JP2017155112A - 近赤外線吸収性粘着剤組成物とその製造方法、および、近赤外線吸収性粘着フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1には、アンチモン含有酸化錫(ATO)や錫含有酸化インジウム(ITO)の微粒子を粘着剤中に分散させた、熱線遮蔽性粘着剤や透明シートが提案されている。特許文献2には、6ホウ化物微粒子をハードコート層中に分散させた日射遮蔽膜が提案されている。特許文献3には、ATOやITO微粒子と6ホウ化物微粒子とを併用し、ハードコート層中にこれらの微粒子を分散させた日射遮蔽膜が提案されている。特許文献4には、複合タングステン酸化物微粒子をハードコート層中に分散させた日射遮蔽膜が提案されている。また、特許文献5には、複合タングステン酸化物微粒子が溶媒中に分散された分散液により構成され、かつ、皮膜形成用材料である未硬化のアクリル樹脂が使用時に添加される赤外線遮蔽膜形成用分散液であって、粘土鉱物が上記溶媒中に含まれている赤外線遮蔽膜形成用分散液が開示されている。
一方、樹脂フィルムタイプとしては、有機系の近赤外線遮蔽剤を樹脂バインダー中に添加した物が使用されていた。ここで、有機系の近赤外線吸収剤としては、フタロシアニン系化合物や各種金属錯体化合物がよく知られている。
(メタ)アクリル重合体と、架橋剤と、複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを含む近赤外線吸収性粘着剤組成物であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記近赤外線吸収性粘着組成物が、層状珪酸塩を含有し、
前記分散剤がポリアミノアマイド塩を含み、
前記(メタ)アクリル重合体100重量部に対し、前記架橋剤が0.1重量部以上5重量部以下含まれ、
前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し、前記層状珪酸塩が30重量部以上200重量部以下含まれていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MYWOZ(M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの内から選択される1種類以上の元素、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)であることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第4の発明は、
前記M元素が、Cs、Rb、K、Tlから選択される1種類以上であることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第5の発明は、
前記(メタ)アクリル重合体が、反応性官能基として水酸基および/またはカルボキシル基を含有することを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第6の発明は、
前記架橋剤が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物から選択される1種類以上であることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第7の発明は、
前記(メタ)アクリル重合体100重量部に対し、前記複合タングステン酸化物微粒子が0.5重量部以上30重量部以下含まれていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第8の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される1種以上を含む化合物で被覆されていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第9の発明は、
さらに、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物である。
第10の発明は、
第1から第9の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物の塗布膜が、基材フィルム上に形成されていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着フィルムである。
第11の発明は、
所定量の複合タングステン酸化物微粒子と分散剤と分散媒とを混合して、複合タングステン酸化物微粒子分散液を作製する工程と、
前記複合タングステン酸化物微粒子分散液へ、分散助剤を添加して混合し、混合物を作製する工程と、
前記混合物へ、アクリル樹脂粘着剤と架橋剤とを添加して混合し、近赤外線吸収性粘着剤組成物を作製する工程とを、有することを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物の製造方法である。
以下、本発明を実施するための形態に関し、まず、本発明に係る近赤外線吸収性粘着剤組成物の成分について、[1]複合タングステン酸化物微粒子、[2]アクリル樹脂粘着剤、[3]分散剤、[4]分散助剤としての層状珪酸塩、[5]分散媒、[6]紫外線吸収剤、[7]粘着付与剤、[8]その他の添加剤、の順で詳細に説明する。そして、次に、[9]近赤外線吸収性粘着剤組成物の製造、[10]近赤外線吸収性粘着フィルムの製造、[11]まとめ、の順で詳細に説明する。
本発明に適用される日射遮蔽機能を有する微粒子として、一般式MYWOZ(M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの内から選択される1種類以上の元素、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、さらに好ましくは0.01≦Y≦0.5、2.45≦Z≦3.0)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子が用いられる。
さらに好ましくは、M元素がCs、Rb、K、Tlから選択される1種類以上を含むような複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。添加元素Mの添加量は、0.1以上0.5以下が好ましく、さらには0.33付近が好ましい。これは六方晶の結晶構造から理論的に算出される値が0.33であり、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。典型的な例としてはCs0.33WO3、Rb0.33WO3、K0.33WO3などを挙げることができるが、Y、Zが上記の範囲に収まるものであれば、有用な熱線吸収特性を得ることができる。
従って、特に可視光領域の透明性を重視する場合には、微粒子の粒子径は200nm以下がよく、さらに好ましくは100nm以下がよい。微粒子の粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくは回折散乱によって、波長400〜780nmの可視光領域の光を散乱して曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が担保出来なくなる事態を回避出来るからである。
光の散乱を回避する観点からは、粒子径が小さい方が好ましく、粒子径が1nm以上であれば工業的な製造は容易である。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着剤組成物に用いる粘着剤としては、再剥離性があり、剥離時に糊残りが無いこと、高温、高湿下で剥がれや泡の発生がないことが望まれる。このような特性を有する粘着剤としては、アクリル樹脂を含むもの、ゴムを含むもの、ポリビニルエーテル樹脂を含むもの、シリコーン樹脂を含むもの、等を挙げることが出来るが、最も好ましいのはアクリル樹脂を含むものである。
アクリル樹脂粘着剤の主成分であるアクリル重合体は、種々のアクリルモノマーをラジカル重合して得られる。本発明に用いられる、アクリル重合体は、架橋剤と反応する反応性官能基とアルキレンオキサイド鎖を有するものであり、反応性官能基を有するアクリルモノマーとアルキレンオキサイド鎖を有するアクリルモノマーから合成することができる。当該反応性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、マレイミド基、イタコンイミド基、スキシンイミド基、エポキシ基、等が挙げられるが、本発明では、水酸基および/またはカルボキシル基が好ましい。
以上のことから、当該粘着樹脂の使用用途に応じて、適宜「水酸基タイプ」または「酸基タイプ」のアクリル樹脂が選択されている。
エチレンオキサイド鎖を有するモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。プロピレンオキサイド鎖を有するモノマーとしては、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。本発明では、エチレンオキサイド鎖を有するモノマーが好ましく、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが特に好ましい。
これらは、粘着剤としての望ましい物性を得る目的のため、適宜選択して単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することが出来る。
重量平均分子量が5万以上あると、形成されるアクリル樹脂粘着剤層の凝集力が担保され、被着体から剥離する際に糊残りを生じ難くなり好ましい。一方、重量平均分子量が100万を以下であれば、取扱いが容易な上、さらには凝集力が高くなり過ぎず、光学部材に対する適宜な接着力を発揮し好ましい。
反応性官能基を少なくとも2個有する多官能性化合物としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アミン化合物、アジリジン化合物等が挙げられる。本発明では、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物が好ましく、単独で、あるいは複数を組み合わせて使用することもできる。
上述した複合タングステン酸化物微粒子を近赤外線吸収性粘着剤組成物として適用する場合、工業的に安価で簡便な方法として微粒子分散法が挙げられる。微粒子分散法とは、微粒子を基材上に形成した被膜内に均一に分散して、そこを透過する近赤外線を遮蔽する方法である。
そして、微粒子分散時に各種分散剤を添加することで、複合タングステン酸化物微粒子を安定に液体中に分散保持することが容易になる。各種分散剤は、使用する溶媒やバインダー等との相性で各種選択可能である。
具体的には、ポリアミノアマイドとポリエステル酸の塩、ポリアミノアマイドと高分子酸ポリエステルの塩、長鎖ポリアミノアマイドとエステル酸の塩、ポリアミノアマイドとポリエステルの塩、脂肪酸ポリアミノアマイドとポリエステル酸の塩、ポリアミノアマイドのカルボン酸塩、等を含む化合物を、好ましい例として挙げることが出来る。
[3]にて説明したように、複合タングステン酸化物微粒子分散液のアクリル樹脂粘着剤への混合時は、微粒子の再凝集等による分散性の悪化を回避するため、分散助剤として層状珪酸塩を用いる構成が好ましい。層状珪酸塩は、有機カチオンが層間にインターカレートしているため、界面活性効果によりアクリル樹脂粘着剤中の複合タングステン酸化物微粒子は、分散安定性を保持できると推定される。
層状珪酸塩は、粘土を構成する代表的な層状無機化合物であり、その構造は、厚さ10Å前後の珪酸塩層(層間空隙を含む)が数〜数十層平行に積層して形成された一次凝集体がさらに無秩序に凝集して形成した粒径数百nm〜数μmの二次凝集体からなるものである。スメクタイト、バーミュキュライト、タルク、マイカなどはこのような構造を有する代表的な層状珪酸塩化合物である。中でもスメクタイトやマイカは、程よい層間電荷密度を有するため、水中では二次粒子をといて、品種によっては強固な一次凝集さえ解き放ち単層剥離分散すると考えられている。
しかしながら、特許文献5において粘土鉱物を添加する目的は、熱線遮蔽膜の耐湿熱特性改善であって、本発明とは異なっている(特許文献5(0013)段落参照。)。
また、特許文献5には、分散剤であるポリアミノアマイド塩を含む分散剤と、分散助剤である層状珪酸塩との協働効果を用いて、複合タングステン酸化物微粒子を(メタ)アクリル重合体へ分散させる構成については記載も示唆もない。
以上のことから、本発明は特許文献5とは異なる発明であり、特許文献5から容易に導出される発明ではないと考えられる。
上記複合タングステン酸化物微粒子の分散媒は特に限定されるものではなく、用途に合わせて選択可能であり、例えば、水、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族化合物などの一般的な有機溶媒の各種が使用可能である。また、必要に応じて酸やアルカリを添加してpHを調整しても良い。更に微粒子の分散安定性を一層向上させるために、各種の界面活性剤、カップリング剤などを添加することも可能である。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着剤組成物には、紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤としては、無機系あるいは有機系のいずれも使用できるが、有機系の紫外線吸収剤が実用的である。有機系紫外線吸収成分としては、吸収効果の大きいベンゾフェノン系またはベンゾトリアゾール系が好ましい。また、トリアジン系、蓚酸アニリド系、シアノアクリレート系、サリシレート系など他の市販の材料も使用することが可能である。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着剤組成物へは、含有されるアクリル樹脂粘着剤の粘着力向上を目的として、粘着付与剤を含有させてもよい。粘着付与剤としては、ロジン、ロジンエステルおよびその誘導体、テルペン樹脂、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、炭化水素樹脂等が使用される。
また、本発明に係る近赤外線吸収性粘着剤組成物には、粘着特性を損なわない程度に、ネオンカット色素、色調補正色素、レベリング剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、滑剤、可塑剤等を含有させてもよい。
本発明にかかる近赤外線吸収性粘着剤組成物は、複合タングステン酸化物微粒子を、その平均粒径が100nm以下となるように、溶液中へ均一分散させることで得られる。
具体的には、所定量の複合タングステン酸化物微粒子と分散剤と分散媒とを、例えば媒体撹拌ミルを用いて分散処理して混合し、複合タングステン酸化物微粒子の分散液を作製する。得られた複合タングステン酸化物微粒子分散液に分散助剤を添加して混合し、混合物を作製する。その後、当該混合物へ、アクリル樹脂粘着剤、架橋剤、さらに、所望により粘着付与剤などを添加する。そして攪拌器を用いて当該混合物を撹拌して混合し、近赤外線吸収性粘着剤組成物を作製する。
尚、上述した媒体撹拌ミルとしては、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、等を用いることができる。また超音波分散などの方法を用いることもできる。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着フィルムは、上述した近赤外線吸収性粘着剤組成物を基材上に塗布形成して塗布膜とし、当該塗布膜をエージング処理することで得られる。
当該エージング処理の一例として、架橋反応が進行する水準の温度での加熱処理が挙げられる。
また、当該塗布液の塗布方法としては、対象基材面上に塗布膜を均一に形成できればよく、特に限定されないが、ドクターブレード法、バーコート法、グラビヤコート法、ディップコート法、スリットコート法、ロールコート法、リバースコート法等が例示される。塗布前に、コロナ放電処理、プラズマ処理等の公知の方法で基材の表面処理を行なってもよい。
乾燥方法は特に限定されないが、熱風乾燥や遠赤外線乾燥を用いることができる。乾燥温度は乾燥ラインの長さ、ライン速度、塗布量、残存溶剤量、基材の種類等を考慮して決定すればよい。基材がPETフィルムであれば、一般的な乾燥温度は50〜150℃である。
このように本発明によれば、熱線吸収成分として複合タングステン酸化物微粒子を均一に粘着剤に分散させることにより、可視光領域の透明性に優れ、近赤外線吸収能が高い粘着剤を提供することを可能とした。本発明の近赤外線吸収性粘着剤組成物は、赤外線をカットする必要があるフィルターやフィルムとして使用できる。例えば、車両、ビル、事務所、一般住宅などの窓、ショーウインドー、照明用ランプ、農園芸用ハウスの屋根や外壁材など、日射遮蔽を必要とするガラス、透明樹脂などの基材等、種々の用途に使用することができる。
本実施例において、可視光透過率および日射透過率は、日立製作所製の分光光度計を用い、波長200〜2100nmの領域における光の透過率を測定し、算出したものである。そして、膜のヘイズ値は、JIS K 7105に基づいて測定を行った。
尚、本実施例に係る膜の光学特性値(可視光透過率、ヘイズ値)は、基材フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製50μm厚PETフィルム、商品名テトロン(登録商標)HPE)を含む値である。また、当該基材フィルム自体の可視光透過率は90%、ヘイズ値は0.9%である。
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を20重量部、キシレン74重量部、ポリアミノアマイド塩を含む分散剤6重量部を混合し、ビーズミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液(A液)を作製した。
尚、当該分散液(A液)は、後述する実施例2〜3、6〜9、比較例1〜5、7においても使用した。
当該実施例1に係る近赤外線吸収性粘着剤組成物(塗布液)の配合比、および、得られた塗布液の組成比を表1に示す。以下、実施例2〜9、比較例1〜7も同様である。
また、この膜の機械的強度(脆さ)を評価するため膜強度を測定した。
測定方法はJIS Z 0237に準拠し、当該ガラス基板からPETフィルムを剥がそうとするときにかかる力を測定した。
すると、膜強度は5.3N/mであり、密着性が極めて高いことが確認できた。
当該膜強度および粘着性は、当該塗布液における樹脂成分と微粒子成分との比率によると考えされる。
当該測定結果を表2に示す。
以下、実施例2〜9、比較例1〜7も同様である。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部を混合し、その後、カルボキシル基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン2094、固形成分25質量%)400重量部、エポキシ架橋剤(綜研化学製、E−AX)1.08重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.1%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は8.0N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、カルボキシル基/水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン2300、固形成分18質量%)555重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、L−45)0.89重量部、エポキシ架橋剤(綜研化学製、C−50)0.38重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.0%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は6.0N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
Rb0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を20重量部、キシレン74重量部、ポリアミノアマイド塩を含む分散剤6重量部を混合し、ビーズミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのRb0.33WO3微粒子の分散液を作製した(B液)。
B液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、商品名TD−75、有効成分75%)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.5N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
イソプロピルアルコール(IPA)3480gにCs0.33WO3粉末(比表面積20m2/g)520gを攪拌混合し、これをビーズミルで分散処理して平均分散粒子径100nmの分散液Cを調製した。
次いで、上記分散液C200gとエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル(株)製、商品名アルミキレートALCH)20gとIPA540gとを混合攪拌した後、超音波ホモジナイザーを用いて分散処理した。
次いで、当該分散処理物を攪拌しながら、当該分散処理物へ、水100gを1時間かけて滴下添加し、さらに攪拌しながら、テトラエトキシシラン(多摩化学(株)製、正珪酸エチル、SiO2換算量28.8%)140gを2時間かけて滴下添加した後、20℃にて15時間の攪拌を行った後、この液を70℃で2時間加熱熟成した。
次いで、この熟成液を真空乾燥して溶媒を蒸発させた後、200℃で1時間加熱処理して得られた粉状体を乾式粉砕することで、Cs0.33WO3微粒子に対して約5重量%のAl2O3および約2倍重量のSiO2で被覆された、Cs0.33WO3微粒子を得た。
このAl2O3/SiO2被覆Cs0.33WO3微粒子を30重量部、キシレン61重量部、ポリアミノアマイド塩を含む分散剤9重量部を混合し、ビーズミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmの分散液を作製した(C液)。
C液50重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.3%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.0N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1429DT、固形成分30質量%)333重量部、金属キレート架橋剤(綜研化学製、AD−5A、)9.99重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.4N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)4重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.0%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は6.1N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、カルボキシル基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン2094、固形成分25質量%)400重量部、エポキシ架橋剤(綜研化学製、E−AX)4重量部を混合して塗布液を作製した。
塗布液を厚さ50μmのPETフィルムにドクターブレードを用いて塗布し、80℃×2分乾燥させ、塗布膜厚25μmとなるように粘着層を形成し、これを3mm厚ガラス基板に張り合わせ、目的とする塗布膜を得た。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト2.5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.0%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.1N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
A液25重量部、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは33.5%であり、透明性が極めて低く、不良であった。また、膜強度は5.9N/mであり、密着性は極めて高いことが確認できた。
層状珪酸塩を添加しなかったことで、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤への分散性が悪化したと考えられる。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト12.5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.1%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。しかし、膜強度は1.0N/mであり、密着性が極めて低く、不良であった。
層状珪酸塩を多量に添加したことで、塗膜の架橋を阻害したと考えられる。
A液175重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト35重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.5%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。しかし、膜強度は0.5N/mであり、密着性が極めて低く、不良であった。
Cs0.33WO3微粒子の添加量が多く、複合タングステン酸化物微粒子/PSA(固形成分)比率が高かったためと考えられる。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)7.33重量部を混合して塗布液を作製した。
当該塗布液に含まれる水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(固形成分)100重量部に対するイソシアネート架橋剤(有効成分)は5.50重量部である。一方、当該塗布液に含まれるCs0.33WO3微粒子100重量部に対する親油性合成スメクタイトは100重量部である。
しかし、架橋剤の添加量が多すぎたため、塗布液がすぐに硬化してしまい、塗布できなかった。
A液1.5重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト1.5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
この膜の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.0%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.7N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。しかし、近赤外線吸収成分である複合タングステン酸化物微粒子の添加量が少なく複合タングステン酸化物微粒子/PSA(固形成分)比率が低かったため、充分な日射遮蔽効果が得られなかった。
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を20重量部、キシレン74重量部、ウレタンを含む分散剤6重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径85nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(D液)。
D液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト5重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、TD−75、有効成分75%)1.6重量部を混合して塗布液を作製しようとしたが、D液とアクリル樹脂粘着剤との相溶性が悪く、複合タングステン酸化物微粒子が凝集してしまい、塗布液を作製することができなかった。
複合タングステン酸化物微粒子分散液を作製する時の分散剤が、ポリアミノアマイド塩を含む分散剤ではなかったため、アクリル樹脂粘着剤との相溶性が悪かったと考えられる。
A液25重量部と、層状珪酸塩として親油性合成スメクタイト1.0重量部とを混合し、その後、水酸基を含むアクリル樹脂粘着剤(綜研化学製、SKダイン1811L、固形成分23質量%)435重量部、イソシアネート架橋剤(綜研化学製、商品名TD−75、有効成分75%)1.6重量部を混合して塗布液を作製した。
しかしながら、当該塗布液において、層状珪酸塩の添加量が少なかったため、アクリル樹脂粘着剤中でCs0.33WO3微粒子が凝集してしまった為、当該塗布液をフィルム上へ塗布することはできなかった。
(メタ)アクリル重合体と、架橋剤と、複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを含む近赤外線吸収性粘着剤組成物であって、前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であり、前記近赤外線吸収性粘着組成物が、層状珪酸塩を含有し、前記分散剤がポリアミノアマイド塩を含み、前記(メタ)アクリル重合体100重量部に対し、前記架橋剤が0.1重量部以上5重量部以下含まれ、前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し、前記層状珪酸塩が30重量部以上200重量部以下含まれている実施例1〜7に記載の近赤外線吸収性粘着組成物は、いずれも良好な光学的特性と膜強度とを示した。
Claims (11)
- (メタ)アクリル重合体と、架橋剤と、複合タングステン酸化物微粒子と、分散剤とを含む近赤外線吸収性粘着剤組成物であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記近赤外線吸収性粘着組成物が、層状珪酸塩を含有し、
前記分散剤がポリアミノアマイド塩を含み、
前記(メタ)アクリル重合体100重量部に対し、前記架橋剤が0.1重量部以上5重量部以下含まれ、
前記複合タングステン酸化物微粒子100重量部に対し、前記層状珪酸塩が30重量部以上200重量部以下含まれていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物。 - 前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が1nm以上800nm以下であることを特徴とする請求項1記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MYWOZ(M元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの内から選択される1種類以上の元素、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 前記M元素が、Cs、Rb、K、Tlから選択される1種類以上であることを特徴とする請求項3に記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル重合体が、反応性官能基として水酸基および/またはカルボキシル基を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 前記架橋剤が、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物から選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 前記(メタ)アクリル重合体100重量部に対し、前記複合タングステン酸化物微粒子が0.5重量部以上30重量部以下含まれていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 前記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選択される1種以上を含む化合物で被覆されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- さらに、紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物。
- 請求項1から9のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着剤組成物の塗布膜が、基材フィルム上に形成されていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着フィルム。
- 所定量の複合タングステン酸化物微粒子と分散剤と分散媒とを混合して、複合タングステン酸化物微粒子分散液を作製する工程と、
前記複合タングステン酸化物微粒子分散液へ、分散助剤を添加して混合し、混合物を作製する工程と、
前記混合物へ、アクリル樹脂粘着剤と架橋剤とを添加して混合し、近赤外線吸収性粘着剤組成物を作製する工程とを、有することを特徴とする近赤外線吸収性粘着剤組成物の製造方法。
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