JP2017133686A - 多重偏心形バタフライ弁 - Google Patents
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Description
この多重偏心形バタフライ弁Vは、開閉弁時(実線と鎖線時)、偏心によるカム作用により弁体3の僅かな回転角度で、両弁座4a、5aが離れるため、シール面(弁座4a、5a)の摩耗を防いで弁閉止性能の継続性を有する。
この多重偏心形バタフライ弁Vにおいて、図11に示すように、弁体側弁座4aを弁体3の外周縁に別部材4をOリング6を介在してビス止めしてその一面で形成し、そのOリング6で弁体弁座裏漏れを防止したものV’もある。図中、7は弁体弁座4aを有する部材4の取付板であって、弁体3にビス止めされている。
しかし、メタルシートバタフライ弁は、金属同士の弁座面4a、5aによる開閉弁構造であり、その開閉弁構造を構成する各部材の加工精度や組み付け精度により、弁閉止性能が左右される問題がある。
さらに、土中に埋設した場合も含めて、図12に示すように、特に、化学プラント等のパイプラインにおいては、弁V、V’前後の配管Sから応力(配管応力)Tを受ける場合が多い(同図の鎖線から実線参照)。この場合も、その配管応力Tにより、弁箱1が変形し、その弁箱1と一体成形された弁座5aが変形し、両弁座面4a、5aが適切に当接できず、弁閉止性能が低下する問題が生じる。
このように、多重偏心形バタフライ弁の弁操作、特に弁閉止性能は、外部因子による影響を受ける問題がある。
このようにすれば、上記土圧P又は配管応力Tは弁箱の径方向に加わり、弁箱側弁座部材は、間隙を介してその弁箱径方向に切り離されているため、前記土圧P、配管応力Tの影響を受け難い。このため、弁箱の変形による弁箱及び弁体の両弁座が適切に当接せずに弁閉止性能が低下する問題は生じ難い。
また、弁箱側弁座部材は、弁箱径方向に移動可能のため、弁体の移動に倣って移動して適切な当接状態を維持して弁閉止性能を確保する。このため、その弁箱側弁座等の各部材の加工精度や組み付け精度に依存せずに適切な弁閉止性能を担保できる。
なお、上記「弁箱側弁座部材が流路軸線方向に不動」とは、弁座部材と弁箱等のその支持部材との間にクリアランスがなくて弁座部材が流路軸線方向に全く動かない意ではなく、シール作用(弁閉止作用)に支障がない限りにおいて、クリアランスを有してその流路軸線方向に動く場合を含むものとする(以下同様)。
上記リングは、上記弁箱の流路軸線方向一側の内周面がCカットされているものとすれば、縮径したとき、そのCカット側に変形するため、弁箱内面に嵌め込み固定し易い。
又は、上記片状部材を連結していない弁座押さえのリングを縮径して弁箱側弁座部材の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、片状部材をリングの割り部に連結して弁座押さえを拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したりして、
上記抜け止め突部と弁座押さえの間で、弾性材を介在した間隙を介して弁箱側弁座部材を弁箱径方向に移動可能かつ流路軸線方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付けることができる。
すなわち、その弁箱側弁座部材11は、弁箱1の内周全面に形成された溝12に嵌められ、その溝12の壁面12aをなす突部12’と下記弁座押さえ15によって流路軸線c方向に不動となっている。また、その溝12に嵌った弁箱側弁座部材11の奥部(弁箱1の径方向の位置)には間隙tが形成されて、弁箱側弁座部材11が弁箱1径方向に移動可能となっており、その間隙tに弾性材(例えば、水の場合は弾性止水材)となるOリング13が介在されている。
また、弁箱側弁座部材11は、弁箱径方向に移動可能のため、弁体3の移動に倣って移動して適切な当接状態を維持して弁閉止性を確保する。このため、その弁座部材11等の各部材の加工精度や組み付け精度に依存せずに適切な弁閉止性能を担保する。
また、図4に示すように、弁箱側弁座部材11の弁箱1の流路軸線c方向両側にそれぞれ溝14、14を形成し、その両溝14にそれぞれ弁座押さえ15を嵌めた、突部12’を弁座押さえ15で構成したものとすることもできる。この場合、一方の弁座押さえ15が上記抜け止め突部12’となる。
この樹脂製とすると、弁閉操作時に弁座同士が強固に倣うため、強固な弁閉止性能を確保できる。このとき、図5に示すように、その弾性樹脂製とした弁座部材(この実施形態では弁箱側弁座部材11)の弁箱1の径方向の側面に変形防止用のリング状金属片21を接着や溶着によって固定すれば、その金属片21を固定した弁座部材11の変形が抑制されて上記弁座4a、11a同士の倣いも円滑となってより強固な弁閉止性能を確保できる。
通常、土圧Pに加え流体圧P’等の他の因子によっても、弁箱弁座部材11、弁体弁座部材4が移動・変形する場合があり、特に、弁箱弁座11aは土圧Pによる弁箱1の変形によって径方向に芯ずれする傾向があり、この場合、弁体弁座4aの軸心に対して弁箱弁座11aの芯ずれが生じる。
すなわち、この実施形態は、閉弁時、両弁座4a、11aが適正な接触位置に移動して、閉弁が確実になされる。その移動範囲t及びテーパ度、円弧の曲率は、その適正な移動が行われて確実な閉弁がなされるように、実験等によって適宜に設定する。
また、弁座4a、11aの接触は、テーパ面と円弧面(球面)の接触であるため、基本的には線接触となって摺動抵抗が低減する。
また、この弁座4a、11aの断面テーパ状円錐面と断面円弧状球面の接触構造は、図3〜図5の実施形態等のこの発明に係るバタフライ弁V2〜V4等にも採用し得ることは勿論である。
このとき、弁座押さえ15bのリング16の割り部は片状部材17によって連結されているため、リング16の縮径が抑制されて、弁座押さえ15bが溝14から脱落する(抜ける)ことはない。
また、その図9(b)に示す縮径時、リング16は、弁箱1の流路軸線c方向一側の内周縁がCカット19されているため、同(c)に示すように、そのCカット19側に傾いて弁箱1内に入れ易くなる。そのCカット19は、図示の45度の切り落とし(カット)のみならず、他の角度や円弧状のカットも、前記入れ易くなる作用を発揮する限りにおいて含むものとする。さらに、リング16は、割り部に向かってその肉厚(幅)wが徐々に薄くなって撓み易く部材17が連結し易くなっている(図8参照)。このCカット19は図2のリング15にも採用し得る。
また、上記各実施形態は、上水道、下水道、農業用水道、工業用水道等における土中に埋設した場合であったが、その場合も含めて、化学プラント等のパイプラインにおいて、化学薬品液や気体(ガス)等の各種の流体輸送用配管に介設される多重偏心形バタフライ弁においてもこの発明は採用し得ることは勿論である。
P 土圧
P’ 流体圧
t 間隙
1 弁箱
2 弁軸
3 弁体
4 弁体側弁座部材
4a 弁体側弁座
5、11 弁箱側弁座部材
5a、11a 弁箱側弁座
6、13 Oリング(弾性材)
12 弁箱側弁座部材の収納溝
12’弁箱内面突部
14 弁座部材押さえ用溝
15、15a、15b 弁座押さえ
16 弁座押さえのリング
17 同リングの割り部連結用片状部材
18 同連結用ボルト・ナット
21 金属片
Claims (10)
- 円筒状の流路を形成する弁箱(1)と、その弁箱(1)内の流路軸線(c)に垂直な弁軸(2)と、その弁軸(2)に偏心して設けられて流路を開閉する弁体(3)と、前記弁箱(1)の内周面に設けられた前記弁体(3)の弁座(4a)が接離する弁箱側弁座(11a)を有する弁箱側弁座部材(11)と、を備えた多重偏心形バタフライ弁(V1、V2、V3、V4、V5)であって、
上記弁箱側弁座部材(11)は、弁箱(1)とは別部材からなって、前記弁箱(1)の径方向に位置する間隙(t)を介しその弁箱径方向に移動可能となっているとともに上記流路軸線(c)方向に不動となっており、前記間隙(t)に弾性材(13)が介在された多重偏心形バタフライ弁。 - 上記弁箱側弁座(11a)と弁体(3)の弁座(4a)の一方を断面円弧状の球面とするとともに、他方を上記流路流れ方向に向かって拡径する断面テーパ状の円錐面とした請求項1に記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 上記弁箱側弁座部材(11)の上記流路軸線(c)方向の不動は、上記弁箱(1)の内面から一体に突出して上記弁箱側弁座部材(11)の一側面が摺動する抜け止め突部(12’)と、前記弁箱(1)の内面に嵌められて前記弁箱側弁座部材(11)の他側面が摺動する弁座押さえ(15、15a、15b)とによって行われている請求項1又は2に記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 上記弁体(3)の弁座(4a)を有する弁体側弁座部材(4)と弁箱側弁座(11a)を有する弁箱側弁座部材(11)の一方、又は両方を一定の硬さを有する弾性樹脂製とした請求項1乃至3のいずれか一つに記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 上記弾性樹脂製とした弁座部材(4、11)の上記弁箱(1)の径方向の側面に変形防止用の金属片(21)を固定した請求項4に記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 上記弁座押さえ(15、15b)は、一つ割り円状の拡縮径可能なリングとした請求項3乃至5のいずれか一つに記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 上記弁座押さえ(15b)は、上記拡縮径可能なリング(16)と、その割り部を連結する片状部材(17)とからなり、前記リング(16)は前記片状部材(17)の連結により拡径して弁箱(1)内面に嵌め込み固定されている請求項6に記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 上記リング(16)は上記弁箱(1)の流路軸線(c)方向一側内周縁がCカット(19)されている請求項6又は7に記載の多重偏心形バタフライ弁。
- 請求項3を引用する請求項6、叉は請求項3を引用する請求項6を引用する請求項8に記載の多重偏心形バタフライ弁(V1、V2、V3、V4、V5)における弁箱側弁座部材(11)を弁箱(1)内面に取り付ける方法であって、その弁箱側弁座部材(11)をその一側面を上記抜け止め突部(12’)に当てるとともに弁箱径方向に位置する弾性材(13)を介在して弁箱内面に設け、その後、弁座押さえ(15、15a)を縮径して弁箱側弁座部材(11)の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、弁座押さえ(15、15a)を拡径して弁箱内面に嵌め込み固定し、前記抜け止め突部(12’)と弁座押さえ(15、15a)の間で、前記弾性材(13)を介在した間隙(t)を介して弁箱側弁座部材(11)を弁箱径方向に移動可能かつ上記流路軸線(c)方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付ける方法。
- 請求項3を引用する請求項7、叉は請求項3を引用する請求項7を引用する請求項8に記載の多重偏心形バタフライ弁(V1、V2、V3、V4、V5)における弁箱側弁座部材(11)を弁箱(1)内面に取り付ける方法であって、その弁箱側弁座部材(11)をその一側面を上記抜け止め突部(12’)に当てるとともに弁箱(1)径方向に位置する弾性材(13)を介在して弁箱内面に設け、その後、
弁座押さえ(15b)の上記片状部材(17)をリング(16)の内側に倒伏させてその弁座押さえ(15b)を縮径して弁箱側弁座部材(11)の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、前記片状部材(17)をリング(16)の外側に起立させて弁座押さえ(15b)を拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したり、
又は、上記片状部材(17)を連結していない弁座押さえ(15b)のリング(16)を縮径して弁箱側弁座部材(11)の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、前記片状部材(17)をリング(16)の割り部に連結して弁座押さえ(15b)を拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したりして、
上記抜け止め突部(12’)と弁座押さえ(15b)の間で、前記弾性材(13)を介在した間隙(t)を介して弁箱側弁座部材(11)を弁箱径方向に移動可能かつ上記流路軸線(c)方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付ける方法。
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