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JP2017141387A - 油性インクジェット記録液及び油性インクジェット記録液の製造方法 - Google Patents

油性インクジェット記録液及び油性インクジェット記録液の製造方法 Download PDF

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JP2017141387A
JP2017141387A JP2016024501A JP2016024501A JP2017141387A JP 2017141387 A JP2017141387 A JP 2017141387A JP 2016024501 A JP2016024501 A JP 2016024501A JP 2016024501 A JP2016024501 A JP 2016024501A JP 2017141387 A JP2017141387 A JP 2017141387A
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Japan
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pigment
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oil
resin
inkjet recording
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JP2016024501A
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繁美 若林
Shigemi Wakabayashi
繁美 若林
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】顔料を記録液中で安定して分散させて、保存安定性及び吐出安定性に優れると共に、インクジェットヘッドのクリーニングにおけるワイピング時にノズル面を傷つけることがない、ワイピング耐久性に優れる油性インクジェット記録液及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る油性インクジェット記録液は、顔料と、油性媒質と、樹脂とを含有し、前記顔料の一次粒子のアスペクト比が、1.0以上2.0以下の範囲内にある。前記顔料は、前記顔料の誘導体を用いて表面処理されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、油性インクジェット記録液及び油性インクジェット記録液の製造方法に関する。
オフィスユースのインクジェットプリンターの開発が進められている。オフィスユースのプリンターでは、普通紙等の記録媒体に高画質で高速印刷することが可能であり、なおかつ、印刷後に製本等のフィニッシャー対応が可能であることが求められている。このため、このプリンターで使用する記録液に必要とされる特性として、普通紙に対して高速で高い印字濃度が確保できることと、両面印刷を可能とするために裏抜けが抑制されていること、更には、高速印刷後に、コックリングやカール等の紙変形が発生しないことが求められている。インクとして水性媒質を配合した水系記録液を使用した場合、普通紙高速印刷後にコックリングやカール等の紙変形が発生する場合があるため、紙変形が発生しにくい、有機溶媒を配合した油性インクジェット記録液の開発も進められている。
油性記録液には、色材として染料又は顔料が用いられているが、耐光性・耐水性が良好であるため顔料が好まれている。染料は、多くの場合、油性記録液の溶媒に溶解して存在するのに対し、顔料は、油性記録液の溶媒に分散して存在するので、記録液中での分散安定性を確保するために、顔料分散剤と併用したり、自己分散型の顔料を使用する必要がある。そこで、顔料の分散粒子径と含有量を所定の範囲に規定することにより印刷濃度を向上させ、更にはノズルからの吐出性も改善する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2010−209188号公報
しかしながら、上記技術では、顔料が針状の細長い形状であり、また、顔料の分散粒子径は規定されているが、顔料の一次粒子径については何ら言及されていない。顔料の分散粒子径と一次粒子径とは必ずしも相関する訳ではなく、顔料の一次粒子径が小さすぎる場合には、顔料が記録液中で安定して分散せず、保存安定性や吐出安定性に劣る場合があり、一方、顔料の一次粒子径が大きすぎる場合には、ノズルの目詰まり等が発生し、吐出安定性に劣る場合がある。また、顔料が針状の細長い形状の場合には、インクジェットヘッドのクリーニングにおけるワイピング時にノズル面を傷つける場合がある。
そこで、本発明に係る幾つかの態様は、上述の課題の少なくとも一部を解決することで、顔料を記録液中で安定して分散させて、保存安定性及び吐出安定性に優れると共に、インクジェットヘッドのクリーニングにおけるワイピング時にノズル面を傷つけることがない、ワイピング耐久性に優れる油性インクジェット記録液及びインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る油性インクジェット記録液の一態様は、
顔料と、油性媒質と、樹脂とを含有する油性インクジェット記録液において、
前記顔料の一次粒子のアスペクト比が、1.0以上2.0以下の範囲内にあることを特徴とする。
上記適用例によれば、顔料の一次粒子のアスペクト比が、1.0以上2.0以下の範囲内にあることより、顔料が記録液中で安定して分散され、保存安定性及び吐出安定性に優れると共に、インクジェットヘッドのクリーニングにおけるワイピング時にノズル面を傷つけることがない、ワイピング耐久性に優れる油性インクジェット記録液を提供することができる。
[適用例2]
上記適用例において、
前記顔料の一次粒子径の分布の90%積算値(D90)が100nm以下であることができる。
[適用例3]
上記適用例において、
前記顔料が、キナクリドン及び銅フタロシアニンからなる群より選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例4]
上記適用例において、
前記油性媒質の50質量%以上が石油系溶媒であることができる。
[適用例5]
上記適用例において、
前記樹脂が、ウレタン変性アクリル樹脂、脂肪酸変性アルキド樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることができる。
[適用例6]
本発明に係る油性インクジェット記録液の製造方法の一態様は、
顔料と、油性媒質と、樹脂とを含有する油性インクジェット記録液の製造方法であって、
前記顔料の誘導体を用いて、前記顔料を表面処理する工程を含むことを特徴とする。
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
1.油性インクジェット記録液
本実施形態に係る油性インクジェット記録液(以下、単に「油性記録液」とも呼ぶ。)は、顔料と、油性媒質と、樹脂とを含有する油性インクジェット記録液において、前記顔料の一次粒子のアスペクト比が、1.0以上2.0以下の範囲内にあることを特徴とする。
ここで、本明細書における「油性記録液」とは、有機溶媒を主成分とするインクであり、実質的に水を含まないインクを意味する。また、「実質的に水を含まない」とは、インクを製造する際に水を意図的に添加しないという意味であり、油性記録液を製造中又は保管中に不可避的に混入する微量の水分を含んでいても構わない。
なお、「実質的に水を含まない油性記録液」の具体的な水の含有量は、好ましくは油性記録液中の水の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、更に好ましく0.05質量%未満であり、一層好ましくは0.01質量%未満、更に一層好ましくは0.005質量%未満、最も好ましくは0.001質量%未満であることをいう。
以下、油性インクジェット記録液に含まれる成分、及び含まれ得る成分について説明する。
1.1.顔料
本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、顔料を含有する。顔料としては、顔料の一次粒子のアスペクト比が、1.0以上2.0以下の範囲内であれば、従来の油性インクジェットインク組成物に通常用いられている有色無機顔料又は有色有機顔料等の顔料を用いることができる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。また、顔料の色相は、白、黒、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー又はオレンジであれば、特に制限なく使用することができる。なお、本実施形態で用いられる顔料は、後述の製造方法により製造される。
ここで、本明細書において、顔料の一次粒子のアスペクト比は、(長軸の長さ)/(短軸の長さ)の比で算出される個々の顔料の一次粒子のアスペクト比の平均値である。具体的には、顔料粉体をTEM(透過型電子顕微鏡)やSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、個々の顔料粒子の画像を取得する。そして、取得した個々の顔料粒子の画像の重心から、角度0°から179°の範囲を間隔1°で粒子径(直径)を計測し、計測された180個の粒子径の最大値を長軸の長さ、最小値を短軸の長さとして、個々の顔料の一次粒子のアスペクト比を得る。また、アスペクト比の平均値は、この様にして得た100個以上の顔料粒子のアスペクト比の値の平均値を用いた。
顔料の一次粒子のアスペクト比が1.0以上2.0以下の範囲内にある場合、顔料の粒子の形状が擬球状であるため、顔料間の相互作用(凝集引力)が低下し、吐出の際に、ノズルでのフロキュレーションによる吐出不安定の発生を抑制できる。また、顔料がインク中で安定して分散されるため、顔料の凝集によるインク粘度の上昇が抑えられる。これにより、インクの保存安定性及び吐出安定性に優れる。また、インクジェットヘッドのクリーニングにおけるワイピング時に、顔料の研磨効果によるノズル面の傷つきを抑制することができるため、ワイピング耐久性に優れる油性インクジェット記録液となる。
顔料の一次粒子のアスペクト比は、1.1以上1.9以下であることが好ましく、1.2以上1.8以下程度であるのがより好ましい。顔料の一次粒子がこのようなアスペクト比である場合、その形状がより球形に近くなるため、各性能が向上する。
油性記録液中の顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子径の個数分布の90%積算値(D90)が100nm以下であることが好ましい。本明細書において、顔料の一次粒子径は次のようにして得られる。まず、顔料粉体をTEMやSEMで観察し、個々の顔料粒子の画像を取得する。次に、取得した個々の顔料粒子の画像の重心から、角度0°から179°の範囲を間隔1°で粒子径(直径)を計測し、計測された180個の粒子径の平均値を同顔料粒子の一次粒子径とした。また、顔料の一次粒子径の個数分布の10%積算値(D10)、90%積算値(D90)は、この様にして得た100個以上の顔料粒子の一次粒子径の測定値から求めた。
本実施形態において、顔料の一次粒子のアスペクト比が1.0以上2.0以下の範囲内にあり、更に、顔料の一次粒子径の個数分布の90%積算値(D90)が100nm以下である場合には、顔料の凝集性を更に低下させることができる。したがって、インクの保存安定性及び吐出安定性が更に向上する。また、研磨効果も低下するため、ワイピング耐久性がより向上する。D90は、90nm以下であることがより好ましく、85nm以下であることが更に好ましい。
なお、顔料の粒子径としてよく用いられる分散粒子径とは、顔料と、それを媒質に分散させるための樹脂(分散剤)から形成される分散粒子(複合体粒子)の直径を意味する。この顔料と樹脂の複合体粒子は、樹脂吸着量が大きいため顔料の大きさを反映できず、顔料特性に起因する諸特性と相関しない場合がある。そこで、本発明では、顔料の一次粒子のアスペクト比と顔料の一次粒子径のD90をパラメーターとして用い、これらを制御することで、顔料に起因する諸特性を含めた記録液のパフォーマンスを効果的に設計することが可能となる。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液で使用可能な顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料;フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料;塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキ;ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料;カーボンブラック等の無機顔料等が挙げられる。
より詳細には、本実施形態に係る油性インクジェット記録液をマゼンタ又はレッドインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液をオレンジ又はイエローインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液をグリーン又はシアンインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液をブラックインクとする場合の顔料としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液をホワイトインクとする場合の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、C.I.ピグメントホワイト18、C.I.ピグメントホワイト21等が挙げられる。
上記顔料の中でも、顔料がキナクリドン又は銅フタロシアニンである場合には、顔料の一次粒子のアスペクト比、更には顔料の一次粒子径を制御することによる性能の向上が高い。
本実施形態に係る油性記録液中における顔料の含有量は、用途や印刷特性によって適宜選択することができるが、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、記録液の総質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上20質量%以下の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下、特に好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
1.2.油性媒質
本実施形態に係る油性記録液は、油性媒質を含有する。ここで、本明細書における「油性媒質」とは、顔料等を分散させる液体媒質が有機溶剤を含むものであり、常温常圧で液体の媒質をさす。ここで、油性媒質が有機溶剤と有機溶剤以外の混合物からなる有機溶剤含有物の場合には、有機溶剤の含有率が5質量%を超えるものをさす。
本実施形態に係る油性記録液で使用される油性媒質としては、各種公知の植物油及び/又は石油系溶剤のいずれも使用することが可能であり、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤のいずれも使用が可能である。
1.2.1.非極性有機溶剤
本実施形態に係る油性記録液で使用される非極性有機溶剤としては、例えば、石油系溶剤である炭化水素溶剤、フッ素系溶剤、シリコン系溶剤等が挙げられる。石油系溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、市販されているものを用いてもよく、例えば、日本石油株式会社製 テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7、エクソンモービル株式会社製 Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日本石油株式会社製 日石クリーンソルG(アルキルベンゼン)、エクソンモービル株式会社製 ソルベッソ200等が挙げられる。
1.2.2.極性有機溶剤
本実施形態に係る油性記録液で使用される極性有機溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、1分子中の炭素数が5以上、好ましくは1分子中の炭素数が9以上、より好ましくは1分子中の炭素数が12以上32以下の高級脂肪酸エステル類が挙げられ、例えば、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、イソパルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルドデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリル酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。また、乾性油脂肪酸とアルコールのエステルである大豆油脂肪酸メチル、大豆油脂肪酸イソブチル、亜麻仁油脂肪酸メチル、亜麻仁油脂肪酸ブチル、亜麻仁油脂肪酸プロピル、亜麻仁油脂肪酸2−エチルヘキシル、桐油脂肪酸メチル、トール油脂肪酸メチル、トール油脂肪酸イソブチル等が挙げられる。
また、環状エステルとして、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、及びε−カプロラクトン等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等が挙げられる。特に、アルコール系溶剤としては、1分子中の炭素数が12以上の脂肪族高級アルコール類が好ましく、例えば、ヘキサデカノール、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、アセトアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。
脂肪酸系溶剤としては、1分子中の炭素数が4以上、好ましくは1分子中の炭素数が9以上22以下の脂肪酸類が挙げられ、例えば、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のグリコールエーテル類の他、グリコールエーテル類のアセタート等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
アミン類を配合してもよく、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミン等が挙げられる。
ここで例示した油性媒質は、一種又は複数種を、油性記録液に対して、適宜の配合量で添加することができるが、油性媒質の50質量%以上が石油系溶媒であることが好ましい。この場合には、顔料表面が溶剤で被覆されるため、顔料の凝集性が更に低下し、顔料表面の滑り性が向上する。このため、顔料が記録液中で更に安定して分散され、保存安定性及び吐出安定性に優れると共に、ワイピング耐久性に優れる油性インクジェット記録液となる。
1.3.樹脂
本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、分散剤として樹脂を含有する。樹脂としては、顔料の分散安定性を向上させる観点から、通常の油性記録液において用いられる任意の分散剤を用いることができる。本発明で使用できる樹脂としては、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、日本ルーブリゾール株式会社製ソルスパース5000、ソルスパース13940、ソルスパース11200、ソルスパース21000、ソルスパース28000等が挙げられる。
特に、顔料表面の高活性部位を含む顔料表面を被覆することにより、顔料の分散安定性を確保するために、樹脂が、ウレタン変性アクリル樹脂、脂肪酸変性アルキド樹脂、ウレタン変性アルキド樹脂から選択される樹脂が好ましい。樹脂がこれらのうちのいずれかである場合には、顔料表面への樹脂吸着性が向上するため、顔料の凝集性が大きく低下する。このため、保存安定性及び吐出安定性が更に向上する。また、顔料がインク中でより安定して分散されるため、インクジェットノズルから吐出する際の液滴形成性が向上する。このため、吐出安定性が高まり、特に、高耐久性を要求される高速ライン式インクジェット記録において連続安定吐出が可能となる。更に、顔料のノズル面への付着性が低下するため、ワイピング耐久性が更に向上する。
本実施形態に係る油性記録液において、樹脂の含有量は、分散すべき顔料によって適宜選択することができるが、油性記録液中の油性媒質に溶解している樹脂の含有量が、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。この範囲にある場合には、顔料が記録液中でより安定して分散されるため、保存安定性、吐出安定性及びワイピング耐久性が向上する。また、油性記録液中における、顔料と樹脂の質量比(顔料/樹脂)が、0.5以上2.0以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.0以上1.5以下である。
1.4.その他の成分
本実施形態に係る油性インクジェット記録液には、更に通常の油性記録液に含まれるその他の添加剤を添加してもよい。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤、界面活性剤、バインダー樹脂等が挙げられる。
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、例えば、BHA(2,3−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)等が挙げられる。
<紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
<バインダー樹脂>
本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、顔料を記録媒体に定着させるたり、記録液の粘度を調整する目的でバインダー樹脂を添加してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、セルロースアセテートブチレート等の繊維系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。これらの樹脂を含有することにより、記録媒体への定着性を向上でき、また耐擦性も向上する。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液中におけるバインダー樹脂の固形分含有量は、好ましくは0.05質量%以上15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、更に好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
<界面活性剤>
本実施形態に係る油性インクジェット記録液には、表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させる観点から、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン誘導体を添加してもよい。
シリコン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコンやポリエーテル変性シリコンを用いることが好ましい。具体例としては、BYK−315、315N、347、348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましく、具体例としては、BYK−340(ビックケミー・ジャパン株式会社製)や、サーフロンS−211、S−131、S−132、S−141、S−144、S−145(旭硝子株式会社製)、フタージェント100、150、251(株式会社ネオス社製)、メガファックスF477(DIC株式会社製)、FC−170C、FC−430、フロラード・FC4430(住友スリーエム株式会社製);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont株式会社製);FT−250、251(株式会社ネオス社製)等が挙げられる。
また、ポリオキシエチレン誘導体としては、アセチレングリコール系界面活性剤を用いることが好ましい。具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン株式会社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA−10R、A−13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG−740W、D−90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX−100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係る油性インクジェット記録液中における界面活性剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以上1質量%以下である。
更に、本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、必要に応じて、pH調整剤、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等のキレート化剤、防腐剤・防かび剤、及び防錆剤等、所定の性能を付与するための物質を添加することができる。
1.5.物性
本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、記録品質とインクジェット用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上50mN/mであることが好ましく、25mN/m以上40mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
また、同様の観点から、本実施形態に係る油性インクジェット記録液の20℃における粘度は、2mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、2mPa・s以上20mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica株式会社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10〜1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
1.6.用途
本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、公知のインクジェット記録装置のインクカートリッジに収容し、インクの液滴を吐出させ、紙等の記録媒体に該液滴を付着させて画像を記録する。インクジェット記録装置としては、電気信号に基づいて振動可能な電歪素子が搭載されると共に、前記電歪素子の振動によってインクを吐出することができるように構成されたインクジェット記録装置が好ましい。
油性インクジェット記録液をノズルから吐出させる方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルから液滴状の油性記録液を連続的に吐出させ、油性記録液の液滴が偏向電極間を飛翔する間に記録情報信号に対応して吐出させる方式(静電吸引方式);小型ポンプで油性記録液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的に油性記録液の液滴を吐出させる方式;油性記録液に圧電素子で圧力と記録情報信号を同時に加え、油性記録液の液滴を吐出・記録させる方式(ピエゾ方式);油性記録液を記録情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、油性記録液の液滴を吐出・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
インクジェットヘッドとしては、ライン式インクジェットヘッド、シリアル式インクジェットヘッドのいずれも使用可能である。本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、特に、ライン式インクジェットヘッドを備えたインクジェット記録装置を用いた高速ワンパスインクジェット記録のような高耐久性が要求される記録形態において、連続安定吐出が可能となり、高い効果を発揮する。また、顔料が記録液中でより安定して分散されるため、得られた画像の発色性、堅牢性が確保される。
なお、本実施形態において、印刷対象となる記録媒体は特に制限されず、普通紙、コート紙、プラスチックフィルム、布帛、皮革等のいずれの種類の記録媒体にも用いることができ、インク低吸収性又は非吸収性の記録媒体であってもよい。
本明細書における「インク低吸収性又は非吸収性の記録媒体」とは、インク組成物を全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、インク非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として最も普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。これに対して、インク吸収性の記録媒体とは、インク非吸収性又は低吸収性の記録媒体に該当しない記録媒体のことを指す。
インク非吸収性の記録媒体としては、例えば、インク吸収層を有していないプラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。
インク低吸収性の記録媒体としては、表面にインクを受容するための塗工層が設けられた記録媒体が挙げられ、例えば、基材が紙であるものとしては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙が挙げられ、基材がプラスチックフィルムである場合には、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の表面に、親水性ポリマーが塗工されたもの、シリカ、チタン等の粒子がバインダーと共に塗工されたものが挙げられる。これらの記録媒体は、透明な記録媒体であってもよい。
2.油性インクジェット記録液の製造方法
本実施形態に係る油性インクジェット記録液は、公知の慣用方法によって製造することができるが、その製造工程において、顔料の誘導体を用いて、顔料を表面処理する工程を含む。すなわち、顔料に溶剤を添加して顔料分散液を調製する際に、顔料の誘導体を添加し、ボールミル、ビーズミル、超音波、又はジェットミル等によって混合することによって顔料分散液を調製する。この工程を経ることにより、顔料の一次粒子の形状の正確な制御が可能となり、顔料の一次粒子のアスペクト比が1.0以上2.0以下の範囲内にある顔料が得られる。更には、顔料の一次粒子のアスペクト比が1.0以上2.0以下の範囲内にあり、顔料の一次粒子径の個数分布の90%積算値(D90)が100nm以下である顔料が得られる。
上記工程は、粉砕塩(食塩)を用いたソルトミリングであることが好ましく、ソルトミリング後の混連物を水洗することが好ましい。ソルトミリングの場合には、顔料に対して大きな剪断力がかかるため、顔料の一次粒子の形状のより正確な制御が可能となる。
得られた顔料分散液には、分散剤としての樹脂や油性媒質、及びその他の添加剤(例えば、界面活性剤やバインダー樹脂)が撹拌下に添加され、本実施形態に係る油性インクジェット記録液が得られる。
なお、顔料の誘導体を用いた顔料を表面処理する工程において、顔料の一次粒子の形状の制御は、顔料と、顔料誘導体との量比に依存する。このため、本実施形態に係る油性インクジェット記録液を得るためには、顔料の一次粒子の形状の制御(顔料)/(顔料誘導体)比は、10以上30以下であることが好ましく、12以上25以下であることがより好ましい。
3.実施例及び比較例
以下に実施例及び比較例を示し、本発明を更に説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
3.1.試料の調製
3.1.1.顔料の調製
(顔料1)
下記原料を10L双腕ニーダー(株式会社トーシン製 TK10)に充填し、80℃にて10時間ソルトミリングを実施した。
Fastens Super Magenta RTS(DIC株式会社製)
500質量部
キナクリドン誘導体(下記(1)) 40質量部
粉砕塩(食塩) 3500質量部
ジエチレングリコール 1000質量部
ソルトミリング後の混連物を水洗し、フィルタープレス機(株式会社栗田機械製作所製 手動式フィルタープレスSQ(PP))にて脱水処理を施し、乾燥粉砕して顔料1を得た。
Figure 2017141387
(顔料2)
顔料1において、キナクリドン誘導体の添加量を20質量部とし、他は同様にして顔料2を得た。
(顔料3)
顔料2において、粉砕塩(食塩)の添加量を2000質量部とし、他は同様にして顔料3を得た。
(顔料4)
10Lオートクレーブ容器に、無水フタル酸1000質量部、尿素1800質量部、塩化第一銅180質量部、モリブデン酸アンモニウム5質量部、塩化マグネシウム1000質量部、塩化ナトリウム1000質量部を加え、170℃まで除々に加熱した後、4時間加熱攪拌を続け、反応を終了させた。冷却後、反応物を取り出し、10倍量の2%NaOH水溶液、1%HCl水溶液、温水の順で洗浄、濾過を繰り返し、次いで乾燥し、粗製銅フタロシアニン780部を得た。10L双腕ニーダー(株式会社トーシン製 TK10)に、上記粗製銅フタロシアニン500質量部、ソルスパース5000(日本ルーブリゾール株式会社製)40質量部、粉砕塩(食塩)3500質量部、ジエチレングリコール1400質量部を加え、90℃で7時間加熱磨砕した。その間、内容物が均一な粘調性を保つように適宜ジエチレングリコールを加えた。得られた磨砕物を20倍の温水で洗浄、濾過、乾燥し、顔料4を得た。
(顔料5)
顔料4の製造方法において、ソルスパース5000の添加量を20質量部とし、他は同様にして顔料5を製造した。
(顔料6)
顔料4において、粉砕塩(食塩)の添加量を2000質量部とし、他は同様にして顔料6を得た。
得られた顔料1〜顔料6の一次粒子径のアスペクト比と90%積算値(D90)を表1に示す。
Figure 2017141387
3.1.2.樹脂の調製
(樹脂1:ウレタン変性アクリル樹脂)
容量5Lのセパラブルフラスコにジムロート冷却管、撹拌翼、滴下ロートを装填し、窒素置換をしながら60℃のオイルバスに1時間浸漬し、十分に窒素置換と昇温を行った。モノマー溶液(メタクリル酸ドデシル700g、スチレン150g、昭和電工株式会社製 カレンツMOI−BM 100g、日本油脂株式会社製 ブレンマーANP−300 50g)を作製し、それにパルミチン酸イソオクチル500g、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製 V−65) 10g、ドデシルメルカプタン10gを添加して滴下ロートに充填し、2時間かけて滴下した。滴下後、更に1時間撹拌を続け、V−65 2.0gを添加して更に1時間撹拌してアクリル系の幹ポリマーを得た。その後、還流しながらオイルバスを150℃に昇温し、1時間撹拌を続けてイソシアネートモノマーを脱ブロック化し、脱離した1−メチルプロピリデンアミンを留去した。オイルバスの温度を60℃に設定し、ジプロピレングリコール 94g、三井化学株式会社製 タケネート600 238gを混合して滴下ロートに充填し、1時間かけて滴下した。その後、パルミチン酸イソオクチル 854gを添加して混合溶解し、樹脂1 50質量%溶液を得た。DMFを展開液とし、GPC(東ソー株式会社製 HLC−8320GPC)にて樹脂1の分子量を計測した。
(樹脂2:脂肪酸変性アルキド樹脂)
容量20Lのセパラブルフラスコにジムロート冷却管、撹拌翼を装填し、窒素置換をしながら260℃に加温して十分に窒素置換と昇温を行った。そこに無水フタル酸 2960g、亜麻仁油脂肪酸 1420g、ペンタエリスリトール 990g、グリセリン 2100gを添加して撹拌しながら反応させ、酸価が30以下となったらパラトルエンスルホン酸 10gを添加して酸価が20以下になるまで反応を継続させた。その後、反応系を33質量%亜麻仁油粘度が8.0Pa・Sになるよう調整し、0.02MPaで10分間減圧した。その後、冷却して樹脂2を得た。また、樹脂2の一部をパルミチン酸イソオクチルに溶解して50質量%の樹脂2溶液を得た。
(樹脂3:ウレタン変性アルキド樹脂)
容量5Lのセパラブルフラスコにジムロート冷却管、撹拌翼、滴下ロートを装填し、窒素置換をしながら110℃のオイルバスに1時間浸漬し、十分に窒素置換と昇温を行った。そこに樹脂2(固形) 612.4g、プロピレングリコール 4.4g、ジエタノールアミン 6.0gパルミチン酸イソオクチル 225.7gを添加し、窒素パージしながら撹拌溶解した。その後、110℃で2時間保持した後、ジラウリン酸ジブチル錫 0.4gを添加撹拌し、その溶液に、タケネート600 22.5g、パルミチン酸イソオクチル 202.5gの溶液を30分かけて滴下ロートからフラスコ内に添加した。滴下後、184.2gのパルミチン酸イソオクチルで滴下ロートを洗浄し、その洗浄液をフラスコ内に充填した。温度を110℃に維持して6時間反応させ、冷却して樹脂3溶液(50質量%)を得た。
(樹脂4:アクリル樹脂)
容量5Lのセパラブルフラスコにジムロート冷却管、撹拌翼、滴下ロートを装填し、窒素置換をしながら60℃のオイルバスに1時間浸漬し、十分に窒素置換と昇温を行った。モノマー溶液(メタクリル酸ドデシル 700g、スチレン 250g、日本油脂株式会社製ブレンマー ブレンマーANP−300 50g)を作成し、それにパルミチン酸イソオクチル 500g、重合開始剤(和光純薬工業株式会社製 V−65) 10g、ドデシルメルカプタン 10gを添加して滴下ロートに充填して、2時間かけて滴下した。滴下後更に1時間撹拌を続け、V−65 2.0gを添加して更に1時間撹拌してアクリル樹脂4を得た。その後、パルミチン酸イソオクチル 500gを添加して混合溶解し、樹脂4 50質量%溶液を得た。DMFを展開液とし、GPC(東ソー株式会社製 HLC−8320GPC)にて樹脂4の分子量を計測した。
3.1.3.インクの調製
(実施例1)
AF−4(JXエネルギー株式会社製 ナフテン系溶剤) 5000g、顔料1 500g、樹脂1 溶液 700gを20Lステンレス容器に入れ、株式会社井上製作所製ディゾルバーで1時間撹拌し、ミルベースを調製した。同ミルベースをアシザワ・ファインテック株式会社製 スターミルLMZ(周速12m/s、使用ビーズ:ジルコニア φ0.1mm、ビーズ充填率:85%)で、パス運転で5パス分散処理を実施した。その後、日立工機株式会社製 冷却遠心分離機(CR7N)にて加速度11,000Gにて20分間遠心分離処理を施し、その後3μmフィルターでろ過した。濾液にAF−4 1000g、IOP(高級アルコール工業株式会社製 パルミチン酸イソオクチル) 1650g、ハイノール14SS(高級アルコール工業株式会社製 ミリスチルアルコール)1150gを添加し、十分撹拌して、実施例1のインクを得た。
(実施例2)
実施例1の樹脂1溶液を樹脂2溶液に変更し、他は同様にして実施例2のインクを得た。
(実施例3)
実施例1の樹脂1溶液を樹脂3溶液に変更し、他は同様にして実施例3のインクを得た。
(実施例4)
実施例1の樹脂1溶液を樹脂4溶液に変更し、他は同様にして実施例4のインクを得た。
(実施例5)
IOP 4650g、顔料 500g、樹脂4溶液 700gを20Lステンレス容器に入れ、株式会社井上製作所製ディゾルバーで1時間撹拌し、ミルベースを製造した。同ミルベースをアシザワ・ファインテック株式会社製 スターミルLMZ(周速12m/s、使用ビーズ:ジルコニア φ0.1mm、ビーズ充填率:85%)で、パス運転で5パス分散処理を実施した。その後、日立工機株式会社製 冷却遠心分離機(CR7N)にて加速度11,000Gにて20分間遠心分離処理を施し、その後3μmフィルターでろ過した。濾液にAF−4 3000g、ハイノール14SS 1150gを添加し、十分撹拌して、実施例5のインクを得た。
(実施例6)
実施例5の顔料1を顔料2に変更し、他は同様にして実施例5のインクを得た。
(実施例7)
実施例1の顔料1を顔料4に変更し、他は同様にして実施例7のインクを得た。
(実施例8)
実施例7の樹脂1を樹脂2に変更し、他は同様にして実施例8のインクを得た。
(実施例9)
実施例7の樹脂1を樹脂3に変更し、他は同様にして実施例8のインクを得た。
(実施例10)
実施例7の樹脂1を樹脂4に変更し、他は同様にして実施例10のインクを得た。
(実施例11)
実施例5の顔料1を顔料4に変更し、他は同様にして実施例11のインクを得た。
(実施例12)
実施例11の顔料4を顔料5に変更し、他は同様にして実施例12のインクを得た。
(比較例1)
実施例1の顔料1を顔料3に変更し、他は同様にして比較例1のインクを得た。
(比較例2)
実施例1の顔料1を顔料6に変更し、他は同様にして比較例1のインクを得た。
3.2.評価試験
3.2.1.保存安定性試験
得られた各インクをサンプル瓶に入れ、−20℃で1週間凍結放置し、放置後のインクを解凍して濾過し、低温析出物を集めた。放置後のインクの外観及び低温析出物の個数により、インクの保存安定性を評価した。評価基準は次の通りである。
(評価基準)
5:低温析出物が50個/1mL未満。
4:低温析出物が50個/1mL以上100個/1mL未満。
5:低温析出物が100個/1mL以上200個/1mL未満。
2:低温析出物が200個/1mL以上。
1:インク中に分離あり。
3.2.2.吐出安定性試験
セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター PX−7050改造機に上記各インクを充填し、普通紙(富士ゼロックス株式会社製 P紙A4)に、2P文字品質、1ドット罫線(縦、横)を含むテストパターンを1000枚に連続印刷し、以下の基準で評価した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
5:不良率 0.1%未満
4:不良率 0.1%以上1%未満
3:不良率 1%以上5%未満
2:不良率 5%以上10%未満
1:不良率 10%以上
3.2.3.ワイピング耐久性試験
セイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンター SC−S50650改造機上記各インクを充填し、普通紙(富士ゼロックス株式会社製 P紙A4)に、2P文字品質、1ドット罫線(縦、横)を含むテストパターンを1000枚に連続印刷した。続いて、全ノズルに下記の払拭を行った。
吸収体(布ワイパー)には、セルロース長繊維不織布(商品名ベンリーゼ)を用いた。払拭動作は、払拭手段(吸収体)をノズルプレートに接触させ、払拭手段の裏からノズルプレートに350gfの荷重で押圧部材で押圧した状態で、ノズル列に対して直交する方向に、面上を端から端へ20cm移動させ、以下の基準で評価した。なお、払拭手段はロール状になっており、新しい部分を引き出して次回の払拭に用いた。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
5:ノズル面が傷つくことなく、インクが綺麗に拭き取られている。
4:ノズル面の一部に若干の傷が認められ、印字状態には影響がない。
3:ノズル面の一部に筋状の傷が認められ、印字不良(罫線ズレ)が発生する。
2:ノズル面全面に筋状の傷が認められ、印字不良(ドット抜け)が発生する。
1:ノズル面に撥水膜の部分剥離が認められ、印字不良(多ノズル抜け)が発生する。
3.3.評価結果
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2017141387
顔料の一次粒子のアスペクト比が本発明の範囲から外れる比較例1、2では、全ての評価で劣っていた。これに対し、顔料の一次粒子のアスペクト比が本発明の範囲内にある実施例では、比較例と比べていずれの性能も向上していた。特に、顔料の一次粒子径のD90が100nm以下の場合には、性能が向上していた。また、樹脂として、ウレタン変性アクリル樹脂、脂肪酸変性アルキド樹脂又はウレタン変性アルキド樹脂を用いた場合や、油性媒質の50質量%以上が石油系溶媒である場合にも性能が向上していた。このように、顔料誘導体を用いて一次粒子の形状を制御した例では、比較例と比べていずれの性能も向上していた。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (6)

  1. 顔料と、油性媒質と、樹脂とを含有する油性インクジェット記録液において、
    前記顔料の一次粒子のアスペクト比が、1.0以上2.0以下の範囲内にある、油性インクジェット記録液。
  2. 前記顔料の一次粒子径の個数分布の90%積算値(D90)が100nm以下である、請求項1に記載の油性インクジェット記録液。
  3. 前記顔料が、キナクリドン及び銅フタロシアニンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の油性インクジェット記録液。
  4. 前記油性媒質の50質量%以上が石油系溶媒である、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の油性インクジェット記録液。
  5. 前記樹脂が、ウレタン変性アクリル樹脂、脂肪酸変性アルキド樹脂及びウレタン変性アルキド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の油性インクジェット記録液。
  6. 顔料と、油性媒質と、樹脂とを含有する油性インクジェット記録液の製造方法であって、
    前記顔料の誘導体を用いて、前記顔料を表面処理する工程を含む、油性インクジェット記録液の製造方法。
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