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JP2017133686A - 多重偏心形バタフライ弁 - Google Patents

多重偏心形バタフライ弁 Download PDF

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JP2017133686A JP2016201778A JP2016201778A JP2017133686A JP 2017133686 A JP2017133686 A JP 2017133686A JP 2016201778 A JP2016201778 A JP 2016201778A JP 2016201778 A JP2016201778 A JP 2016201778A JP 2017133686 A JP2017133686 A JP 2017133686A
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Abstract

【課題】 土圧Pや配管応力T等による弁閉止性能の低下を防止する。【解決手段】円筒状の流路を形成する弁箱1と、その弁箱1内の流路軸線cに垂直な弁軸2と、その弁軸に偏心して設けられて流路を開閉する弁体3と、弁箱の内周面に設けた弁箱側弁座部材11(弁座11a)と、弁体の外周縁に設けられた弁体側弁座部材4(弁座4a)とを有する多重偏心形バタフライ弁V1である。弁箱側弁座部材11は、弁箱1とは別部材からなって、間隙tを介し弁箱径方向に移動可能となっている。このため、土圧P等によって弁箱1が変形しても影響されない。また、弁箱側弁座部材11は、一つ割り円状で拡縮径可能なリング状弁座押さえ15等により流路軸線方向に不動となって間隙tにOリング13が介在されている。このため、弁箱側弁座部材11は弁体側弁座部材4との適切な当接状態を維持して弁閉止性能の低下を招くことはない。【選択図】図1

Description

この発明は、上水道、下水道、農業用水道、工業用水道、化学プラント等に用いる液体や気体(ガス)等の流体輸送用配管に介設される多重偏心形バタフライ弁に関するものである。
従来から、上下水道などの流体輸送用配管(パイプライン)には多重偏心形バタフライ弁が使用されている。そのバタフライ弁Vは、図10を参照して説明すると、円筒状の流路を形成する弁箱1と、その弁箱1内の流路軸線(弁箱軸方向)cに垂直な弁軸2と、その弁軸2に設けられた弁体3と、を有し、弁軸2の軸心から所定距離離れて、弁箱弁座5aと弁体弁座4aを位置するように弁体3が設けられた構成である。
この多重偏心形バタフライ弁Vは、開閉弁時(実線と鎖線時)、偏心によるカム作用により弁体3の僅かな回転角度で、両弁座4a、5aが離れるため、シール面(弁座4a、5a)の摩耗を防いで弁閉止性能の継続性を有する。
この多重偏心形バタフライ弁Vにおいて、図11に示すように、弁体側弁座4aを弁体3の外周縁に別部材4をOリング6を介在してビス止めしてその一面で形成し、そのOリング6で弁体弁座裏漏れを防止したものV’もある。図中、7は弁体弁座4aを有する部材4の取付板であって、弁体3にビス止めされている。
特公昭62−49511号公報 特開2001−248738号公報
昨今、バルブ(弁)の弁閉止性能の長寿命化が求められており、両弁座4a、5a(部材4)を金属材としたメタルシートバタフライ弁の採用が多くなっている。このメタルシートバタフライ弁は、金属面での接離であるため、弁閉止性能の長寿命化には対応する。
しかし、メタルシートバタフライ弁は、金属同士の弁座面4a、5aによる開閉弁構造であり、その開閉弁構造を構成する各部材の加工精度や組み付け精度により、弁閉止性能が左右される問題がある。
また、土中に埋設した際、図10(b)、図11(b)に示す土圧Pにより、弁箱1が変形し、その弁箱1と一体成形された弁座5aが変形し、両弁座(弁座面)4a、5aが適切に当接できず、弁閉止性能が低下する問題があった。
さらに、土中に埋設した場合も含めて、図12に示すように、特に、化学プラント等のパイプラインにおいては、弁V、V’前後の配管Sから応力(配管応力)Tを受ける場合が多い(同図の鎖線から実線参照)。この場合も、その配管応力Tにより、弁箱1が変形し、その弁箱1と一体成形された弁座5aが変形し、両弁座面4a、5aが適切に当接できず、弁閉止性能が低下する問題が生じる。
このように、多重偏心形バタフライ弁の弁操作、特に弁閉止性能は、外部因子による影響を受ける問題がある。
この発明は、以上の実状の下、加工精度や組み付け精度及び土圧P等の外部因子に影響されず、多重偏心形バタフライ弁の弁閉止性能等を向上させることを課題とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、弁箱側弁座を、弁箱とは別部材で形成し、その弁座部材を間隙を介し弁箱径方向に移動可能となっている構成としたのである。
このようにすれば、上記土圧P又は配管応力Tは弁箱の径方向に加わり、弁箱側弁座部材は、間隙を介してその弁箱径方向に切り離されているため、前記土圧P、配管応力Tの影響を受け難い。このため、弁箱の変形による弁箱及び弁体の両弁座が適切に当接せずに弁閉止性能が低下する問題は生じ難い。
また、弁箱側弁座部材は、弁箱径方向に移動可能のため、弁体の移動に倣って移動して適切な当接状態を維持して弁閉止性能を確保する。このため、その弁箱側弁座等の各部材の加工精度や組み付け精度に依存せずに適切な弁閉止性能を担保できる。
この発明の具体的な構成としては、円筒状の流路を形成する弁箱と、その弁箱内の流路軸線に垂直な弁軸と、その弁軸に偏心して設けられて流路を開閉する弁体と、前記弁箱の内周面に設けてられた前記弁体の弁座が接離する弁箱側弁座を有する弁箱側弁座部材と、を備えた多重偏心形バタフライ弁において、前記弁箱側弁座部材は、弁箱とは別部材からなって、前記弁箱の径方向に位置する間隙を介しその弁箱径方向に移動可能となっているとともに前記流路軸線方向に不動となっており、前記間隙に弾性材が介在された構成を採用することができる。
なお、上記「弁箱側弁座部材が流路軸線方向に不動」とは、弁座部材と弁箱等のその支持部材との間にクリアランスがなくて弁座部材が流路軸線方向に全く動かない意ではなく、シール作用(弁閉止作用)に支障がない限りにおいて、クリアランスを有してその流路軸線方向に動く場合を含むものとする(以下同様)。
上記弁箱側弁座部材を上記流路軸線方向に不動にする手段は、種々の態様が考えられるが、例えば、弁箱の内面から一体に突出して弁箱側弁座部材の一側面が摺動する抜け止め突部と、弁箱の内面に嵌められて弁箱側弁座部材の他側面が摺動する弁座押さえによって行われている構成を採用することができる。
上記弁箱側弁座(以下、適宜に「弁箱弁座」とも言う。)と弁体の弁座(以下、適宜に「弁体弁座」とも言う。)の一方を断面円弧状の球面とするとともに、他方を上記流路の流れ方向に向かって拡径する断面テーパ状の円錐面とすれば、その弁箱弁座と弁体弁座の芯ずれを補正することができる。
弁箱、弁体の各弁座は、金属部材で形成したメタルシートとしても良いが、一方の弁座又は両方の弁座を有する弁座部材を一定の硬度(例えば、ショア硬さ:58〜67)を有する弾性樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂を採用して形成することができる。この樹脂製とすると、弁閉操作時に弁座同士が強固に倣うため、強固な弁閉止性能を確保できる。このとき、その弾性樹脂製とした弁座(弁座部材)の弁箱の径方向の側面に変形防止用の金属片を固定すれば、その金属片を固定した弁座部材の変形が抑制されて前記弁座同士の倣いも円滑となってより強固な弁閉止性能を確保できる。その金属片は、接着や溶着等によって弁座部材に固定し、その固定面は、弁座部材の弁箱径方向の両面でも片面でも良いが、弁座押さえや抜け止め突部に摺接しない面積(露出する面積)の大きい方に少なくとも固定することが好ましい。
上記弁座押さえは、一つ割り円状で拡縮径可能なリング等を採用したり、上記拡縮径可能なリングと、その割り部を連結する片状部材からなり、前記リングは片状部材の連結により拡径して弁箱内面に嵌め込み固定されている構成を採用したりすることができる。
上記リングは、上記弁箱の流路軸線方向一側の内周面がCカットされているものとすれば、縮径したとき、そのCカット側に変形するため、弁箱内面に嵌め込み固定し易い。
この弁座押さえが一つ割り円状で拡縮径可能なリングからなる場合、弁箱側弁座部材をその一側面を上記抜け止め突部に当てるとともに弁箱径方向に位置する弾性材を介在して弁箱内面に設け、その後、弁座押さえを縮径して弁箱側弁座部材の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、弁座押さえを拡径して弁箱内面に嵌め込み固定し、前記抜け止め突部と弁座押さえの間で、前記弾性材を介在した間隙を介して弁箱側弁座部材を弁箱径方向に移動可能かつ上記流路軸線方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付けることができる。
また、弁座押さえが、拡縮径可能なリングと、その割り部を連結する片状部材からなる場合、弁箱側弁座部材をその一側面を抜け止め突部に当てるとともに弁箱径方向に位置する弾性材を介在して弁箱内面に設け、その後、弁座押さえの片状部材をリングの内側に倒伏させてその弁座押さえを縮径して弁箱側弁座部材の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、前記片状部材をリングの外側に起立させて弁座押さえを拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したり、
又は、上記片状部材を連結していない弁座押さえのリングを縮径して弁箱側弁座部材の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、片状部材をリングの割り部に連結して弁座押さえを拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したりして、
上記抜け止め突部と弁座押さえの間で、弾性材を介在した間隙を介して弁箱側弁座部材を弁箱径方向に移動可能かつ流路軸線方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付けることができる。
なお、特許文献1には、多重偏心形バタフライ弁において、弁箱側の弁座を弁箱と別部材とするとともに、ガスケット及びバネ座金を介して弁箱に設けた技術が開示されている。しかし、この技術は、弁箱側弁座を弁箱の径方向に移動可能として弁体の動きに対する追従性を向上させたものであり、本願に係る発明のように、弁箱の変形に対応するために、弾性材を介在して弁閉止性能を積極的に(意識して)担保しつつ、弁座部材(弁座)の弁箱径方向の移動を許容するものではない。
また、特許文献2にも、同様に、多重偏心形バタフライ弁において、弁箱側の弁座を弁箱と別部材とするとともに、Oリングを介して弁箱に設けた技術が開示されている。しかし、この技術も、弁座を弁箱の軸方向に移動可能として弁体の動きに対する追従性を向上させたものであり、前記Oリングは弁座の弁閉止性のためではあるが、そのOリングは単なる止水のためだけであって、本願に係る発明のように、弁箱の変形に対応するために弁座部材の弁箱径方向の移動を許容して弁閉止性能を積極的に担保するものではない。
この発明は、以上のように、弁箱側弁座を、弁箱と別部材とし、間隙を介し弁箱径方向に移動可能となっている構成としたので、土圧や配管応力の影響を受け難く、弁箱の変形による弁座が適切に当接せずに弁閉止性能が低下する問題は生じ難い。また、弁座等の各部材の加工精度や組み付け精度に依存せずに適切な弁閉止性能を担保できる。
この発明に係る多重偏心形バタフライ弁の一実施形態の要部拡大図 同実施形態の弁座押さえの正面図 この発明に係る多重偏心形バタフライ弁の他の実施形態の要部拡大図 さらに他の実施形態の要部拡大図 さらに他の実施形態の要部拡大図 さらに他の実施形態の要部拡大図 他の弁座押さえを示し、(a)は斜視図、(b)は側面図、(c)は作用図 さらに他の弁座押さえの正面図 (a)は同弁座押さえの部分正面図、(b)は同要部断面図、(c)は同作用説明用要部断面図 従来の多重偏心形バタフライ弁の一例を示し、(a)は切断平面図、(b)は(a)の要部拡大図 従来の多重偏心形バタフライ弁の他例を示し、(a)は切断平面図、(b)は(a)の要部拡大図 バタフライ弁に対する配管応力の作用説明図
この発明に係る一実施形態を図1〜図2に示し、この実施形態の多重偏心形バタフライ弁V1も、図11(a)で示した、円筒状の流路を形成する金属製(例えば、鋳鉄製)弁箱1と、その弁箱1内の流路軸線cに垂直な金属製(例えば、ステンレス鋼製)弁軸2と、その弁軸2に偏心して設けられた金属製(例えば、鋳鉄製)弁体3と、弁体3の外周縁に設けた弁体側弁座4aとなる金属製(例えば、ステンレス鋼製)弁座部材4と、その弁座部材4に接離する前記弁箱1の内周面に設けた弁箱側弁座11aとなる弁座部材11とを有する構成である。
この従来と同様の構成において、この発明は、図1に示すように、弁箱側弁座部材11が弁箱1とは金属製(例えば、ステンレス鋼製)別部材からなって、弁箱1の径方向に位置する間隙tを介し弁箱1径方向(図1において上下方向)に移動可能となっているとともに流路軸線c方向に不動となっている点が特徴である。
すなわち、その弁箱側弁座部材11は、弁箱1の内周全面に形成された溝12に嵌められ、その溝12の壁面12aをなす突部12’と下記弁座押さえ15によって流路軸線c方向に不動となっている。また、その溝12に嵌った弁箱側弁座部材11の奥部(弁箱1の径方向の位置)には間隙tが形成されて、弁箱側弁座部材11が弁箱1径方向に移動可能となっており、その間隙tに弾性材(例えば、水の場合は弾性止水材)となるOリング13が介在されている。
弁箱側弁座部材11は、流路軸線cの一方向(図1、図11(a)の流れ方向右側)に向かって拡径する傾斜面(弁座面)11aを有し、同様の傾斜面(弁座面)4aを有する弁体側弁座部材4に当接して閉弁する(弁を閉じる)。また、間隙tの存在によって、弁箱側弁座部材11は、弁箱1径方向に移動可能となっているが、その間隙tにOリング13が介在されているため、そのOリング13によってその移動による間隙量変化が吸収されてその間隙tから流体が漏れることはない。
さらに、弁箱側の弁座部材11の弁箱1の流路軸線c方向一側(図1において左側)の弁箱1内面全周に溝14が形成されており、この溝14に、図2で示す弁座押さえ(部材)15が嵌め込まれる。この弁座押さえ15は、同図に示すように、一つ割り円状で拡縮径可能な金属製リングからなり、同図鎖線で示すように、縮径した状態で弁箱1内に入れ、溝14に対応する位置でその縮径力を解放すると、その弾力によって溝14に嵌り込んで弁箱内面に固定される。この状態は、弁箱側弁座部材11が弁箱径方向に移動可能であるけれども弁座押さえ15と突部12’に挟まれて流路軸線c方向に不動となっている。弁座押さえ15は、支障が無い限りにおいて、金属に代えてPTFE等の樹脂等とすることができる。
この実施形態のバタフライ弁V1は以上の構成であり、今、図1に示すように、埋設されて土圧Pが加わったり、図12に示すように配管応力Tが加わったりして弁箱1が変形しても、弁箱側弁座部材11は、弁箱1とは別部材からなって、間隙tを介し弁箱1の径方向に移動可能となっているため、その弁箱1の変形に影響されることなく、弁体3の弁座部材4との適切な当接状態を維持する。このため、弁閉止性能の低下を招くことはない。
また、弁箱側弁座部材11は、弁箱径方向に移動可能のため、弁体3の移動に倣って移動して適切な当接状態を維持して弁閉止性を確保する。このため、その弁座部材11等の各部材の加工精度や組み付け精度に依存せずに適切な弁閉止性能を担保する。
上記実施形態において、図3に示すように、弁箱側弁座部材11の弁箱1の流路軸線c方向一側に突部12’を設け、同他側に溝14を形成し、その溝14に弁座押さえ15を嵌めた構成とすることができる。
また、図4に示すように、弁箱側弁座部材11の弁箱1の流路軸線c方向両側にそれぞれ溝14、14を形成し、その両溝14にそれぞれ弁座押さえ15を嵌めた、突部12’を弁座押さえ15で構成したものとすることもできる。この場合、一方の弁座押さえ15が上記抜け止め突部12’となる。
上記各実施形態においては、弁体側弁座部材4及び弁箱側弁座部材11を金属製としたが、一定の硬度を有する弾性樹脂、例えば、ショア硬さ:58〜67のPTFE等のフッ素樹脂製とすることができる。この場合、両者4、11を樹脂製とすることもできるが、その一方の弁座部材4又は弁座部材11のみを樹脂製とすることもできる。フッ素樹脂は、純の物でも良いが、ガラスファイバー、カーボンファイバー等の強化繊維を混入したものを採用することができる。
この樹脂製とすると、弁閉操作時に弁座同士が強固に倣うため、強固な弁閉止性能を確保できる。このとき、図5に示すように、その弾性樹脂製とした弁座部材(この実施形態では弁箱側弁座部材11)の弁箱1の径方向の側面に変形防止用のリング状金属片21を接着や溶着によって固定すれば、その金属片21を固定した弁座部材11の変形が抑制されて上記弁座4a、11a同士の倣いも円滑となってより強固な弁閉止性能を確保できる。
図6にはさらに他の実施形態を示し、この実施形態のバタフライ弁V5は、弁体弁座4aを断面円弧状の球面としたものである。
通常、土圧Pに加え流体圧P’等の他の因子によっても、弁箱弁座部材11、弁体弁座部材4が移動・変形する場合があり、特に、弁箱弁座11aは土圧Pによる弁箱1の変形によって径方向に芯ずれする傾向があり、この場合、弁体弁座4aの軸心に対して弁箱弁座11aの芯ずれが生じる。
この実施形態においては、弁箱弁座11a(弁箱弁座部材11)の弁箱径方向に移動可能に加え、弁箱弁座11aが傾斜面(テーパ面)、弁体弁座4aが円弧面となっているため、前記弁箱弁座11aの移動に伴って(倣って)その接触面(弁座シール面(線))も移動してシール性は維持される。さらに、両弁座4a、11aに多少の芯ずれが生じても、円弧面とテーパ面の接触によってシール面(線)は確保される。
すなわち、この実施形態は、閉弁時、両弁座4a、11aが適正な接触位置に移動して、閉弁が確実になされる。その移動範囲t及びテーパ度、円弧の曲率は、その適正な移動が行われて確実な閉弁がなされるように、実験等によって適宜に設定する。
また、弁座4a、11aの接触は、テーパ面と円弧面(球面)の接触であるため、基本的には線接触となって摺動抵抗が低減する。
この実施形態において、弁箱弁座11aを断面円弧状球面、弁体弁座4aを断面テーパ状円錐面とすることができる。
また、この弁座4a、11aの断面テーパ状円錐面と断面円弧状球面の接触構造は、図3〜図5の実施形態等のこの発明に係るバタフライ弁V2〜V4等にも採用し得ることは勿論である。
弁座押さえ15は、拡縮径する形状であれば任意であり、例えば、図7に示すように、螺旋状に巻回されたリテイニングリング15a等を採用することができる。このリテイニングリング15aは、巻回層の一部(同図では表面層)が波を打つように起伏しており、同図(c)に示すように、軸方向に拡がることによって縮径し、その状態で弁箱1内に挿入して溝14に入れると、拡径して嵌まる。なお、同図(c)は誇張して描いており、弁箱1内への装填時には、弁箱1内に入り得る程度に横方向に拡げて縮径したり、無理に押し込んで縮径したりすれば良い。
また、弁座押さえの他例を図8、図9に示し、この弁座押さえ15bは、同図に示すように、一つ割り円状で拡縮径可能な金属製リング16と、その割り部を連結する金属製片状部材17とからなり、そのリング16の割り部はその両端に片状部材17をボルト・ナット18等の締結により連結する(図8参照)。リング16及び片状部材17は、支障が無い限りにおいて、金属に代えて樹脂等とすることができる。
この弁座押さえ15bは、例えば、部材17を連結しない状態で、図9(a)の鎖線で示し、矢印に示すように縮径して弁箱1内に入れて溝14に対応させ、その状態で、片状部材17を連結して拡径し溝14に嵌め込み固定する。
このとき、弁座押さえ15bのリング16の割り部は片状部材17によって連結されているため、リング16の縮径が抑制されて、弁座押さえ15bが溝14から脱落する(抜ける)ことはない。
また、その図9(b)に示す縮径時、リング16は、弁箱1の流路軸線c方向一側の内周縁がCカット19されているため、同(c)に示すように、そのCカット19側に傾いて弁箱1内に入れ易くなる。そのCカット19は、図示の45度の切り落とし(カット)のみならず、他の角度や円弧状のカットも、前記入れ易くなる作用を発揮する限りにおいて含むものとする。さらに、リング16は、割り部に向かってその肉厚(幅)wが徐々に薄くなって撓み易く部材17が連結し易くなっている(図8参照)。このCカット19は図2のリング15にも採用し得る。
なお、弁座押さえ15bは、図8に示す片状部材17を連結した状態で、同鎖線で示すように、片状部材17をリング16の内側に倒伏させてリング16を縮径して弁箱1内に入れ、その後、同図実線で示すように、片状部材17をリング16の外側に起立させ拡径して溝14に嵌め込み固定することもできる。
上記各実施形態において、弁体3の弁座部材4は、支障がない限りにおいて、図5に示すように、弁体3と一体物として弁体3の外周縁で弁座4aを構成することもできる。
また、上記各実施形態は、上水道、下水道、農業用水道、工業用水道等における土中に埋設した場合であったが、その場合も含めて、化学プラント等のパイプラインにおいて、化学薬品液や気体(ガス)等の各種の流体輸送用配管に介設される多重偏心形バタフライ弁においてもこの発明は採用し得ることは勿論である。
以上から理解できるように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
V、V’、V1、V2、V3、V4、V5 多重偏心形バタフライ弁
P 土圧
P’ 流体圧
t 間隙
1 弁箱
2 弁軸
3 弁体
4 弁体側弁座部材
4a 弁体側弁座
5、11 弁箱側弁座部材
5a、11a 弁箱側弁座
6、13 Oリング(弾性材)
12 弁箱側弁座部材の収納溝
12’弁箱内面突部
14 弁座部材押さえ用溝
15、15a、15b 弁座押さえ
16 弁座押さえのリング
17 同リングの割り部連結用片状部材
18 同連結用ボルト・ナット
21 金属片

Claims (10)

  1. 円筒状の流路を形成する弁箱(1)と、その弁箱(1)内の流路軸線(c)に垂直な弁軸(2)と、その弁軸(2)に偏心して設けられて流路を開閉する弁体(3)と、前記弁箱(1)の内周面に設けられた前記弁体(3)の弁座(4a)が接離する弁箱側弁座(11a)を有する弁箱側弁座部材(11)と、を備えた多重偏心形バタフライ弁(V1、V2、V3、V4、V5)であって、
    上記弁箱側弁座部材(11)は、弁箱(1)とは別部材からなって、前記弁箱(1)の径方向に位置する間隙(t)を介しその弁箱径方向に移動可能となっているとともに上記流路軸線(c)方向に不動となっており、前記間隙(t)に弾性材(13)が介在された多重偏心形バタフライ弁。
  2. 上記弁箱側弁座(11a)と弁体(3)の弁座(4a)の一方を断面円弧状の球面とするとともに、他方を上記流路流れ方向に向かって拡径する断面テーパ状の円錐面とした請求項1に記載の多重偏心形バタフライ弁。
  3. 上記弁箱側弁座部材(11)の上記流路軸線(c)方向の不動は、上記弁箱(1)の内面から一体に突出して上記弁箱側弁座部材(11)の一側面が摺動する抜け止め突部(12’)と、前記弁箱(1)の内面に嵌められて前記弁箱側弁座部材(11)の他側面が摺動する弁座押さえ(15、15a、15b)とによって行われている請求項1又は2に記載の多重偏心形バタフライ弁。
  4. 上記弁体(3)の弁座(4a)を有する弁体側弁座部材(4)と弁箱側弁座(11a)を有する弁箱側弁座部材(11)の一方、又は両方を一定の硬さを有する弾性樹脂製とした請求項1乃至3のいずれか一つに記載の多重偏心形バタフライ弁。
  5. 上記弾性樹脂製とした弁座部材(4、11)の上記弁箱(1)の径方向の側面に変形防止用の金属片(21)を固定した請求項4に記載の多重偏心形バタフライ弁。
  6. 上記弁座押さえ(15、15b)は、一つ割り円状の拡縮径可能なリングとした請求項3乃至5のいずれか一つに記載の多重偏心形バタフライ弁。
  7. 上記弁座押さえ(15b)は、上記拡縮径可能なリング(16)と、その割り部を連結する片状部材(17)とからなり、前記リング(16)は前記片状部材(17)の連結により拡径して弁箱(1)内面に嵌め込み固定されている請求項6に記載の多重偏心形バタフライ弁。
  8. 上記リング(16)は上記弁箱(1)の流路軸線(c)方向一側内周縁がCカット(19)されている請求項6又は7に記載の多重偏心形バタフライ弁。
  9. 請求項3を引用する請求項6、叉は請求項3を引用する請求項6を引用する請求項8に記載の多重偏心形バタフライ弁(V1、V2、V3、V4、V5)における弁箱側弁座部材(11)を弁箱(1)内面に取り付ける方法であって、その弁箱側弁座部材(11)をその一側面を上記抜け止め突部(12’)に当てるとともに弁箱径方向に位置する弾性材(13)を介在して弁箱内面に設け、その後、弁座押さえ(15、15a)を縮径して弁箱側弁座部材(11)の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、弁座押さえ(15、15a)を拡径して弁箱内面に嵌め込み固定し、前記抜け止め突部(12’)と弁座押さえ(15、15a)の間で、前記弾性材(13)を介在した間隙(t)を介して弁箱側弁座部材(11)を弁箱径方向に移動可能かつ上記流路軸線(c)方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付ける方法。
  10. 請求項3を引用する請求項7、叉は請求項3を引用する請求項7を引用する請求項8に記載の多重偏心形バタフライ弁(V1、V2、V3、V4、V5)における弁箱側弁座部材(11)を弁箱(1)内面に取り付ける方法であって、その弁箱側弁座部材(11)をその一側面を上記抜け止め突部(12’)に当てるとともに弁箱(1)径方向に位置する弾性材(13)を介在して弁箱内面に設け、その後、
    弁座押さえ(15b)の上記片状部材(17)をリング(16)の内側に倒伏させてその弁座押さえ(15b)を縮径して弁箱側弁座部材(11)の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、前記片状部材(17)をリング(16)の外側に起立させて弁座押さえ(15b)を拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したり、
    又は、上記片状部材(17)を連結していない弁座押さえ(15b)のリング(16)を縮径して弁箱側弁座部材(11)の他側面に当てがわれるように弁箱内面に入れた後、前記片状部材(17)をリング(16)の割り部に連結して弁座押さえ(15b)を拡径して弁箱内面に嵌め込み固定したりして、
    上記抜け止め突部(12’)と弁座押さえ(15b)の間で、前記弾性材(13)を介在した間隙(t)を介して弁箱側弁座部材(11)を弁箱径方向に移動可能かつ上記流路軸線(c)方向に不動として、弁箱側弁座部材を弁箱内面に取り付ける方法。
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