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JP2017140962A - 省エネルギー減速走行支援方法 - Google Patents

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JP2017140962A
JP2017140962A JP2016024341A JP2016024341A JP2017140962A JP 2017140962 A JP2017140962 A JP 2017140962A JP 2016024341 A JP2016024341 A JP 2016024341A JP 2016024341 A JP2016024341 A JP 2016024341A JP 2017140962 A JP2017140962 A JP 2017140962A
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Abstract

【課題】走行中の車両の有する運動エネルギーを、当該車両の車両状態、道路状態、あるいは周辺交通状況、に適合した最適な減速走行に効果的・効率的に利用しての省エネルギー・低排出ガス走行を行うための走行支援方法の提案。
【解決手段】走行中の車両における目標停止点までの減速走行形態を複数設定するとともに、前記設定した走行形態毎に車両特性・車両状態、道路状況、および周辺交通状況等、に関する減速走行実行可能条件を規定し、
前記設定した減速走行形態中から、前記規定した減速走行実行可能条件に基づいて、現地点・現時点から目標停止点まで間車両の有する運動エネルギーを最大限効果的・効率的に活用しての減速走行を行うための減速走行形態を選択・抽出して減速走行を行う。
【選択図】 図1

Description

本願発明は、走行中の車両の有する運動エネルギーを有効に活用した省エネルギー・低排出ガス走行支援方法に関する。
加速走行によって車両が獲得した運動エネルギーを有効に車両走行に活かす方法として、回生制動走行がある。これは減速時、車両の有する運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、それを電装品用電源として(特許文献3)、あるいは後の加速走行に活かす制動走行方法として、実用化されている。
しかしこの回生制動方法は、
・摩擦制動との同時並行的利用(回生協調制動)のため運動エネルギーのうち摩擦制動で熱として放散される部分が多く、
これがエネルギー損失となる、
・摩擦制動で消費されない残りの運動エネルギー分、即ち回生されるべき運動エネルギー分もその回生効率が低い、特に大容量バッテリーの高速蓄・放電効率が悪い、
等の理由で、減速開始時車両の有している運動エネルギーは真に有効に車両走行に活かされるとは言い難い。
この対策として、運動エネルギーを電気エネルギーとして回生するのではなく、フライホイールあるいは圧縮空気等機械エネルギーとして回生する方法(特許文献1、非特許文献1、2)も提案されているが、これもまた安全性の問題等で一部特殊な用途以外は実用化に至っていない。
上記回生制動に代えて、運動エネルギーを直接車両の走行に活かす惰性走行による方法がある(特許文献2、特許文献4)。但しこの惰性走行による方法も、その減速走行距離長大化にかかわる下記の如き種々の問題があり、広く実用化されるに至っていない。
特開2011−038621 特開2011−046272 特開2012−200095 特開2013−177126
2012年9月4日 日刊工業新聞記事 「蘭大、車向けフライホイールエンジン開発」 response.jp/article/2013/04/30/197134.html 「ボルボカーズ、フライホイールKERSを開発」
本願発明は、減速走行時、惰性走行による減速走行距離の長大化にかかわる下記の如き種々の問題に対処して、車両の走行状態あるいは走行環境状態に最適に適合した省エネルギー・低排出ガス減速走行支援方法を提供しようとするものである。
ここで、減速走行を惰性走行で行う場合の惰性走行距離長大化にかかわる問題には、
・惰性走行開始点特定方法・手段
・惰性走行による減速中の平均速度の低下
・惰性走行中の車両状態変化(電装品駆動用バッテリー電圧の低下、電装品動作状態の変化等)、道路状態変化(道路勾配・道路面状態の変化等)周辺交通状況変化(前方車両・障害物の出現等)の恐れ
・惰性走行終了後の発進・加速時におけるエンジン再始動の必要性問題、
等がある。
以下本願発明を、ガソリンエンジンを駆動源とするAT車を例にとって減速(惰性)走行距離長大化への対応策、即ち減速走行に際し車両の有する運動エネルギー利用効率が高くかつ車両特性に合致した安全な減速走行形態の選択・実行方法について、説明する。
惰性走行には駆動輪と動力源の接続状態あるいは動力源の動作状態によっていくつかの状態があり、ガソリンエンジンを駆動源とするAT車においては、アクセル状態、トランスミッションモード、およびエンジンの動作状態によって概略以下の3状態に大別される。
・惰性走行状態A:アクセルオフ、トランスミッションモードN(ニュートラル)、エンジン停止(フュエルカット)状態、
・惰性走行状態B:アクセルオフ、トランスミッションモードN(ニュートラル)、エンジンアイドリング状態、
・惰性走行状態C:アクセルオフ、トランスミッションモードD(ドライブ)、エンジンアイドリング状態(軽いエンジンブレーキ状態)
上記惰性走行での運動エネルギー利用効率は
惰性走行状態AおよびB>惰性走行状態C
である。
一方、上記惰性走行中は惰性走行状態Aにおいては、エンジンには燃料は供給されないのに対し、惰性走行Bにおいてはアイドリング分の燃料が供給され消費される。
従って上記惰性走行状態A、B、Cにおける省エネルギー性能は A>B>C の順となる。
しかし、惰性走行状態AあるいはBは、惰性走行状態C に比べてその惰性走行可能距離は大
きい(惰性走行減速度は小さい)。
また、惰性走行状態Aにおいては惰性走行中エンジンストップ状態であることから惰性走行
後の発進・加速時点ではエンジンを起動する必要があるのに対し、惰性走行状態Bにおいては惰性走行中もエンジンは動作状態であることから発進・加速時においてのエンジン起動の必要はない。
さらに、惰性走行状態Aは、惰性走行中のオルタネータによる発電は行われず、したがってバッテリの蓄電量が少なく、この間のバッテリー負荷である電装品の電力消費量が多い場合は、惰性走行A実行には問題があるが、惰性走行状態BあるいはCにおいてはこの問題は、基本的には、ない。
等々、惰性走行実行に際しての惰性走行状態選択は単に、運動エネルギーの利用効率、従って惰性走行可能距離の大小からだけで判断することはできない。但しできるだけ運動エネルギーの利用効率の高い惰性走行を行うことが望ましいことは言うまでもない。
そこで本願発明では目標停止点までの、主として惰性走行による減速走行実行に先立ち、下記方法での惰性走行可能距離Li特定と合わせて前記特定された惰性走行可能距離Liでの惰性走行実行の適合性を車両状態、道路状態、および周辺車両状態等に関し検討し、適合可能な範囲内で極力運動エネルギーの利用効率の高い惰性走行、即ち惰性走行可能距離の長い惰性走行、を選択し実行する。
ここで、惰性走行可能距離Li は(特許文献4に示される如く)、
(数1)
Li =(vc2 −vb2 )/(2・αi )
但し、
Li :惰性走行減速度がαi 時の惰性走行開始速度vc 、惰性走行終了速度vb 間の惰性走行可能距離
vc :惰性走行開始速度
vb :惰性走行終了速度、制動開始速度
αi :速度vcにおける走行抵抗および駆動輪負荷で決まる惰性走行減速度
である。
ここで惰性走行形態選択・実行に際しての判断材料として以下の事項が考えられる。
1)車両(走行)状態に関する事項
車速、目標停止点までの距離、バッテリ電圧(バッテリー電力残量)、バッテリ負荷状況、アクセル状態、トランスミッションモード、エンジン動作状態(エンジンブレーキ状態を含む)
2)道路状態に関する事項
現地点−目標停止点間道路状況(勾配、曲率、道路面状況等)
3)周辺車両・交通状況
前方車両・障害物の有無、有の場合の距離・相対速度
ここで上記各状態の検出は、
1)に関しては、車両に設けられている既存のセンサ出力、あるいは新たな必要性に対応して設けたセンサ出力をもって、
2)に関しては、主として既存のカーナビゲーション装置内に有している地図データベース内情報あるいは位置特定用GPS出力をもって、
3)に関しては、主として車両安全のために設けられている車両前・後方レーダ、カメラ等からの情報、あるいは外部からの路車間通信、車車間通信、放送等によって供給される情報、をもって、各々行う。
即ち、目標停止点までの惰性走行可能距離情報に対応した上記車両状態、道路状態、および周辺車両状態情報をもって最適な惰性走行状態を判別し、その結果得られた惰性走行状態で目標停止点まで走行する。
勿論上記惰性走行状態の選択・実行は、車両において自動的に行うことが理想であるがそれらの一部をドライバーの操作・判断にゆだねることでも可能である。
上記本願発明の基本的考え方を、ガソリンエンジンのAT車を例にとり、図1を用いて説明する。
図1において、定速走行速度vcからの制動(回生制動を含む)による走行距離は地点Pc−地点Pe間距離Lce であるのに対し、惰性走行形態Aあるいは惰性走行形態Bでの減速走行距離は距離(Lad +Lde) 、また惰性走行形態Cでの減速走行距離は距離(Lbd +Lde)となる。
即ち速度vc 走行時の車両の有する運動エネルギーは、速度vc から直接的に制動による減速走行する場合に比べて、惰性走行Aあるいは惰性走行Bで走行した場合は、
(数2)
ΔLab={(Lad +Lde)−Lce}、
惰性走行Cで走行した場合は、
(数3)
ΔLc={(Lbd +Lde)−Lce}、
となり、この差分ΔLab 、ΔLc 分だけ省エネルギーとなる。
ここで、
Lad:地点Pa −地点Pd 間距離、速度vc からの惰性走行形態AあるいはBによる惰性走行可能距離
Lbd:地点Pb −地点Pd 間距離、速度vc からの惰性走行形態Cによる惰性走行可能距離
Lde:地点Pd −地点Pe 間距離、速度vb からの制動走行距離
Lce:地点Pc −地点Pe 間距離、速度vc からの制動走行距離
である。
但し、前記のとおり、惰性走行形態Aと惰性走行形態Bでは、惰性走行距離は同等であるがこの間惰性走行形態Aではエンジン停止を行うことにより、燃料消費は0となるが、惰性走行形態Bでは、エンジンはアイドリング状態であるため、その分ガソリンは消費され、トータルの省エネルギー性能は惰性走行形態A>惰性走行形態Bとなる。
従って、惰性走行形態A、B、C、中では、目標停止点が特定された後の減速走行はできれば惰性走行形態A が最も望ましく、次いで惰性走行形態B 、惰性走行形態C の順となる。
但し上記省エネルギー性能の最も良い惰性走行形態Aは、例えば惰性走行中エンジン停止従ってオルタネータによる発電も停止することからバッテリー残量が少ない場合はこの惰性走行形態は許容できない場合もある。また、例えば道路勾配が下り坂であり、わずかでもエンジンブレーキが必要である場合は惰性走行形態Bは許容できない等、車両の状態あるいは道路状態あるいは周辺車両状態等で許容惰性走行形態も変化する。
このような各惰性走行形態に対して車両状態、道路状態、周辺交通状況等の許容できる条件、許容できない条件、を事前に明確化しておき、目標停止点に対して惰性走行による減速走行を行うに先立って、許容できる走行条件から惰性走行形態を決定し、前記決定した惰性走行形態に対応する目標停止点上流惰性走行可能距離地点から惰性走行を行うことによって省エネルギー・低排出ガスかつ安全な減速走行が可能となる。
走行中の車両の有する運動エネルギーの効率的な減速走行への利用に有効な複数の減速走行形態中から、実走行に支障のない範囲内で最も効率的な減速走行形態を選択して減速走行することによって、車両の有する機能・特性に合致した効果的・効率的かつ安全な減速走行の実行が可能となる。
また、本省エネルギー減速走行支援方法は、ドライバーの手動操作による減速走行支援に有効であるばかりでなく、自動運転車における省エネルギー減速走行制御方法としても有効である。
省エネルギー減速走行のための惰性走行形態とその惰性走行可能距離の関係例を示す、本願発明の基本的考え方説明図。 図1に示す本願発明の基本的考え方に基づく省エネルギー減速走行制御手順例である。
本願発明実施、即ち想定される複数の減速(惰性)走行形態中から最適な減速(惰性)走行状態を選択して減速(惰性)走行を実行するには、車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報を事前(および減速走行中)に知る必要がある。
これら情報は基本的には従来の車両あるいは社債されたカーナビゲーション装置が有する情報を基本とし、これに不足がある場合、例えば周辺車両情報は、前方車両検知用レーダー装置あるいはカメラ装置からの情報、を新たに取得すること等、によって充当する。
またこれら情報を活用しての、最適な減速(惰性)走行形態の選択は、前記カーナビゲーション装置の信号処理機能によって行う。
本願発明の実施例として、図1に示すガソリンエンジンのAT車の場合における減速走行形態例として惰性走行形態A、B、C、の場合について以下にその最適減速(惰性)形態抽出・減速(惰性)走行実行手順例を示す。
但し、本実行手順実施に必要な主要情報のうち、車両現在位置はGPS受信機で、目標停止点位置は車両現在位置とカーナビゲーション装置が経路探索機能であらかじめ特定した経路から、また速度はGPSでの速度特定機能あるいは車両の速度情報から、各々特定する、
さらに、車両現在位置−目標停止点間距離算出、惰性走行可能距離算出、もカーナビゲーション装置の演算処理機能を使用して特定する。
また、車両速度および車両現在地の特定、および車両現在地−目標停止点間距離Lの算出は図2に示す処理手順のバックグラウンドで周期的・継続的に行うものとする。
図2において
201は、本願発明による省エネルギー減速走行方法処理開始点
202は、車両が走行中か否かを車速から判定する走行確認処理
203は、処理202で車両が走行中であることを確認できた場合、車両が次に停止すべき目標停止点が特定済か否かを判定する目標停止点特定判定処理、
204は、処理203で目標停止点特定済と判定された場合、目標停止点までの惰性走行が
「形態A」で可能か否かを車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報から判定する
惰性走行状態A判定処理、
205は、処理204で目標停止点までの惰性走行が「形態A」で可と判定された場合、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Aでの惰性走行可能距離Lad以内にあるか否かを判定する
惰性走行可能距離Lad判定処理A、
206は、処理205において、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Aでの惰性走行可能距離Lad以内にあると判定された場合、惰性走行形態Aでの惰性走行を行う惰性走行A実行(支援)処理、
207は、処理206の実行中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理A、
208は、処理204で目標停止点までの惰性走行が「形態A」では不可と判定された場合「形態B 」で可能か否かを車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報から判定する惰性走行状態B判定処理、
209は、処理208で目標停止点までの惰性走行が「形態B」で可と判定された場合、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Bでの惰性走行可能距離Lad以内にあるか否かを判定する惰性走行可能距離Lad判定処理B、
210は、処理209において、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Bでの惰性走行可能距離Lad以内にあると判定された場合、惰性走行形態Bでの惰性走行を行う惰性走行B実行(支援)処理、
211は、処理210の実行中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理B、
212は、処理208で目標停止点までの惰性走行が「形態B」では不可と判定された場合、「形態C」で可能か否かを車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報から判定する惰性走行状態C判定処理、
213は、処理212で目標停止点までの惰性走行が「形態C」で可と判定された場合、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Cでの惰性走行可能距離Lbd以内にあるか否かを判定する惰性走行可能距離Lbd判定処理、
214は、処理213において、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Cでの惰性走行可能距離Lbd以内にあると判定された場合、惰性走行形態Cでの惰性走行を行う惰性走行C実行(支援)処理、
215は、処理214の実行中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理C
216は、処理212で目標停止点までの走行が「惰性走行形態C」で不可と判定された場合、即ち、目標停止点までの走行が、惰性走行形態A、B、C、ともに不可となった場合、速度vcの現走行を継続する現走行継続処理、
217は、処理216での現走行を継続中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Lceの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理D、
218は、処理207、処理211、および処理215、において、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあると判定された場合、あるいは処理217で現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Lceの範囲内にあると判定された場合、制動走行を実行する制動走行支援処理、
219は、現地点−目標停止点間距離Lが0、即ち車両が目標停止点に到達したか否かを判定する目標停止点到達判定処理、
220は、処理219で車両が目標停止点に到達したと判定した場合に停止処理を行う車両停止処理、
221は、本願発明による省エネルギー減速走行処理が終了し次の省エネルギー減速走行処理に移行するためのRET.処理
である。
以上の処理手順によって、目標停止点が特定された車両の減速走行が、最も省エネルギー効率の高い惰性走行形態Aから、最も省エネルギー効率の低い惰性走行形態C、の間の惰性走行形態中、車両状態、道路状態及び周辺車両状態の許す範囲で最も効率の高い惰性走行形態での実行支援が可能となる。
上記実施例においては、車両現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Lde あるいはLceの範囲内になった場合、制動走行に入るとしているが、目標停止点が信号交差点であって、その信号が青信号である場合は制動走行に移行することを止めてその時点での走行(惰性走行あるいは通常の走行)を継続し信号交差点を無停止で通過する方法もある。
この場合は、制動走行に移行して目標停止点で停止する場合に比べて省エネルギーとなることは言うまでもない。
本願発明による省エネルギー減速走行支援方法によって構成された(カーナビゲーション装置等の)走行支援装置は、ガソリン車、ディーゼル車等エンジン車両のみならず、電気自動車等モータを駆動源とする車両を含む各種車両全てに、基本的には単一の装置で、対応して、走行中の車両の有する運動エネルギー利用を高効率かつ安全に可能可するものである。
また、自動運転車においても、本願発明によって目標停止点上流惰性走行可能距離地点からの減速(惰性)走行実施を自動化・簡易化でき、地球環境にも配慮した “人に優しい”車両としての更なる自動運転効果向上が可能となる。
図1および(数1)において、
vc :定速走行速度、惰性走行開始速度
vb :惰性走行終了速度、制動開始速度
Pa :惰性走行形態A、および惰性走行形態B開始地点、
Pb :惰性走行形態C開始地点
Pc :定速走行からの制動開始地点
Pd :制動開始速度vb からの制動開始地点、
Pe :目標停止点
Lad :地点Pa−地点Pd 間距離、速度vc から速度vb までの惰性走行形態Aあるいは惰性走行形態Bによる惰性走行可能距離、
Lbd :地点Pb−地点Pd 間距離、速度vc から速度vb までの惰性走行形態Cによる惰性走行可能距離、
Lce :地点Pc−地点Pe 間距離、速度vc から停止までの制動距離、
Lde :地点Pd−地点Pe 間距離、速度vb から停止までの制動距離、
Li :惰性走行減速度αi 時の惰性走行開始速度vc −惰性走行終了速度vb 間の惰性走行可能距離
αi :惰性走行減速度
加速走行によって車両が獲得した運動エネルギーを有効に加速走行後の車両走行に活かす方法として、回生制動走行がある。これは減速時、車両の有する運動エネルギーを電気エネルギーとして回収し、それを電装品用電源として(特許文献3)、あるいは後の加速走行に活かす制動走行方法として、実用化されている。
しかしこの回生制動方法は、
・摩擦制動との同時並行的利用(回生協調制動)のため運動エネルギーのうち摩擦制動で熱として放散される部分が多く、
これがエネルギー損失となる、
・摩擦制動で消費されない残りの運動エネルギー分、即ち回生されるべき運動エネルギー分もその回生効率が低い、特に大容量バッテリーの高速蓄・放電効率が悪い、
等の理由で、減速開始時車両の有している運動エネルギーは真に有効に車両走行に活かされるとは言い難い。
上記回生制動に代えて、運動エネルギーを直接車両の走行に活かす惰性走行による方法がある(特許文献2、特許文献4)。但しこの惰性走行による方法も、その減速走行距離長大化にかかわる、下記コラム(0007)に示す如き、種々の問題があり、広く実用化されるに至っていない。
一方、上記惰性走行中は惰性走行状態Aにおいては、エンジンには燃料は供給されないのに対し、惰性走行Bにおいてはアイドリング分の燃料が供給され消費される。
従って上記惰性走行状態A、B、Cにおける省エネルギー性能は A>B>C の順となる。
しかし、惰性走行状態AあるいはBは、惰性走行状態C に比べてその惰性走行可能距離
は大きい(惰性走行減速度は小さい)。
また、惰性走行状態Aにおいては惰性走行中エンジンストップ状態であることから惰性
走行後の発進・加速時点ではエンジンを起動する必要があるのに対し、惰性走行状態Bにおいては惰性走行中もエンジンは動作状態であることから発進・加速時においてのエンジン起動の必要はない。
即ち速度vc 走行時の車両の有する運動エネルギーによる惰性走行距離の差は、速度vc から直接的に制動による減速走行する場合に比べて、惰性走行Aあるいは惰性走行Bで走行した場合は、
(数2)
ΔLab={(Lad +Lde)−Lce}、
惰性走行Cで走行した場合は、
(数3)
ΔLc={(Lbd +Lde)−Lce}、
となり、この差分ΔLab 、ΔLc 分だけ省エネルギーとなる。
ここで、
Lad:地点Pa −地点Pd 間距離、速度vc からの惰性走行形態AあるいはBによる惰性走行可能距離
Lbd:地点Pb −地点Pd 間距離、速度vc からの惰性走行形態Cによる惰性走行可能距離
Lde:地点Pd −地点Pe 間距離、速度vb からの制動走行距離
Lce:地点Pc −地点Pe 間距離、速度vc からの制動走行距離
である。
本願発明実施、即ち想定される複数の減速(惰性)走行形態中から最適な減速(惰性)走行状態を選択して減速(惰性)走行を実行するには、車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報を事前(および減速走行中)に知る必要がある。
これら情報は基本的には従来の車両あるいは車載されたカーナビゲーション装置が有する情報を基本とし、これに不足がある場合、例えば周辺車両情報は、前方車両検知用レーダー装置あるいはカメラ装置からの情報、を新たに取得すること等、によって充当する。
またこれら情報を活用しての、最適な減速(惰性)走行形態の選択は、前記カーナビゲーション装置の信号処理機能によって行う。
本願発明の実施例として、図1に示すガソリンエンジンのAT車の場合における減速走行形態例として惰性走行形態A、B、C、の場合について以下にその最適減速(惰性)形態抽出・減速(惰性)走行実行手順例を示す。
但し、本実行手順実施に必要な主要情報のうち、車両現在位置はGPS受信機で、目標停止点位置は車両現在位置とカーナビゲーション装置が経路探索機能であらかじめ特定した経路から、また速度はGPSでの速度特定機能あるいは車両の速度計情報から、各々特定する、
さらに、車両現在位置−目標停止点間距離算出、惰性走行可能距離算出、もカーナビゲーション装置の演算処理機能を使用して特定する。
また、車両速度および車両現在地の特定、および車両現在地−目標停止点間距離Lの算出は図2に示す処理手順のバックグラウンドで周期的・継続的に行うものとする。
図2において
201は、本願発明による省エネルギー減速走行方法処理開始点
202は、車両が走行中か否かを車速から判定する走行確認処理
203は、処理202で車両が走行中であることを確認できた場合、車両が次に停止すべき目標停止点が特定済か否かを判定する目標停止点特定判定処理、
204は、処理203で目標停止点特定済と判定された場合、目標停止点までの惰性走行
「形態A」で可能か否かを車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報から判定
する惰性走行状態A判定処理、
205は、処理204で目標停止点までの惰性走行が「形態A」で可と判定された場合、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Aでの惰性走行可能距離Lad以内にあるか否かを判定する惰性走行可能距離Lad判定処理A、
206は、処理205において、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Aでの惰性走行可能距離Lad以内にあると判定された場合、惰性走行形態Aでの惰性走行を行う惰性走行A実行(支援)処理、
207は、処理206の実行中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理A、
208は、処理204で目標停止点までの惰性走行が「形態A」では不可と判定された場合「形態B 」で可能か否かを車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報から判定する惰性走行状態B判定処理、
209は、処理208で目標停止点までの惰性走行が「形態B」で可と判定された場合、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Bでの惰性走行可能距離Lad以内にあるか否かを判定する惰性走行可能距離Lad判定処理B、
210は、処理209において、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Bでの惰性走行可能距離Lad以内にあると判定された場合、惰性走行形態Bでの惰性走行を行う惰性走行B実行(支援)処理、
211は、処理210の実行中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理B、
212は、処理208で目標停止点までの惰性走行が「形態B」では不可と判定された場合、「形態C」で可能か否かを車両状態情報、道路状態情報、および周辺車両情報から判定する惰性走行状態C判定処理、
213は、処理212で目標停止点までの惰性走行が「形態C」で可と判定された場合、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Cでの惰性走行可能距離Lbd以内にあるか否かを判定する惰性走行可能距離Lbd判定処理、
214は、処理213において、現地点−目標停止点間距離Lが惰性走行形態Cでの惰性走行可能距離Lbd以内にあると判定された場合、惰性走行形態Cでの惰性走行を行う惰性走行C実行(支援)処理、
215は、処理214の実行中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理C
216は、処理212で目標停止点までの走行が「惰性走行形態C」で不可と判定された場合、即ち、目標停止点までの走行が、惰性走行形態A、B、C、ともに不可となった場合、速度vcの現走行を継続する現走行継続処理、
217は、処理216での現走行を継続中、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Lceの範囲内にあるか否かを判定する、制動距離判定処理D、
218は、処理207、処理211、および処理215、において、現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Ldeの範囲内にあると判定された場合、あるいは処理217で現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Lceの範囲内にあると判定された場合、制動走行を実行する制動走行支援処理、
219は、現地点−目標停止点間距離Lが0、即ち車両が目標停止点に到達したか否かを判定する目標停止点到達判定処理、
220は、処理219で車両が目標停止点に到達したと判定した場合に停止処理を行う車両停止処理、
221は、本願発明による省エネルギー減速走行処理が終了し次の省エネルギー減速走行処理に移行するためのRET.処理
である。
上記実施例においては、車両現地点−目標停止点間距離Lが制動距離Lde あるいはLceの範囲内になった場合、制動走行に入るとしているが、目標停止点が信号交差点であって、その信号が青信号である場合は制動走行に移行することを止めてその時点での走行(惰性走行あるいは通常の走行)を継続し信号交差点を無停止で通過する方法もある。
この場合は、制動走行に移行して目標停止点で停止する場合に比べて省エネルギーとなることは言うまでもない。
図1および(数1)において、
vc :定速走行速度、惰性走行開始速度
vb :惰性走行終了速度、制動開始速度
Pa :惰性走行形態A、および惰性走行形態B開始地点、
Pb :惰性走行形態C開始地点
Pc :定速走行からの制動開始地点
Pd :制動開始速度vb からの制動開始地点、
Pe :目標停止点
L :現地点−目標停止点間距離
Lad :地点Pa−地点Pd 間距離、速度vc から速度vb までの惰性走行形態Aあるいは惰性走行形態Bによる惰性走行可能距離、
Lbd :地点Pb−地点Pd 間距離、速度vc から速度vb までの惰性走行形態Cによる惰性走行可能距離、
Lce :地点Pc−地点Pe 間距離、速度vc から停止までの制動距離、
Lde :地点Pd−地点Pe 間距離、速度vb から停止までの制動距離、
Li :惰性走行減速度αi 時の惰性走行開始速度vc −惰性走行終了速度vb 間の惰性走行可能距離
αi :惰性走行減速度

Claims (3)

  1. 走行中の車両における目標停止点までの減速走行形態を複数設定するとともに、前記設定した走行形態毎に車両特性・車両状態、道路状況、および周辺交通状況等、に関する減速走行実行可能条件を規定し、
    目標停止点が特定された走行中の車両において、前記設定した減速走行形態中から、前記規定した減速走行実行可能条件に基づいて、現地点・現時点から目標停止点まで間車両の有する運動エネルギーを最大限効果的・効率的に活用可能な減速走行形態を選択し、前記選択された減速走行形態で減速走行を行うことを特徴とする省エネルギー・低排出ガス走行支援方法。
  2. 減速走行形態として、複数の惰性走行形態、回生制動形態、摩擦制動形態の少なくとも一部形態を含むことを特徴とする請求項1記載の省エネルギー・低排出ガス走行支援方法。
  3. 車両状態とは、車速、現地点−目標停止点間距離、バッテリー充電状態(バッテリー電圧)、バッテリー負荷状態、パワートレイン状態(アクセル状態、トランスミッション状態、エンジン状態)、および車両の機能・特性上の減速走行形態への適合性等、
    道路状態とは、車両現地点から目標停止点までの距離、勾配、曲率、道路面状態等、
    周辺交通状態とは、前方車両あるいは障害物の有無および前方車両あるいは障害物との距離・相対速度等
    であることを特徴とする請求項1記載の省エネルギー・低排出ガス走行支援方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020131924A (ja) * 2019-02-20 2020-08-31 渡邉 雅弘 省エネルギー・低排出ガス減速走行制御方法
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