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JP2017190405A - ポリアミド樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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JP2017190405A JP2016080964A JP2016080964A JP2017190405A JP 2017190405 A JP2017190405 A JP 2017190405A JP 2016080964 A JP2016080964 A JP 2016080964A JP 2016080964 A JP2016080964 A JP 2016080964A JP 2017190405 A JP2017190405 A JP 2017190405A
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和範 寺田
佐久間 照章
Teruaki Sakuma
照章 佐久間
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Abstract

【課題】耐熱エージング性に優れ、金属腐食性が効果的に抑制され、かつ銅析出性についても抑制されたポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド樹脂と、
(B)銅化合物と、
(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物であって、
前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が、(a−1)少なくともアミノ基末端及びカルボキシル基末端を有しており、アミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂である、ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性(機械的強度、剛性や耐衝撃性等)、靭性、耐熱性、耐薬品性、耐薬品性を有することから、従来から、衣料、産業資材、自動車、電気・電子、その他の工業といった様々な産業分野で利用されている。
特に、ポリアミド樹脂は、他の樹脂に比して耐熱エージング性に優れているため、自動車エンジンルーム内等の、非常に大きな熱を帯びる箇所の部品用の材料として好適に用いられている。
最近では、自動車エンジンルーム内の部品の高密度化、及びエンジン出力の増加に伴い、自動車エンジンルーム内の環境温度がますます高くなっているため、従来存在するレベルを有意に超えるような、優れた耐熱エージング性を長期間維持可能な特性がポリアミド樹脂に求められている。
従来、ポリアミド樹脂の耐熱エージング性を向上させる技術として、銅化合物(銅の酸化物又は塩)とハロゲン化合物を添加する技術が知られている。
前記ハロゲン化合物の中でも、ヨウ素化合物を添加することが一般的であり、ポリアミド樹脂、銅化合物、ヨウ素化合物、及び脂肪族カルボン酸誘導体を含有するポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ヨウ素は地中より採掘される資源であり、効率的に採掘できる地域が限られていることから、ヨウ素化合物は近年価格が高騰してきており、ヨウ素化合物を用いると、コスト高を招来するという問題を有している。
一方で、臭素は海水等から採取できる資源であるため、非常に安価であり、ヨウ素に比べて産業上有用な資源である。そのため、ポリアミド樹脂の耐熱エージング性を向上させるために、ヨウ素化合物の代わりに臭素化合物を添加する技術も開示されている(例えば、特許文献2、3参照)。
特開平7−18176号公報 国際公開2013−143858号パンフレット 特表2011−511097号公報
しかしながら、臭素化合物はヨウ素化合物に比べて金属腐食が起こりやすいことから、臭素化合物を含有するポリアミド樹脂組成物を、自動車エンジンルーム用の部品等の材料として使用すると、押出機、成形機等の加工機械の金属部品に対する腐食等に懸念があり、使用する条件等を考慮する必要があることから、従来よりもさらに金属腐食性が抑制されたポリアミド樹脂組成物が求められている。
そこで、本発明においては、耐熱エージング性に優れ、金属腐食性が効果的に抑制され、かつ銅析出性についても抑制されたポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂と、銅化合物と、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物とを含有するポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂の少なくとも一部が、特定の末端基を特定の比率で有しているポリアミド樹脂であるものとしたポリアミド樹脂組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
(A)ポリアミド樹脂と、
(B)銅化合物と、
(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物であって、
前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が、(a−1)少なくともアミノ基末端及びカルボキシル基末端を有しており、アミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂である、ポリアミド樹脂組成物。
〔2〕
前記(a−1)ポリアミド樹脂のアミノ末端基濃度が、50〜80mmol/kgである、前記〔1〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔3〕
前記(B)銅化合物、及び前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物が、前記(a−1)ポリアミド樹脂中に予め配合されているマスターバッチと、
(a−2)前記(a−1)以外のポリアミド樹脂と、
を、含む、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔4〕
(D)脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる1種以上の脂肪酸化合物を、さらに含有し、
前記(D)脂肪酸化合物の酸価が10mg/g以下である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔5〕
前記マスターバッチには、(D)脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる1種以上の脂肪酸化合物が、
前記(B)銅化合物、及び前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物とともに、前記(a−1)ポリアミド樹脂中に予め配合されている、前記〔3〕又は〔4〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔6〕
前記(B)銅化合物が、ハロゲン化銅化合物である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔7〕
前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれる銅元素の割合が、
ポリアミド樹脂組成物100質量%に対し、0.005質量%以上である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔8〕
(E)無機充填材を、さらに含有する、前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔9〕
前記(A)ポリアミド樹脂の融点+30℃の温度で、圧延鋼材(SS400)と8時間接触させたときに、圧延鋼材の表面に銅元素の析出が発生しない、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔10〕
前記〔1〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形体。
本発明によれば、耐熱エージング性に優れ、金属腐食性が効果的に抑制され、かつ銅析出性についても抑制されたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
〔ポリアミド樹脂組成物〕
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、
(A)ポリアミド樹脂と、
(B)銅化合物と、
(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物と、
を、含有し、
前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が、(a−1)少なくともアミノ基末端及びカルボキシル基末端を有しており、アミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂である。
以下、前記ポリアミド樹脂組成物の各構成要素について詳細に説明する。
((A)ポリアミド樹脂)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂(以下、(A)成分と記載する場合もある。)を含有する。
ポリアミド樹脂とは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド樹脂、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド樹脂、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド樹脂、並びにこれらの共重合物が挙げられる。
これらのポリアミド樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
以下、(A)ポリアミド樹脂の原料について説明する。
ポリアミド樹脂の構成成分である単量体としての前記ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム、及びドデカラクタムが挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ω−アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、前記ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。なお、ラクタム又はω−アミノカルボン酸として、それぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
続いて、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド樹脂について説明する。
まず、前記ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミン及び2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミン及びシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
他方、前記ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸及びセバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸及びイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
上述した単量体としてのジアミン及びジカルボン酸は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の併用により縮合させてもよい。
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
上述したポリアミド樹脂は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙したポリアミド樹脂の中でも、本実施形態のポリアミド樹脂組成物に用いる(A)ポリアミド樹脂としては、融点が200℃以上であるポリアミド樹脂が、耐熱性向上の観点より好ましい。
かかる特性を具備する好ましいポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド6I及びポリアミド9T、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選択された1種以上が挙げられる。
なお、本明細書におけるポリアミド樹脂の融点は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)によって求められたものを指す。
また、(A)ポリアミド樹脂のポリマー鎖中の炭素数/窒素数の比(C/Nの比)は、耐熱エージング性の観点から、5を超えるものが好ましい。より好ましくは5を超えて15以下であり、さらに好ましくは5を超えて12以下である。
前記共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合物;ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合物;並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合物からなる群より選択された1種以上の共重合物が挙げられる。
また、(A)ポリアミド樹脂は、末端基として、一般にアミノ基又はカルボキシル基を有する。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含有される(A)ポリアミド樹脂における前記末端基の比は、アミノ基濃度/カルボキシル基濃度として、好ましくは9/1〜1/9であり、より好ましくは6/4〜1/9であり、さらに好ましくは5/5〜1/9である。末端基の比が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の機械的強度を一層向上させることができる。
(A)ポリアミド樹脂におけるアミノ基末端の濃度は、好ましくは10〜100μmol/gであり、より好ましくは15〜80μmol/gであり、さらに好ましくは30〜80μmol/gである。
(A)ポリアミド樹脂におけるアミノ基末端の濃度が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の機械的強度を一層向上させることができる。
(A)ポリアミド樹脂におけるカルボキシル基末端の濃度は、好ましくは20μmol/g以上であり、より好ましくは50μmol/g以上であり、さらに好ましくは50〜120μmol/gであり、さらにより好ましくは50〜100μmol/gである。
(A)ポリアミド樹脂におけるカルボキシル基末端の濃度が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性を一層向上させることができる。
なお、上述した(A)ポリアミド樹脂の末端基の濃度とは、(A)ポリアミド樹脂が2種類以上の混合物である場合についても、単位質量当たりの平均値のことである。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が、(a−1)少なくともアミノ基末端とカルボキシル基末端を有しており、アミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂(以下、(a−1)アミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂、(a−1)ポリアミド樹脂、(a−1)成分と記載する場合がある。)である。
(a−1)ポリアミド樹脂における前記末端基の比は、アミノ基濃度/カルボキシル基濃度として、好ましくは9/1〜5.1/4.9であり、より好ましくは8/2〜5.5/4.5であり、さらに好ましくは7/3〜6/4である。
末端基の比が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の金属腐食性を一層抑制させることができる。
前記(a−1)ポリアミド樹脂のアミノ基末端の濃度は、好ましくは50〜100mmol/kgであり、より好ましくは50〜90mmol/kgであり、さらに好ましくは50〜80mmol/kgであり、さらに好ましくは60〜80mmol/kgである。
(a−1)ポリアミド樹脂のアミノ基末端の濃度が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の金属腐食性を一層抑制させることができる。
前記(a−1)ポリアミド樹脂のカルボキシル基末端の濃度は、好ましくは100mmol/kg以下であり、より好ましくは80mmol/kg以下であり、さらに好ましくは20〜80mmol/kgであり、さらにより好ましくは20〜60mmol/kgである。
(a−1)ポリアミド樹脂におけるカルボキシル基末端の濃度が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の金属腐食性を一層抑制させることができる。
(A)ポリアミド樹脂は、(a−2)前記(a−1)以外のポリアミド樹脂(以下、(a−2)ポリアミド樹脂、(a−2)成分と記載する場合がある。)を含んでいてもよい。
(a−2)ポリアミド樹脂は、特に限定されるものではないが、カルボキシル基末端がアミノ基末端より多いポリアミド樹脂が好ましい。
(a−2)ポリアミド樹脂における前記末端基の比は、アミノ基濃度/カルボキシル基濃度として、好ましくは1/9〜4.9/5.1であり、より好ましくは2/8〜4.5/5.5であり、さらに好ましくは3/7〜4/6である。
末端基の比が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の銅析出性を一層抑制させることができる。
前記(a−2)ポリアミド樹脂のアミノ基末端の濃度は、好ましくは20〜60μmol/gであり、より好ましくは20〜50μmol/gであり、さらに好ましくは30〜50μmol/gである。
(a−2)ポリアミド樹脂のアミノ基末端の濃度が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の銅析出性を一層抑制させることができる。
前記(a−2)ポリアミド樹脂のカルボキシル基末端の濃度は、好ましくは20μmol/g以上であり、より好ましくは50μmol/g以上であり、さらに好ましくは50〜100μmol/gであり、さらにより好ましくは60〜90μmol/gである。
(a−2)ポリアミド樹脂におけるカルボキシル基末端の濃度が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の銅析出性を一層抑制させることができる。
本明細書中における、(A)成分、(a−1)成分、(a−2)成分の各ポリアミド樹脂のアミノ基末端及びカルボキシル基末端の濃度は、1H−NMRにより測定される、各末端基に対応した特性シグナルの積分値によって求めることができ、これらの濃度の比率を算出することができる。
(A)ポリアミド樹脂、(a−1)ポリアミド樹脂、(a−2)ポリアミド樹脂の末端基の濃度は、公知の方法により調整することができる。
末端基の調整方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、末端調整剤を用いる方法が挙げられる。
具体的には、(A)ポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるように、モノアミン化合物、ジアミン化合物、モノカルボン酸化合物、及びジカルボン酸化合物よりなる群から選択される1種以上を添加することにより調整することができる。
これらの成分の重合溶媒への添加時期については、末端調整剤として本来の機能を果たす限り特に限定されるものではなく、例えば、上述したポリアミド樹脂の原料を重合溶媒に添加する際に添加する方法が挙げられる。
前記モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン、並びにこれらの任意の混合物等が挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、反応性、沸点、封止末端の安定性、及び価格等の観点から、前記モノアミン化合物としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、及びアニリンからなる群より選択される1種以上が好ましい。
前記ジアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミン及び2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミン及びシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記モノカルボン酸化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
これらのモノカルボン酸化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジカルボン酸化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びスベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位(ユニット)が挙げられる。
これらのジカルボン酸化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(a−1)ポリアミド樹脂と前記(a−2)ポリアミド樹脂は、同じ種類のポリアミド樹脂(例えば、(a−1)成分も(a−2)成分もポリアミド66)であってもよいし、異なる種類のポリアミド樹脂(例えば、(a−1)成分がポリアミド6、(a−2)成分がポリアミド66)であってもよい。
異なる種類のポリアミド樹脂の場合は、(a−1)ポリアミド樹脂のポリマー鎖中の炭素数/窒素数の比(C/Nの比)と、(a−2)ポリアミド樹脂のポリマー鎖中の炭素数/窒素数の比(C/Nの比)の差が、3以下の組み合わせであることが、金属腐食性の抑制、銅析出性の抑制の観点から好ましい。2以下がより好ましく、差がなく同一であることがさらに好ましい。
また、(a−1)ポリアミド樹脂の融点が、(a−2)ポリアミド樹脂の融点より低いことが、金属腐食性の抑制、銅析出性の抑制の観点好ましい。
これらの(a−1)ポリアミド樹脂と(a−2)ポリアミド樹脂の組み合わせとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、(a−1)ポリアミド樹脂がポリアミド6であり、(a−2)ポリアミド樹脂がポリアミド46、ポリアミド56、ポリアミド66、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選択された1種以上であり、より好ましくは(a−1)ポリアミド樹脂がポリアミド6であり、(a−2)ポリアミド樹脂がポリアミド46及び/又はポリアミド66であり、さらに好ましくは(a−1)ポリアミド樹脂がポリアミド6であり、(a−2)ポリアミド樹脂がポリアミド66である。これらの組み合わせにより、金属腐食性の抑制、銅析出性の抑制に加えて、耐加水分解性が向上する傾向にある。
((B)銅化合物)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(B)銅化合物(以下、(B)成分と記載する場合もある。)を含有する。
(B)銅化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化銅化合物(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅等)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン及びエチレンジアミン四酢酸等のキレート剤に銅の配位した銅錯塩が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記で列挙した(B)銅化合物の中でも、好ましくはハロゲン化銅化合物(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅等)及び酢酸銅よりなる群から選択される1種以上であり、より好ましくはハロゲン化銅化合物、さらに好ましくはヨウ化銅及び/又は臭化第一銅である。
前記好ましい銅化合物として列挙したものを用いた場合、耐熱エージング性に優れ、かつ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう)を効果的に抑制できるポリアミド樹脂組成物が得られる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含まれる(B)銅化合物の含有量は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは0.001〜0.2質量%であり、より好ましくは0.005〜0.15質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。
ポリアミド樹脂組成物中の(B)銅化合物の含有量が前記範囲内である場合、耐熱エージング性を一層向上させるとともに、銅の析出や金属腐食を効果的に抑制することができる。
また、ポリアミド樹脂組成物中における銅元素の含有量は、ポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性を向上させる観点から、本実施形態のポリアミド樹脂組成物100質量%に対し、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上であり、さらに好ましくは0.005〜0.05質量%であり、さらにより好ましくは0.007〜0.03質量%である。
((C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物(以下、(C)成分と記載する場合もある。)を含有する。
(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、臭化カリウム、臭化ナトリウム、臭化リチウム、臭化カルシウム及び臭化マグネシウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
特に、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性の向上、及び金属腐食の抑制という観点から、好ましくは臭化カリウム及び/又は臭化ナトリウムであり、より好ましくは臭化カリウムである。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物中の(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物の含有量は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、好ましくは0.05〜5質量%であり、より好ましくは0.1〜2質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である。
(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物の含有量が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅析出や金属腐食を効果的に抑制することができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物における、前記(B)銅化合物と、前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物との含有割合は、ハロゲン元素と銅元素とのモル比(ハロゲン元素/銅元素)として、2/1〜50/1となるように、それぞれ含有させることが好ましく、より好ましくは5/1〜30/1であり、さらに好ましくは5/1〜20/1である。
(ハロゲン元素/銅元素)の含有割合が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性を一層向上させることができる。
ここで、ハロゲン元素は、例えば(B)銅化合物がハロゲン化銅の場合、ハロゲン化銅に由来するハロゲン元素と、(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物に由来する臭素元素の合計を意味する。
前記ハロゲン元素と銅元素とのモル比(ハロゲン元素/銅元素)が2/1以上である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、銅析出及び金属腐食を効果的に抑制することができるため好適である。
一方、前記モル比(ハロゲン元素/銅元素)が50/1以下である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、靭性等の機械的な物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食を防止できるため好適である。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、前記(B)銅化合物及び前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物が、前記(a−1)少なくともアミノ基末端及びカルボキシル基末端を有しておりアミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂中に予め配合されているマスターバッチと、上述した(a−2)前記(a−1)以外のポリアミド樹脂とを含むものであることが、金属腐食性の抑制、銅析出性の抑制、さらには耐加水分解性の向上の観点から好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、上述した(A)成分〜(C)成分に加え、(D)脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる1種以上の脂肪酸化合物(以下、(D)脂肪酸化合物、(D)成分と記載する場合もある。)、(E)無機充填材(以下、(E)成分と記載する場合もある。)を、ポリアミド樹脂組成物に、さらに含有させてもよい。
((D)脂肪酸化合物)
(D)脂肪酸化合物としては、耐熱エージング性をより一層向上させる観点から、(D)脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、及び脂肪酸金属塩からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸化合物を含有することが好ましい。
(D)脂肪酸化合物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)脂肪酸化合物を構成する脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を示す。
特に、炭素数8以上の脂肪酸が好ましく、より好ましくは炭素数8〜40の脂肪酸である。
前記脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分岐状の、脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
脂肪酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、モンタン酸等が挙げられる。
前記脂肪酸エステルとは、前記脂肪酸とアルコールとのエステル化合物である。
アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸−1,3−ブタンジオールエステル、モンタン酸−トリメチロールプロパンエステル、トリメチロールプロパントリラウレート、ブチルステアレート等が挙げられる。
前記脂肪酸アミドとは、前記脂肪酸のアミド化物である。
前記脂肪酸アミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイルアミド、N−ステアリルステアリルアミド、N−ステアリルエルカアミド等が挙げられる。特に、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、及びN−ステアリルエルカアミドが好ましく、エチレンビスステアリルアミド及びN−ステアリルエルカアミドがより好ましい。
前記脂肪酸金属塩とは、上述した脂肪酸の金属塩である。
脂肪酸と塩を形成する金属元素としては、元素周期律表の第1族元素(アルカリ金属)、第2族元素(アルカリ土類金属)、第3族元素、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。
前記金属元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;アルミニウム;が好ましい。
前記脂肪酸金属塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸ナトリウム、ベヘン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム等が挙げられる。
前記脂肪酸金属塩としては、モンタン酸金属塩、ベヘン酸金属塩及びステアリン酸金属塩が好適に用いられ、特に、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛が好ましく、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛がより好ましく、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛が、さらに好ましい。
これら脂肪酸金属塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記脂肪酸金属塩中の金属含有量は、脂肪酸金属塩100質量%に対し、3.5〜11.5質量%であることが、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の金属腐食や銅析出の抑制、外観及び離型性に一層優れる観点から好ましい。より好ましくは3.5〜10.0質量%であり、さらに好ましくは4.0〜9.0質量%である。
前記(D)脂肪酸化合物は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の金属腐食や銅析出を抑制する観点から、JIS K 0070に従って測定した酸価(試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸等を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数)が、10mg/g以下であることが好ましい。より好ましくは0.01〜10mg/gであり、さらに好ましくは0.01〜5mg/gであり、特に好ましくは0.01〜3mg/gである。
前記(D)脂肪酸化合物としては、成形性が一層良好になる観点から、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩が好ましく、特に、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の外観及び離型性がより一層良好になる観点から、脂肪酸金属塩がより好ましい。
前記(D)脂肪酸化合物の融点は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の外観及び離型性がより一層良好になる観点から、110〜150℃であることが好ましく、より好ましくは115〜145℃、さらに好ましくは115〜140℃である。
(D)脂肪酸化合物の融点は、示差走査熱量測定(DSC)等により測定することができる。
前記(D)脂肪酸化合物の含有量は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.03〜5質量%であることがより好ましく、0.05〜2質量%であることがさらに好ましい。
(D)脂肪酸化合物の含有量を前記範囲内とすることにより、外観、離型性、機械的強度及び可塑化性に一層優れるポリアミド樹脂組成物が得られる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物中において、前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物と、前記(D)脂肪酸化合物との含有割合は、質量比((C)成分/(D)成分)が2/1〜1/10であることが好ましく、より好ましくは2/1〜1/5であり、さらに好ましくは1/1〜1/5であり、さらにより好ましくは1/1〜1/3である。
前記質量比((C)成分/(D)成分)が前記範囲内である場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、耐熱エージング性を一層向上させることができるとともに、金属腐食や銅析出をより一層抑制することができる。
また、本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、上述したマスターバッチに、(D)脂肪酸化合物が、前記(B)銅化合物、及び前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物とともに、(a−1)少なくともアミノ基末端及びカルボキシル基末端を有しておりアミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂中に予め配合されており、本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、当該マスターバッチと、(a−2)前記(a−1)以外のポリアミド樹脂とが混合されたものであることが、金属腐食性の抑制、銅析出性の抑制、さらには耐加水分解性の向上の観点から好ましい。
((E)無機充填材)
(E)無機充填材としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記例示した中でも、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の機械的強度及び剛性を増大させる観点から、ガラス繊維、炭素繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトよりなる群から選択される1種以上が好ましい。より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素からなる群より選択される1種以上である。
前記ガラス繊維や炭素繊維のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できる観点から、ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が100〜750μmであり、及び重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値)が10〜100であるものがさらに好ましい。
また、前記ウォラストナイトのうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、及びアスペクト比が3〜100であるものがさらに好ましい。
また、前記タルク、マイカ、カオリン、及び窒化珪素のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、ポリアミド樹脂組成物中における数平均粒子径が0.1〜10μmであるものがさらに好ましい。
ここで、本明細書における数平均繊維径、数平均粒子径及び重量平均繊維長は、以下の方法により測定することができる。
ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の無機充填材を任意に選択し、SEMで観察して、これらの無機充填材の繊維径及び粒子径を測定することにより数平均繊維径及び数平均粒子径を測定する。併せて、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長を求める。
前記(E)無機充填材は、シランカップリング剤等により表面処理を施してもよい。
前記シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
特に、上記の列挙成分から選択される1種以上であることが好ましく、アミノシラン類がより好ましい。
また、前記ガラス繊維及び炭素繊維については、さらに集束剤として、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩等を含んでもよい。これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
集束剤を含むガラス繊維及び炭素繊維は、公知のガラス繊維及び炭素繊維の製造工程において、連続的に集束剤を反応させることにより得られる。
具体的には、ローラー型アプリケーターなどの公知の方法を用いて、前記集束剤をガラス繊維及び炭素繊維に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することにより前記ガラス繊維及び炭素繊維が得られる。
前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を行いチョップドガラスストランドとして使用してもよい。
前記集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%相当を付与(添加)する。
ガラス繊維及び炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上相当であることが好ましい。一方、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下相当であることが好ましい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、又はストランドの乾燥後に切断工程を行ってもよい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物中の(E)無機充填材の含有量は、成形性、機械的強度の向上の観点から、好ましくは10〜70質量%であり、より好ましくは15〜65質量%であり、さらに好ましくは20〜65質量%である。
(その他の成分)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上述した(A)〜(E)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じてさらに、その他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料などを添加してもよいし、他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。
ここで、前記その他の成分は、それぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本実施形態の効果をほとんど損なわない好適な含有率は様々である。そして、当業者であれば、上記した他の成分ごとの好適な含有率は容易に設定可能である。
〔ポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、以下に制限されないが、例えば、単軸又は多軸の押出機によって(A)ポリアミド樹脂を溶融させた状態で、前記(B)成分、(C)成分、及び必要により(D)成分を混練する方法を用いることができる。
(E)無機充填材を用いる場合、上流側供給口と下流側供給口とを備えた二軸押出機を使用し、上流側供給口から(A)ポリアミド樹脂、前記(B)成分、(C)成分、及び(D)成分を供給して溶融させた後、下流側供給口から(E)無機充填材を供給して溶融混練する方法を用いることが好ましい。また、ガラス繊維及び炭素繊維等のロービングを用いる場合も、公知の方法で複合化することができる。
〔ポリアミド樹脂組成物の特性〕
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂の融点+30℃の温度で、圧延鋼材(SS400)と8時間接触させたときに、前記圧延鋼材の表面に、銅元素の析出が発生しないものであることが好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、(a−1)アミノ末端基がカルボキシル末端基より多いポリアミド樹脂を用いることにより、銅析出を効果的に抑制できる。また、(D)脂肪酸化合物として、酸価が10mg/g以下の脂肪酸化合物を用いることにより、銅析出を効果的に抑制することができる。さらに、(B)銅化合物及び(C)アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属の臭化物を、(a−1)アミノ末端基がカルボキシル末端基より多いポリアミド樹脂に予めマスターバッチとして配合しておき、当該マスターバッチと(a−2)前記(a−1)以外のポリアミド樹脂とを組み合わせたポリアミド樹脂組成物することで、より一層銅析出を効果的に抑制できる。
すなわち、これらの方法を適宜適用することによって、(A)ポリアミド樹脂の融点+30℃の温度で圧延鋼材(SS400)と8時間接触させたときに、前記圧延鋼材の表面に、銅元素の析出が発生しないものとすることができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の銅析出については、後述する実施例に記載する方法により検証することができる。
〔成形体〕
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態のポリアミド樹脂組成物を含む。
本実施形態の成形体は、例えば、ポリアミド樹脂組成物を射出成形することにより得られる。
〔用途〕
本実施形態の成形体は、例えば、自動車用、機械工業用、電気・電子用、産業資材用、工業材料用、日用・家庭品用等の種々の成形体や部品として好適に使用できる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
〔評価方法〕
以下、実施例及び比較例で行った評価の方法について説明する。
<耐熱エージング性(熱老化後の引張強度保持率)>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO 3167に準拠しつつ、多目的試験片(A型)の成形片を製造した。
その際、射出及び保圧の時間25秒、冷却時間15秒、金型温度80℃、溶融樹脂温度290℃に設定した。
得られた多目的試験片(A型)を用いて、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張強度(MPa)を測定した。
また、多目的試験片(A型)を、熱風循環式オーブン内で、180℃で2,000時間熱老化させた。
これを23℃で24時間以上冷却した後、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、2,000時間熱老化後の引張強度(MPa)を測定し、熱老化前の引張強度に対する引張強度の保持率(%)を評価した。
<金属腐食>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、耐圧2.0MPa、内容量100mLのSUS314製オートクレーブに20g入れ、10mm×20mm×2mmで表面を#2000研磨した圧延鋼材(SS400)試験片を入れ、さらに、ポリアミド樹脂組成物のペレット20gを入れて、圧延鋼材試験片を埋没させた。
オートクレーブ内部を窒素置換した後密閉し、ポリアミド樹脂組成物に用いたポリアミド樹脂がPA66の場合は290℃、PA6の場合は250℃にて8時間加熱した。
続いて、流水下にて室温まで冷却しオートクレーブを開放した。
溶融固化したポリアミド樹脂組成物のペレット中から圧延鋼材試験片を取り出し、HFIP(ヘキサフルオロプロパノール)を用いて圧延鋼材試験片表面に付着したポリアミド樹脂組成物を除去した後、圧延鋼材試験片の質量を0.01mg単位まで精秤し、予め測定しておいた試験前の圧延鋼材試験片の質量で除算し、質量減少率を質量ppmで求めた。
<銅析出>
上記の金属腐食試験後の圧延鋼材試験片の表面を観察し、銅元素の析出状況を目視観察し、以下により評価した。
◎:銅元素の析出が全く観察されなかった。
○:銅元素の析出が、圧延鋼材の表面積に対し5%未満であった。
△:銅元素の析出が、圧延鋼材の表面積に対し5%以上10%未満であった。
×:銅元素の析出が、圧延鋼材の表面積に対し10%以上であった。
<耐加水分解性(LLC液浸漬後の引張強度保持率)>
実施例および比較例で得られたポリアミド樹脂組成物ペレットを、射出成形機[PS−40E:日精樹脂株式会社製]を用いて、射出+保圧時間10秒、冷却時間15秒、金型温度80℃、溶融樹脂温度290℃に設定し、ISO 8256に準拠した小引張試験片タイプ4型(3mmt)のダンベル成形片を成形した。得られた試験片を、オートクレーブを用いて、純水/ロングライフクーラント液(LLC液;BASF社製G48)=50/50に、130℃で24時間及び500時間浸漬した。
浸漬後の試験片を、チャック間距離30mm、引張速度1mm/minで引張試験を行った。
24時間浸漬後の引張強度に対する、500時間浸漬後の引張強度の保持率(%)を評価した。
〔原料の調製〕
(1.(A)ポリアミド樹脂)
(1−1)ポリアミド66(以下、「PA−1」と略記する。)
VN(硫酸):143ml/g、アミノ末端基:48mmol/kg、
カルボン酸末端基:79mmol/kg
(1−2)ポリアミド66(以下、「PA−2」と略記する。)
VN(硫酸):140ml/g、アミノ末端基:80mmol/kg、
カルボン酸末端基:46mmol/kg
(1−3)ポリアミド6(以下、「PA−3」と略記する。)
VN(硫酸):141ml/g、アミノ末端基:45mmol/kg、
カルボン酸末端基:82mmol/kg
(1−4)ポリアミド6(以下、「PA−4」と略記する。)
VN(硫酸):140ml/g、アミノ末端基:70mmol/kg、
カルボン酸末端基:49mmol/kg
(2.(B)ヨウ化銅(以下、「CuI」と略記する。))
和光純薬工業社製の試薬を使用した。
(3.(C)臭化カリウム(以下、「KBr」と略記する。))
和光純薬工業社製の試薬を使用した。
(4.(D)脂肪酸化合物)
(4−1)モンタン酸カルシウム(以下、「MonCa」と略記する)
酸価:0.8mg/g、融点:120℃
(4−2)モンタン酸−1,3−ブタンジオールエステル(以下、「MonEs」と略記する)
酸価:15mg/g、融点:80℃
(5.(E)無機充填材:ガラス繊維(以下、「GF」と略記する。))
商品名:ECS 03T−275H(日本電気硝子社製)を用いた。
〔実施例1〕
押出機の上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、かつ9番目のバレルに下流側供給口を有する、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。
前記二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを250℃、スクリュー回転数250rpm、及び吐出量25kg/時間に設定した。
かかる条件下で、ポリアミド樹脂(PA−4)を80質量部、CuIを2質量部、KBrを12質量部、モンタン酸カルシウムを6質量部、それぞれ上流側供給口より供給し、溶融混練してポリアミド樹脂組成物PA−MBを得た。
得られたポリアミド樹脂組成物PA−MBについて、金属腐食性を評価したところ、質量減少率は75ppmであり、銅の析出は観察されなかった。
〔実施例2〜5〕、〔比較例1、2〕
押出機の上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、かつ9番目のバレルに下流側供給口を有する、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。
前記二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを280℃、スクリュー回転数250rpm、及び吐出量25kg/時間に設定した。
かかる条件下で、下記表1の上欄に記載された割合に従い、上流側供給口より、ポリアミド樹脂(PA)、CuI、KBr、並びに脂肪酸化合物をそれぞれ供給し、下流側供給口よりGFを供給した。
これらを溶融混練することでポリアミド樹脂組成物のペレットを製造した。
なお、実施例5においては、上記実施例1で製造したポリアミド樹脂組成物PA−MBを用い、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂組成物PA−MBを上流側供給口より供給し、下流側供給口よりGFを供給した。
得られたポリアミド樹脂組成物を、上記の溶融樹脂温度及び金型温度で成形し、耐熱エージング性、金属腐食性、銅析出、及び耐加水分解性を評価した。
これらの評価(計数)結果を下記表1に示す。

Figure 2017190405
表1の見方について説明する。
熱老化後の引張強度保持率が高い程、耐熱エージング性に優れることを示す。
さらに、金属腐食試験の質量減少量が小さい程、金属腐食性が効果的に抑制されることを示す。
また、LLC液浸漬後の強度保持率が高い程、耐加水分解性に優れることを示す。
表1に示すように、実施例2〜5においては、用いたアミノ末端基がカルボキシル末端基より多いポリアミド樹脂の種類や、脂肪酸化合物の酸価が異なるものの、耐熱エージング性が高く、金属腐食及び銅析出の抑制においてバランス良く優れた、熱安定性の良好なポリアミド樹脂組成物が得られた。
実施例2〜5の中では、実施例2、3と実施例4の対比により、(D)脂肪酸化合物の酸価が10mg/g以下であるときに、特に金属腐食性や銅析出性に優れることが分かった。また、銅化合物及び臭化物が、(a−1)アミノ末端基がカルボキシル末端基より多いポリアミド樹脂に予めマスターバッチとして配合されている実施例5は、特に金属腐食性や銅析出性に優れ、さらに耐加水分解性に優れていることが分かった。
一方で、(a−1)アミノ末端基がカルボキシル末端基より多いポリアミド樹脂である(PA−2)、(PA−4)が含有されていない比較例1及び2は、金属腐食性や銅析出性に劣ることが分かった。
以上のことから、本発明のポリアミド樹脂組成物は、耐熱エージング性に優れ、金属腐食を効果的に抑制でき、かつ銅析出についても顕著な抑制効果が得られることが分かった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、自動車部品や各種電子部品等、高レベルの機械的な物性が要求される成形品の材料として、産業上の利用可能性がある。

Claims (10)

  1. (A)ポリアミド樹脂と、
    (B)銅化合物と、
    (C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物と、
    を、含有するポリアミド樹脂組成物であって、
    前記(A)ポリアミド樹脂の少なくとも一部が、(a−1)少なくともアミノ基末端及びカルボキシル基末端を有しており、アミノ基末端がカルボキシル基末端より多いポリアミド樹脂である、ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記(a−1)ポリアミド樹脂のアミノ末端基濃度が、50〜80mmol/kgである、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(B)銅化合物、及び前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物が、前記(a−1)ポリアミド樹脂中に予め配合されているマスターバッチと、
    (a−2)前記(a−1)以外のポリアミド樹脂と、
    を、含む、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. (D)脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる1種以上の脂肪酸化合物を、さらに含有し、
    前記(D)脂肪酸化合物の酸価が10mg/g以下である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記マスターバッチには、(D)脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる1種以上の脂肪酸化合物が、
    前記(B)銅化合物、及び前記(C)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の臭化物とともに、前記(a−1)ポリアミド樹脂中に予め配合されている、請求項3又は4に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(B)銅化合物が、ハロゲン化銅化合物である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. 前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれる銅元素の割合が、
    ポリアミド樹脂組成物100質量%に対し、0.005質量%以上である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. (E)無機充填材を、さらに含有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. 前記(A)ポリアミド樹脂の融点+30℃の温度で、圧延鋼材(SS400)と8時間接触させたときに、圧延鋼材の表面に銅元素の析出が発生しない、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形体。
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