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JP2017185953A - 乗員保護装置 - Google Patents

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JP2017185953A
JP2017185953A JP2016077558A JP2016077558A JP2017185953A JP 2017185953 A JP2017185953 A JP 2017185953A JP 2016077558 A JP2016077558 A JP 2016077558A JP 2016077558 A JP2016077558 A JP 2016077558A JP 2017185953 A JP2017185953 A JP 2017185953A
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JP2016077558A
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美里 木下
Misato Kinoshita
美里 木下
大見 正宣
Masanori Omi
正宣 大見
山本 誠二
Seiji Yamamoto
誠二 山本
孝典 榊原
Takanori Sakakibara
孝典 榊原
善昭 松村
Yoshiaki Matsumura
善昭 松村
和紀 杉江
Kazuki Sugie
和紀 杉江
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する複数の多方位エアバッグによって、隣接した複数の座席に着座した乗員の頭部を保護するに際し、多方位エアバッグ同士が膨張展開過程で互いに干渉し合うことを防止する。
【解決手段】乗員保護装置10は、中央座席12C、左側座席12L及び右側座席12Rにそれぞれ設けられた3つの多方位エアバッグ30と、中央座席12Cへの乗員Pの着座の有無を検出する着座センサと、衝突センサを用いて自動車Vの衝突を検知又は予知した際に、着座センサが乗員Pの着座を検出している場合、中央座席12Cに設けられた多方位エアバッグ30Cを膨張展開させ、左側座席12L及び右側座席12Rに設けられた多方位エアバッグ30L、30Rを膨張展開させないECUと、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗員保護装置に関する。
下記特許文献1に記載された自動車のエアバッグ装置では、シートバックの上方に突出するガス供給パイプがシートバックに固定されている。このガス供給パイプには、バッグ(多方位エアバッグ)が取り付けられている。この多方位エアバッグは、衝突時にガス供給パイプを通じてガスが供給され、乗員の頭部を前方及び左右両側方から取り囲むように膨張展開する。
特開2000−344044号公報
上記のようなエアバッグ装置を、車両に設けられた複数の座席に配設することが考えられる。しかしながら、隣接した複数の座席から複数の多方位エアバッグが同時に膨張展開すると、複数の多方位エアバッグ同士が膨張展開過程で互いに干渉し合い、適正な膨張展開が妨げられる虞がある。
本発明は上記事実を考慮し、乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する複数の多方位エアバッグによって、隣接した複数の座席に着座した乗員の頭部を保護するに際し、多方位エアバッグ同士が膨張展開過程で互いに干渉し合うことを防止できる乗員保護装置を得ることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係る乗員保護装置は、車両の幅方向中央部に配置された中央座席と、前記中央座席の車幅方向両側に隣接して配置された左右のサイド座席と、前記中央座席及び前記左右のサイド座席にそれぞれ設けられ、前記各座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する3つの多方位エアバッグと、前記中央座席への乗員の着座の有無を検出する中央乗員検出センサと、衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記中央乗員検出センサが前記中央座席への乗員の着座を検出している場合、前記中央座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させ、前記左右のサイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない制御装置と、を備えている。
なお、請求項1に記載の「少なくとも左右両側方」は、乗員の頭部を基準とする方向である。この点は、請求項5〜請求項6においても同様である。
請求項1に記載の発明によれば、制御装置は、衝突センサを用いて車両の衝突を検知又は予知した際に、中央乗員検出センサが中央座席への乗員の着座を検出している場合、中央座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させる。この際、制御装置は、左右のサイド座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させない。これにより、中央座席の多方位エアバッグが膨張展開過程でサイド座席の多方位エアバッグと干渉することを防止できる。
また、中央座席の多方位エアバッグは、中央座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する。これにより、中央座席に着座した乗員の頭部を少なくとも左右両側方から保護することができる。しかも、左右のサイド座席に乗員が着座している場合でも、それらの乗員の頭部と、中央座席に着座した乗員の頭部との間に、中央座席の多方位エアバッグが介在する。これにより、上記各乗員の頭部が衝突の衝撃によって直接ぶつかり合うこと防止できる。
請求項2に記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1において、前記サイド座席への乗員の着座の有無を検出するサイド乗員検出センサを備え、前記制御装置は、前記衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記中央乗員検出センサが前記中央座席への乗員の着座を検出しておらず、且つ、前記サイド乗員検出センサが前記サイド座席への乗員の着座を検出している場合、少なくとも乗員の着座が検出されている前記サイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させ、前記中央座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない。
請求項2に記載の発明によれば、制御装置は、衝突センサが車両の衝突を検知又は予知した際に、中央乗員検出センサが中央座席への乗員の着座を検出しておらず、且つサイド乗員検出センサがサイド座席への乗員の着座を検出している場合、少なくとも乗員の着座が検出されているサイド座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させる。この際、制御装置は、中央座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させない。これにより、サイド座席の多方位エアバッグが膨張展開過程で中央座席の多方位エアバッグと干渉することを防止できる。また、サイド座席の多方位エアバッグは、サイド座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する。これにより、サイド座席の乗員の頭部を多方位エアバッグによって少なくとも左右両側方から保護することができる。
請求項3に記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項2において、前記制御装置は、前記衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記サイド乗員検出センサが前記左右のサイド座席への乗員の着座を検出しており、且つ、検知又は予知した衝突が非対称衝突又は側面衝突である場合、衝突側の前記サイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを、反衝突側の前記サイド座席に設けられた前記多方位エアバッグよりも先に膨張展開させる。
請求項3に記載の発明では、上記のように構成されているため、車両の非対称衝突又は側面衝突が検知又は予知された際に、左右のサイド座席にそれぞれ乗員が着座している場合、衝突側のサイド座席に設けられた多方位エアバッグが優先的に膨張展開し、反衝突側のサイド座席に設けられた多方位エアバッグが遅れて膨張展開する。これにより、非対称衝突時又は側面衝突時における上記各乗員の挙動に応じて上記各乗員を適切に保護することができる。
請求項4に記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1において、前記車両の左右両側部に設けられ、前記左右のサイド座席に着座した乗員の頭部に対して車幅方向外側に膨張展開する左右のカーテンエアバッグを備え、前記制御装置は、衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記中央乗員検出センサが前記中央座席への乗員の着座を検出しており、且つ、検知又は予知した衝突が非対称衝突、側面衝突又はロールオーバである場合、前記左右のカーテンエアバッグを膨張展開させると共に、前記左右のサイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない。
請求項4に記載の発明によれば、制御装置は、衝突センサを用いて非対称衝突、側面衝突又はロールオーバを検知又は予知した際に、中央乗員検出センサが中央座席への乗員の着座を検出している場合(すなわち左右のサイド座席にも乗員が着座している蓋然性が高い場合)、左右のカーテンエアバッグを膨張展開させる。この際、制御装置は、左右のサイド座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させない。これにより、左右のサイド座席の多方位エアバッグと左右のカーテンエアバッグとが膨張展開過程で互いに干渉することを防止できる。
またこの場合、中央座席の多方位エアバッグが膨張展開するので、中央座席の乗員の頭部が多方位エアバッグによって少なくとも左右両側方から保護される。また、左右のサイド座席に乗員が着座している場合、左右のサイド座席の乗員の頭部がカーテンエアバッグと中央座席の多方位エアバッグとによって左右から囲まれて保護される。
請求項5に記載の発明に係る乗員保護装置は、車両に設けられ、所定の方向に隣接して並ぶ複数の座席と、前記複数の座席にそれぞれ設けられ、前記各座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する複数の多方位エアバッグと、前記複数の座席への乗員の着座の有無を検出する乗員検出センサと、衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、隣り合う一対の前記座席への乗員の着座を前記乗員検出センサが検出している場合、前記一対の座席のうちの一方に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させ、他方に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない制御装置と、を備えている。
請求項5に記載の発明によれば、制御装置は、衝突センサを用いて車両の衝突を検知又は予知した際に、複数の座席のうち隣り合う一対の座席への乗員の着座を乗員検出センサが検出している場合、一対の座席のうちの一方の座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させる。この際、制御装置は、他方の座席に設けられた多方位エアバッグを膨張展開させない。これにより、上記一方の座席の多方位エアバッグが膨張展開過程で上記他方の座席の多方位エアバッグと干渉することを防止できる。また、上記一対の座席の乗員の頭部が衝突の衝撃によって直接ぶつかり合うことを、上記一方の座席の多方位エアバッグによって防止することができる。
請求項6に記載の発明に係る乗員保護装置は、車両の幅方向中央部に配置された中央座席と、前記中央座席の車幅方向両側に隣接して配置された左右のサイド座席と、前記中央座席及び前記左右のサイド座席のうち前記左右のサイド座席のみに設けられ、前記左右のサイド座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する2つの多方位エアバッグと、を備えている。
請求項6に記載の発明では、左右のサイド座席にそれぞれ多方位エアバッグが設けられているが、中央座席には多方位エアバッグが設けられていない。このため、左右のサイド座席の多方位エアバッグが同時に膨張展開した場合でも、これらの多方位エアバッグが膨張展開過程で互いに干渉することを防止できる。また、例えば中央座席と左右のサイド座席とにそれぞれ乗員が着座している場合、左右のサイド座席の乗員の頭部をそれぞれ多方位エアバッグによって保護することができると共に、中央座席の乗員の頭部を上記各多方位エアバッグによって左右から囲んで保護することができる。
以上説明したように、本発明に係る乗員保護装置では、乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する複数の多方位エアバッグによって、隣接した複数の座席に着座した乗員の頭部を保護するに際し、多方位エアバッグ同士が膨張展開過程で互いに干渉し合うことを防止できる。
本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置の3名着座時の作動状態を模式的に示す正面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置の2名着座時の作動状態を模式的に示す正面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を示す正面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置が備える多方位エアバッグの膨張展開状態を示す側面図である。 同多方位エアバッグの膨張展開状態を示す正面図である。 (A)は、図4のF6A−F6A線に沿った切断面を示す断面図であり、(B)は、図4のF6B−F6B線に沿った切断面を示す断面図である。 第1実施形態に係る乗員保護装置が備える乗員保護ECUによる制御フローの一部を示すフローチャートである。 同制御フローの残りの一部を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る制御フローの変形例を示す図8に対応したフローチャートである。 第2実施形態に係る乗員保護装置の3名着座時の作動状態を模式的に示す側面図である。 第3実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を示す正面図である。
<第1の実施形態>
本発明の第1実施形態に係る乗員保護装置10について、図1〜図9に基づいて説明する。なお、各図においては符号を適宜省略している場合がある。また、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印LH、及び矢印RHは、それぞれ乗員保護装置10が適用された車両である自動車V(図1〜図3参照)の前方向、上方向、車両前方を向いた場合の左方向、車両前方を向いた場合の右方向を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、車両(前方を向いた場合)の左右を示すものとする。
図1〜図3には、乗員保護装置10が適用された自動車VのキャビンC内における後部が、一部を切り欠いた模式的な正面図にて示されている。これらの図に示されるように、乗員保護装置10は、後部座席(リヤシート)12と、3つの多方位エアバッグ装置20と、左右一対のカーテンエアバッグ装置28とを備えている。また、図3以外では図示を省略するが、この乗員保護装置10は、制御装置である乗員保護ECU52と、衝突センサ54と、乗員検出センサである3つの着座センサ56(図2に1つのみ図示)とを備えている。以下、上記各構成要素について具体的に説明する。
(後部座席の構成)
後部座席12は、キャビンC内の後部に配置されている。この後部座席12の前後方向、上下方向及び左右方向(幅方向)は、自動車Vの前後方向、上下方向及び左右方向(幅方向)と一致している。この後部座席12は、自動車Vの幅方向中央部に配置された中央座席12Cと、該中央座席12Cの車幅方向両側に隣接して配置された左側座席12L及び右側座席12Rとを有しており、3人掛けのシートとされている。左側座席12L及び右側座席12Rは、本発明に係る「左右のサイド座席」に相当する。
なお、本実施形態では、中央座席12Cと左側座席12Lと右側座席12Rとが一体化されているが、これに限るものではない。例えば、これらの座席12C、12L、12Rが分割された構成、すなわち中央座席12Cと左側座席12Lと右側座席12Rとがそれぞれ独立した1人掛けのシートとされた構成にしてもよい。また例えば、中央座席12Cと、左側座席12L及び右側座席12Rの何れか一方が2人掛けのシートとして一体化され、何れか他方が1人掛けのシートとされた構成にしてもよい。
後部座席12の各座席12C、12L、12Rは、それぞれシートクッション14、シートバック16、ヘッドレスト18を含んで構成されている。シートクッション14は、乗員Pの着座部とされており、その後端に背もたれ部を成すシートバック16の下端が接続されている。また、シートバック16の上端におけるシート幅方向中央部上にヘッドレスト18が保持されている。また、各座席12C、12L、12Rには、それぞれ3点式のシートベルト装置17が配設されている。
以下、中央座席12Cの構成部材には符号の末尾に「C」を、左側座席12Lの構成部材には符号の末尾に「L」を、右側座席12Rの構成部材には符号の末尾に「R」を付している場合がある。同様に、後部座席12に着座した乗員P及びその頭部Hについても、着座した座席に応じて、符号の末尾に「C」、「L」、「R」を付している場合がある。
(多方位エアバッグ装置の構成)
多方位エアバッグ装置20は、乗員Pを各種形態の衝突から保護するための装置であり、各座席12C、12L、12Rの各ヘッドレスト18にそれぞれ設けられている。各多方位エアバッグ装置20は、図3及び図4に適宜示されるように、多方位エアバッグ30と、インフレータ32とを有している。多方位エアバッグ30及びインフレータ32は、モジュール化され、ヘッドレスト18の後部に設けられたエアバッグケース50内に収容されている。このエアバッグケース50は、ヘッドレスト18の本体部を構成するヘッドレスト本体19のシート後方側に取り付けられている。
図4〜図6に示されるように、多方位エアバッグ30は、乗員Pの頭部Hを前方、左右両側方及び上方から覆う(囲む)ように膨張展開される一体の袋体として構成されている。具体的には、多方位エアバッグ30は、頭部Hに対する左右両側でかつ上方を含む領域に間隔をあけて膨張展開する左右一対のフレームダクト35と、頭部Hを前方から保護する前展開部36と、頭部Hを左右両側方から保護する一対の横展開部38と、頭部Hを上方から保護する上展開部48とを含んで構成されている。
フレームダクト35は、頭部Hに対するシート幅方向の両側にそれぞれ設けられて一対を成しており、それぞれ側面視で下向きに開口する略U字状に膨張展開される構成になっている。具体的には、フレームダクト35は、膨張展開状態における側面視で、ヘッドレスト18に沿って上下に延びる後ダクト35Rと、後ダクト35Rの上端から前方に延びる上ダクト35Uと、上ダクト35Uの前端から垂下される前ダクト35Fとを含んでいる。このフレームダクト35は、インフレータ32からのガスを前展開部36、横展開部38及び上展開部48に導く機能を備えている。
前展開部36は、頭部Hの前方で展開される部分を含む前膨張部40と、前膨張部40を複数の膨張部に区画する非膨張部42とを含んで構成されている。この実施形態では、前膨張部40は、それぞれ上下方向を長手方向としてシート幅方向と隣接して膨張展開される一対の上下膨張部40Aと、一対の上下膨張部40Aの下方に位置する下膨張部40Lとを含んで構成されている。下膨張部40L内は、フレームダクト35の前ダクト35F内と連通されており、一対の上下膨張部40A内は下膨張部40L内と連通されている。一対の上下膨張部40Aは、頭部Hの前方(正面)で膨張展開される構成とされており、下膨張部40Lは、乗員Pの胸部B及び肩部Sの前方で膨張展開される構成とされている。
非膨張部42は、一対の上下膨張部40Aをシート幅方向に区画する非膨張部42Aと、各上下膨張部40Aとフレームダクト35の前ダクト35Fとの間に介在される非膨張部42Bとを含んで構成されている。この実施形態では、非膨張部42Aは上下に延びる線状のシームにて構成され、非膨張部42Bは上下に延びる環(無端)状のシームにて囲まれた部分として構成されている。
横展開部38は、頭部Hの側方で膨張展開される横膨張部44と、横膨張部44を複数の膨張部に区画する非膨張部46とを含んで構成されている。横膨張部44内は、フレームダクト35の前ダクト35F内と連通されている。この実施形態では、膨張展開状態の横展開部38は、フレームダクト35によって後方、上方、前方の三方から囲まれており、側面視で略矩形状を成している。また、横展開部38は、側面視で頭部Hのほぼ全体にラップする大きさ(面積)を有している。この横展開部38の横膨張部44は、非膨張部46を構成するシームにおける下向きに開口する逆U字状を成すU字状シーム46Aによって、フレームダクト35と仕切られている。また、非膨張部46は、横膨張部44の下縁からU字状シーム46Aの開口内まで延びる前後一対の縦シーム46Bを含んで構成されている。
左右の横展開部38は、多方位エアバッグ30の膨張展開状態で、それぞれの横膨張部44の下端44Bが乗員Pの肩部S上に接触するようになっている。この横膨張部44の下端44Bの肩部Sに対する接触によって、膨張展開状態の多方位エアバッグ30の乗員P(の頭部H)に対する上下方向の位置が決まる構成である。この位置決め状態で多方位エアバッグ30は、通常の着座姿勢をとる乗員Pに対して、前展開部36、左右の横展開部38、及び後述する上展開部48の何れも頭部Hと接触しない(隙間が形成される)構成とされている。
上展開部48は、シート幅方向を長手方向として頭部Hの上方で膨張展開される展開部である。また、上展開部48には、図示しない非膨張部であるシームが設けられており、このシームによって上展開部48のシート上下方向の厚みが制限されている。この上展開部48内は、フレームダクト35の上ダクト35U内と連通されている。
以上のように構成された多方位エアバッグ30は、一例として、OPW(One Piece Wovenの略)により一体の袋体として形成されている。この多方位エアバッグ30は、通常時には、折り畳まれた状態でエアバッグケース50内に収納されている(図1参照)。なお、例えば2枚の織物の周縁を縫い合わせる方法(Cut & Sew)にて多方位エアバッグ30を一体の袋体として形成しても良い。
図4に示されるように、インフレータ32は、多方位エアバッグ30と共にエアバッグケース50内に設けられている。このインフレータ32は、ここではシリンダ型のインフレータとされており、シート幅方向を長手方向として配置されている。このインフレータ32は、燃焼式又はコールドガス式のものであり、前述した後ダクト35Rの下端に接続されている。これにより、インフレータ32から発生するガスが多方位エアバッグ30内に供給される構成になっている。
(カーテンエアバッグ装置の構成)
カーテンエアバッグ装置28は、自動車VのルーフRにおける左右両側部にそれぞれ設けられている。左右のカーテンエアバッグ装置28は、それぞれがカーテンエアバッグ28Aとインフレータ28Bとを備えている。カーテンエアバッグ28Aは、インフレータ28Bと共にモジュール化され、ルーフサイドレール25における図示しないフロントピラーからリヤピラーの近傍に至るまでの範囲に折り畳み状態で収容されている。左右のカーテンエアバッグ28Aは、インフレータ28Bからガス供給を受けると、左側座席12L及び右側座席12Rに着座した乗員PL、PRの頭部HL、HRに対して車幅方向外側に膨張展開する(図1図示状態)。具体的には、左右のカーテンエアバッグ28Aは、フロントピラーの下方からリヤピラーの下方に至る範囲で図示しないサイドウインドウに沿ってカーテン状に膨張展開される構成になっている。
(乗員保護ECU、衝突センサ、着座センサの構成)
乗員保護ECU52(以下、単に「ECU52」と称する)は、例えばキャビンCの前部の車両幅方向中央側に配置された図示しないセンタコンソールの下方でキャビンCのフロアFに取り付けられており、自動車Vの中央部付近に配設されている。このECU52には、左右のカーテンエアバッグ装置28の各インフレータ28Aと、多方位エアバッグ装置20C、20L、20Rの各インフレータ32C、32L、32Rとが電気的に接続されている。また、このECU52には、衝突センサ54が電気的に接続されている。
ECU52は、衝突センサ54からの信号に基づいて、自動車Vに対する各種形態の衝突が不可避であることを予知(予測)可能とされている。衝突センサ54は、車外の状況を撮影する車外カメラを含んで構成されている。なお、衝突センサ54は、ミリ波レーダやレーザレーダなどを含んで構成されたものでもよい。
上記の車外カメラには、例えば、ウインドシールドガラスの上部における車幅方向中央付近に設けられた図示しないステレオカメラが含まれている。そして、このステレオカメラによって車両の前方側を撮影し、車両への衝突体を検出するようになっている。また、ステレオカメラによって検出された衝突体までの距離や車両と衝突体との相対速度などを測定し、測定データをECU52へ出力するようになっている。そして、ECU52は、ステレオカメラからの測定データに基づいて車両の衝突が不可避であるかどうかについて判断する。
また、衝突センサ54は、一例として、左右のフロントサイドメンバに配置された左右の加速度センサ(フロントサテライトセンサ)と、ECU52内に実装された加速度センサ(フロアセンサ)と、フロントサイドドア及びリヤサイドドア内に配設された圧力センサ又は加速度センサ(ドア内センサ)と、Bピラー内及びCピラー内に配設された加速度センサ(ピラー内センサ)と、を含んで構成されている。さらに、衝突センサ54は、自動車Vのロールオーバ(の不可避)を検出するロールオーバセンサを含んで構成されている。
ECU52は、衝突センサ54からの信号に基づいて自動車Vの衝突を検知又は予知可能とされている。なお、本実施形態において、単に「衝突」と記載する場合、対称衝突(フルラップ衝突)、非対称衝突、側面衝突、及びロールオーバ(横転)を含むものとする。対称衝突は、自動車Vの正面全面が他車両等の衝突体と衝突する衝突形態である。また、非対称衝突は、自動車Vの正面における左右何れか片側が他車両等の衝突体と衝突する衝突形態である。この非対称衝突には、斜め衝突、オフセット衝突、微小ラップ衝突が含まれる。側面衝突は、自動車Vの側面が他車両等の衝突体と衝突する衝突形態である。
また、ECU52は、後部座席12の各座席12C、12L、12Rにそれぞれ設けられた着座センサ56C、56L、56Rのそれぞれと電気的に接続されている。着座センサ56C、56L、56Rは、例えば対応する座席のシートクッション14にそれぞれ設けられ、荷重等に基づいて各座席12C、12L、12Rへの乗員PC、PL、PRの着座の有無を検出するようになっている。この実施形態では、着座センサ56C、56L、56Rは、対応する座席のシートクッション14に乗員Pが着座している場合にON信号を出力し、着座していない場合にOFF信号を出力する構成とされている。着座センサ56Cは、本発明における「中央乗員検出センサ」に相当し、着座センサ56L及び着座センサ56Rは、本発明における「サイド乗員検出センサ」に相当する。なお、着座センサ56C、56L、56R全てが乗員検出センサに相当するものと捉えても良い。
ここで、このECU52は、衝突センサ54を用いて自動車Vの衝突を検知又は予知した際(本実施形態では予知した際:以下、単に「衝突予知時」と称する)に、着座センサ56C、56L、56Rからの信号に応じて、多方位エアバッグ装置20C、20L、20Rのインフレータ32C、32L、32Rの作動の有無を変更する構成になっている。
具体的には、ECU52は、衝突予知時に、中央座席12Cの着座センサ56CがON信号を出力している場合、中央座席12Cのインフレータ32Cを作動させる。これにより、ECU52は、中央座席12Cの多方位エアバッグ30Cを膨張展開させる。この際、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rのインフレータ32L、32Rを作動させず、左側座席12L及び右側座席12Rの多方位エアバッグ30L、32Rを膨張展開させない構成になっている。
また、ECU52は、衝突予知時に、中央座席12Cの着座センサ56CがON信号を出力しており、且つ、予知した衝突が非対称衝突、側面衝突又はロールオーバである場合、左右のカーテンエアバッグ装置28のインフレータ28Bを作動させる。この際、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rのインフレータ32L、32Rを作動させず、左側座席12L及び右側座席12Rの多方位エアバッグ30L、30Rを膨張展開させない構成になっている。なおこの場合、ECU52が、左右のカーテンエアバッグ装置28の各インフレータ28Bを同時に作動させる構成にしても良いし、衝突側のインフレータ28Bを反衝突側のインフレータ28Bよりも先に作動させる構成にしても良い。また、ECU52が左右のカーテンエアバッグ28Aを膨張展開させるための条件として、着座センサ56L、56RがON信号を出力していることを追加しても良い。
また、ECU52は、衝突予知時に、中央座席12Cの着座センサ56CがOFF信号を出力しており、且つ、左側座席12L及び右側座席12Rの着座センサ56L、56Rのうち少なくとも一方がON信号を出力している場合、以下のように制御する。すなわち、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rのインフレータ32L、32Rのうち上記少なくとも一方の側のインフレータ32を作動させる。これにより、ECU52は、上記少なくとも一方の側の多方位エアバッグ30を膨張展開させる。この際、ECU52は、中央座席12Cのインフレータ32C及び左右のインフレータ28Bを作動させず、中央座席12Cの多方位エアバッグ30C及び左右のカーテンエアバッグ28Aを膨張展開させない構成になっている。
(乗員保護ECUの制御フロー)
次に、図7及び図8を用いてECU52の制御フローについて説明する。なお、図7及び図8では、多方位エアバッグ30Cを「中央のMDAB」と記載し、多方位エアバッグ30L、30Rを「左右のMDAB」と記載し、多方位エアバッグ30Lを「左のMDAB」と記載し、多方位エアバッグ30Rを「右のMDAB」と記載し、左右のカーテンエアバッグ28Aを「左右のCAB」と記載している。
先ず図7に示されるステップS10では、ECU52は、衝突センサ54からの信号に基づき、自動車Vに衝突の可能性があるか否かを判断する。肯定判断の場合はステップS12に進み、否定判断の場合はステップS10での処理を繰り返す。
ステップS12では、ECU52は、着座センサ56Cからの信号に基づき、中央座席12Cに乗員PCが着座しているか否かを判断する。肯定判断の場合はステップS14に進み、否定判断の場合は後述するステップS20に進む。
ステップS14では、ECU52は、衝突センサ54からの信号に基づいて予知した衝突が、非対称衝突、側面衝突又はロールオーバであるか否かを判断する。否定判断の場合はステップS16に進み、肯定判断の場合はステップS18に進む。
ステップS16では、ECU52は、中央座席12Cのインフレータ32Cに作動信号を出力する。これにより、ECU52は、中央座席12Cの多方位エアバッグ30Cを膨張展開させる。
一方、ステップS14での判断が否定されてステップS18に進んだ場合、すなわち非対称衝突、側面衝突又はロールオーバが生じたとECU52が判断した場合、ECU52は、中央座席12Cのインフレータ32Cと、左右のカーテンエアバッグ装置28のインフレータ28Bとに作動信号を出力する。これにより、ECU52は中央座席12Cの多方位エアバッグ30C及び左右のカーテンエアバッグ28Aを膨張展開させる(図1図示状態)。このステップS18での処理が完了すると、制御(プログラム:以下同じ)が終了される。
一方、ステップS12において否定判断が成された場合、すなわち中央座席12Cに乗員PCが着座していないと判断した場合、ECU52はステップS20(図8参照)に進む。ステップS20では、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rのそれぞれに乗員PL、PRが着座しているか否かを判断する。肯定判断の場合はステップS22に進み、否定判断の場合はステップS24に進む。
ステップS22では、ECU52は、ステップS20において左側座席12L及び右側座席12Rに乗員PL、PRが着座していると判断したため、左側座席12L及び右側座席12Rのインフレータ32L、32Rに作動信号を出力する。これにより、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rの多方位エアバッグ30L、30Rを膨張展開させる。このステップS18での処理が完了すると、制御が終了される。
一方、ステップS20での判断が否定されてステップS24に進んだ場合、ECU52は、左側座席12Lに乗員PLが着座しているか否かを判断する。肯定判断の場合はステップS26に進み、否定判断の場合はステップS28に進む。
ステップS26では、ステップS24において左側座席12Lに乗員PLが着座していると判断したため、ECU52は左側座席12Lのインフレータ32Lに作動信号を出力する。これにより、ECU52は左側座席12Lの多方位エアバッグ30Lを膨張展開させる。このステップS18での処理が完了すると、制御が終了される。
一方、ステップS24での判断が否定されてステップS28に進んだ場合、ECU52は、右側座席12Rに乗員PRが着座しているか否かを判断する。肯定判断の場合はステップS30に進み、否定判断の場合は制御が終了される。
ステップS30では、ステップS28において右側座席12Rに乗員PRが着座していると判断したため、ECU52は右側座席12Rのインフレータ32Rに作動信号を出力する。これにより、ECU52は右側座席12Rの多方位エアバッグ30Rを膨張展開させる。このステップS30での処理が完了すると、制御が終了される。
なお、本実施形態において、インフレータ28B、32C、32L、32RがECU52によって作動されるタイミングは、ECU52が、衝突センサ54に含まれる加速度センサ等を用いて自動車Vの衝突を検知したときとされている。
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
上記構成の乗員保護装置10では、ECU52は、衝突センサ54を用いて自動車Vの衝突を予知した際に、着座センサ56Cが中央座席12Cへの乗員PCの着座を検出している場合、中央座席12Cに設けられた多方位エアバッグ30Cを膨張展開させる(図1参照)。この際、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rに設けられた多方位エアバッグ30L、30Rを膨張展開させない。これにより、多方位エアバッグ30Cが膨張展開過程で多方位エアバッグ30L、30Rと干渉することを防止できる。
また、中央座席12Cの多方位エアバッグ30Cは、中央座席12Cに着座した乗員PCの頭部HCに対して前方、上方及び左右両側方に膨張展開する。これにより、乗員PCの頭部HCを前方、上方及び左右両側方から保護することができる。しかも、図1に示されるように、左側座席12L及び右側座席12Rに乗員PL、PRが着座している場合でも、それらの乗員PL、PRの頭部HL、HRと、中央座席12Cに着座した乗員PCの頭部HCとの間に、多方位エアバッグ30Cの一部である左右の横膨張部44(横展開部38)が介在する。これにより、上記各乗員Pの頭部Hが衝突の衝撃によって直接ぶつかり合うこと防止できる。
さらに、この乗員保護装置10では、ECU52は、衝突予知時に、着座センサ56Cが中央座席12Cへの乗員PCの着座を検出しておらず、且つ着座センサ56L、56Rが左側座席12L及び右側座席12Rへの乗員Pの着座を検出している場合、左側座席12L及び右側座席12Rの多方位エアバッグ30L、30Rを膨張展開させる(図2参照)。
この際、ECU52は、中央座席12Cの多方位エアバッグ30C及び左右のカーテンエアバッグ28Aを膨張展開させない。これにより、多方位エアバッグ30L、30Rが膨張展開過程で多方位エアバッグ30C及び左右のカーテンエアバッグ28Aと干渉することを防止できる。また、多方位エアバッグ30L、30Rは、左側座席12L及び右側座席12Rに着座した乗員PL、PRの頭部HL、HRに対して前方、上方及び左右両側方に膨張展開する。これにより、乗員PL、PRの頭部HL、HRを多方位エアバッグ30L、30Rによって前方、上方及び左右両側方から保護することができる。
また、この乗員保護装置10では、ECU52は、衝突センサ54を用いて非対称衝突、側面衝突又はロールオーバを予知した際に、着座センサ56Cが中央座席12Cへの乗員PCの着座を検出している場合、左右のカーテンエアバッグ28Aを膨張展開させる。この際、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rに設けられた多方位エアバッグ30L、30Rを膨張展開させない。これにより、多方位エアバッグ30L、30Rと左右のカーテンエアバッグ28Aとが膨張展開過程で互いに干渉することを防止できる。
またこの場合、中央座席12Cの多方位エアバッグ30Cが膨張展開するので、中央座席12Cの乗員PCの頭部HCが多方位エアバッグ30Cによって保護される。また、図1に示されるように、左側座席12L及び右側座席12Rにそれぞれ乗員PL、PCが着座している場合、左側座席12L及び右側座席12Rの乗員PL、PCの頭部HL、HCがカーテンエアバッグ28Aと中央の多方位エアバッグ30Cとによって左右から囲まれて保護される。
以上説明したように、本実施形態では、3つの多方位エアバッグ30及び左右のカーテンエアバッグ28Aによって、隣接した複数の座席12C、12L、12Rに着座した乗員PC、PL、PRの頭部HC、HL、HRを保護するに際し、エアバッグ同士が膨張展開過程で互いに干渉し合うことを防止できる。
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態では、左側座席12L及び右側座席12Rにそれぞれ乗員PL、PRが着座している場合、ECU52が多方位エアバッグ30L、30Rを同時に膨張展開させる構成にしたが、本発明はこれに限定されない。すなわち、ECU52が予知した衝突が非対称衝突又は側面衝突である場合、多方位エアバッグ30L、30Rのうち、衝突側の多方位エアバッグ30が反衝突側の多方位エアバッグ30よりも先に膨張展開される構成にしても良い。以下、この点につき、図9に示されるECU52の制御フロー(変形例)を参照しながら説明する。
この図9に示される制御フローでは、上記第1実施形態に係る制御フローに対して、ステップS32、34、36が追加されている。この制御フローでは、ステップS20での判断が肯定された場合、すなわち左側座席12L及び右側座席12Rにそれぞれ乗員PL、PRが着座していると判断された場合にステップS32に移行する。
ステップS32では、ECU52は、予知した衝突が非対称衝突又は側面衝突であるか否かを判断する。否定判断の場合は前述したステップS22に進み、肯定判断の場合はステップS34に進む。
ステップS34では、非対称衝突又は側面衝突が生じたと判断したため、ECU52は、左側座席12L及び右側座席12Rのインフレータ32L、32Rのうち、衝突側のインフレータ32を作動させる。これにより、ECU52は、多方位エアバッグ30L、30Rのうち衝突側の多方位エアバッグ30を膨張展開させる。このステップS34での処理が完了すると、ステップS36に進む。
ステップS36では、ECU52は、ステップS34で衝突側のインフレータ32を作動させた時点から、予め定められたディレイ時間T1(例えば、数ミリセカンド〜数十ミリセカンド)が経過した時点で、インフレータ32L、32Rのうち反衝突側のインフレータ32を作動させる。これにより、ECU52は、多方位エアバッグ30L、30Rのうち反衝突側の多方位エアバッグ30を膨張展開させる。このステップS36での処理が完了すると、制御(プログラム)が終了される。
この変形例では、衝突側の多方位エアバッグ30、すなわち自動車Vの衝突箇所(衝突位置)に近い側の多方位エアバッグ30が、衝突箇所から遠い側の多方位エアバッグ30に優先的して膨張展開される。これにより、非対称衝突時又は側面衝突時における乗員PL、PRの挙動に応じて乗員PL、PRを適切に保護することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1実施形態と基本的に同様の構成及び作用については、前記第1実施形態と同符号を付与しその説明を省略する。
<第2の実施形態>
図10には、本発明の第2の実施形態に係る乗員保護装置60が適用された自動車VのキャビンC内が、一部を切り欠いた模式的な側面図にて示されている。この実施形態では、複数(ここでは3つ)の座席62F、62M、62Rを備えている。これらの座席62F、62M、62Rは、車両前後方向に隣接して並んでいる。以下、これらの座席62F、62M、62Rについて、区別なく説明する場合は、符号の末尾の「F」、「M」、「R」を省略する場合がある。
複数の座席62F、62M、62Rは、前記第1実施形態に係る中央座席12C、左側座席12L及び右側座席12Rと同様の構成とされており、それぞれが多方位エアバッグ装置20と着座センサ30(図10では図示省略)とを備えている。各多方位エアバッグ装置20と各着座センサ30にはECU52(図10では図示省略)が電気的に接続されている。
ECU52は、衝突センサ54(図10では図示省略)を用いて自動車Vの衝突を検知又は予知した際に、複数の座席62F、62M、62Rのうち隣り合う一対の座席62への乗員Pの着座を着座センサ30が検出している場合、上記一対の座席62のうちの一方の座席62に設けられた多方位エアバッグ30を膨張展開させる。この際、ECU52は、他方の座席62に設けられた多方位エアバッグ30を膨張展開させない。これにより、上記一方の座席62に設けられた多方位エアバッグ30と上記他方の座席62に設けられた多方位エアバッグ30とが膨張展開過程で互いに干渉することを防止できる。
また、上記一対の座席62の乗員Pの頭部Hが衝突の衝撃によって直接ぶつかり合うことを、上記一方の座席62の多方位エアバッグ30(膨張展開した多方位エアバッグ30)によって防止することができる。したがって、多方位エアバッグ30が膨張展開しない座席62の乗員(図10では乗員PC)も保護することができる。なお、座席62の数は3つに限らず複数であればよい。また複数の座席62が並ぶ方向は車両前後方向に限らず適宜変更可能である。例えば複数の座席62が車両平面視で環状に並んだ構成にしてもよい。
<第3の実施形態>
図11には、本発明の第3の実施形態に係る乗員保護装置70が適用された自動車VのキャビンC内が図3に対応した正面図にて示されている。この実施形態では、中央座席12Cには、多方位エアバッグ装置20及び着座センサ56が設けられていない構成になっている。
この実施形態では、多方位エアバッグ30L、30Rが同時に膨張展開した場合でも、これらの多方位エアバッグ30L、30R同士が膨張展開過程で互いに干渉することを防止できる。また、例えば左側座席12L及び右側座席12Rにそれぞれ乗員PL、PR(図12では図示省略)が着座している場合、乗員PL、PRの頭部HL、HRを図2に示される場合と同様に保護することができる。すなわち、乗員PL、PRの頭部HL、HRを多方位エアバッグ30L、30Rによって保護することができる。また、中央座席30Cにも乗員PC(図12では図示省略)が着座している場合、乗員PCの頭部HCを左右の多方位エアバッグ30L、30Rによって左右から囲んで保護することができる。
(実施形態の補足説明)
前記各実施形態では、ヘッドレスト18がシートバック16の上端部に連結された構成にしたが、本発明はこれに限らず、ヘッドレスト18がシートバック16の上端部に一体に設けられた構成にしても良い。また、前記各実施形態では、多方位エアバッグ30がヘッドレスト18に収容された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、多方位エアバッグ30の一部又は全部がシートバック16の上端部に収容された構成としても良い。
また、前記各実施形態では、シートクッション14に配設された着座センサ56が荷重等に基づいて乗員Pの着座を検出する構成にしたが、乗員検出センサ(中央乗員検出センサ及びサイド乗員検出センサ)はこれに限定されない。例えば、乗員検出センサは、シートバック16及びヘッドレスト18の少なくとも一方に設けられた静電容量センサを含んだ構成であっても良いし、後部座席12を撮影可能な車内カメラを含んだ構成であっても良い。また例えば、シートベルト装置17のバックルに設けられたバックルセンサが乗員検出センサとされた構成にしても良い。
また、前記第1、第3、第4実施形態では、後部座席12に乗員保護装置10、70、80が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係る乗員保護装置は、3人掛けの前部座席(フロントシート)や、3列シートレイアウトの3人掛けの2列目又は3列目の座席に適用しても良い。
また、前記第1実施形態では、左右のカーテンエアバッグ28A(左右のカーテンエアバッグ装置28)を備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、左右のカーテンエアバッグが省略された構成にしても良い。また、前記第1実施形態では、着座センサ56L、56R(サイド乗員検出センサ)を備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、サイド乗員検出センサが省略された構成にしても良い。
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で各種変形して実施可能であることは言うまでもない。
10 乗員保護装置
12C 中央座席
12L 左側座席(サイド座席)
12R 右側座席(サイド座席)
28A カーテンエアバッグ
30 多方位エアバッグ
52 乗員保護ECU(制御装置)
54 衝突センサ
56C 着座センサ(中央乗員検出センサ)
56L、56R 着座センサ(サイド乗員検出センサ)
60 乗員保護装置
62F、62M、62R 複数の座席
70 乗員保護装置
80 乗員保護装置
P 乗員
H 頭部
V 自動車(車両)

Claims (6)

  1. 車両の幅方向中央部に配置された中央座席と、
    前記中央座席の車幅方向両側に隣接して配置された左右のサイド座席と、
    前記中央座席及び前記左右のサイド座席にそれぞれ設けられ、前記各座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する3つの多方位エアバッグと、
    前記中央座席への乗員の着座の有無を検出する中央乗員検出センサと、
    衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記中央乗員検出センサが前記中央座席への乗員の着座を検出している場合、前記中央座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させ、前記左右のサイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない制御装置と、
    を備えた乗員保護装置。
  2. 前記サイド座席への乗員の着座の有無を検出するサイド乗員検出センサを備え、
    前記制御装置は、前記衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記中央乗員検出センサが前記中央座席への乗員の着座を検出しておらず、且つ、前記サイド乗員検出センサが前記サイド座席への乗員の着座を検出している場合、少なくとも乗員の着座が検出されている前記サイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させ、前記中央座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない請求項1に記載の乗員保護装置。
  3. 前記制御装置は、前記衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記サイド乗員検出センサが前記左右のサイド座席への乗員の着座を検出しており、且つ、検知又は予知した衝突が非対称衝突又は側面衝突である場合、衝突側の前記サイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを、反衝突側の前記サイド座席に設けられた前記多方位エアバッグよりも先に膨張展開させる請求項2に記載の乗員保護装置。
  4. 前記車両の左右両側部に設けられ、前記左右のサイド座席に着座した乗員の頭部に対して車幅方向外側に膨張展開する左右のカーテンエアバッグを備え、
    前記制御装置は、衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、前記中央乗員検出センサが前記中央座席への乗員の着座を検出しており、且つ、検知又は予知した衝突が非対称衝突、側面衝突又はロールオーバである場合、前記左右のカーテンエアバッグを膨張展開させると共に、前記左右のサイド座席に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない請求項1に記載の乗員保護装置。
  5. 車両に設けられ、所定の方向に隣接して並ぶ複数の座席と、
    前記複数の座席にそれぞれ設けられ、前記各座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する複数の多方位エアバッグと、
    前記複数の座席への乗員の着座の有無を検出する乗員検出センサと、
    衝突センサを用いて前記車両の衝突を検知又は予知した際に、隣り合う一対の前記座席への乗員の着座を前記乗員検出センサが検出している場合、前記一対の座席のうちの一方に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させ、他方に設けられた前記多方位エアバッグを膨張展開させない制御装置と、
    を備えた乗員保護装置。
  6. 車両の幅方向中央部に配置された中央座席と、
    前記中央座席の車幅方向両側に隣接して配置された左右のサイド座席と、
    前記中央座席及び前記左右のサイド座席のうち前記左右のサイド座席のみに設けられ、前記左右のサイド座席に着座した乗員の頭部に対して少なくとも左右両側方に膨張展開する2つの多方位エアバッグと、
    を備えた乗員保護装置。
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