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JP2017126723A - インプリント装置及び物品の製造方法 - Google Patents

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JP2017126723A JP2016006553A JP2016006553A JP2017126723A JP 2017126723 A JP2017126723 A JP 2017126723A JP 2016006553 A JP2016006553 A JP 2016006553A JP 2016006553 A JP2016006553 A JP 2016006553A JP 2017126723 A JP2017126723 A JP 2017126723A
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Abstract

【課題】基板に形成されるパターンの精度の点で有利なインプリント装置を提供する。
【解決手段】モールドを用いてパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、前記モールドを保持して移動するモールド保持部と、前記パターンを形成すべき第1領域を第1面に含む基板の前記第1面とは反対側の第2面を吸着する第1チャックを含み、前記第1チャックによって前記基板を保持して移動する基板保持部と、前記第2面の側に配置され、前記第1領域の反対側の領域である前記第2面の第2領域の高さ方向の位置を計測する第1計測部と、前記第1計測部によって計測された位置に基づいて、前記インプリント処理を行っている間における前記モールドのパターン面と前記基板の前記第1領域との間の相対的な傾き及び位置の少なくとも一方を制御する処理を行う制御部と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、インプリント装置及び物品の製造方法に関する。
半導体デバイスやMEMSなどの分野において微細化の要求が進み、従来のフォトリソグラフィ技術に加えて、基板上に数ナノメートルオーダーの微細な構造体を形成することが可能なインプリント技術が注目を集めている。インプリント技術は、基板上の未硬化のインプリント材を凹凸パターンが形成されたモールドで成形し、インプリント材の凹凸パターンを基板上に形成する微細加工技術である。
インプリント技術で用いられるモールドは、通常、描画装置によって作製されたマスターモールド(原版)を用いて複製される。モールドを複製する際には、例えば、インプリント技術の1つである光硬化法が用いられる。具体的には、まず、凹凸パターンを形成する対象となるブランクモールドの領域に光硬化性のインプリント材を供給する(供給工程)。次いで、ブランクモールドに供給されたインプリント材とマスターモールドとを接触させる(押印工程)。押印工程では、インプリント材が供給された領域をマスターモールドに対して凸形状に変形させ、インプリント材とマスターモールドとの接触面積が少しずつ増加するように、マスターモールドをインプリト材に押し付ける。次に、マスターモールドの凹凸パターンにインプリント材が充填されるまで、ブランクモールドに供給されたインプリント材とマスターモールドとを接触させた状態を維持する(充填工程)。マスターモールドの凹凸パターンにインプリント材が充填されたら、光を照射してインプリント材を硬化させる(硬化工程)。次いで、硬化したインプリント材からマスターモールドを引き離す(離型工程)。これにより、インプリント材の凹凸パターンがブランクモールド上に形成される。そして、インプリント材の凹凸パターンをマスクとしてエッチング処理などが施され、ブランクモールドに凹凸パターンが形成される。このようにして複製されたモールドは、レプリカモールドとも呼ばれる。
インプリント技術(を用いたインプリント装置)では、凹凸パターンの転写精度の劣化や転写される凹凸パターンの欠損を防止する必要があり、それに関する技術が従来から提案されている(特許文献1及び2参照)。
例えば、特許文献1には、ブランクモールド(レプリカモールド)の厚さのばらつきによる凹凸パターンの転写精度の劣化を抑制するための技術が開示されている。特許文献1に開示された技術では、まず、凹凸パターンを転写する前に、ブランクモールドを凸形状に変形させる力と凸形状の変形量との関係を取得する。そして、かかる関係に基づいて、ブランクモールドを凸形状に変形させる力を制御するためのプロファイルを校正し、凹凸パターンを転写する際には、校正したプロファイルに基づいて、ブランクモールドを凸形状に変形させている。
また、特許文献2には、転写された凹凸パターンの局所的な歪みを抑制するための技術が開示されている。特許文献2に開示された技術では、まず、ブランクモールドの段差構造を有する領域(即ち、凹凸パターンを形成する領域)外の領域の傾き及びブランクモールドとマスターモールドとの間の距離を計測する。そして、かかる計測値に基づいて、マスターモールドにブランクモールドを押し付つける力を制御している。
特開2013−162045号公報 特開2013−219230号公報
インプリント装置において、基板を保持して移動可能な基板保持機構は、例えば、エアベアリングによって浮上している。エアベアリングのエア圧は、エアを供給するポンプの脈動によって変動する。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ブランクモールドを凸形状に変形させる力を予め校正されたプロファイルに応じて制御するため、エアベアリングのエア圧の変動などの外乱に対応することが難しい。また、特許文献2に開示された技術は、凹凸パターンを転写する過程(供給工程、押印工程、充填工程、硬化工程及び離型工程)の間でのブランクモールドの段差構造を有する領域内の変形量を考慮していない。従って、特許文献2に開示された技術は、凹凸パターンの転写精度の向上や転写される凹凸パターンの欠損を防止する点で不利である。
また、ブランクモールドから複製されるレプリカモールドは、凹凸パターンが転写される基板に対してマスター側となるため、凹凸パターンの品質がより厳しく要求される。従って、供給工程、押印工程、充填工程及び離型工程にかける時間を長くすることが考えられるが、その間、マスターモールドとブランクモールドとの相対的な姿勢を安定させて維持しなければならない。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、基板に形成されるパターンの精度の点で有利なインプリント装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのインプリント装置は、モールドを用いてパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、前記モールドを保持して移動するモールド保持部と、前記パターンを形成すべき第1領域を第1面に含む基板の前記第1面とは反対側の第2面を吸着する第1チャックを含み、前記第1チャックによって前記基板を保持して移動する基板保持部と、前記第2面の側に配置され、前記第1領域の反対側の領域である前記第2面の第2領域の高さ方向の位置を計測する第1計測部と、前記第1計測部によって計測された位置に基づいて、前記インプリント処理を行っている間における前記モールドのパターン面と前記基板の前記第1領域との間の相対的な傾き及び位置の少なくとも一方を制御する処理を行う制御部と、を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、基板に形成されるパターンの精度の点で有利なインプリント装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態におけるインプリント装置の構成及びブランクモールドを示す図である。 図1に示すインプリント装置におけるインプリント処理を説明するための図である。 図1に示すインプリント装置におけるインプリント処理を説明するための図である。 ブランクモールドのメサ領域の平面度の補正を説明するための図である。 図1に示すインプリント装置におけるインプリント処理の押印工程を説明するための図である。 図1に示すインプリント装置におけるインプリント処理の押印工程を説明するための図である。 図1に示すインプリント装置におけるインプリント処理の充填工程を説明するための図である。 図1に示すインプリント装置におけるインプリント処理の離型工程を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態におけるインプリント装置の構成を示す図である。 図9に示すインプリント装置の第2計測部の計測値の原点の取得を説明するための図である。 図9に示すインプリント装置におけるインプリント処理の供給工程を説明するための図である。 ブランクモールドのメサ領域の平面度の補正を説明するための図である。 図9に示すインプリント装置におけるインプリント処理の押印工程を説明するための図である。 第1計測部や第2計測部の計測箇所の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態におけるインプリント装置を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1の実施形態>
図1(a)乃至図1(c)は、本発明の第1の実施形態におけるインプリント装置100の構成及びブランクモールド5を示す図である。インプリント装置100は、モールドを用いて基板上のインプリント材にパターンを形成するインプリント処理を行うリソグラフィ装置である。インプリント装置100は、凹凸パターンが形成されたモールドと基板に供給(塗布)されたインプリント材とを接触させた状態でインプリント材を硬化させ、硬化したインプリント材からモールドを引き離すことで基板上に凹凸パターンを転写する。インプリント材には、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波や熱などが用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。硬化性組成物は、光の照射により、或いは、加熱により硬化する組成物である。光の照射により硬化する硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて、非重合性化合物又は溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。本実施形態では、光硬化法を採用し、インプリント材として光硬化性の材料を用いている。また、モールドをマスターモールド、基板をブランクモールドとし、レプリカモールドを複製する場合を例に説明する。
インプリント装置100は、図1(a)に示すように、モールド保持部4と、基板保持部9と、調整部12と、第1計測部13と、制御部50とを有する。更に、インプリント装置100は、後述するように、供給部17と、光源24とを有する。
マスターモールド1は、152mm角の大きさ、6.35mmの厚さを有する合成石英ガラスで構成されている。マスターモールド1は、ブランクモールド側(基板側)の面の中央部に、ナノメートルオーダーのラインアンドスペースで凹凸パターンが形成されたパターン領域(パターン面)2を有する。パターン領域2は、例えば、26mm×33mmの大きさを有する。
モールド保持部4は、マスターモールド1を保持して移動する。モールド保持部4は、例えば、マスターモールド1を吸着するモールドチャック3によってマスターモールド1を保持する。また、モールド保持部4は、制御部50の制御下において、マスターモールド1の位置や姿勢を調整(変更)する機能を実現する。
基板としてのブランクモールド5は、マスターモールド1と同様に、152mm角の大きさ、6.35mmの厚さを有する合成石英ガラスで構成されている。ブランクモールド5は、マスターモールド側の第1面5aの中央部に、パターンを形成すべきメサ領域(第1領域)6を有する。メサ領域6は、26mm×33mmの大きさを有する。メサ領域6は、パターンを形成する際に、メサ領域6を除く領域がマスターモールド1に接触することを防止するために、その周囲より30μm高く形成されている。
また、ブランクモールド5は、図1(b)に示すように、メサ領域6を含む第1面5aとは反対側の第2面5bに、直径d1=64mm、深さd2=5.25mmの円形状の凹部であるコアアウト7を有する。コアアウト7は、図1(c)に示すように、コアアウト7の中心がメサ領域6の中心と重なるように形成されている。
基板保持部9は、ブランクモールド5を保持して移動する。基板保持部9は、ブランクモールド5(の第2面5b)を吸着する基板チャック(第1チャック)8を含み、基板チャック8によってブランクモールド5を保持する。ブランクモールド5が基板保持部9に保持された状態において、コアアウト7は、基板チャック8とメサ領域6の反対側の領域である第2面5bの領域(第2領域)5cを含む領域との間に空間、所謂、キャビティ10を規定する。
基板チャック8には、キャビティ10に連通する配管11が形成されており、配管11は、調整部12に接続されている。調整部12は、例えば、キャビティ10に圧縮空気を供給する供給源とキャビティ10を真空にする供給源とを切り替える切替弁やサーボバルブなどを含む圧力調整器で構成されている。調整部12は、配管11を介して、キャビティ10の圧力を調整することで、メサ領域6をマスターモールド1に向かって凸形状又は凹形状に変形させる。
第1計測部13は、ブランクモールド5の第2面5bの側に配置され、ブランクモールド5の第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を計測する。第1計測部13は、本実施形態では、分光干渉変位計で構成され、基板チャック8に実装されている。
制御部50は、CPUやメモリなどを含み、インプリント装置100の全体を制御する。制御部50は、インプリント装置100の各部を統括的に制御して、マスターモールド1を用いて、ブランクモールド5(のメサ領域6)にパターンを形成するインプリント処理を制御する。また、制御部50は、第1計測部13の計測値に基づいて、インプリント処理を行っている間におけるマスターモールド1のパターン領域2とブランクモールド5のメサ領域6との間の相対的な傾き及び位置の少なくとも一方を制御する処理を行う。
図2(a)乃至図2(c)及び図3(a)乃至図3(c)を参照して、インプリント装置100におけるインプリント処理について説明する。まず、第1計測部13の計測値の原点を取得する。具体的には、図2(a)に示すように、基準面14を含む基準プレート15を、基準面14と第1計測部13とが対向するように基板チャック8に載置して基板保持部9に保持させる。基準面14は、メサ領域6と同等、或いは、メサ領域6よりも小さい平面度及び面粗さを有する。基準面14は、例えば、0.5μm以下の平面度、0.5nm以下の面粗さを有する平面で構成されている。基板保持部9に保持された基準面14の高さ方向の位置を第1計測部13によって計測し、その計測値を原点とする。基準面14の高さ方向の位置を計測したら、基準プレート15を基板保持部9から搬出する。
次いで、ブランクモールド5のメサ領域6にインプリント材を供給する(供給工程)。具体的には、パターンが形成されていないブランクモールド5を基板保持部9に保持させて、図2(b)に示すように、供給部17からメサ領域6にインプリント材16を供給する。供給部17は、インプリント材16の供給方式として、例えば、インクジェット方式を採用し、インプリント材16をドロップ状に吐出して、メサ領域6の所定の位置に着弾させる。
供給工程では、インプリント材16を供給するにあたって、メサ領域6の平面度を補正する必要がある。これは、コアアウト7が自重によって基板チャック8の側に撓み、メサ領域6が撓んだ状態では正しい位置にドロップ状のインプリント材16を着弾させることができないからである。そこで、本実施形態では、供給工程において、ブランクモールド5のメサ領域6の平面度を許容範囲に収めるように、調整部12を制御する。
図4(a)乃至図4(b)を参照して、ブランクモールド5のメサ領域6の平面度の補正について説明する。図4(a)に示すように、ブランクモールド5のメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を第1計測部13によって計測する。
ブランクモールド5の第2面5bの領域5cにおいて(領域内で)、第1計測部13によって高さ方向の位置を計測する計測箇所18としては、図4(b)に示すように、領域5cの中央及び四隅の5箇所が考えられる。図4(b)は、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cを基板チャック8の側から示す平面図である。第1計測部13は、メサ領域6の裏側に対応する領域内の計測箇所18に応じて配置され、本実施形態では、図4(b)に示すように、5箇所の計測箇所18のそれぞれに対応して第1計測部13a、13b、13c、13d及び13eが配置されている。
ここで、第1計測部13a、13b、13c、13d及び13eのそれぞれで得られた計測値をD1、D2、D3、D4及びD5とし、D1−D2=ΔD12、D1−D3=ΔD13、D1−D4=ΔD14、D1−D5=ΔD15とする。この場合、メサ領域6の平面度が補正されていくと、図4(c)に示すように、ΔD12、ΔD13、ΔD14及びΔD15のそれぞれは、ゼロに近づいていく。従って、ΔD12、ΔD13、ΔD14及びΔD15が規格値に収まるように、キャビティ10の圧力Pを調整部12で調整することで、メサ領域6の平面度を所望の値にすることが可能である。このように、第1計測部13a乃至13eで得られる計測値の複数の計測箇所間の差分を低減するように、調整部12を調整する。これにより、ブランクモールド5のメサ領域6の所定の位置にドロップ状のインプリント材16を着弾させることができる。また、ブランクモールド5のメサ領域6において所望の平面度が得られたときのキャビティ10の圧力Pt1は、参照値として、例えば、制御部50のメモリなどの記憶部に記憶される。
次に、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16とマスターモールド1のパターン領域2とを接触させる(押印工程)。具体的には、インプリント材16が供給されたブランクモールド5を、基板保持部9を介してマスターモールド1の直下に移動させる。そして、図2(c)に示すように、キャビティ10の圧力Pを調整部12で調整する(高くする)ことで、メサ領域6をマスターモールド1に対して凸形状に変形させる。この際、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16は、マスターモールド1のパターン領域2と接触していない。
ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16とマスターモールド1のパターン領域2とを接触させる際には、モールド保持部4をZ方向に下降させて、インプリント材16とパターン領域2の中央部とを接触させる。更に、モールド保持部4の下降を継続しながらキャビティ10の圧力Pを調整部12で調整する(低くする)ことで、インプリント材16とパターン領域2との接触領域をパターン領域2の中心から外側に向けて連続的に拡大させる。最終的には、マスターモールド1のパターン領域2とブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16とを完全に接触させる。
押印工程では、マスターモールド1とブランクモールド5との相対的な姿勢が変動すると、パターン領域2とメサ領域6との間でインプリント材16の接触と剥離とが繰り返され、かかるインプリント材16に気泡が混入しやすくなる。従って、図5(a)に示すように、接触領域19と非接触領域20との境界21がパターン領域2の中心から外側に向けて連続的に移動するように、インプリント材16とパターン領域2とを接触させる必要がある。なお、接触領域19とは、メサ領域6に供給されたインプリント材16とパターン領域2とが接触している領域であって、非接触領域20とは、メサ領域6に供給されたインプリント材16とパターン領域2とが接触していない領域である。
また、ブランクモールド5のメサ領域6を凸形状に変形させる際、その変形量が少ないと、メサ領域6に供給されたインプリント材16とパターン領域2との接触開始時の接触領域19が大きくなる。このように接触領域19が大きくなることも、パターン領域2とメサ領域6との間のインプリント材16に気泡が混入しやすくなる要因の1つとなる。
本実施形態では、押印工程において、接触領域19がパターン領域2の中心から外側に向けて拡大し、且つ、マスターモールド1とブランクモールド5との間の相対的な傾きを低減するように、調整部12、モールド保持部4、基板保持部9などを制御する。例えば、接触開始時の接触領域19の最適な大きさと、接触領域19の最適な拡大速度22とに基づいて、押印工程におけるメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の目標位置を設定することが可能である。従って、かかる目標位置に対して第1計測部13で得られる計測値が追従するように、調整部12と、モールド保持部4及び基板保持部9の少なくとも一方とを制御すればよい。
図5(a)に示すように、一点鎖線La及びLbを軸とする線対称な接触領域19が、押印工程を経るにつれて、パターン領域2の中心から外側に向けて拡大する場合を考える。上述したように、第1計測部13a、13b、13c、13d及び13eのそれぞれで得られた計測値をD1、D2、D3、D4及びD5とし、ここでは、計測値D2に着目する。
図5(b)では、押印工程の各時刻tにおける目標位置IPを実線で示し、押印工程の各時刻tにおいて第1計測部13bで得られた計測値D2を点線及び破線で示している。具体的には、第1計測部13bで得られた計測値D2と目標位置IPとの差分を求め、かかる差分をモールド保持部4の駆動量としてフィードバック制御し、計測値D2を目標位置IP(のプロファイル)に追従させる。一方、キャビティ10の圧力Pに関しては、図5(c)に示すように、接触開始の時刻t1からΔt後に圧力Pt2から低くし、接触完了の時刻t2からΔt後に圧力Pt1(供給工程で取得した参照値)となるように、調整部12で調整(制御)する。なお、圧力Pt2は、接触開始時に接触領域19の最適な大きさが得られる圧力である。
接触開始の時刻t1から接触完了の時刻t2までの期間には、例えば、基板保持部9を浮上させるエアベアリングにおいて、エアを供給するポンプの脈動によってエア圧の変動が生じることがある。このような外乱は、図5(b)に示すように、目標位置IP(実線)に対する計測値D2(点線、破線)の偏差として現れる。目標位置IPに対する計測値D2の偏差については、点線で示す場合はあってもよいが、破線で示す場合のように、フィードバック制御による計測値D2の変化率がプラスになることは避けなければならない。計測値D2の変化率がプラスであることは、ブランクモールド5のメサ領域6に供給したインプリント材16がマスターモールド1のパターン領域2に接触した状態から剥離したことを意味する。従って、接触領域19を拡大するには、インプリント材16とパターン領域2とを再び接触させなければならないため、パターン領域2とメサ領域6との間のインプリント材16に気泡が混入する可能性が高くなる。
そこで、押印工程では、第1計測部13bで得られる計測値D2を目標位置IPに追従させるように、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御と、調整部12によるキャビティ10の圧力Pの調整とを行うことが有効となる。例えば、押印工程の各時刻におけるメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の目標位置を示す目標位置情報(第1情報)を予め記憶する。そして、押印工程の各時刻において第1計測部13で得られる計測値が目標位置情報によって示される目標位置となるように、モールド保持部4や調整部12を制御すればよい。なお、第1計測部13bで得られる計測値D2を目標位置IPに追従させる際には、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御に代えて、基板保持部9によるブランクモールド5のZ方向の位置及び傾きの制御を行ってもよい。また、基板保持部9によるブランクモールド5のZ方向の位置及び傾きの制御と、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御とを組み合わせてもよい。
これまでの説明では、計測値D2と目標位置IPとの関係から押印工程における接触領域19の状態を推察しているが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、第1計測部13a及び第2計測部13bのそれぞれで得られる計測値D1及びD2と、これらの計測箇所18の間隔から近似される傾き量αから押印工程における接触領域19の状態を推察してもよい。
このように、本実施形態では、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16とマスターモールド1のパターン領域2との接触開始時の接触領域19を小さくして最適な大きさとしている。そして、接触領域19がパターン領域2の中心から外側に向けて拡大し、且つ、マスターモールド1とブランクモールド5との間の相対的な傾きを低減するようにしている。これにより、パターン領域2とメサ領域6との間でインプリント材16の接触と剥離とが繰り返されることが抑制され、かかるインプリント材16への気泡の混入を低減(防止)することができる。
次いで、マスターモールド1のパターン領域2の隅々にまでブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16が充填されるように、インプリント材16とパターン領域2とを接触された状態を予め定められた時間維持する(充填工程)。本実施形態では、充填工程においても、ブランクモールド5のメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を第1計測部13によって計測する。そして、ΔD12、ΔD13、ΔD14及びΔD15が規格値に収まるように、モールド保持部4や基板保持部9の駆動量を制御する。これにより、パターン領域2をメサ領域6に供給されたインプリント材16に押し付ける力を調整するとともに、メサ領域6の平面度を許容範囲に収めることが可能となる。この際、キャビティ10の圧力Pに関しては、一定値、具体的には、圧力Pt1(供給工程で取得した参照値)を維持するように、調整部12で調整(制御)する。
充填工程において、図7に示すように、一点鎖線Lbを軸としてメサ領域6が10μrad傾いた場合、メサ領域6は、外周周辺で1nm歪むことになる。例えば、メサ領域6の歪みを2nm以下に抑えるためには、メサ領域6の傾きを20μrad以下にする必要がある。従って、第1計測部13b及び13cの間隔を20mmとすると、ΔD23が0.4μm以下となるように、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御と、調整部12によるキャビティ10の圧力Pの調整とを行えばよい。なお、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御に代えて、基板保持部9によるブランクモールド5のZ方向の位置及び傾きの制御を行ってもよいし、それらを組み合わせてもよい。
マスターモールド1のパターン領域2にインプリント材16が十分に充填されたら、図3(a)に示すように、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16とパターン領域2とを接触させた状態でインプリント材16を硬化させる(硬化工程)。例えば、光源24からのi線(波長365nm)に代表される紫外線23を、マスターモールド1(パターン領域2)を介してインプリント材16に照射し、かかるインプリント材16を硬化させる。
本実施形態では、硬化工程においても、ブランクモールド5のメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を第1計測部13によって計測する。そして、充填工程と同様に、ΔD12、ΔD13、ΔD14及びΔD15が規格値に収まるように、調整部12と、モールド保持部4及び基板保持部9の少なくとも一方とを制御する。また、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16を硬化させた後であっても、次の工程が開始されるまで、ΔD12、ΔD13、ΔD14及びΔD15が規格値に収まっている状態を維持するとよい。これにより、マスターモールド1のパターン領域2に充填されて硬化したインプリント材16に応力が加わり、ブランクモールド5(メサ領域6)に形成されるパターンに欠陥が生じる可能性を低減することができる。
次いで、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されて硬化したインプリント材16からマスターモールド1を引き離す(離型工程)。具体的には、図3(b)及び図3(c)に示すように、モールド保持部4をZ方向に上昇させて、メサ領域6に供給されて硬化したインプリント材16からマスターモールド1を引き離す。
離型工程では、マスターモールド1とブランクモールド5との相対的な姿勢が変動すると、メサ領域6に形成されたインプリント材16のパターンとマスターモールド1のパターン領域2とが衝突し、かかるパターンに欠陥が生じる可能性がある。このようなパターンの欠陥を防止するためには、図8(a)に示すように、接触領域19と離型完了領域25との境界26がパターン領域2の外側から中心に向けて連続的に移動するように、マスターモールド1を離型させる必要がある。なお、離型完了領域25とは、メサ領域6に供給されて硬化したインプリント材16からマスターモールド1が引き離された領域、即ち、インプリント材16とパターン領域2とが接触していない領域である。
本実施形態では、離型工程において、接触領域19がパターン領域2の外側から中心に向けて縮小し、且つ、マスターモールド1とブランクモールド5との間の相対的な傾きを低減するように、調整部12、モールド保持部4、基板保持部9などを制御する。例えば、離型工程においても、押印工程と同様に、接触領域19の最適な縮小速度22’に基づいて、離型工程におけるメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の目標位置を設定することが可能である。従って、かかる目標位置に対して第1計測部13で得られる計測値が追従するように、調整部12と、モールド保持部4及び基板保持部9の少なくとも一方とを制御すればよい。
図8(a)に示すように、一点鎖線La及びLbを軸とする線対称な接触領域19が、離型工程を経るにつれて、パターン領域2の外側から中心に向けて縮小する場合を考える。上述したように、第1計測部13a、13b、13c、13d及び13eのそれぞれで得られた計測値をD1、D2、D3、D4及びD5とし、ここでも、計測値D2に着目する。
図8(b)では、離型工程の各時刻tにおける目標位置IP’を実線で示し、離型工程の各時刻tにおいて第1計測部13bで得られた計測値D2を点線及び破線で示している。充填工程と同様に、第1計測部13bで得られた計測値D2と目標位置IP’との差分を求め、かかる差分をモールド保持部4の駆動量としてフィードバック制御し、計測値D2を目標位置IP’(のプロファイル)に追従させる。一方、キャビティ10の圧力Pに関しては、図8(c)に示すように、離型開始の時刻t3からΔt後に圧力Pt1から低くし、離型完了の時刻t4からΔt後に圧力Pt0となるように、調整部12で調整(制御)する。なお、圧力Pt0は、キャビティ10に圧力をかけていない状態に対応する圧力である。
離型開始の時刻t3から離型完了の時刻t4までの期間における外乱は、図8(b)に示すように、目標位置IP’(実線)に対する計測値D2(点線、破線)の偏差として現れる。目標位置IP’に対する計測値D2の偏差については、点線で示す場合はあってもよいが、破線で示す場合のように、フィードバック制御による計測値D2の変化率がマイナスになることは避けなければならない。計測値D2の変化率がマイナスであることは、メサ領域6に形成されたインプリント材16のパターンとマスターモールド1のパターン領域2とが衝突(接触)したことを意味し、かかるパターンに欠陥が生じている可能性を示唆している。
そこで、離型工程では、第1計測部13bで得られる計測値D2を目標位置IP’に追従させるように、モールド保持部4によるマスターテンモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御と、調整部12によるキャビティ10の圧力Pの調整を行うことが有効となる。例えば、離型工程の各時刻におけるメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の目標位置を示す目標位置情報(第2情報)を予め記憶する。そして、離型工程の各時刻において第1計測部13で得られる計測値が目標位置情報によって示される目標位置となるように、モールド保持部4や調整部12を制御すればよい。なお、第1計測部13bで得られる計測値D2を目標位置IP’に追従させる際には、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御に代えて、基板保持部9によるブランクモールド5のZ方向の位置及び傾きの制御を行ってもよい。また、基板保持部9によるブランクモールド5のZ方向の位置及び傾きの制御と、モールド保持部4によるマスターモールド1のZ方向の位置及び傾きの制御とを組み合わせてもよい。
これまでの説明では、計測値D2と目標位置IP’との関係から離型工程における接触領域19の状態を推察しているが、これに限定されるものではない。例えば、押印工程と同様に、第1計測部13a及び第2計測部13bのそれぞれで得られる計測値D1及びD2と、これらの計測箇所18の間隔から近似される傾き量から離型工程における接触領域19の状態を推察してもよい。
本実施形態におけるインプリント装置100によれば、供給工程、押印工程、充填工程及び離型工程とを含むインプリント処理において、マスターモールド1(モールド)とブランクモールド5(基板)との相対的な姿勢を安定して維持することができる。従って、インプリント装置100は、基板としてのブランクモールド5に形成されるパターンの精度の点で有利である。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を第1計測部13によって計測し、その計測結果に基づいて、パターン領域2とメサ領域6との間の相対的な傾きや位置を制御している。但し、第1の実施形態では、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの平面度及び面粗さがメサ領域6の平面度及び面粗さと同等で、且つ、領域5cとメサ領域6との平行度が十分に得られていることを前提としている。実際には、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの平面度及び面粗さがメサ領域6の平面度及び面粗さよりも大きく、且つ、領域5cとメサ領域6との平行度も十分に得られていない場合もある。従って、メサ領域6の平面度を所望の値にするためには、メサ領域6の高さ方向の位置を計測しながら、調整部12によってキャビティ10の圧力Pを調整するとよい。但し、インプリント処理における押印工程、充填工程、硬化工程及び離型工程では、メサ領域6の高さ方向の位置を計測することが難しい。そこで、本実施形態では、メサ領域6において平面度が所望の値が得られたときのメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を取得し、その計測値を参照値としてメサ領域6の平面度を制御する。
図9は、本発明の第2の実施形態におけるインプリント装置200の構成を示す図である。インプリント装置200は、インプリント装置100と同様に、モールド(マスターモールド)を用いて基板(ブランクモールド)上のインプリント材にパターンを形成するインプリント処理を行うリソグラフィ装置である。また、インプリント装置200は、インプリント装置100の構成に加えて、第2計測部27を更に有する。
第2計測部27は、ブランクモールド5の第1面5aの側に配置され、ブランクモールド5のメサ領域6の高さ方向の位置を計測する。第2計測部27は、本実施形態では、分光干渉変位計で構成され、モールド保持部4に実装されている。
ブランクモールド5のメサ領域6の高さ方向の位置を第2計測部27によって計測する際には、第1計測部13と同様に、第2計測部27の計測値の原点を取得する必要がある。具体的には、図10に示すように、第2計測部27の側の基準面28aと第1計測部13の側の基準面28bとの平行度が十分に得られた基準プレート29を、基板チャック8に載置して基板保持部9に保持させる。基準プレート29の基準面28aには、V型の溝30が形成され、第2計測部27(の外周)には、溝30に対応する半球部31が設けられている。第2計測部27に設けられた半球部31が基準プレート29の基準面28aに形成された溝30に突き当たるように、モールド保持部4をZ方向に下降させる。これにより、第2計測部27に対して、基準プレート29がキネマティックに位置決めされる。図10に示す状態において、基準プレート29の基準面28aの高さ方向の位置を第2計測部27によって計測し、その計測値を原点とする。同様に、基準プレート29の基準面28bの高さ方向の位置を第1計測部13によって計測し、その計測値を原点とする。
ブランクモールド5のメサ領域6にインプリント材を供給する供給工程では、ブランクモールド5のメサ領域6の平面度を補正するために、図11(a)に示すように、メサ領域6の高さ方向の位置を第2計測部27によって計測する。ブランクモールド5のメサ領域6において(メサ領域内で)、第2計測部27によって高さ方向の位置を計測する計測箇所18aとしては、図11(b)に示すように、メサ領域6の中央及び四隅の5箇所が考えられる。換言すれば、第2計測部27は、第1計測部13が高さ方向の位置を計測する第2面5bの領域5cの複数の箇所に対応するメサ領域6の複数の箇所の高さ方向の位置を計測する。図11(b)は、メサ領域6をモールドチャック3の側から示す平面図である。第2計測部27は、メサ領域内の計測箇所18aに応じて配置され、本実施形態では、図11(b)に示すように、5箇所の計測箇所18aのそれぞれに対応して第2計測部27a、27b、27c、27d及び27eが配置されている。
ここで、第2計測部27a、27b、27c、27d及び27eのそれぞれで得られた計測値をDc1、Dc2、Dc3、Dc4及びDc5とする。また、Dc1−Dc2=ΔDc12、Dc1−Dc3=ΔDc13、Dc1−Dc4=ΔDc14、Dc1−Dc5=ΔDc15とする。この場合、メサ領域6の平面度を補正されていくと、図11(c)に示すように、ΔDc12、ΔDc13、ΔDc14及びΔDc15のそれぞれは、ゼロに近づいていく。従って、ΔDc12、ΔDc13、ΔDc14及びΔDc15が規格値に収まるように、キャビティ10の圧力Pを調整部12で調整することで、メサ領域6の平面度を所望の値にすることが可能である。
但し、第1の実施形態でも説明したように、基板保持部9を浮上させるエアベアリングにおいて、エアを供給するポンプの脈動によってエア圧の変動が生じ、基板保持部9の姿勢が変化することがある。基板保持部9の姿勢が変化すると、ブランクモールド5のメサ領域6が傾くことになる。従って、メサ領域6において所望の値の平面度が得られたとしても、図12に示すように、ΔDc12が残存してしまうため、メサ領域6において所望の値が得られていないと誤って判断されてしまう。このような場合には、ΔDc23(=Dc2−Dc3)についても考慮し、ΔDc23をゼロに近づけるように、モールド保持部4の傾きを制御するとよい。
ブランクモールド5のメサ領域6の平面度を補正する過程において、ブランクモールド5のメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置も第1計測部13によって計測する。そして、ΔDc12、ΔDc13、ΔDc14及びΔDc15が規格値に収まったときの第2面5bの領域5cの高さ方向の位置(第1計測部13の計測値)を、メサ領域6において所望の値の平面度が得られたときの参照値として記憶する。かかる参照値は、メサ領域6の高さ方向の位置を第2計測部27で計測することが不可能となる後の工程で用いる。具体的には、各工程において、第1計測部13の計測値(メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置)を、参照値に基づいて、メサ領域6の高さ方向の位置に換算する。これにより、メサ領域6の高さ方向の位置を第2計測部27で計測することができない場合であっても、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を第1計測部13で計測することで、メサ領域6の高さ方向の位置を求めることが可能となる。
押印工程では、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16をマスターモールド1のパターン領域2に接触させる前に、第1の実施形態と同様に、メサ領域6をマスターモールド1に対して凸形状に変形させる。この際、図13に示すように、メサ領域6の高さ方向の位置を第2計測部27で計測しながら、メサ領域6が予め定められた凸形状となるように、キャビティ10の圧力Pを調整部12で調整する。また、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置も第1計測部13によって計測する。そして、メサ領域6が予め定められた凸形状となったときの第2面5bの領域5cの高さ方向の位置(第1計測部13の計測値)を、別の参照値として記憶する。これにより、ブランクモールド5をマスターモールド1の直下に移動させた後であっても、かかる別の参照値及び第1計測部13の計測値に基づいて、キャビティ10の圧力を調整部12で調整することで、メサ領域6を予め定められた形状に維持することができる。また、メサ領域6が平坦形状から凸形状になるまでの過程について、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置の目標値のプロファイルとして生成してもよい。
このように、本実施形態では、ブランクモールド5のメサ領域6に供給されたインプリント材16とマスターモールド1のパターン領域2とを接触させていない状態における第1計測部13の計測値と第2計測部27の計測値との関係を取得する。そして、かかる関係に基づいて、メサ領域6に供給されたインプリント材16とパターン領域2とを接触させた状態における第1計測部13の計測値からメサ領域6の高さ方向の位置を求めている。これにより、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの平面度や面粗さ、領域5cとメサ領域6との平行度が十分に得られていない場合であっても、マスターモールド1とブランクモールド5との相対的な姿勢を安定して維持することができる。従って、インプリント装置200は、基板としてのブランクモールド5に形成されるパターンの精度の点で有利である。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、第1計測部13や第2計測部27が計測対象となる領域(メサ領域6や領域5c)の中央及び四隅の5箇所を計測する場合について説明したが、これに限定されるものではない。メサ領域6の変形(形状)は、メサ領域6の剛性が高いほど拘束される。このような場合、図14(a)に示すように、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cにおける1箇所の計測値と、ブランクモールド5の弾性率とに基づいて、メサ領域6の変形を予測することが可能である。換言すれば、第1計測部13による計測箇所18及び第2計測部27による計測箇所18’は、1箇所であってもよい。
一方、メサ領域6の変形をより高精度に求めるためには、第1計測部13や第2計測部27によって複数の計測箇所を計測することが必要となる。例えば、図14(b)に示すように、ある直線上の2箇所を計測箇所として配置したり、図14(c)に示すように、三角形状に計測箇所を配置したりすることが考えられる。
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、メサ領域6をマスターモールド1に対して凸形状に変形させるため、第1計測部13や第2計測部27の計測対象となる領域の中央を計測箇所として追加するとよい。例えば、図14(d)に示すように、三角形状に配置された計測箇所に加えて、中央の1箇所を計測箇所として追加することが考えられる。また、図14(e)に示すように、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様に、計測対象となる領域の中央及び四隅の5箇所を計測箇所とすることが考えられる。
<第3の実施形態>
第1の実施形態及び第2の実施形態では、コアアウト7の自重によるメサ領域6の撓みをキャビティ10の圧力Pを調整することで補正する場合について説明した。但し、図15(a)に示すように、ブランクモールド5の第2面5bのうちのキャビティ10よりも外側の領域を吸着する基板チャック8に加えて、追加チャック32を設けてもよい。図15(a)は、本発明の第3の実施形態におけるインプリント装置300の構成を示す図である。インプリント装置300は、インプリント装置200と同様に、モールド(マスターモールド)を用いて基板(ブランクモールド)上のインプリント材にパターンを形成するインプリント処理を行うリソグラフィ装置である。また、インプリント装置300は、インプリント装置200の構成に加えて、追加チャック32を更に有する。
追加チャック32は、第1計測部13を取り囲むように配置され、ブランクモールド5のメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cよりも外側の領域を吸着する。追加チャック32によって、キャビティ10のうちの領域5cよりも外側の領域を吸着、即ち、保持することで、コアアウト7の自重によるメサ領域6の撓みを抑制することができる。なお、第1計測部13は、追加チャック32よりも内側、且つ、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの下方に配置されている。従って、第1計測部13は、追加チャック32に干渉することなく、メサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cの高さ方向の位置を計測することができる。
ここで、ブランクモールド5のメサ領域6の裏側に対応する第2面5bの領域5cよりも外側の領域を追加チャック32が吸着(保持)する理由について説明する。理想的には、図15(b)に示すように、ブランクモールド5は、第2面5bの領域5cよりも外側の領域だけではなく、領域5cも保持するようにチャック33を設けるとよい。但し、ブランクモールド5には公差があるため、例えば、図15(c)に示すように、ブランクモールド5の第2面5bとチャック33との間に隙間Gが生じ、コアアウト7においてブランクモールド5を保持できない可能性がある。
そこで、第1の実施形態及び第2の実施形態では、コアアウト7においてブランクモールド5を保持する代わりに、キャビティ10に圧力Pを加えているが、本実施形態では、追加チャック32によってコアアウト7においてブランクモールド5を保持する。更に、本実施形態では、追加チャック32をZ方向(高さ方向)に駆動する駆動部(アクチュエータ)32aを基板保持部9に設けている。駆動部32aにより追加チャック32をZ方向に駆動することで、ブランクモールド5の公差に対応することができるとともに、メサ領域6の平面度も補正することができる。なお、メサ領域6の平面度の補正は、駆動部32aの制御、即ち、追加チャック32のZ方向への駆動のみで行ってもよいし、キャビティ10の圧力Pの調整と併せて行ってもよい。
このように、本実施形態においても、追加チャック32をZ方向に駆動することで、メサ領域6の平面度を補正し、マスターモールド1とブランクモールド5との相対的な姿勢を安定して維持することができる。従って、インプリント装置300は、基板としてのブランクモールド5に形成されるパターンの精度の点で有利である。
<第4の実施形態>
物品としてのデバイス(半導体デバイス、磁気記憶媒体、液晶表示素子等)の製造方法について説明する。かかる製造方法は、インプリント装置100、200又は300を用いてパターンを基板(ウエハ、ガラスプレート、フィルム状基板等)に形成する工程を含む。かかる製造方法は、パターンを形成された基板を処理する工程を更に含む。当該処理ステップは、当該パターンの残膜を除去するステップを含みうる。また、当該パターンをマスクとして基板をエッチングするステップなどの周知の他のステップを含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
100、200、300:インプリント装置 1:マスターモールド 4:モールド保持部 5:ブランクモールド 8:基板チャック 9:基板保持部 13:第1計測部 50:制御部

Claims (15)

  1. モールドを用いてパターンを形成するインプリント処理を行うインプリント装置であって、
    前記モールドを保持して移動するモールド保持部と、
    前記パターンを形成すべき第1領域を第1面に含む基板の前記第1面とは反対側の第2面を吸着する第1チャックを含み、前記第1チャックによって前記基板を保持して移動する基板保持部と、
    前記第2面の側に配置され、前記第1領域の反対側の領域である前記第2面の第2領域の高さ方向の位置を計測する第1計測部と、
    前記第1計測部によって計測された位置に基づいて、前記インプリント処理を行っている間における前記モールドのパターン面と前記基板の前記第1領域との間の相対的な傾き及び位置の少なくとも一方を制御する処理を行う制御部と、
    を有することを特徴とするインプリント装置。
  2. 前記基板は、前記基板保持部に保持された状態で前記第1チャックと前記第2面の前記第2領域を含む領域との間に空間を規定する凹部を前記第2面に含むブランクモールドを含み、
    前記第1チャックは、前記第2面のうちの前記凹部よりも外側の領域を吸着し、
    前記基板保持部は、前記凹部のうちの前記第2領域よりも外側の領域を吸着する第2チャックを含み、
    前記計測部は、前記第2チャックよりも内側、且つ、前記第2領域の下方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
  3. 前記基板保持部は、前記第2チャックを前記高さ方向に駆動する駆動部を含み、
    前記制御部は、前記駆動部を制御することで前記処理を行うことを特徴とする請求項2に記載のインプリント装置。
  4. 前記基板は、前記基板保持部に保持された状態で前記第1チャックと前記第2領域との間に空間を規定する凹部を前記第2面に含むブランクモールドを含み、
    前記インプリント装置は、前記空間の圧力を調整する調整部を更に有し、
    前記制御部は、前記モールド保持部、前記基板保持部及び前記調整部の少なくとも1つを制御することで前記処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
  5. 前記インプリント処理は、前記第1領域にインプリント材を供給する供給工程を含み、
    前記制御部は、前記供給工程において前記第1領域の平面度を許容範囲に収めるように、前記調整部を制御することを特徴とする請求項4に記載のインプリント装置。
  6. 前記第1計測部は、前記第2領域内の複数の箇所の高さ方向の位置を計測し、
    前記制御部は、前記第1計測部によって計測される位置の前記複数の箇所間の差分を低減するように、前記調整部を制御することを特徴とする請求項5に記載のインプリント装置。
  7. 前記インプリント処理は、前記第1領域に供給されたインプリント材と前記パターン面とを接触させる押印工程を含み、
    前記制御部は、前記押印工程において、前記インプリント材と前記パターン面との接触領域が前記パターン面の中心から外側に向けて拡大し、且つ、前記モールドと前記基板との間の相対的な傾きを低減するように、前記調整部と、前記モールド保持部及び前記基板保持部のうちの少なくとも一方とを制御することを特徴とする請求項4乃至6のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  8. 前記制御部は、
    前記押印工程の各時刻における前記第2領域の高さ方向の目標位置を示す第1情報を記憶し、
    前記押印工程の各時刻において前記第1計測部によって計測される位置が前記第1情報によって示される前記目標位置となるように、前記調整部と、前記モールド保持部及び前記基板保持部のうちの少なくとも一方とを制御することを特徴とする請求項7に記載のインプリント装置。
  9. 前記インプリント処理は、前記第1領域に供給されたインプリント材と前記パターン面とを接触させた状態を予め定められた時間維持する充填工程と、前記第1領域に供給された前記インプリント材と前記パターン面とを接触させた状態で前記インプリント材を硬化させる硬化工程と、を含み、
    前記制御部は、前記充填工程及び前記硬化工程のそれぞれにおいて前記第1領域の平面度を許容範囲に収めるように、前記モールド保持部及び前記基板保持部のうちの少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項4乃至8のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  10. 前記制御部は、前記充填工程及び硬化工程のそれぞれにおける前記空間の圧力を一定値に維持するように、前記調整部を制御することを特徴とする請求項9に記載のインプリント装置。
  11. 前記インプリント処理は、硬化したインプリント材から前記モールドを引き離す離型工程を含み、
    前記制御部は、前記離型工程において、前記インプリント材と前記パターン面との接触領域が前記パターン面の外側から中心に向けて縮小し、且つ、前記モールドと前記基板との間の相対的な傾きを低減するように、前記調整部と、前記モールド保持部及び前記基板保持部のうちの少なくとも一方とを制御することを特徴とする請求項4乃至10のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  12. 前記制御部は、
    前記離型工程の各時刻における前記第2領域の高さ方向の目標位置を示す第2情報を記憶し、
    前記離型工程の各時刻において前記第1計測部によって計測される位置が前記第2情報によって示される前記目標位置となるように、前記調整部と、前記モールド保持部及び前記基板保持部のうちの少なくとも一方とを制御することを特徴とする請求項11に記載のインプリント装置。
  13. 前記第1面の側に配置され、前記第1領域の高さ方向の位置を計測する第2計測部を更に有し、
    前記制御部は、前記第1領域の上のインプリント材と前記パターン面とを接触させていない状態において前記第1計測部によって計測される位置と前記第2計測部によって計測された位置との関係に基づいて、前記第1領域に供給された前記インプリント材と前記パターン面とを接触させた状態において前記第1計測部によって計測される位置から前記第1領域の高さ方向の位置を求めることを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載のインプリント装置。
  14. 前記第2計測部は、前記第1計測部が高さ方向の位置を計測する前記第2領域内の複数の箇所に対応する前記第1領域内の複数の箇所の高さ方向の位置を計測することを特徴とする請求項13に記載のインプリント装置。
  15. 請求項1乃至14のうちいずれか1項に記載のインプリント装置を用いてパターンを基板に形成する工程と、
    前記工程で前記パターンを形成された前記基板を処理する工程と、
    を含むことを特徴とする物品の製造方法。
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