JP2017037734A - 二次電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン二次電池を含むバッテリと電気負荷とを備えた二次電池システムにおいて、バッテリの過放電処理を実施するか否かを適時に判定する。【解決手段】ECU300は、PCU200の動作停止後から動作開始前までの間に、所定の入出力電流IBで充放電させたときの電池電圧VBの変化量ΔVを測定するIV測定を実施する。ECU300は、1/TBを横軸とし、|ΔV|を縦軸とするグラフにおいて、電池温度TBが互いに異なり、かつ、充電時間または放電時間が互いに異なる条件にて実施された少なくとも3回のIV測定の結果がプロットされた場合に、プロットされた少なくとも3点を線形近似することによって得られる直線の傾きを、副反応の活性化エネルギーの現在値Eとして算出する。活性化エネルギーの初期値E0に対する現在値Eの比率Rが1.05を上回る場合に、ECU300は過放電処理を実施する。【選択図】図8
Description
本発明は二次電池システムに関し、より特定的には、リチウムイオン二次電池を含む二次電池システムに関する。
リチウムイオン二次電池は、保存または充放電の態様に応じて劣化し得ることが知られている。このような劣化を引き起こす要因として、リチウムイオン二次電池の副反応が挙げられる。副反応により、電解液中の電解質または溶媒が分解して負極表面に被膜が形成される。これにより、リチウムイオン二次電池の容量維持率が低下する。
リチウムイオン二次電池の副反応の生じやすさは、副反応の活性化エネルギーによって表される。そのため、副反応の活性化エネルギーに応じて、リチウムイオン二次電池の充放電を制御することが提案されている。たとえば特開2005−149793号公報(特許文献1)は、リチウムイオン二次電池の充放電上限温度の算出方法を開示する。この算出方法では、リチウムイオン二次電池の使用温度とその温度での容量の低下量とから、副反応の活性化エネルギーが求められる。そして、活性化エネルギーが変化したときの充放電温度が充放電上限温度として設定される。
リチウムイオン二次電池の副反応によりバッテリの容量維持率が低下した場合には、バッテリを過放電させることが望ましい。これにより、負極表面に形成された被膜が除去されるので、容量維持率を回復させることができる。この処理を本明細書では「過放電処理」とも称する。
ここで、特許文献1に開示された算出方法によれば、副反応の活性化エネルギーは、リチウムイオン二次電池を含むバッテリの充放電1サイクル当たりの劣化率を対数表示で縦軸とし、充放電温度の逆数を横軸とするグラフ(特許文献1の図3参照)に基づいて算出される。このグラフを作成するために、所定の温度範囲内において、バッテリの充放電が繰り返し行なわれる。
より具体的に、バッテリの充電は、たとえば定電流・定電圧方式により行なわれる。すなわち、バッテリ電圧が充電上限電圧に達するまで定電流での充電が行なわれ、バッテリ電圧が充電上限電圧に達した後は、その電圧を維持したまま所定の時間充電が行なわれる。一方、バッテリの放電は、たとえば定電流方式により行なわれる。すなわち、バッテリ電圧が放電下限電圧に達するまで定電流での放電が行なわれる(特許文献1の段落[0031],[0032]参照)。
一般に、このような充放電制御には、比較的長時間を要する。そのため、たとえばバッテリが電動車両に搭載され、電気負荷(電動車両のモータの駆動インバータ等)への電力を供給可能に構成されていた場合には、上述の充放電制御を実行するための時間を確保することが難しい可能性がある。つまり、特許文献1に開示の算出手法では、バッテリの実使用条件下において上記グラフを作成することが難しい場合がある。そうすると、バッテリの過放電処理を実施するか否かについて適時に判定することが困難になり得る。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リチウムイオン二次電池を含むバッテリと電気負荷とを備えた二次電池システムにおいて、リチウムイオン二次電池の副反応の活性化エネルギーに応じて、バッテリの過放電処理を実施するか否かを適時に判定可能な技術を提供することである。
本発明のある局面に従う二次電池システムは、リチウムイオン二次電池を含む蓄電装置と、蓄電装置から供給される電力を用いて動作する電気負荷と、蓄電装置を過放電させることによって、蓄電装置の容量を回復させる過放電処理を実施する制御装置とを備える。制御装置は、電気負荷の動作停止後から電気負荷の動作開始前までの間に、蓄電装置を所定の電流値で充電または放電させたときの蓄電装置の電圧の変化量を測定する電流電圧測定を実施する。さらに、制御装置は、蓄電装置の温度の逆数を横軸とし、電圧の変化量の絶対値を縦軸とするグラフにおいて、蓄電装置の温度が互いに異なり、かつ、蓄電装置の充電時間または放電時間が互いに異なる条件にて実施された少なくとも3回の電流電圧測定の結果がプロットされた場合に、プロットされた少なくとも3点を線形近似することによって得られる直線の傾きを、蓄電装置の副反応の活性化エネルギーとして算出する。蓄電装置の初期状態における活性化エネルギーに対する、算出された活性化エネルギーの比率が1.05を上回る場合に、制御装置は、過放電処理を実施する。
上記構成によれば、活性化エネルギーは、蓄電装置を所定の電流値で充電または放電させたときの蓄電装置の電圧の変化量に基づいて算出される。この電流電圧測定には短時間しか要さないので、電気負荷の動作停止後から電気負荷の動作開始前までの間に実施することが可能である。したがって、電流電圧測定による活性化エネルギーの算出結果に応じて、蓄電装置の過放電処理を実施するか否かを適時に判定することができる。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池を含むバッテリと電気負荷とを備えた二次電池システムにおいて、リチウムイオン二次電池の副反応の活性化エネルギーに応じて、バッテリの過放電処理を実施するか否かを適時に判定することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下に説明する実施の形態では、本発明に係る二次電池システムがハイブリッド車両に搭載される構成を例に説明する。しかし、本発明に係る二次電池システムが搭載可能な車両は、バッテリが搭載されるものであればハイブリッド車両に限定されず、電気自動車または燃料自動車であってもよい。さらに、本発明に係る二次電池システムの用途は車両用に限定されるものではない。
<車両構成>
図1は、本実施の形態に係る二次電池システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。図1を参照して、車両1は、ハイブリッド車両であり、二次電池システム2と、第1モータジェネレータ(MG:Motor Generator)10と、第2MG20と、動力分割機構30と、駆動輪40と、エンジン50とを備える。二次電池システム2は、バッテリ100と、電圧センサ102と、電流センサ104と、温度センサ106と、システムメインリレー150と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
図1は、本実施の形態に係る二次電池システムが搭載された車両の全体構成を概略的に示すブロック図である。図1を参照して、車両1は、ハイブリッド車両であり、二次電池システム2と、第1モータジェネレータ(MG:Motor Generator)10と、第2MG20と、動力分割機構30と、駆動輪40と、エンジン50とを備える。二次電池システム2は、バッテリ100と、電圧センサ102と、電流センサ104と、温度センサ106と、システムメインリレー150と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
エンジン50は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン50は、ECU300からの制御信号に応じて、車両1が走行するための駆動力を発生させる。
第1MG10および第2MG20の各々は三相交流回転電機である。第1MG10は、動力分割機構30を介してエンジン50のクランク軸に連結される。第1MG10は、エンジン50を始動させる際にはバッテリ100の電力を用いてエンジン50のクランク軸を回転させる。また、第1MG10はエンジン50の動力を用いて発電することも可能である。第1MG10によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリ100に充電される。また、第1MG10によって発電された交流電力は、第2MG20に供給される場合もある。
第2MG20は、バッテリ100からの電力および第1MG10により発電された電力のうちの少なくとも一方を用いて駆動軸を回転させる。また、第2MG20は回生制動によって発電することも可能である。第2MG20によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリ100に充電される。
動力分割機構30は、エンジン50のクランク軸、第1MG10の回転軸、および駆動軸の三要素を機械的に連結する。
PCU200は、いずれも図示しないが、2つのインバータと、コンバータとを含む。2つのインバータの各々は、一般的な三相インバータである。コンバータは、昇圧動作時にはバッテリ100から供給された電圧を昇圧してインバータに供給する。コンバータは、降圧動作時にはインバータから供給された電圧を降圧してバッテリ100を充電する。なお、PCU200は本発明に係る「電気負荷」に相当する。
SMR150は、バッテリ100とPCU200とを結ぶ電流経路に接続される。SMR150の閉成/開放は、ECU300からの制御信号に応じて制御される。SMR150が閉成されている場合、バッテリ100とPCU200との間で電力の授受が行なわれ得る。
バッテリ100は、再充電が可能に構成された蓄電装置である。本実施の形態では、バッテリ100としてリチウムイオン二次電池が採用される。バッテリ100の構成については図2および図3にて説明する。
電圧センサ102は、バッテリ100の電圧(電池電圧)VBを検出する。電流センサ104は、バッテリ100に入出力される電流(入出力電流)IBを検出する。温度センサ106は、バッテリ100の温度(電池温度)TBを検出する。各センサは、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。
ECU300は、CPU(Central Processing Unit)(図示せず)と、メモリ302と、入出力バッファ等とを含んで構成される。ECU300は、各センサから受ける信号、ならびにメモリ302に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1が所望の状態となるように各機器を制御する。より具体的に、ECU300は、電池電圧VB、入出力電流IB、および電池温度TBに基づいて、バッテリ100の充放電を制御する。なお、ECU300は本発明に係る「制御装置」に相当する。
図2は、バッテリ100の構成をより詳細に示す図である。図2を参照して、バッテリ100は、複数のセル110と、一対のエンドプレート120と、拘束バンド130と、複数のバスバー140とを含む。
複数のセル110が積層されることより積層体が形成されている。図2では、この積層体のうち積層方向の一方端が部分的に示されている。この一方端および積層方向の他方端にそれぞれ対向するように、一対のエンドプレート120が配置されている。一対のエンドプレート120は、すべてのセル110を挟み込んだ状態で拘束バンド130によって拘束されている。各セル110は正極端子113および負極端子114(図3参照)を有する。あるセルの正極端子113と隣接するセルの負極端子114とは、バスバー140によって締結されることにより電気的に接続されている。これにより、複数のセル110が直列に接続されている。
図3は、セル110の構成をより詳細に説明するための図である。図3においてセル110は、その内部を透視して示されている。
図3を参照して、セル110は、略直方体形状の電池ケース111を有する。電池ケース111の上面は蓋体112によって封じられている。正極端子113および負極端子114の各々の一方端は、蓋体112から外部に突出している。正極端子113および負極端子114の他方端は、電池ケース111内部において、内部正極端子および内部負極端子(いずれも図示せず)にそれぞれ接続されている。電池ケース111の内部には電極体115が収容されている。電極体115は、正極116と負極117とがセパレータ118を介して積層され、その積層体が捲回されることにより形成されている。電解液は、正極116、負極117、およびセパレータ118等に保持されている。
正極116、負極117、セパレータ118および電解液には、リチウムイオン二次電池の正極、負極、セパレータ、および電解液として従来公知の構成および材料をそれぞれ用いることができる。一例として、電解液は、有機溶媒(たとえばDMC(dimethyl carbonate)とEMC(ethyl methyl carbonate)とEC(ethylene carbonate)との混合溶媒)と、リチウム塩(たとえばLiPF6)と、添加剤(たとえばLiBOB(lithium bis(oxalate)borate)またはLi[PF2(C2O4)2])とを含む。
<副反応の活性化エネルギーと過放電処理>
以上のような構成を有するバッテリ100は、保存または充放電の態様に応じて劣化し得る。バッテリ100の劣化を引き起こす要因として、リチウムイオン二次電池の副反応が挙げられる。副反応により、電解液中の電解質または溶媒が分解して負極表面に被膜が形成される。これにより、バッテリ100の容量維持率が低下する。
以上のような構成を有するバッテリ100は、保存または充放電の態様に応じて劣化し得る。バッテリ100の劣化を引き起こす要因として、リチウムイオン二次電池の副反応が挙げられる。副反応により、電解液中の電解質または溶媒が分解して負極表面に被膜が形成される。これにより、バッテリ100の容量維持率が低下する。
リチウムイオン二次電池の副反応の生じやすさは、副反応の活性化エネルギーによって表される。一般に、負極表面に形成された被膜の堆積量(被膜量)が大きくなるに従い、副反応は起こりにくくなる。すなわち、被膜量が大きくなるに従い、副反応の活性化エネルギーは大きくなる。逆に言うと、副反応の活性化エネルギーは、被膜量を示す指標値として用いることができる。
バッテリ100の劣化が進行し、副反応の活性化エネルギーが所定値よりも大きくなった場合には、負極表面に過剰な被膜が形成されている可能性があるため、被膜を除去することが望ましい。そのため、電池電圧VBが基準値を下回るまでバッテリ100を過放電させることによって、バッテリ100の容量を回復させる過放電処理が実施することが考えられる。一例として、各セル110の電圧が2.5V以下になるまで1Cでの定電流放電を行なうことができる。これにより、被膜が除去されるので、バッテリ100の容量維持率を回復させることができる。
たとえば特許文献1に示されるように、副反応の活性化エネルギーは、所定の温度範囲内において、バッテリの充放電を繰り返し行なうことにより算出される。たとえば、電池電圧が充電上限電圧に達するまで定電流での充電が行なわれ、バッテリ電圧が充電上限電圧に達した後は、その電圧を維持したまま所定の時間、充電が行なわれる。あるいはバッテリ電圧が放電下限電圧に達するまで定電流での放電が行なわれる。このような充放電制御には、多くの場合、長時間を要する。そのため、本実施の形態のようにバッテリ100がハイブリッド車両に搭載されている場合には、上述の充放電制御を実行するための時間を確保することが難しい可能性がある。
そこで、本実施の形態によれば、車両1の電気負荷であるPCU200の停止状態において(すなわち、PCU200の動作停止後からPCU200の動作開始前までの間に)、バッテリ100の電流電圧測定を実施し、その測定結果に応じて、バッテリ100の過放電処理を実施するか否かを判定する構成を採用する。以下、この電流電圧測定を「IV測定」とも記載する。
<IV測定>
図4は、IV測定の手法を説明するための図である。図4において、横軸は経過時間を表す。縦軸は、上から順に入出力電流IBおよび電池電圧VBを表す。入出力電流IBは、バッテリ100からの放電電流を正値とし、バッテリ100への充電電流を負値として表されている。
図4は、IV測定の手法を説明するための図である。図4において、横軸は経過時間を表す。縦軸は、上から順に入出力電流IBおよび電池電圧VBを表す。入出力電流IBは、バッテリ100からの放電電流を正値とし、バッテリ100への充電電流を負値として表されている。
図4を参照して、時刻tまでの期間、バッテリ100は充放電されていない。入出力電流IBは略0であり、電池電圧VBはVoである。
時刻tから時刻(t+Δt)までの期間、パルス状に放電電流が流される。放電電流が流れる期間Δtは、たとえば1ms以上かつ0.1s以下であることが望ましい。期間Δtの逆数を周波数fと表すと(f=1/Δt)、周波数fは、10Hz以上かつ1000Hz以下であることが望ましい。また、放電電流のピーク値Ioは、たとえば1C以下であることが望ましい。放電電流が流れるのに伴い、電池電圧VBはVoからΔVだけ低下する。この変化量ΔVが電圧センサ102により検出される。
このように、バッテリ100のIV測定は、バッテリ100にパルス状の入出力電流IBを流すだけでよいため、短時間に実施することができる。したがって、車両1の走行終了後にPCU200の動作停止後からPCU200の動作開始前までの間にIV測定を実施することができる。
なお、ここではバッテリ100が放電される例について説明したが、バッテリ100の充電時に電池電圧VBの変化量ΔVを測定してもよい。また、パルス数は1に限定されない。複数のパルス状の充電電流または放電電流に対して、電池電圧VBの変化量Voの平均値を算出してもよい。
<活性化エネルギーの算出>
IV測定を実施して電池電圧VBの変化量ΔVを取得することにより、以下に説明するように、リチウムイオン二次電池の副反応の活性化エネルギーを算出することができる。バッテリ100の過放電処理を実施するか否かは、算出された副反応の活性化エネルギーに応じて判定される。
IV測定を実施して電池電圧VBの変化量ΔVを取得することにより、以下に説明するように、リチウムイオン二次電池の副反応の活性化エネルギーを算出することができる。バッテリ100の過放電処理を実施するか否かは、算出された副反応の活性化エネルギーに応じて判定される。
図5は、本実施の形態におけるバッテリ100の活性化エネルギーの算出手法を説明するための図である。図5および後述する図6において、横軸は、電池温度TBの逆数(1/TB)を表す。縦軸は、電池電圧VBの変化量ΔVの絶対値|ΔV|を表す。
図5を参照して、P1〜P3の各々は、3回のIV測定を実施した結果を示す測定点である。これらIV測定は、電池温度TBが互いに異なり、かつ、周波数f(すなわち、バッテリ100が充電または放電される期間Δt)が互いに異なる条件下にて実施される。測定点P1は、電池温度TBがT1の環境下において、周波数f1にてIV測定が行なわれた場合の電池電圧VBの変化量ΔVを示す。測定点P2は、電池温度TBがT2の環境下において、周波数f2にてIV測定が行なわれた場合の電池電圧VBの変化量ΔVを示す。測定点P3は、電池温度TBがT3の環境下において、周波数f3にてIV測定が行なわれた場合の電池電圧VBの変化量ΔVを示す。
一例として、電池温度TBおよび周波数fは以下のように設定することができる。測定点P1について、T1=40℃であり、f1=1000Hzである。測定点P2について、T2=25℃であり、f2=100Hzである。測定点P3について、T3=10℃であり、f3=10Hzである。
なお、上記3回のIV測定のうち相対的に低温条件下での測定は、たとえば、車両1の短時間の走行後などバッテリ100からの発熱量が比較的小さいときに実施したり、車両1が屋内もしくは日陰に停車しているときに実施したり、外気温の低い時間帯に実施したりすることができる。あるいは、バッテリ100にファンなどの冷却機構が設けられている場合には、その冷却機構によるバッテリ100の冷却後にIV測定を実施してもよい。
一方、相対的に高温条件下でのIV測定は、たとえば、車両1の長時間の走行後などバッテリ100からの発熱量が比較的大きいときに実施したり、車両1が屋外もしくは日向に停車しているときに実施したり、外気温の高い時間帯に実施したりすることができる。あるいは、バッテリ100にヒータなどの加熱機構が設けられている場合には、その加熱機構によるバッテリ100の加熱後にIV測定を実施してもよい。
測定回数は少なくとも3回以上であればよいので、4回またはそれ以上であってもよい。これらの測定は短期間に実施することが望ましい。たとえば同じ日に3回の測定を実施することができる。長期間(たとえば数カ月)にわたって実施されたIV測定結果を用いると、その間にバッテリ100の劣化状態が変化してしまい、活性化エネルギーの算出精度が低くなる可能性があるためである。
測定点P1〜P3は線形近似することができる。線形近似により得られた直線Lの傾きが、現在のバッテリ100における副反応の活性化エネルギーに相当する。
図6は、副反応の活性化エネルギーの変化を説明するための図である。図6を参照して、直線Laは、バッテリ100の初期状態にて取得された直線を示す。直線Lbは、バッテリ100の劣化がある程度進行した場合に取得された直線を示す。直線Lcは、バッテリ100の劣化が、直線Lbの取得時よりもさらに進行した場合に取得された直線を示す。
直線Lbの傾きは直線Laの傾きよりも大きく、直線Lcの傾きは直線Lbの傾きよりもさらに大きい。これにより、バッテリ100の劣化が進むに従い、バッテリ100の副反応の活性化エネルギーが大きくなることが示される。
以下、活性化エネルギーの初期値E0(直線Laの傾きに対応する活性化エネルギー)を基準とした、活性化エネルギーの現在値Eの比率を「比率R」と記載する(R=E/E0)。つまり、直線Laは、比率R=1.000の状態に相当する。また、直線Lbは、比率R=1.050の状態に相当する。直線Lcは、比率R=1.100の状態に相当する。
図7は、副反応の活性化エネルギーの比率Rと、負極117に形成された被膜量と、バッテリ100の容量維持率との関係を示す図である。図7において、横軸は比率Rを表す。左側の縦軸は被膜量を表す。右側の縦軸は、バッテリ100の容量維持率を表す。容量維持率とは、バッテリ100の初期容量(基準容量)に対して現在の容量がどれだけ低下しているかを示す値である。
図7を参照して、比率R=1.000の場合と比率R=1.025の場合とを比較すると、被膜量はほとんど変化していない。これに対し、比率Rが1.050以上になると、比率Rが1.050未満の場合と比べて、被膜量が大幅に増加することが分かる。さらに、被膜量の増加に伴い、バッテリ100の容量維持率が低下することが分かる。図7より、比率Rが1.050以上になると、バッテリ100の初期状態からの容量維持率の低下量が大きくなる。したがって、比率Rが1.050以上の場合には、バッテリ100の過放電処理を実施することが望ましい。
図8は、本実施の形態において実行されるバッテリ100の過放電処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される各ステップ(以下、Sで略す)は、所定時間毎または所定条件の成立時にメインルーチンから呼び出されて実行される。
図1〜図3および図8を参照して、S10において、ECU300は、PCU200の動作が停止されているか否か、すなわちバッテリ100からPCU200への電力供給が停止された状態であるか否かを判定する。PCU200の動作が停止されていない場合(S10においてNO)、ECU300は、以降の処理をスキップして処理をメインルーチンへと戻す。
一方、PCU200の動作が停止されている場合(S10においてYES)、ECU300は、バッテリ100のIV測定を実施する。このIV測定の実施手法については図4にて詳細に説明したため、説明は繰り返さない。ECU300は、IV測定の実施回数を示すカウント値をメモリ302に記憶している。カウント値の初期値は0である。ECU300は、IV測定の実施後にカウント値をインクリメントする。
S30において、ECU300は、上記カウント値に基づいて、IV測定の実施回数が3以上であるか否かを判定する。この判定は、IV測定の実施回数が1回または2回の場合(S30においてNO)、ECU300は、以降の処理をスキップして処理をメインルーチンへと戻す。
IV測定の実施回数が3回以上の場合(S30においてYES)、ECU300は、処理をS40に進め、活性化エネルギーの現在値Eを算出する。この算出手法については図4および図5にて詳細に説明したため、ここでは説明は繰り返さない。
S50において、ECU300は、バッテリ100の副反応の活性化エネルギーの初期値E0をメモリ302から読み込む(S50)。活性化エネルギーの初期値E0としては、たとえば車両1の出荷前にバッテリ100のIV測定を実行し、その測定結果から算出された値をメモリ302に記憶させておくことができる。あるいは、このような測定に代えて、バッテリ100の仕様から求められた代表値をメモリ302に記憶させてもおいてよい。なお、S40の処理とS50の処理との順序を入れ替えてもよい。
S60において、ECU300は、活性化エネルギーの初期値E0に対する現在値Eの比率Rを算出する(R=E/E0)。そして、ECU300は、比率Rが1.05以上であるか否かを判定する(S70)。比率Rが1.05以上の場合(S70においてYES)、ECU300は、バッテリ100の負極表面に副反応により過剰な被膜が形成されており、バッテリ100の容量維持率が低下している可能性が高いとして、バッテリ100の過放電処理を実施する。これにより、バッテリ100の容量維持率を回復させることができる。
一方、比率Rが1.05未満の場合(S70においてNO)、ECU300は、バッテリ100の負極表面に形成された被膜量は比較的小さいとして、バッテリ100の過放電処理を実施することなく処理をメインルーチンへと戻す。
以上のように、本実施の形態によれば、リチウムイオン二次電池の副反応の活性化エネルギーは、バッテリ100を所定の電流値(Io)で充電または放電させたときの電池電圧VBの変化量ΔVに基づいて算出される。このIV測定には短時間しか要さないので、PCU200の動作停止後からPCU200の動作開始前までの間に実施することが可能である。したがって、IV測定による活性化エネルギーの算出結果に応じて、バッテリ100の過放電処理を実施するか否かを適時に判定することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10 第1モータジェネレータ、20 第2モータジェネレータ、30 動力分割機構、40 駆動輪、50 エンジン、100 バッテリ、102 電圧センサ、104 電流センサ、106 温度センサ、110 セル、111 電池ケース、112 蓋体、113 正極端子、114 負極端子、115 電極体、116 正極、117 負極、118 セパレータ、120 エンドプレート、140 拘束バンド、160 バスバー、300 ECU、302 メモリ。
Claims (1)
- リチウムイオン二次電池を含む蓄電装置と、
前記蓄電装置から供給される電力を用いて動作する電気負荷と、
前記蓄電装置を過放電させることによって、前記蓄電装置の容量を回復させる過放電処理を実施する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記電気負荷の動作停止後から前記電気負荷の動作開始前までの間に、前記蓄電装置を所定の電流値で充電または放電させたときの前記蓄電装置の電圧の変化量を測定する電流電圧測定を実施し、
前記蓄電装置の温度の逆数を横軸とし、前記電圧の変化量の絶対値を縦軸とするグラフにおいて、前記蓄電装置の温度が互いに異なり、かつ、前記蓄電装置の充電時間または放電時間が互いに異なる条件にて実施された少なくとも3回の前記電流電圧測定の結果がプロットされた場合に、プロットされた少なくとも3点を線形近似することによって得られる直線の傾きを、前記蓄電装置の副反応の活性化エネルギーとして算出し、
前記蓄電装置の初期状態における活性化エネルギーに対する、算出された活性化エネルギーの比率が1.05を上回る場合に、前記過放電処理を実施する、二次電池システム。
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