以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷機の空調システム及び印刷機の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
[第1実施形態]
図6は、新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図、図7は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
本実施形態の印刷機は、図6に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機であって、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとから構成されている。給紙装置Rは、複数(第1実施形態では、7台)の給紙ユニットR1〜R7を有し、インフィード装置Iは、複数(第1実施形態では、7台)のインフィードユニットI1〜I7を有し、印刷装置Uは、複数(第1実施形態では、6台)の印刷ユニットU1〜U6を有し、ウェブパス装置Dは、複数(第1実施形態では、2台)のウェブパスユニットD1,D2を有し、折機Fは、複数(第1実施形態では、2個)の折ユニットF1,F2を有している。
この場合、印刷ユニットU1〜U6を6台として説明したが、各印刷ユニットU1〜U6は、4色刷りが可能であると共に、上下に分割して12台の2色刷りが可能な印刷ユニットU11,U12,U21・・・U61,U62として用いることができる。また、2つの折ユニットF1,F2を上下に並べて記載したが、実際には、紙面に直交する方向に並んで配置される操作側折ユニットF1と駆動側折ユニットF2となっている。更に、印刷装置Uを2つの部分から記載したが、機能上2つに分けて記載しただけであり、実際には、1つの装置となっている。
そして、この新聞用オフセット輪転印刷機では、図示しない建屋の1階の床面上に給紙ユニットR1〜R7が設置され、2階にインフィードユニットI1〜I7が設置され、2階及び3階に印刷ユニットU1〜U6が設置され、3階から5階にウェブパス装置Dが設置され、また、2階、3階に折機Fが設置されている。
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1〜R7は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブ(印刷媒体)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アーム11を有し、この保持アーム11を回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。また、この各給紙ユニットR1〜R7には、図示しない紙継装置が設けられており、給紙位置で繰り出されている巻取紙が残り少なくなると、この紙継装置により給紙位置にある巻取紙に対して、待機位置にある巻取紙を紙継することができる。
インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1〜I7は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U6に送り込むウェブWのテンションを調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWのテンションを適正値に安定して維持するようにしている。例えば、各インフィードユニットI1〜I7は、インフィードローラ、紙押えゴムローラ、ダンサローラ、ガイドローラなどを有している。そして、ダンサローラがウェブWの張り方向に力を加えることでウェブWのテンションを適正にし、このダンサローラの揺動に応じてインフィードローラの周速を変更し、ウェブWの適正なテンションを維持している。
なお、給紙装置Rからインフィード装置IまでのウェブWのテンションは、給紙ユニットR1〜R7に設けられた図示しないブレーキ装置により設定されており、給紙装置Rに設けられたテンション検出ローラの検出結果に基づいて、このブレーキ装置を制御している。また、印刷装置Uの下流側には、駆動源により駆動回転可能なドラグローラ12が設けられており、このドラグローラ12の周速やダンサローラに加えている力を制御することで、ウェブWのテンションを調整している。
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1〜U6は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1〜U6は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11〜U62とすることができる。各印刷ユニットU11〜U62は、ほぼ同様の構成をなし、後述するが、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有している。本実施形態では、各印刷ユニットU1〜U6は、版胴に周方向に沿って印刷物としての新聞の1頁分に対応する刷版を装着可能であり、この版胴の周長(直径)に対して、ブランケット胴の周長(直径)が同じに設定されている。なお、版胴の周長(直径)や、ブランケット胴の周長(直径)はこれに限るものではない。新聞の2頁分に対応する周長を有するものなどがある。
なお、本実施形態では、印刷ユニットU1〜U6を、全て多色刷印刷ユニットにより構成したが、この構成に限定されるものではない。例えば、両面2色刷印刷ユニット、両面単色刷印刷ユニット、一面4色または単色刷印刷ユニットなど、印刷物に応じて適宜各種ユニットを組み合わせて使用すればよい。
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1〜U3に対して設けられ、ウェブパスユニットD2は、印刷ユニットU4〜U6に対して設けられている。各ウェブパスユニットD1,D2は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWを縦(ウェブWの天地長手方向、ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWにおける天地長手方向における搬送位置を調整するコンペンセータなどを有している。
即ち、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
折機Fにて、2つの折ユニットF1,F2は、操作側と駆動側に配設されている。即ち、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙することができる。この場合、折機Fでは、折ユニットF1,F2が各ウェブパスユニットD1,D2からのウェブW1,W2を処理するだけでなく、各折ユニットF1,F2の一方がまとめて処理することもできる。
従って、新聞用オフセット輪転印刷機では、給紙装置Rの各給紙ユニットR1〜R7からそれぞれ供給された各ウェブWは、インフィード装置Iの各インフィードユニットI1〜I7によりテンションが調整され、印刷装置Uの各印刷ユニットU1〜U6に供給される。この印刷装置Uにおける各印刷ユニットU1〜U6にて、各ウェブWの両面に印刷が施される。そして、各印刷ユニットU1〜U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4〜U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより搬送位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。
その後、折機Fでは、ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。
ここで、印刷装置Uにおける印刷ユニットU1について詳細に説明する。印刷ユニットU1は、図7に示すように、4色印刷が可能となるように、H型のタワーユニットとなっている。この印刷ユニットU1は、ウェブWの搬送方向(下から上)に沿って、墨(Black)、藍(Cyan)、紅(Magenta)、黄(Yellow)ごとの4つのスタック21,22,23,24が配置されて構成されており、各スタック21,22,23,24は、それぞれ左右対称となるローラ配列となっている。
即ち、印刷ユニットU1における各スタック21,22,23,24は、左右に対向してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがウェブWの搬送経路を挟んで対接可能であり、各ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bが対接している。そして、各スタック21,22,23,24は、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが設けられている。また、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、湿し装置61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bが設けられている。
この場合、スタック21,23は、ブランケット胴31a,31b,33a,33bと版胴41a,41b,43a,43bがハの字形状に配列され、スタック22,24は、ブランケット胴32a,32b,34a,34bと版胴42a,42b,44a,44bが逆ハの字形状に配列されている。そして、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bにて、外周面に異なる絵柄を印刷する刷版(図示略)が軸方向、つまり、ウェブWの幅方向に2つ(または、4つ)並べて装着可能となっている。なお、刷版の装着数は適宜設定すればよい。
なお、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bは、一般的に、インキつぼ(デジタルインキポンプ)、インキ元ローラ、インキ受渡しローラ、インキ練ローラ、インキ往復ローラ、インキ着ローラなどにより構成されている。
上述したように、各印刷ユニットU1にて、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bは、外周部に軸方向に沿って複数の刷版が装着されており、各版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bの各刷版が対応するブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bに対接している。ブランケット胴31aと31b、ブランケット胴32aと32b、ブランケット胴33aと33b、ブランケット胴34aと34bは、それぞれ外周面同士が対接しており、この間にウェブWが走行するとき、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bとウェブWとの間に所定の印圧が作用することで、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bのインキがウェブWに転写される。
ところで、このような新聞用オフセット輪転印刷機にて、各印刷ユニットU1〜U6は、前述したように、4つのスタック21,22,23,24が上下に配置されて構成されている。そして、各スタック21,22,23,24は、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bのローラ群が配置されている。本実施形態では、各スタック21,22,23,24に1個の駆動モータが配置され、この各駆動モータによりブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを直接的に駆動し、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bやインキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bの一部のローラを間接的に駆動する。
図1は、第1実施形態の印刷機の空調システムを表す概略図、図2は、第1実施形態の印刷機の空調システムを表す斜視図である。なお、この図1及び図2にて、版胴、ブランケット胴、インキ供給装置を省略して表している。また、図2では、全体を透過して表し、排出装置だけを透過せずに表している。本実施形態では、本発明の印刷機器を印刷装置Uにおける各印刷ユニットU1〜U6のブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bとして説明する。
図1及び図2に示すように、一対の印刷機フレーム101,102は、所定間隔を空けて水平方向に対向するように鉛直方向に沿って設けられており、この印刷機フレーム101,102の間に印刷機収容空間部S1が設けられている。ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bと版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bとインキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bのローラ群(図7参照)は、この印刷機収容空間部S1に配置され、各胴やローラの支持軸が印刷機フレーム101,102に回転自在に支持されている。
印刷機収容空間部S1に対して、一方側(駆動側)の印刷機フレーム101の外側にモータ収容空間部S2が設けられ、他方側(操作側)の印刷機フレーム102の外側に印刷予備機器収容空間部S3が設けられている。そして、4つのスタック21,22,23,24に対応して駆動モータ111,112,113,114がそれぞれ設けられており、各駆動モータ111,112,113,114は、モータ収容空間部S2で、印刷機フレーム101に配置されている。この駆動モータ111,112,113,114は、駆動力伝達部を介してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bを直接的に駆動回転可能であると共に、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b及びインキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bの一部のローラを間接的に駆動回転可能である。
そして、この印刷機収容空間部S1では、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bのローラ群が駆動して印刷が実施されることから、インキや湿し水がミスト状となって浮遊物として浮遊している。そのため、この浮遊しているインキミストや水ミスト(浮遊物)が搬送中のウェブWに付着して印刷品質が低下してしまうおそれがある。
そこで、第1実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機における空調システムは、上述した各駆動モータ111,112,113,114が空冷式となっており、ファンにより周囲に冷却空気を流すことで冷却していることから、駆動モータ111,112,113,114を冷却した空気を印刷機収容空間部S1に導入することで、ここに浮遊しているインキミストなどの浮遊物を含む空気を外部に排出するようにしている。
図3は、印刷ユニットにおける第1、第2スタックを表す正面図、図4は、駆動モータにおける冷却構造を表す概略図、図5は、図4のV−V断面図である。
図3から図5に示すように、駆動モータ111(112,113,114)は、回転軸121の周囲に鉄芯が固定されるロータ122と、円筒形状をなすケース123の内側に巻線が固定されるステータ124とを有し、ステータ124内に所定隙間を空けてロータ122が配置されて構成されている。この駆動モータ111は、外周部に径方向に所定間隔を空けて外筒125が設けられることで、駆動モータ111の外周面と外筒125の内周面との間に空気流路126が設けられている。また、駆動モータ111は、ステータ124の外周部に軸心方向Cに沿うフィン127が周方向に均等間隔で複数設けられている。そのため、この空気流路126は、駆動モータ111の外側でこの駆動モータ111の軸心方向Cに沿うと共に、各フィン127により周方向に複数に区画されている。
駆動モータ111は、空気流路126の入口部にファン128が装着されている。このファン128は、空気流路126に冷却空気を流すものであり、駆動モータ111の軸心部に位置する駆動部128aと、駆動部128aの周囲に設けられる複数の羽根128bとを有している。そして、駆動モータ111は、このファン128の空気取込口にインキミストなどの浮遊物を異物として除去するフィルタ129が設けられている。そのため、ファン128は、駆動部128aにより複数の羽根128bが回転することで、フィルタ129により異物を除去した空気を取り込み、この空気を冷却空気として空気流路126に流すことができる。なお、ここで、浮遊物とは、空気中に浮遊するインキミスト、水ミスト、紙粉などであり、異物とは、浮遊物を捕集して発生したものであり、インキ、水、紙粉などである。
なお、ここでは、駆動モータ111について説明したが、他の駆動モータ112,113,114も同様の構成をなし、外筒125、空気流路126、フィン127、ファン128、フィルタ129が設けられている。
また、駆動モータ111(112,113,114)は、冷却した冷却空気を印刷機収容空間部S1に導入する冷却空気導入流路としての冷却空気導入管141が設けられている。即ち、駆動モータ111は、空気流路126の出口部にチャンバ142が設けられており、冷却空気導入管141の基端部がこのチャンバ142の下端部(または、上端部)に連結されている。
図7に示すように、スタック21,23は、各胴がハの字形状に配列され、スタック22,24は、各胴が逆ハの字形状に配列されていることから、印刷機フレーム101は、図2に示すように、スタック21,23に対応して各胴の下部に作業開口部103,105が設けられ、スタック22,24に対応して各胴の上部に作業開口部104,106が設けられている。図3から図5に示すように、駆動モータ111は、空気流路126の出口部にチャンバ142が設けられており、回転軸121がチャンバ142を貫通している。印刷機フレーム101は、駆動力伝達部143が固定されており、この駆動力伝達部143に駆動モータ111のチャンバ142が固定されている。そして、駆動モータ111の回転軸121がこの駆動力伝達部143に侵入し、図示しないギア列を介して印刷機収容空間部S1内に延出する2本の出力軸144に駆動連結されている。各出力軸144は、ブランケット胴31a,31bの支持軸に連結される。
チャンバ142は、空気流路126に連通すると共に、下端部(または、上端部)に冷却空気導入管141の基端部が連結されている。冷却空気導入管141は、中途部がほぼ直角に折曲するL字形状をなし、先端部が印刷機フレーム101の作業開口部103を通して印刷機収容空間部S1側に延出して連通している。なお、チャンバ142内に冷却フィンを設けてもよい。そのため、ファン128が駆動することで、空気流路126を流れる冷却空気をチャンバ142から冷却空気導入管141を通して印刷機収容空間部S1に導入することができる。
なお、ここでは、駆動モータ111について説明したが、他の駆動モータ112,113,114も、冷却空気導入管141、チャンバ142、出力軸144が設けられている。
また、図1から図3に示すように、印刷機収容空間部S1に導入された冷却空気を外部に排出する排出装置151が設けられている。印刷機フレーム102は、スタック21,23に対応して各胴の下部に作業開口部107,109が設けられ、スタック22,24に対応して各胴の上部に作業開口部108,110が設けられている。印刷予備機器収容空間部S3は、例えば、ニップ調整用油圧シリンダや油圧配管などの印刷予備機器が収容されている。この印刷予備機器収容空間部S3にて、各スタック22,24に対応する空間上部に排気部152,153が設けられている。この排気部152,153は、吸引部とファンとから構成されている。また、印刷ユニットU1,U2の間に排気ダクト154が上下方向に沿って設けられ、排気部152,153と排気ダクト154とが連結管155,156により連結されている。
そのため、排気部152,153を駆動することで、その吸引力が印刷予備機器収容空間部S3に作用し、作業開口部107,109を介して印刷機収容空間部S1に作用する。すると、印刷機収容空間部S1の冷却空気が作業開口部107,109を通して印刷予備機器収容空間部S3に流れ、各排気部152,153により連結管155,156から排気ダクト154を通して外部に排出される。
ここで、第1実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機における空調システムの作動について説明する。
図6及び図7に示すように、印刷装置Uが作動すると、駆動モータ111,112,113,114によりブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bなどが作動することで、走行するウェブWに対して印刷が実施される。
このとき、図1及び図4に示すように、駆動モータ111,112,113,114が駆動すると、各駆動モータ111,112,113,114に装着されたファン128が駆動し、吸引力がフィルタ129に作用する。すると、モータ収容空間部S2の空気がフィルタ129を通してファン128に吸引され、このファン128を通して空気流路126に流れる。そのため、駆動モータ111,112,113,114は、この冷却空気により冷却されることで、長期間にわたって安定して駆動される。
そして、空気流路126を流れた冷却空気は、チャンバ142に流れ、冷却空気導入管141を通して作業開口部103,104,105,106から印刷機収容空間部S1に導入される。この印刷機収容空間部S1では、前述したように、インキや湿し水がミスト状となって浮遊しており、特に、各スタック21,22,23,24の間の空間部でインキや湿し水のミスト(水ミスト)が滞留しやすい。
そこで、本実施形態では、駆動モータ111,112,113,114を冷却した空気を一方の作業開口部103,104,105,106から印刷機収容空間部S1に導入することで、印刷機収容空間部S1に滞留しているインキミストなどを含む空気が他方の作業開口部107,108,109,110側に流して排出している。そのため、インキミストなどによる機器やウェブWの汚れが抑制され、印刷品質が向上する。また、駆動モータ111,112,113,114を冷却した空気は、駆動モータ111,112,113,114の熱を奪って加温されていることから、印刷機収容空間部S1の温度が上昇し、結露の発生が抑制される。
また、印刷機収容空間部S1から作業開口部107,108,109,110を通して印刷予備機器収容空間部S3に排出された空気は、各排気部152,153により吸引され、連結管155,156から排気ダクト154に流れ、建屋の外部に排出される。
このように第1実施形態の印刷機の空調システムにあっては、印刷機器としての印刷ユニットU1〜U6を駆動する駆動モータ111,112,113,114と、駆動モータ111,112,113,114の外周部に設けられる空気流路126と、空気流路126に冷却空気を流すファン128と、駆動モータ111,112,113,114を冷却して空気流路126から排出された冷却空気を印刷機収容空間部S1の一方側から他方側に向けて導入する冷却空気導入管141を設けている。
従って、ファン128を駆動すると、冷却空気が空気流路126を流れることで駆動モータ111,112,113,114が冷却される。そして、この駆動モータ111,112,113,114を冷却した冷却空気は、冷却空気導入管141により印刷機収容空間部S1に導入される。すると、印刷機収容空間部S1の一方側から導入された冷却空気により、この印刷機収容空間部S1に浮遊するインキミストや紙粉などの異物がこの冷却空気と共に他方側から排除される。その結果、印刷機収容空間部S1で浮遊するインキミストなどの浮遊物を適正に排出して印刷障害の発生を防止することができると共に、印刷機収容空間部S1での浮遊物を排除するだけの装置などを不要としてコストの増加を抑制することができる。
第1実施形態の印刷機の空調システムでは、駆動モータ111,112,113,114の外周側に外筒125を設けることで駆動モータ111,112,113,114と外筒125との間に軸心方向Cに沿って空気流路126を形成し、空気流路126の入口部にファン128を装着している。従って、駆動モータ111,112,113,114の全体構成をコンパクト化することができると共に、空気流路126に対して適正に冷却空気を流すことができる。
第1実施形態の印刷機の空調システムでは、空気流路126の出口部にチャンバ142を設け、冷却空気導入管141の基端部をこのチャンバ142に連結して先端部を印刷機収容空間部S1に連通している。従って、駆動モータ111,112,113,114を冷却した冷却空気をチャンバ142に集めた後、冷却空気導入管141により印刷機収容空間部S1に効率良く導入することができ、印刷機収容空間部S1に浮遊するインキミストや水ミストや紙粉などの浮遊物を適正に排除することができる。
第1実施形態の印刷機の空調システムでは、一方側の印刷機フレーム101の作業開口部103,104,105,106からブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが収容される印刷機収容空間部S1に冷却空気導入管141により冷却空気を導入している。従って、駆動モータ111,112,113,114を冷却した冷却空気が作業開口部103,104,105,106の近傍に導入されることとなり、ここに滞留しやすいインキミストなどが冷却空気により排除されることとなり、印刷障害を未然に防止することができる。
第1実施形態の印刷機の空調システムでは、他方側の印刷機フレーム102の作業開口部107,108,109,110を通して印刷機収容空間部S1に導入された冷却空気を外部に排出する排出装置151を設けている。従って、印刷機収容空間部S1に冷却空気が滞留することはなく、作業環境を改善することができる。
また、第1実施形態の印刷機にあっては、巻取紙からウェブWを供給する給紙装置Rと、給紙装置Rから繰り出されたウェブWに画像を印刷する印刷装置Uと、印刷装置Uにより印刷が施されたウェブWを重ねると共に断裁してから折り畳むことで折帖を形成する折機Fとを備えた新聞用オフセット輪転印刷機とし、空調システムとして、駆動モータ111,112,113,114の空気流路126と、空気流路126に冷却空気を流すファン128と、駆動モータ111,112,113,114を冷却して空気流路126から排出された冷却空気を印刷機収容空間部S1に導入する冷却空気導入管141を設けている。
従って、印刷機収容空間部S1で浮遊するインキミストや水ミストや紙粉などの浮遊物を適正に排出して印刷障害の発生を防止することができると共に、印刷機収容空間部S1での浮遊物を排除するだけの装置などを不要としてコストの増加を抑制することができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の印刷機の空調システムを表す概略図、図9は、第2実施形態の印刷機の空調システムを表す斜視図、図10は、印刷ユニットにおける第1、第2スタックを表す正面図、図11は、駆動モータにおける冷却構造を表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機は、第1実施形態と同様に、図6及び図7に示すように、各印刷ユニットU1〜U6は、4つのスタック21,22,23,24が上下に配置されて構成され、ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bのローラ群が配置されて構成されている。そして、図8及び図9に示すように、各スタック21,22,23,24に1個の駆動モータ111,112,113,114が配置され、この各駆動モータにより111,112,113,114ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bが駆動する。
ところで、この各駆動モータ111,112,113,114は、空冷式となっており、ファン128(図11参照)により周囲に冷却空気を流すことで冷却しているが、各印刷ユニットU1〜U6における各スタック21,22,23,24は、内部にインキミストが浮遊しており、ファン128はインキミストを含んだ空気により駆動モータ111,112,113,114を冷却することとなり、ファン128などにインキが付着してしまい、駆動モータ111,112,113,114の冷却効率が低下してしまう。
そこで、第2実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機における空調システムは、各スタック21,22,23,24の内部の空気ではなく、外部からきれいな空気を取り込み、このきれいな空気により駆動モータ111,112,113,114を冷却するようにしている。
図10及び図11に示すように、駆動モータ111(112,113,114)は、外周部に外筒125が設けられることで、外周面とこの外筒125の内周面との間に空気流路126が設けられている。この空気流路126は、駆動モータ111の外側でこの駆動モータ111の軸心方向Cに沿って形成されている。駆動モータ111は、空気流路126の入口部にファン128が装着されており、このファン128の空気取込口にチャンバ130が設けられており、ファン128が駆動回転することで、チャンバ130の冷却空気を空気流路126に流すことができる。
新聞用オフセット輪転印刷機は、図8及び図9に示すように、空気を所定の温度に調節する空調装置131が設けられている。この空調装置131は、建屋外部の空気を取り込んで冷却(または、加温)し、各エリアに供給するものである。そして、この空調装置131により温度調節された冷却空気を駆動モータ111,112,113,114に導く冷却空気供給流路としての給気ダクト132が設けられている。この給気ダクト132は、モータ収容空間部S2を上下に貫通して配置されており、上端部に空調装置131からの冷却空気供給配管133が連結されている。また、給気ダクト132は、駆動モータ111,112,113,114の各チャンバ130にそれぞれ連通管134を介して連結されている。更に、給気ダクト132は、各駆動モータ111,112,113,114に対して冷却空気の供給及び停止する開閉装置135が設けられている。
一方、図10及び図11に示すように、駆動モータ111(112,113,114)は、空気流路126の出口部にチャンバ142が設けられており、冷却空気導入管141の基端部がこのチャンバ142の下端部(または、上端部)に連結されている。印刷機フレーム101は、駆動力伝達部143が固定されており、この駆動力伝達部143に駆動モータ111のチャンバ142が固定されている。チャンバ142は、空気流路126に連通すると共に、下端部(または、上端部)に冷却空気導入管141の基端部が連結されている。冷却空気導入管141は、先端部が印刷機フレーム101の作業開口部103を通して印刷機収容空間部S1側に延出して連通している。
また、図8から図10に示すように、印刷機収容空間部S1に導入された冷却空気を外部に排出する排出装置151が設けられている。そのため、排気部152,153を駆動することで、印刷機収容空間部S1の冷却空気が作業開口部107,108,109,110を通して印刷予備機器収容空間部S3に流れ、各排気部152,153により連結管155,156から排気ダクト154を通して外部に排出される。
なお、上述の説明では、駆動モータ111,112,113,114にファン128とチャンバ130を設け、連通管134を介して給気ダクト132と連通したが、この構成に限定されるものではない。図12及び図13は、駆動モータにおける冷却構造の変形例を表す概略図である。
図12に示すように、駆動モータ112,113は、外周部に空気流路126が設けられており、この空気流路126の入口部にファン128が装着されている。また、駆動モータ112,113は、空気流路126の出口部にチャンバ142が設けられており、冷却空気導入管141の基端部がチャンバ142の下端部(または、上端部)に連結されている。印刷機フレーム101は、駆動力伝達部143が固定されており、この駆動力伝達部143に駆動モータ112,113のチャンバ142が固定されている。チャンバ142は、下端部(または、上端部)に冷却空気導入管141の基端部が連結されており、この冷却空気導入管141は、先端部が印刷機フレーム101の作業開口部104,105を通して印刷機収容空間部S1側に延出して連通している。
この変形例では、冷却空気供給流路としての給気ダクト161は、モータ収容空間部S2を上下に貫通して配置されており、上端部に空調装置131からの冷却空気供給配管133(図8参照)が連結されている。そして、駆動モータ112,113及びファン128は、この給気ダクト161内に配置されている。そのため、ファン128が駆動すると、給気ダクト161内を流れる冷却空気が吸引されて空気流路126に流すことができ、この空気流路126を流れる冷却空気をチャンバ142から冷却空気導入管141を通して印刷機収容空間部S1に導入することができる。
また、図13に示すように、駆動モータ112,113は、外周部に空気流路126が設けられている。そして、この変形例では、冷却空気供給流路としての給気ダクト132は、モータ収容空間部S2を上下に貫通して配置されており、上端部に空調装置131からの冷却空気供給配管133(図8参照)が連結されている。そして、給気ダクト132は、駆動モータ112,113に対向する位置にファン166が装着されており、駆動モータ112,113の空気流路126とファン166が連通管167により連結されている。そのため、ファン166が駆動すると、給気ダクト132内を流れる冷却空気が吸引され、連通管167を通して空気流路126に流すことができ、この空気流路126を流れる冷却空気をチャンバ142から冷却空気導入管141を通して印刷機収容空間部S1に導入することができる。
ここで、第2実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機における空調システムの作動について説明する。
図6及び図7に示すように、印刷装置Uが作動すると、駆動モータ111,112,113,114によりブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bなどが作動することで、走行するウェブWに対して印刷が実施される。
このとき、図8及び図11に示すように、駆動モータ111,112,113,114が駆動すると、各駆動モータ111,112,113,114に装着されたファン128が駆動し、吸引力がチャンバ130及び連通管134を介して給気ダクト132に作用する。すると、空調装置131から冷却空気供給配管133を介して給気ダクト132に供給されている冷却空気が連通管134を通ってチャンバ130に流れ、ファン128を通して空気流路126に流れる。そのため、駆動モータ111,112,113,114は、空調装置131により温度調節された冷却空気により冷却される。この冷却空気は、インキミストなどの異物を含んでないことから、空気流路126、フィン127、ファン128などが汚れることがなく、駆動モータ111,112,113,114の冷却性能が長期間にわたって維持される。
そして、空気流路126を流れた冷却空気は、チャンバ142に流れ、冷却空気導入管141を通して作業開口部103,104,105,106から印刷機収容空間部S1に導入される。即ち、駆動モータ111,112,113,114を冷却した空気が一方の作業開口部103,104,105,106から印刷機収容空間部S1に導入されることで、印刷機収容空間部S1に滞留しているインキミストなどを含む空気が他方の作業開口部107,108,109,110側に流れて排出される。そして、印刷機収容空間部S1から作業開口部107,108,109,110を通して印刷予備機器収容空間部S3に排出された空気は、各排気部152,153により吸引され、連結管155,156から排気ダクト154に流れ、建屋の外部に排出される。
このように第2実施形態の印刷機の空調システムにあっては、印刷機器としての印刷ユニットU1〜U6を駆動する駆動モータ111,112,113,114と、駆動モータ111,112,113,114の外周部に設けられる空気流路126と、空気流路126に冷却空気を流すファン128と、空気を所定の温度に調節する空調装置131と、空調装置131により温度調節された冷却空気をファン128に導く給気ダクト132とを設けている。
従って、ファン128を駆動すると、空調装置131により温度調節された冷却空気が給気ダクト132を通してファン128に導かれ、空気流路126を流れることで駆動モータ111,112,113,114が冷却される。この駆動モータ111,112,113,114の外周部にある空気流路126を流れる冷却空気は、空調装置131により温度調節されたきれいな空気であることから、ファン128や空気流路126にインキなどの異物を付着させることはない。その結果、印刷ユニットU1〜U6を駆動する駆動モータ111,112,113,114を適正に冷却することで性能を向上することができると共に、電力消費量を削減することができる。また、ファン128の空気取込口に異物を除去するフィルタなどの装着が不要となり、コストの増加を抑制することができる。
第2実施形態の印刷機の空調システムでは、ファン128の空気取込口にチャンバ130を装着し、給気ダクト132をこのチャンバ130に連結している。従って、ファン128の駆動により給気ダクト132の冷却空気をチャンバ130に取り込むことで、冷却空気を適正に空気流路126に流すことができる。
第2実施形態の印刷機の空調システムでは、給気ダクト132に冷却空気の供給及び停止を行う開閉装置135を設けている。例えば、印刷ユニットU1を使用しない場合、印刷ユニットU1の駆動モータ111,112,113,114は停止していることから、停止している駆動モータ111,112,113,114を冷却する必要はない。そのため、停止している駆動モータ111,112,113,114に対応する印刷ユニットU1側の開閉装置135を閉止し、使用する印刷ユニットU2を駆動している駆動モータ111,112,113,114に対応する印刷ユニットU2側の開閉装置135を開放する。すると、冷却が必要な印刷ユニットU2側の駆動モータ111,112,113,114にだけ冷却空気を供給することができ、余分な冷却空気が不要となり、空調装置131の運転コストを低減することができる。
第2実施形態の変形例の印刷機の空調システムでは、鉛直方法に沿って給気ダクト132を配置し、給気ダクト132とファン128とを連通管134により連通としている。従って、給気ダクト132を流れる冷却空気は、ファン128の駆動により連通管134を通して取り込まれ、適正に空気流路126に流すことができる。
第2実施形態の変形例の印刷機の空調システムでは、鉛直方法に沿って給気ダクト132を配置し、駆動モータ111,112,113,114及びファン128を給気ダクト132内に配置している。従って、ファン128の駆動により給気ダクト132を流れる冷却空気が取り込まれることとなり、適正に空気流路126に流すことができる。
また、第2実施形態の印刷機にあっては、巻取紙からウェブWを供給する給紙装置Rと、給紙装置Rから繰り出されたウェブWに画像を印刷する印刷装置Uと、印刷装置Uにより印刷が施されたウェブWを重ねると共に断裁してから折り畳むことで折帖を形成する折機Fとを備えた新聞用オフセット輪転印刷機とし、空調システムとして、駆動モータ111,112,113,114の空気流路126と、空気流路126に冷却空気を流すファン128と、空調装置131により温度調節された冷却空気をファン128に導く給気ダクト132を設けている。
従って、印刷ユニットU1〜U6を駆動する駆動モータ111,112,113,114を適正に冷却することで性能を向上することができると共に、電力消費量を削減することができる。また、ファン128の空気取込口に異物を除去するフィルタなどの装着が不要となり、コストの増加を抑制することができる。その結果、駆動モータ111,112,113,114の長寿命化を可能として印刷機の耐久性を向上することができる。
[第3実施形態]
図14は、第3実施形態の印刷機の空調システムを表す概略図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第3実施形態の印刷機の空調システムは、図14に示すように、駆動モータ111,112,113,114と、この駆動モータ111,112,113,114の外周部に設けられる空気流路126(図11参照)と、空気流路126に冷却空気を流すファン128(図11参照)と、空気を所定の温度に調節する空調装置131と、空調装置131により温度調節された冷却空気をファン128に導く給気ダクト132とを有している。
また、本実施形態の印刷機の空調システムは、駆動モータ111,112,113,114を冷却した冷却空気を印刷機収容空間部S1に導入する冷却空気導入管141が設けられると共に、印刷機収容空間部S1の冷却空気を外部に排出する排出装置171が設けられている。
即ち、印刷予備機器収容空間部S3にて、各スタック22,24に対応する上部に排気部152,153が設けられている。また、印刷ユニットU1,U2の間に排気ダクト172が上下方向に沿って設けられ、排気部152,153と排気ダクト172とが連結管155,156により連結されている。この排気ダクト172は、上端部が閉塞され、下端部が印刷機収容空間部S1のフロアを貫通し、給紙装置Rが収容される給紙装置収容空間部S4に開口している。そして、排気ダクト172は下端部にフィルタ173が設けられている。
そのため、ファン128が駆動すると、給気ダクト132内を流れる冷却空気が吸引されて空気流路126に流すことができ、この空気流路126を流れる冷却空気をチャンバ142から冷却空気導入管141を通して印刷機収容空間部S1に導入することができる。そして、排気部152,153が駆動すると、その吸引力が印刷予備機器収容空間部S3に作用し、作業開口部107,108,109,110を介して印刷機収容空間部S1に作用する。すると、印刷機収容空間部S1の冷却空気が作業開口部107,108,109,110を通して印刷予備機器収容空間部S3に流れ、各排気部152,153により連結管155,156から排気ダクト172を通して給紙装置収容空間部S4に吐出される。
給紙装置収容空間部S4は、給紙装置Rが配置されており、ウェブWが搬送されることで乾燥している。一方、印刷機収容空間部S1は、印刷が行われることで、インキや湿し水がミストとして浮遊していることから、空気は湿り気があって高い湿度を有している。そのため、印刷機収容空間部S1の高い湿度の冷却空気を排気ダクト172から給紙装置収容空間部S4に供給することで、ウェブWの乾燥による破断が抑制される。また、巻取紙を紙継する際に巻取紙同志を接着する両面テープの乾燥が抑えられるため、印刷運転中に高速で行う紙継動作を確実に実施することができる。また、このとき、冷却空気に含まれるインキミストをフィルタ173により除去することで、ウェブWの汚れが防止される。
このように第3実施形態の印刷機の空調システムにあっては、排出装置171により冷却空気を給紙装置Rが収容される給紙装置収容空間部S4に排出している。
従って、排気装置171により排出された冷却空気は、給紙装置収容空間部S4に導入されることとなり、給紙装置Rにより搬送されるウェブWの乾燥を抑制してウェブWの良好な搬送を維持することができる。
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態の印刷機の空調システムを表す概略図、図16は、図15のXVI−XVI断面図である。なお、上述した実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
第4実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機にて、図15及び図16に示すように、折機Fは、折ユニットF1,F2とから構成されている。この折ユニットF1,F2は、ほぼ同様の構成をなしている。折ユニットF1において、最上部にウェブパスユニットD1(図6参照)で所定の順番に重ねられたウェブW1を下方に搬入するドラグローラ201が設けられると共に、ウェブW1を縦折りする三角板202が設けられている。三角板202の下方に、ウェブW1を保持して搬送する折胴203と、縦折りされたウェブWを横裁断してシートの束を形成する鋸胴204が対向して配設されている。そして、三角板202と折胴203及び鋸胴204との間に、一対のリードインローラ205、ロータリカッタ206、一対のニッピングローラ207,208が設けられている。
折胴203は、図示しないが、その周面に針装置が設けられており、この針装置は、折胴203の回転に連動して作動するものであり、折胴203における所定の回転位置でウェブW1の走行方向における先端部の保持及び解除を行うことができる。鋸胴204は、その周面に鋸刃が設けられており、この鋸刃によりウェブWを横裁断してシートを形成することができる。また、折胴203は、その周面に折ブレードが支持されており、この折ブレードが周面から外方に突出することで、鋸刃により裁断されたシートを折胴203の周面から引き剥がすことができる。
折胴203は、下方に一対の折込ローラ209が設けられており、折ブレードにより折胴203の周面から引き剥がされたシートを挟持することで横折して折り目をつけて折帖を形成することができる。折込ローラ209は、下方に羽根車210が設けられると共に、この羽根車210の下方に排紙コンベア211,212が設けられている。羽根車210は、周方向に複数の羽根を有しており、折込ローラ209に同期して回転することで、折込ローラ209により形成された折帖を各羽根により順次受取って排紙コンベア211上に受け渡すことができる。
そのため、折ユニットF1に搬送されたウェブW1は、ドラグローラ201により搬送され、三角板202により縦折りが施された後、リードインローラ205、ニッピングローラ107,208により折胴203に送られる。縦折りされたウェブW1が折胴203に至ると、針装置が作動してウェブW1の先端部を保持し、折胴203が回転し続けると、ウェブW1は折胴203の周面に巻き付けられる。そして、折胴203における所定の位置で、鋸刃によりウェブW1が横裁断されてシートが形成され、折ブレードの先端部が折胴203の周面から外方に突出し、シートを折胴203の周面から引き剥がす。
すると、折胴203の周面から突出したシートは、長手方向における中間部が折られ、折込ローラ209により挟持されることで、横折されて折帖が形成される。そして、この折込ローラ209により形成された折帖は、羽根車210により順次受け取られ、排紙コンベア211上に受け渡されて排紙される。
なお、折ユニットF2は、配置構成が相違するものの、基本的な構成は上述した折ユニットF1と同様であることから、同じ符号を付して説明は省略する。
ところで、このような新聞用オフセット輪転印刷機にて、各折ユニットF1,F2は、前述したように、折胴203と鋸胴204を有している。そして、各折ユニットF1,F2における折胴203と鋸胴204は、1個の駆動モータにより駆動する。本実施形態では、本発明の印刷機器を折機Fにおける各折ユニットF1,F2の折胴203と鋸胴204として説明する。
一対の折機フレーム221は、所定間隔を空けて水平方向に対向するように鉛直方向に沿って設けられており、この折機フレーム221の間に折機収容空間部S11が設けられている。折胴203と鋸胴204は、この折機収容空間部S11に配置され、各胴やローラの支持軸が折機フレーム221に回転自在に支持されている。
折機収容空間部S11に対して、一方側(駆動側)の折機フレーム221の外側にモータ収容空間部S12が設けられている。そして、各折ユニットF1,F2における折胴203及び鋸胴204に対応して駆動モータ222がそれぞれ設けられており、各駆動モータ222は、モータ収容空間部S12で、折機フレーム221に配置されている。この駆動モータ222は、駆動力伝達部233を介して折胴203及び鋸胴204を駆動回転可能である。
駆動モータ222は、外周部に空気流路223が設けられており、この空気流路223の入口部にファン224が装着されている。また、駆動モータ222は、このファン224の空気取込口に紙粉などの浮遊物を除去するフィルタ225が設けられている。そのため、ファン224が駆動回転することで、フィルタ225により異物を除去した空気を取り込み、この空気を冷却空気として空気流路223に流すことができる。
一方、駆動モータ222を冷却した冷却空気を折機収容空間部S11に導入する冷却空気導入流路としての冷却空気導入管231が設けられている。即ち、駆動モータ222は、空気流路223の出口部にチャンバ232が設けられており、冷却空気導入管231の基端部がこのチャンバ232の上端部に連結されている。折機フレーム221は、駆動力伝達部233が固定されており、この駆動力伝達部233に駆動モータ222のチャンバ232が固定されている。そして、駆動モータ222の回転軸がこの駆動力伝達部233に侵入し、図示しないギア列を介して折機収容空間部S11内に延出する2本の出力軸234に駆動連結されている。各出力軸234は、折胴203及び鋸胴204の支持軸に連結される。
チャンバ232は、空気流路223に連通すると共に、上端部に冷却空気導入管231の基端部が連結されている。冷却空気導入管231は、中途部の2か所がほぼ直角に折曲するU字形状をなし、先端部が折機フレーム221の作業開口部(図示略)を通して折機収容空間部S11側に延出して連通している。そのため、ファン224が駆動することで、空気流路223を流れる冷却空気をチャンバ232から冷却空気導入管231を通して折機収容空間部S11に導入することができる。なお、図示しないが、折機収容空間部S11に導入された冷却空気を外部に排出する排出装置が設けられている。
また、折機収容空間部S11は、下方に回収部241,242を有する紙粉回収バケット243が設けられており、冷却空気と共に下方に移動する紙粉などの異物を受け止める。この紙粉回収バケット243は、下部に排出管244が連結されており、回収した紙粉などの異物を外部に排出する。
なお、上述の説明では、ファン224の空気取込口にフィルタ225を設けたが、この構成に限定されるものではない。図17は、駆動モータにおける冷却構造の変形例を表す概略図である。
図17に示すように、駆動モータ222は、外周部に空気流路223が設けられており、この空気流路223の入口部にファン224が装着されている。このファン224は、空気流路223に冷却空気を流すものであり、冷却空気供給流路として上下方向に沿って配置された給気ダクト226と連通管227を介して連結されている。なお、給気ダクト226は、空調装置131(図8参照)が連結されている。
そのため、図15及び図16に示すように、折機Fが作動すると、駆動モータ222により折胴203と鋸胴204などが作動することで、走行するウェブWが横裁断、横折りされることで、折帖が形成される。
このとき、駆動モータ222が駆動すると、各駆動モータ222に装着されたファン224が駆動し、吸引力がフィルタ225に作用する。すると、モータ収容空間部S12の空気がフィルタ225を通してファン224に吸引され、このファン224を通して空気流路223に流れる。また、図17に示す構成では、駆動モータ222が駆動すると、各駆動モータ222に装着されたファン224が駆動し、吸引力が連通管227を介して給気ダクト226に作用する。すると、空調装置131から冷却空気供給配管133を介して給気ダクト226に供給されている冷却空気が連通管227を通ってファン224に流れ、このファン224を通して空気流路223に流れる。
そのため、駆動モータ222は、空調装置131により温度調節された冷却空気により冷却される。この冷却空気は、インキミストや紙粉などの異物を含んでないことから、空気流路223やファン224などが汚れることがなく、駆動モータ222の冷却性能が長期間にわたって維持される。
そして、空気流路223を流れた冷却空気は、チャンバ232に流れ、冷却空気導入管231を通して折機収容空間部S11に導入される。この折機収容空間部S11では、ウェブWが搬送されて折帖が形成されることから、紙粉が浮遊している。そこで、本実施形態では、駆動モータ222を冷却した空気を冷却空気導入管231により折機収容空間部S11に導入することで、折機収容空間部S11に滞留している紙粉などを含む空気が下側に流れて排出される。そのため、紙粉などによる機器やウェブWの汚れが抑制され、印刷品質が向上する。
このように第4実施形態の印刷機の空調システムにあっては、印刷機器としての折ユニットF1,F2を駆動する駆動モータ222と、駆動モータ222の外周部に設けられる空気流路223と、空気流路223に冷却空気を流すファン224と、
折胴203と鋸胴204が収容される折機収容空間部S11に冷却空気を導入する冷却空気導入管231を設けている。
従って、ファン224を駆動すると、冷却空気が吸引され、空気流路223を流れることで駆動モータ222が冷却され、この駆動モータ222を冷却した冷却空気が冷却空気導入管231により折機収容空間部S11に導入されることとなる。すると、折機収容空間部S11に導入された冷却空気により、この折機収容空間部S11に浮遊する紙粉などの浮遊物がこの冷却空気と共に排除される。その結果、折機収容空間部S11で浮遊する紙粉などを適正に排出して印刷障害の発生を防止することができると共に、折機収容空間部S11での浮遊物を排除するだめだけの装置などを不要としてコストの増加を抑制することができる。
第4実施形態の印刷機の空調システムで、空調装置131により温度調節された冷却空気をファン224に導く給気ダクト226を設けている。従って、ファン224を駆動すると、冷却空気が給気ダクト226を通してファン224に導かれ、空気流路223を流れることで駆動モータ222が冷却される。この駆動モータ222の外周部にある空気流路223を流れる冷却空気は、きれいな空気であることから、ファン224や空気流路223に紙粉などの異物を付着させることはない。その結果、折ユニットF1,F2を駆動する駆動モータ222を適正に冷却することで性能を向上することができると共に、電力消費量を削減することができる。
なお、上述した実施形態では、駆動モータとは別の独立駆動するファンを設けたが、駆動モータにより駆動するファンとしてもよい。また、このファンは、駆動モータに隣接して設けてもよいし、離間して設けてもよい。更に、このファンを空気流路の上流側(入口部)に設けたが、下流側(出口部)に設けてもよい。
また、上述した実施形態では、印刷装置のブランケット胴や折機の折胴及び鋸胴を駆動するモータに適用したが、印刷装置や折機に用いられる別のモータに適用してもよい。更に、印刷装置や折機だけでなく、ウェブパス装置で用いられる駆動ローラなどのモータに適用してもよい。
また、上述した実施形態では、本発明の印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機に適用して説明したが、商業用オフセット輪転印刷機などに適用してもよい。