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JP2017116026A - 滑り機構付回転軸及びモータ - Google Patents

滑り機構付回転軸及びモータ Download PDF

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JP2017116026A
JP2017116026A JP2015253744A JP2015253744A JP2017116026A JP 2017116026 A JP2017116026 A JP 2017116026A JP 2015253744 A JP2015253744 A JP 2015253744A JP 2015253744 A JP2015253744 A JP 2015253744A JP 2017116026 A JP2017116026 A JP 2017116026A
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washer
shaft
rotating shaft
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inner hole
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JP2015253744A
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橋本 幹夫
Mikio Hashimoto
橋本  幹夫
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CI Kasei Co Ltd
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CI Kasei Co Ltd
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Abstract

【課題】回転軸のDカット加工を不要にし、滑りトルクを安定させることができる滑り機構付回転軸を提供する。
【解決手段】軸本体25、段部27、支軸部29が段階的に小径で断面円形に形成される回転軸23と、軸本体環状端面31に着座し、内穴35に半径方向外側に凹む3つ以上の凹部が配置される第1ワッシャ15と、塑性変形部41を第1ワッシャ15の内穴の穴周縁に当接するとともに、凹部37に食い込ませた第1カシメ部17と、支軸部29に回転自在となるとともに、挿通方向先端側の側面を第1ワッシャ15に接触させる回転伝達部材47と、回転伝達部材の挿通方向後端側の側面に接し、内穴35に半径方向外側に凹む3つ以上の凹部が配置される第2ワッシャ19と、塑性変形部41を第2ワッシャ19の内穴の穴周縁に当接するとともに、凹部に食い込ませて回転伝達部材を第1ワッシャ15へ押圧する第2カシメ部21と、を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、滑り機構付回転軸及びモータに関する。
例えばエアコンの吹き出し口に設けられるルーバー(風向調節羽根)や、洗浄器付トイレの洗浄ノズル、冷蔵庫内に設けられるバルブなど、数百グラムのみの駆動力を必要とする駆動源として、小径のステッピングモータが用いられる。ステッピングモータは、ルーバー等を往復運動させ動作終点で駆動力が発生してもその動きを規制した場合、ロータピニオンを有する回転子が脱調することでその動きが規制され動作点をリセットできる。このため、センサや保護回路などを必要とせず、安価に構成できるメリットがある。
このような用途のステッピングモータには、動作終端位置において、動作対象が停止し、モータが空回りするように駆動力の伝達を切断するクラッチが備えられる。このクラッチとしては、歯車と板バネとを組み合わせた摩擦滑り機構が用いられる(例えば特許文献1参照)。
図10に示すように、この摩擦滑り機構は、出力軸501と回転伝達部材である歯車503との間に、バネ性を有する一対のワッシャ505を介在させることで構成される。出力軸501は、Dカットが2面施され、平行な平坦面507を2つ備え、ダブルDカットと称する形状に成形される。この形状と同じ形状の穴509を有する上記のワッシャ505を2枚使用して歯車503を挟む。一対のワッシャ505は、ダブルDカットによって、出力軸501に対し相対回転不能に固定され、出力軸501に対し空転自在となった歯車503に対して摩擦力を発生させる。すなわち、2枚のワッシャ505で歯車503の両面を押さえる。
2枚のワッシャ505のうち1枚(図中上側のワッシャ505)は、軸線方向にカシメ固定が行われて、塑性変形部511による所定の圧力が軸線に沿う方向に加えられて、同時に出力軸501から抜け止めされる。なお、従来、図中下側のワッシャ505はカシメられていない。この圧力による撓みで歯車503の両側面に対してワッシャ505が所定の摩擦力を付与している。摩擦力は、歯車503と出力軸501との回転伝達を行い、モータの出力軸501としての回転駆動力を出力可能とする。
歯車503は、外部から何らかの力がかかることがある。例えば、いたずらでエアコンルーバーを動かす、何かに引っ掛かる、などである。また、エアコンの製造組立時、ルーバーの初期位置は、手作業で設定している。このようにして回転が規制された際、摩擦滑り機構は、ワッシャ505との摩擦力を超えた時点で滑りを起こし、出力軸501に対して歯車503が回転する。つまり、回転伝達を絶つ。これにより、過剰な回転負荷が加わることによる歯車503やモータの破損が防止されている。
特開平11−129725号公報
しかしながら、細径の出力軸501において、ダブルDカットの加工は精度が要求されて手間がかかる。また、ダブルDカットの出力軸501に対するカシメは、円周方向に分断された2箇所となる。このため、塑性変形部511が均等に変形しにくく、歯車503に対し円周方向に均等な摩擦力を付与できない場合がある。その結果、クラッチとして機能するトルクの値が変動し、品質にばらつきが生じやすくなった。これに加え、出力軸501を円周方向に2箇所でカシメた場合、歯車503の外形が変形し、凹凸となる場合があり、ワッシャ505との摩擦状態が周方向で一様に得られず、摩擦力を安定して発生することができないことから、回転伝達が不安定となり、また、他の歯車との噛合状態とも不安定となることもあった。従来では、上記のようなばらつきの発生が前提であったため、全数のチェックを行い、滑りトルクの大きさでの選別作業が必要であった。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、回転軸のDカット加工を不要にし、滑りトルクを安定させることができる滑り機構付回転軸及びモータを提供することにある。
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の滑り機構付回転軸11は、軸本体25から先端に向かって、前記軸本体25よりも小径で断面円形の段部27と前記段部27よりも小径で断面円形の支軸部29とが同軸で形成される回転軸23と、
内穴35を前記段部27の段部外径部33に外嵌するとともに、前記段部27の軸本体環状端面31に着座し、前記内穴35に半径方向外側に凹む少なくとも3つ以上の凹部37が放射状に配置される第1ワッシャ15と、
前記段部外径部33の端面周縁39を前記軸本体25へ向かって変形させて拡径した塑性変形部41を前記第1ワッシャ15の内穴35の穴周縁43に当接するとともに、前記凹部37に食い込ませた第1カシメ部17と、
前記支軸部29に軸穴49を挿通し前記回転軸23に回転自在となるとともに、軸線に直交する平行な一対の側面の側面周縁51より内側に、軸線に沿う方向に凹ませたワッシャ変位許容凹部53を有し、挿通方向先端側の前記側面を前記第1ワッシャ15に接触させる回転伝達部材47と、
内穴35を前記支軸部29に外嵌するとともに、前記回転伝達部材47の挿通方向後端側の前記側面に接し、前記内穴35に半径方向外側に凹む少なくとも3つ以上の凹部37が放射状に配置される第2ワッシャ19と、
前記支軸部29の支軸部端面周縁61を前記回転伝達部材47へ向かって変形させて拡径した塑性変形部41を前記第2ワッシャ19の内穴35の穴周縁43に当接するとともに、前記凹部37に食い込ませて前記回転伝達部材47を前記第1ワッシャ15へ押圧する方向の予圧を付与する第2カシメ部21と、
を具備することを特徴とする。
この滑り機構付回転軸11では、回転軸23に、従来のDカット加工を施す必要がなくなる。これにより、回転軸23が、安価、かつ、高精度に製造可能となる。また、第1ワッシャ15及び第2ワッシャ19は、第1カシメ部17、第2カシメ部21により、塑性変形部41が凹部37に進入するように押し込まれて、回転軸23との相対回転が規制される。第1ワッシャ15及び第2ワッシャ19は、穴周縁43が全周に渡って均一に、押圧固定される。第2カシメ部21は、穴周縁43が塑性変形部41に押圧されることで、穴周縁43がワッシャ変位許容凹部53に沈み込んですり鉢状に撓む。これにより生じた弾性復元力は、回転伝達部材47を介して反対側の第1ワッシャ15の外周縁63を押圧する。その結果、回転伝達部材47は、両方の第1ワッシャ15、第2ワッシャ19から均等な押圧力で挟まれ、すなわち回転方向に所定の摩擦力が得られる。
本発明の請求項2記載の滑り機構付回転軸11は、請求項1記載の滑り機構付回転軸11であって、
前記回転伝達部材が歯車47であることを特徴とする。
この滑り機構付回転軸11では、複数の歯車列77を有する回転動力伝達機構に、歯車47を噛合させて組み込むことが可能となる。この場合、滑り機構付回転軸11は、回転軸が、出力軸23または入力軸のいずれであってもよく、いずれにおいても所定の回転トルクにおいて回転伝達動力を遮断するクラッチを構成することができる。
本発明の請求項3記載のモータは、請求項1または2記載の滑り機構付回転軸11を出力軸23として備えたことを特徴とする。
このモータでは、回転動力伝達機構に、滑り機構付回転軸11が組み込まれることで、被駆動体、例えばエアコンのルーバー等から回転過負荷や、回転衝撃が加えられても、滑り機構付回転軸11が空転する。これにより、モータの駆動軸からの回転力と、被駆動体からの回転力が拮抗することによる回転動力伝達機構内の部材に印加される過大な応力が回避される。
本発明に係る請求項1記載の滑り機構付回転軸によれば、回転軸のDカット加工を不要にし、滑りトルクを安定させることができる。また、安定した滑りトルクを備える回転軸をばらつきなく製造でき、全数チェックなどの工程を減らすことが可能となって、コストの削減を実現できる。
すなわち、従来では、クラッチとして機能するワッシャと歯車との滑りトルクが、モータの発生トルクより小さいと、モータの動きを規制した時に、クラッチ部分の滑りトルクがモータのトルクに負け、歯車が回転し、クラッチ部分の接触面の耐久性が低下してしまうが、本発明では、クラッチとなる回転伝達部材とワッシャとの滑り開始トルクのばらつきが小さくなって、ステッピングモータを構成した場合にトルクの設定を高めに設定することが可能となり、トルク性能に関して有利となる
本発明に係る請求項2記載の滑り機構付回転軸によれば、許容以上の回転負荷が確実に遮断でき、歯車の耐久性を高め、歯の破損等を防止できる。
本発明に係る請求項3記載のモータによれば、回転伝達部材から出力される発生トルクを安定させることができるとともに、モータに内蔵される内部歯車等を保護することができる。
本発明の実施形態に係る滑り機構付回転軸の一部分を切り欠いた側面図である。 図1のB−B断面図である。 図1に示した滑り機構付回転軸の要部分解斜視図である。 (a)は図1に示した滑り機構付回転軸の分解側面図、(b)は回転伝達部材の平面図、(c)は第1ワッシャの平面図である。 第1ワッシャのカシメ工程を(a)〜(f)で表した手順説明図である。 回転伝達部材の装着から第2ワッシャのカシメ工程までを(a)〜(C)で表した手順説明図である。 モータに組み込まれた滑り機構付回転軸の正面図である。 図7に示したモータの一部分を切り欠いた側面図である。 穴周縁に設けられる凹部の変形例を(a)〜(d)で表したワッシャの平面図である。 (a)は従来の滑り機構付回転軸の分解斜視図、(b)は組立状態の回転伝達部材部分を切り欠いた断面図、(c)はカシメ部の平面図である。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
なお、以下の実施形態において、発明に係る滑り機構付回転軸11は、エアコンのルーバーを駆動するステッピングモータ13(図7参照)の構成部品を例示して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る滑り機構付回転軸の一部分を切り欠いた側面図である。
本実施形態に係る滑り機構付回転軸11は、回転軸23と、第1ワッシャ15と、第1カシメ部17と、回転伝達部材47と、第2ワッシャ19と、第2カシメ部21と、を主要な構成として有する。
本実施形態において、回転軸は、ステッピングモータ13の出力軸23となる。出力軸23は、軸本体25から先端に向かって軸本体25よりも小径の段部27(図4参照)と、段部27よりも小径の支軸部29とが同軸で形成される。軸本体25は、段部側の端面が軸本体環状端面31となる。軸本体環状端面31からは、段部外径部33が連接される。出力軸23は、カシメ加工が容易な例えば軟鉄を素材に形成される。
図2は図1のB−B断面図である。
第1ワッシャ15は、金属材料からなる。第1ワッシャ15は、形状に関して第2ワッシャ19と同一となる。従って、図2では第2ワッシャ19を例示する。第1ワッシャ15は、内穴35を段部27の段部外径部33に外嵌する。図1に示したように、第1ワッシャ15は、段部27の軸本体環状端面31に着座する。第1ワッシャ15の内穴35には、半径方向外側に凹む少なくとも3つ以上の凹部37が放射状に配置される。本実施形態では、この凹部37を含めた内穴形状が、例えばJIS B 1602で規定されるインボリュートセレーションとなる。
第1カシメ部17は、段部外径部33の端面周縁39(図4参照)を、軸本体25へ向かって変形させて拡径した塑性変形部41を有する。塑性変形部41は、外観として円形のフランジ状に形成される。従って、塑性変形部41は、内穴35の穴周縁43を、全周に渡って均等に環状となって覆う。また、塑性変形部41は、穴周縁43に当接するとともに、カシメによる塑性変形でインボリュートセレーションのそれぞれの凹部37に食い込む。凹部37に進入した塑性変形部41は、回転規制凸部45となる。従って、第1ワッシャ15は、塑性変形部41と軸本体環状端面31とによって挟持状態となり軸線方向に移動不能に固定されるとともに、塑性変形部41からそれぞれの凹部37に膨出した回転規制凸部45により出力軸23との相対回転が規制される。
図3は図1に示した滑り機構付回転軸の要部分解斜視図である。
回転伝達部材は、本実施形態において、歯車47である。歯車47は、支軸部29に軸穴49を挿通し出力軸23に回転自在となる。歯車47は、軸線に直交する平行な一対の側面(図中上下面)の側面周縁51より内側に軸線に沿う方向に凹ませたワッシャ変位許容凹部53を有する。
本実施形態において、歯車47は、両側のワッシャ変位許容凹部53に、環状摩擦接触部55、環状摩擦接触部57がそれぞれ同軸で形成される。環状摩擦接触部55及び環状摩擦接触部57は、いずれもワッシャ変位許容凹部53の底部から突出して形成される。歯車47は、これら環状摩擦接触部55及び環状摩擦接触部57を介して第1ワッシャ15、第2ワッシャ19と摺接する。
なお、より詳細には、歯車47の両側には、側面周縁51に沿って周壁59が立設される。歯車47は、この周壁59の内側に、第1ワッシャ15、第2ワッシャ19の外径側を収容する。歯車47は、出力軸23に対する組立過程において、挿通方向先端側の側面(図中下面)が先ず第1ワッシャ15に接触する。その後、出力軸23に装着される第2ワッシャ19に、挿通方向後端側の側面(図中上面)が接触する。
図4(a)は図1に示した滑り機構付回転軸の分解側面図、(b)は回転伝達部材の平面図、(c)はワッシャの平面図である。
第2ワッシャ19は、上記のように形状に関しては第1ワッシャ15と同一である。第2ワッシャ19が段部外径部33に外嵌されたのに対し、第2ワッシャ19は、内穴35を支軸部29に外嵌する。これにより、第2ワッシャ19は、歯車47の挿通方向後端側の側面(環状摩擦接触部57)に接する。
第2カシメ部21は、支軸部29の支軸部端面周縁61を歯車47へ向かって変形させて拡径した塑性変形部41を有する。第2カシメ部21は、塑性変形部41が第2ワッシャ19の内穴35の穴周縁43に当接する。従って、塑性変形部41は、内穴35の穴周縁43を、全周に渡って均等に覆う。また、塑性変形部41は、穴周縁43に当接するとともに、インボリュートセレーションのそれぞれの凹部37に食い込む。凹部37に進入した塑性変形部41は、回転規制凸部45となる。従って、第2ワッシャ19は、塑性変形部41と歯車47とによって軸線方向に移動不能に固定されるとともに、塑性変形部41からそれぞれの凹部37に膨出した回転規制凸部45により出力軸23との相対回転が規制される。
第2カシメ部21は、第2ワッシャ19の穴周縁43を押圧することで、歯車47を第1ワッシャ15へ押圧する方向の予圧を付与する。この予圧の付与により、第2ワッシャ19は、外周縁部に対して穴周縁43が歯車47側に接近した略すり鉢状に弾性変形される。従って、第2ワッシャ19には、弾性復元力が内部応力として蓄積される。この応力は、歯車47を介して第1ワッシャ15にも作用する。この応力が外周縁63(図1参照)に作用した第1ワッシャ15は、穴周縁43が軸本体環状端面31から反力を受ける。これにより、第1ワッシャ15は、逆すり鉢状に弾性変形する方向に力を受けて、軸本体環状端面31と歯車47とに挟持状態になる。
滑り機構付回転軸11は、これら第1ワッシャ15及び第2ワッシャ19の弾性変形により歯車47に荷重を付与する。
T=出力歯車のすべりトルクは、
T=FμL・・・(式1)
で表すことができる。
ここで、
F:ワッシャによる発生荷重
μ:歯車とワッシャの摩擦係数
L:ワッシャと歯車47の接触点までの半径
である。
上記式(1)の外部トルクで歯車47はすべることになる。
また、カシメによる出力軸23と第1ワッシャ15または第2ワッシャ19との固定部分の負荷は、曲げ応力σとして、
σ=M/Z・・・(式2)
で表すことができる。
ここで、
σ:曲げ応力
M:曲げモーメントF×L
Z:断面係数bh2 /6
b:カシメ部根元の長さ
h:カシメ部厚さ
である。
式(2)よりカシメ部の強度は根元寸法に比例する。
すなわち、ダブルDカットで構成される従来の出力軸501の場合、直径を2.5mm、Dカット幅を2mmとすれば、円周部分が出力軸501の軸芯に対して74°の角度範囲であり、円周部寸法は、
L=π×D×148÷360=3.23mm
となる。
そして本実施形態の出力軸23では、直径を上記従来品と同じ2.5mmとすれば、
円周部寸法が、
L=π×D=7.85mm
となり、カシメ部の強度として、従来品の約2.4倍となる。
このため、カシメ時のカシメ部の金属バックラッシュの量は、逆に1/2.4となり、特に第2ワッシャのカシメ位置のばらつきが減り、第2ワッシャの摩擦力が安定するとともに、カシメ部の強度が増加したことにより、より大きく第2ワッシャを変形させる、すなわち本実施形態では、すり鉢状に変形させることができ、従来品より高いモータトルクにも対応可能となる。
次に、滑り機構付回転軸11の組立手順を説明する。
図5は第1ワッシャのカシメ工程を(a)〜(f)で表した手順説明図である。
滑り機構付回転軸11を組み立てるには、先ず、図5(a)に示すように、第1ワッシャ15が支軸部29側から挿入される。挿入された第1ワッシャ15は、図5(b)に示すように、軸本体環状端面31に着座する。図5(d)に示すように、支軸部29の外径と略同一内径の支軸部挿通穴65を有するカシメ治具67を支軸部29に外挿する。これにより、図5(e)に示すように、段部外径部33の端面周縁39を第1ワッシャ側に押し潰し、上記の塑性変形部41を有した第1カシメ部17を形成する。図5(c)に示すカシメ前には空間であった第1ワッシャ15の各凹部37には、カシメ後には、図5(f)に示すように、回転規制凸部45がそれぞれ食い込む。
図6は回転伝達部材の装着から第2ワッシャのカシメ工程までを(a)〜(c)で表した手順説明図である。
次いで、図6(a)に示すように、支軸部29に歯車47を挿通する。その上に、図6(b)に示すように、内穴35を支軸部29に挿通して第2ワッシャ19を装着する。最後に、図6(c)に示すように、支軸部29の外形よりも小径の内径の支軸部カシメ穴69を有するカシメ治具71により支軸部29の支軸部29の支軸部端面周縁61を第2ワッシャ19側に押し潰し、上記の塑性変形部41を有した第2カシメ部21を形成する(図1参照)。カシメ前には空間であった第2ワッシャ19の各凹部37には、カシメ後には、回転規制凸部45がそれぞれ食い込む。これにより、図1に示した滑り機構付回転軸11の組立が完了する。
図7はモータに組み込まれた滑り機構付回転軸の正面図、図8は図7に示したモータの一部分を切り欠いた側面図である。
このようにして組み立てられた滑り機構付回転軸11は、ステッピングモータ13の出力軸23として設けられる。この出力軸23とロータポスト73のピニオン75との間には歯車列77が設けられる。ステッピングモータ13は、歯車47、歯車列77が樹脂材からなる。ピニオン75の回転駆動力は、歯車列77に伝わり、出力軸23から出力される。この出力軸23は、上記したようなエアコンにおけるルーバーに連結される。
図9は穴周縁に設けられる凹部の変形例を(a)〜(d)で表したワッシャの平面図である。
上記構成例では、第1ワッシャ15及び第2ワッシャ19の内穴35に、凹部37を設けるためのインボリュートセレーションを形成したが、凹部37は、この他の手段により形成されてもよい。
例えば凹部37は、図9(a)に示す半円状凹部79で形成することができる。すなわち、ボールスプラインの形状のような穴である。ここで、凹部37(半円状凹部79)は、第1ワッシャ15及び第2ワッシャ19の内穴35に、半径方向外側に凹む少なくとも3つ以上とし、各凹部37(半円状凹部79)が放射状に配置されると上述したが、各凹部37(半円状凹部79)は互いに等間隔の配置位置が好ましいが、これら凹部37(半円状凹部79)は、各凹部37(半円状凹部79)を結ぶ多角形となる形状が面として構成され、且つこの面をなす形状の内側に回転軸23の軸芯の位置を配置させ、さらに好ましくは各凹部37(半円状凹部79)にて形成される多角形状の重心と回転軸23の軸芯を略一致させて、すなわち、カシメ時に変形する端面周縁39と支軸部端面周縁61が回転軸23の軸芯に対して偏ることなく各塑性変形部41を形成させるものとする。
また、図9(b)に示すように、凹部37は、六角穴の各入り隅81としてもよい。
さらに、図9(c)に示すように、凹部37は、矩形状凹部83を複数形成してもよい。すなわち、角形スプラインの形状のような穴である。
また、凹部37は、図9(d)に示すように、三角状凹部85を星形に複数形成してもよい。すなわち、三角山セレーションのような穴である。
いずれの形状においても、カシメ時によって形成される塑性変形部41によって、第1ワッシャ15、第2ワッシャ19は、軸線方向に移動不能に固定されるとともに、塑性変形部41からそれぞれの半円状凹部79、入り隅81、矩形状凹部83、三角状凹部85に膨出した回転規制凸部45により出力軸23との相対回転が規制される。
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る滑り機構付回転軸11では、出力軸23に、従来のDカット加工を施す必要がなくなる。これにより、出力軸23が、安価に製造可能となり、かつ、高精度に製造可能となる。
また、第1ワッシャ15が軸本体環状端面31に着座した状態で、段部外径部33の端面周縁39の円周方向全周が連続して軸本体25へ向かって塑性変形される。つまり、カシメられる。塑性変形部41は、拡径してフランジ状となり、第1ワッシャ15の内穴35の穴周縁43に無端環状に当接する。これにより、第1ワッシャ15は、内穴35の穴周縁43が、塑性変形部41と軸本体環状端面31とに挟持されて軸線方向の移動が規制される。同時に塑性変形部41は、第1ワッシャ15に接する面側の一部分が、凹部37に進入するように塑性変形されて押し込まれ回転規制凸部45となる。従って、出力軸23と第1ワッシャ15とは、この回転規制凸部45によって相対回転が規制されることとなる。これにより、第1ワッシャ15は、穴周縁43が全周に渡って均一に、軸本体環状端面31に押圧固定される。
同様に、第2ワッシャ19は、歯車47の側面周縁51に当接した状態で、支軸部29の支軸部端面周縁61の円周方向全周が連続して歯車47へ向かって塑性変形される。塑性変形部41は、拡径してフランジ状となり、第2ワッシャ19の内穴35の穴周縁43に無端環状に当接する。これにより、第2ワッシャ19は、内穴35の穴周縁43が、塑性変形部41に押圧され、軸線方向の移動が規制される。同時に塑性変形部41は、第2ワッシャ19に接する面側の一部分が、凹部37に進入するように塑性変形されて押し込まれ回転規制凸部45となる。従って、出力軸23と第2ワッシャ19とは、この回転規制凸部45によって相対回転が規制されることとなる。これにより、第2ワッシャ19は、穴周縁43が全周に渡って均一に、支軸部29に固定される。
第2カシメ部21は、穴周縁43が塑性変形部41に押圧されることで、穴周縁43がワッシャ変位許容凹部53に沈み込んで略すり鉢状に撓む。これにより生じた弾性復元力は、第2ワッシャ19を、歯車47の側面周縁51に押圧する。この押圧力は、歯車47を介して反対側の第1ワッシャ15の外周縁63を押圧する。第1ワッシャ15は、外周縁63が押圧されることで、外周縁63が軸本体25側へ撓む力が掛かる。つまり、歯車47は、両方の第1ワッシャ15、第2ワッシャ19から略均等な押圧力で挟まれることとなる。従って、歯車47は、両側の側面周縁51での第1ワッシャ15及び第2ワッシャ19に生じる摩擦力が周方向に連続して均等となる。
これにより、仕様によっては滑りトルクの選別作業を不要とすることが可能となる。また、選別作業が必要な仕様においても歩留まりが大きく改善されステッピングモータ13としてのコスト低減が可能となる。
また、本構成例では、従来と異なり第1ワッシャ15が出力軸23に対して相対回転不能に確実に固定される。従来構造においても下側ワッシャは、Dカット加工により相対回転は規制されていたが、より積極的なカシメ固定は行われていなかった。そのため、下側ワッシャは、僅かではあるが出力軸23と相対回転するスリップの生じることがある。このようなスリップが片側のワッシャに生じれば、歯車47の両側面での摩擦力が瞬間的に異なるものとなる。その結果、回転トルクの伝達が不安定となる。これに対し、本構成では、一対の第1ワッシャ15及び第1ワッシャ15が共に出力軸23に軸線に沿う方向で固定されるので、相対回転が確実に阻止され、歯車47の両側面での摩擦力が常に等しくなって、安定した回転トルクの伝達が可能となる。
また、滑り機構付回転軸11は、複数の歯車列77を有する回転動力伝達機構に、歯車47を噛合させて組み込むことが可能となる。この場合、滑り機構付回転軸11は、回転軸が、出力軸23または入力軸のいずれであってもよく、いずれにおいても所定の回転トルクにおいて回転伝達動力を遮断するクラッチを構成することができる。その結果、許容以上の回転負荷が確実に遮断でき、歯車47の耐久性を高め、破損を防止できる。
本実施形態に係るステッピングモータ13では、回転動力伝達機構に、滑り機構付回転軸11が組み込まれることで、被駆動体、例えばエアコンのルーバーから回転過負荷や、回転衝撃が加えられても、滑り機構付回転軸11が空転する。これにより、ステッピングモータ13の駆動軸からの回転力と、被駆動体からの回転力が拮抗することによる回転動力伝達機構内の部材に印加される過大な応力が回避される。
従って、本実施形態に係る滑り機構付回転軸11によれば、出力軸23のDカット加工を不要にでき、また、Dカット加工によるカシメの円周方向の分断状態を周方向に連続した環状としてカシメ強度を向上させ、さらに、歯車47に対して円周方向に均等な摩擦力を付与できて滑りトルクを安定させることができる。
本実施形態に係るステッピングモータ13によれば、歯車47から出力される発生トルクを安定させることができるとともに、回転過負荷など外部からの力に対し、所定のトルクで空転することができ、ステッピングモータ13に内蔵される内部歯車等の破損を防ぐことができる。
なお、上述した実施形態では、回転伝達部材を歯車47とした例を示したが、この回転伝達部材は、回転軸23に対して回転の伝達と切断を行う部材であれば他の構成としてもよく、例えばカム機構を構成するカム板や、リンクなどを構成するリンク部材として構成してもよい。すなわち、カム板やリンク部材に形成される軸穴の側面周縁に、第1ワッシャ15、第2ワッシャ19が当接し、これら第1ワッシャ15と第2ワッシャ19とが回転軸23に対してカシメ加工にて固定される構成とされる。
また、上述した実施形態では、滑り機構付回転軸11をステッピングモータに組み込むこととして説明したが、この滑り機構付回転軸11としては、アクチュエータの出力軸として構成することとしてもよい。
11…滑り機構付回転軸
13…モータ(ステッピングモータ)
15…第1ワッシャ
17…第1カシメ部
19…第2ワッシャ
21…第2カシメ部
23…回転軸(出力軸)
25…軸本体
27…段部
29…支軸部
31…軸本体環状端面
33…段部外径部
35…内穴
37…凹部
39…端面周縁
41…塑性変形部
43…穴周縁
47…回転伝達部材(歯車)
49…軸穴
51…側面周縁
53…ワッシャ変位許容凹部
61…支軸部端面周縁

Claims (3)

  1. 軸本体から先端に向かって、前記軸本体よりも小径で断面円形の段部と前記段部よりも小径で断面円形の支軸部とが同軸で形成される回転軸と、
    内穴を前記段部の段部外径部に外嵌するとともに、前記段部の軸本体環状端面に着座し、前記内穴に半径方向外側に凹む少なくとも3つ以上の凹部が放射状に配置される第1ワッシャと、
    前記段部外径部の端面周縁を前記軸本体へ向かって変形させて拡径した塑性変形部を前記第1ワッシャの内穴の穴周縁に当接するとともに、前記凹部に食い込ませた第1カシメ部と、
    前記支軸部に軸穴を挿通し前記回転軸に回転自在となるとともに、軸線に直交する平行な一対の側面の側面周縁より内側に、軸線に沿う方向に凹ませたワッシャ変位許容凹部を有し、挿通方向先端側の前記側面を前記第1ワッシャに接触させる回転伝達部材と、
    内穴を前記支軸部に外嵌するとともに、前記回転伝達部材の挿通方向後端側の前記側面に接し、前記内穴に半径方向外側に凹む少なくとも3つ以上の凹部が放射状に配置される第2ワッシャと、
    前記支軸部の支軸部端面周縁を前記回転伝達部材へ向かって変形させて拡径した塑性変形部を前記第2ワッシャの内穴の穴周縁に当接するとともに、前記凹部に食い込ませて前記回転伝達部材を前記第1ワッシャへ押圧する方向の予圧を付与する第2カシメ部と、
    を具備することを特徴とする滑り機構付回転軸。
  2. 請求項1記載の滑り機構付回転軸であって、
    前記回転伝達部材が歯車であることを特徴とする滑り機構付回転軸。
  3. 請求項1または2記載の滑り機構付回転軸を出力軸として備えたことを特徴とするモータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021081024A (ja) * 2019-11-21 2021-05-27 日本電産サンキョー株式会社 フリクションドライブ機構およびギヤードモータ
CN113531004A (zh) * 2021-07-30 2021-10-22 脉冲电子(东莞)有限公司 过载保护机构及具有其的减速电机
WO2022014256A1 (ja) * 2020-07-14 2022-01-20 Kyb株式会社 変速機付モータ

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