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JP2017116620A - クリーニングブレード及び画像形成装置 - Google Patents

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JP2017116620A JP2015249284A JP2015249284A JP2017116620A JP 2017116620 A JP2017116620 A JP 2017116620A JP 2015249284 A JP2015249284 A JP 2015249284A JP 2015249284 A JP2015249284 A JP 2015249284A JP 2017116620 A JP2017116620 A JP 2017116620A
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加藤 健
Takeshi Kato
健 加藤
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Abstract

【課題】像担持体の表面自由エネルギーγdに対するクリーニングブレードの表面自由エネルギーγbの比をγb/γd≧1とすることによって外添剤のすり抜けが発生することなく、安定した良好な印刷品質を長期間維持することができるようにする。
【解決手段】像担持体の表面に当接し、該像担持体の表面の現像剤を除去するクリーニングブレードであって、該クリーニングブレードの表面自由エネルギーをγbとし、前記像担持体の表面自由エネルギーをγdとしたとき、γb/γd≧1となるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、クリーニングブレード及び画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式のプリンタ、複写機、ファクシミリ機等の画像形成装置においては、帯電装置によって感光体ドラムの表面を均一に帯電させ、帯電した感光体ドラムの表面を露光装置によって露光して静電潜像を形成する。また、現像ローラの表面には現像剤としてのトナーが供給ローラによって供給され、現像ブレード等の規制部材により、前記現像ローラの表面に均一にトナーの薄層が形成される。そして、前記現像ローラの表面から感光体ドラムの表面にトナーが移動し、静電潜像にトナーが付着して現像が行われ、感光体ドラムの表面にトナー像が形成される。該トナー像は、転写ローラによって媒体としての用紙に転写される。
そして、トナー像が転写された用紙は定着装置に送られ、該定着装置においてトナー像が用紙に定着される。また、用紙に転写されずに感光体ドラムの表面に残留したトナーは、クリーニングブレードによって、感光体ドラムの表面から除去される。
しかし、近年、高画質化及び高速化を目的としてトナーの小粒径化や低融点化が図られてきており、このようなトナーに対してはクリーニングが困難である。すなわち、クリーニングブレードによって、感光体ドラムの表面に残留したこのようなトナーを除去することが困難になってきている。
そこで、このようなトナーに対してクリーニング性を維持するために、感光体ドラムの表面自由エネルギーをクリーニングブレードの表面自由エネルギーより大きくする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2003−195713号公報
しかしながら、前記従来の画像形成装置においては、感光体ドラムの表面に当接するクリーニングブレードの表面自由エネルギーを感光体ドラムの表面自由エネルギーより小さくしても、トナーが外添剤を多量に含むような場合、感光体ドラムの表面とクリーニングブレードの表面との間を外添剤がすり抜けてしまう。
本発明は、前記従来の問題点を解決して、像担持体の表面自由エネルギーγdに対するクリーニングブレードの表面自由エネルギーγbの比をγb/γd≧1とすることによって外添剤のすり抜けが発生することなく、安定した良好な印刷品質を長期間維持することができるクリーニングブレード及び画像形成装置を提供することを目的とする。
そのために、本発明のクリーニングブレードにおいては、像担持体の表面に当接し、該像担持体の表面の現像剤を除去するクリーニングブレードであって、該クリーニングブレードの表面自由エネルギーをγbとし、前記像担持体の表面自由エネルギーをγdとしたとき、γb/γd≧1となるようにする。
本発明によれば、クリーニングブレードは、その表面自由エネルギーγbの像担持体の表面自由エネルギーγdに対する比がγb/γd≧1となっている。これにより、外添剤のすり抜けが発生せず、安定した良好な印刷品質を長期間維持することができる。
本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態におけるクリーニングブレードと感光体ドラムとの関係を示す模式図である。 本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態におけるクリーニングブレードの先端と感光体ドラムの表面との接触状態を示す模式図であって、スティック−スリップ運動の説明図である。 本発明の第1の実施の形態におけるクリーニングブレード及び感光体ドラムの表面自由エネルギーの比と外添剤のすり抜けとの関係を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における帯電ローラに付着した外添剤の付着状態の評価結果を示す表である。 本発明の第2の実施の形態におけるクリーニングブレードへのトナー又は外添剤の固着状態の評価結果を示す表である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の構成を示す断面図、図2は本発明の第1の実施の形態における画像形成ユニットの構成を示す断面図である。
図において、10は本実施の形態における画像形成装置であり、例えば、プリンタ、ファクシミリ機、複写機、各種の機能を併せ持つ複合機等であるが、いかなる種類のものであってもよい。なお、本実施の形態においては、前記画像形成装置10がいわゆるタンデム方式のカラー電子写真式プリンタである場合について説明する。
この場合、画像形成装置10は、媒体としての記録用紙61の搬送経路64に沿ってタンデムに着脱可能に配設されたブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)の4色各々に対応する画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cを有する。また、前記画像形成装置10の内部には、前記画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cにそれぞれ対応するK、Y、M及びC転写ローラとしての転写ローラ20K、20Y、20M及び20Cと、記録用紙61の搬送を行う無端状のベルト部材としての搬送ベルト24と、該搬送ベルト24の回転に合わせて回転し、搬送ベルト24の張りを一定に保つために図示されないスプリングで支持された従動ローラ22及びベルト駆動ローラ23と、内部にハロゲンランプ等の発熱体を備え、記録用紙61を加熱及び加圧して記録用紙61に現像剤としてのトナーTの定着を行う定着ローラ26及び定着バックアップローラ27を含む定着器25とが配設されている。さらに、搬送ベルト24上に印刷されたパターンの濃度を読み取る現像剤量検出部としての濃度センサ32aが配設されている。
そして、前記画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像を印刷するための静電潜像を前記感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に形成する露光手段であるK、Y、M及びCヘッドとしてのLEDヘッド13K、13Y、13M及び13C、前記感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に電気を供給して帯電させる帯電器であるK、Y、M及びC帯電ローラとしての帯電ローラ15K、15Y、15M及び15C、現像剤としてのトナーTを静電潜像が形成された感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に搬送するK、Y、M及びC現像ローラとしての現像ローラ16K、16Y、16M及び16C、トナーTを収容する現像剤収容体としてのトナータンク17K、17Y、17M及び17C、前記現像ローラ16K、16Y、16M及び16C上のトナーTを規制してトナー薄層を形成する層形成部材としての現像ブレード18K、18Y、18M及び18C、前記現像ローラ16K、16Y、16M及び16CにトナーTを供給するK、Y、M及びCスポンジローラとしてのトナー供給用スポンジローラ19K、19Y、19M及び19C、並びに、前記感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面から残留トナーを除去するクリーニングブレード21K、21Y、21M及び21Cを有する。
なお、前記画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12C、LEDヘッド13K、13Y、13M及び13C、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14C、帯電ローラ15K、15Y、15M及び15C、現像ローラ16K、16Y、16M及び16C、現像ブレード18K、18Y、18M及び18C、トナー供給用スポンジローラ19K、19Y、19M及び19C、転写ローラ20K、20Y、20M及び20C、並びに、クリーニングブレード21K、21Y、21M及び21Cを統合的に説明する場合には、それぞれ、画像形成ユニット12、LEDヘッド13、感光体ドラム14、帯電ローラ15、現像ローラ16、現像ブレード18、トナー供給用スポンジローラ19、転写ローラ20及びクリーニングブレード21として説明する。
さらに、前記画像形成装置10の下部には、記録用紙61を収納する給紙カセット62と、該給紙カセット62内に積層されて収納された記録用紙61を1枚ずつ分離させて給紙するためのホッピングローラ63とが配設されている。記録用紙61はホッピングローラ63によって給紙された後、スキュー取りなどを行うレジストローラ対65a、65b及び搬送ローラ対66a、66bによって搬送経路64に沿って搬送され、さらに、搬送ベルト24によって各画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cを順次経由して搬送される。そして、記録用紙61が定着器25を通過する際に、記録用紙61上に転写されたトナーTは、加圧及び加熱によって定着される。最後に、定着器25から排出された記録用紙61は、搬送経路64に沿って搬送され、排出ローラ67によって排出されてスタッカ68上に堆積される。
なお、前記画像形成装置10は、各ローラ等を回転させるためのモータを備える。該モータには、後述されるように、ベルト駆動ローラ23を回転させるためのベルトモータ52と、定着ローラ26及び定着バックアップローラ27を回転させるための定着モータ28と、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cの各部を回転させるためのそれぞれ独立したKモータ36K、Yモータ36Y、Mモータ36M、Cモータ36Cと、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cを上下動させるためのIDアップダウンモータ66とが含まれる。
また、本実施の形態における感光体ドラム14は、円筒形状の導電性支持体と、該導電性支持体の表面に形成された感光層とを有している。前記導電性支持体は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料、導電性粉体(金属、カーボン、酸化錫等)を添加した樹脂材料等によって形成されるが、ここでは、金属材料(より具体的には、アルミニウム合金)で形成されているものとする。また、前記感光層は、光導電性材料をバインダ樹脂に溶解若しくは分散させた単層の感光層(単層型感光層)、又は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層である。なお、単層型感光層は正帯電性であり、積層型感光層は負帯電性である。本実施の形態における感光層は、積層型感光層であるものとする。
感光層が積層型感光層である場合、導電性支持体の表面と感光層との間に、下引き層が形成される。該下引き層は、金属酸化物(例えば、酸化チタン)等の粒子をバインダ樹脂に分散したものであり、接着性及びブロッキング性を向上するために設けられる。
前記感光体ドラム14は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、ブレードコーティング法等によって、導電性支持体の表面に、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層を順に形成することにより作成される。本実施の形態においては、浸漬コーティング法を用いる。該浸漬コーティング法では、まず、バインダ樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂等)を溶解した溶液中に金属酸化物粒子を分散した塗布液に、導電性支持体を浸漬(ディッピング)し、その後、該導電性支持体を塗布液から引き上げて乾燥することによって、導電性支持体の表面に下引き層を形成する。次いで、バインダ樹脂(例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等)を溶解した溶液中に電荷発生物質を分散した塗布液に、前記導電性支持体を浸漬し、その後、該導電性支持体を塗布液から引き上げて乾燥することによって、前記下引き層の表面に電荷発生層を形成する。次いで、バインダ樹脂を溶解した溶液中に電荷輸送物質を分散した塗布液に、前記導電性支持体を浸漬し、その後、該導電性支持体を塗布液から引き上げて乾燥することによって、前記電荷発生層の表面に電荷輸送層を形成する。ここでは、感光体ドラム14の外径が40〔mm〕であり、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の膜厚が30〔μm〕であるものとする。
図2に示されるように、クリーニングブレード21は、感光体ドラム14の回転方向に関して、転写ローラ20と帯電ローラ15との間に配置されている。前記クリーニングブレード21は、その先端部が感光体ドラム14の表面に押し当てられることで、感光体ドラム14の表面に残ったトナーT、すなわち、転写残トナーを掻き取るものである。前記クリーニングブレード21は、感光体ドラム14の軸方向に延在する長尺状の部材であり、ゴム(より具体的には、ウレタンゴム)等の弾性部材によって形成されている。
また、前記クリーニングブレード21は、ブレードホルダ29を介して、画像形成ユニット12の本体部に対して固定されている。なお、図2に示される例では、ブレードホルダ29は、水平に延在する水平部と、斜め下方に(感光体ドラム14の外周に向かって)傾斜する傾斜部とを有しているが、このような形状に限定されるものではなく、例えば、平板状の部材であってもよい。
なお、本実施の形態の画像形成装置10では、トナーTとして、非磁性一成分現像剤を用いる。前記トナーTは、例えば、重合トナーであり、平均粒径は、例えば、8〔μm〕である。前記トナーTは、少なくとも、樹脂及び着色剤を含有する母粒子と、該母粒子の表面に添加(外添)される外添剤とを有する。前記母粒子は乳化重合法によって製造される。前記外添剤の平均粒径は、5〜400〔nm〕である。また、母粒子100重量部に対する外添剤の添加量は、好ましくは、0.5〜8.0重量部、より好ましくは、1.5〜6.0重量部、さらに好ましくは、1.5〜5.0重量部である。
次に、前記クリーニングブレード21の先端と感光体ドラム14の表面との関係について詳細に説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態におけるクリーニングブレードと感光体ドラムとの関係を示す模式図である。なお、図において、(a)はクリーニングブレードと感光体ドラムの接平面との関係を示す図、(b)はクリーニングブレードの先端と感光体ドラムの表面との接触状態を示す拡大図である。
図に示されるように、クリーニングブレード21は、長手方向(感光体ドラム14の軸方向)に直交する面内において矩形形状の断面を有し、その先端における角部37(先端角部)が感光体ドラム14の表面に接触している。
クリーニングブレード21の感光体ドラム14に対するクリーニング角度θ1 は、例えば、10〜15度である。なお、クリーニング角度θ1 は、以下のようにして求める。
図3(a)に示されるように、感光体ドラム14とクリーニングブレード21との接点における感光体ドラム14の表面(接平面)の接線方向とクリーニングブレード21の母線方向とのなす角(初期設定圧接角)を、θ2 とする。また、クリーニングブレード21は、感光体ドラム14の表面に押し当てられることによって弾性変形するが、その変形開始点における接線方向とクリーニングブレード21の母線方向とのなす角(ブレード変位角)を、θ4 とする。そして、初期設定圧接角θ2 からブレード変位角θ4 を引いた値が、クリーニング角度θ1 (=θ2 −θ4 )である。
なお、クリーニングブレード21を感光体ドラム14の表面に押し当てる線圧W(押圧力)は、例えば、12〜24〔gf/cm〕である。
ここで、クリーニングブレード21のうち、ブレードホルダ29から感光体ドラム14に向けて突出する部分を自由端と称するが、該自由端の長さ、すなわち、自由端長をlとする。また、クリーニングブレード21の感光体ドラム14に対する押込み量をyとする。すると、ブレード変位角θ4 は、これら自由端長l及び押込み量yを用いて、以下の式(1)のように表すことができる。
Figure 2017116620
また、クリーニングブレード21の全長をb〔mm〕とし、肉厚をt〔mm〕とすると、クリーニングブレード21の断面2次モーメントIは、以下の式(2)のように表すことができる。
Figure 2017116620
さらに、クリーニングブレード21のヤング率をE〔gf/mm2 〕とすると、クリーニングブレード21を感光体ドラム14の表面に押し当てる線圧Wは、以下の式(3)のように表すことができる。
Figure 2017116620
ここでは、線圧Wが、例えば、12〜24〔gf/cm〕となるように、クリーニングブレード21のヤング率に基づき、自由端長l及び押込み量yが設定されている。なお、前述のクリーニングブレード21の変形開始点は、クリーニングブレード21の自由端の開始位置(すなわち、ブレードホルダ29からの突出開始位置)である。
図3(b)は、クリーニングブレード21の先端と感光体ドラム14との接触状態を模式的に示す図である。クリーニングブレード21は、その角部37が感光体ドラム14の表面に押し当てられることによって弾性変形し、ブレードニップ38を形成する。そして、感光体ドラム14が図3(b)の矢印R方向に回転すると、ブレードニップ38は感光体ドラム14の回転方向に変形して引き伸ばされ、弾性力によって元に戻るという動作(スティック−スリップ運動)を繰り返す。これにより、感光体ドラム14の表面に残留するトナーT等を弾くようにして掻き落とす。なお、スティック−スリップ運動については、後述する。
次に、前記画像形成装置10の制御システムの構成について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
図において、30は、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、入出力ポート、タイマ等を備え、上位装置から印刷データ及び制御コマンドを受信して画像形成装置10全体をシーケンス制御し、印刷動作を行う画像形成制御部である。
そして、41は、外部のコンピュータ等の上位装置と通信を行い、該上位装置へプリンタ情報を送信するとともに、上位装置から入力されたコマンドを解析し、上位装置から受信したデータを処理するI/F制御部である。
また、42は、上位装置から受信したデータを、前記I/F制御部41の制御に基づいて、色毎に格納する受信メモリである。
さらに、31aは、画像形成装置10の状態を表示するためのパネル部であり、31bは、画像形成装置10へ操作者からの指示を与えるためのスイッチを備える操作キー部である。
さらに、32は、各種センサであり、濃度測定用の濃度センサ32aの外に、図示されていないが、記録用紙61の搬送位置を検出する複数のセンサ等を含むものである。各種センサ32の出力は画像形成制御部30へ入力されている。
また、43は、I/F制御部41を介して上位装置から入力された印刷データを画データとして編集するための画データ編集メモリである。該画データ編集メモリ43は、受信メモリ42に一時的に格納された印刷データを受け取り、画像形成制御部30へ送信するために編集処理されたイメージデータを格納するメモリである。
44K、44Y、44M及び44Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応する帯電電圧制御部であり、画像形成制御部30の指示によってK、Y、M及びC帯電ローラとしての帯電ローラ15K、15Y、15M及び15Cの各々に電圧を印加し、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面を帯電させるための制御を行う。
45K、45Y、45M及び45Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応するヘッド制御部であり、画データ編集メモリ43に格納されたイメージデータに従ってK、Y、M及びCヘッドとしてのLEDヘッド13K、13Y、13M及び13Cの各々を作動させ、帯電された感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に光を照射して露光させるための制御を行うものである。
46K、46Y、46M及び46Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応する現像電圧制御部であり、画像形成制御部30の指示によってK、Y、M及びC現像ローラとしての現像ローラ16K、16Y、16M及び16Cの各々に電圧を印加し、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に形成された静電潜像にトナーTを付着させるための現像電圧制御を行う。
47K、47Y、47M及び47Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応する転写電圧制御部であり、画像形成制御部30の指示によってK、Y、M及びC転写ローラとしての転写ローラ20K、20Y、20M及び20Cの各々に電圧を印加し、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に形成されたトナー像を記録用紙61に転写するための転写電圧制御を行う。
48K、48Y、48M及び48Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応する画像形成駆動制御部であり、画像形成制御部30の指示によってKモータ36K、Yモータ36Y、Mモータ36M及びCモータ36Cの制御を行い、帯電ローラ15K、15Y、15M及び15C並びに現像ローラ16K、16Y、16M及び16Cの回転を制御する。
49は、記録用紙61に転写されたトナー像を定着させるための定着制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、定着器25に内蔵されたヒータへ電圧を印加するための制御を行う。また、定着器25の温度を測定するためのサーミスタ34からの検出温度を受けて、ヒータをオン・オフ制御する。そして、前記定着器25が所定温度に上昇したときに、定着モータ28を制御して定着ローラ26及び定着バックアップローラ27を回転させる。
51は、記録用紙61を搬送する搬送ベルト24を駆動するためのベルト駆動制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、搬送ベルト24を回転させるためのベルト駆動ローラ23を駆動するベルトモータ52の制御を行う。
53は、画像形成ユニット12K、12Y、12M及び12Cを上下動させるための画像形成ユニットアップダウン制御部であり、画像形成制御部30の指示を受けて、IDアップダウンモータ66の制御を行う。
54K、54Y、54M及び54Cは、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色に対応する供給電圧制御部であり、画像形成制御部30の指示によって、K、Y、M及びCスポンジローラとしてのトナー供給用スポンジローラ19K、19Y、19M及び19Cの各々に電圧を印加し、現像ローラ16K、16Y、16M及び16Cの表面に帯電したトナーTを供給させる。
次に、前記構成の画像形成装置10の動作について説明する。まず、印刷工程における動作について説明する。
印刷工程において、画像形成制御部30は、まず、帯電ローラ15K、15Y、15M及び15Cに帯電電圧を印加して感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面を一様に帯電させる。続いて、画像形成制御部30は、画データ編集メモリ43からのイメージデータに従ってLEDヘッド13K、13Y、13M及び13Cを発光させ、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に静電潜像パターンを形成する。続いて、画像形成制御部30は、表面にトナー薄層が形成された現像ローラ16K、16Y、16M及び16Cに現像電圧を印加して、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面上の静電潜像パターンを現像する。ここで、現像ブレード18K、18Y、18M及び18Cには、現像ローラ16K、16Y、16M及び16C上のトナー薄層中のトナーTの帯電量を所定の値とするための現像ブレード電圧が印加されている。
次に、画像形成制御部30は、転写ローラ20K、20Y、20M及び20Cに転写電圧を印加して、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面上のトナー像を、搬送ベルト24によって搬送される記録用紙61上へ転写させる。そして、該記録用紙61が定着器25に送り込まれると、記録用紙61上のトナー像は定着器25によって記録用紙61に定着される。
なお、記録用紙61上へ転写されなかったトナーTは、クリーニングブレード21K、21Y、21M及び21Cによって、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面から掻き落とされる。そして、掻き落とされたトナーTは、自重によって、図示されない廃トナー収容部内に落下する。該廃トナー収容部内のトナーTは、図示されない廃トナー収容ボックスに搬送される。
このような一連の動作によって、印刷動作が完了する。
ところで、この一連の動作において、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面は、現像ローラ16K、16Y、16M及び16C、搬送ベルト24、記録用紙61、クリーニングブレード21K、21Y、21M及び21C等と常に摩擦しながら接している。そして、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面上において、前記クリーニングブレード21K、21Y、21M及び21Cのスティック−スリップ運動が起こると、トナーTから外添剤(シリカ、帯電制御剤等)が剥離して感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に付着する。また、トナーTに含まれるワックスが溶け出して感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に付着したり、該感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面が傷付けられたり、感光体ドラム14K、14Y、14M及び14Cの表面に固着した外添剤のすり抜けが発生したりする。
次に、前述のスティック−スリップ運動について説明する。
図5は本発明の第1の実施の形態におけるクリーニングブレードの先端と感光体ドラムの表面との接触状態を示す模式図であって、スティック−スリップ運動の説明図である。なお、図において、(a)〜(c)はクリーニングブレードの先端角部の変形の各過程を示す図である。
図5(a)に示されるように、クリーニングブレード21の先端における角部37(先端角部)は、感光体ドラム14の表面に押し当てられることによって弾性変形し、ブレードニップ38を形成する。この状態で感光体ドラム14が回転すると、該感光体ドラム14は矢印の方向に移動し、図5(b)に示されるように、角部37が弾性的に変形して、感光体ドラム14の表面にスティック(stick)しているブレードニップ38、すなわち、スティック状態のブレードニップ38は、感光体ドラム14の移動方向に引き伸ばされる。
このように、ブレードニップ38が引き伸ばされ、角部37の変形が大きくなると、クリーニングブレード21の弾性力が大きくなる。そして、該弾性力の大きさが、感光体ドラム14の表面とブレードニップ38との間の静止摩擦力の大きさと釣り合うと、ブレードニップ38は、感光体ドラム14の表面に対して滑り始める、すなわち、スリップ(slip)状態になる。このとき、動摩擦係数が静止摩擦係数より小さいので、ブレードニップ38は、感光体ドラム14の表面上を滑りながら、図5(c)に示されるように、元の位置に復帰する。
ところで、感光体ドラム14の表面においてクリーニングブレード21によってせき止められていたトナーT、外添剤、紙粉等は、ブレードニップ38の近傍に静止領域(トナーTの場合は「トナー溜まり」と称される)を形成する。そして、図5(a)に示される状態から図5(b)に示される状態へ変化する際、すなわち、スティック運動の際には、ブレードニップ38及び静止領域に存在するトナーT、外添剤、紙粉等は、感光体ドラム14の表面の移動に伴って、移動する。しかし、図5(b)に示される状態から図5(c)に示される状態へ変化する際、すなわち、スリップ運動の際には、ブレードニップ38及び静止領域に存在するトナーT、外添剤、紙粉等は、ブレードニップ38の元の位置への復帰によって、感光体ドラム14の表面の移動に逆らい、元の位置に押し戻される。
このように、感光体ドラム14が回転するのに伴って、スティック−スリップ運動が発生すると、トナーT、外添剤、紙粉等は、静止領域において、感光体ドラム14とクリーニングブレード21のブレードニップ38との間で繰り返し摺擦される。そして、摺擦によってトナーTに含まれる外添剤が剥離してしまい、外添剤がすり抜ける。
また、高速化の要求が高まり画像形成装置10が高速になると、トナーTを短時間で帯電させるためにトナーTに含まれる外添剤量を増やす、すなわち、外添剤の重量を従来より多くすることによって帯電性の安定化が実現される。このように、画像形成装置10が高速になるとトナーTに含有される外添剤量の総量が増え、剥離する外添剤の量やクリーニングブレード21への外添剤の供給量が増加するために、外添剤のすり抜けを防止することがより困難となる。
そこで、本実施の形態においては、トナーT又は外添剤のすり抜けを防ぐために、クリーニングブレード21のトナーT又は外添剤を規制する力を感光体ドラム14へのトナーTの付着力より大きくする。すなわち、トナーT又は外添剤に対するクリーニングブレード21の付着力を、感光体ドラム14の付着力より大きくするために、クリーニングブレード21の表面自由エネルギーγbと、感光体ドラム14の表面自由エネルギーγdとの比が所定の値となるように規定する。
次に、クリーニングブレード21の表面自由エネルギーγbと感光体ドラム14の表面自由エネルギーγdとの比と外添剤のすり抜けとの関係について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態におけるクリーニングブレード及び感光体ドラムの表面自由エネルギーの比と外添剤のすり抜けとの関係を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における帯電ローラに付着した外添剤の付着状態の評価結果を示す表である。
本発明の発明者は、本実施の形態における効果を確認するために、図1に示されるような画像形成装置10と同様の構成の実機を使用し、前述のように画像形成装置10を動作させて、記録用紙61の縦方向印刷で所定枚数の連続印刷実験を行った。具体的には、画像形成装置10を低温低湿、室温環境、及び、高温高湿の各環境条件下に12〔h〕程度置いた後に、所定枚数の記録用紙61に連続印刷する実験を行った。高温高湿では温度が28〔℃〕、湿度が80〔%〕であり、低温低湿では温度が10〔℃〕、湿度が20〔%〕であり、室温環境では温度が22〔℃〕、湿度が55〔%〕である。
なお、画像形成装置10としては、株式会社沖データ製のモノクロ−プリンタB731を使用した。したがって、実験では、使用したトナーTはブラックトナーのみであり、ブラックに対応する画像形成ユニット12K及び該画像形成ユニット12Kが備える各部材のみが使用された。
そして、表面自由エネルギー(γb)の値が異なる複数のクリーニングブレード21Kをそれぞれ使用して所定枚数の記録用紙61に連続印刷した後に、帯電ローラ15K表面上の外添剤付着状態の判断が行われ、官能レベルによって3段階の評価が行われた。該評価の評価レベルは、図7に示されている。実験はクリーニングブレード21Kだけを変更して行われた。
また、表面自由エネルギーは、Zisman法によって算出された。この場合、表面張力が既知の3種類の溶媒として、水(H2 O)、ポリエチレングリコール(PEG)200、及び、ノルマルドデカンが使用された。各溶媒が感光体ドラム14K及びクリーニングブレード21Kの表面に滴下され、それぞれの接触角αが測定された。各溶媒の表面張力をX軸に採り、cosαをY軸に採り、各溶媒に対応する3つの点から得られる直線がY=1(α=0)と交わるときのX軸の値から、表面自由エネルギー(mN/m)が求められた。なお、前記接触角αの測定環境は、温度22〔℃〕、相対湿度50〔%〕であった。
そして、クリーニングブレード21K及び感光体ドラム14Kの表面自由エネルギーの比γb/γdと、評価レベルとの関係が図6に示されている。なお、図6においては、横軸にγb/γdを採り、縦軸に評価レベルを採っている。図6に示される結果から、γb/γdが1以上で、外添剤のすり抜け防止が良好であることが分かる。
ところで、表面自由エネルギーとは、表面を作成するのに要した仕事量である。固体の表面は分子間結合が切断された状態となっている。したがって、分子を切断するのに必要なエネルギーは表面に蓄積されている。
物質間では分子間力によって、分子が互いを引き合って凝縮しようとする。つまり、感光体ドラム14Kと、トナーT又はトナーTから剥離した外添剤とは引き付け合う。したがって、感光体ドラム14Kのγdが高いほど、表面に付着した粒子の付着力が強くなる。これは、クリーニングブレード21Kにおいても同様である。したがって、γbの値がγdの値に比べて高いほど、クリーニングブレード21による外添剤のすり抜け規制が容易となる。この原理に基づき、γb/γdが1以上では、外添剤のすり抜け防止が良好となる。
感光体ドラム14Kの表面自由エネルギーγdは、一例であるが、感光体ドラム14Kの最も外周側の層(電荷輸送層)を浸漬処理によって形成する際の乾燥時間を調整することにより、調整された。
また、クリーニングブレード21Kの表面自由エネルギーγbは、クリーニングブレード21Kの作成工程において、例えば、使用される硬化剤の配合比を変化させることによって、調整された。一例であるが、硬化剤のトリメチロールプロパン(TMP)の配合比を変化させることによって、クリーニングブレード21Kの表面自由エネルギーγbを調整することができる。これは、多官能アルコールを使用することで化学架橋が導入され、架橋強度が上がり、分子を切断するのに必要なエネルギーが大きくなるためである。すなわち、表面に蓄積されている表面自由エネルギーが高くなる。その他の方法として、硬化剤の配合比の変化以外でも、ゴム成形時の温湿度環境によって、損失弾性率E”をコントロールすることが可能である。加硫処理時の湿度が低いほど表面自由エネルギーが小さくなり、湿度が高いほど表面自由エネルギーが大きくなる。また、ポリエステル種を変えて作成しても、表面自由エネルギーのコントロールが可能である。例えば、長鎖ポリオールとしてエチレンアジペート(EA)、プチレンアジペート(BA)、ヘキサメチレンアジペート(BA)等を、単独で又は2種類以上混ぜて作成することによって、表面自由エネルギーをコントロールすることができる。
本発明の発明者は、このように、クリーニングブレード21Kのポリエステル種の配合や、硬化剤の配合比を調整したり、感光体ドラム14Kの最外周層を浸漬処理によって形成する際の乾燥時間を調整したりすることによって、γb/γdの値が異なるクリーニングブレード21K及び感光体ドラム14Kの組み合わせを得ることができた。しかし、調整には限界があり、γb/γdの値が5を超えるクリーニングブレード21K及び感光体ドラム14Kの組み合わせを得ることは難しかったので、今回は評価を行っていない。
外添剤のすり抜け防止のためには、γb/γdの値が大きいほどよいが、γb/γdの値が大きいと、トナーT又は外添剤がクリーニングブレード21Kに付着してしまう恐れもあり、また、γb/γd=1近傍では感光体ドラム14Kとクリーニングブレード21Kの付着力が均衡しているので、γb/γdの値は、好ましくは、1.05≦γb/γd≦3.5であり、より好ましくは、1.1≦γb/γd≦3.0である。
このように、本実施の形態においては、感光体ドラム14の表面自由エネルギーγdとクリーニングブレード21の表面自由エネルギーγbとの比を1≦γb/γd≦5とすることによって、外添剤のすり抜けが発生せず、安定した良好な印刷品質を長期間維持することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図8は本発明の第2の実施の形態におけるクリーニングブレードへのトナー又は外添剤の固着状態の評価結果を示す表である。
前記第1の実施の形態では、感光体ドラム14の表面自由エネルギーγdとクリーニングブレード21の表面自由エネルギーγbとの比を規定することによって、良好なクリーニング性を得るようになっている。しかし、クリーニングブレード21の損失弾性率E”の値を規定することによって、高品質な印刷を提供することも可能である。なお、損失弾性率とは、力学的エネルギーの損失を表し、一般的には、試料の柔軟性を示す指標である。
前記第1の実施の形態で説明したように、γb/γdの値が大きい場合、トナーT又は外添剤のクリーニングブレード21に対する付着力が強くなるため、クリーニングブレード21と感光体ドラム14との接触部、すなわち、ブレードニップ38に、多量のトナーT又は外添剤が付着した状態になりやすい。特に、外添剤が多いトナーTや円形度の高いトナーTを使用した場合、ダムのようにトナーT又は外添剤を塞き止める性能を有するクリーニングブレード21を使用する方が望ましいケースもある。つまり、スティック−スリップ運動が起きない、又は、スティック−スリップ運動が少ない場合が、前記ケースに該当する。そのようなケースの場合、クリーニングブレード21と感光体ドラム14の表面とが摺動しているために摩擦熱が発生するので、クリーニングブレード21にトナーT又は外添剤が付着したままの状態を放置すると、クリーニングブレード21にトナーT又は外添剤が固着する恐れがある。クリーニングブレード21にトナーT又は外添剤が固着してしまうと、クリーニングブレード21と感光体ドラム14の表面との間に微小な空隙が生じる可能性があり、これにより、外添剤のすり抜けが発生してしまう恐れがある。
そこで、本実施の形態では、感光体ドラム14に対するトナーTの付着力よりも、クリーニングブレード21に対するトナーTの付着力を強くした状態を維持しつつ、クリーニングブレード21へのトナーT又は外添剤の固着を防止するために、クリーニングブレード21の特性値である損失弾性率E”の値を規定する。
感光体ドラム14の表面の移動に伴うクリーニングブレード21の変位量を、スティック−スリップ距離L0 とする。該スティック−スリップ距離L0 は、マクスウエルモデルによって、以下の式(4)で表すことができる。
Figure 2017116620
損失弾性率E”は、粘性成分であり、以下の式(5)で表すことができる。
Figure 2017116620
ここで、ωは振動数を表し、η’は動的粘性率を表している。損失弾性率E”は、粘性成分であり、前記式(5)に示されるように、動的粘性率の関数である。
前記緩和時間τは、以下の式(6)で表すことができる。
Figure 2017116620
ここで、ηは粘性率であり、Eは弾性率である。
前記式(6)は、緩和時間τが長いほど、粘弾性特性において弾性よりも粘性の寄与が大きくなることを意味する。すなわち、緩和時間τが長いほど、弾性よりも粘性の寄与が大きくなり、したがって、前記式(5)に示されるように、動的粘性率の関数である損失弾性率E”が大きくなると考えられる。言い換えると、損失弾性率E”が大きいほど緩和時間τが長く、損失弾性率E”が小さいほど緩和時間τが短くなる関係にあると考えられる。そのため、前記式(4)より、損失弾性率E”が大きい(したがって、緩和時間τが長い)ほど、スリップ距離が長くなり、結果的に、スティック−スリップ距離L0 が長くなると考えることができる。
ところで、スティック状態にあるクリーニングブレード21のブレードニップ38がスリップ状態に移行する瞬間には、ブレードニップ38は最大にまで引き伸ばされている。そして、スリップ状態に移行すると、ブレードニップ38は感光体ドラム14の回転方向とは逆方向に動く。このように、クリーニングブレード21のブレードニップ38と感光体ドラム14の表面とが互いに反対方向に動くので、クリーニングブレード21に付着したトナーT又は外添剤は感光体ドラム14によって掻き落とされる。なお、掻き落とされたトナーTは、自重によって、前記廃トナー収容部内に落下する。
本発明の発明者は、本実施の形態における効果を確認するために、前記第1の実施の形態と同様に、実験を行った。なお、実験の条件については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。そして、損失弾性率E”の値が異なる複数のクリーニングブレード21Kをそれぞれ使用して所定枚数の記録用紙61に連続印刷した後に、クリーニングブレード21KへのトナーT又は外添剤の固着状態の判断が行われ、官能レベルによって2段階の評価が行われた。該評価の結果は、図8に示されている。なお、実験はクリーニングブレード21Kだけを変更して行われた。また、クリーニングブレード21K及び感光体ドラム14Kの表面自由エネルギーの比γb/γdは、すべての場合において、1を超えている、すなわち、γb/γd>1となっている。
クリーニングブレード21Kの損失弾性率E”は、日立ハイテクノロジーズ株式会社製の「粘弾性測定装置DMS6100」を使用して測定された。測定は、温度100〔℃〕、周波数10〔Hz〕で行った。また、昇温速度は2〔℃/min〕とした。なお、クリーニングブレード21Kの損失弾性率E”は、−30〔℃〕から+150〔℃〕の温度範囲で測定されたが、ここでは、温度100〔℃〕での測定値が採用されている。
図8に示される結果から、温度100〔℃〕、周波数10〔Hz〕でのクリーニングブレード21Kの損失弾性率E”の値が3.00×104 〔Pa〕以上であれば、クリーニングブレード21Kの表面にトナーT又は外添剤の固着が生じないことが分かる。また、クリーニングブレード21Kの損失弾性率E”は、前記第1の実施の形態で説明したように、ウレタンゴムの加硫処理時の湿度によって調整しているが、湿度を低下させることによる調整には限界があり、損失弾性率E”が2.61×105 〔Pa〕を超えるクリーニングブレード21Kを得ることは難しかったので、今回は評価を行っていない。
このように、本実施の形態においては、1≦γb/γd≦5で温度100〔℃〕、周波数10〔Hz〕でのクリーニングブレード21の損失弾性率E”を3.00×104 〜2.61×105 〔Pa〕の範囲とすることによって、クリーニングブレード21へのトナーT又は外添剤の固着を防ぐことが可能となり、安定したクリーニング性能を維持することができる。
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、カラー電子写真式プリンタを例に挙げて説明を行ったが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子写真方式を採用しているファクシミリ機、複写機、プリンタ、MFP(複合型プリンタ:Multi Function Printer)等にも適用することができる。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、クリーニングブレード及び画像形成装置に利用することができる。
10 画像形成装置
14K、14Y、14M、14C 感光体ドラム
21、21K、21Y、21M、21C クリーニングブレード

Claims (9)

  1. 像担持体の表面に当接し、該像担持体の表面の現像剤を除去するクリーニングブレードであって、
    該クリーニングブレードの表面自由エネルギーをγbとし、前記像担持体の表面自由エネルギーをγdとしたとき、
    γb/γd≧1
    であることを特徴とするクリーニングブレード。
  2. 前記クリーニングブレードの損失弾性率をE”としたとき、
    E”≧3.00×104 〔Pa〕
    である請求項1に記載のクリーニングブレード。
  3. 前記E”は、温度100〔℃〕、周波数10〔Hz〕での測定値である請求項2に記載のクリーニングブレード。
  4. 前記現像剤は、樹脂及び着色剤を含む母粒子と該母粒子に添加された外添剤とを有する非磁性一成分現像剤であって、前記外添剤の平均粒径が5〜400〔nm〕であり、前記母粒子100重量部に対する前記外添剤の添加量が0.5〜8.0重量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
  5. 前記クリーニングブレードは、その母線方向と前記像担持体の表面の接線方向とのなす角から前記クリーニングブレードの変位角を引いた値であるクリーニング角度が10〜15度となるように配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
  6. 前記クリーニングブレードが前記像担持体の表面に押し当てる線圧は12〜24〔gf/cm〕である請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリーニングブレード。
  7. 1.05≦γb/γd≦3.5である請求項1に記載のクリーニングブレード。
  8. 1.1≦γb/γd≦3.0である請求項7に記載のクリーニングブレード。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のクリーニングブレードを備える画像形成装置。
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