JP2017182374A - 作業車 - Google Patents
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Abstract
【課題】自律走行開始操作や自律走行停止操作をした後、適当な時点で自律走行を開始したり停止したりすることが可能な作業車1を提供する。【解決手段】本発明の作業車1は、機体2と、予め設定した走行経路Pに沿って前記機体2を自律走行させる制御部4とを備える。前記制御部4は、前記機体2の自律走行を開始するにあたり、走行開始条件が成立するまで前記機体2を待機させることが可能である。また、前記制御部4は、前記機体2の自律走行を停止するにあたり、走行停止条件が成立するまで前記機体2の走行を継続することが可能である。【選択図】図6
Description
本発明は、自律走行が可能な作業車に関する。
従来、有人走行するマスター作業車と無人で自律走行するスレーブ作業車とに、それぞれ制御装置を搭載し、無線によって作業車間の通信を可能とし、スレーブ作業車にはマスター作業車と併走させるためのプログラムを備える技術はよく知られている(例えば特許文献1等参照)。この場合、オペレータがマスター作業車を操縦しながら、遠隔操作装置を操作してスレーブ作業車を自律走行させることによって、マスター作業車とスレーブ作業車とを併走させて例えば圃場での農作業を実行することが可能である。
ところで、前記従来の技術では、オペレータがマスター作業車の操縦と並行して、遠隔操作装置を用いて自律走行開始操作した時点で、スレーブ作業車は自律走行を開始する。また、オペレータがマスター作業車の操縦と並行して、遠隔操作装置を用いて自律走行停止操作した時点で、スレーブ作業車は自律走行を停止する。このため、オペレータは、スレーブ作業車の自律走行を開始させたり停止させたりしたい時点で、遠隔操作装置を用いて自律走行開始操作をしたり自律走行停止操作をしたりしなければならず、マスター作業車の操縦と相俟って、スレーブ作業車に対する遠隔操作装置の操作が面倒であるという問題があった。
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、自律走行開始操作や自律走行停止操作をした後、適当な時点で自律走行を開始したり停止したりすることが可能な作業車を提供することを技術的課題としている。
請求項1の発明は、機体と、予め設定した走行経路に沿って前記機体を自律走行させる制御部とを備えた作業車であって、前記制御部は、前記機体の自律走行を開始するにあたり、走行開始条件が成立するまで前記機体を待機させることが可能であるというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載の作業車において、別作業車に備わる別制御部と通信可能な通信部を備え、前記走行開始条件は、前記通信部を介して前記別制御部から前記制御部に取得される前記別作業車の現在位置が所定位置であることを含んでいるというものである。
請求項3の発明は、機体と、予め設定した走行経路に沿って前記機体を自律走行させる制御部とを備えた作業車であって、前記制御部は、前記機体の自律走行を停止するにあたり、走行停止条件が成立するまで前記機体の走行を継続することが可能であるというものである。
請求項4の発明は、請求項3に記載の作業車において、前記機体の位置情報を取得可能な位置情報取得部を備え、前記走行停止条件には、前記位置情報に基づく前記機体の現在位置が所定位置であることを含んでいるというものである。
請求項1及び2の発明によれば、機体と、予め設定した走行経路に沿って前記機体を自律走行させる制御部とを備えた作業車であって、前記制御部は、前記機体の自律走行を開始するにあたり、走行開始条件が成立するまで前記機体を待機させることが可能であるから、前記作業車の自律走行開始の予約が可能になり、予め前記作業車に対する自立走行開始操作をした後、前記走行開始条件が成立するという好適な時点(例えば前記作業車と別作業車とを併走させるに際して前記別作業車が随伴位置に到着したとき等)で、前記作業車の自律走行を開始できる。前記作業車の自律走行を開始させたい時点に合わせて、オペレータが自立走行開始操作をする必要がなくなり、前記作業車の走行操作性が向上する。
また、請求項3及び4の発明によれば、機体と、予め設定した走行経路に沿って前記機体を自律走行させる制御部とを備えた作業車であって、前記制御部は、前記機体の自律走行を停止するにあたり、走行停止条件が成立するまで前記機体の走行を継続するから、前記作業車の自律走行停止の予約が可能になり、予め前記作業車に対する自立走行停止操作をした後、前記走行停止条件が成立するという好適な時点(例えば前記作業車が圃場の枕地に到着したとき等)で、前記作業車の自律走行を停止できる。前記作業車の自律走行を停止させたい時点に合わせて、オペレータが自立走行停止操作をする必要がなくなり、前記作業車の走行操作性が向上する。
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。まず始めに、本発明に係る作業車の一例であるロボットトラクタ1(以下、単に「トラクタ」と称する場合がある。)について説明する。トラクタ1は、圃場を自律走行する機体2を備える。機体2には、図1及び図2において鎖線で示す作業機3が着脱可能に備えられる。当該作業機3は農作業に用いられる。この作業機3としては、例えば、耕耘機、プラウ、施肥機、草刈機、播種機等の種々の作業機があり、これらの中から必要に応じて所望の作業機3を選択して機体2に装着することができる。機体2は、装着された作業機3の高さ及び姿勢を変更可能に構成されている。
トラクタ1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。トラクタ1の機体である機体2は、図1に示すように、その前部が左右一対の前輪7,7で支持され、その後部が左右一対の後輪8,8で支持されている。前輪7,7及び後輪8,8が走行部を構成している。
機体2の前部にはボンネット9が配置されている。このボンネット9内にはトラクタ1の駆動源であるエンジン10及び燃料タンク(図示省略)等が収容されている。このエンジン10は、例えばディーゼルエンジンにより構成することができるが、これに限るものではなく、例えばガソリンエンジンにより構成しても良い。また、駆動源としては、エンジンに加えて、又はこれに代えて、電気モータを使用しても良い。
ボンネット9の後方には、オペレータが搭乗するキャビン11が配置されている。このキャビン11の内部には、オペレータが操向操作するためのステアリングハンドル12と、オペレータが座ることが可能な座席13と、各種の操作を行うための様々な操作装置と、が主として設けられている。ただし、農業用作業車両は、キャビン11付きのものに限るものではなく、キャビン11を備えないものであってもよい。
図示は省略するが、上記の操作装置としては、例えばモニタ装置、スロットルレバー、主変速レバー、昇降レバー、PTOスイッチ、PTO変速レバー及び複数の油圧変速レバー等が挙げられる。これら操作装置は、座席13の近傍又はステアリングハンドル12の近傍に配置されている。
モニタ装置は、トラクタ1の様々な情報を表示可能に構成されている。スロットルレバーは、エンジン10の回転速度を設定するものである。主変速レバーは、ミッションケース22の変速比を変更操作するものである。昇降レバーは、機体2に装着された作業機3の高さを所定範囲内で昇降操作するものである。PTOスイッチは、ミッションケース22の後端側から外向きに突出したPTO軸(動力取出軸)への動力伝達を継断操作するものである。すなわち、PTOスイッチがON状態であるときPTO軸に動力が伝達されてPTO軸が回転し、作業機3が駆動される一方、PTOスイッチがOFF状態であるときPTO軸への動力が遮断されてPTO軸が回転せず、作業機3が停止する。PTO変速レバーは、作業機3に入力される動力の変更操作を行うものであり、具体的にはPTO軸の回転速度の変速操作を行うものである。油圧変速レバーは、油圧外部取出バルブを切換操作するものである。
図1に示すように、機体2の下部には、その骨組を構成するシャーシ20が設けられている。当該シャーシ20は、機体フレーム21、ミッションケース22、フロントアクスル23、及びリアアクスル24等から構成されている。
機体フレーム21は、トラクタ1の前部における支持部材であって、直接、又は防振部材等を介してエンジン10を支持している。ミッションケース22は、エンジン10からの動力を変化させてフロントアクスル23及びリアアクスル24に伝達する。フロントアクスル23は、ミッションケース22から入力された動力を前輪7に伝達するように構成されている。リアアクスル24は、ミッションケース22から入力された動力を後輪8に伝達するように構成されている。
図3に示すように、トラクタ1は、機体2の動作(前進、後進、停止及び旋回等)並びに作業機3の動作(昇降、駆動、及び停止等)を制御するための制御部として、制御装置4を備える。制御装置4には、燃料噴射装置としてのコモンレール装置41、変速装置42、及び昇降アクチュエータ44等がそれぞれ電気的に接続されている。
コモンレール装置41は、エンジン10の各気筒に燃料を噴射するものである。この場合、エンジン10の各気筒に対するインジェクタの燃料噴射バルブが制御装置4で開閉制御されることによって、燃料供給ポンプによって燃料タンクからコモンレール装置41に圧送された高圧の燃料が各インジェクタからエンジン10の各気筒に噴射され、各インジェクタから供給される燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)が高精度にコントロールされる。
変速装置42は、具体的には例えば可動斜板式の油圧式無段変速装置であり、ミッションケース22に備えられている。変速装置42を制御装置4により制御して斜板の角度を適宜に調整することにより、ミッションケース22の変速比を所望の変速比にすることができる。
昇降アクチュエータ44は、例えば作業機3を機体2に連結している三点リンク機構を動作させることにより、作業機3を退避位置(農作業を行わない位置)又は作業位置(農作業を行う位置)の何れかに上げ下げするものである。昇降アクチュエータ44を制御装置4により制御して作業機3を適宜に昇降動作させることにより、例えば圃場領域の所望の高さで作業機3により農作業を行うことができる。
また、制御装置4には、エンジン10の回転速度を検出する回転速度センサ31、後輪8の回転速度を検出する車速センサ32、ハンドル12の回動角度(操舵角)を検出する操舵角センサ33等のセンサ類も電気的に接続している。これらセンサの検出値が検出信号に変換されて制御装置4に送信される。
上述のような制御装置4を備えるトラクタ1は、オペレータがキャビン11内に搭乗して各種操作をすることにより、当該制御装置4によりトラクタ1の各部(機体2、作業機3等)を制御して、圃場内を走行しながら農作業を実行可能に構成されている。加えて、実施形態のトラクタ1は、例えばオペレータが搭乗しなくても、遠隔操作装置46により出力される所定の制御信号に基づいて自律走行させることが可能となっている。
具体的には、図3に示すように、このトラクタ1は自律走行を可能とするための各種の構成を制御装置4内に備えている。更に、トラクタ1は、測位システムに基づいて自ら(の機体)の位置情報を取得するために必要な測位用アンテナ6等の各種の構成を備えている。このような構成により、トラクタ1は、測位システムに基づいて自らの位置情報を取得して、圃場上を自律走行することが可能となっている。
次に、自律走行のためにトラクタ1が備える構成について詳細に説明する。具体的には、トラクタ1は、図1及び図3に示すように、操舵アクチュエータ43、測位用アンテナ6、及び無線通信用アンテナ48等を備える。
操舵アクチュエータ43は、例えば、ステアリングハンドル12の回転軸(ステアリング軸)の中途部に設けられ、ステアリングハンドル12の回動角度(操舵角)を調整するものである。予め定められた経路をトラクタ1が(無人トラクタとして)走行する場合、制御装置4は、当該経路に沿ってトラクタ1が走行するようにステアリングハンドル12の適切な回動角度を算出し、算出した回動角度でステアリングハンドル12が回動するように操舵アクチュエータ43を制御する。
測位用アンテナ6は、例えば衛星測位システム(GNSS)等の測位システムを構成する測位衛星からの信号を受信するものである。図1に示すように、測位用アンテナ6は、キャビン11における屋根14の上面に配置されている。測位用アンテナ6で受信された信号は、図3に示す位置及び傾斜角情報算出部49に入力されて、当該位置及び傾斜角情報算出部49でトラクタ1(厳密には、測位用アンテナ6)の位置情報が、例えば緯度・経度情報として算出される。当該位置及び傾斜角情報算出部49で算出された位置情報は、制御装置4の位置及び傾斜角情報取得部50により取得されて、トラクタ1の制御に利用される。
実施形態の位置及び傾斜角情報算出部49は、トラクタ1(機体2)の位置情報だけでなく、前後左右の傾斜角情報を計測可能になっている。位置及び傾斜角情報算出部49で計測された傾斜角情報は、制御装置4の位置及び傾斜角情報取得部50により位置情報(緯度・経度情報)と対応付けた状態で取得されて、トラクタ1の制御に利用される。なお、位置及び傾斜角情報算出部49は、圃場面に対する測位用アンテナ6の高さ位置、ひいてはトラクタ1(機体2)の車高を計測することも可能である。
なお、本実施形態ではGNSS−RTK法を利用した高精度の衛星測位システムを利用しているが、これに限られるものではなく、高精度の位置座標が得られる限りにおいて他の測位システムを用いてもよい。GNSS−RTKは、位置のわかっている基準局の情報に基づいて、補正して精度を高めた測位方式で、基準局からの情報の配信方法の違いで複数の方式が存在する。本発明はGNSS−RTK方式には依存しないので、本実施例では詳細は割愛する。
無線通信用アンテナ48は、遠隔操作装置46からの信号を受信したり、遠隔操作装置46への信号を送信したりするものである。図1に示すように、無線通信用アンテナ48は、トラクタ1のキャビン11の屋根14の上面に配置されている。無線通信用アンテナ48で受信した遠隔操作装置46からの信号は、図3に示す送受信処理部47で信号処理された後、制御装置4に入力される。また、制御装置4から遠隔操作装置46に送信する信号は、送受信処理部47で信号処理された後、無線通信用アンテナ48から送信されて、遠隔操作装置46で受信される。
更に、トラクタ1には、ブレーキペダルや駐車ブレーキレバーの操作と自動制御という2つの系統によって、左右の後輪8,8にブレーキを掛ける左右一対のブレーキ装置26,26を設けている。すなわち、左右両方のブレーキ装置26,26は、ブレーキペダル(又は駐車ブレーキレバー)の制動方向への操作によって、左右両方の後輪8,8にブレーキを掛けるように構成されている。また、ハンドル12の回動角度が所定角度以上になれば、制御装置4の指令によって、旋回内側の後輪8に対するブレーキ装置26が自動的に制動動作をするように構成されている(いわゆるオートブレーキ)。
なお、トラクタ1には、前方、側方又は後方に障害物があるか否かを検出する障害物センサ35が取り付けられている。障害物センサ35は、レーザセンサ、超音波センサ等によって構成され、トラクタ1の前方、側方及び後方に存在する障害物を認識し、検出信号を生成する。また、トラクタ1は、前方、側方、及び後方を撮影するカメラ36が取り付けられる。障害物センサ35及びカメラ36は、制御装置4に電気的に接続している。これらセンサの検出値が検出信号に変換されて制御装置4に送信される。
遠隔操作装置46は、具体的には、タッチパネルを備えるタブレット型のパーソナルコンピュータとして構成される。オペレータは、遠隔操作装置46のタッチパネルに表示された情報(例えば、自律走行を行うときに必要な圃場の情報等)を参照して確認することができる。また、オペレータは、遠隔操作装置46を操作して、トラクタ1の制御装置4に、トラクタ1を制御するための制御信号を送信することができる。なお、実施形態の遠隔操作装置46はタブレット型のパーソナルコンピュータに限るものではなく、これに代えて、例えばノート型のパーソナルコンピュータで構成することも可能である。あるいは、有人のトラクタ(図示省略)を無人のトラクタ1に随伴して走行させる場合、有人側のトラクタに搭載されるモニタ装置を遠隔操作装置とすることもできる。
図3に示す制御装置4は、トラクタ1の自律走行制御のための各部を備えており、これと併せて測位用アンテナ6等の各種構成をトラクタ1に設けることにより、既存のトラクタを無人のトラクタ1として利用することが可能になっている。制御装置4は、CPU、ROM、RAM等を有する小型のコンピュータとして構成されており、上記のROMには、オペレーションプログラム、アプリケーションプログラム並びに各種データ等が記憶されている。上記のハードウェアとソフトウェアとの協働により、制御装置4を、位置及び傾斜角情報取得部50、領域情報記憶部51、作業情報記憶部52、輪郭登録点記憶部53、領域形状取得部54、経路生成部55、及び表示用データ作成部56等として動作させることができる。
このように構成されたトラクタ1は、遠隔操作装置46を用いるオペレータの指示に基づいて、圃場領域(走行領域)での走行経路を経路生成部55によって算出し、当該走行経路に沿って自律走行しつつ、作業機3による農作業を行うことができる。このように、トラクタ1が自律走行する圃場領域(走行領域)内の経路を、以下の説明において「走行経路」と称する場合がある。また、圃場領域(走行領域)においてトラクタ1の作業機3による農作業の対象となる領域を「作業領域」と称する場合がある。当該作業領域は、圃場領域の全体から枕地及び余裕代を除いた領域として定められ、オペレータ等が後述の登録点の登録作業を実行したときにこれら登録点とトラクタ1の作業幅とに基づいて設定される。
次に、自律走行を可能とするために制御装置4に備えられている各部について、図3を参照して個別に説明する。
制御装置4を用いて構成される位置及び傾斜角情報取得部50は、測位用アンテナ6により取得された測位システムからの測位信号に基づいて、位置及び傾斜角情報算出部49で算出されたトラクタ1の位置情報(具体的には緯度・経度情報等)を取得すると共に、位置及び傾斜角情報算出部49で計測したトラクタ1の前後左右の傾斜角情報を、位置情報(緯度・経度情報)と対応付けた状態で取得するものである。
制御装置4を用いて構成される領域情報記憶部51は、トラクタ1で自律走行による農作業を行う対象となる圃場等の領域に関する様々な情報を記憶するものである。圃場に関する情報としては、具体的には、圃場の位置及び形状(圃場領域又は走行領域と言ってもよい)、圃場において作業機3による農作業が行われる作業領域の位置及び形状、圃場で作業機3による農作業が開始される地点である開始位置、農作業が終了される地点である終了位置等を挙げることができる。
圃場の位置及び形状、すなわち圃場領域(走行領域)は、走行経路を生成するに先立って、トラクタ1の機体2を有人走行させて圃場を周回したときの走行軌跡から特定され、後述する領域形状取得部54により取得される。走行経路を生成する前の段階とは、作業機3での農作業を伴うトラクタ1(機体2)の走行を開始させる前の段階に相当する。また、作業領域の位置及び形状も、後述する領域形状取得部54により取得される。その他の情報は、例えばオペレータが遠隔操作装置46のタッチパネルを操作すること等により設定することができる。開始位置や終了位置の情報は、圃場領域(走行領域)の情報を領域形状取得部54で取得した後で、オペレータが遠隔操作装置46のタッチパネルを操作することによって設定される。圃場領域や作業領域の情報(領域情報と言ってもよい)には、各位置情報(緯度・経度情報)に対応付けた前後左右の傾斜角情報が含まれる。
制御装置4を用いて構成される作業情報記憶部52は、トラクタ1の機体2に装着した作業機3により行われる作業の種類、作業幅、及びオーバーラップ幅等を、作業情報として記憶する。実施形態では、これらの情報は、オペレータが遠隔操作装置46のタッチパネルを操作することにより設定することができる。作業の種類としては、例えば耕耘作業、播種作業等である。作業幅は、作業機3により作業が行われる有効幅を意味し、例えば3メートルである。オーバーラップ幅は、隣り合う走行経路をトラクタ1がそれぞれ走行する場合に、作業機3による上記の作業幅が重複する(重複が許容される)幅を意味し、例えば30センチメートルである。
制御装置4を用いて構成される輪郭登録点記憶部53は、図4に示す圃場領域F(走行領域)の輪郭を構成する複数の地点(例えば、角部F1〜F4が含まれてもよい)にトラクタ1の機体2が位置した際の位置情報を登録する作業をオペレータが行った場合に、当該位置情報並びにこれに対応した傾斜角情報を記憶するものである。前述の通り、圃場領域Fの特定は、走行経路を生成するに先立って、トラクタ1の機体2を有人走行させて圃場を周回したときの走行軌跡に基づいて得られる。実施形態において、輪郭登録点記憶部53は、走行軌跡上の上記複数の地点における位置情報及び傾斜角情報を記憶する。本実施形態において、輪郭登録点記憶部53に登録された地点を登録点と称することがある。
領域形状取得部54は、輪郭登録点記憶部53から読み出した複数の登録点の位置情報及び傾斜角情報に基づいて、圃場領域Fの(傾斜を含む)形状を取得する。更に、領域形状取得部54は、上述の圃場領域Fの形状と作業情報記憶部52から読み出した作業情報(少なくとも作業幅情報)とに基づいて、作業領域Wの(傾斜を含む)形状を取得する。具体的には、登録点同士を結ぶ線分が交わらないようにいわゆる閉路グラフにより特定した多角形(実施形態では四角形)を、圃場領域Fや作業領域Wの形状として取得する。
経路生成部55は、作業情報記憶部52から読み出した作業情報、及び領域情報記憶部51から読み出した作業領域Wの情報に基づいて、トラクタ1の機体2を自律走行させる走行経路Pを計算により作成する。走行経路Pは、複数の直線路Ps及び複数の旋回路Pcを含んでいる。すなわち、走行経路Pは、農作業が行われる直線状又は折れ線状の経路である直線路Ps(作業路と言ってもよい)と、旋回操作(方向転換)が行われる旋回路Pc(非作業路と言ってもよい)とを交互に繋いだ一連の経路として生成される。従って、実施形態によると、傾斜を踏まえた上で圃場領域Fを特定して、圃場領域Fの面積を高精度に計測できる。その結果、最適な走行経路Pの生成が可能になる。
表示用データ作成部56は、領域形状取得部54で取得して領域情報記憶部51に記憶された圃場領域F及び作業領域Wの形状を、遠隔操作装置46のタッチパネル上に表示させるための表示用データを作成する。表示用データ作成部56で作成された表示用データは、送受信処理部47を介して遠隔操作装置46で受信され、当該遠隔操作装置46のタッチパネル上に画像として表示される。
次に、図5〜図12を参照しながら、トラクタ1の自律走行開始予約制御及び自律走行停止予約制御の態様について説明する。ここでは、無人で自律走行可能なロボットトラクタ1に、オペレータが搭乗して操縦するトラクタ101(以下、「有人トラクタ」と称する場合がある。)を随伴させて、両トラクタ1、101に併走作業をさせる場合、すなわち、無人トラクタ1と有人トラクタ101とのそれぞれに同種の作業機3、103を装着して併走しながらの農作業を実行する場合を、例に挙げて説明する。
別作業車としての有人トラクタ101は、オペレータが搭乗して操縦するものであると共に、前述の遠隔操作装置46を搭載して無人トラクタ1を操作することも可能になっている。有人トラクタ101の基本構成は無人トラクタ1とほぼ同様であるので、その詳細な説明は割愛する。なお、有人トラクタ101の各部の符号は、これに対応する無人トラクタ1の各部の符号に「100」を足した数字に設定している(例えば無人トラクタ1の機体2に対して、有人トラクタ101の機体102)。図9に示すように、無人トラクタ1は走行経路Pに沿って走行し、その左又は右斜め後方(側方であってもよい)を有人トラクタ101が走行して、有人トラクタ101から無人トラクタ1を監視しながら圃場内での農作業が実行可能である。
遠隔操作装置46は、有人トラクタ101や無人トラクタ1におけるダッシュボード等の操作部に着脱可能になっている。このため、遠隔操作装置46は、有人トラクタ101の操作部に装着した状態での操作、両トラクタ1、101外である圃場に持ち出し携帯しての操作、更には無人トラクタ1の操作部に装着した状態での操作も可能である。図8以降の例では、有人トラクタ101の操作部に装着した状態で遠隔操作装置46を操作することを想定している。
図7は、無人トラクタ1の自律走行時における遠隔操作装置46の表示画面の一例を示している。遠隔操作装置46のタッチパネル上には、圃場領域F、作業領域W及び走行経路Pの画像が表示されると共に、無人トラクタ1の自律走行開始や自律走行停止(一時停止)を操作する開始/停止スイッチ58、及び、無人トラクタ1を緊急停止させる緊急停止スイッチ59等が表示される。トラクタ1の一時停止と緊急停止との違いは、トラクタ1を一時停止させた場合、遠隔操作装置46の開始/停止スイッチ58を押下することでトラクタ1の自律走行を開始させることが可能であるのに対して、トラクタ1を緊急停止させた場合、遠隔操作装置46の開始/停止スイッチ58を押下することでトラクタ1の自律走行を開始させることができない点にある。トラクタ1を緊急停止させた場合、オペレータがトラクタ1に搭乗し、所定の機能(例えばPTOスイッチの入切)に関して初期化作業(例えばPTOスイッチを一度「切」にしてから「入」にする)を行わなければ自律走行を開始させることができない。
無人トラクタ1の走行停止状態で、開始/停止スイッチ58を指又はペンで短押しすると、無人トラクタ1は自律走行を即座に開始する。無人トラクタ1の自律走行中に、開始/停止スイッチ58を指又はペンで短押しすると、無人トラクタ1は自律走行を即座に停止する。
また、無人トラクタ1の走行停止状態で、開始/停止スイッチ58を指又はペンで長押し(例えば数秒程度)すると、無人トラクタ1の自律走行開始予約制御を実行する(詳細は後述する)。無人トラクタ1の自律走行中に、開始/停止スイッチ58を指又はペンで長押し(例えば数秒程度)すると、無人トラクタ1の自律走行停止予約制御を実行する(詳細は後述する)。
前述の通り、遠隔操作装置46と無人トラクタ1とは、無線で相互に通信可能になっている。これに加えて、無人トラクタ1と有人トラクタ101とにおいても、無線で相互に通信可能になっている。有人トラクタ101の制御装置104から無人トラクタ1に送信する信号は、送受信処理部147で信号処理された後、無線通信用アンテナ148から送信されて、無人トラクタ1の無線通信用アンテナ48で受信される。無線通信用アンテナ48で受信した有人トラクタ101からの信号は、送受信処理部47で信号処理された後、無人トラクタ1の制御装置4に入力される。従って、無人トラクタ1の制御装置4は、測位用アンテナ106で受信し位置及び傾斜角情報算出部149で算出した有人トラクタ101の位置情報(緯度・経度情報)を取得可能である。
無人トラクタ1の制御装置4は、無人トラクタ1(機体2)の自律走行を開始するにあたり、走行開始条件が成立するまで無人トラクタ1(機体2)を待機させることが可能になっている。例えば無人トラクタ1を圃場内の開始位置Sに停止させ、無人トラクタ1の左又は右斜め後方(側方でもよい)の随伴位置A(図9参照)に向けて、オペレータが有人トラクタ101を操縦する最中又は操縦する直前等に、オペレータが遠隔操作装置46の開始/停止スイッチ58を指又はペンで長押しすると、無人トラクタ1の自律走行開始予約制御がスタートする。
図8は自律走行開始予約制御の一例を示すフローチャートである。この場合、開始/停止スイッチ58の長押しが終了したあと所定時間(例えば10秒程度)が経過したら(S101:YES)、無人トラクタ1の準備完了条件が成立し(S102:YES)、無人トラクタ1が所定位置(この場合は開始位置S)に停止中であり(S103:YES)、且つ無人トラクタ1の各部に異常がなければ(S104:YES)、走行経路Pに沿っての無人トラクタ1の自律走行を開始させる(S105)。無人トラクタ1のいずれかの部位に異常があれば(S104:NO)、無人トラクタ1は停止状態を維持する(S106)。無人トラクタ1の自律走行開始までには所定時間(例えば10秒程度)を要するため、それまでに、オペレータが操縦する有人トラクタ101は、随伴位置Aに到達しておく(あるいは随伴位置Aで待機しておく)ことが可能である。従って、無人トラクタ1と有人トラクタ101とで併走しながらの農作業をスムーズに開始できる。
図8のステップS101に示す開始/停止スイッチ58の長押しが終了したあと所定時間(例えば10秒程度)が経過するか否かは、本実施形態において走行開始条件の一種であり、開始/停止スイッチ58の長押しが終了したあと上記所定時間経過することが走行開始条件の成立を構成する。準備完了条件としては、無人トラクタ1が走行経路P上に位置している(逸脱していない)こと、測位用アンテナ6、106が測位衛星からの信号を受信可能な(切断されていない)状態であること、並びに、無人トラクタ1と遠隔操作装置46との通信が切断されていないこと等が挙げられる。無人トラクタ1の各部の異常としては、例えば各種センサやアクチュエータ等の異常が挙げられる。
上記のように制御すると、無人トラクタ1の自律走行開始の予約が可能になり、予め無人トラクタ1に対する自立走行開始操作をした後、走行開始条件が成立するという好適な時点(例えば無人トラクタ1と有人トラクタ101とを併走させるに際して有人トラクタ101が随伴位置に到着したとき等)で、無人トラクタ1の自律走行を開始できる。無人トラクタ1の自律走行を開始させたい時点に合わせて、オペレータが自立走行開始操作をする必要がなくなり、無人トラクタ1の走行操作性が向上する。
図10は自律走行開始予約制御の別例を示すフローチャートである。図10に示す別例の自律走行開始予約制御において走行開始条件は少なくとも、有人トラクタ101から無人トラクタ1に送信される有人トラクタ101の現在位置が所定位置(無人トラクタ1の左又は右斜め後方(側方でもよい)の随伴位置A)であることを含んでいる。また、当該別例の準備完了条件は、先の一例の準備可能条件と同様である。
この場合、オペレータが遠隔操作装置46の開始/停止スイッチ58を指又はペンで長押しして、無人トラクタ1の自律走行開始予約制御をスタートさせたら、無人トラクタ1の準備完了条件が成立し(S201:YES)、無人トラクタ1が所定位置(この場合は開始位置S)に停止中であり(S202:YES)、有人トラクタ101が所定位置(この場合は随伴位置A)に到達し(S203:YES)、且つ無人トラクタ1の各部に異常がなければ(S204:YES)、走行経路Pに沿っての無人トラクタ1の自律走行を開始させる(S105)。無人トラクタ1のいずれかの部位に異常があれば(S204:NO)、無人トラクタ1は停止状態を維持する(S206)。
従って、別例のように制御した場合も、先の一例と同様の作用効果を奏するが、オペレータが操縦する有人トラクタ101が随伴位置Aに到達したことを条件の一つとして無人トラクタ1の自律走行を開始させるから、無人トラクタ1を所定時間待機させる先の一例よりも、より高精度に無人トラクタ1の自律走行開始のタイミングを調整できる。
さて、無人トラクタ1の制御装置4は、無人トラクタ1(機体2)の自律走行を停止するにあたり、走行停止条件が成立するまで無人トラクタ1(機体2)の走行を継続させることが可能になっている。例えば無人トラクタ1と有人トラクタ101との併走作業中に、オペレータが遠隔操作装置46の開始/停止スイッチ58を指又はペンで長押しすると、無人トラクタ1の自律走行停止予約制御がスタートする。
図11は自律走行停止予約制御の一例を示すフローチャートである。無人トラクタ1の自律走行停止予約制御をスタートさせたら、無人トラクタ1の準備完了条件が成立し(S301:YES)、且つ無人トラクタ1の各部に異常がなければ(S302:YES)、現在自律走行中の直線路Psの終端である停止予定位置ST(次の旋回路Pcに繋がる位置)まで、無人トラクタ1の自律走行を継続させる(S303)。無人トラクタ1が停止予定位置に到達したら(S304:YES)、無人トラクタ1の自律走行を停止する(S305)。無人トラクタ1のいずれかの部位に異常があれば(S302:NO)、ステップS305に移行して、無人トラクタ1は自律走行を即座に停止する。
図11に示す例の走行停止条件には、測位用アンテナ6で受信し位置及び傾斜角情報算出部49で算出した位置情報(緯度・経度情報)に基づく無人トラクタ1(機体2)の現在位置が所定位置(この場合は停止予定位置ST)であることを含んでいる。また、当該例の準備完了条件は、自律走行開始制御の一例及び別例で示した準備可能条件と同様である。
上記のように制御すると、無人トラクタ1の自律走行停止の予約が可能になり、予め無人トラクタ1に対する自立走行停止操作をした後、走行停止条件が成立するという好適な時点(例えば無人トラクタ1が圃場の枕地に到着したとき等)で、無人トラクタ1の自律走行を停止できる。無人トラクタ1の自律走行を停止させたい時点に合わせて、オペレータが自立走行停止操作をする必要がなくなり、無人トラクタ1の走行操作性が向上する。
上記実施形態においては、トラクタ1の制御装置4が、位置及び傾斜角情報取得部50、領域情報記憶部51、作業情報記憶部52、輪郭登録点記憶部53、領域形状取得部54、経路生成部55、及び表示用データ作成部56として機能することとしたが、これに限られるものではない。即ち、上記構成は遠隔操作装置46が備えていてもよいし、一部が制御装置4に備えられ、他部が遠隔操作装置46に備えられていてもよい。また、上記構成の全部又は一部を、制御装置4及び遠隔操作装置46の双方が備えていてもよい。
従って、本発明の経路生成装置はトラクタ1に備えられる構成であってもよいし、遠隔操作装置46に備えられる構成であってもよい。経路生成装置が遠隔操作装置46に備えられる場合、遠隔操作装置46は、トラクタ1に備えられた位置及び傾斜角情報取得部50により算出されたトラクタ1の位置情報及び傾斜角情報を、無線通信用アンテナ48を介して取得可能である。また、遠隔操作装置46により走行経路が生成される場合、遠隔操作装置46は、記憶部51、52を備えており、各記憶部51、52から取得した情報(作業情報及び作業領域Wの情報)に基づいて生成する。そして、遠隔操作装置46はトラクタ1に対して生成した走行経路に沿って走行するよう指示(自律走行開始制御信号を送信)することが可能であり、その場合、制御装置4は遠隔操作装置46の指示に基づいてトラクタ1の各部を制御して自律走行させる。
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
1 ロボットトラクタ
2 機体
3 作業機
4 制御装置
6 測位用アンテナ
26 ブレーキ装置
46 遠隔操作装置
48 無線通信用アンテナ
49 位置及び傾斜角情報算出部
50 位置及び傾斜角情報取得部
51 領域情報記憶部
52 作業情報記憶部
53 輪郭登録点記憶部
54 領域形状取得部
55 経路生成部
56 表示用データ作成部
58 開始/停止スイッチ
2 機体
3 作業機
4 制御装置
6 測位用アンテナ
26 ブレーキ装置
46 遠隔操作装置
48 無線通信用アンテナ
49 位置及び傾斜角情報算出部
50 位置及び傾斜角情報取得部
51 領域情報記憶部
52 作業情報記憶部
53 輪郭登録点記憶部
54 領域形状取得部
55 経路生成部
56 表示用データ作成部
58 開始/停止スイッチ
Claims (4)
- 機体と、予め設定した走行経路に沿って前記機体を自律走行させる制御部とを備えた作業車であって、
前記制御部は、前記機体の自律走行を開始するにあたり、走行開始条件が成立するまで前記機体を待機させることが可能である、
作業車。 - 別作業車に備わる別制御部と通信可能な通信部を備え、
前記走行開始条件は、前記通信部を介して前記別制御部から前記制御部に取得される前記別作業車の現在位置が所定位置であることを含んでいる、
請求項1に記載の作業車。 - 機体と、予め設定した走行経路に沿って前記機体を自律走行させる制御部とを備えた作業車であって、
前記制御部は、前記機体の自律走行を停止するにあたり、走行停止条件が成立するまで前記機体の走行を継続することが可能である、
作業車。 - 前記機体の位置情報を取得可能な位置情報取得部を備え、
前記走行停止条件には、前記位置情報に基づく前記機体の現在位置が所定位置であることを含んでいる、
請求項3に記載の作業車。
Priority Applications (6)
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---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2016
- 2016-03-30 JP JP2016067254A patent/JP2017182374A/ja active Pending
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