JP2017128646A - ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることが可能なゴム組成物の製造方法を提供する。【解決手段】互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体の合計100質量部に対して、シリカ25質量部以上と、カーボンブラック25質量部以上とを含むゴム組成物の製造方法であって、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中で、ガラス転移温度が最も低いジエン系重合体(A)と、カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する工程(a)と、該マスターバッチに、前記ジエン系重合体の残部と、シリカとを混合する工程(b)と、を含むことを特徴とする、ゴム組成物の製造方法である。【選択図】なし
Description
本発明は、ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物及びタイヤに関する。
従来、通常の路面上に加え、氷上でも安全に走行するためのタイヤとして、トレッドゴムを柔らかくしたスタッドレスタイヤが使用されており、トレッドゴムを柔らかくすることで、タイヤの氷上性能が向上することが知られている。しかしながら、一般に柔らかいトレッドゴムを具えるタイヤは、通常の路面における耐摩耗性が悪いという問題があり、タイヤの氷上性能と耐摩耗性は二律背反の関係にある。
また、タイヤの氷上性能を向上させる手法として、例えば、トレッドに用いるゴム組成物に有機繊維やグラスファイバー等を配合し、これらが氷路面を引っ掻くことで、タイヤの氷上性能を向上させる手法が知られている。しかしながら、有機繊維やグラスファイバー等は、ゴムとの相互作用が無いため破壊核として作用し、トレッドゴムの耐破壊性(耐摩耗性)を低下させる要因となる。
また、タイヤの氷上性能を向上させる手法として、例えば、トレッドに用いるゴム組成物に有機繊維やグラスファイバー等を配合し、これらが氷路面を引っ掻くことで、タイヤの氷上性能を向上させる手法が知られている。しかしながら、有機繊維やグラスファイバー等は、ゴムとの相互作用が無いため破壊核として作用し、トレッドゴムの耐破壊性(耐摩耗性)を低下させる要因となる。
かかる問題を解決するタイヤとして、特開2008−303334号公報(特許文献1)には、天然ゴムおよびブタジエンゴムからなるゴム成分100重量部に対して、チタン酸カリウム繊維を0.5〜20重量部、ならびにヨウ素吸着量が100〜300mg/gであるカーボンブラックを5〜200重量部配合したゴム組成物が提案されており、該ゴム組成物を、キャップトレッド及びベーストレッドからなる2層構造のトレッドのキャップトレッドに使用することで、耐摩耗性の低下を抑制しつつ、氷上性能(氷雪上性能)が向上することが報告されている。
しかしながら、特開2008−303334号公報(特許文献1)の表1に開示のように、チタン酸カリウム繊維を特定量配合したゴム組成物をキャップトレッドに使用することで、タイヤの氷上性能(氷上摩擦係数)は向上するものの、耐摩耗性は若干低下してしまい、氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることまではできない。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることが可能なゴム組成物とその製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れるタイヤを提供することを更なる課題とする。
また、本発明は、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れるタイヤを提供することを更なる課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のゴム組成物の製造方法は、
互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体と、シリカと、カーボンブラックと、を含み、
前記ジエン系重合体の少なくとも二種は、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であり、
前記シリカの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、
前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上である、ゴム組成物の製造方法であって、
・ 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する工程(a)と、
・ 調製された該マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合する工程(b)と、を含むことを特徴とする。
かかる本発明のゴム組成物の製造方法によれば、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることが可能なゴム組成物を製造することができる。
互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体と、シリカと、カーボンブラックと、を含み、
前記ジエン系重合体の少なくとも二種は、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であり、
前記シリカの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、
前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上である、ゴム組成物の製造方法であって、
・ 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する工程(a)と、
・ 調製された該マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合する工程(b)と、を含むことを特徴とする。
かかる本発明のゴム組成物の製造方法によれば、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることが可能なゴム組成物を製造することができる。
なお、本発明において、ポリマー相の非相溶性は、試験用ロールを用いて対象とするゴム組成物をシート状に加工し、15cm×15cm×1cmの試験用モールドにて150℃×30分間のプレス加硫を行い加硫シートを作製し、得られた加硫シートをミクロトームにより超薄切片として、走査型プローブ顕微鏡を用いて観察することによって評価され、相分離構造が確認された場合、ポリマー相は互いに非相溶である。
また、本発明において、ジエン系重合体のガラス転移温度(Tg)は、ASTM D3418−82に準拠し、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した外挿開始温度(extrapolated onset temperature):Tfとする。
本発明のゴム組成物の製造方法において、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、前記ジエン系重合体の中で配合量が最も多いか、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体と配合量が等しいことが好ましい。この場合、ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
本発明のゴム組成物の製造方法の好適例においては、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)が、ブタジエン骨格を有する。この場合、ゴム組成物が柔らかくなり、ゴム組成物をトレッドに使用した場合、トレッドの接地面積が大きくなり、氷上性能がより向上する。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、ポリブタジエンゴムであることが好ましい。この場合、ゴム組成物が更に柔らかくなることで、接地面積が更に大きくなり、氷上性能が更に向上する。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、ポリブタジエンゴムであることが好ましい。この場合、ゴム組成物が更に柔らかくなることで、接地面積が更に大きくなり、氷上性能が更に向上する。
本発明のゴム組成物の製造方法の他の好適例においては、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)が、イソプレン骨格を有する。この場合、ゴム組成物の補強性が高くなり、耐摩耗性がより向上する。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)は、天然ゴムであることが好ましい。この場合、ゴム組成物の補強性が更に高くなり、耐摩耗性が更に向上する。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)は、天然ゴムであることが好ましい。この場合、ゴム組成物の補強性が更に高くなり、耐摩耗性が更に向上する。
本発明のゴム組成物の製造方法の他の好適例においては、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)が、スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物により変性されている。この場合、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が大きくなり、ゴム組成物の耐摩耗性が更に向上する。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、スズ原子及び窒素原子の両方を含むことが好ましい。この場合、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が更に大きくなり、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相の補強性が高くなって、ゴム組成物の耐摩耗性が更に向上する。
ここで、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、スズ原子及び窒素原子の両方を含むことが好ましい。この場合、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が更に大きくなり、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相の補強性が高くなって、ゴム組成物の耐摩耗性が更に向上する。
また、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、前記スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物による変性率が1.1以上2.5以下であることが好ましい。この場合、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が大きく、補強性ひいては耐摩耗性が更に向上する。
ここで、前記ジエン系重合体(A)の変性率とは、ジエン系重合体(A)のゴム分100g当たりの、変性反応に使用するスズ原子(Sn)及び窒素原子(N)の少なくとも一方を含む化合物のミリモル数である。
ここで、前記ジエン系重合体(A)の変性率とは、ジエン系重合体(A)のゴム分100g当たりの、変性反応に使用するスズ原子(Sn)及び窒素原子(N)の少なくとも一方を含む化合物のミリモル数である。
本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記ゴム組成物が、更に発泡剤を含むことが好ましい。発泡剤を含むゴム組成物をトレッドゴムに使用してタイヤを製造すると、生タイヤを加硫する際に、発泡剤由来の気泡がトレッドゴム中に形成され、トレッドの気泡による引っ掻き効果及び排水効果で、タイヤの氷上性能を更に向上させることができる。
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記ゴム組成物が、更にC5系樹脂を含むことが好ましい。この場合、タイヤの氷上性能を更に向上させることができる。
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記ゴム組成物が、更に親水性短繊維を含むことが好ましい。この場合、タイヤの氷上性能を大幅に向上させることができる。
また、本発明のゴム組成物は、上記のゴム組成物の製造方法で製造されたことを特徴とする。本発明のゴム組成物によれば、タイヤに適用することで、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることができる。
更に、本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とする。本発明のタイヤは、上記のゴム組成物が用いられているので、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れる。
本発明によれば、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることが可能なゴム組成物とその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れるタイヤを提供することができる。
また、本発明によれば、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れるタイヤを提供することができる。
<ゴム組成物の製造方法、及びゴム組成物>
以下に、本発明のゴム組成物の製造方法、及びゴム組成物を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
本発明のゴム組成物の製造方法は、互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体と、シリカと、カーボンブラックと、を含み、前記ジエン系重合体の少なくとも二種は、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であり、前記シリカの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上である、ゴム組成物の製造方法であって、
前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する工程(a)と、
調製された該マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合する工程(b)と、を含むことを特徴とする。
また、本発明のゴム組成物は、上記の、本発明のゴム組成物の製造方法で製造されたことを特徴とする。
以下に、本発明のゴム組成物の製造方法、及びゴム組成物を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
本発明のゴム組成物の製造方法は、互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体と、シリカと、カーボンブラックと、を含み、前記ジエン系重合体の少なくとも二種は、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であり、前記シリカの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上である、ゴム組成物の製造方法であって、
前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する工程(a)と、
調製された該マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合する工程(b)と、を含むことを特徴とする。
また、本発明のゴム組成物は、上記の、本発明のゴム組成物の製造方法で製造されたことを特徴とする。
本発明の方法で製造されるゴム組成物は、少なくとも二種のジエン系重合体を含み、該二種以上のジエン系重合体からなるポリマーブレンドは、互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する。そして、本発明のゴム組成物の製造方法では、工程(a)において、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する。このように、本発明のゴム組成物の製造方法においては、ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、カーボンブラックの少なくとも一部とを混合してマスターバッチを調製することで、ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)に、カーボンブラックの少なくとも一部を化学結合させつつ、分散させることができる。また、ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相は、柔らかいため、氷上性能が高い。加えて、該ポリマー相には、カーボンブラックの少なくとも一部が分散しており、該ポリマー相が補強性の高いカーボンブラックを含むことで、製造されたゴム組成物をタイヤに使用した場合、タイヤの耐摩耗性が向上する。
また、本発明のゴム組成物の製造方法では、工程(b)において、前記マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合するが、マスターバッチ中のガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)にはカーボンブラックが化学結合しているため、工程(b)において、シリカは、ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)には分散し難く、主として、ジエン系重合体の残部[即ち、ジエン系重合体(A)よりもガラス転移温度(Tg)が高い他のジエン系重合体]に分散することとなる。そして、ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部からなるポリマー相には、シリカが主として分散することとなる。このように、ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部からなるポリマー相は、ガラス転移温度(Tg)が高く、補強性が高いジエン系重合体から形成されているため、耐摩耗性が高いことに加えて、シリカを含むため、ミクロな凹凸を有しつつ柔らかい。そのため、本発明の方法で製造されたゴム組成物をタイヤのトレッドに使用した場合、トレッドの接地面積が大きくなり、タイヤの氷上性能が向上する。
以上の理由から、本発明のゴム組成物の製造方法によれば、タイヤに適用することで、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることが可能なゴム組成物を製造することができる。
また、かかる方法で製造された、本発明のゴム組成物は、タイヤに適用することで、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることができる。
また、かかる方法で製造された、本発明のゴム組成物は、タイヤに適用することで、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させることができる。
上述のように、本発明のゴム組成物の製造方法においては、工程(a)において、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製し、工程(b)において、調製された前記マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合するが、工程(a)のマスターバッチの調製において、カーボンブラックの一部のみを配合した場合は、カーボンブラックの残部は、工程(b)で配合してもよいし、他の工程で配合してもよい。
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、工程(a)及び工程(b)において、所望により、後述するC5系樹脂、親水性短繊維、シランカップリング剤、軟化剤(プロセスオイル等)、ステアリン酸、亜鉛華(酸化亜鉛)、老化防止剤、ワックス等の他の配合剤を配合してもよい。
また、本発明のゴム組成物の製造方法においては、工程(a)及び工程(b)において、所望により、後述するC5系樹脂、親水性短繊維、シランカップリング剤、軟化剤(プロセスオイル等)、ステアリン酸、亜鉛華(酸化亜鉛)、老化防止剤、ワックス等の他の配合剤を配合してもよい。
前記工程(a)及び工程(b)においては、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー等の混合装置を用いることができる。なお、工程(a)の後、得られたマスターバッチを混合装置から一旦取り出してから、工程(b)を行ってもよいし、マスターバッチを一旦取り出さずに、工程(b)を行ってもよいが、工程(a)の後、得られたマスターバッチを混合装置から一旦取り出すことが好ましい。
また、得られたマスターバッチを混合装置から一旦取り出す場合、工程(b)は、工程(a)と同一の混合装置を用いて行ってもよいし、工程(a)と異なる別の混合装置を用いて行ってもよい。
また、得られたマスターバッチを混合装置から一旦取り出す場合、工程(b)は、工程(a)と同一の混合装置を用いて行ってもよいし、工程(a)と異なる別の混合装置を用いて行ってもよい。
前記工程(a)において、混合物(マスターバッチ)の最高温度は、120〜190℃の範囲が好ましく、130〜175℃の範囲がより好ましく、140〜170℃の範囲がより一層好ましい。工程(a)の混合物の最高温度が120℃以上190℃以下であれば、混練に要するエネルギーを節約しつつ、ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)へのカーボンブラックの分散が良好に進む。
また、前記工程(a)において、混合物の混合時間(混練時間)は、10〜300秒の範囲が好ましく、10〜210秒の範囲がより好ましく、30〜180秒の範囲がより一層好ましく、30〜150秒の範囲が特に好ましい。混合時間が10秒以上であれば、ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)へのカーボンブラックの分散を十分に進行させることができ、また、混合時間が300秒以下であれば、混練に要するエネルギーを節約することができる。
また、前記工程(b)において、混合物(ゴム組成物、又は、工程(b)の後に更に別の混合工程を含む場合は、ゴム組成物の予備混合物)の最高温度は、120〜190℃の範囲が好ましく、130〜175℃の範囲がより好ましく、140〜170℃の範囲がより一層好ましい。工程(b)の混合物の最高温度が120℃以上190℃以下であれば、混練に要するエネルギーを節約しつつ、ジエン系重合体(A)よりもガラス転移温度(Tg)が高い他のジエン系重合体へのシリカの分散が良好に進む。
また、前記工程(b)において、混合物の混合時間(混練時間)は、10〜300秒の範囲が好ましく、10〜210秒の範囲がより好ましく、30〜180秒の範囲がより一層好ましく、30〜150秒の範囲が特に好ましい。混合時間が10秒以上であれば、ジエン系重合体(A)よりもガラス転移温度(Tg)が高い他のジエン系重合体へのシリカの分散を十分に進行させることができ、また、混合時間が300秒以下であれば、混練に要するエネルギーを節約することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法で製造されるゴム組成物は、互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体を含む。なお、本発明において、ポリマー相を形成する前記ジエン系重合体は、室温(25℃)においてゴム弾性を示す。該ジエン系重合体としては、例えば、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムが挙げられ、該合成ジエン系ゴムとして、具体的には、ポリブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等が挙げられる。ここで、互いに非相溶な複数のポリマー相を形成するジエン系重合体の組み合わせとしては、ブタジエン骨格を有するジエン系重合体/イソプレン骨格を有するジエン系重合体が好ましく、その具体例としては、ポリブタジエンゴム(BR)/天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)/合成ポリイソプレンゴム(IR)等が挙げられ、ポリブタジエンゴム(BR)/天然ゴム(NR)が好ましい。
本発明においては、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、配合量が、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上である。前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%未満のジエン系重合体は、ゴム組成物の性能に及ぼす影響が小さい。そして、本発明のゴム組成物においては、前記ジエン系重合体(A)の配合量が、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であることで、該ジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相の影響が十分に発揮され、耐摩耗性が向上する。
前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、スズ原子(Sn)及び窒素原子(N)の少なくとも一方を含む化合物により変性されていることが好ましく、また、1.1以上2.5以下の変性率で当該変性がされていることが更に好ましい。なお、該変性率は、上述の通り、ジエン系重合体(A)のゴム分100g当たりの、変性反応に使用するスズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物のミリモル数である。
前記ジエン系重合体(A)がスズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物により変性されていることで、該ジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が向上し、該ジエン系重合体(A)を含むポリマー相中でのカーボンブラックの分散性が向上して、ゴム組成物の耐摩耗性が向上する。
また、前記ジエン系重合体(A)が1.1以上の変性率で前記スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物により変性されていることで、該ジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用がより向上し、該ジエン系重合体(A)を含むポリマー相中でのカーボンブラックの分散性が更に向上して、ゴム組成物の耐摩耗性がより向上する。
前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、スズ原子(Sn)及び窒素原子(N)の少なくとも一方を含む化合物により変性されていることが好ましく、また、1.1以上2.5以下の変性率で当該変性がされていることが更に好ましい。なお、該変性率は、上述の通り、ジエン系重合体(A)のゴム分100g当たりの、変性反応に使用するスズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物のミリモル数である。
前記ジエン系重合体(A)がスズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物により変性されていることで、該ジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が向上し、該ジエン系重合体(A)を含むポリマー相中でのカーボンブラックの分散性が向上して、ゴム組成物の耐摩耗性が向上する。
また、前記ジエン系重合体(A)が1.1以上の変性率で前記スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物により変性されていることで、該ジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用がより向上し、該ジエン系重合体(A)を含むポリマー相中でのカーボンブラックの分散性が更に向上して、ゴム組成物の耐摩耗性がより向上する。
前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)[以下、「低Tgジエン系重合体(A)」と略記することがある]としては、単量体として共役ジエン化合物、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を使用して得た、該共役ジエン化合物の重合体又は共重合体、或いは、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体を使用することができ、また、これら(共)重合体の分子末端及び/又は主鎖を変性したものを使用することもできる。具体的に、分子末端を変性した公知の変性ジエン系重合体としては、国際公開第2003/046020号、特表2004−513987号公報、特開平11−29603号公報、特開2003−113202号公報、及び特公平6−29338号公報に開示の変性ジエン系重合体を例示することができ、主鎖を変性した公知の変性ジエン系重合体としては、特表2003−534426号公報、及び特開2002−201310号公報に開示の変性ジエン系重合体を例示することができる。
上記低Tgジエン系重合体(A)の合成に用いる単量体に関し、共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等が挙げられる。
分子末端が変性された低Tgジエン系重合体(A)は、例えば、上記単量体をスズ原子及び/又は窒素原子を含む重合開始剤を用いてリビング重合させた後、重合活性末端をスズ原子及び/又は窒素原子を含む変性剤で変性させる方法で製造することができる。なお、上記リビング重合は、アニオン重合で行うことが好ましい。
アニオン重合で活性末端を有する(共)重合体を製造する場合、重合開始剤としては、リチウムアミド化合物が好ましい。該リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられる。
また、上記リチウムアミド化合物として、式:Li−AM[式中、AMは、下記式(I):
(式中、R1は、それぞれ独立して炭素数1〜12の、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基である)で表される置換アミノ基又は下記式(II):
(式中、R2は、3〜16のメチレン基を有する、アルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基を示す)で表される環状アミノ基である]で表されるリチウムアミド化合物を用いることで、式(I)で表される置換アミノ基及び式(II)で表される環状アミノ基からなる群から選択される少なくとも一種の窒素含有官能基が導入された低Tgジエン系重合体(A)が得られる。
上記式(I)において、R1は、炭素数1〜12の、アルキル基、シクロアルキル基又はアラルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、3−フェニル−1−プロピル基及びイソブチル基等が好適に挙げられる。なお、R1は、それぞれ同じでも異なってもよい。
また、上記式(II)において、R2は、3〜16個のメチレン基を有する、アルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の、鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、R2として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N−アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
また、上記式(II)において、R2は、3〜16個のメチレン基を有する、アルキレン基、置換アルキレン基、オキシアルキレン基又はN−アルキルアミノ−アルキレン基である。ここで、置換アルキレン基には、一置換から八置換のアルキレン基が含まれ、置換基としては、炭素数1〜12の、鎖状若しくは分枝状アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基が挙げられる。また、R2として、具体的には、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オキシジエチレン基、N−アルキルアザジエチレン基、ドデカメチレン基及びヘキサデカメチレン基等が好ましい。
上記リチウムアミド化合物は、二級アミンとリチウム化合物から予備調製して重合反応に用いてもよいが、重合系中で生成させてもよい。
ここで、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン等の他、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2−(2−エチルヘキシル)ピロリジン、3−(2−プロピル)ピロリジン、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピペリジン、4−フェニルピペリジン、7−デシル−1−アザシクロトリデカン、3,3−ジメチル−1−アザシクロテトラデカン、4−ドデシル−1−アザシクロオクタン、4−(2−フェニルブチル)−1−アザシクロオクタン、3−エチル−5−シクロヘキシル−1−アザシクロヘプタン、4−ヘキシル−1−アザシクロヘプタン、9−イソアミル−1−アザシクロヘプタデカン、2−メチル−1−アザシクロヘプタデセ−9−エン、3−イソブチル−1−アザシクロドデカン、2−メチル−7−tert−ブチル−1−アザシクロドデカン、5−ノニル−1−アザシクロドデカン、8−(4’−メチルフェニル)−5−ペンチル−3−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1−ブチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8−エチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−プロピル−3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3−(tert−ブチル)−7−アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5−トリメチル−3−アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンが挙げられる。
また、リチウム化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等のヒドロカルビルリチウムを用いることができる。
ここで、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジオクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジイソブチルアミン等の他、アザシクロヘプタン(即ち、ヘキサメチレンイミン)、2−(2−エチルヘキシル)ピロリジン、3−(2−プロピル)ピロリジン、3,5−ビス(2−エチルヘキシル)ピペリジン、4−フェニルピペリジン、7−デシル−1−アザシクロトリデカン、3,3−ジメチル−1−アザシクロテトラデカン、4−ドデシル−1−アザシクロオクタン、4−(2−フェニルブチル)−1−アザシクロオクタン、3−エチル−5−シクロヘキシル−1−アザシクロヘプタン、4−ヘキシル−1−アザシクロヘプタン、9−イソアミル−1−アザシクロヘプタデカン、2−メチル−1−アザシクロヘプタデセ−9−エン、3−イソブチル−1−アザシクロドデカン、2−メチル−7−tert−ブチル−1−アザシクロドデカン、5−ノニル−1−アザシクロドデカン、8−(4’−メチルフェニル)−5−ペンチル−3−アザビシクロ[5.4.0]ウンデカン、1−ブチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、8−エチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−プロピル−3−アザビシクロ[3.2.2]ノナン、3−(tert−ブチル)−7−アザビシクロ[4.3.0]ノナン、1,5,5−トリメチル−3−アザビシクロ[4.4.0]デカン等の環状アミンが挙げられる。
また、リチウム化合物としては、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等のヒドロカルビルリチウムを用いることができる。
上記活性末端を有する(共)重合体の活性末端を変性剤で変性するにあたって、変性剤としては、スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む変性剤を使用することができる。
上記スズ原子を含む変性剤(即ち、スズ含有化合物)としては、下記式(III):
R3 aSnXb ・・・ (III)
[式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]で表されるスズ含有カップリング剤が好ましい。式(III)のスズ含有カップリング剤で変性した低Tgジエン系重合体(A)は、少なくとも一種のスズ−炭素結合を有する。
ここで、R3として、具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。また、式(III)のカップリング剤としては、四塩化スズ、R3SnCl3、R3 2SnCl2、R3 3SnCl等が好ましく、四塩化スズが特に好ましい。
R3 aSnXb ・・・ (III)
[式中、R3は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Xは、それぞれ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]で表されるスズ含有カップリング剤が好ましい。式(III)のスズ含有カップリング剤で変性した低Tgジエン系重合体(A)は、少なくとも一種のスズ−炭素結合を有する。
ここで、R3として、具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ネオフィル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。また、式(III)のカップリング剤としては、四塩化スズ、R3SnCl3、R3 2SnCl2、R3 3SnCl等が好ましく、四塩化スズが特に好ましい。
また、上記窒素原子を含む変性剤(即ち、窒素含有化合物)としては、置換又は非置換のアミノ基、アミド基、イミノ基、イミダゾール基、ニトリル基、ピリジル基等を有する窒素含有化合物が挙げられ、より具体的には、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(即ち、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン)、N−メチルピロリドン、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン、4,4’−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]メチルエチルケトン、4,4’−ビス(1−ヘキサメチレンイミノメチル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(1−ピロリジノメチル)ベンゾフェノン、4−(1−ヘキサメチレンイミノメチル)ベンゾフェノン、4−(1−ピロリジノメチル)ベンゾフェノン、[4−(1−ヘキサメチレンイミノ)フェニル]メチルエチルケトン、3−[N,N−メチル(トリメチルシリル)アミノ]プロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
また、前記窒素原子を含む変性剤は、更にクロロスルフェニル基又はクロロスルフォニル基を有していてもよく、窒素原子に加えてクロロスルフェニル基又はクロロスルフォニル基を有する変性剤としては、特開平11−29603号公報に開示の、2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフェニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフォニルクロライド、2−アセタミドベンゼンスルフォニルクロライド、1−アミノナフチル−5−スルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、ジメチルスルファモイルクロライド、ジメチルスルフォニルクロライド、2,4−ジニトロベンゼンスルフォニルクロライド等を使用することができる。
なお、上記窒素原子を含む変性剤による変性に先立って、活性末端を有する(共)重合体に、特開2003−113202号公報に開示の、極性基を有する1,1−ジフェニルエチレン化合物を反応させておいてもよく、該1,1−ジフェニルエチレン化合物として、具体的には、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン等を使用することができる。
また、前記窒素原子を含む変性剤は、更にクロロスルフェニル基又はクロロスルフォニル基を有していてもよく、窒素原子に加えてクロロスルフェニル基又はクロロスルフォニル基を有する変性剤としては、特開平11−29603号公報に開示の、2,4−ジニトロベンゼンスルフェニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフェニルクロライド、4−ニトロベンゼンスルフォニルクロライド、2−アセタミドベンゼンスルフォニルクロライド、1−アミノナフチル−5−スルフォニルクロライド、キノリンスルフォニルクロライド、ジメチルスルファモイルクロライド、ジメチルスルフォニルクロライド、2,4−ジニトロベンゼンスルフォニルクロライド等を使用することができる。
なお、上記窒素原子を含む変性剤による変性に先立って、活性末端を有する(共)重合体に、特開2003−113202号公報に開示の、極性基を有する1,1−ジフェニルエチレン化合物を反応させておいてもよく、該1,1−ジフェニルエチレン化合物として、具体的には、1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−1−フェニルエチレン等を使用することができる。
一方、主鎖が変性された低Tgジエン系重合体(A)は、例えば、(1)上記単量体の(共)重合体に極性基含有単量体をグラフト重合させる方法、(2)上記単量体と極性基含有単量体を共重合させる方法、(3)上記単量体の(共)重合体に極性基含有化合物を付加させる方法等で製造することができる。なお、極性基含有単量体を用いた共重合は、乳化重合で行ってもよいし、リビングアニオン重合やリビングラジカル重合で行ってもよく、上記単量体と極性基含有単量体の共重合体は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物から選択される単量体と極性基含有単量体とがブロック重合したものであってもよい。
また、上記(1)共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物等の(共)重合体に極性基含有単量体をグラフト重合させる方法、並びに、上記(2)共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物等と極性基含有単量体を共重合させる方法において、使用する極性基含有単量体としては、極性基含有ビニル系単量体が好ましい。また、上記(3)共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物等の(共)重合体に極性基含有化合物を付加させる方法において、使用する極性基含有化合物としては、極性基含有メルカプト化合物が好ましい。なお、上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、含窒素複素環基等の窒素含有基や、スズ含有基等を好適に挙げることができる。
また、上記(1)共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物等の(共)重合体に極性基含有単量体をグラフト重合させる方法、並びに、上記(2)共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物等と極性基含有単量体を共重合させる方法において、使用する極性基含有単量体としては、極性基含有ビニル系単量体が好ましい。また、上記(3)共役ジエン化合物や芳香族ビニル化合物等の(共)重合体に極性基含有化合物を付加させる方法において、使用する極性基含有化合物としては、極性基含有メルカプト化合物が好ましい。なお、上記極性基の具体例としては、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム基、イミド基、アミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、含窒素複素環基等の窒素含有基や、スズ含有基等を好適に挙げることができる。
前記極性基含有ビニル系単量体として、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート[ここで、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及び/又はメタクリレートを指す。以下同じ。]、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジオクチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド[ここで、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを指す。以下同じ。]、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アリルトリ−n−ブチルスズ、アリルトリメチルスズ、アリルトリフェニルスズ、アリルトリ−n−オクチルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−ブチルスズ[ここで、「(メタ)アクリルオキシ」はアクリルオキシ及び/又はメタクリルオキシを指す。以下同じ。]、(メタ)アクリルオキシトリメチルスズ、(メタ)アクリルオキシトリフェニルスズ、(メタ)アクリルオキシ−n−オクチルスズ、ビニルトリ−n−ブチルスズ、ビニルトリメチルスズ、ビニルトリフェニルスズ、ビニルトリ−n−オクチルスズ等が挙げられる。これら単量体は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
また、前記極性基含有メルカプト化合物として、具体的には、2−メルカプトエチルアミン、N,N−ジメチルアミノエタンチオール、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトエチルトリ−n−ブチルスズ、2−メルカプトエチルトリメチルスズ、2−メルカプトエチルトリフェニルスズ、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブチルスズ、3−メルカプトプロピルトリメチルスズ、3−メルカプトプロピルトリフェニルスズ等が挙げられる。これら化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合せて用いてもよい。
前記低Tgジエン系重合体(A)は、スズ原子及び窒素原子の両方を含むことが好ましい。ここで、スズ原子及び窒素原子の両方を含む変性ジエン系重合体は、例えば、重合開始剤として、上記リチウムアミド化合物を用いて、重合開始末端に窒素含有官能基を導入し、変性剤として、前記スズ含有カップリング剤を使用して、重合活性末端(重合終結末端)にスズ含有官能基を導入したり、或いは、窒素含有単量体とスズ含有単量体の両方をグラフト重合させたり、窒素含有化合物とスズ含有化合物の両方を付加させたりして得ることができる。
前記低Tgジエン系重合体(A)がスズ原子及び窒素原子の両方を含む場合、低Tgジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が特に大きくなり、低Tgジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相中でのカーボンブラックの分散性が特に良好となり、該ポリマー相に対する補強効果が更に向上して、耐摩耗性が特に高くなる。
前記低Tgジエン系重合体(A)がスズ原子及び窒素原子の両方を含む場合、低Tgジエン系重合体(A)とカーボンブラックとの相互作用が特に大きくなり、低Tgジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相中でのカーボンブラックの分散性が特に良好となり、該ポリマー相に対する補強効果が更に向上して、耐摩耗性が特に高くなる。
本発明において、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、ブタジエン骨格を有することが好ましい。低Tgジエン系重合体(A)がブタジエン骨格を有する場合、ゴム組成物が柔らかくなり、ゴム組成物をトレッドに使用した場合、トレッドの接地面積が大きくなり、氷上性能がより向上する。ここで、ブタジエン骨格を有するジエン系重合体としては、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)等が挙げられる。なお、前記低Tgジエン系重合体(A)は、氷上性能の観点から、ポリブタジエンゴム(BR)であることが特に好ましい。
上述したガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上である限り特に限定されるものではないが、好ましくはジエン系重合体の総量の50質量%以上、より好ましくはジエン系重合体の総量の55質量%以上、より一層好ましくはジエン系重合体の総量の60質量%以上であり、また、好ましくはジエン系重合体の総量の75質量%以下、より好ましくはジエン系重合体の総量の70質量%以下、特に好ましくはジエン系重合体の総量の65質量%以下である。前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量がこの範囲であれば、氷上性能と耐摩耗性を十分に向上させることができる。
また、前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、前記ジエン系重合体の中で配合量が最も多いか、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体と配合量が等しいことが好ましい。この場合、前記低Tgジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相による効果が大きくなり、ゴム組成物をタイヤに適用することで、タイヤの耐摩耗性を更に向上させることができる。
本発明において、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)[以下、「高Tgジエン系重合体(B)」と略記することがある]は、イソプレン骨格を有することが好ましい。高Tgジエン系重合体(B)がイソプレン骨格を有する場合、ゴム組成物の補強性が高くなり、耐摩耗性がより向上する。ここで、イソプレン骨格を有するジエン系重合体としては、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等が挙げられる。なお、前記高Tgジエン系重合体(B)は、耐摩耗性の観点から、天然ゴム(NR)であることが特に好ましい。
上述したガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)の配合量は、前記低Tgジエン系重合体(A)の配合量より少ないか、前記低Tgジエン系重合体(A)の配合量と等しいことが好ましく、また、更に好ましくはジエン系重合体の総量の25質量%以上、より一層好ましくはジエン系重合体の総量の30質量%以上、特に好ましくはジエン系重合体の総量の35質量%以上であり、また、更に好ましくはジエン系重合体の総量の45質量%以下、より一層好ましくはジエン系重合体の総量の40質量%以下である。前記ガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)の配合量がこの範囲であれば、氷上性能と耐摩耗性を十分に向上させることができる。
本発明の方法で製造されるゴム組成物は、上述したガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)、ガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)の他に、更に他のジエン系重合体(C)を含んでもよい。かかるガラス転移温度(Tg)が前記低Tgジエン系重合体(A)と前記高Tgジエン系重合体(B)の間にあるジエン系重合体(C)[以下、「中Tgジエン系重合体(C)」と略記することがある]は、前記低Tgジエン系重合体(A)及び前記高Tgジエン系重合体(B)の種類にもよるが、例えば、低Tgジエン系重合体(A)がポリブタジエンゴム(BR)で、高Tgジエン系重合体(B)が天然ゴム(NR)又は合成ポリイソプレンゴム(IR)の場合は、中Tgジエン系重合体(C)としては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム(SIR)等が挙げられる。
本発明の方法で製造されるゴム組成物は、シリカを含む。該シリカは、前記低Tgジエン系重合体(A)よりもガラス転移温度(Tg)が高い他のジエン系重合体から形成されるポリマー相に相対的に多く分配され、該ポリマー相にミクロな凹凸を付与しつつ、該ポリマー相を柔らかくして、氷上性能を向上させる。
前記シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記シリカとしては、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記シリカの配合量は、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、好ましくは27質量部以上、より好ましくは29質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。シリカの配合量をジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上とすることで、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部からなるポリマー相にミクロな凹凸を付与しつつ、該ポリマー相を柔らかくして、氷上性能を向上させることができる。また、シリカの配合量をジエン系重合体の合計100質量部に対して50質量部以下とすることで、工程(b)の作業性を良好にすることができる。
本発明の方法で製造されるゴム組成物は、カーボンブラックを含む。該カーボンブラックは、前記低Tgジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相に相対的に多く分配され、該ポリマー相が補強性の高いカーボンブラックを多く含むことで、補強されるため、耐摩耗性が向上する。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらカーボンブラックは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらカーボンブラックは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記カーボンブラックの配合量は、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、好ましくは27質量部以上、より好ましくは29質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。カーボンブラックの配合量をジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上とすることで、前記低Tgジエン系重合体(A)から形成されるポリマー相を補強して、耐摩耗性を向上させることができる。また、カーボンブラックの配合量をジエン系重合体の合計100質量部に対して50質量部以下とすることで、工程(a)及び工程(b)の作業性を良好にすることができる。
また、本発明の方法で製造されるゴム組成物は、更に発泡剤を含むことが好ましい。ゴム組成物が発泡剤を含む場合、ゴム組成物を加硫させて加硫ゴムを製造する際に、発泡剤由来の気泡が加硫ゴム中に形成される。従って、発泡剤を含むゴム組成物をトレッドに使用してタイヤを製造すると、トレッドの気泡による引っ掻き効果及び排水効果で、タイヤの氷上性能を更に向上させることができる。
前記発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これら発泡剤の中でも、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)が好ましい。これら発泡剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、該発泡剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲が好ましく、1〜20質量部の範囲が更に好ましい。
前記発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミン、ベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、ニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。これら発泡剤の中でも、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)が好ましい。これら発泡剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
また、該発泡剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して0.1〜30質量部の範囲が好ましく、1〜20質量部の範囲が更に好ましい。
また、上記発泡剤には、発泡助剤として尿素、ステアリン酸亜鉛、ベンゼンスルフィン酸亜鉛、亜鉛華等を併用することが好ましい。これら発泡助剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。発泡助剤を併用することにより、発泡反応を促進して反応の完結度を高め、経時的に不要な劣化を抑制することができる。
また、該発泡助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して1〜30質量部の範囲が好ましい。
また、該発泡助剤の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して1〜30質量部の範囲が好ましい。
なお、上記発泡剤を含有するゴム組成物を加硫した後に得られる加硫ゴムにおいて、その発泡率は、通常1〜50%、好ましくは5〜40%である。発泡剤を配合した場合、発泡率が大き過ぎるとゴム表面の空隙も大きくなり、充分な接地面積を確保できなくなるおそれがあるが、上記範囲内の発泡率であれば、排水溝として有効に機能する気泡の形成を確保しつつ、気泡の量を適度に保持できるので、耐久性を損なう恐れもない。ここで、上記加硫ゴムの発泡率とは、平均発泡率Vsを意味し、具体的には次式(IV)により算出される値を意味する。
Vs=(ρ0/ρ1−1)×100(%) ・・・ (IV)
式(IV)中、ρ1は加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を示し、ρ0は加硫ゴム(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3)を示す。なお、加硫ゴムの密度及び加硫ゴムの固相部の密度は、エタノール中の質量と空気中の質量を測定し、これから算出される。また、発泡率は、発泡剤や発泡助剤の種類、量等により適宜変化させることができる。
Vs=(ρ0/ρ1−1)×100(%) ・・・ (IV)
式(IV)中、ρ1は加硫ゴム(発泡ゴム)の密度(g/cm3)を示し、ρ0は加硫ゴム(発泡ゴム)における固相部の密度(g/cm3)を示す。なお、加硫ゴムの密度及び加硫ゴムの固相部の密度は、エタノール中の質量と空気中の質量を測定し、これから算出される。また、発泡率は、発泡剤や発泡助剤の種類、量等により適宜変化させることができる。
また、本発明の方法で製造されるゴム組成物は、更にC5系樹脂を含むことが好ましい。C5系樹脂を含むゴム組成物をタイヤに使用すると、タイヤの氷上性能を更に向上させることができる。
前記C5系樹脂としては、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC5留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。上記C5留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、上記C5系樹脂としては、市販品を利用することができる。
また、該C5系樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して5〜50質量部の範囲が好ましく、10〜20質量部の範囲が更に好ましい。C5系樹脂の配合量が5質量部以上であれば、氷上性能が十分に向上し、また、50質量部以下であれば、耐摩耗性を十分に確保することができる。
前記C5系樹脂としては、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC5留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。上記C5留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、上記C5系樹脂としては、市販品を利用することができる。
また、該C5系樹脂の配合量は、特に限定されるものではないが、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して5〜50質量部の範囲が好ましく、10〜20質量部の範囲が更に好ましい。C5系樹脂の配合量が5質量部以上であれば、氷上性能が十分に向上し、また、50質量部以下であれば、耐摩耗性を十分に確保することができる。
また、本発明の方法で製造されるゴム組成物は、更に親水性短繊維を含むことが好ましい。特には、ゴム組成物が親水性短繊維と前述の発泡剤を含む場合、加硫時に発泡剤から発生したガスが親水性短繊維の内部に浸入して、親水性短繊維の形状に対応した形状を有する気泡を形成することができ、また、該気泡は、壁面が親水性短繊維由来の樹脂で覆われ、親水化されている。そのため、親水性短繊維と発泡剤を含むゴム組成物をトレッドに使用してタイヤを製造すると、タイヤの使用時において、気泡の壁面がトレッド表面に露出することで、水との親和性が向上し、気泡が水を積極的に取り込むことができるようになり、タイヤに優れた排水性が付与され、タイヤの氷上性能を大幅に向上させることができる。
前記親水性短繊維の原料として用いる親水性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸或いはそのエステル、ポリエチレングリコール、カルボキシビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、メルカプトエタノール等が挙げられ、これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸が好ましく、エチレン−ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。
前記親水性短繊維の原料として用いる親水性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸或いはそのエステル、ポリエチレングリコール、カルボキシビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、メルカプトエタノール等が挙げられ、これらの中でも、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニルアルコール単独重合体、ポリ(メタ)アクリル酸が好ましく、エチレン−ビニルアルコール共重合体が特に好ましい。
上記親水性短繊維の表面には、前記ジエン系重合体に対して親和性を有し、好ましくは、ゴム組成物の加硫最高温度よりも低い融点を有する低融点樹脂からなる被覆層が形成されていてもよい。かかる被覆層を形成することで、親水性短繊維が有する水との親和性を有効に保持しつつ、被覆層とジエン系重合体との親和性が良好なため、短繊維のジエン系重合体への分散性が向上する。また、かかる低融点樹脂が加硫時に溶融することで流動性を帯びた被覆層となってジエン系重合体と親水性短繊維との接着を図ることに寄与し、良好な排水性と耐久性とが付与されたタイヤを容易に実現することができる。なお、かかる被覆層の厚みは、親水性短繊維の配合量や平均径等によって変動し得るが、通常0.001〜10μm、好ましくは0.001〜5μmである。
前記被覆層に用いる低融点樹脂の融点は、ゴム組成物の加硫の最高温度よりも低いことが好ましい。なお、加硫の最高温度とは、ゴム組成物の加硫時にゴム組成物が達する最高温度を意味する。例えば、モールド加硫の場合には、上記ゴム組成物がモールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまでに該ゴム組成物が達する最高温度を意味し、かかる加硫最高温度は、例えば、ゴム組成物中に熱電対を埋め込むこと等により測定することができる。低融点樹脂の融点の上限としては、特に制限はないものの、以上の点を考慮して選択することが好ましく、一般的には、ゴム組成物の加硫最高温度よりも、10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。なお、ゴム組成物の工業的な加硫温度は、一般的には最高で約190℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃に設定されている場合には、低融点樹脂の融点としては、通常190℃未満の範囲で選択され、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
前記低融点樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、並びにこれらのアイオノマー樹脂等が挙げられる。
前記被覆層に用いる低融点樹脂の融点は、ゴム組成物の加硫の最高温度よりも低いことが好ましい。なお、加硫の最高温度とは、ゴム組成物の加硫時にゴム組成物が達する最高温度を意味する。例えば、モールド加硫の場合には、上記ゴム組成物がモールド内に入ってからモールドを出て冷却されるまでに該ゴム組成物が達する最高温度を意味し、かかる加硫最高温度は、例えば、ゴム組成物中に熱電対を埋め込むこと等により測定することができる。低融点樹脂の融点の上限としては、特に制限はないものの、以上の点を考慮して選択することが好ましく、一般的には、ゴム組成物の加硫最高温度よりも、10℃以上低いことが好ましく、20℃以上低いことがより好ましい。なお、ゴム組成物の工業的な加硫温度は、一般的には最高で約190℃程度であるが、例えば、加硫最高温度がこの190℃に設定されている場合には、低融点樹脂の融点としては、通常190℃未満の範囲で選択され、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
前記低融点樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、並びにこれらのアイオノマー樹脂等が挙げられる。
前記親水性短繊維は、平均長さが好ましくは0.1〜50mm、より好ましくは1〜7mmで、平均径が好ましくは1μm〜2mm、より好ましくは5μm〜0.5mmである。平均長さ及び平均径が上記範囲内であると、短繊維同士が必要以上に絡まるおそれがなく、良好な分散性を確保することができる。
前記親水性短繊維の配合量は、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して0.1〜100質量部の範囲が好ましく、1〜50質量部の範囲が更に好ましい。親水性短繊維の配合量を上記範囲に収めることで、氷上性能と耐摩耗性の良好なバランスを取ることができる。
前記親水性短繊維の配合量は、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して0.1〜100質量部の範囲が好ましく、1〜50質量部の範囲が更に好ましい。親水性短繊維の配合量を上記範囲に収めることで、氷上性能と耐摩耗性の良好なバランスを取ることができる。
本発明の方法で製造されるゴム組成物には、前記ジエン系重合体、シリカ、カーボンブラック、発泡剤、発泡助剤、C5系樹脂、親水性短繊維の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、シランカップリング剤、軟化剤(プロセスオイル等)、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。
なお、本発明のゴム組成物の製造方法においては、前記C5系樹脂、親水性短繊維、軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、酸化亜鉛(亜鉛華)は、工程(a)で配合することが好ましく、前記シランカップリング剤は、工程(b)で配合することが好ましい。
また、本発明のゴム組成物の製造方法は、工程(b)よりも後の混合工程(c)を含むことが好ましく、前記発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤は、工程(b)よりも後の混合工程(c)で配合することが好ましい。
前記工程(b)の後で、別途、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤を配合して混合する工程(c)を実施することで、工程(b)と異なる温度で、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤を配合して混合することができ、また、発泡や加硫が進み難い温度で、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤を加えて混練することで、ゴム組成物の発泡や早期加硫を防止できる。なお、工程(c)は、工程(b)の直後でもよいが、工程(b)と工程(c)との間に更に他の混合工程を実施してもよい。
前記工程(c)における混合物の最高温度は60〜140℃の範囲が好ましく、80〜120℃の範囲がより好ましく、100〜120℃の範囲がより一層好ましい。また、工程(c)における混合時間は、10秒〜20分の範囲が好ましく、10秒〜10分の範囲がより好ましく、20秒〜5分の範囲がさらに好ましい。なお、工程(b)から工程(c)に進む際には、混合物の温度を工程(b)の終了後の温度より10℃以上低下させてから工程(c)へ進むことが好ましい。
前記工程(b)の後で、別途、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤を配合して混合する工程(c)を実施することで、工程(b)と異なる温度で、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤を配合して混合することができ、また、発泡や加硫が進み難い温度で、発泡剤、発泡助剤、加硫促進剤、加硫剤を加えて混練することで、ゴム組成物の発泡や早期加硫を防止できる。なお、工程(c)は、工程(b)の直後でもよいが、工程(b)と工程(c)との間に更に他の混合工程を実施してもよい。
前記工程(c)における混合物の最高温度は60〜140℃の範囲が好ましく、80〜120℃の範囲がより好ましく、100〜120℃の範囲がより一層好ましい。また、工程(c)における混合時間は、10秒〜20分の範囲が好ましく、10秒〜10分の範囲がより好ましく、20秒〜5分の範囲がさらに好ましい。なお、工程(b)から工程(c)に進む際には、混合物の温度を工程(b)の終了後の温度より10℃以上低下させてから工程(c)へ進むことが好ましい。
上述のようにして、少なくとも工程(a)及び工程(b)を経て製造されたゴム組成物は、更に、熱入れ、押出し、加硫等して、加硫ゴムとすることができる。
前記熱入れの条件としては、特に制限はなく、熱入れ温度、熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。前記熱入れ装置としては、例えば、通常ゴム組成物の熱入れに用いるロール機等が挙げられる。
前記押出しの条件としては、特に制限はなく、押出時間、押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。前記押出装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の押出しに用いる押出機等が挙げられる。前記押出温度は、適宜決定することができる。
前記加硫を行う装置、方式、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記加硫を行う装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫機等が挙げられる。
前記熱入れの条件としては、特に制限はなく、熱入れ温度、熱入れ時間、熱入れ装置等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。前記熱入れ装置としては、例えば、通常ゴム組成物の熱入れに用いるロール機等が挙げられる。
前記押出しの条件としては、特に制限はなく、押出時間、押出速度、押出装置、押出温度等の諸条件について目的に応じて適宜選択することができる。前記押出装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の押出しに用いる押出機等が挙げられる。前記押出温度は、適宜決定することができる。
前記加硫を行う装置、方式、条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記加硫を行う装置としては、例えば、通常タイヤ用ゴム組成物の加硫に用いる金型による成形加硫機等が挙げられる。
<タイヤ>
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とし、前述のゴム組成物がトレッドに使用されていることが好ましい。前記ゴム組成物をトレッドに使用したタイヤは、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤとして有用である。
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類や部材に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
本発明のタイヤは、上記のゴム組成物を用いたことを特徴とし、前述のゴム組成物がトレッドに使用されていることが好ましい。前記ゴム組成物をトレッドに使用したタイヤは、氷上性能と耐摩耗性との両方に優れ、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤとして有用である。
本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類や部材に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、又は予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<ゴム組成物の調製>
表1〜2に示す配合処方で、通常のバンバリーミキサーを用いて、第1混合工程、第2混合工程、最終混合工程の順に混合を行って、ゴム組成物を製造した。なお、第1混合工程の終了後、混合物をバンバリーミキサーから一旦取り出し、その後、再度混合物をバンバリーミキサーに投入して、第2混合工程を実施し、また、第2混合工程の終了後、混合物をバンバリーミキサーから一旦取り出し、その後、再度混合物をバンバリーミキサーに投入して、最終混合工程を実施した。また、第1混合工程及び第2混合工程における混合物の最高温度は170℃とし、最終混合工程におけるゴム組成物の最高温度は110℃とした。ここで、第1混合工程は前記工程(a)に相当し、第2混合工程は前記工程(b)に相当する。
なお、比較例1においては、第1混合工程の後、第2混合工程を省略して、最終混合工程を実施した。
また、段落[0009]に記載の方法に従い走査型プローブ顕微鏡を用いて観察したところ、いずれのゴム組成物も相分離構造が確認され、互いに非相溶な複数のポリマー相が形成されていた。
表1〜2に示す配合処方で、通常のバンバリーミキサーを用いて、第1混合工程、第2混合工程、最終混合工程の順に混合を行って、ゴム組成物を製造した。なお、第1混合工程の終了後、混合物をバンバリーミキサーから一旦取り出し、その後、再度混合物をバンバリーミキサーに投入して、第2混合工程を実施し、また、第2混合工程の終了後、混合物をバンバリーミキサーから一旦取り出し、その後、再度混合物をバンバリーミキサーに投入して、最終混合工程を実施した。また、第1混合工程及び第2混合工程における混合物の最高温度は170℃とし、最終混合工程におけるゴム組成物の最高温度は110℃とした。ここで、第1混合工程は前記工程(a)に相当し、第2混合工程は前記工程(b)に相当する。
なお、比較例1においては、第1混合工程の後、第2混合工程を省略して、最終混合工程を実施した。
また、段落[0009]に記載の方法に従い走査型プローブ顕微鏡を用いて観察したところ、いずれのゴム組成物も相分離構造が確認され、互いに非相溶な複数のポリマー相が形成されていた。
<タイヤの作製>
上記のようにして得られたゴム組成物をトレッドに用いて、常法によって試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を作製し、トレッドの発泡率を上記式(IV)に従って算出した。次に、該タイヤに対して、下記の方法で、耐摩耗性及び氷上性能を評価した。結果を表1〜2に示す。
上記のようにして得られたゴム組成物をトレッドに用いて、常法によって試験用のタイヤ(タイヤサイズ195/65R15)を作製し、トレッドの発泡率を上記式(IV)に従って算出した。次に、該タイヤに対して、下記の方法で、耐摩耗性及び氷上性能を評価した。結果を表1〜2に示す。
(1)耐摩耗性
前記試験用のタイヤを用いた実車にて舗装路面を1万km走行後、残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1のタイヤを100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
前記試験用のタイヤを用いた実車にて舗装路面を1万km走行後、残溝を測定し、トレッドが1mm摩耗するのに要する走行距離を相対比較し、比較例1のタイヤを100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が良好なことを示す。
(2)氷上性能
前記試験用のタイヤを排気量1600ccクラスの国産乗用車に4本を装着し、氷温−1℃の氷上制動性能を確認した。比較例1のタイヤをコントロールとし、氷上性能=(比較例1の制動距離/その他の例の制動距離)×100として、指数表示した。指数値が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
前記試験用のタイヤを排気量1600ccクラスの国産乗用車に4本を装着し、氷温−1℃の氷上制動性能を確認した。比較例1のタイヤをコントロールとし、氷上性能=(比較例1の制動距離/その他の例の制動距離)×100として、指数表示した。指数値が大きい程、氷上性能が優れていることを示す。
*1 ポリブタジエンゴム: シス−1,4−ポリブタジエンゴム、商品名「UBEPOL 150L」、宇部興産製、Tg=−110℃
*2 変性ポリブタジエンゴム1: 下記の方法で合成した変性ポリブタジエンゴム、Tg=−95℃
*3 変性ポリブタジエンゴム2: 下記の方法で合成した変性ポリブタジエンゴム、Tg=−95℃
*4 天然ゴム: Tg=−60℃
*5 変性天然ゴム: 下記の方法で合成した変性天然ゴム、Tg=−60℃
*6 改質天然ゴム: 下記の方法で合成した改質天然ゴム、Tg=−60℃
*7 カーボンブラック: N134、旭カーボン製、N2SA=146m2/g
*8 シリカ: 商品名「Nipsil AQ」、東ソー・シリカ製、CTAB比表面積=150m2/g
*9 大粒径シリカ: 商品名「Nipsil EQ」、東ソー・シリカ製、CTAB比表面積=100m2/g
*10 微粒径シリカ: 商品名「ニップシールHQ」、東ソー・シリカ製、CTAB比表面積=200m2/g
*11 シランカップリング剤: 「Si69」、Evonic製
*12 プロセスオイル: ナフテン系プロセスオイル、商品名「ダイアナプロセスオイルNS−24」、出光興産製、流動点=−30℃
*13 老化防止剤IPPD: N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*14 C5系樹脂: 商品名「Escorez 1102」、東燃化学製
*15 親水性短繊維: 下記の方法で作製した親水性短繊維
*16 加硫促進剤1: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)
*17 加硫促進剤2: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)
*18 発泡剤: ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)
*2 変性ポリブタジエンゴム1: 下記の方法で合成した変性ポリブタジエンゴム、Tg=−95℃
*3 変性ポリブタジエンゴム2: 下記の方法で合成した変性ポリブタジエンゴム、Tg=−95℃
*4 天然ゴム: Tg=−60℃
*5 変性天然ゴム: 下記の方法で合成した変性天然ゴム、Tg=−60℃
*6 改質天然ゴム: 下記の方法で合成した改質天然ゴム、Tg=−60℃
*7 カーボンブラック: N134、旭カーボン製、N2SA=146m2/g
*8 シリカ: 商品名「Nipsil AQ」、東ソー・シリカ製、CTAB比表面積=150m2/g
*9 大粒径シリカ: 商品名「Nipsil EQ」、東ソー・シリカ製、CTAB比表面積=100m2/g
*10 微粒径シリカ: 商品名「ニップシールHQ」、東ソー・シリカ製、CTAB比表面積=200m2/g
*11 シランカップリング剤: 「Si69」、Evonic製
*12 プロセスオイル: ナフテン系プロセスオイル、商品名「ダイアナプロセスオイルNS−24」、出光興産製、流動点=−30℃
*13 老化防止剤IPPD: N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
*14 C5系樹脂: 商品名「Escorez 1102」、東燃化学製
*15 親水性短繊維: 下記の方法で作製した親水性短繊維
*16 加硫促進剤1: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)
*17 加硫促進剤2: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)
*18 発泡剤: ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)
<変性ポリブタジエンゴム1>
乾燥し、窒素置換された内容積約900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(n−BuLi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率は、ほぼ100%であった。
次に、この重合系に3−[N,N−メチル(トリメチルシリル)アミノ]プロピルジメチルエトキシシラン0.50mmolをシクロヘキサン溶液として加え、50℃において30分撹拌した。その後さらに、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて反応停止を行い、さらに、常法に従い乾燥することにより、変性ポリブタジエンゴム1を得た。
得られた変性ポリブタジエンゴム1は、変性率が0.5であり、ガラス転移温度が−95℃であった。
乾燥し、窒素置換された内容積約900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエンモノマー100g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.015mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これに0.50mmolのn−ブチルリチウム(n−BuLi)を加えた後、撹拌装置を備えた50℃温水浴中で4.5時間重合を行った。重合転化率は、ほぼ100%であった。
次に、この重合系に3−[N,N−メチル(トリメチルシリル)アミノ]プロピルジメチルエトキシシラン0.50mmolをシクロヘキサン溶液として加え、50℃において30分撹拌した。その後さらに、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて反応停止を行い、さらに、常法に従い乾燥することにより、変性ポリブタジエンゴム1を得た。
得られた変性ポリブタジエンゴム1は、変性率が0.5であり、ガラス転移温度が−95℃であった。
<変性ポリブタジエンゴム2>
乾燥し、窒素置換した内容積約900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエン50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmol及びヘキサメチレンイミン0.513mmolをそれぞれシクロヘキサン溶液として注入し、これにn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.57mmolを加えた後、撹拌装置を備えた50℃の温水浴中で4.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
次に、重合反応系に、四塩化スズ0.100mmolをシクロヘキサン溶液として加え、50℃で30分間撹拌した。その後、反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して変性ポリブタジエンゴム2を得た。
得られた変性ポリブタジエンゴム2は、変性率が1.2であり、ガラス転移温度が−95℃であった。
乾燥し、窒素置換した内容積約900mLの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン283g、1,3−ブタジエン50g、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.0057mmol及びヘキサメチレンイミン0.513mmolをそれぞれシクロヘキサン溶液として注入し、これにn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.57mmolを加えた後、撹拌装置を備えた50℃の温水浴中で4.5時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。
次に、重合反応系に、四塩化スズ0.100mmolをシクロヘキサン溶液として加え、50℃で30分間撹拌した。その後、反応系に、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して変性ポリブタジエンゴム2を得た。
得られた変性ポリブタジエンゴム2は、変性率が1.2であり、ガラス転移温度が−95℃であった。
<変性天然ゴム>
フィールドラテックスを、ラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離することで、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤「エマルゲン1108」(花王製)を4−ビニルピリジン1.7gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、窒素置換しながら30分間撹拌した。次いで、tert−ブチルハイドロパーオキサイド1.2g、テトラエチレンペンタミン1.2gを加え、40℃で1時間反応させることで、変性天然ゴムラテックスを得た。
次に、上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムを得た。
このようにして得られた変性天然ゴムの質量から、添加した4−ビニルピリジンの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することで、ホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
フィールドラテックスを、ラテックスセパレーター(斎藤遠心工業製)を用いて回転数7500rpmで遠心分離することで、乾燥ゴム濃度60%の濃縮ラテックスを得た。この濃縮ラテックス1000gを、撹拌機及び温調ジャケットを備えたステンレス製反応容器に投入し、予め10mLの水と90mgの乳化剤「エマルゲン1108」(花王製)を4−ビニルピリジン1.7gに加えて乳化したものを990mLの水と共に添加し、窒素置換しながら30分間撹拌した。次いで、tert−ブチルハイドロパーオキサイド1.2g、テトラエチレンペンタミン1.2gを加え、40℃で1時間反応させることで、変性天然ゴムラテックスを得た。
次に、上記変性天然ゴムラテックスにギ酸を加えpHを4.7に調整し、変性天然ゴムラテックスを凝固させた。このようにして得られた固形物をクレーパーで5回処理し、シュレッダーに通してクラム化した後、熱風式乾燥機により110℃で210分間乾燥して変性天然ゴムを得た。
このようにして得られた変性天然ゴムの質量から、添加した4−ビニルピリジンの転化率が100%であることが確認された。また、該変性天然ゴムを石油エーテルで抽出し、更にアセトンとメタノールの2:1混合溶媒で抽出することで、ホモポリマーの分離を試みたが、抽出物を分析したところホモポリマーは検出されず、添加した単量体の100%が天然ゴム分子に導入されていることが確認された。
<改質天然ゴム>
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、界面活性剤[花王製、「Emal−E27C」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム]の10%水溶液25gと、40%のNaOH水溶液50gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。
次に、このラテックスに水を添加して固形分濃度(DRC)を15%(w/v)に希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加しpHを4.0に調整し、凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、それを1%炭酸ナトリウム水溶液に室温で5時間浸漬した後に引き上げ、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して改質天然ゴムを得た。
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、界面活性剤[花王製、「Emal−E27C」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム]の10%水溶液25gと、40%のNaOH水溶液50gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。
次に、このラテックスに水を添加して固形分濃度(DRC)を15%(w/v)に希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加しpHを4.0に調整し、凝集させた。凝集したゴムを粉砕し、それを1%炭酸ナトリウム水溶液に室温で5時間浸漬した後に引き上げ、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して改質天然ゴムを得た。
<親水性短繊維>
特開2012−219245号公報に開示の製造例3に従い、二軸押出機を2台用い、ホッパーにポリエチレン[日本ポリエチレン製、ノバテックHJ360(MFR5.5、融点132℃)]40質量部と、エチレン−ビニルアルコール共重合体[クラレ製、エバールF104B(MFR4.4、融点183℃)]40質量部とを投入し、ダイ出口から各々同時に押し出して、常法に従って得られた繊維を長さ2mmにカットして、ポリエチレンからなる被覆層が形成された親水性短繊維を作製した。
特開2012−219245号公報に開示の製造例3に従い、二軸押出機を2台用い、ホッパーにポリエチレン[日本ポリエチレン製、ノバテックHJ360(MFR5.5、融点132℃)]40質量部と、エチレン−ビニルアルコール共重合体[クラレ製、エバールF104B(MFR4.4、融点183℃)]40質量部とを投入し、ダイ出口から各々同時に押し出して、常法に従って得られた繊維を長さ2mmにカットして、ポリエチレンからなる被覆層が形成された親水性短繊維を作製した。
表1〜2に示す実施例の結果から、本発明に従って製造されたゴム組成物を用いることで、タイヤの氷上性能と耐摩耗性との両方を向上させられることが分かる。
本発明のゴム組成物の製造方法で製造されるゴム組成物は、タイヤ、特にはスタッドレスタイヤのトレッドゴムに利用できる。また、本発明のタイヤは、スタッドレスタイヤとして有用である。
Claims (14)
- 互いに非相溶な複数のポリマー相を形成する少なくとも二種のジエン系重合体と、シリカと、カーボンブラックと、を含み、
前記ジエン系重合体の少なくとも二種は、配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であり、前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)の配合量は、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体の配合量の85質量%以上であり、
前記シリカの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上であり、
前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系重合体の合計100質量部に対して25質量部以上である、ゴム組成物の製造方法であって、
前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)と、前記カーボンブラックの一部又は全部と、を混合してマスターバッチを調製する工程(a)と、
調製された該マスターバッチに、前記ジエン系重合体の内の前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)以外の残部と、前記シリカと、を混合する工程(b)と、
を含むことを特徴とする、ゴム組成物の製造方法。 - 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、前記ジエン系重合体の中で配合量が最も多いか、該ジエン系重合体(A)以外の前記ジエン系重合体の中で、配合量が最も多いジエン系重合体と配合量が等しい、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)が、ブタジエン骨格を有する、請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)が、ポリブタジエンゴムである、請求項3に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記配合量が前記ジエン系重合体の総量の20質量%以上であるジエン系重合体の中でガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)が、イソプレン骨格を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が最も高いジエン系重合体(B)が、天然ゴムである、請求項5に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物により変性されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)が、スズ原子及び窒素原子の両方を含む、請求項7に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ガラス転移温度(Tg)が最も低いジエン系重合体(A)は、前記スズ原子及び窒素原子の少なくとも一方を含む化合物による変性率が1.1以上2.5以下である、請求項7又は8に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ゴム組成物が、更に発泡剤を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ゴム組成物が、更にC5系樹脂を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記ゴム組成物が、更に親水性短繊維を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載のゴム組成物の製造方法で製造されたことを特徴とする、ゴム組成物。
- 請求項13に記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする、タイヤ。
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