JP2017176034A - 焼成食品生地および焼成食品生地の製造方法、並びに焼成食品および焼成食品の製造方法 - Google Patents
焼成食品生地および焼成食品生地の製造方法、並びに焼成食品および焼成食品の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017176034A JP2017176034A JP2016068227A JP2016068227A JP2017176034A JP 2017176034 A JP2017176034 A JP 2017176034A JP 2016068227 A JP2016068227 A JP 2016068227A JP 2016068227 A JP2016068227 A JP 2016068227A JP 2017176034 A JP2017176034 A JP 2017176034A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose
- baked food
- flour
- dough
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
Abstract
Description
一方、日本の食糧自給率を向上するために、米粉を小麦粉の替わりに利用した米粉パンの普及が進んでいる。中でも、小麦粉や小麦グルテン等の小麦由来原料を用いない、いわゆるノングルテンあるいはグルテンフリーの米粉パンは、小麦アレルギーを持つ消費者でも食べられるパンとして注目されている。
特許文献1には、アルファ化米粉と米粉を混合することにより、十分な成型性、保形性を有する米粉パン生地、および高品質な成形米粉パンを製造することができる旨が記載されている。
また、特許文献2には、粉末セルロースと、カルボキシメチルセルロースのような水溶性セルロースエーテルを米粉と混合することにより、グルテンを添加する事なく、食味良く、乾燥に強く、かつ寸法変化の小さい米粉パンを提供することができる旨が記載されている。
また、特許文献3には、カルボキシメチルエーテル基置換度の低いカルボキシメチルセルロースを用いることにより、米粉を含むドウ組成物のドウの粘着性を改善して機械的特性を改良し、均一で、且つ食感も改良することができる旨が記載されている。
また、特許文献4では、パンに未変性セルロースナノファイバーを用いることにより未添加に比べて米粉パンが膨らみやすくなったことが記載されている。
また、米粉パンの別の問題として、製品の固化が早いことが挙げられる。固化とは、パンが時間経過と共に水分を失って固くなることであるが、米粉パンでは小麦粉のパンに比べ固化が早く、これは米粉の吸水が小麦粉に比べ少ないことに起因していると言われている。固化により、食感はパサパサして粉っぽいものになるため、好ましくない。
特許文献1の方法では、緻密な気泡を生地中に安定して形成することに対しては一定の効果があるものの、固化の抑制に対しては記載されていない。
また、特許文献2、3の方法では、緻密な気泡を生地中に安定して形成すること、および固化の抑制に対してそれぞれ一定の効果があるものの、特許文献2の方法では、粉末セルロースの添加により、しっとり感が損なわれ、パサパサとした食感になるほか、特許文献2、3のいずれの方法においても、カルボキシメチルセルロースあるいは水溶性セルロースの添加により、噛んだ時の歯切れが悪く、歯に付着しやすいという問題があった。
また、特許文献4は、添加量が1%以上と多く、さらにパン生地の強度の向上だけに着目している。パン生地の強度を上げるためには、増粘剤を多量に添加するだけでも可能であるが、気泡の形態を制御し、食感を改良するには、適切な添加量でパン生地を制御することが重要である。
したがって、本発明の目的は、米粉を含む穀粉およびパン酵母を含有する焼成食品生地であって、グルテンを添加しない場合であっても、適度な粘弾性をもち、焼成食品とした場合に、気泡の状態が良好である焼成食品生地を提供すること、または保湿性(保水性)に問題がなく、固化が抑制され、食感が良好な焼成食品を提供することである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバーおよびパン酵母を含有する焼成食品生地。
[2]パン製造用である、[1]に記載の焼成食品生地。
[3]前記セルロースナノファイバーが化学変性セルロースナノファイバーを含む、[1]または[2]に記載の焼成食品生地。
[4]前記化学変性セルロースナノファイバーが、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、[3]に記載の焼成食品生地。
[5]セルロースナノファイバーの含有量が、穀粉の総重量に対し0.05〜10重量%であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の焼成食品生地。
[6]グルテンを含まない、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の焼成食品生地。
[7][1]〜[6]のいずれか1つに記載の焼成食品生地であって発酵させた生地を、焼成した焼成食品。
[8]米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を含む、焼成食品製造キット。
[9]米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を混合することを含む、焼成食品生地の製造方法。
[10]米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を混合して焼成食品生地を得ること、焼成食品生地を焼成して焼成食品を得ることを含む、焼成食品の製造方法。
本発明の焼成食品生地(例、パン生地)は、米粉を含む穀粉を含む。穀粉の少なくとも一部が米粉であればよく、穀粉のすべてが米粉であってもよい。米粉の含有量の下限は特に限定はないが、米特有のもちもちとした食感を得るには、米粉の含有量の下限は、全穀粉重量に対し10重量%以上であることが好ましい。本発明の焼成食品生地が、米粉以外の穀粉を含む場合、米粉以外の穀粉としては、例えば小麦粉(例、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉、ホワイトソルガム粉、ひえ粉、あわ粉、きび粉、オーツ粉、タピオカ粉、上新粉等を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いてよい。本発明では、小麦アレルギーを抑制する観点から、小麦製品を使用しないことが好ましく、また近年、大麦やライ麦などに含まれている、小麦グルテンと似た構造のタンパク質からアレルギー反応が発生したとの報告があることから、麦製品全般を使用しないことがより好ましい。
これら通常の米粉に加え、粳米あるいはもち米に対して炊飯や機械的処理を行うことにより、粳米あるいはもち米に含有されるデンプンを非晶化すると共に、粉砕して粉末状にした、いわゆるアルファ化米粉を併用することもできる。
本発明におけるセルロースナノファイバーは、未変性セルロースまたは化学変性セルロースの微細繊維である。セルロースナノファイバーは、通常平均繊維径が3〜500nm程度であり、好ましくは3nm以上500nm以下である。また、本発明におけるセルロースナノファイバーは、平均アスペクト比が通常50以上である。アスペクト比の上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
本発明におけるセルロースナノファイバーの原料には特に限定はなく、公知のセルロース原料からセルロースナノファイバーを製造することができる。セルロース原料としては、例えば、植物由来の原料(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)由来の原料、藻類由来の原料、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))由来の原料、微生物産生物等が挙げられる。本発明のセルロースナノファイバーのセルロース原料はこれらのいずれかであってよく、これらの2種以上の組み合わせであってもよい。本発明におけるセルロースナノファイバーのセルロース原料は、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
セルロース原料の解繊処理または変性処理を行う際には、セルロール原料の分散処理を行って、セルロース原料の分散体を調整してもよい。セルロース原料を分散させる分散媒は、セルロース原料が親水性であること、また食品に用いられることから、水であることが好ましい。
本発明では、繊維を構成するセルロースの少なくとも一部が化学変性されている、化学変性セルロースナノファイバーをセルロースナノファイバーとして用いてよい。本発明の焼成食品生地に含まれるセルロースナノファイバーの全量が、化学変性セルロースナノファイバーであってもよく、一部の量のみが化学変性セルロースナノファイバーであってもよい。
本発明に用いられるセルロースナノファイバーは、変性により、繊維の微細化が十分に進み、均一な繊維長および繊維径が得られ、焼成食品生地に適度な粘弾性を与え、また焼成食品生地を焼成食品とした場合に、良好な気泡の状態、良好な食感を実現するために、好ましくは化学変性セルロースナノファイバーを含み、より好ましくは化学変性セルロースナノファイバーである。
化学変性セルロースナノファイバーを得るための変性方法は特に限定されないが、例えば、酸化、エーテル化、リン酸化、エステル化、カルボキシメチル化などが挙げられ、酸化、カルボキシメチル化、またはエステル化が好ましい。
本発明において、酸化により変性されているセルロースナノファイバー(以下、酸化セルロースナノファイバーともいう。)を用いる場合、酸化セルロースナノファイバーのカルボキシル基の量は、酸化セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、下限は、好ましくは、0.5mmol/g以上であり、より好ましくは1.0mmol/g以上であり、さらに好ましくは1.2mmol/g以上である。また、上限は、好ましくは3.0mmol/g以下であり、より好ましくは2.5mmol/g以下であり、さらに好ましくは2.0mmol/g以下である。したがって、酸化セルロースナノファイバーのカルボキシル基の量は、酸化セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して0.5mmol/g〜3.0mmol/gが好ましく、1.0mmol/g〜2.5mmol/gがより好ましく、1.2mmol/g〜2.0mmol/gがさらに好ましい。
セルロース原料またはセルロース原料を解繊した後に得られるセルロース繊維(以下、解繊セルロース繊維ともいう。)の酸化は公知の方法を用いて行うことができ、特に限定されるものではないが、セルロース原料を酸化により変性することにより得られるセルロース繊維(以下、酸化セルロース繊維ともいう。)または酸化セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、カルボキシル基の量が0.5mmol/g〜3.0mmol/gになるように調整することが好ましい。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で塩(例、塩化ナトリウム)が副生して反応を阻害する場合であっても、効率よく酸化させることができる。
オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、下限が、好ましくは50g/m3以上である。上限が、好ましくは250g/m3以下であり、より好ましくは220g/m3以下である。したがって、オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。
セルロース原料または解繊セルロース繊維に対するオゾン添加量は、セルロース原料または解繊セルロース繊維の固形分を100重量%とした際に、下限が、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは5重量%以上である。上限は、好ましくは30重量%以下である。したがって、セルロース原料または解繊セルロース繊維に対するオゾン添加量は、セルロース原料または解繊セルロース繊維の固形分を100重量%とした際に、0.1〜30重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。
オゾン処理温度は、下限が、好ましくは0℃以上であり、より好ましくは20℃以上である。上限は、好ましくは50℃以下である。したがって、オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。
オゾン処理時間は、特に限定されないが、下限が、通常1分間以上であり、好ましくは30分間以上である。上限は、通常360分間以下である。したがって、オゾン処理時間は、通常1〜360分間程度であり、30〜360分間程度が好ましい。
オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化および分解されることを抑制することができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
本発明において、カルボキシメチル化により化学変性されているセルロースナノファイバー(以下、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーともいう。)を用いる場合、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度は、下限が、好ましくは0.01以上であり、より好ましくは0.10以上であり、さらに好ましくは0.15以上である。上限は、好ましくは0.50以下であり、より好ましくは0.40以下であり、さらに好ましくは0.35以下である。したがって、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度は、0.01〜0.50が好ましく、0.10〜0.40がより好ましく、0.15〜0.35がさらに好ましい。
マーセル化剤の使用量は、セルロース原料または解繊セルロース繊維の無水グルコース残基当たり、下限が通常0.5倍モル以上である。また、上限は通常20倍モル以下である。したがって、マーセル化剤の使用量は、セルロース原料または解繊セルロース繊維の無水グルコース残基当たり、好ましくは0.5倍モル〜20倍モルである。
マーセル化の反応温度の下限は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上である。上限は、通常70℃以下であり、好ましくは60℃以下である。したがって、マーセル化の反応温度は、通常0℃〜70℃であり、好ましくは、10℃〜60℃である。
マーセル化の反応時間の下限は、通常15分間以上であり、好ましくは30分間以上である。下限は、通常8時間以下であり、好ましくは7時間以下である。したがって、マーセル化の反応時間は、通常15分間〜8時間であり、好ましくは、30分間〜7時間である。
カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料または解繊セルロース繊維のグルコース残基当たり、下限が、通常0.05倍モル以上である。上限は、通常10.0倍モル以下である。したがって、カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料または解繊セルロース繊維のグルコース残基当たり、通常0.05〜10.0倍モルである。
エーテル化の反応温度は、下限が、通常30℃以上であり、好ましくは40℃以上である。上限は、通常90℃以下であり、好ましくは80℃以下である。したがって、エーテル化の反応温度は、通常30〜90℃であり、好ましくは40〜80℃である。
エーテル化の反応時間は、下限が、通常30分間以上であり、好ましくは1時間以上である。上限は、通常10時間以下であり、好ましくは4時間以下である。したがって、エーテル化の反応時間は、通常30分間〜10時間であり、好ましくは1時間〜4時間である。
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H−CM化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F’:0.1NのNaOHのファクター
F:0.1NのH2SO4のファクター
セルロース原料または解繊セルロース繊維をエステル化して、エステル化セルロース繊維またはエステル化セルロースナノファイバーを得る方法は、特に限定されないが例えば、セルロース原料または解繊セルロース繊維に対し化合物Aを反応させる方法が挙げられる。化合物Aについては後述する。
リン酸エステル化セルロース繊維に対して、煮沸後冷水で洗浄する等の洗浄処理がなされることが好ましい。これにより解繊を効率よく行うことができる。
解繊は、セルロース原料に対して変性処理を施す前に行ってもよいし、セルロース原料に変性処理を施した後の、化学変性されているセルロース繊維(例、酸化セルロース繊維、カルボキシメチル化セルロース繊維、エステル化セルロース繊維(リン酸エステル化セルロース繊維))に対して行ってもよい。変性により解繊に必要なエネルギーが低減されるため、解繊は、セルロース原料に変性処理を施した後に行うことが好ましい。
効率よく解繊するために、セルロース原料または化学変性されているセルロース繊維(通常は水分散体)に印加する圧力は、好ましくは50MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料または化学変性されているセルロース繊維(通常は水分散体)に上記圧力を印加することができかつ強力なせん断力を印加できるので、湿式の、高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましい。
焼成食品生地におけるセルロースナノファイバーの含有量(絶乾重量の百分率)は、米粉を含む穀粉の絶乾総重量に対し、下限が好ましくは0.05重量%以上であり、より好ましくは0.10重量%以上であり、さらに好ましくは0.15重量%以上である。上限は、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは5重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%未満であり、さらにより好ましくは、0.5重量%以下である。0.05重量%以上であると十分な効果が得られ、10重量%以下であると、食感により優れる。したがって、焼成食品生地におけるセルロースナノファイバーの含有量(絶乾重量の百分率)は、好ましくは、0.05〜10重量%であり、より好ましくは0.10〜5重量%であり、さらに好ましくは0.15重量%以上1重量%未満であり、さらにより好ましくは、0.15重量%〜0.5重量%である。
本発明において、米粉を含む穀粉、パン酵母、およびセルロースナノファイバーを混合する際における、セルロースナノファイバーの形態は特に限定されるものではなく、例えば、セルロースナノファイバーの分散液、該分散液の乾燥固形物、該分散液の湿潤固形物、セルロースナノファイバーと水溶性高分子との混合液、該混合液の乾燥固形物、該混合液の湿潤固形物、その他公知の形態のセルロースナノファイバーが挙げられる。ここで、湿潤固形物とは、分散液または混合液と、乾燥固形物との中間の態様の固形物である。乾燥固形物として用いる場合、材料を混合する際における分散性の観点から、セルロースナノファイバーは、水溶性高分子と混合された形態であることが好ましい。
パン酵母とは、発酵時において糖類を分解してアルコールと炭酸ガスとを生成する機能を持った、少なくともパン用途に用いられ得る酵母のことである。パン業界では、この「パン酵母」を「酵母」を意味する英語名の「イースト(Yeast)」と呼ぶことが一般化しており、パン酵母を使用したパン製品の原材料表示には「イースト」と記載されることもある。パン酵母の形態には特に限定はなく、例えば、生イースト、生イーストを低温乾燥して製造したドライイーストが挙げられる。本発明におけるパン酵母としては生イーストおよびドライイーストのいずれも好適に用いることができる。また、近年天然酵母と呼ばれる、果物(例、ぶどう、苺、桃、梨、パイナップル、バナナ)や穀物(例、玄米、麹、小麦)などのまわりに付着する酵母菌を採取し、自然に発酵させた酵母が注目されている。本発明におけるパン酵母として、これらの天然酵母も好適に用いることができる。
前記食塩としては、例えば、主に風味付けを目的として塩化ナトリウムが99%以上の精製塩、天日塩もしくは粗塩等の粗製塩が挙げられる。
前記ガム質としては、例えば、アルギン酸、キサンタンガム、デキストリン、セルロースが挙げられる。
前記乳成分としては、例えば、粉乳、脱脂粉乳、大豆粉乳が挙げられる。
前記卵成分としては、例えば、卵黄、卵白、全卵、卵に由来するその他の成分が挙げられる。特に乳成分や卵成分の主成分であるタンパク質は、パンの焼成時に変成・硬化して焼成後のパンの形状を保持する骨格となるため、グルテン等の麦類由来タンパク質を含まない焼成食品(例、米粉パン)の製造においては添加することが好ましい。
また、前記無機塩類としては、例えば、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、焼成カルシウム、アンモニウムミョウバンが挙げられる。
前記ビタミン類としては、例えば、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンE、カロチンが挙げられる。
本発明の焼成食品生地の形状には限定がなく、例えば、通常の小麦粉を用いたパンの形状としてよい。
焼成の前に、焼成食品生地を所望の形状に成形してもよい。成形は、前記の焼成食品生地の発酵工程(発泡膨張工程)の前または後のいずれか、または発酵工程(発泡膨張工程)の前および後の両方において行ってもよい。なお、本発明の焼成食品生地は、通常、セルロースナノファイバーを含まない米粉パン生地と比較して粘弾性が大きいため、容易に成形することができる。
焼成条件には特に限定はなく、例えば、通常の米粉を用いた焼成食品または通常の小麦粉を用いた焼成食品と同様の条件でよい。焼成温度は、例えば、150℃〜250℃、好適には、180℃〜230℃程度である。焼成温度、時間などの焼成条件は、生地の大きさ、形状等に応じて適宜設定してよい。
焼成食品製造キットは、米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母が、各々別々の容器に納められていてもよく、各々同一の容器に納められていてもよい。また、本発明の焼成食品製造キットは、米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を含み、これらが予め混合されている、焼成食品製造用ミックスの形態であってもよい。
本発明の焼成食品生地および焼成食品製造キットは、例えば、パン(例:食パン、フランスパン、ハードロール、バターロール、デニッシュペーストリ、クロワッサン、菓子パン、蒸しパン、あんまん、肉まん、ドーナツ)、焼成菓子(例:クッキー、ビスケット、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、パイ)の製造に用いられ得る。
パルプを混ぜることが出来る撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g(発底原料の無水グルコース残基当たり2.25倍モル)加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算、パルプのグルコース残基当たり1.5倍モル)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。これを水で固形分1%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊しカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散液を得た。平均繊維径は15nm、アスペクト比は50であった。
以下に示す方法にて食パンを製造した。
(1)米粉(結晶性米粉、平成27年山形県産 はえぬきを気流粉砕したもの)200g、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー0.4g(固形分換算、水分散液として添加)、水(カルボキシメチル化セルロースナノファイバー水分散液に含まれる水と併せて200gとなるように計量する。)、上白糖20g、ドライイースト3g、塩2gを計量し、全ての材料を料理混練機(KitchenAid、FMI社製)に投入する。
(2)8速で10分間撹拌する。
(3)生地をパン型に流し込み、電子発酵機(大正電機社製)を用いて温度40℃で30分間発酵する。
(4)ガスオーブン(オザキ社製、OZ100BOEC)にて、180℃、30分の条件で焼成する。
5:非常に緻密な気泡が断面全体に均一に分布している〜1:気泡の大きさがまちまちで、大きな気泡がパンの形状を乱している、あるいは気泡が全くない
[歯切れ]
5:極めて歯切れがよい〜1:歯切れが悪く、歯に顕著に付着する
米粉の配合量を195gとし、アルファ化米粉を5g配合した以外は、実施例1と同様にして行った。
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして行った。
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを添加せず米粉の配合量を180gとし、アルファ化米粉を20g配合した以外は、実施例1と同様にして行った。
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーをカルボキシメチルセルロース(SLD−F1。日本製紙株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
CMC:カルボキシメチルセルロース
Claims (10)
- 米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバーおよびパン酵母を含有する焼成食品生地。
- パン製造用である、請求項1に記載の焼成食品生地。
- 前記セルロースナノファイバーが化学変性セルロースナノファイバーを含む、請求項1または2に記載の焼成食品生地。
- 前記化学変性セルロースナノファイバーが、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01〜0.50であるカルボキシメチル化セルロースナノファイバーである、請求項3に記載の焼成食品生地。
- セルロースナノファイバーの含有量が、穀粉の総重量に対し0.05〜10重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼成食品生地。
- グルテンを含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の焼成食品生地。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の焼成食品生地であって発酵させた生地を、焼成した焼成食品。
- 米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を含む、焼成食品製造キット。
- 米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を混合することを含む、焼成食品生地の製造方法。
- 米粉を含む穀粉、セルロースナノファイバー、およびパン酵母を混合して焼成食品生地を得ること、焼成食品生地を焼成して焼成食品を得ることを含む、焼成食品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016068227A JP6784501B2 (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 焼成食品生地および焼成食品生地の製造方法、並びに焼成食品および焼成食品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016068227A JP6784501B2 (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 焼成食品生地および焼成食品生地の製造方法、並びに焼成食品および焼成食品の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017176034A true JP2017176034A (ja) | 2017-10-05 |
JP6784501B2 JP6784501B2 (ja) | 2020-11-11 |
Family
ID=60007923
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016068227A Active JP6784501B2 (ja) | 2016-03-30 | 2016-03-30 | 焼成食品生地および焼成食品生地の製造方法、並びに焼成食品および焼成食品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6784501B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019156882A (ja) * | 2018-03-07 | 2019-09-19 | 日本製紙株式会社 | 高アミロース澱粉とセルロースナノファイバーを含有する組成物 |
JP2020018241A (ja) * | 2018-08-01 | 2020-02-06 | 日本製紙株式会社 | 澱粉含有組成物及びその用途 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007215401A (ja) * | 2004-03-10 | 2007-08-30 | Susumu Kato | うるち米を主原料とする加工食品を製造するためのプレミックス粉 |
WO2015107995A1 (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-23 | 日本製紙株式会社 | アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物及びその製造方法 |
JP2016027795A (ja) * | 2014-07-10 | 2016-02-25 | 国立大学法人鳥取大学 | バイオナノファイバーにより穀物粉生地強度を高める技術 |
-
2016
- 2016-03-30 JP JP2016068227A patent/JP6784501B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007215401A (ja) * | 2004-03-10 | 2007-08-30 | Susumu Kato | うるち米を主原料とする加工食品を製造するためのプレミックス粉 |
WO2015107995A1 (ja) * | 2014-01-17 | 2015-07-23 | 日本製紙株式会社 | アニオン変性セルロースナノファイバーの乾燥固形物及びその製造方法 |
JP2016027795A (ja) * | 2014-07-10 | 2016-02-25 | 国立大学法人鳥取大学 | バイオナノファイバーにより穀物粉生地強度を高める技術 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019156882A (ja) * | 2018-03-07 | 2019-09-19 | 日本製紙株式会社 | 高アミロース澱粉とセルロースナノファイバーを含有する組成物 |
JP7148912B2 (ja) | 2018-03-07 | 2022-10-06 | 日本製紙株式会社 | 高アミロース澱粉とセルロースナノファイバーを含有する組成物 |
JP2020018241A (ja) * | 2018-08-01 | 2020-02-06 | 日本製紙株式会社 | 澱粉含有組成物及びその用途 |
JP7178655B2 (ja) | 2018-08-01 | 2022-11-28 | 日本製紙株式会社 | 澱粉含有組成物及びその用途 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6784501B2 (ja) | 2020-11-11 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7150603B2 (ja) | セルロースナノファイバー分散液の評価方法 | |
JP3642147B2 (ja) | ドウ組成物 | |
US10188131B2 (en) | Hydrocolloids coprocessed with cellulosic fibers when being sheared into highly refined cellulose | |
JP2017066283A (ja) | 気泡含有組成物用添加剤 | |
JP2017079600A (ja) | 食品用保湿剤 | |
JP6784501B2 (ja) | 焼成食品生地および焼成食品生地の製造方法、並びに焼成食品および焼成食品の製造方法 | |
JP2019156825A (ja) | 乳化剤組成物 | |
JP2017079598A (ja) | 麺皮 | |
JP7404724B2 (ja) | 餅状食品および餅状食品の製造方法 | |
JP7148912B2 (ja) | 高アミロース澱粉とセルロースナノファイバーを含有する組成物 | |
JP7372588B2 (ja) | 菓子類および菓子類の製造方法 | |
JP7178655B2 (ja) | 澱粉含有組成物及びその用途 | |
JP2017093328A (ja) | 人工ケーシング及びそれを用いた加工食品 | |
JP6596262B2 (ja) | 揚げ菓子 | |
JP7203484B2 (ja) | チーズ | |
JP2004024155A (ja) | 麺質改良剤及び麺類の製造方法 | |
JP2023149380A (ja) | パン類 | |
JP2022156674A (ja) | 餅状食品の製造方法 | |
JP2023140063A (ja) | 餅状食品および餅状食品の製造方法 | |
JP2022156670A (ja) | 水種生地焼成食品 | |
JP2023057032A (ja) | バウムクーヘン用生地及びバウムクーヘン | |
JP2023056628A (ja) | パン類 | |
JP2023112433A (ja) | ドウ組成物およびベーカリー食品組成物 | |
JP7132760B2 (ja) | カスタードクリームおよびカスタードクリームの製造方法 | |
JP2023050685A (ja) | 乾麺類 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181211 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190911 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191001 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191125 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20200414 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200713 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20200713 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20200811 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20201013 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20201023 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6784501 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |