ形状の端面を有する円柱状の黒鉛の種結晶保持軸12を用意した。種結晶基板14の下面が(000−1)面となるようにして、種結晶基板14の上面を、種結晶保持軸12の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。
坩堝10の上蓋中央部に開けた直径18.7mmの円形の開口部28に種結晶保持軸12を通すようにして種結晶保持軸12及び種結晶基板14を配置した。開口部28における坩堝10と種結晶保持軸12との間の隙間は片側3mmずつであった。
15mm厚の炭素繊維フェルト成型断熱材を周囲に配置した内径40mmの黒鉛坩堝に、Si、Cr、及びNiを、Si:Cr:Ni=55:40:5(at%)の原子組成比率で、Si−C溶液を形成するための融液原料として仕込んだ。
単結晶製造装置の内部を1×10-3Paに真空引きした後、1気圧になるまでアルゴンガスを導入して、該単結晶製造装置の内部の空気をアルゴンで置換した。高周波コイルに通電して加熱により黒鉛坩堝内の原料を融解し、Si/Cr/Ni合金の融液を形成した。そして、黒鉛坩堝からSi/Cr/Ni合金の融液に十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液を形成した。
上段コイル及び下段コイルの出力を調節して黒鉛坩堝を加熱し、Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部における温度を1900℃以上1950℃未満の温度範囲に昇温し、Si−C溶液の表面中央部から10mmの範囲で溶液内部からSi−C溶液の液面に向けて鉛直方向に温度低下する温度勾配ΔTcが8℃/cmとなるように制御した。本例において、上記Si−C溶液の表面のうち種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部とは、Si−C溶液の表面中央部である。このときのSi−C溶液の表面中央部と前記表面中央部から水平方向に10mmの位置との間の温度勾配ΔTaは1.5℃/cmであった。ΔTc/ΔTaは5.3であった。Si−C溶液の液面の水平方向の温度測定は放射温度計により行い、Si−C溶液の鉛直方向の温度測定は、鉛直方向に移動可能な熱電対を用いて行った。
種結晶保持軸12に接着した種結晶基板の下面となる(000−1)面をSi−C溶液面に平行にして、種結晶基板の下面の位置を、Si−C溶液の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液に種結晶基板の下面のみをSi−C溶液に接触させるシードタッチを行い、その位置で10時間保持することにより、結晶成長を行った。
結晶成長の終了後、種結晶保持軸12を上昇させて、種結晶基板14及び種結晶基板から成長したSiC単結晶を、Si−C溶液24及び種結晶保持軸12から切り離して回収した。次いで、同様の条件で、26回結晶成長を行い、合計27個の成長結晶を得た。
成長結晶のポリタイプをラマン分光分析により調べたところ、得られた27個の成長結晶の4H率は100%であった。4H率の算出は、上述の方法を用いて行った。図6に、4Hと判定した成長結晶のラマンスペクトルを示す。204cm−1に4Hのピークがみられたが、4H以外のポリタイプのピークはみられなかった。図7に、得られた成長結晶の成長面から観察した外観写真を示す。この成長結晶の成長厚みは2.8mmであった。成長結晶の成長面の外周部から成長面の中心に向かって1mm、5mm、及び10mmの3箇所について、光学顕微鏡を用いて600μm角の範囲を20倍の倍率で観察したところ、この成長結晶の成長面のテラス幅は4μmであった。図8に、得られた成長結晶の成長面を拡大した光学顕微鏡写真を示す。テラス幅を矢印で挟んで示した。
(実施例2−1)
種結晶基板として直径が50.4mmのSiC単結晶及び内径が70mmの黒鉛坩堝を用いて、ΔTcを25℃/cmとし、ΔTaを15℃/cmとし、ΔTc/ΔTaを1.7として、13回結晶成長を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた13個の成長結晶の4H率は46%であった。図9に、得られた成長結晶の成長面から観察した外観写真を示す。この成長結晶の成長厚みは2.4mmであった。成長結晶の成長面の外周部から成長面の中心に向かって1mm、5mm、及び10mmの3箇所について、光学顕微鏡を用いて600μm角の範囲を20倍の倍率で観察したところ、この成長結晶の成長面のテラス幅は11μmであった。図10に、得られた成長結晶の成長面を拡大した光学顕微鏡写真を示す。テラス幅を矢印で挟んで示した。
(実施例2−2)
Si−C溶液の表面中央部における温度を1950℃以上2000℃未満の温度として、この温度範囲で25回結晶成長を行ったこと以外は、実施例2−1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた25個の成長結晶の4H率は68%であった。
(実施例2−3)
Si−C溶液の表面中央部における温度を2000℃以上2050℃未満の温度として、この温度範囲で10回結晶成長を行ったこと以外は、実施例2−1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた10個の成長結晶の4H率は70%であった。
(実施例2−4)
Si−C溶液の表面中央部における温度を2050℃以上2100℃未満の温度として、この温度範囲で18回結晶成長を行ったこと以外は、実施例2−1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた18個の成長結晶の4H率は100%であった。
(実施例3)
坩堝の周囲に8mm厚の断熱材を配置して、ΔTcを8℃/cmとし、ΔTaを4℃/cmとし、ΔTc/ΔTaを2.0として、11回結晶成長を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた11個の成長結晶の4H率は100%であった。
(比較例1−1)
種結晶基板として直径が50.4mmのSiC単結晶及び内径が120mmの黒鉛坩堝を用いて、ΔTcを1.5℃/cmとし、ΔTaを3℃/cmとし、ΔTc/ΔTaを0.5として、10回結晶成長を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた10個の成長結晶の4H率は0%であった。図11に、4H以外のポリタイプが発生した成長結晶のラマンスペクトルを示す。155cm−1に6Hのピークがみられたが、4Hのピークはみられなかった。図12に、得られた成長結晶の成長面から観察した外観写真を示す。この成長結晶の成長厚みは2.3mmであった。成長結晶の成長面の外周部から成長面の中心に向かって1mm、5mm、及び10mmの3箇所について、光学顕微鏡を用いて1.5mm角の範囲を10倍の倍率で観察したところ、この成長結晶の成長面のテラス幅は56.8μmであった。図13に、得られた成長結晶の成長面を拡大した光学顕微鏡写真を示す。テラス幅を矢印で挟んで示した。
(比較例1−2)
Si−C溶液の表面中央部における温度を1950℃以上2000℃未満の温度として、この温度範囲で18回結晶成長を行ったこと以外は、比較例1−1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた18個の成長結晶の4H率は0%であった。
(比較例1−3)
Si−C溶液の表面中央部における温度を2000℃以上2050℃未満の温度として、この温度範囲で56回結晶成長を行ったこと以外は、比較例1−1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた56個の成長結晶の4H率は0%であった。
(比較例1−4)
Si−C溶液の表面中央部における温度を2050℃以上2100℃未満の温度として、この温度範囲で26回結晶成長を行ったこと以外は、比較例1−1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた26個の成長結晶の4H率は0%であった。
(比較例2)
坩堝の周囲に4mm厚の断熱材を配置して、ΔTcを8℃/cmとし、ΔTaを8℃/cmとし、ΔTc/ΔTaを1.0として、28回結晶成長を行ったこと以外は、実施例1と同じ条件でSiC単結晶を成長させて回収した。
得られた28個の成長結晶の4H率は35.7%であった。
実施例1、2−1〜2−4、及び3、並びに比較例1−1〜1−4及び2の、ΔTc、ΔTa、ΔTc/ΔTa、及び4H率を表1に示す。図14に、全実施例及び比較例の、ΔTc/ΔTaによる4H率を表すグラフを示す。図15に、実施例1、実施例2−1〜2−4、及び比較例1−1〜1−4の、Si−C溶液の表面中央部の温度と4H率との関係を表すグラフを示す。
100 単結晶製造装置
10 坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶基板
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
28 坩堝上部の開口部
34 メニスカス

Claims (4)

  1. 内部から液面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶基板を接触させてSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法であって、
    前記種結晶基板が4H−SiCであり、
    前記種結晶基板の(000−1)面を成長面とすること、
    前記Si−C溶液の表面のうち前記種結晶基板の成長面が接触する領域の中央部の温度を1900℃以上にすること、及び
    前記中央部と前記中央部から鉛直方向下方に10mmの位置との間の温度勾配ΔTcと、前記中央部と前記中央部から水平方向に10mmの位置との間の温度勾配ΔTaとの比ΔTc/ΔTaを1.7以上とすること
    を含む、SiC単結晶の製造方法。
  2. 前記中央部の温度を1950℃以上にすることを含む、請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
  3. 前記種結晶基板の水平方向の保持位置が、前記Si−C溶液の表面中央部である、請求項1または2に記載のSiC単結晶の製造方法。
  4. 成長面におけるテラス幅が11μm以下であり4H率が46%以上のSiC単結晶。
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