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JP2017125093A - 半導体保護テープ及びウエハの処理方法 - Google Patents

半導体保護テープ及びウエハの処理方法 Download PDF

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JP2017125093A JP2016003746A JP2016003746A JP2017125093A JP 2017125093 A JP2017125093 A JP 2017125093A JP 2016003746 A JP2016003746 A JP 2016003746A JP 2016003746 A JP2016003746 A JP 2016003746A JP 2017125093 A JP2017125093 A JP 2017125093A
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Abstract

【課題】表面に凹凸を有するウエハに高温処理を施す場合であっても充分なウエハ保護性能を維持し、処理後には糊残りすることなくウエハから剥離できる半導体保護テープ及びウエハの処理方法。【解決手段】光重合開始剤の吸光度が0.1以上となる最長の波長が380nm以上である光重合開始剤を含有する光硬化型粘着剤層12及びポリエチレンナフタレートからなる基材層11を有する半導体保護テープを用いるウエハの処理方法。吸光度測定条件は開始剤濃度0.01重量%(アセトニトリル溶液)、セル長10mm(石英セル)、波長200nm〜800nmとする。前記半導体保護テープを、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹部が形成された面に、前記凹部の底部が接触しない状態で、貼付する貼付工程を含むウエハの処理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、表面に凹凸を有するウエハに高温処理を施す場合であっても、ウエハ処理工程時には充分なウエハ保護性能を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後には糊残りすることなくウエハから剥離できる半導体保護テープ、及び、ウエハの処理方法に関する。
半導体チップの製造工程において、ウエハの加工時の取扱いを容易にし、破損を防止するために半導体保護テープが用いられている。例えば、高純度なシリコン単結晶等から切り出した厚膜ウエハを所定の厚さにまで研削して薄膜ウエハとする場合、厚膜ウエハに半導体保護テープを貼り合わせた後に研削が行われる。
ウエハを支持板に粘着する粘着剤組成物には、加工工程中にウエハを強固に固定できるだけの高い粘着性とともに、工程終了後にはウエハを損傷、汚染することなく剥離できることが求められる(以下、「高粘着易剥離」ともいう。)。
高粘着易剥離を実現した粘着剤組成物として特許文献1には、アゾ化合物等の刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する粘着層を有する両面粘着テープを用いた半導体ウエハの処理方法が記載されている。特許文献1に記載された半導体ウエハの処理方法では、まず、両面粘着テープを介して半導体ウエハを支持板に固定する。その状態で研削工程等を行った後に刺激を与えると、気体発生剤から発生した気体がテープの表面と半導体ウエハとの界面に放出され、その圧力によって少なくとも一部が剥離される。特許文献1の両面粘着テープを用いれば、半導体ウエハを損傷することなく、かつ、糊残りもすることなく剥離できる。
一方、近年半導体保護テープを貼付した状態でウエハ上に形成された電極を、基板や他の半導体チップ上の電極と導電接続することが行われるようになってきた。このような導電接続においては、半田の融点以上の温度、通常250℃以上の温度にウエハを加熱するリフロー工程が行われる。また、ウエハを樹脂で封止するモールド工程等においては、175℃以上の加熱が行われる。しかしながら、このような過酷な処理工程を伴うウエハの処理においては、従来の半導体保護テープでは、半導体保護テープ自体が高温に耐えられずに変形してしまったり、ウエハに反りが発生してしまったりするという問題があった。また、半導体保護テープの粘着剤が高温にさらされると、粘着力が増大する粘着昂進が起こるため、その結果、半導体保護テープを剥離する際にウエハに糊残り(以下、「残渣」とも言う。)が生じてしまうという問題もあった。特に、近年のウエハは高性能化に伴って複雑な回路が表面に形成されており、凹凸が多い構造であることから、上記残渣の問題がより顕著になってきている。
特開2003−231872号公報
本発明は、表面に凹凸を有するウエハに高温処理を施す場合であっても、ウエハ処理工程時には充分なウエハ保護性能を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後には糊残りすることなくウエハから剥離できる半導体保護テープ、及び、ウエハの処理方法を提供することを目的とする。
本発明は、半導体チップの製造において、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹凸が形成された面に貼付してウエハを保護する半導体保護テープであって、光硬化型粘着剤と、光重合開始剤とを含有する粘着剤層、及び、ポリエチレンナフタレートからなる基材層を有し、上記光重合開始剤は、0.01重量%のアセトニトリル溶液の状態で、セル長10mmの石英セルを用いて、200nm〜800nmの吸光度を測定した時に、吸光度が0.1以上となる最長の波長が380nm以上である半導体保護テープである。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は上記半導体保護テープの変形と残渣の問題に対して、以下の3つの方法を組み合わせることを考えた。
1.耐熱性を上げるために、基材層にポリエチレンナフタレートを用いる。
2.残渣の発生を防止するために、表面に凹凸が形成されたウエハの、凹凸が形成された面上に、凹部の底面から半導体保護テープが浮いた状態(以下、「中空状態」とも言う。)となるように貼り付ける。
ここで、図1を用いて上記中空状態を詳説する。半導体保護テープ1は、基材層11と粘着剤層12を有しており、凹凸を有するウエハ2はウエハ表面に凸部21と凹部22が形成されている。半導体保護テープの粘着剤層12は凹凸を有するウエハの凹部22の底部と接触しないように凸部21の一部に貼り付けられ、凹部22の底部と粘着剤層12の間には空隙ができている。なお、貼付工程は常温常圧の大気下で行われるため、上記空隙には大気が存在している。
3.中空状態での半導体保護テープの貼り付けに伴う半導体保護テープとウエハとの接触面積の減少によって、ウエハ保護性能が低下することを防ぐために粘着剤層を光硬化させる。
しかしながら、上記3つの方法の組み合わせでは粘着剤層が充分に光硬化せず、その結果、未反応の粘着剤が糊残りしてしまうという問題が生じた。
本発明者は光硬化反応が阻害される問題について検討したところ、基材の性質と酸素による硬化阻害が原因であることを見出した。
即ち、ポリエチレンナフタレートは380nm未満の波長の光を通しにくい性質があるため、通常用いられる光重合開始剤では充分に励起できず、光硬化反応が起こりにくくなっていた。
また、中空状態で半導体保護テープを貼り付けると、ウエハ−半導体保護テープ間の空隙に大気が存在し、上記大気に由来する酸素が光照射によって生じたラジカルをトラップすることで、光硬化反応が起こりにくくなっていた。
そこで、本発明者は更に検討を重ねた結果、380nm以上の波長に吸収領域を持つ光重合開始剤を粘着剤層に用いることで、ポリエチレンナフタレートによる阻害と酸素による阻害を改善できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の半導体保護テープは、光硬化型粘着剤と光重合開始剤とを含有する粘着剤層を有する。
粘着剤を光硬化型とすることで、半導体ウエハ貼り付け時には充分な粘着力を発揮し、貼り付け後は光硬化させて半導体保護テープ全体の弾性率を上げることにより、接触面積が小さくなる中空状態で半導体保護テープを貼り付けた場合であっても充分なウエハ保護性能を発揮することができる。また、ウエハの処理終了後は高い弾性率によってウエハから容易に半導体保護テープを剥離することができる。
上記光硬化型粘着剤としては、例えば、重合性ポリマーが挙げられる。上記重合性ポリマーは、例えば、分子内に官能基を持った(メタ)アクリル系ポリマー(以下、官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーという)をあらかじめ合成し、分子内に上記の官能基と反応する官能基とラジカル重合性の不飽和結合とを有する化合物(以下、官能基含有不飽和化合物という)と反応させることにより得ることができる。なお、ここで「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味する。
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、常温で粘着性を有するポリマーとして、一般の(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様に、アルキル基の炭素数が通常2〜18の範囲にあるアクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステルを主モノマーとし、これと官能基含有モノマーと、更に必要に応じてこれらと共重合可能な他の改質用モノマーとを常法により共重合させることにより得られるものである。上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常20万〜200万程度である。
上記官能基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基含有モノマー;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマー;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸イソシアネートエチル、メタクリル酸イソシアネートエチル等のイソシアネート基含有モノマー;アクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノエチル等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。
上記共重合可能な他の改質用モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等の一般の(メタ)アクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーが挙げられる。
上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーに反応させる官能基含有不飽和化合物としては、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基に応じて上述した官能基含有モノマーと同様のものを使用できる。例えば、上記官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの官能基がカルボキシル基の場合はエポキシ基含有モノマーやイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がヒドロキシル基の場合はイソシアネート基含有モノマーが用いられ、同官能基がエポキシ基の場合はカルボキシル基含有モノマーやアクリルアミド等のアミド基含有モノマーが用いられ、同官能基がアミノ基の場合はエポキシ基含有モノマーが用いられる。
上記重合性ポリマーは、ラジカル重合性の不飽和結合の含有量の好ましい下限が0.01meq/g、好ましい上限が2.0meq/gである。上記重合性ポリマーのラジカル重合性の不飽和結合の含有量がこの範囲内であることによって、上記粘着剤層を光硬化した後に、200℃以上の熱を加える熱処理工程を行った場合にでも、処理中に半導体保護テープ自体が変形することなく、処理後のウエハに反りや残渣の付着が発生することがないという性能を充分に発揮させることができる。上記重合性ポリマーのラジカル重合性の不飽和結合の含有量のより好ましい下限は0.05meq/g、より好ましい上限は1.5meq/gである。
上記光硬化型粘着剤は、更に、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーを含有することが好ましい。ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマーを含有することにより、光照射したときの硬化性が向上する。
上記多官能オリゴマー又はモノマーは、分子量が1万以下であるものが好ましく、より好ましくは加熱又は光の照射による硬化成分の三次元網状化が効率よくなされるように、その分子量が5000以下でかつ分子内のラジカル重合性の不飽和結合の数が2〜20個のものである。
上記多官能オリゴマー又はモノマーは、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。その他、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、市販のオリゴエステルアクリレート、上記同様のメタクリレート類等が挙げられる。これらの多官能オリゴマー又はモノマーは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記粘着剤層は、光硬化型粘着剤と、光重合開始剤を含有し、上記光重合開始剤は、0.01重量%のアセトニトリル溶液の状態で、セル長10mmの石英セルを用いて、200nm〜800nmの吸光度を測定した時に、吸光度が0.1以上となる最長の波長(以下、最大吸収波長とも言う。)が380nm以上である。
最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤を用いることで、基材のポリエチレンナフタレートが透過する波長の光によって粘着剤層を光硬化できる。また、上記光重合開始剤は反応性が高く、ラジカルを充分に発生させることができるので、中空状態で半導体保護テープを貼り付けた際に起こる、酸素によるラジカルのトラップの影響を受けずに充分に硬化を行うことができる。
最大吸収波長の具体的な測定方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、光重合開始剤を0.01重量%となるようにアセトニトリルに溶解させ試料を調整する。次いで、調整した試料1mlをセル長10mmの石英セルに移し、石英セルを分光光度計(U−3900、日立社製)にセットする。ブランクも同時にセットし200nm〜800nmの範囲で吸光度を測定する。そして得られた吸光度が0.1以上となる最大の波長から、最大吸収波長を求める。
具体的な例として、IRGACURE379を用いた例を示す。図2より、0.01重量%のアセトニトリル溶液で測定したIRGACURE379の吸光スペクトルにおいて、吸光度が0.1となる最大の波長(最大吸収波長)が、380nmであることがわかる。
上記最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィノキシド、α−アミノアルキルフェノン、アシルオキシム、チタノセン等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。開始剤を2種類以上併用する場合は、上記の開始剤を最低1種類含んでいれば、他の開始剤はどんな吸収波長を有する開始剤でも使用してよい。
また、通常では380nm未満である開始剤であっても、増感剤を利用して最大吸収波長を380nm以上にする手法も有効である。
上記最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤の市販品としては、例えば、DAROCUR TPO、IRGACURE 369、IRGACURE 379、IRGACURE 819、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、IRGACURE 784(いずれもBASF JAPAN社製)等が挙げられる。
上記光硬化型粘着剤100重量部に対する上記最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤の含有量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は15重量部である。上記最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤の含有量が上記範囲であることで、より確実に光硬化を行うことができる。上記最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は10重量部である。
上記粘着剤層は、更に、刺激により気体を発生する気体発生剤を含有してもよい。上記粘着剤層が上記気体発生剤を含有する場合には、上記半導体保護テープ剥離工程において、粘着剤層に刺激を与えて気体発生剤から気体を発生させることにより、より容易に、かつ、糊残りすることなくウエハから半導体保護テープを剥離することができる。
ここで、上記光硬化型粘着剤と上記気体発生剤とは、光硬化型粘着剤を架橋、硬化させる刺激と、気体発生剤から気体を発生させる刺激が質的又は量的に異なる組み合わせを選択することが好ましい。このような組み合わせを選択することにより、粘着剤層硬化工程における刺激によって気体発生剤から気体が発生し、ウエハと半導体保護テープとが剥離してしまうのを防止することができる。
具体的には例えば、光硬化型粘着剤を架橋、硬化させる光とは波長が異なったり、波長が重複しても、光硬化型粘着剤成分を架橋、硬化させる光量よりもより多くの光量を要したりする気体発生剤を選択する。
上記気体発生剤は特に限定されず、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等の従来公知の気体発生剤を用いることができるが、リフロー工程中に気体が発生して剥離しないように、ケトプロフェンや2−キサントン酢酸等のカルボン酸化合物又はその塩や、1H−テトラゾール、5,5’−ビステトラゾールジアンモニウム塩、5,5’−ビステトラゾールアミンモノアンモニウム塩等のテトラゾール化合物又はその塩等の耐熱性に優れる気体発生剤を用いることが好ましい。
上記粘着剤層中の上記気体発生剤の含有量は特に限定されないが、上記光硬化型粘着剤100重量部に対する好ましい下限が5重量部、好ましい上限が50重量部である。上記気体発生剤の含有量がこの範囲内にあると、充分な剥離性向上効果が得られる。上記気体発生剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記粘着剤層は、更に、ヒュームドシリカ等の無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーを配合することにより上記粘着剤層の凝集力が上がるため、リフロー工程後に保護が不要となったときに、半導体保護テープをウエハから糊残りすることなく容易に剥離できる。
上記粘着剤層は、凝集力の調節を図る目的で、所望によりイソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物等の一般の粘着剤に配合される各種の多官能性化合物を適宜含有してもよい。
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は200μmである。上記粘着剤層の厚みがこの範囲内にあることで、充分な粘着力でウエハに貼付でき、処理中のウエハを保護することができる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μm、更に好ましい上限は30μmである。
本発明の半導体保護テープはポリエチレンナフタレートからなる基材層を有する。基材層をポリエチレンナフタレートとすることで、半導体保護テープに耐熱性を付与することができ、高温処理時における半導体保護テープの変形やウエハの反りを防止することができる。また、高温処理時における半導体保護テープの変形が起こらないことによって、半導体保護テープがウエハの凹凸に噛みこむことがないため、残渣も発生し難い。
上記基材層の厚さは特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好ましい上限は100μmである。上記基材層の厚さがこの範囲内であると、適度なコシがあって、取り扱い性に優れる半導体保護テープとすることができる。上記基材層の厚さのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は50μmである。
本発明の半導体保護テープを製造する方法は特に限定されず、例えば、上記基材層上に上記粘着剤層の原料となる粘着剤組成物をドクターナイフやスピンコーター等を用いて塗工する等の従来公知の方法を用いることができる。
本発明の半導体保護テープは、半導体チップの製造において、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹凸が形成された面に貼付してウエハを保護するのに好適に用いることができる。とりわけ、本発明の半導体保護テープを貼り付けた状態でウエハに高温処理を施しても、粘着昂進の影響を抑えることができ、残渣の発生も防止することができる。
少なくとも、光硬化型粘着剤と、光重合開始剤とを含有する粘着剤層、及び、ポリエチレンナフタレートからなる基材層を含有し、上記光重合開始剤は、0.01重量%のアセトニトリル溶液の状態で、セル長10mmの石英セルを用いて、200nm〜800nmの吸光度を測定した時に、吸光度が0.1以上となる最長の波長が380nm以上である半導体保護テープを、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹部が形成された面に、上記凹部の底部が接触しない状態で貼付する貼付工程と、上記半導体保護テープに光を照射して上記粘着剤層を硬化させる硬化工程と、上記半導体保護テープが貼付されたウエハに200℃以上の加熱処理又は発熱を伴う処理を施す熱処理工程と、上記熱処理工程後のウエハから、上記半導体保護テープを剥離する半導体保護テープ剥離工程を有するウエハの処理方法もまた、本発明の1つである。
本発明のウエハの処理方法は、まず、少なくとも、光硬化型粘着剤と最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤とを含有する粘着剤層、及び、ポリエチレンナフタレートからなる基材層を含有する半導体保護テープを、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹部が形成された面に、上記凹部の底部が接触しない状態で貼付する貼付工程を行う。
上述のように、半導体保護テープを中空状態で貼り付けることによって、高温処理による粘着昂進の影響を抑えることができ、残渣の発生を防止することができる。
また、上記半導体保護テープは、本発明の半導体保護テープが好適に用いられる。
本発明のウエハの処理方法は、次いで、上記半導体保護テープに光を照射して上記粘着剤層を硬化させる硬化工程を行う。
粘着剤層を光硬化させることによって、中空状態で半導体テープがウエハに貼り付けられた場合であっても、充分なウエハ保護性能を発揮することができる。また、半導体保護テープ全体の弾性率が高くなるため、ウエハ処理後の剥離が容易になり、残渣も発生し難くなる。更に、上記粘着剤層は最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤を含有しているため、上記基材層のポリエチレンナフタレートが透過する波長の光で光硬化を行うことができる。
上記光照射は、波長250nm以上の光を10mW/cm以上の照度で照射することが好ましく、50mW/cm以上の照度で照射することがより好ましく、80mW/cm以上の照度で照射することが特に好ましい。
本発明のウエハの処理方法は、次いで、上記半導体保護テープが貼付されたウエハに200℃以上の加熱処理又は発熱を伴う処理を施す熱処理工程を行う。
上記熱処理工程は、ウエハ上に形成された電極を、基板や他の半導体チップ上の電極と導電接続する際に、半田の融点以上の温度に加熱するリフロー工程が代表的である。その他にも、スパッタリング、蒸着、エッチング、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、レジスト塗布・パターンニング、モールド等の加熱処理又は発熱を伴う処理も挙げられる。なお、リフロー工程は通常240℃〜260℃で行われ、モールド工程は通常175℃〜200℃で行われる。
本発明のウエハの処理方法は、後述する剥離工程に先立って、上記処理後のウエハの処理面にダイシングテープを貼付するダイシングテープ貼付工程を有してもよい。予めダイシングテープを貼付しておくことにより、剥離工程において半導体保護テープを剥離した後、速やかにダイシング工程に進むことができる。
本発明のウエハの処理方法は、次いで、上記熱処理工程後のウエハから、上記半導体保護テープを剥離する半導体保護テープ剥離工程を行う。上記硬化工程において粘着剤層は架橋、硬化していることから、ウエハからの半導体保護テープの剥離を容易に、かつ、糊残りなく行うことができる。また、剥離にかかる時間が短縮されるため、生産効率を上げることができる。
上記粘着剤層が上記気体発生剤を含有する場合には、剥離工程において処理後のウエハに刺激を与えて上記気体発生剤から気体を発生させることによって、より容易にウエハから半導体保護テープを剥離することができる。
本発明によれば、表面に凹凸を有するウエハに高温処理を施す場合であっても、ウエハ処理工程時には充分なウエハ保護性能を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後には糊残りすることなくウエハから剥離できる半導体保護テープ、及び、ウエハの処理方法を提供することができる。
凹凸を有するウエハに半導体保護テープを中空状態で貼り付けた状態を説明する模式図である。 IRGACURE379の吸光スペクトルを用いて、最大吸収波長について説明する図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
(半導体保護テープの製造)
温度計、攪拌機、冷却管を備えた反応器を用意し、この反応器内に、2−エチルヘキシルアクリレート95重量部、アクリル酸2.5重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2.5重量部、ラウリルメルカプタン0.01重量部、酢酸エチル82重量部を加えた後、反応器を加熱して還流を開始した。続いて、上記反応器内に、重合開始剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン0.01重量部を添加し、還流下で重合を開始させた。次に、重合開始から4時間後にも、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンを0.01重量部ずつ添加し、更に、重合開始から4時間後にt−ヘキシルパーオキシピバレートを0.05重量部添加して重合反応を継続させた。そして、重合開始から8時間後に、固形分35重量%、重量平均分子量60万の官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液を得た。
得られた官能基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、官能基含有不飽和化合物として2−イソシアナトエチルメタクリレート8重量部を加えて反応させて光硬化型粘着剤を得た。
得られた光硬化型粘着剤の酢酸エチル溶液の樹脂固形分100重量部に対して、光重合開始剤(BASF JAPAN社製、DAROCUR TPO、最大吸収波長380nm)5重量部、可塑剤(根上工業社製、UN−5500)20重量部、及び、ポリイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、コロネートL−45)0.6重量部、を混合して粘着剤組成物の酢酸エチル溶液を調製した。
得られた粘着剤組成物の酢酸エチル溶液を、片面にコロナ処理を施した厚さ50μmの透明なポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムのコロナ処理面上に、乾燥皮膜の厚さが30μmとなるようにドクターナイフで塗工し、110℃、5分間加熱して塗工溶液を乾燥させた。その後、40℃、3日間静置養生を行い、半導体保護テープを得た。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
光重合開始剤を表1に記載のものに変更した以外は実施例1と同様にして半導体保護テープを製造した。
(比較例5)
基材層をポリエチレンテレフタレート(PET)に変更した以外は実施例1と同様にして半導体保護テープを製造した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた半導体保護テープを用いて下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(粘着剤層の反応率測定)
得られた半導体保護テープの、光照射前後におけるアクリロイル基由来のピークを、赤外分光装置(BIORAD社製、「FTS3000」)を用いて測定した。そして、測定したピークの変化量から粘着剤層の反応率を測定した。
(耐接着昂進性の評価)
得られた半導体保護テープを25mm幅の短冊状に裁断して試験片を作製した。この試験片をステンレス板に、粘着剤層がステンレス板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラーを一往復させることにより、試験片とステンレス板とを貼り合わせ、その後、23℃で24時間静置して試験サンプルを作製した。次いで、高圧水銀UV照射機を用いて、405nmの可視光を半導体保護テープ表面への照射強度が50mW/cmとなるよう照度を調節して10秒間照射して、試験サンプルを架橋、硬化させた。この試験サンプルを180℃のオーブンで2時間加熱し、23℃で24時間静置した後に、JIS Z0237に準じて、剥離速度300mm/分で90°方向の引張試験を行い、耐接着昂進性1(N/25mm)を測定した。また、上記試験サンプルを硬化した後、180℃のオーブンで2時間加熱する代わりに250℃のオーブンで10分間加熱した以外は、耐接着昂進性1と同様にして耐接着昂進性2を測定した。得られた測定値が0.1N/25mm未満の場合を「○」、0.1N/25mm以上の場合を「×」として評価した。
(ウエハの残渣付着性の評価)
半導体保護テープの粘着剤層側の面を、直径20cm、厚さ約750μmであって、高さ15μm、幅100μmの溝を有する回路が形成されたシリコンウエハに中空状態となるように貼り付けて積層体を得た。高圧水銀UV照射機を用いて、405nmの可視光を半導体保護テープ表面への照射強度が50mW/cmとなるよう照度を調節して10秒間照射して、試験サンプルを架橋、硬化させた。
得られた積層体のウエハに電極同士が対向するように他の半導体チップを重ね、その状態でリフロー炉に入れて、260℃、6分間の熱処理を合計3回行い、導電接続を行った。
熱処理工程後、めくるようにして半導体保護テープを剥離した。
また、半導体保護テープを剥離した後のウエハの表面を、電子顕微鏡を用いて1000倍の倍率で観察し、残渣の付着が認められなかった場合を「○」、残渣の付着が認められた場合を「×」として評価した。
(参考例1)
実施例1の半導体保護テープを、中空状態ではなく、粘着剤層がウエハの凹部の底部と接触するようにウエハに貼り付けて、ウエハの残渣付着性の評価を行った。
Figure 2017125093
基材層にポリエチレンナフタレートを用い、最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤を用いた実施例1〜4、比較例5、参考例1は光硬化が充分に進行していた。一方、基材層にポリエチレンナフタレートを用い、最大吸収波長が380nm未満である光重合開始剤を用いた比較例1〜4は、充分に光硬化しておらず、未硬化の粘着剤層が粘着昂進を起こした結果、剥離性に劣り、残渣も発生していた。基材層にポリエチレンテレフタレートを用いた比較例5では、高温処理に基材が耐え切れず、変形したことによって、半導体保護テープがウエハの凹凸に噛みこみ、処理後に剥離し難くなった。最大吸収波長が380nm以上である光重合開始剤を用いている場合であっても、中空状態で貼り付けていない参考例1は、光硬化によって粘着昂進は抑えられているものの、凹凸を有するウエハの全面に貼り付けたことによって残渣が発生した。
本発明によれば、表面に凹凸を有するウエハに高温処理を施す場合であっても、ウエハ処理工程時には充分なウエハ保護性能を維持し、かつ、ウエハ処理工程終了後には糊残りすることなくウエハから剥離できる半導体保護テープ、及び、ウエハの処理方法を提供する。
1 半導体保護テープ
11 基材層
12 粘着剤層
2 凹凸を有するウエハ
21 ウエハ表面に形成された凸部
22 ウエハ表面に形成された凹部

Claims (2)

  1. 半導体チップの製造において、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹凸が形成された面に貼付してウエハを保護する半導体保護テープであって、
    光硬化型粘着剤と、光重合開始剤とを含有する粘着剤層、及び、ポリエチレンナフタレートからなる基材層を有し、
    前記光重合開始剤は、0.01重量%のアセトニトリル溶液の状態で、セル長10mmの石英セルを用いて、200nm〜800nmの吸光度を測定した時に、吸光度が0.1以上となる最長の波長が380nm以上である
    ことを特徴とする半導体保護テープ。
  2. 光硬化型粘着剤と、光重合開始剤とを含有する粘着剤層、及び、ポリエチレンナフタレートからなる基材層を有し、前記光重合開始剤は、0.01重量%のアセトニトリル溶液の状態で、セル長10mmの石英セルを用いて、200nm〜800nmの吸光度を測定した時に、吸光度が0.1以上となる最長の波長が380nm以上である半導体保護テープを、表面に凹凸が形成されたウエハの該凹部が形成された面に、前記凹部の底部が接触しない状態で貼付する貼付工程と、
    前記半導体保護テープに光を照射して前記粘着剤層を硬化させる硬化工程と、
    前記半導体保護テープが貼付されたウエハに200℃以上の加熱処理又は発熱を伴う処理を施す熱処理工程と、
    前記熱処理工程後のウエハから、前記半導体保護テープを剥離する半導体保護テープ剥離工程を有する
    ことを特徴とするウエハの処理方法。
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