JP2017106057A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで磁束密度:B8の値は鉄損特性の最大の支配因子であり、このB8が高いほど鉄損特性は良好になる。そして特許文献1〜10には、当該B8を高めるための技術が開示されている。
これらの技術は熱間圧延工程において再結晶を促進して結晶粒を微細化させる技術を開示したものである。熱間圧延板の微細結晶粒組織はその後も継承され、冷間圧延前の結晶粒界から核発生する{111}<112>が増加したものと考えられる。
そして本発明らは、上記事情に鑑み、更に研究を進めた結果、{411}/{111}集合組織を増加させるために、熱間圧延後の結晶方位を制御する方法を検討した。その結果、本発明者らは、熱間圧延工程の仕上げ熱間圧延の条件を最適化してCube系を含むαファイバー(<011>(圧延方向に平行)):以下Cube系方位と称する)を強化すると、脱炭焼鈍工程後の一次再結晶集合組織{111}/{411}の比が減少するという知見を得た。その機構は必ずしも明確でないが、本願発明者らは次のように考えている。熱間圧延板でCube系方位を強化すると、その影響は焼鈍をしても継承され冷間圧延工程前においてもCube系方位が増加する。{411}方位は冷間圧延前のCube系方位の粒内から再結晶するので一次再結晶後の{411}方位を増加させ、集合組織{111}/{411}の比を低下させることができる。そして、本発明者らは、集合組織{111}/{411}の比を低下させることにより、方向性電磁鋼板の磁束密度を効果的に向上させることを見出し、本発明を完成させるに至った。
T1=10062/(2.72−log([Al]×[N]))−273
T2=14855/(6.82−log([Mn]×[S]))−273
T3=10733/(4.08−log([Mn]×[Se]))−273
ここで、[Al]、[N]、[Mn]、[S]、[Se]は、それぞれ酸可溶性Al、N、Mn、S、Seの含有量である。
T4=43091/(25.09−log([Cu]×[Cu]×[S]))−273
ここで、[Cu]は、Cuの含有量である。
T2=14855/(6.82−log([Mn]×[S]))−273
T3=10733/(4.08−log([Mn]×[Se]))−273
ここで、[Al]、[N]、[Mn]、[S]、[Se]は、それぞれ酸可溶性Al、N、Mn、S、Seの含有量である。
T4=43091/(25.09−log([Cu]×[Cu]×[S]))−273
を満たす。ここで、[Cu]は、Cuの含有量である。
これにより、{100}を増加させ、再結晶を抑制する。
ここで仕上げ圧延における最終パスの圧延率は25%以上であることが好ましく、より好ましくは30%以上である。
巻き取り温度は400℃以上であることが好ましい。巻き取り温度が400℃より低いと巻き取りがし難くなる虞がある。
また、熱間圧延後に巻き取り温度にまで冷却する際には、できるだけ早く冷却を開始することが好ましい。好ましくは熱間仕上げ圧延の最終パス終了後の2秒以内、より好ましくは1秒以内である。
また、仕上げ圧延累積圧延率が90%以上の高圧延率域では、圧延によって形成されるCube系方位を高度に発達させることができる。
従って、熱間圧延工程の条件を最適化することで、仕上げ圧延中の再結晶化が抑制されることにより、集合組織のランダム化が抑制され、さらに、累積圧延率をたかめることにより、圧延による加工集合組織であるCube系方位が強化される。それによって、熱間圧延鋼板の中心層I{100}の集合組織が調整された(例えば、I{100}が10以上(I{100}≧10))熱間圧延鋼板が得られる。
その後、得られた熱間圧延鋼板を、二段階の焼鈍工程を施す。焼鈍工程における一段目の焼鈍によって、再結晶させて粒内の転移を除去して粒内/粒界の差異を明確にする。続く、二段目の焼鈍によって、ラメラ間隔を増大させる。この焼鈍を行っても熱間圧延で行ったCube系方位が強化は継承される。冷間圧延前の焼鈍板が、Cube系方位の強化したラメラ間隔の広い結晶組織となるので、Cube系方位粒内(ラメラ間隔内)から核発生する{411}粒は増加し、粒界およびラメラ近傍から核発生する{111}粒は減少する。その結果、脱炭焼鈍後の一次再結晶集合組織は、それにより、{111}/{411}比が減少する。これにより、尖鋭な{110}<001>方位が二次再結晶により発達して製品の磁束密度が効果的に向上すると推測される。
本発明の珪素鋼素材は、質量%で、0.8%≦Si≦7.0%、C≦0.085%、0.010%≦酸可溶性Al≦0.065%、N≦0.075%、0.02%≦Mn≦0.2%、0.003%≦S+0.406×Se≦0.05%を含有し、残部としてFeおよび不純物元素からなる。
また、本発明の珪素鋼素材は、必要に応じて、質量%で、Cr≦0.30%、P≦0.50%、Sn≦0.3%、Sb≦0.3%、Ni≦1%、Mo≦0.1%、Ti≦0.015%、及びBi≦0.01%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
以下、珪素鋼素材の成分の限定理由について説明する。
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低下させる。しかし、Si含有量が7.0質量%を超えていると、冷間圧延が極めて困難となり、冷間圧延時に割れが生じやすくなる。このため、Si含有量は7.0質量%以下とし、好ましくは4.5質量%以下であり、より好ましくは4.0質量%以下である。また、Si含有量が0.8質量%未満であると、仕上げ焼鈍時に変態が生じ、方向性電磁鋼板の結晶方位が損なわれてしまう。このため、Si含有量は0.8質量%以上とし、好ましくは2.0質量%以上であり、より好ましくは2.5質量%以上である。
Cは、一次再結晶組織の制御に有効な元素であるが、磁気特性に悪影響を及ぼす。このため、仕上げ焼鈍前に脱炭焼鈍を行う。Cの含有量が0.085質量%より多いと、脱炭焼鈍時間が長くなり、工業生産における生産性が損なわれてしまう。これらのことから、Cの含有量は、0.070質量%以下であることが好ましい。下限値としては、特に限定されないが、0.020質量%以上であることがよく、0.050質量%以上であることが好ましい。
酸可溶性Alは、Nと結合して(Al、Si)Nとして析出し、インヒビターとして機能する。酸可溶性Alの含有量が0.010質量%〜0.065質量%の範囲内にある場合に二次再結晶が安定する。このため、酸可溶性Alの含有量は0.010質量%〜0.065質量%とする。また、酸可溶性Alの含有量は0.020質量%以上であることが好ましく、0.025質量%以上であることが更に好ましい。また、酸可溶性Alの含有量は0.040質量%以下であることが好ましく、0.030質量%以下であることが更に好ましい。
Nは、Alと結合してインヒビターとして機能する。N含有量が0.0075質量%を超えていると、冷間圧延時に鋼板中にブリスターとよばれる空孔が生じる。このため、N含有量は0.0075質量%以下とする。
Mn、S及びSeは、MnS及びMnSeを生成し、複合析出物がインヒビターとして機能する。Mn含有量が0.02質量%〜0.20質量%の範囲内にある場合に、二次再結晶が安定する。このため、Mn含有量は、0.02質量%〜0.20質量%とする。また、Mn含有量は、0.08質量%以上であることが好ましく、0.09質量%以上であることが更に好ましい。また、Mn含有量は0.50質量%以下であることが好ましい。
S及びSeの含有量は、S+0.406×Seで求められるSeqが、0.003質量%〜0.05質量%の範囲内にある場合に、二次再結晶が安定する。このため、Seqの含有量は0.003質量%〜0.05質量%とする。なお、S又はSeのいずれかのみが珪素鋼素材に含有されていてもよく、S及びSeの双方が含有されていてもよい。
その他、珪素鋼素材は、上記成分に加えて、必要に応じて、質量%で、Cr≦0.30%、P≦0.50%、Sn≦0.30%、Sb≦0.30%、Ni≦1.0%、Mo≦0.10%、Ti≦0.015%、及びBi≦0.01%からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
残部はFeおよび不純物元素である。不純物元素とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。
上記の成分組成を有する珪素鋼素材は、例えば、次のようにして得られる。上記の成分組成を有する鋼を転炉または電気炉等により溶製して溶鋼を得る。溶鋼は、必要に応じて真空脱ガス処理される。その後、溶鋼は、連続鋳造、または造塊後分塊圧延され、珪素鋼素材が得られる。
珪素鋼素材の厚みは、例えば、150mm〜350mmであることがよく、220mm〜280mmであることが好ましい。また、珪素鋼素材の厚みは、30mm〜70mmの範囲である薄い珪素鋼素材(いわゆる薄スラブ)であってもよい。薄スラブを用いる場合は、熱間圧延工程において、仕上げ圧延前の粗圧延を省略できる。
熱間圧延工程は、後に説明する条件にて加熱された珪素鋼素材の熱間圧延を行い、熱間圧延鋼板を得る工程である。熱間圧延工程では、例えば、加熱された珪素鋼素材の粗圧延を行った後、仕上げ圧延を行って所定厚みの熱間圧延鋼板とする。仕上げ圧延終了後、熱間圧延鋼板を所定の温度で巻き取る。
熱間圧延に先だって行われるスラブ加熱は次のようなものである。すなわち、本発明においては、スラブ加熱温度は1350℃以下として、高温スラブ加熱の諸問題(専用の加熱炉が必要であり、また、溶融スケール量が多い等の問題)を回避する。また、本発明ではスラブ加熱の下限温度はインヒビター(AlN、MnS、およびMnSeなど)が完全溶体化する必要がある。そのために、スラブ加熱温度を、下記式で表される温度T1、T2、およびT3(℃)のいずれの温度以上とするとともに、インヒビター構成元素量を制御する必要がある。AlとNの含有量に関しては、下記式T1が1350℃以下となるようにする必要がある。同様に、MnとSの含有量、またMnとSeの含有量に関しては、それぞれ下記式のT2、T3、さらにCuを含有した場合には、CuとSの含有量に関しては、下記式のT4を満足する必要がある。
T1=10062/(2.72−log([Al]×[N]))−273
T2=14855/(6.82−log([Mn]×[S]))−273
T3=10733/(4.08−log([Mn]×[Se]))−273
T4=43091/(25.09−log([Cu]×[Cu]×[S]))−273
ここで、[Al]、[N]、[Mn]、[S]、[Se]、[Cu]は、それぞれ酸可溶性Al、N、Mn、S、Se、Cuの含有量(質量%)である。
仕上げ圧延は、複数の圧延機を短間隔で配列(タンデム圧延機)することによって、再結晶および回復の影響を回避して圧延時の歪を加算的に付与して、最終的に所定の累積圧延率になるように、パススケジュールを設定(例えば、高速連続圧延によって4回〜10回のパス)して行えばよい。
仕上げ圧延を行う開始温度を990℃以下とすることで、再結晶・回復を回避して歪を効果的に蓄積させることができ、最終製品の磁束密度が向上する。仕上げ圧延を行う開始温度は、好ましくは930℃以下、より好ましくは900℃以下である。仕上げ圧延を開始する温度の下限はとくに限定されない。仕上げ圧延開始温度が低すぎる場合、鋼板が硬くなり仕上げ圧延が困難になって、生産性が低下することがある。したがって、温度域の下限は、990℃以下の範囲で、生産性を考慮して設定すればよい。温度域の下限としては、設備の圧延能力に依存するが、例えば、800℃以上とすればよい。
また、仕上げ圧延の最終パス圧延率は、25%以上であることがよい。好ましくは30%以上である。
仕上げ圧延を終了した後、700℃以下の温度で熱間圧延鋼板を巻き取る。つまり、巻き取り温度は700℃以下である。巻き取り温度は600℃以下とすることが好ましい。巻き取り温度を700℃以下とすることで、効果的に磁束密度が向上する。
巻取り温度の下限は特に限定されない。巻取り温度が低すぎる場合、巻取りを開始するまでの時間が長くなって生産性が低下することがある。また、巻取り温度が低すぎる場合、熱間圧延鋼板が硬くなり巻き取り形状の保持が困難となる。したがって、これらの点を考慮して巻取り温度の下限としては、例えば、400℃以上とすることがよい。
なお、I{100}の具体的な測定方法は、以下のようにして行う。すなわち、熱間圧延後の試料の片面を表層から中心層まで研削・研磨し、その面をX線デイフラクトメータによる逆極点図測定を行う。試料の200回折X線強度とランダム試料の200回折強度を測定し、その比を算出する。
焼鈍工程は、熱間圧延工程で得た熱間圧延鋼板を焼鈍して、焼鈍鋼板を得る工程である。まず、一段目の焼鈍において、熱間圧延鋼板を1000℃〜1150℃の温度域まで加熱して再結晶させる。このとき、一段目の焼鈍では、熱間圧延工程で強化されたαファイバー(Cube系)組織の粒内から再結晶される。
次に、二段目の焼鈍において、一段目の焼鈍温度よりも低い温度である850℃〜1100℃の温度域で焼鈍し、焼鈍後の焼鈍鋼板の粒組織において、ラメラ間隔を20μm以上に調整する。より好ましい条件としては、一段目の焼鈍温度は1050℃〜1125℃の温度域であり、二段目の焼鈍温度は850℃〜950℃の温度域である。
昇温速度、及び焼鈍時間の上限は特に限定されないが、例えば、昇温速度は、鋼板の幅方向の温度を均一化する観点から40℃/秒以下、焼鈍時間は、生産性の観点から100秒以下で行うことがよい。
焼鈍時間、及び冷却速度の上限は特に限定されないが、例えば、焼鈍時間は、生産性の観点から100秒以下、冷却速度は設備に依存するが鋼板の幅方向の温度を均一化する観点等から、50℃/秒以下で行うことがよい。
なお、ラメラ間隔の距離の測定方法としては、次のように行う。すなわち、焼鈍試料の圧延に平行な断面の金属組織を顕微鏡観察し、線分法により板厚方向に平行な直線とラメラ(粒界および旧γ相)の交点の数を測定し、その数を基にラメラ間隔を算出する(JIS G 0551)。
冷間圧延工程は、焼鈍工程で得た焼鈍鋼板を、1回の冷間圧延、又は焼鈍(中間焼鈍)を介して複数回(2回以上)の冷間圧延により冷間圧延鋼板を得る工程である。
冷間圧延工程の操作は、製品の特性とコストとに応じて選択すればよい。
冷間圧延工程において、最終の冷間圧延における圧延率(最終冷間圧延率)は80%以上とすることが好ましい。最終冷間圧延率は、より好ましくは90%以上である。最終冷間圧延率の上限は特に限定されないが、生産性や圧延機の性能等の点から、95%以下であることがよい。最終冷間圧延率が上記範囲であると、{411}や{111}等の一次再結晶方位を発達させる点で好ましい。
脱炭焼鈍工程は、冷間圧延工程で得た冷間圧延鋼板に脱炭焼鈍を行い、一次再結晶が生じた脱炭焼鈍鋼板を得る工程である。冷間圧延鋼板に脱炭焼鈍を行うことで、冷間圧延鋼板中に含まれるCが除去される。脱炭焼鈍は、冷間圧延鋼板中に含有する「C」を除去するために、湿潤雰囲気中で行うことが好ましい。
脱炭焼鈍において、鋼板の温度が550℃〜720℃の範囲にある間、冷間圧延鋼板を加熱する方法は特に限定するものではない。方向性電磁鋼板のキュリー点が、550℃程度であり、加熱が必要な温度範囲の上限が720℃である。そのため、冷間圧延鋼板を加熱する方法としては、昇温過程における鋼板の温度が550℃から720℃にある間、誘導加熱装置による誘導加熱が好ましい。
また、脱炭焼鈍を行う際に、鋼板の酸素量を2.3g/m2以下とすると同時に、一次再結晶粒径が15μm以上となるようにすることにより、二次再結晶がより安定して発現され、さらに優れた方向性電磁鋼板を製造することができる。
窒化処理は、脱炭処理の開始から、仕上げ焼鈍における二次再結晶開始までの間に、鋼板の窒素量を増加させる処理である。
窒化処理としては、例えば、脱炭焼鈍に引き続いて、アンモニア等の窒化能のあるガスを含有する雰囲気中で焼鈍する処理、MnN等の窒化能のある粉末を含む焼鈍分離剤を塗布した脱炭焼鈍鋼板を仕上げ焼鈍する処理等が挙げられる。
脱炭焼鈍を行う際の昇温速度を高めた場合に、二次再結晶をより安定的に行わせるためには、(Al,Si)Nの組成比率を調整することが望ましい。また、窒化処理後の鋼板中の窒素量としては、鋼板中のAl量:[Al]に対する窒素量:[N]の比、すなわち[N]/[Al]が、質量比として14/27以上、望ましくは2/3以上となるようにするとよい。
鈍分離剤塗布工程は、脱炭焼鈍鋼板に焼鈍分離剤を塗布する工程である。焼鈍分離剤としては、例えば、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を用いることができる。
仕上げ焼鈍工程は、焼鈍分離剤が塗布された脱炭焼鈍鋼板に仕上げ焼鈍を施し、二次再結晶を生じさせる工程である。具体的には、仕上げ焼鈍工程では、二次再結晶によって、{100}<001>方位粒を優先成長させる。
珪素鋼素材の加熱後、複数回のパスで粗圧延を施す。その後、仕上げ圧延を表2に示す種々の条件で行い、次いで、表2に示す種々の温度で熱間圧延鋼板を巻き取る。なお、仕上げ圧延の温度は、開始から終了までの間、仕上げ開始温度よりも高くならない条件で行う。
その後、冷間圧延鋼板を830℃の温度で脱炭焼鈍を行って一次再結晶を生じさせる。
Claims (7)
- 質量%で、Si:0.8%〜7%、C:0.085%以下、酸可溶性Al:0.010%〜0.065%、N:0.0075%以下、Mn:0.02%〜0.20%、Seq=S+0.406×Se:0.003%〜0.05%を含有する珪素鋼素材を、下記式で表される温度T1(℃)、T2(℃)、およびT3(℃)のいずれの温度以上、1350℃以下の温度で加熱した後に熱間圧延し、熱間圧延鋼板を得る工程と、
前記熱間圧延鋼板を熱延板焼鈍して焼鈍鋼板を得る工程と、
前記焼鈍鋼板を一回の冷間圧延または焼鈍を介して複数の冷間圧延を施して冷間圧延鋼板を得る工程と、
前記冷間圧延鋼板を脱炭焼鈍して一次再結晶が生じた脱炭焼鈍鋼板を得る工程と、
前記脱炭焼鈍鋼板に焼鈍分離剤を塗布して、仕上げ焼鈍を施し二次再結晶を生じさせる工程と、
前記脱炭焼鈍の開始から仕上げ焼鈍における二次再結晶開始までの間に鋼板の窒素量を増加させる窒化処理を行う工程と、を有し、
前記熱間圧延を行って熱間圧延鋼板を得る工程は、仕上げ圧延を990℃以下の温度域で90%以上の累積圧延率、及び700℃以下の温度域で巻きとることによって熱延板の中心層の{100}集合組織を調整し、
前記焼鈍鋼板を得る工程では、前記熱間圧延鋼板の焼鈍を、1000℃〜1150℃の範囲内の温度にまで加熱して再結晶させた後、それより低い850℃〜1100℃の温度で焼鈍する二段階の工程で行い、焼鈍後の粒組織におけるラメラ間隔を20μm以上に調整する、方向性電磁鋼板の製造方法。
T1=10062/(2.72−log([Al]×[N]))−273
T2=14855/(6.82−log([Mn]×[S]))−273
T3=10733/(4.08−log([Mn]×[Se]))−273
ここで、[Al]、[N]、[Mn]、[S]、[Se]は、それぞれ酸可溶性Al、N、Mn、S、Seの含有量である。
- 前記珪素鋼素材が、さらに、質量%で、Cu:0.01%〜0.30%含有し、下記のT4(℃)以上の温度で加熱した後に熱間圧延することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
T4=43091/(25.09−log([Cu]×[Cu]×[S]))−273
ここで、[Cu]は、Cuの含有量である。 - 前記熱間圧延鋼板を得る工程では、仕上げ圧延終了温度を960℃以下とする請求項1または請求項2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記脱炭焼鈍鋼板を得る工程では、その昇温過程において、鋼板温度が550℃から720℃にある間を40℃/秒以上の加熱速度で加熱する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記加熱を誘導加熱装置によって行う請求項4に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記珪素鋼素材が、さらに、質量%で、Cr:0.3%以下、P:0.5%以下、Sn:0.3%以下、Sb:0.3%以下、Ni:1%以下、Mo:0.1%以下、Ti≦0.015%、Bi:0.01%以下の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
- 前記熱間圧延工程において、前記熱間圧延鋼板の中心層の{100}集合組織をI{100}≧10に調整する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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