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JP2017133027A - ポリイミド、ポリイミドの製造方法、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルム - Google Patents

ポリイミド、ポリイミドの製造方法、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルム Download PDF

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JP2017133027A
JP2017133027A JP2017051346A JP2017051346A JP2017133027A JP 2017133027 A JP2017133027 A JP 2017133027A JP 2017051346 A JP2017051346 A JP 2017051346A JP 2017051346 A JP2017051346 A JP 2017051346A JP 2017133027 A JP2017133027 A JP 2017133027A
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polyimide
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represented
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JP2017051346A
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大輔 渡部
Daisuke Watabe
大輔 渡部
理恵子 藤代
Rieko FUJISHIRO
理恵子 藤代
貴大 長谷川
Takahiro Hasegawa
貴大 長谷川
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Eneos Corp
Original Assignee
JX Nippon Oil and Energy Corp
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Abstract

【課題】十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつ、硬度をより向上させることを可能とするポリイミドを提供する。
【解決手段】式(I−1)で表される基、及び、炭素数6〜40のアリーレン基と結合したポリイミドで表される繰り返し単位を2種以上含有するポリイミド。炭素数6〜40のアリーレン基が、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェニルであるポリイミド。

(R〜Rは夫々独立にH、C1〜10のアルキル又はF;nは0〜12の整数)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミド、ポリイミドの製造方法、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルムに関する。
近年、高度な耐熱性を有しかつ軽くて柔軟な素材としてポリイミドが着目されている。このようなポリイミドとしては、例えば、芳香族ポリイミド(例えば、DuPont社製の商品名「カプトン」)が広く知られている。しかしながら、このような芳香族ポリイミドは、十分な柔軟性と高度な耐熱性とを有するポリイミドではあるものの、褐色を呈し、光透過性が必要とされるガラス代替用途や光学用途等に使用できるものではなかった。そのため、近年では、ガラス代替用途等に使用可能な十分な光透過性を有する脂環式ポリイミドの開発が進められてきた。
このような脂環式ポリイミドとして、例えば、国際公開第2011/099518号(特許文献1)においては、特定の一般式で記載される繰り返し単位を有するポリイミドが開示されている。なお、このような特許文献1に記載のようなポリイミドは、十分な光透過性と高度な耐熱性とを有するものであった。
国際公開第2011/099518号
しかしながら、上記特許文献1に記載のような脂環式ポリイミドにおいても硬度をより向上させるといった点では必ずしも十分なものではなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつ、硬度をより向上させることを可能とするポリイミド、及び、そのポリイミドを効率よく且つ確実に製造することが可能なポリイミドの製造方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、前記ポリイミドを用いて得られるポリイミド溶液及びポリイミドフィルムを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリイミドを下記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有するものとし、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種を、式(1)中のR10が下記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)とすることにより、十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつ、硬度をより向上させることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリイミドは、下記一般式(1):
[式(1)中、Xは、下記一般式(I−1):
(式(I−1)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。)
で表される基、及び、下記一般式(I−2):
(式(I−2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)
で表される基よりなる群から選択されるいずれか1種の基を示し、
10は炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、
該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が下記一般式(2):
で表される基である繰り返し単位(A)であることを特徴とするものである。
本発明のポリイミドの製造方法は、
重合溶媒の存在下、
下記一般式(5A):
[式(5A)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表される化合物及び下記一般式(5B):
[式(5B)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される化合物の中から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、
下記一般式(6):
N−R10−NH (6)
[式(6)中、R10は炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
で表される芳香族ジアミンを2種以上含有しかつ該芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種が下記一般式(7):
で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルである芳香族ジアミンの混合物と、
を反応させることにより、
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミドを得ることを特徴とする方法である。
また、本発明のポリイミド溶液は、上記本発明のポリイミドと有機溶媒とを含有することを特徴とするものである。
さらに、本発明のポリイミドフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるフィルムであることを特徴とするものである。
本発明によれば、十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつ、硬度をより向上させることを可能とするポリイミド、及び、そのポリイミドを効率よく且つ確実に製造することが可能なポリイミドの製造方法を提供することが可能となる。更に、本発明によれば、前記ポリイミドを用いて得られるポリイミド溶液及びポリイミドフィルムを提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[本発明のポリイミド]
本発明のポリイミドは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であることを特徴とするものである。
上記一般式(1)中のXとして選択され得る上記一般式(I−1)で表される基に関して、このような一般式(I−1)中のR、R、Rとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えるとガラス転移温度が低下し十分に高度な耐熱性が達成できなくなる。また、このようなR、R、Rとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、精製がより容易となるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなR、R、Rとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。更に、このようなアルキル基としては精製の容易さの観点から、メチル基、エチル基がより好ましい。
また、前記一般式(I−1)中のnは0〜12の整数を示す。このようなnの値が前記上限を超えると、精製が困難になる。また、このような一般式(I−1)中のnの数値範囲の上限値は、より精製が容易となるといった観点から、5であることがより好ましく、3であることが特に好ましい。また、このような一般式(I−1)中のnの数値範囲の下限値は、一般式(1)で表される繰り返し単位を形成する際に用いる原料化合物の安定性の観点、すなわち、より容易にポリイミドを製造するとの観点からは、1であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。このように、一般式(I−1)中のnとしては、2〜3の整数であることが特に好ましい。
また、上記一般式(1)中のXとして選択され得る上記一般式(I−2)で表される基に関して、上記一般式(I−2)中におけるAは、置換基を有していてもよい2価の芳香族基であり、該芳香族基中に含まれる芳香環を形成する炭素の数(なお、ここにいう「芳香環を形成する炭素の数」とは、その芳香族基が炭素を含む置換基(炭化水素基など)を有している場合、その置換基中の炭素の数は含まず、芳香族基中の芳香環が有する炭素の数のみをいう。例えば、2−エチル−1,4−フェニレン基の場合、芳香環を形成する炭素の数は6となる。)が6〜30のものである。このように、一般式(I−2)中のAは、置換基を有していてもよく、かつ、炭素数が6〜30の芳香環を有する2価の基(2価の芳香族基)である。このような芳香環を形成する炭素の数が前記上限を超えると、得られるポリイミドが着色する傾向にある。また、透明性及び精製の容易さの観点からは、前記2価の芳香族基の芳香環を形成する炭素の数は、6〜18であることがより好ましく、6〜12であることが更に好ましい。
また、このような2価の芳香族基としては、上記炭素の数の条件を満たすものであればよく、特に制限されないが、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ターフェニル、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ビフェニル、ターフェニル、クオターフェニル、キンクフェニル等の芳香族系の化合物から2つの水素原子が脱離した残基(なお、このような残基としては、脱離する水素原子の位置は特に制限されないが、例えば、1,4−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基、9,10−アントラセニレン基等が挙げられる。);及び該残基中の少なくとも1つの水素原子が置換基と置換した基(例えば、2,5−ジメチル−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン基)等を適宜利用することができる。なお、このような残基において、前述のように、脱離する水素原子の位置は特に制限されず、例えば、前記残基がフェニレン基である場合においてはオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置であってもよい。
このような2価の芳香族基としては、耐熱性がより優れたものとなるといった観点からは、置換基を有していてもよいフェニレン基、置換基を有していてもよいビフェニレン基、置換基を有していてもよいナフチレン基、置換基を有していてもよいアントラセニレン基、置換基を有していてもよいターフェニレン基が好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基、ターフェニレン基がより好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基が更に好ましい。
また、一般式(I−2)中のAにおいて、前記2価の芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。このような2価の芳香族基が有してよい置換基の中でも、ポリイミドの溶媒への溶解性がより優れたものとなり、より高度な加工性が得られるといった観点からは、炭素数が1〜10のアルキル基、炭素数が1〜10のアルコキシ基がより好ましい。このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数が10を超えると、ポリイミドの耐熱性が低下する傾向にある。また、このような置換基として好適なアルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、ポリイミドを製造した際に、より高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このような置換基として選択され得るアルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
また、前記一般式(I−2)中のRとして選択され得るアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基である。このような炭素数が10を超えると、ポリイミドのモノマーとして用いた場合に、得られるポリイミドの耐熱性が低下する。また、このようなRとして選択され得るアルキル基の炭素数としては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られるという観点から、1〜6であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1〜3であることが特に好ましい。また、このようなRとして選択され得るアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
前記一般式(I−2)中の複数のRとしては、ポリイミドを製造した際により高度な耐熱性が得られること、原料の入手が容易であること、精製がより容易であること、等といった観点から、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であることがより好ましく、水素原子、メチル基であることが特に好ましい。また、このような式中の複数のRは、それぞれ、同一のものであってもあるいは異なるものであってもよいが、精製の容易さ等の観点からは、同一のものであることが好ましい。
なお、Xが前記一般式(I−1)で表される基である場合、前記一般式(1)で表される繰り返し単位は、下記一般式(1A):
(式(1A)中のR、R、R及びnはそれぞれ独立に一般式(I−1)中のそれらと同義であり、R10は一般式(1)中のR10と同義である。)
で表される繰り返し単位となる。本発明においては、より高度な耐熱性が得られるといった観点からは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位が上記一般式(1A)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
また、前記一般式(1)中のR10として選択され得るアリーレン基は、炭素数が6〜40のアリーレン基である。このようなアリーレン基の炭素数としては6〜30であることが好ましく、12〜20であることがより好ましい。このような炭素数が前記下限未満ではポリイミドの耐熱性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると、得られたポリイミドの溶媒に対する溶解性が低下して、フィルム等への成形性が低下する傾向にある。
また、前記一般式(1)中のR10として選択され得るアリーレン基としては、例えば、下記一般式(3)〜(4)及び(8)〜(10):
[式(3)中、Qは、式:−C−、−CONH−C−NHCO−、−NHCO−C−CONH−、−O−C−CO−C−O−、−OCO−C−COO−、−OCO−C−C−COO−、−OCO−、−NC−、−CO−C−CO−、−C1310−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SO−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−O−C−C(CH−C−O−、−O−C−SO−C−O−、−C(CH−C−C(CH−、−O−C−C−O−及び−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種を示し、
式(10)中のRは、水素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基及びトリフルオロメチル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される基のうちの少なくとも1種が好ましい。
また、本発明のポリイミドは、上述のように、一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有するものである。そして、そのような2種以上の一般式(1)で表される繰り返し単位のうちの少なくとも1種として、上記一般式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)を含有する。すなわち、本発明のポリイミドは、一般式(1)で表され且つ該式中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)を含有するものである。このように、本発明のポリイミドは、上記一般式(1)で表される繰り返し単位であってかつR10の種類が互いに異なる2種以上の繰り返し単位を含有するものであり、そのうちの少なくとも1種として前記繰り返し単位(A)を含有する。このような繰り返し単位(A)を、繰り返し単位(A)以外の一般式(1)で表される繰り返し単位と組み合わせて含有することで、ポリイミドの硬度をより向上させることが可能となり、ポリイミドを十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつより高い硬度を有するものとすることが可能となる。
また、一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有する本発明のポリイミドにおいて、前記繰り返し単位(A)以外の一般式(1)で表される繰り返し単位としては(前記繰り返し単位(A)と組み合わせて利用する一般式(1)で表される繰り返し単位としては)、特に制限されず、R10が上記一般式(2)で表される基以外のものである一般式(1)で表される繰り返し単位を適宜利用することが可能である。
また、本発明においては、前記ポリイミドに含有される前記2種以上の繰り返し単位のうちの、前記繰り返し単位(A)以外の繰り返し単位の少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B)であることがより好ましい。このような一般式(1)で表され且つ該式中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B)を、前記繰り返し単位(A)と組み合わせて利用することにより、高耐熱性、無色透明性、良溶解性、高硬度のバランスの観点で、より優れたポリイミドを得ることが可能となる。
また、このような繰り返し単位(B)としては、高耐熱性、無色透明性、良溶解性、高硬度の観点から、一般式(1)中のR10が上記一般式(3)で表される基であって式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−O−、−O−、−CONH−、−C(CF−、及び、−O−C−C(CH−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種である繰り返し単位(B−1);一般式(1)中のR10が上記一般式(4)で表される基である繰り返し単位(B−2)がより好ましい。また、前記繰り返し単位(B−1)としては、ポリイミドの溶解性の観点から、式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種であるものがより好ましい。また、前記繰り返し単位(B−2)中のR10が上記一般式(4)で表される基である場合、上記一般式(4)中の2つの結合手がいずれもベンゼン環のパラ位に存在すること(上記一般式(4)で表される基が後述のFDAに由来する基であること)がより好ましい。
また、本発明のポリイミドにおいては、前記繰り返し単位(A)の含有量が上記一般式(1)で表される繰り返し単位の総量に対するモル比で25〜75モル%であることが好ましく、30〜60モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(A)の含有量が前記下限未満ではポリイミドの硬度を十分に向上させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミドの溶解性が低下し、ポリイミド溶液(ワニス)を得ることが難しくなる傾向にある。
更に、本発明のポリイミドにおいては、前記繰り返し単位(B)を含有する場合、前記繰り返し単位(B)の含有量が上記一般式(1)で表される繰り返し単位の総量に対するモル比で25〜75モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、50〜70モル%であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(B)の含有量が前記下限未満ではポリイミドの溶解性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミドの硬度を十分に向上させることが困難となる傾向にある。
また、本発明のポリイミドにおいては、前記繰り返し単位(B)を含有する場合、前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)の合計量が、ポリイミド中に含まれる一般式(1)で表される繰り返し単位の総量(前記繰り返し単位(A)と前記繰り返し単位(B)を含む。)に対して90モル%以上であることが好ましく、95〜100モル%であることがより好ましく、98〜100モル%であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(A)と繰り返し単位(B)の合計量が前記下限未満では高耐熱性、無色透明性、良溶解性、高硬度のバランスの観点でより優れたポリイミドを得ることが困難となる傾向にある。また、本発明のポリイミドに含まれる一般式(1)で表される繰り返し単位は、ポリイミドの相溶性の観点から、前記繰り返し単位(A)及び前記繰り返し単位(B)の2種のみからなることが特に好ましい。
また、本発明のポリイミドにおいては、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を40モル%以上含有しているものが好ましい。さらに、本発明のポリイミドにおいては、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を主として含有するもの(より好ましくは上記一般式(1)で表される繰り返し単位の総量が全繰り返し単位に対して50〜100モル%(更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、最も好ましくは90〜100モル%)であること)が好ましい。なお、このようなポリイミドにおいては、本発明の効果を損なわない範囲において他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、特に制限されず、ポリイミドの繰り返し単位として利用できる公知の繰り返し単位等(例えば、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)に由来する繰り返し単位等)が挙げられる。
また、本発明のポリイミドとしては、5%重量減少温度が400℃以上のものが好ましく、450〜550℃のものがより好ましい。このような5%重量減少温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような5%重量減少温度は、窒素ガス雰囲気下、窒素ガスを流しながら室温(25℃)から40℃に昇温した後、40℃を測定開始温度として徐々に加熱していき、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めることができる。
また、このようなポリイミドとしては、ガラス転移温度(Tg)が250℃以上のものが好ましく、300〜500℃のものがより好ましい。このようなガラス転移温度(Tg)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このようなガラス転移温度(Tg)は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」又は「TMA8311」)を使用して引張モードにより測定することができる。すなわち、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」又は「TMA8311」)を使用し、縦20mm、横5mmの大きさのポリイミドフィルム(かかるフィルムの厚みは測定値に影響するものではないため特に制限されるものではないが、5〜80μmとすることが好ましい。)を形成して測定試料とし、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して測定を行ってTMA曲線を求め、ガラス転移に起因するTMA曲線の変曲点に対し、その前後の曲線を外挿することにより、求めることができる。
さらに、このようなポリイミドとしては、軟化温度が300℃以上のものが好ましく、350〜550℃のものがより好ましい。このような軟化温度が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような軟化温度は、熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」又は「TMA8311」)を使用してペネトレーションモードにより測定することができる。また、測定に際しては、試料のサイズ(縦、横、厚み等)は測定値に影響するものではないため、用いる熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」又は「TMA8311」)の治具に装着可能なサイズに試料のサイズを適宜調整すればよい。
また、このようなポリイミドとしては、熱分解温度(Td)が450℃以上のものが好ましく、480〜600℃のものがより好ましい。このような熱分解温度(Td)が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、そのような特性を有するポリイミドを製造することが困難となる傾向にある。なお、このような熱分解温度(Td)は、TG/DTA220熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/min.の条件で熱分解前後の分解曲線にひいた接線の交点となる温度を測定することにより求めることができる。
また、本発明のポリイミドにおいては、鉛筆硬度において、2B〜9Hの硬度を有することが好ましく、HB〜5Hの硬度を有することがより好ましい。このような硬度が前記下限未満では十分な硬度を達成することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとそのような特性を超える、無色透明なポリイミドを作ることが困難となる傾向にある。なお、このような鉛筆硬度の値は、1999年発行のJIS K5600−5−4に規定されている方法に準拠して測定することにより求めることができる。
さらに、このようなポリイミドの数平均分子量(Mn)としては、ポリスチレン換算で1000〜1000000であることが好ましく、10000〜500000であることがより好ましい。このような数平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となるばかりか、製造時に重合溶媒から十分に析出せず、効率よくポリイミドを得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、粘性が増大し、溶解させるのに長時間を要したり、溶剤を大量に必要とするため、加工が困難となる傾向にある。
また、このようなポリイミドの重量平均分子量(Mw)としては、ポリスチレン換算で1000〜5000000であることが好ましい。また、このような重量平均分子量(Mw)の数値範囲の下限値としては、5000であることがより好ましく、10000であることが更に好ましく、20000であることが特に好ましい。また、重量平均分子量(Mw)の数値範囲の上限値としては、5000000であることがより好ましく、500000であることが更に好ましく、100000であることが特に好ましい。このような重量平均分子量が前記下限未満では十分な耐熱性が達成困難となるばかりか、製造時に重合溶媒から十分に析出せず、効率よくポリイミドを得ることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘性が増大し、溶解させるのに長時間を要したり、溶剤を大量に必要とするため、加工が困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドの分子量分布(Mw/Mn)は1.1〜5.0であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。このような分子量分布が前記下限未満では製造することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると均一なフィルムを得にくい傾向にある。なお、このようなポリイミドの分子量(Mw又はMn)や分子量の分布(Mw/Mn)は、測定装置としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(デガッサ:JASCO社製DG−2080−54、送液ポンプ:JASCO社製PU−2080、インターフェイス:JASCO社製LC−NetII/ADC、カラム:Shodex社製GPCカラムKF−806M(×2本)、カラムオーブン:JASCO社製860−CO、RI検出器:JASCO社製RI−2031、カラム温度40℃、クロロホルム溶媒(流速1mL/min.)を用いて測定したデータをポリスチレンで換算して求めることができる。
また、このようなポリイミドは、線膨張係数(CTE)が0〜100ppm/Kであることが好ましく、10〜70ppm/Kであることがより好ましい。このような線膨張係数が前記上限を超えると、線膨張係数の範囲が5〜20ppm/Kである金属や無機物と組合せて複合化した場合に熱履歴で剥がれが生じやすくなる傾向にある。また、前記線膨張係数が、前記下限未満では溶解性の低下やフィルム特性が低下する傾向にある。
このようなポリイミドの線膨張係数の測定方法としては、以下に記載の方法を採用する。すなわち、先ず、縦20mm、横5mmの大きさのポリイミドフィルム(かかるフィルムの厚みは測定値に影響するものではないため特に制限されるものではないが、5〜80μmとすることが好ましい。)を形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」又は「TMA8311」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、室温から200℃まで昇温(1回目の昇温)し、30℃以下まで放冷した後に、その温度から400℃まで昇温(2回目の昇温)し、その昇温時の前記試料の縦方向の長さの変化を測定する。次いで、このような2回目の昇温時の測定(放冷時の温度から400℃まで昇温する際の測定)で得られたTMA曲線を用いて、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求め、得られる値をポリイミドの線膨張係数として測定する。このように、本発明のポリイミドの線膨張係数としては、前記TMA曲線に基づいて100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求めることにより得られる値を採用する。
また、このようなポリイミドとしては、フィルムを形成した場合に透明性が十分に高いものであることが好ましく、全光線透過率が80%以上(更に好ましくは85%以上、特に好ましくは87%以上)であるものがより好ましい。このような全光線透過率は、ポリイミドの種類等を適宜選択することにより容易に達成することができる。
また、このようなポリイミドとしては、より高度な無色透明性を得るといった観点から、ヘイズ(濁度)が5〜0(更に好ましくは4〜0、特に好ましくは3〜0)であるものがより好ましい。このようなヘイズの値が前記上限を超えると、より高度な水準の無色透明性を達成することが困難となる傾向にある。
さらに、このようなポリイミドとしては、より高度な無色透明性を得るといった観点から、黄色度(YI)が5〜0(更に好ましくは4〜0、特に好ましくは3〜0)であるものがより好ましい。このような黄色度が前記上限を超えると、より高度な水準の無色透明性を達成することが困難となる傾向にある。
このような全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)は、測定装置として、日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」又は日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」を用いて(日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」で全光線透過率とヘイズとを測定し、日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」で黄色度を測定する。)、厚みが5〜100μmのポリイミドからなるフィルムを測定用の試料として用いて測定した値を採用することができる。また、測定試料の縦、横の大きさは、前記測定装置の測定部位に配置できるサイズであればよく、縦、横の大きさは適宜変更してもよい。なお、このような全光線透過率は、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、ヘイズ(濁度)は、JIS K7136(2000年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、黄色度(YI)はASTM E313−05(2005年発行)に準拠した測定を行うことにより求める。
また、このような本発明のポリイミドは、フレキシブル配線基板用フィルム、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング剤、液晶配向膜、有機EL用透明導電性フィルム、有機EL照明用フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル有機EL用基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブルディスプレイ用フロントフィルム、フレキシブルディスプレイ用バックフィルム等を製造するための材料として特に有用である。
また、このようなポリイミドは、後述の本発明のポリイミドの製造方法により好適に製造することができる。そのため、かかるポリイミドとしては、後述の本発明のポリイミドの製造方法により得られたものであることが好ましい。
[本発明のポリイミドの製造方法]
本発明のポリイミドの製造方法は、
重合溶媒の存在下
上記一般式(5A)で表される化合物及び上記一般式(5B)で表される化合物の中から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、
下記一般式(6):
N−R10−NH (6)
[式(6)中、R10は炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
で表される芳香族ジアミンを2種以上含有しかつ該芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種が上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルである芳香族ジアミンの混合物と、
を反応させることにより、
上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、
該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミドを得ることを特徴とする方法である。
このような本発明のポリイミドの製造方法の好適な実施形態として、先ず、テトラカルボン酸二無水物として上記一般式(5A)で表される化合物を用いた場合について説明する。このような一般式(5A)で表される化合物を用いた場合の本発明のポリイミドの製造方法としては、例えば、重合溶媒の存在下、上記一般式(5A)で表される化合物(テトラカルボン酸二無水物)と、上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンを2種以上含有しかつ該芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種が上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルである芳香族ジアミンの混合物とを反応させて、
下記一般式(11A):
[式(11A)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、R10は炭素数6〜40のアリーレン基を示し、nは0〜12の整数を示す。]
で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(11A)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A’)であるポリアミド酸を得る工程(I)と、
前記ポリアミド酸をイミド化して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミドを得る工程(II)と、
を含む製造方法としてもよい(このような工程(I)及び(II)を含む製造方法を採用した場合、得られるポリイミドにおいて式(1)中のXは一般式(I−1)で表される基となる)。以下、本発明のポリイミドの製造方法に好適に利用することが可能な工程(I)及び(II)について説明する。
(工程(I):ポリアミド酸を得る工程)
工程(I)は、重合溶媒の存在下、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンを2種以上含有しかつ該芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種が上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルである芳香族ジアミンの混合物とを反応させて、上記ポリアミド酸を得る工程である。
このような一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物に関し、式(5A)中のR、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種であり、nは0〜12の整数である。このような一般式(5A)中のR、R、R、nは、上述の本発明のポリイミドにおいて説明した上記一般式(I−1)中のR、R、R、nと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(I−1)中のR、R、R、nの好適なものと同様である。
また、このような工程(I)に用いられる一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物を製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載の方法等を適宜採用することができる。
また、工程(I)に用いる芳香族ジアミンに関して、一般式(6)中のR10は上述の本発明のポリイミドにおいて説明した上記一般式(1)中のR10と同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR10の好適なものと同様である。このような芳香族ジアミンを製造するための方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このような芳香族ジアミンとしては市販のものを適宜用いてもよい。
また、工程(I)に用いる芳香族ジアミンの混合物は、一般式(6)で表される芳香族ジアミンを2種以上含有するものである。そして、そのような2種以上の一般式(6)で表される芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種として、上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルを含有する。このように、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルを、他の芳香族ジアミンと組み合わせて含有させることで、得られるポリイミドに上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有させることが可能となるとともに、そのうちの1種を上記繰り返し単位(A)とすることが可能となる。そのため、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルを、他の芳香族ジアミンと組み合わせて含有させることで、得られるポリイミドの硬度をより向上させることが可能となり、製造するポリイミドを十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつより高い硬度を有するものとすることが可能となる。
また、前記芳香族ジアミンの混合物に含有せしめる4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル以外の一般式(6)で表される芳香族ジアミンとしては、特に制限されず、R10が炭素数が6〜40のアリーレン基であって且つ上記一般式(2)で表される基以外のものである一般式(6)で表される芳香族ジアミンを適宜利用することが可能である。
また、前記芳香族ジアミンの混合物において、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル以外の一般式(6)で表される芳香族ジアミンは、式(6)中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである芳香族ジアミン(I)であることが好ましい。このような芳香族ジアミン(I)を4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルと組み合わせて利用することにより、高耐熱性、無色透明性、良溶解性、高硬度のバランスに優れたポリイミドを得ることが可能となる。
また、このよう芳香族ジアミン(I)としては、高耐熱性、無色透明性、良溶解性、高硬度のバランスをより向上させるといった観点から、一般式(6)中のR10が上記一般式(3)で表される基であってかつ式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−O−、−O−、−C(CF−、−O−C−C(CH−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種である芳香族ジアミン(I−1);及び一般式(6)中のR10が上記一般式(4)で表される基である芳香族ジアミン(I−2)がより好ましい。また、前記芳香族ジアミン(I−1)としては、ポリイミドの溶解性の観点から、式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−Oで表される基よりなる群から選択される1種であるものがより好ましく、式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種であるものが更に好ましい。
また、前記芳香族ジアミンの混合物においては、前記4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルの含有量が上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンの総量に対するモル比で25〜75モル%であることが好ましく、30〜60モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが更に好ましい。このような4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルの含有量が前記下限未満では最終的に得られるポリイミドの硬度を十分に向上させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリアミド酸の溶解性が低下し、使用可能な溶媒の選択肢が非常に少なくなる傾向にある。
さらに、前記芳香族ジアミンの混合物においては、前記芳香族ジアミン(I)を含有する場合、前記芳香族ジアミン(I)の含有量が上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンの総量に対するモル比で25〜75モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、50〜70モル%であることが更に好ましい。このような芳香族ジアミン(I)の含有量が前記下限未満ではポリアミド酸の溶解性が低下し、使用可能な溶媒の選択肢が非常に少なくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミドの硬度を十分に向上させることが困難となる傾向にある。
また、前記芳香族ジアミンの混合物においては、前記芳香族ジアミン(I)を含有する場合、前記4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルと前記芳香族ジアミン(I)の合計量が、上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンの総量に対して90モル%以上であることが好ましく、95〜100モル%であることがより好ましく、98〜100モル%であることが更に好ましい。このような4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルと前記芳香族ジアミン(I)の合計量が前記下限未満では高耐熱性、無色透明性、良溶解性、高硬度といった特性をよりバランスよく有するポリイミドを得ることが困難となる傾向にある。また、前記芳香族ジアミンの混合物は、ポリイミドの相溶性の観点から、上記一般式(6)で表される芳香族ジアミンのみからなるものであることが好ましく、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルと前記芳香族ジアミン(I)の2種のみからなることが特に好ましい。
また、工程(I)に用いる重合溶媒としては、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記芳香族ジアミンの混合物の双方を溶解することが可能な有機溶媒であることが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ピリジンなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒;テトラハイドロフラン、ジオキサン、セロソルブ、グライムなどのエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;シクロペンタノンやシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒などが挙げられる。このような有機溶媒は、1種を単独であるいは2種以上を混合して使用してもよい。
また、このような重合溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンに対する溶解性の観点から、非プロトン系極性溶媒を用いることがより好ましく、中でも、N,N−ジメチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンを組み合わせて用いることが特に好ましい。このように、前記重合溶媒として、N,N−ジメチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトンを組み合わせて利用した場合には、これらがテトラカルボン酸二無水物、芳香族ジアミンに対する溶解性に優れるものであるため、重合反応をより効率よく進行させることが可能となり(より反応が進行し易い状態となり)、これにより、より短時間で高重合度のポリアミド酸ワニスを得ることが可能となる。
また、工程(I)においては、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミンの混合物との使用割合は、上記前記芳香族ジアミンの混合物中の芳香族ジアミンが有するアミノ基1当量に対して、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を0.2〜2当量とすることが好ましく、0.3〜1.2当量とすることがより好ましい。このような使用割合が前記下限未満では重合反応が効率よく進行せず高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えると前記と同様に高分子量のポリアミド酸が得られない傾向にある。
さらに、工程(I)における前記重合溶媒(有機溶媒)の使用量としては、前記芳香族ジアミンの混合物と上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物との総量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50質量%(より好ましくは10〜30質量%)になるような量であることが好ましい。このような有機溶媒の使用量が前記下限未満では効率よくポリアミド酸を得ることができなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると高粘度化により攪拌が困難となる傾向にある。
また、工程(I)においては、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物とを反応させる際に、反応速度向上と高重合度のポリアミド酸を得るという観点から、前記有機溶媒中に塩基化合物を更に添加してもよい。このような塩基性化合物としては特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、テトラブチルアミン、テトラヘキシルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデセン−7、ピリジン、イソキノリン、α−ピコリン等が挙げられる。また、このような塩基化合物の使用量は、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物1当量に対して、0.001〜10当量とすることが好ましく、0.01〜0.1当量とすることがより好ましい。このような塩基化合物の使用量が前記下限未満では添加効果が見られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色等の原因になる傾向にある。
また、工程(I)において、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミンの混合物とを反応させる際の反応温度は、これらの化合物を反応させることが可能な温度に適宜調整すればよく、特に制限されず、場合に応じて、−20〜450℃とすることが好ましく、−20〜400℃とすることがより好ましく、−20〜200℃とすることが更に好ましく、0〜100℃とすることが特に好ましい。また、このような工程(I)において採用し得る上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミンの混合物とを反応させる方法としては、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの重合反応を行うことが可能な方法を適宜利用でき、特に制限されないが、例えば、大気圧中、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性雰囲気下において、芳香族ジアミンの混合物を溶媒に溶解させた後、前記反応温度において上記一般式(2)で表されるテトラカルボン酸二無水物を添加し、その後、10〜48時間反応させる方法を採用してもよい。このような反応温度や反応時間が前記下限未満では十分に反応させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり分子量が低下する傾向にある。
また、このようにして、上記一般式(11A)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(11A)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A’)であるポリアミド酸を得ることができる。なお、このような一般式(11A)中のR、R、R、R10及びnは、上述の本発明のポリイミドにおいて説明した上記一般式(1)中のR、R、R、R10及びnと同様のものであり、その好適なものも上記一般式(1)中のR、R、R、R10及びnの好適なものと同様である。
また、このようなポリアミド酸は、上述のように、一般式(11A)で表され且つ該式中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A’)を含有するものである。なお、かかる繰り返し単位(A’)は、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルの反応に由来して形成される繰り返し単位である。
また、一般式(11A)で表される繰り返し単位を2種以上含有する前記ポリアミド酸において、前記繰り返し単位(A’)以外の一般式(11A)で表される繰り返し単位としては(前記繰り返し単位(A’)と組み合わせて利用する一般式(11A)で表される繰り返し単位としては)、特に制限されず、R10が炭素数が6〜40のアリーレン基であって且つ上記一般式(2)で表される基以外のものである一般式(11A)で表される繰り返し単位を適宜利用することが可能である。
また、前記ポリアミド酸においては、含有される前記2種以上の繰り返し単位のうちの、前記繰り返し単位(A’)以外の繰り返し単位の少なくとも1種が、式(11A)中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B’)であることが好ましい。このような一般式(11A)で表され且つ該式中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B’)を、前記繰り返し単位(A’)と組み合わせて利用することにより、ポリアミド酸を用いてポリイミドフィルムに誘導した際に、高耐熱性、無色透明性、高硬度のバランスの観点で、より優れたポリイミドフィルムを得ることが可能となる。
また、このような繰り返し単位(B’)としては、ポリアミド酸から誘導後のポリイミドフィルムの高耐熱性、無色透明性、高硬度のバランスの観点から、上記一般式(11A)中のR10が上記一般式(3)で表される基であって式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−O−、−O−、−C(CF−、−O−C−C(CH−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種である繰り返し単位(B’−1);及び一般式(1)中のR10が上記一般式(4)で表される基である繰り返し単位(B’−2)がより好ましい。また、前記繰り返し単位(B’−1)としては、ポリアミド酸から誘導後のポリイミドの溶解性の観点から、式(3)中のQが−O−C−SO−C−O−、−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種であるものが更に好ましい。
また、前記ポリアミド酸においては、前記繰り返し単位(A’)の含有量が上記一般式(11A)で表される繰り返し単位の総量に対するモル比で25〜75モル%であることが好ましく、30〜60モル%であることがより好ましく、30〜50モル%であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(A’)の含有量が前記下限未満ではポリイミドの硬度を十分に向上させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリアミド酸の溶解性が低下し、使用可能な溶媒の選択肢が非常に少なくなる傾向にある。
さらに、前記ポリアミド酸においては、前記繰り返し単位(B’)を含有する場合、前記繰り返し単位(B’)の含有量が上記一般式(11A)で表される繰り返し単位の総量に対するモル比で25〜75モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、50〜70モル%であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(B’)の含有量が前記下限未満ではポリアミド酸の溶解性が低下し、使用可能な溶媒の選択肢が非常に少なくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとポリイミドの硬度を十分に向上させることが困難となる傾向にある。
また、前記ポリアミド酸においては、前記繰り返し単位(B’)を含有する場合、前記繰り返し単位(A’)と前記繰り返し単位(B’)の合計量が、ポリアミド酸中に含まれる一般式(11A)で表される繰り返し単位の総量(前記繰り返し単位(A’)と前記繰り返し単位(B’)を含む。)に対して90モル%以上であることが好ましく、95〜100モル%であることがより好ましく、98〜100モル%であることが更に好ましい。このような繰り返し単位(A’)と繰り返し単位(B’)の合計量が前記下限未満ではポリアミド酸から誘導した際に、高耐熱性、無色透明性、高硬度のバランスに優れたポリイミドフィルムを得ることが困難となる傾向にある。また、前記ポリアミド酸に含まれる一般式(11A)で表される繰り返し単位は、ポリアミド酸から誘導した際に、無色透明性の点で、より優れたポリイミドフィルムが得られるといった観点から、前記繰り返し単位(A’)及び前記繰り返し単位(B’)の2種のみからなることが特に好ましい。
さらに、前記ポリアミド酸においては、上記一般式(11A)で表される繰り返し単位を主として含有するもの(より好ましくは上記一般式(11A)で表される繰り返し単位の総量が全繰り返し単位に対して50〜100モル%(更に好ましくは70〜100モル%、特に好ましくは80〜100モル%、最も好ましくは90〜100モル%)であること)が好ましい。なお、このようなポリアミド酸においては、本発明の効果を損なわない範囲において他の繰り返し単位を含んでいてもよい。このような他の繰り返し単位としては、特に制限されず、ポリアミド酸の繰り返し単位として利用できる公知の繰り返し単位等(例えば、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)に由来する繰り返し単位等)が挙げられる。
また、このようなポリアミド酸としては、固有粘度[η]が0.05〜3.0dL/gであることが好ましく、0.1〜2.0dL/gであることがより好ましい。このような固有粘度[η]が0.05dL/gより小さいと、これを用いてフィルム状のポリイミドを製造した際に、得られるフィルムが脆くなる傾向にあり、他方、3.0dL/gを超えると、粘度が高すぎて加工性が低下し、例えばフィルムを製造した場合に均一なフィルムを得ることが困難となる。また、このような固有粘度[η]は、以下のようにして測定することができる。すなわち、先ず、溶媒としてN,N−ジメチルアセトアミドを用い、そのN,N−ジメチルアセトアミド中に前記ポリアミド酸を濃度が0.5g/dLとなるようにして溶解させて、測定試料(溶液)を得る。次に、前記測定試料を用いて、30℃の温度条件下において動粘度計を用いて、前記測定試料の粘度を測定し、求められた値を固有粘度[η]として採用する。なお、このような動粘度計としては、THOMAS SCIENTIFIC CO.社製の商品名「KINEMATIC VISCOMETER TV−5S」を用いる。
なお、本発明によって得られるポリイミドを、上記一般式(1)で表される繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を含有するものとする場合には、例えば、工程(I)において、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物とともに他のテトラカルボン酸二無水物を用い、これらを前記芳香族ジアミンの混合物と反応させてもよく、あるいは、上記一般式(11A)で表される芳香族ジアミンとともに他のジアミンを用いて、これらを上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と反応させてもよく、更には、このような他のテトラカルボン酸二無水物及び他のジアミンを両方とも適宜利用してポリイミドとしてもよい。このような他のテトラカルボン酸二無水物や他の芳香族ジアミンとしては、それぞれ、ポリイミドの製造に用いられる公知のものを適宜用いることができる。
(工程(II):ポリイミドを得る工程)
工程(II)は、前記ポリアミド酸をイミド化して、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミド(なお、式(1)中のXは上記一般式(I−1)で表される基となる)を得る工程である。
このようなポリアミド酸のイミド化の方法は、ポリアミド酸をイミド化し得る方法であればよく、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、前記ポリアミド酸をいわゆる縮合剤等のイミド化剤を用いてイミド化する方法、前記ポリアミド酸を60〜450℃(より好ましくは80〜400℃)の温度条件で加熱する処理を施すことによりイミド化する方法等を採用することが好ましい。
このようなイミド化に際して、前記ポリアミド酸をいわゆる縮合剤等のイミド化剤を用いてイミド化する方法を採用する場合、縮合剤の存在下、溶媒中で上記本発明のポリアミド酸をイミド化することが好ましい。このような溶媒としては上記本発明のポリイミド酸の製造方法に用いる重合溶媒(有機溶媒)と同様のものを好適に用いることができる。このように、いわゆる縮合剤等のイミド化剤を用いてイミド化する方法を採用する場合、前記重合溶媒中において、縮合剤等のイミド化剤を用いて前記ポリアミド酸を化学イミド化することにより、前記ポリイミドを得る工程を採用することが好ましい。
また、このような縮合剤等のイミド化剤を用いる化学イミド化を採用してイミド化する場合、工程(II)に記載のイミド化工程を、前記縮合剤としての脱水縮合剤(カルボン酸無水物、カルボジイミド、酸アジド、活性エステル化剤等)と、反応促進剤(三級アミン等)とを用いてポリアミド酸を脱水閉環してイミド化する工程とすることがより好ましい。このような工程とすることで、イミド化の際に必ずしも高温で加熱する必要がなくなり、低温の条件下(より好ましくは100℃以下程度の温度条件下)でイミド化してポリイミドを得ることも可能となる。
このような化学イミド化を採用してイミド化する場合、工程(I)により重合溶媒(有機溶媒)中において上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と上記芳香族ジアミンの混合物とを反応させて得られた反応液(上記一般式(11A)で表される繰り返し単位を有するポリアミド酸を含有する反応液)を得た後、その反応液をそのまま用いて、縮合剤を用いる化学イミド化を施してもよい。なお、工程(I)を実施した後に、前記ポリアミド酸を単離して、別途、重合溶液中に前記ポリアミド酸を添加してから、化学イミド化を施してもよい。
また、このような工程(II)において化学イミド化を採用する場合に用いる縮合剤は、前記ポリアミド酸を縮合させてポリイミドとする際に利用することが可能なものであればよく、後述の反応促進剤と組みあわせて、いわゆる「イミド化剤」として用いられる公知の化合物を適宜利用することができる。このような縮合剤としては、特に制限されないが、例えば、無水酢酸や無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などのカルボン酸無水物、N,N‘−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などのカルボジイミド、ジフェニルリン酸アジド(DPPA)などの酸アジド、カストロ試薬などの活性エステル化剤、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(CDMT)などの脱水縮合剤を挙げることができる。このような縮合剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸が好ましく、無水酢酸、無水プロピオン酸がより好ましく、無水酢酸が更に好ましい。このような縮合剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記反応促進剤としては、前記ポリアミド酸を縮合させてポリイミドとする際に利用することが可能なものであればよく、公知の化合物を適宜利用することができる。このような反応促進剤は、反応中に副生する酸を補足する酸補足剤としても機能し得る。そのため、このような反応促進剤を用いることで、反応の加速と副生する酸による逆反応が抑制され効率よく反応を進行せしめることが可能となる。このような反応促進剤としては、特に制限されないが、酸補足剤としての機能も兼ねるものがより好ましく、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、コリジン、ルチジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO),ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの三級アミン等を挙げることができる。このような反応促進剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジンが好ましく、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジンがより好ましく、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンが更に好ましい。このような反応促進剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、例えば触媒量の反応促進剤(DMAPなど)と共沸脱水剤(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)を添加して、ポリアミド酸がイミドになる際に生じる水を共沸脱水により除去し、化学イミド化しても良い。このように、化学イミド化に際しては、前記反応促進剤とともに、共沸脱水剤を適宜利用してもよい。このような共沸脱水剤としては特に制限されず、反応に用いる材料の種類等に応じて、公知の共沸脱水剤の中から適宜選択して利用すればよい。
また、このような縮合剤及び反応促進剤を利用して化学イミド化する際には、より効率よくポリイミドを製造するといった観点から、工程(I)を実施した後に得られるポリアミド酸を単離することなく、重合溶媒(有機溶媒)中において上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物とを反応させて得られた反応液(前記ポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い、前記反応液に縮合剤(イミド化剤)及び反応促進剤を添加してイミド化する方法を採用することがより好ましい。
また、このような化学イミド化の際の温度条件は、−40℃〜200℃であることが好ましく、−20℃〜150℃であることがより好ましく、0〜150℃であることが更に好ましく、50〜100℃であることが特に好ましい。このような温度が前記上限を超えると望ましくない副反応が進行しポリイミドが得られない傾向にあり、他方、前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が進行しなくなりポリイミドが得られない傾向にある。このように、化学イミド化を採用した場合においては、−40℃〜200℃といった比較的低温の温度域でイミド化することも可能であり、これにより環境負荷をより少ないものとすることが可能となる。
また、このような化学イミド化の反応時間は0.1〜48時間とすることが好ましい。このような反応温度や時間が前記下限未満では十分にイミド化することが困難となり、重合溶媒中にポリイミドを析出させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると重合物を劣化させる物質(酸素等)の混入確率が高まり、却って分子量が低下する傾向にある。
また、このような縮合剤の使用量としては、特に制限されないが、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.05〜4.0モルとすることが好ましく、1〜2モルとすることが更に好ましい。このような縮合剤(イミド化剤)の使用量が前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が十分に進行しなくなりポリイミドが十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると望ましくない副反応が進行するなどして、効率よくポリイミドが得られなくなる傾向にある。
また、化学イミド化の際の前記反応促進剤の使用量としては、特に制限されないが、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.05〜4.0モルとすることが好ましく、1〜2モルとすることが更に好ましい。このような反応促進剤の使用量が前記下限未満では化学イミド化の反応速度が低下したり、反応自体が十分に進行しなくなりポリイミドが十分に得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると望ましくない副反応が進行するなどして、効率よくポリイミドが得られなくなる傾向にある。
また、このような化学イミド化を行う際の雰囲気条件としては、空気中の酸素による着色や、空気中の水蒸気による分子量低下を防止するとの観点から、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気や真空下とすることが好ましい。また、このような化学イミド化を行う際の圧力条件としては特に制限されるものではないが、0.01hPa〜1MPaであることが好ましく、0.1hPa〜0.3MPaであることがより好ましい。このような圧力が前記下限未満では、溶剤、縮合剤、反応促進剤が気体化して化学量論性が崩れ、反応に悪影響を与えて、十分に反応を進行させることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、望ましくない副反応が進行したり、ポリアミド酸の溶解性が低下して析出してしまう傾向にある。
また、工程(II)におけるイミド化に際しては、前述のように、前記ポリアミド酸を60〜450℃(より好ましくは80〜400℃)の温度条件で加熱する処理(加熱処理)を施すことによりイミド化する方法を採用することもできる。このような加熱処理を施してイミド化する方法を採用する場合において、前記加熱温度が前記下限未満では反応の進行が遅れる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色したり、熱分解による分子量低下などが起きたりする傾向にある。また、前記加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合の反応時間(加熱時間)は0.5〜5時間とすることが好ましい。このような反応時間が前記下限未満では十分にイミド化することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると着色したり、熱分解による分子量低下などが起きる傾向にある。
また、前記加熱処理を施してイミド化する場合においては、高分子量化やイミド化を促進させるために、いわゆる反応促進剤を利用してもよい。このような反応促進剤としては、公知の反応促進剤(トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、コリジン、ルチジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO),ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの三級アミン等)を適宜利用してもよい。また、このような反応促進剤の中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジンが好ましく、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジンがより好ましく、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンが更に好ましい。このような反応促進剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記加熱処理を施してイミド化する場合において、前記反応促進剤の使用量としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリアミド酸中の繰り返し単位1モルに対して0.01〜4.0モルとすることが好ましく、0.05〜2.0モルであることがより好ましく、0.05〜1.0モルとすることが更に好ましい。
また、このような工程(I)及び工程(II)を含む方法を利用する場合であって、イミド化に際して前記加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用する場合には、前記工程(I)を実施した後に、上記本発明のポリアミド酸を単離することなく、有機溶媒中において前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物とを反応させて得られた反応液(前記ポリアミド酸を含有する反応液)をそのまま用い、前記反応液に対して溶媒を蒸発除去する処理(溶媒除去処理)を施して溶媒を除去した後、前記加熱処理を施すことによりイミド化する方法を採用してもよい。このような溶媒を蒸発除去する処理により、前記ポリアミド酸をフィルム状などの形態にして単離した後、加熱処理を施して、所望の形態のポリイミドを得ること等が可能となる。
このような溶媒を蒸発除去する処理(溶媒除去処理)の方法における温度条件としては0〜180℃であることが好ましく、30〜150℃であることがより好ましい。このような溶媒除去処理における温度条件が前記下限未満では溶媒を十分に蒸発させて除去することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると溶媒が沸騰し気泡やボイドを含むフィルムになる傾向にある。この場合において、例えばフィルム状のポリイミドを製造する場合においては、得られた反応液をそのまま基材(例えばガラス板)上に塗布し、前記溶媒を蒸発除去する処理及び加熱処理を施せばよく、簡便な方法でフィルム状のポリイミドを製造することが可能となる。なお、このような反応液の塗布方法としては特に制限されず、公知の方法(キャスト法など)を適宜採用することができる。また、前記反応液から上記本発明のポリアミド酸を単離して利用する場合、その単離方法としては特に制限されず、ポリアミド酸を単離することが可能な公知の方法を適宜採用することができ、例えば、再沈殿物として単離する方法などを採用してもよい。
また、前記加熱処理を施してイミド化する方法を採用して工程(II)を施す場合には、工程(I)と工程(II)とを一連の工程として同時に施してもよい。このように、工程(I)と工程(II)とを一連の工程として同時に施す方法としては、例えば、前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物(混合物中の芳香族ジアミン)とを反応させる段階から加熱する処理を施すことにより、ポリアミド酸(中間体)の形成とそれに続くポリイミドの形成(イミド化)とを同時に進行せしめて、工程(I)と工程(II)とを同時に施す方法を採用することができる。
また、このように前記テトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物(混合物中の芳香族ジアミン)とを反応させる際から加熱する処理を施すことにより、工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合においては、重合溶媒の存在下、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミンの混合物(混合物中の芳香族ジアミン)とを反応させる段階から反応促進剤を用い、前記重合溶媒と前記反応促進剤の存在下、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物とを加熱して反応させることによりポリイミドを形成することが好ましい。このようにして工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合、加熱によって、工程(I)におけるポリアミド酸の生成と工程(II)におけるポリアミド酸のイミド化とが連続的に引き起こされて、溶媒中においてポリイミドが調製されることとなるが、その際に、前記反応促進剤を利用することで、ポリアミド酸の生成とイミド化の反応速度が非常に早くなり、分子量を伸ばすことが可能となる。また、前記反応促進剤を用いて加熱することにより工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合には、加熱により、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの反応が進行するとともに、反応により生成される水を蒸発させて除去することも可能となるため、いわゆる縮合剤(脱水縮合剤)を利用することなく、反応を効率よく進行させることも可能となる。
また、前記重合溶媒と前記反応促進剤の存在下、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物とを加熱して反応させることによりポリイミドを形成する場合(反応促進剤を用いて加熱することにより工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合)、その加熱時の温度条件としては、100〜250℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、150〜220℃であることが更に好ましい。このような温度条件が前記下限未満では反応温度が水の沸点以下であるため、水の留去が生じず、水の存在により反応の進行が阻害され、ポリイミドの分子量をより大きなものとすることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、溶媒の熱分解などの副反応が生じ、加熱後に得られるポリイミドと有機溶媒との混合液(ワニス)中の不純物が多くなって、これを用いてフィルムを形成した場合に、得られるポリイミドフィルムの物性が悪化する傾向にある。
また、反応促進剤を用いて加熱することにより工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合、その工程に利用する反応促進剤としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、コリジン、ルチジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO),ジアザビシクロノネン(DBN)、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの三級アミンが好ましく、中でも、反応性、入手性、実用性の観点から、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジンが好ましく、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジンがより好ましく、トリエチルアミン、N−メチルピペリジンが更に好ましい。このような反応促進剤は1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、反応促進剤を用いて加熱することにより工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合、その反応促進剤の使用量は、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物と前記芳香族ジアミンの混合物の総量(合計量)100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.05〜2質量部とすることがより好ましい。
また、このようにして得られるポリイミドは、Xが上記一般式(I−1)で表される基である上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミドとなる。なお、このようなポリイミドは、上記本発明のポリイミドとして説明したものと同様のものである(その好適なものも同様である。)。そのため、本発明のポリイミドの製造方法は、前述の本発明のポリイミドを製造するための方法として好適に利用することができる。
以上、上記一般式(5A)で表される化合物(テトラカルボン酸二無水物)を用いた場合の本発明のポリイミドの製造方法を好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のポリイミドの製造方法は、上記方法に限定されるものではない(なお、上述の工程(I)と工程(II)を含む方法を、以下、場合により、単に「方法(A)」と称する)。
このような本発明のポリイミドの製造方法の他の実施形態としては、例えば、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物の代わりに上記一般式(5B)で表されるテトラカルボン酸二無水物を用いる以外は前述の方法(A)と同様にしてポリイミドを得る方法(以下、場合により単に「方法(B)」と称する)を採用することができる。このような方法(B)においては、その工程(I)に相当する工程において、得られるポリアミド酸の構造は上記一般式(5B)で表される化合物に由来するものとなる。ここで、方法(B)に用いる上記一般式(5B)で表される化合物(テトラカルボン酸二無水物)に関して、式(5B)中のA、Rはそれぞれ上記一般式(I−2)中のA、Rと同義である(その好適なものも同義である)。また、このような方法(B)に用いる上記一般式(5B)で表される化合物(テトラカルボン酸二無水物)の製造方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、国際公開第2015/163314号に記載されている方法)を適宜採用することができる。また、方法(B)において形成されるポリアミド酸は下記一般式(11B):
[式(11B)中、A、Rはそれぞれ上記一般式(I−2)中のA、Rと同義であり、式(11B)中のR10は上記一般式(1)中のR10と同義である。]
で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(11B)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A’’)であるポリアミド酸となる。なお、このような方法(B)におけるポリアミド酸や各工程の好適な条件(ポリアミド酸の粘度の条件、テトラカルボン酸二無水物の使用量、テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物の反応条件、等の好適な条件)は、方法(A)で説明した条件と同様である。ここで、方法(B)により得られるポリアミド酸は、上記一般式(5B)で表される化合物と前記芳香族ジアミンの混合物とに由来する繰り返し単位(上記一般式(11B)で表される繰り返し単位)となる以外、R10の好適な条件等も方法(A)において説明したものと同様である。このように、一般式(11B)で表される繰り返し単位を2種以上含有する前記ポリアミド酸において、前記繰り返し単位(A’’)以外の一般式(11B)で表される繰り返し単位としては(前記繰り返し単位(A’’)と組み合わせて利用する一般式(11B)で表される繰り返し単位としては)、特に制限されず、R10が炭素数が6〜40のアリーレン基であって且つ上記一般式(2)で表される基以外のものである一般式(11B)で表される繰り返し単位を適宜利用することが可能であり、中でも、前記繰り返し単位(A’’)以外の繰り返し単位の少なくとも1種が、式(11B)中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B’’)であることが好ましい。このような一般式(11B)で表され且つ該式中のR10が上記一般式(3)〜(4)で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B’’)を、前記繰り返し単位(A’’)と組み合わせて利用することにより、ポリアミド酸を用いてポリイミドフィルムに誘導した際に、高耐熱性、無色透明性、高硬度のバランスの観点で、より優れたポリイミドフィルムを得ることが可能となる。また、このような方法(B)によれば、得られるポリイミドは、Xが上記一般式(I−2)で表される基である上記一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミドとなる。
なお、前述の方法(A)や方法(B)においては、テトラカルボン酸二無水物として上記一般式(5A)又は(5B)で表される化合物を用いているが、本発明のポリイミドの製造方法においては、テトラカルボン酸二無水物として、上記一般式(5A)で表される化合物及び上記一般式(5B)で表される化合物の中から選択される少なくとも1種を用いることができ、上記一般式(5A)で表される化合物と上記一般式(5B)で表される化合物との混合物を利用してよい。かかる場合においても、上記一般式(5A)で表されるテトラカルボン酸二無水物の代わりに、上記一般式(5A)で表される化合物と上記一般式(5B)で表される化合物との混合物を利用する以外は、上述の工程(I)及び(II)を含む方法と同様の方法(好適な条件も同様である)を採用することで、ポリイミドを得ることができる。また、上記一般式(5A)で表される化合物と上記一般式(5B)で表される化合物との混合物を利用した場合、ポリアミド酸の繰り返し単位は、上記一般式(11A)で表されるの繰り返し単位及び上記一般式(11B)で表されるの繰り返し単位の双方を含むものとなり、最終的に得られるポリイミドにおいて、一般式(1)で表されかつ該式中のXが式(I−1)で表される基である繰り返し単位と、一般式(1)で表されかつ該式中のXが式(I−2)で表される基である繰り返し単位とを含むものとなる。
更に、本発明のポリイミドの製造方法においては、前記重合溶媒及び前記反応促進剤の存在下、上記一般式(5A)で表される化合物及び上記一般式(5B)で表される化合物からなる少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、前記芳香族ジアミンの混合物とを加熱して反応させることにより、ポリイミドを形成する方法を採用することが好ましい。このような方法によれば、ポリアミド酸(中間体)の形成とそれに続くポリイミドの形成(イミド化)とをほぼ同時に進行せしめて、より効率よくポリイミドを調製することができる。また、このような方法における加熱時の温度条件や反応促進剤の種類やその使用量などは、前述の反応促進剤を用いて加熱することにより工程(I)と工程(II)とを同時に施す場合において説明した条件と同様の条件とすることが好ましい。
また、本発明のポリイミドを製造するために好適に採用することが可能な方法は、前述の本発明のポリイミドの製造方法に限定されるものではない。本発明のポリイミドを製造するために好適に採用することが可能な方法としては、例えば、ポリイミド前駆体として、下記一般式(101):
[式(101)中、R、R、R、R10、nはそれぞれ、上記式(11A)中のR、R、R、R10、nと同義であり、Y、Yはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数3〜9のアルキルシリル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(101)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A’)である樹脂(A);
下記一般式(102):
[式(102)中、A、R、R10は上記一般式(11B)中のA、R、R10と同義であり、Y、Yはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数3〜9のアルキルシリル基よりなる群から選択される1種を示す。]
で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(102)中のR10が上記一般式(2)で表される基である繰り返し単位(A’’)である樹脂(B);
等を調製した後、これをイミド化する方法を採用することもできる(なお、かかる方法において、例えば、上記式中のY、Yがいずれも水素原子である場合には本発明のポリイミドの製造方法の好適な一実施形態(上述の方法(A)や方法(B))と同様の方法となり、かかる方法の一部は本発明のポリイミドの製造方法と同一の方法となり得る。また、前述のポリイミド前駆体は、上記一般式(101)で表される繰り返し単位及び上記一般式(102)で表される繰り返し単位の双方を含むものであってもよい。)。
このような樹脂(A)及び(B)において、式中のY、Yはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基、又は、炭素数3〜9のアルキルシリル基のいずれかである。Y、Yは、その置換基の種類、及び、置換基の導入率を、その製造条件を適宜変更することで変化させることができる。このようなY、Yは、いずれも水素原子である場合は、上記樹脂(A)及び(B)はいずれもポリアミド酸となり、これを用いた場合には、ポリイミドの製造がより容易となる傾向がある。
また、このような樹脂(A)及び(B)において、式中のY、Yが炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基である場合、ポリイミド前駆体の保存安定性がより優れたものとなる傾向にある。また、Y、Yが炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基である場合、Y、Yはメチル基又はエチル基であることがより好ましい。
また、このような樹脂(A)及び(B)において、式中のY、Yが炭素数3〜9のアルキルシリル基である場合、ポリイミド前駆体の溶解性がより優れたものとなる傾向にある。このようにY、Yが炭素数3〜9のアルキルシリル基である場合、Y、Yはトリメチルシリル基又はt−ブチルジメチルシリル基であることがより好ましい。
このような樹脂(A)及び(B)において、式中のY、Yに関して、水素原子以外の基(アルキル基及び/又はアルキルシリル基)の導入率は、特に限定されないが、Y、Yのうちの少なくとも一部をアルキル基及び/又はアルキルシリル基とする場合Y、Yの総量の25%以上(より好ましくは50%以上、更に好ましくは75%以上)をアルキル基及び/又はアルキルシリル基とすることが好ましい(なお、この場合、アルキル基及び/又はアルキルシリル基以外のY、Yは水素原子となる)。Y、Yの総量の25%以上をアルキル基及び/又はアルキルシリル基にすることで、ポリイミド前駆体の保存安定性がより優れたものとなる傾向にある。
なお、このような樹脂(A)又は(B)からなるポリイミド前駆体は、Y、Yの種類に応じて、1)ポリアミド酸(各繰り返し単位の一般式中のY、Yがいずれも水素原子);2)ポリアミド酸エステル(Y、Yの少なくとも一部がアルキル基);3)ポリアミド酸シリルエステル(Y、Yの少なくとも一部がアルキルシリル基);に分類できる。以下、ポリイミド前駆体を製造するための方法を、上記分類ごとに分けて簡単に説明する。なお、このようなポリイミド前駆体を製造するための方法は、以下の製造方法に限定されるものではない。
1)ポリアミド酸
このようなポリアミド酸を製造するために好適に利用することが可能な方法としては、上記本発明のポリイミドの製造方法において説明した工程(I)や、上記方法(B)中のポリアミド酸を製造する工程を採用することが好ましい。
2)ポリアミド酸エステル
次に、前記ポリアミド酸エステルを製造するために好適に利用することが可能な方法を説明する。すなわち、先ず、上記一般式(5A)及び(5B)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物を任意のアルコールと反応させ、ジエステルジカルボン酸を得た後、塩素化試薬(例えば、チオニルクロライド、オキサリルクロライド等)と反応させ、ジエステルジカルボン酸クロライド(テトラカルボン酸の誘導体)を得る。このようにして得られたジエステルジカルボン酸クロライドを含有する単量体成分(上記一般式(5A)及び(5B)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物に由来する前記ジエステルジカルボン酸クロライドと、場合により、上記一般式(5A)及び(5B)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも1種とを含む成分)と、前記芳香族ジアミンの混合物とを−20〜120℃(より好ましくは−5〜80℃)の範囲で1〜72時間攪拌して反応させることで、Y、Yの少なくとも一部がアルキル基である繰り返し単位を含む樹脂(A)又は樹脂(B)である、ポリアミド酸エステルが得られる。なお、撹拌時の温度を80℃以上として反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し易くなり、また、熱によりイミド化が進行する場合も生じ得ることから、ポリイミド前駆体を安定的に製造することが困難となる傾向にある。また、ジエステルジカルボン酸と前記芳香族ジアミンとを、リン系縮合剤やカルボジイミド縮合剤などを用いて脱水縮合することによっても、簡便に、前記ポリアミド酸エステルからなるポリイミド前駆体が得られる。このような方法で得られるポリアミド酸エステルからなるポリイミド前駆体は、安定なため、水やアルコールなどの溶剤を加えて再沈殿などの精製を行うこともできる。
3)ポリアミド酸シリルエステル
以下、前記ポリアミド酸シリルエステルを製造するために好適に利用することが可能な方法を、いわゆる間接法と直接法とに分けて簡単に説明する。
<間接法>
ポリアミド酸シリルエステルを製造するために好適に利用することが可能な方法としては、以下のような方法(間接法)を採用できる。すなわち、先ず、前記芳香族ジアミンの混合物とシリル化剤を反応させ、シリル化された前記芳香族ジアミンを得る。なお、必要に応じて、蒸留等によりシリル化された芳香族ジアミンの精製を行ってもよい。次に、脱水された溶剤中に、シリル化された芳香族ジアミンの混合物、又は、シリル化された芳香族ジアミンの混合物と芳香族ジアミン(シリル化されていないもの)との混合物を溶解させて溶液を得る。次いで、前記溶液を撹拌しながら、該溶液中に前記テトラカルボン酸二無水物成分(上記一般式(5A)及び(5B)で表されるテトラカルボン酸二無水物のうちの少なくとも1種)を徐々に添加し、0〜120℃(好ましくは5〜80℃)の範囲で1〜72時間撹拌することで、Y、Yの少なくとも一部がアルキルシリル基である繰り返し単位を含む樹脂(A)又は樹脂(B)である、ポリアミド酸シリルエステルからなるポリイミド前駆体を得ることができる。なお、このような撹拌時の温度を80℃以上として反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し易くなり、また、熱によりイミド化が進行する場合も生じ得ることから、ポリイミド前駆体を安定的に製造することが困難となる傾向にある。
なお、前記シリル化剤としては、塩素原子を含有しないシリル化剤を用いることが好ましい。このように塩素原子を含有しないシリル化剤を用いることにより、シリル化された芳香族ジアミンを精製する必要がなくなるため、より工程を簡略化することが可能となる。このような塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。また、前記シリル化剤としては、フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
また、芳香族ジアミンのシリル化反応には、反応を促進するために、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミンなどのアミン系触媒を用いることができる。このようなアミン系触媒はポリイミド前駆体の重合触媒としてもそのまま使用することができる。
<直接法>
先ず、上述の「1)ポリアミド酸」の欄において説明したポリアミド酸を製造するために好適に利用することが可能な方法を実施し、反応後に得られた反応液をそのままポリアミド酸溶液として調製する。その後、得られたポリアミド酸溶液に対してシリル化剤を混合し、0〜120℃(好ましくは5〜80℃)の範囲で1〜72時間撹拌することで、前記ポリアミド酸シリルエステルからなるポリイミド前駆体樹脂を得ることができる(直接法)。なお、撹拌時の温度を80℃以上として反応させる場合、分子量が重合時の温度履歴に依存して変動し易くなり、また、熱によりイミド化が進行する場合も生じ得ることから、ポリイミド前駆体を安定的に製造することが困難となる傾向にある。このような直接法に用いることが可能なシリル化剤としても、シリル化されたポリアミド酸、もしくは、得られたポリイミドを精製する必要がないため、塩素原子を含有しないシリル化剤を用いることが好ましい。このような塩素原子を含まないシリル化剤としては、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。また、このようなシリル化剤としては、フッ素原子を含まず低コストであることから、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ヘキサメチルジシラザンが特に好ましい。
以上、説明したポリイミド前駆体を製造するための方法はいずれも有機溶媒中で実施することが可能である。このようにして、有機溶媒中でのポリイミド前駆体を製造した場合には、ポリイミド前駆体のワニスを容易に得ることができる。そして、このようにして得られたワニスを基板等の表面上に塗布し、イミド化することで、容易にポリイミドを得ることができる。このようなイミド化の方法としては、ポリイミド前駆体の種類(特に式中のY、Yの種類)に応じて、イミド結合を形成せしめてポリイミドを調製することが可能な方法を適宜採用すればよく、例えば、ポリイミド前駆体がポリアミド酸である場合には、上記本発明のポリイミドの製造方法において説明した工程(II)において説明した方法と同様の方法を採用することが好ましい。
[ポリイミド溶液]
本発明のポリイミド溶液は、上記本発明のポリイミドと有機溶媒とを含有するものである。このようなポリイミド溶液に用いる有機溶媒としては、前述の重合溶媒と同様のものを好適に利用することができる。また、本発明のポリイミド溶液は、上述の本発明のポリイミドの製造方法を実施して得られるポリイミドが製造時に用いた重合溶媒(有機溶媒)に十分に溶解するものである場合には、反応後に得られた反応液をそのままポリイミド溶液としてもよい(例えば、有機溶媒(重合溶媒)として、得られるポリイミドを十分に溶解可能なものを用いて、その溶媒中でポリイミドを形成することにより、反応後に得られた反応液をそのままポリイミド溶液とすることが可能である。)。
このように、本発明のポリイミド溶液に用いる有機溶媒としては、前述の重合溶媒において説明したものと同様のものを好適に利用することができる。なお、本発明のポリイミド溶液に用いる有機溶媒としては、例えば、前記ポリイミド溶液を塗工液として利用した場合の溶媒の蒸散性や除去性の観点から、沸点が200℃以下のハロゲン系溶剤(例えば、ジクロロメタン(沸点40℃)、トリクロロメタン(沸点62℃)、四塩化炭素(沸点77℃)、ジクロロエタン(沸点84℃)、トリクロロエチレン(沸点87℃)、テトラクロロエチレン(沸点121℃)、テトラクロロエタン(沸点147℃)、クロロベンゼン(沸点131℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点180℃)等)を利用してもよい。
また、このようなポリイミド溶液に用いる有機溶媒としては、溶解性、成膜性、生産性、工業的入手性、既設設備の有無、価格といった観点から、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素がより好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。なお、このような有機溶媒は1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて利用してもよい。
また、このようなポリイミド溶液は、各種の加工品を製造するための塗工液等として好適に利用することも可能である。例えば、フィルムを形成する場合、上記本発明のポリイミド溶液を塗工液として利用して、これを基材上に塗工して塗膜を得た後、溶媒を除去することで、ポリイミドフィルムを形成してもよい。このような塗工方法は特に制限されず、公知の方法(スピンコート法、バーコート法、ディップコート法など)を適宜利用することができる。
このようなポリイミド溶液においては、前記ポリイミドの含有量(溶解量)は特に制限されないが、1〜75質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では、製膜等に利用した場合に成膜後の膜厚が薄くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると一部が溶媒に不溶となる傾向にある。さらに、このようなポリイミド溶液には、使用目的等に応じて、酸化防止剤(フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、核剤、樹脂添加剤(フィラー、タルク、ガラス繊維など)、難燃剤、加工性改良剤・滑材等の添加剤を更に添加してもよい。なお、これらの添加剤としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができ、市販のものを利用してもよい。
以上、本発明のポリイミド溶液について説明したが、次に、本発明のフィルムについて説明する。
[ポリイミドフィルム]
本発明のポリイミドフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるものである。このように、本発明のポリイミドフィルムは、上記本発明のポリイミドとして説明したポリイミドからなるフィルムであればよい。
また、本発明のポリイミドフィルムの厚みは特に制限されないが、1〜500μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。このような厚みが前記下限未満では強度が低下し取扱いが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、複数回の塗工が必要となる場合が生じたり、加工が複雑化する場合が生じる傾向にある。
このようなポリイミドフィルムの形態は、フィルム状であればよく、特に制限されず、各種形状(円盤状、円筒状(フィルムを筒状に加工したもの)等)に適宜設計することができ、前記ポリイミド溶液を用いて製造した場合には、より容易に、その設計を変更することも可能である。
このような本発明のフィルム(ポリイミドフィルム)を調製するための方法は特に制限されないが、例えば、上記工程(I)により得られた反応液(ポリアミド酸溶液)を基材上に塗布して溶媒を除去した後、イミド化することによりポリイミドフィルムを調製する方法を採用してもよく、あるいは、上記本発明のポリイミド溶液を基材上に塗布して溶媒を除去することでポリイミドフィルムを調製する方法を採用してもよい。
このような本発明のポリイミドフィルムは、上記本発明のポリイミドからなるため、透明性、耐熱性が十分に優れたものとすることが可能であるばかりか、十分に高い硬度を有するものとすることも可能である。そのため、このような本発明のポリイミドフィルムは、例えば、フレキシブル配線基板用フィルム、液晶配向膜に用いるフィルム、有機EL用透明導電性フィルム、有機EL照明用フィルム、フレキシブル基板フィルム、フレキシブル有機EL用基板フィルム、フレキシブル透明導電性フィルム、透明導電性フィルム、有機薄膜型太陽電池用透明導電性フィルム、色素増感型太陽電池用透明導電性フィルム、フレキシブルガスバリアフィルム、タッチパネル用フィルム、フレキシブルディスプレイ用フロントフィルム、フレキシブルディスプレイ用バックフィルム、フラットパネルディテクタ用TFT基板フィルム、ポリイミドベルト、コーティング剤、バリア膜、封止材、層間絶縁材料、パッシベーション膜、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、光導波路、カラーフィルター基材、半導体コーティング剤、耐熱絶縁テープ、電線エナメル等の用途に適宜利用できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、各実施例、各比較例で得られたフィルムを形成するポリイミドの特性(線膨張係数等)の評価方法について説明する。
<分子構造の同定>
各実施例等で得られた化合物の分子構造の同定は、赤外吸収スペクトル測定(IR測定)により行った。なお、測定装置としては、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いた。
<全光線透過率、ヘイズ(濁度)及び黄色度(YI)の測定>
各実施例等で得られたポリイミドの全光線透過率の値(単位:%)、ヘイズ(濁度:HAZE)及び黄色度(YI)は、各実施例等で得られたフィルムをそのまま測定用の試料として用い、測定装置として日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」又は日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」を用いて、それぞれ測定を行うことにより求めた。また、かかる測定に際しては、日本電色工業株式会社製の商品名「ヘーズメーターNDH−5000」で全光線透過率とヘイズを測定し、日本電色工業株式会社製の商品名「分光色彩計SD6000」で黄色度を測定した。また、全光線透過率は、JIS K7361−1(1997年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、ヘイズ(濁度)は、JIS K7136(2000年発行)に準拠した測定を行うことにより求め、黄色度(YI)はASTM E313−05(2005年発行)に準拠した測定を行うことにより求めた。
<線膨張係数(CTE)の測定>
各実施例等で得られたポリイミド(フィルム形状のポリイミド)から縦20mm、横5mmの大きさのフィルム(フィルムの厚みは測定値に影響するものではないため、厚みは各実施例で製造されたフィルムの厚みをそのまま採用した。)をそれぞれ形成して測定試料とし、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」)を利用して、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件を採用して、室温から200℃まで昇温(1回目の昇温)し、30℃以下まで放冷した後に、その温度から400℃まで昇温(2回目の昇温)し、その昇温時の前記試料の縦方向の長さの変化を測定する。次いで、このような2回目の昇温時の測定(放冷時の温度から400℃まで昇温する際の測定)で得られたTMA曲線を用いて、100℃〜200℃の温度範囲における1℃あたりの長さの変化の平均値を求め、得られる値をポリイミドの線膨張係数として測定する。
<5%重量減少温度の測定>
各実施例等で得られた化合物の5%重量減少温度は、各実施例で製造したポリイミドフィルムを用いて、熱重量分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製の「TG/DTA220」)を使用して、窒素ガスを流しながら室温から40℃に昇温し、40℃を開始温度として、10℃/min.の条件で加熱して、用いた試料の重量が5%減少する温度を測定することにより求めた。
<鉛筆硬度の測定>
各実施例等で得られたポリイミドフィルムを用いて鉛筆硬度をそれぞれ測定した。すなわち、各実施例等で得られたポリイミドフィルムに対して、コーテマック株式会社製の鉛筆硬度試験器(商品名「TQC 鉛筆引っかき硬度試験器」)を用いて、ポリイミドフィルムの表面の硬度を、1999年発行のJIS K5600−5−4に規定されている方法に準拠してそれぞれ測定することにより求めた。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
各実施例等で得られたポリイミドのガラス転移温度(Tg)の値(単位:℃)は、測定装置として熱機械的分析装置(リガク製の商品名「TMA8310」又は「TMA8311」)を用い、更に、測定試料として各実施例等で得られたポリイミドフィルムから切り出した縦20mm、横5mmの大きさの試料(かかる試料の厚みは測定値に影響するものではないため、実施例で得られたフィルムの厚みのままとした)を用いて、窒素雰囲気下、引張りモード(49mN)、昇温速度5℃/分の条件で測定を行ってTMA曲線を求め、ガラス転移に起因するTMA曲線の変曲点に対し、その前後の曲線を外挿することにより求めた。
(実施例1)
<テトラカルボン酸二無水物の準備工程>
国際公開第2011/099518号の合成例1、実施例1及び実施例2に記載された方法に準拠して、下記一般式(12):
で表されるテトラカルボン酸二無水物(ノルボルナン−2−スピロ−α−シクロペンタノン−α’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物:以下、場合により「CpODA」と称する。)を準備した。
<ポリイミドの調製工程>
窒素雰囲気下において、50mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンである上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(以下、場合により「m−Tol」と称する。)を1.06g(5.00mmol)、芳香族ジアミンである下記一般式(13):
で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(以下、場合により「FDA」と称する。)を1.74g(5.00mmol)、及び、上記一般式(12)で表されるテトラカルボン酸二無水物(CpODA)を3.84g(10.0mmol)導入することにより、前記スクリュー管内に2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びFDA)と前記テトラカルボン酸二無水物(CpODA)とを導入した。次に、前記スクリュー管内に、有機溶媒であるジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を15.4g、有機溶媒であるγ−ブチロラクトンを11.1g、及び、反応促進剤であるトリエチルアミンを0.051g(0.50mmol)導入することにより、前記2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びFDA)と、前記テトラカルボン酸二無水物(CpODA)と、有機溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトン)と、反応促進剤(トリエチルアミン)とを混合して混合液を得た。
このようにして得られた混合液を、窒素雰囲気下、180℃の温度条件で3時間加熱しながら撹拌することにより、粘性のある均一な淡黄色の反応液を得た。このようにして、芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びFDA)と前記テトラカルボン酸二無水物(CpODA)とに由来するポリイミドを加熱工程により調製し、反応液(ポリイミドの溶液)を得た。
<ポリイミドフィルムの調製工程>
次いで、前記反応液をガラス板(縦:75mm、横50mm、厚み1.3mm)上にスピンコートすることにより、ガラス板上に塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブン中に投入し、窒素雰囲気下において、先ず、温度条件(第一温度の条件)を60℃として4時間静置し、次いで、温度条件(第二温度(焼成温度)の条件)を250℃に変更して1時間静置して塗膜を硬化せしめて、ガラス板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスを、90℃の水中に0.5時間浸漬して、前記ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離することによりポリイミドフィルムを回収し、ポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は70μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1700cm−1と1774cm−1にCpODAのカルボニル基のC=O伸縮振動が観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
前記スクリュー管内にm−Tol(4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル)及びFDA(9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン)の2種類の芳香族ジアミンの混合物を導入する代わりにFDAを3.48g(10.0mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に芳香族ジアミンとしてはFDAのみを導入し、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を15.4gから16.4gに変更し、
γ−ブチロラクトンの使用量を11.1gから12.9gに変更し、更に、
塗膜を硬化せしめる際の第二温度の条件を250℃から300℃に変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は32μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1702cm−1、1774cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表1に示す。
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例1)は、全光線透過率、HAZE及びYIの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例1で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例1で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例1)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例1)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
(実施例2)
スクリュー管内に芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を1.06g(5.00mmol)、芳香族ジアミンである9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)を1.74g(5.00mmol)導入する代わりに、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を0.707g(3.33mmol)、下記一般式(14):
で表される1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、場合により「APB−N」と称する。)を1.95g(6.67mmol)導入することにより、スクリュー管内に2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びAPB−N)を導入し、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を15.4gから13.1gに変更し、
γ−ブチロラクトンの使用量を11.1gから12.9gに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は15μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1703cm−1、1774cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表2に示す。
(比較例2)
前記スクリュー管内に、2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びAPB−N)を導入する代わりにAPB−Nを2.92g(10.0mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に芳香族ジアミンとしてはAPB−Nのみを導入し、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を13.1gから1.4gに変更し、
γ−ブチロラクトンの使用量を12.9gから11.1gに変更した以外は、実施例2と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は63μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1703cm−1、1777cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表2に示す。
表2に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例2)は、全光線透過率、HAZE及びYIの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例2で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例2で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例2)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例2)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
(実施例3)
スクリュー管内に芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を1.06g(5.00mmol)、芳香族ジアミンである9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)を1.74g(5.00mmol)導入する代わりに、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を0.707g(3.33mmol)、下記一般式(15):
で表されるビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(以下、場合により「BAPS−M」と称する。)を2.88g(6.67mmol)導入することにより、スクリュー管内に2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びBAPS−M)を導入し、更に、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を15.4gから18.5gに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は22μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1702cm−1、1776cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表3に示す。
(比較例3)
前記スクリュー管内に、2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びBAPS−M)を導入する代わりに、BAPS−Mを4.32g(10.0mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に、芳香族ジアミンとしてはBAPS−Mのみを導入し、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を18.5gから3.9gに変更した以外は、実施例3と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は50μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1704cm−1、1776cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表3に示す。
表3に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例3)は、全光線透過率、HAZE及びYIの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例3で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例3で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例3)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例3)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
(実施例4)
スクリュー管内に芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を1.06g(5.00mmol)、芳香族ジアミンである9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(FDA)を1.74g(5.00mmol)導入する代わりに、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を0.705g(3.33mmol)、下記一般式(16):
で表されるビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(以下、場合により「BAPS」と称する。)を2.88g(6.67mmol)導入することにより、スクリュー管内に2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びBAPS)を導入し、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を15.4gから18.5gに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は45μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1700cm−1、1774cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表4に示す。
(比較例4)
前記スクリュー管内に、2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びBAPS)を導入する代わりにBAPSを4.32g(10.0mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に芳香族ジアミンとしてはBAPSのみを導入し、更に、
ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を18.5gから21.5gに変更した以外は、実施例4と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は31μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニル及びCpODAのC=O伸縮振動が1702cm−1、1774cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表4に示す。
表4に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例4)は、全光線透過率及びHAZEの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例4で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例4で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例4)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例4)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
(実施例5)
<テトラカルボン酸二無水物の準備工程>
国際公開第2015/163314号の実施例1に記載された方法に準拠して、下記一般式(111):
で表されるテトラカルボン酸二無水物(以下、場合により「BzDA」と称する)を調製した。
<ポリイミドの調製工程>
窒素雰囲気下において、50mLのスクリュー管内に、芳香族ジアミンである上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を0.84g(3.96mmol)、芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以下、場合により「DDE」と称する)を0.79g(3.96mmol)、及び、上記一般式(111)で表されるテトラカルボン酸二無水物(BzDA)を3.25g(8.00mmol)導入することにより、前記スクリュー管内に2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDDE)と前記テトラカルボン酸二無水物(BzDA)とを導入した。次に、前記スクリュー管内に、有機溶媒であるジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)を11.1g、有機溶媒であるγ−ブチロラクトンを8.4g、及び、反応促進剤であるトリエチルアミンを0.040g(0.40mmol)導入することにより、前記2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDDE)と、前記テトラカルボン酸二無水物(BzDA)と、有機溶媒(N,N−ジメチルアセトアミド及びγ−ブチロラクトン)と、反応促進剤(トリエチルアミン)とを混合して混合液を得た。
このようにして得られた混合液を、窒素雰囲気下、180℃の温度条件で6時間加熱しながら撹拌することにより、粘性のある均一な淡黄色の反応液を得た。このようにして、芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDDE)と前記テトラカルボン酸二無水物(BzDA)とに由来するポリイミドを加熱工程により調製し、反応液(ポリイミドの溶液:原料の仕込み量から求められるポリイミドの濃度は20質量%)を得た。
<ポリイミドフィルムの調製工程>
次いで、前記反応液をガラス板(縦:75mm、横50mm、厚み1.3mm)上にスピンコートすることにより、ガラス板上に塗膜を形成した。その後、前記塗膜の形成されたガラス板をオーブン中に投入し、窒素雰囲気下において、先ず、温度条件(第一温度の条件)を60℃として4時間静置し、次いで、温度条件(第二温度(焼成温度)の条件)を250℃に変更して1時間静置して塗膜を硬化せしめて、ガラス板上にポリイミドからなる薄膜(ポリイミドフィルム)がコートされたポリイミドコートガラスを得た。次に、このようにして得られたポリイミドコートガラスを、90℃の水中に0.5時間浸漬して、前記ガラス基板からポリイミドフィルムを剥離することによりポリイミドフィルムを回収し、ポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は60μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1704cm−1と1776cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表5に示す。
(比較例5)
前記スクリュー管内に、2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDDE)を導入する代わりにDDEを1.98g(9.9mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に芳香族ジアミンとしてはDDEのみを導入し、上記一般式(111)で表されるテトラカルボン酸二無水物(BzDA)の仕込み量を3.25gから4.06g(10.0mmol)に変更し、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を11.1gから13.7gに変更し、γ−ブチロラクトンの使用量を8.4gから10.4gに変更し、更に、トリエチルアミンの使用量を0.040gから0.051g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例5と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は5μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1704cm−1と1774cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表5に示す。
表5に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例5)は、全光線透過率及びHAZEの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例5で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例5で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例5)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例5)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
(実施例6)
前記スクリュー管内に、芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を0.84g(3.96mmol)、芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)を0.79g(3.96mmol)導入する代わりに、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を1.05g(4.95mmol)、芳香族ジアミンである4,4’−ジアミノベンズアニリド(セイカ株式会社(旧名:和歌山精化株式会社)製:以下、場合により「DABAN」と称する。)を1.12g(4.95mmol)導入することにより、スクリュー管内に2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDABAN)を導入し、上記一般式(111)で表されるテトラカルボン酸二無水物(BzDA)の仕込み量を3.25gから4.06g(10.0mmol)に変更し、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を11.1gから8.3gに変更し、γ−ブチロラクトンの使用量を8.4gから6.3gに変更し、更に、トリエチルアミンの使用量を0.040gから0.025g(0.25mmol)に変更した以外は、実施例5と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は50μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1703cm−1と1773cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表6に示す。
(比較例6)
前記スクリュー管内に、2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDABAN)を導入する代わりにDABANを2.70g(11.9mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に芳香族ジアミンとしてはDABANのみを導入し、上記一般式(111)で表されるテトラカルボン酸二無水物(BzDA)の仕込み量を4.06gから4.88g(12.0mmol)に変更し、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を11.1gから10.1gに変更し、γ−ブチロラクトンの使用量を6.3gから7.6gに変更し、更に、トリエチルアミンの使用量を0.025gから0.061g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例6と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は42μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1701cm−1と1772cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表6に示す。
表6に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例6)は、全光線透過率及びHAZEの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例6で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例6で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例6)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例6)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
(実施例7)
前記スクリュー管内に、芳香族ジアミンである上記一般式(7)で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル(m−Tol)を0.84g(3.96mmol)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DDE)を0.79g(3.96mmol)との混合物を導入する代わりに、m−Tolを2.10g(9.90mmol)と、DDEを1.98g(9.90mmol)と、の混合物を導入し、下記一般式(111)で表されるテトラカルボン酸二無水物(BzDA)を3.25g(8.00mmol)導入する代わりに、BzDA4.06g(10.0mmol)と1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(東京化成工業株式会社製:以下、「HPMDA」と称する)2.24g(10.0mmol)の混合物を導入し、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を11.1gから23.7gに変更し、γ−ブチロラクトンの使用量を8.4gから17.9gに変更し、トリエチルアミンの使用量を0.040g(0.40mmol)から0.051g(0.50mmol)に変更した以外は、実施例5と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は20μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1704cm−1と1774cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表7に示す。
(比較例7)
前記スクリュー管内に、2種の芳香族ジアミンの混合物(m−Tol及びDDE)を導入する代わりにDDEを1.59g(7.92mmol)単独で導入することにより、前記スクリュー管内に芳香族ジアミンとしてはDDEのみを導入し、下記一般式(111)で表されるテトラカルボン酸二無水物(BzDA)の使用量を4.06g(10.0mmol)から1.63g(4.00mmol)に変更し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(HPMDA)の使用量を2.24g(10.0mmol)から0.90g(4.00mmol)に変更し、ジメチルアセトアミド(N,N−ジメチルアセトアミド)の使用量を23.7gから9.4gに変更し、γ−ブチロラクトンの使用量を17.9gから7.1gに変更し、更に、トリエチルアミンの使用量を0.040g(0.40mmol)から0.020g(0.20mmol)に変更した以外は、実施例7と同様にしてポリイミドからなる無色透明フィルム(ポリイミドフィルム)を得た。このようにして得られたポリイミドフィルムの膜厚は51μmであった。
なお、このようにして得られたフィルムを形成する化合物の分子構造を同定するため、IR測定機(日本分光株式会社製、商品名:FT/IR−4100)を用いて、IRスペクトルを測定したところ、イミドカルボニルのC=O伸縮振動が1703cm−1と1773cm−1に観察されたことから、得られたフィルムを構成する化合物はポリイミドであることが確認された。また、得られたポリイミドフィルムの特性の評価結果を表7に示す。
表7に示す結果からも明らかなように、本発明のポリイミド(実施例7)は、全光線透過率及びHAZEの値から十分に高い水準の透明性を有するものであることが確認され、更に5%重量減少温度から十分に高度な水準の耐熱性を有することが確認された。また、実施例7で得られたポリイミド(本発明のポリイミド)と、比較例7で得られたポリイミドとの対比から、芳香族ジアミンにm−Tolを混合して利用した場合(実施例7)に、鉛筆硬度をより向上させることが可能となることが分かった。このような結果から、本発明のポリイミド(実施例7)によれば、十分に高い透明性及び耐熱性を有しつつ、硬度をより高いものとすることが可能であることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高度な耐熱性及び透明性を有しつつ、硬度をより向上させることを可能とするポリイミド、及び、そのポリイミドを効率よく且つ確実に製造することが可能なポリイミドの製造方法を提供することが可能となる。更に、本発明によれば、前記ポリイミドを用いて得られるポリイミド溶液及びポリイミドフィルムを提供することも可能となる。
したがって、本発明のポリイミドは、例えば、フレキシブル配線基板、耐熱絶縁テープ、電線エナメル、半導体の保護コーティング、液晶配向膜、有機EL用基板、有機ELの透明電極基板、有機EL照明用フィルム、有機ELのTFT基板、太陽電池の透明電極基板、電子ペーパーの透明電極基板、各種のガスバリアフィルム基板、タッチパネル用フィルム、フレキシブルディスプレイ用フロントフィルム、フレキシブルディスプレイ用バックフィルム等を製造するための原料等として特に有用である。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    [式(1)中、Xは、下記一般式(I−1):
    (式(I−1)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。)
    で表される基、及び、下記一般式(I−2):
    (式(I−2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)
    で表される基よりなる群から選択されるいずれか1種の基を示し、
    10は炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
    で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、
    該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が下記一般式(2):
    で表される基である繰り返し単位(A)であることを特徴とするポリイミド。
  2. 前記繰り返し単位(A)の含有量が上記一般式(1)で表される繰り返し単位の総量に対するモル比で25〜75モル%であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
  3. 前記2種以上の繰り返し単位のうちの、前記繰り返し単位(A)以外の繰り返し単位の少なくとも1種が、式(1)中のR10が下記一般式(3)〜(4):
    [式(3)中のQは、式:−C−、−CONH−C−NHCO−、−NHCO−C−CONH−、−O−C−CO−C−O−、−OCO−C−COO−、−OCO−C−C−COO−、−OCO−、−NC−、−CO−C−CO−、−C1310−、−O−、−S−、−CO−、−CONH−、−SO−、−C(CF−、−C(CH−、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−O−C−C(CH−C−O−、−O−C−SO−C−O−、−C(CH−C−C(CH−、−O−C−C−O−及び−O−C−O−で表される基よりなる群から選択される1種を示す。]
    で表される基のうちのいずれかである繰り返し単位(B)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド。
  4. 重合溶媒の存在下、
    下記一般式(5A):
    [式(5A)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。]
    で表される化合物及び下記一般式(5B):
    [式(5B)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。]
    で表される化合物の中から選択される少なくとも1種のテトラカルボン酸二無水物と、
    下記一般式(6):
    N−R10−NH (6)
    [式(6)中、R10は炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
    で表される芳香族ジアミンを2種以上含有しかつ該芳香族ジアミンのうちの少なくとも1種が下記一般式(7):
    で表される4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニルである芳香族ジアミンの混合物と、
    を反応させることにより、
    下記一般式(1):
    [式(1)中、Xは、下記一般式(I−1):
    (式(I−1)中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基及びフッ素原子よりなる群から選択される1種を示し、nは0〜12の整数を示す。)
    で表される基、及び、下記一般式(I−2):
    (式(I−2)中、Aは置換基を有していてもよくかつ芳香環を形成する炭素原子の数が6〜30である2価の芳香族基よりなる群から選択される1種を示し、Rはそれぞれ独立に水素原子及び炭素数1〜10のアルキル基よりなる群から選択される1種を示す。)
    で表される基よりなる群から選択されるいずれか1種の基を示し、
    10は炭素数6〜40のアリーレン基を示す。]
    で表される繰り返し単位を2種以上含有し、かつ、
    該2種以上の繰り返し単位のうちの少なくとも1種が、式(1)中のR10が下記一般式(2):
    で表される基である繰り返し単位(A)であるポリイミドを得ることを特徴とするポリイミドの製造方法。
  5. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリイミドと有機溶媒とを含有することを特徴とするポリイミド溶液。
  6. 請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のポリイミドからなるフィルムであることを特徴とするポリイミドフィルム。
JP2017051346A 2016-09-13 2017-03-16 ポリイミド、ポリイミドの製造方法、ポリイミド溶液及びポリイミドフィルム Pending JP2017133027A (ja)

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