JP2017020061A - 溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Si含有鋼で、不めっき、合金化ムラがない美麗な外観を有すると共に、めっき密着性が良好で、且つ、成形性(曲げ性)に優れる溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)・合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)の製造方法を提供。
【解決手段】Siを0.1%以上3.0%以下含有するめっき原板を、下記のプロセスで焼鈍するGI鋼板或いはGA鋼板の製造方法。(1)予備加熱:酸素濃度を1.0〜10.0体積%、水蒸気濃度を10.0体積%未満とした雰囲気中で、室温から700℃まで昇温する(2)焼鈍:酸素濃度を1.0体積%未満、水蒸気濃度を10.0〜30.0体積%とした雰囲気中で、到達温度を900℃以下、滞在時間を15〜180秒とする
【選択図】図1
【解決手段】Siを0.1%以上3.0%以下含有するめっき原板を、下記のプロセスで焼鈍するGI鋼板或いはGA鋼板の製造方法。(1)予備加熱:酸素濃度を1.0〜10.0体積%、水蒸気濃度を10.0体積%未満とした雰囲気中で、室温から700℃まで昇温する(2)焼鈍:酸素濃度を1.0体積%未満、水蒸気濃度を10.0〜30.0体積%とした雰囲気中で、到達温度を900℃以下、滞在時間を15〜180秒とする
【選択図】図1
Description
本発明は、めっき密着性に優れたSi含有溶融亜鉛めっき鋼板或いはSi含有合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関し、より詳しくは、自動車、家電、建材等の分野で使用される外観が美麗で、また年々複雑化する加工に耐えることができるめっき密着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関するものである。
近年、自動車、家電等の軽量化の目的で、強度、延性、加工性に優れた鋼鈑の需要が急増している。鋼板にSiを添加すると強度を損なうことなく延性や加工性を向上できることから、このような特性を満たす鋼板としてSi含有鋼の使用が増加の傾向にある。
更に、Si含有鋼に耐食性を付与した溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)や合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)のニーズは年々高まりつつある。特に最近、引張最大応力が980MPa以上の高強度鋼板が用いられるようになっているが、一般に鋼板の成形性は高強度化に伴って劣化することから、高強度化しても成形性が良好で、且つめっき性も良好なSi含有溶融亜鉛めっき鋼板が求められている。
一般的に、溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)は、以下の方法にて製造される。まず、スラブを熱延、冷延または熱処理した薄鋼板を用いて、前処理工程にて、脱脂、酸洗のうち少なくとも一方を施して母材鋼板表面を洗浄するか、或いは前処理工程を省略して予備加熱炉内で母材鋼板表面の油分を燃焼除去した後、非酸化性雰囲気中または還元性雰囲気の焼鈍炉内で加熱することで再結晶焼鈍を行う。
その後、非酸化性雰囲気中または還元性雰囲気中で鋼板をめっきに適した温度まで冷却し、その鋼板を大気に触れさせることなく0.1〜0.2質量%程度の微量Alを添加した溶融亜鉛浴中に浸漬することで製造される。また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)は、前記した溶融亜鉛めっき後、引き続き、鋼板を合金化炉内で熱処理することで製造される。
しかしながら、SiやMn、Alなどの易酸化性元素を含有する鋼板を加熱処理すると、これらの添加元素が選択的に酸化され鋼板表面に濃化して酸化物を形成する。これらの元素は非酸化性雰囲気中または還元性雰囲気中でも濃化を抑制することが困難である。更にこれらの酸化物はめっき処理時の溶融亜鉛との濡れ性を著しく悪化するため、不めっき、合金化不良を引き起こす原因となる。
このため、Si、Mnなどの易酸化性元素を含有する鋼板に、溶融亜鉛めっき或いは合金化溶融亜鉛めっきを施す方法として、酸化−還元法が用いられている。酸化−還元法は、焼鈍炉を酸化性の雰囲気として、鉄酸化物からなる外方酸化層、鉄とSiやMnなどの易酸化性元素の酸化物からなる内方酸化層を、鋼板表面に形成し、その後、還元性の雰囲気とした炉内で、前記鉄酸化物を還元して鋼板表面にめっき濡れ性良好な還元鉄の層を形成して、めっき処理を施す方法である。
尚、外方酸化層とは、加熱処理前の鋼板表面から外側にできる酸化層のことであり、内方酸化層とは、加熱処理前の鋼板表面から内側にできる酸化層のことである。
しかしながら、還元鉄、即ち、酸化鉄が過剰に生成したり、逆に不足したりすると、不めっきや合金化不足など外観を損なう不良が発生し、また、めっきと素地鋼鈑の界面に残留したSiやMnなどの易酸化性元素の酸化物が原因で、溶融亜鉛めっき鋼板の加工時にめっきが剥離するなどの不良が発生することがあり、更なる技術の改善が求められている。
このような不良の発生をなくし、溶融亜鉛めっき鋼板の美麗な外観とめっき密着性を確保するために、従来からいくつかの技術が提案されているが、代表的な従来技術として、特許文献1に記載された技術がある。
この特許文献1には、O2≧0.1%、H2O≧1%を含有する雰囲気中で、400〜750℃の温度で加熱(A帯加熱)し、次いで、O2<0.1%、H2O≧1%を含有する雰囲気中で、600〜850℃の温度で加熱(B帯加熱)し、次いで、H2=1〜50%を含み露点が0℃以下の雰囲気中で、加熱(C帯加熱)を施す方法が記載されている。しかしながら、成形性を両立させるとの観点は考慮されていない。
本発明は、上記従来の問題を解決せんとしてなされたもので、不めっき、合金化ムラがない美麗な外観を有すると共に、めっき密着性が良好で、且つ、成形性(曲げ性)に優れたSi含有溶融亜鉛めっき鋼板或いはSi含有合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、質量%で、Siを0.1%以上3.0%以下含有する鋼板を、予備加熱炉内で加熱した後、焼鈍炉内で前記鋼板表面に酸化膜を形成する酸化工程を経て、還元工程で前記酸化膜を還元し、その後、溶融亜鉛めっき処理或いは合金化溶融亜鉛めっき処理を行って、前記鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを形成する溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、前記予備加熱炉内での加熱は、室温から700℃まで昇温するものであり、このうち、400〜700℃の温度範囲においては、酸素濃度を1.0体積%以上10.0体積%以下、水蒸気濃度を10.0体積%未満とした雰囲気中とし、前記焼鈍炉内での酸化膜の形成は、酸素濃度を1.0体積%未満、水蒸気濃度を10.0体積%以上30.0体積%以下とした雰囲気中で、到達温度を900℃以下とすると共に滞在時間を15秒以上180秒以下として実施することを特徴とする。
また、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、前記鋼板が、更に質量%で、Cを0.04%以上0.20%以下、Mnを1.0%以上3.0%以下、Pを0%超0.02%以下、Sを0%超0.004%以下、Alを0%超0.06%以下含有することが好ましい。
また、本発明の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、前記鋼板が、更に質量%で、Crを0.01%以上0.30%以下、Tiを0.01%以上0.05%以下含有することが好ましい。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法によると、不めっき、合金化ムラがない美麗な外観を有すると共に、めっき密着性が良好で、且つ、製造工程中に適正な条件で焼鈍を施すことで鋼板にフェライト脱炭層を形成させることができ、成形性(曲げ性)に優れたSi含有溶融亜鉛めっき鋼板或いはSi含有合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。
本発明者らは、不めっき、合金化ムラがない美麗な外観を有すると共に、めっき密着性に優れ、且つ、曲げ性にも優れたSi含有溶融亜鉛めっき鋼板或いはSi含有合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する方法を見出すため、鋭意、検討を行った。
Si含有鋼に耐食性を付与した溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)や合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)は、Si含有鋼板を予備加熱炉内で加熱した後、焼鈍炉内で前記鋼板表面に酸化膜を形成する酸化工程を経て、還元工程で前記酸化膜を還元し、その後、溶融亜鉛めっき処理或いは合金化溶融亜鉛めっき処理を行って、前記鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを形成することで製造することができるが、本発明者らは、鋼板のSi含有量を適切量とした上で、予備加熱炉内での加熱条件、焼鈍炉内での酸化膜の形成に関する条件を適切に制御することで、所望の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明を実施形態に基づいて更に詳細に説明するが、本発明の特徴である予備加熱炉内での加熱に関する条件、焼鈍炉内での酸化膜の形成に関する条件、および鋼板の成分組成について順に説明する。
(予備加熱炉内での加熱に関する条件)
予備加熱炉内で鋼板表面に生成されるスケール組成は、その後の焼鈍炉内でのスケール成長に影響を与える。焼鈍炉内でのマグネタイトスケールの過剰成長によるめっき剥離を抑制するため、図1に示すように、室温から700℃まで昇温させる予備加熱により鉄の拡散障壁となるヘマタイトスケール(Fe2O3)を生成させる。
予備加熱炉内で鋼板表面に生成されるスケール組成は、その後の焼鈍炉内でのスケール成長に影響を与える。焼鈍炉内でのマグネタイトスケールの過剰成長によるめっき剥離を抑制するため、図1に示すように、室温から700℃まで昇温させる予備加熱により鉄の拡散障壁となるヘマタイトスケール(Fe2O3)を生成させる。
Fe2O3は焼鈍炉に入る前段階の400〜700℃程度の温度範囲、高酸素雰囲気で生成されやすいため、400〜700℃の温度範囲での予備加熱炉内の酸素濃度を1.0体積%以上とする。一方、予備加熱炉内の酸素濃度が10.0体積%を超えるとFe2O3が過剰に生成し、次の焼鈍工程におけるマグネタイトスケールの成長が進まず、めっき性が確保できない。また、水蒸気濃度は10.0体積%未満とする。10.0体積%未満でヘマタイトスケールの成長が促進されるためである。
(焼鈍炉内での酸化膜の形成に関する条件)
焼鈍炉内では鋼板表面に酸化膜(マグネタイトスケール)を形成するが、めっき性に影響するマグネタイトスケールの厚さを適正に制御する。また、このとき、フェライト脱炭層を適正量形成させると曲げ性も向上させることができる。尚、マグネタイトスケールは、その後の還元工程で還元鉄となる。このマグネタイトスケールの適正な厚さは、0.5〜1.5μmである。
焼鈍炉内では鋼板表面に酸化膜(マグネタイトスケール)を形成するが、めっき性に影響するマグネタイトスケールの厚さを適正に制御する。また、このとき、フェライト脱炭層を適正量形成させると曲げ性も向上させることができる。尚、マグネタイトスケールは、その後の還元工程で還元鉄となる。このマグネタイトスケールの適正な厚さは、0.5〜1.5μmである。
フェライト脱炭層は700〜900℃の範囲で最も成長速度が速いことから、図1に示すように、予備加熱で700℃まで加熱した鋼板の、焼鈍炉内での到達温度(抽出温度)を900℃以下とし、滞在時間を15秒以上180秒以下として、焼鈍を実施する。また、焼鈍炉内の雰囲気は、酸素濃度を1.0体積%未満、水蒸気濃度を10.0体積%以上30.0体積%以下とする。
700〜900℃の温度域での滞在時間が15秒未満では、所望の厚さのフェライト脱炭層を形成することができない。一方、180秒を超えると、マグネタイトスケールが厚く生成しすぎて、めっき剥離が頻発することとなる。
700〜900℃の温度域における酸素濃度は1.0体積%未満として、マグネタイトスケールの過剰成長を抑制する。また、水蒸気濃度の上下限は10.0体積%以上30.0体積%以下とする。水蒸気はマグネタイトスケールの成長と共にめっき剥離を誘発するSi酸化物やMn酸化物の成長を促進する作用がある。そのため、水蒸気濃度の増加によるめっき剥離抑制の観点から水蒸気濃度は30.0体積%以下、好ましくは25.0体積%以下とする。一方、水蒸気濃度が10.0体積%未満では、溶融亜鉛めっきに必要なマグネタイトスケールを確保できない。好ましくは15.0体積%以上とする。
(鋼板の成分組成)
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法により製造されるのは、Si含有鋼に耐食性を付与した溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)や合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)であり、材料となる鋼板はSi含有鋼でなければならない。Si以外には、C、Mn、P、S、Al、また、Cr、Tiを含有しても良い。それらの含有量は以下に示す範囲であり、残部は鉄および不可避的不純物である。尚、含有量の単位は全て%と記載するが、質量%のことを示す。
本発明の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法により製造されるのは、Si含有鋼に耐食性を付与した溶融亜鉛めっき鋼板(GI鋼板)や合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA鋼板)であり、材料となる鋼板はSi含有鋼でなければならない。Si以外には、C、Mn、P、S、Al、また、Cr、Tiを含有しても良い。それらの含有量は以下に示す範囲であり、残部は鉄および不可避的不純物である。尚、含有量の単位は全て%と記載するが、質量%のことを示す。
・Si:0.1%以上3.0%以下
Siは、鋼材の強度を発現しつつ、延性や加工性を確保できる必須添加元素である。高強度鋼板に最低限必要なSiの含有量は0.1%以上であり、好ましくは0.5%以上である。一方、Siの過剰添加は延性を損なうため、その含有量は3.0%以下とする。好ましくは2.5%以下である。
Siは、鋼材の強度を発現しつつ、延性や加工性を確保できる必須添加元素である。高強度鋼板に最低限必要なSiの含有量は0.1%以上であり、好ましくは0.5%以上である。一方、Siの過剰添加は延性を損なうため、その含有量は3.0%以下とする。好ましくは2.5%以下である。
・C:0.04%以上0.20%以下
Cは、鋼材の強度を高めるために有用な元素であるため、0.04%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.05%以上である。しかし、Cの含有量が過剰になると、冷間加工性が低下するため、その含有量は0.20%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.15%以下である。
Cは、鋼材の強度を高めるために有用な元素であるため、0.04%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.05%以上である。しかし、Cの含有量が過剰になると、冷間加工性が低下するため、その含有量は0.20%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.15%以下である。
・Mn:1.0〜3.0%
Mnは、鋼材の強度および靭性の確保に有用な元素であるため、1.0%以上含有させることが好ましい。より好ましくは1.5%以上である。しかし、Mnの含有量が過剰になると、延性を損なうため、その含有量は3.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは2.5%以下である。
Mnは、鋼材の強度および靭性の確保に有用な元素であるため、1.0%以上含有させることが好ましい。より好ましくは1.5%以上である。しかし、Mnの含有量が過剰になると、延性を損なうため、その含有量は3.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは2.5%以下である。
・P:0%超0.02%以下
Pは、鋼材に不可避的に含有される元素であるが、微量のPの存在はセメンタイトの析出を遅延して変態を抑制する。しかしながら、過剰添加は延性の劣化とめっき密着性の悪化を招くため、その含有量は0.02%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.01%以下である。
Pは、鋼材に不可避的に含有される元素であるが、微量のPの存在はセメンタイトの析出を遅延して変態を抑制する。しかしながら、過剰添加は延性の劣化とめっき密着性の悪化を招くため、その含有量は0.02%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.01%以下である。
・S:0%超0.004%以下
Sは、鋼材に不可避的に含有される元素であるが、鋼材中にMnが含有されている場合は硫化物系介在物MnSを形成し、このMnSが鋼材の熱間圧延時に偏析することにより鋼材を脆化させるので、その含有量は0.004%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.003%以下である。
Sは、鋼材に不可避的に含有される元素であるが、鋼材中にMnが含有されている場合は硫化物系介在物MnSを形成し、このMnSが鋼材の熱間圧延時に偏析することにより鋼材を脆化させるので、その含有量は0.004%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.003%以下である。
・Al:0%超0.06%以下
Alは、脱酸のために、また焼きならし加熱の際にオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するために、好ましくは鋼材に添加する。しかし、過剰添加は前記効果を飽和することに加えて、結晶粒が不安定になるため、その含有量は0.06%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.05%以下である。
Alは、脱酸のために、また焼きならし加熱の際にオーステナイト結晶粒の粗大化を防止するために、好ましくは鋼材に添加する。しかし、過剰添加は前記効果を飽和することに加えて、結晶粒が不安定になるため、その含有量は0.06%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.05%以下である。
・Cr:0.01%以上0.30%以下
Crは、鋼材および冷間鍛造品に強度を付与するために必要に応じて添加することができる。その効果を発現するために最低限必要な含有量は0.01%である。一方、その含有量が0.30%を超えると鋼材が延性を失ってしまう。0.04%以上とすることがより好ましく、また、0.25%以下とすることがより好ましい。
Crは、鋼材および冷間鍛造品に強度を付与するために必要に応じて添加することができる。その効果を発現するために最低限必要な含有量は0.01%である。一方、その含有量が0.30%を超えると鋼材が延性を失ってしまう。0.04%以上とすることがより好ましく、また、0.25%以下とすることがより好ましい。
・Ti:0.01%以上0.05%以下
Tiは、鋼材に脱酸剤として添加されるが、0.01%未満であると脱酸剤としての効果が不十分となり、逆に0.05%を超えて添加すると、靭性が低下する。0.02%以上とすることがより好ましく、また、0.04%以下とすることがより好ましい。
Tiは、鋼材に脱酸剤として添加されるが、0.01%未満であると脱酸剤としての効果が不十分となり、逆に0.05%を超えて添加すると、靭性が低下する。0.02%以上とすることがより好ましく、また、0.04%以下とすることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1に示す各成分組成の溶鋼を用いてスラブを作製し、これらのスラブを熱間圧延した後、酸洗により表面のスケールを除去して、更に冷間圧延することで、2.0mm厚さの薄鋼板を作製した。これら薄鋼板のスケールを酸洗で除去した上で、表2に示す焼鈍条件で薄鋼板表面に酸化膜を形成し、還元炉でその酸化膜を還元した後、溶融亜鉛めっき或いは合金化溶融亜鉛めっきを施した。
尚、焼鈍前の予備加熱炉では、種々の酸素濃度、水蒸気濃度を含む燃焼ガス(COG:55体積%H2、6体積%N2、残りは炭化水素ガス等)の排ガス雰囲気で、室温から700℃まで鋼板を昇温した。
また、焼鈍炉ではCOGと空気の混合ガスをバーナーで燃焼する方式で鋼板を加熱した。表2に示す種々の焼鈍条件は、COGの流量、COGガスと空気の流量比(空熱比)、並びに鋼板の通板速度を適宜調整することにより設定した。
更に、還元炉ではラジアントチューブを用いて間接的に鋼板温度を上げる方法で鋼板を900℃まで加熱した。還元炉内の雰囲気はN2−20体積%H2雰囲気とした。
その後、この鋼板を還元性の雰囲気で冷却し、大気に触れさせることなく450℃の溶融亜鉛浴中に鋼板を浸漬した。合金化溶融亜鉛めっき(GA)鋼板については、この後、更に鋼板温度が500℃となるように合金化炉で合金化処理を施した。
(外観の評価)
外観の評価は、溶融亜鉛めっき鋼板については、その表面を目視で観察することにより不めっきの有無を検査することで実施した。不めっきが全く確認できなかったものを○で良好、製品としては問題ないが軽い不めっきが確認できたものを△、不めっきが発生し製品として不合格のものを×で、それぞれ外観不良と判定した。
外観の評価は、溶融亜鉛めっき鋼板については、その表面を目視で観察することにより不めっきの有無を検査することで実施した。不めっきが全く確認できなかったものを○で良好、製品としては問題ないが軽い不めっきが確認できたものを△、不めっきが発生し製品として不合格のものを×で、それぞれ外観不良と判定した。
また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板については、その表面を目視で観察することにより合金化ムラの有無を検査することで実施した。合金化ムラが全く確認できなかったものを○で良好、製品としては問題ないが軽い合金化ムラが確認できたものを△、合金化ムラが発生し製品として不合格のものを×で、それぞれ外観不良と判定した。
(めっき密着性)
めっき密着性の評価は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用いて90°のV曲げ試験を実施し、曲げ加工部にセロハンテープを貼り付け、テープを剥がした際に接着面に付着して剥離しためっき膜の有無を確認すると共に、剥がれためっき膜がある際には剥離幅(最大幅)を測定することにより実施した。めっき膜の剥離が全く確認できなかったものを○で良好、剥離しためっき膜の幅が5mm以下のものを△、剥離しためっき膜の幅が5mm超のものを×で、それぞれ不良と判定した。
めっき密着性の評価は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用いて90°のV曲げ試験を実施し、曲げ加工部にセロハンテープを貼り付け、テープを剥がした際に接着面に付着して剥離しためっき膜の有無を確認すると共に、剥がれためっき膜がある際には剥離幅(最大幅)を測定することにより実施した。めっき膜の剥離が全く確認できなかったものを○で良好、剥離しためっき膜の幅が5mm以下のものを△、剥離しためっき膜の幅が5mm超のものを×で、それぞれ不良と判定した。
(脱炭層評価)
X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)による深さ方向プロファイルを測定して、フェライト脱炭層の深さ(厚さ)を求めた。
X線光電子分光法(XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy)による深さ方向プロファイルを測定して、フェライト脱炭層の深さ(厚さ)を求めた。
(曲げ性評価)
曲げ性の評価は、幅40mm×長さ80mmの鋼板を2個の支えに載せ、その中央部に押し金具を当て、徐々に荷重を加えて割れが発生する時点の曲げ角度を測定するJIS Z 2248の金属材料曲げ試験方法により実施した。曲げ角度が90°以上のものを◎、90°未満70°以上のものを○で、それぞれ良好、70°未満50°以上のものを△、50°未満のものを×で、それぞれ不良と判定した。
曲げ性の評価は、幅40mm×長さ80mmの鋼板を2個の支えに載せ、その中央部に押し金具を当て、徐々に荷重を加えて割れが発生する時点の曲げ角度を測定するJIS Z 2248の金属材料曲げ試験方法により実施した。曲げ角度が90°以上のものを◎、90°未満70°以上のものを○で、それぞれ良好、70°未満50°以上のものを△、50°未満のものを×で、それぞれ不良と判定した。
表2に示す試験結果によると、鋼板のSi含有量を適切量とした上で、予備加熱炉内での加熱条件、酸化工程に関する条件を適切に制御し、本発明の製造条件を全て満足するNo.2〜4、6〜11、15〜18、21〜24は、不めっき、合金化ムラがなく外観に優れ、また、めっき密着性にも優れ、曲げ性も良好であった。
一方、酸化工程に関する条件が本発明の条件を満足しないNo.20、25、26、予備加熱炉内での加熱条件が本発明の条件を満足しないNo.1、5、12〜14、19は、外観、めっき密着性、曲げ性のうち、少なくとも一つ以上が不良であった。
Claims (3)
- 質量%で、Siを0.1%以上3.0%以下含有する鋼板を、予備加熱炉内で加熱した後、焼鈍炉内で前記鋼板表面に酸化膜を形成する酸化工程を経て、還元工程で前記酸化膜を還元し、その後、溶融亜鉛めっき処理或いは合金化溶融亜鉛めっき処理を行って、前記鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを形成する溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
前記予備加熱炉内での加熱は、室温から700℃まで昇温するものであり、このうち、400〜700℃の温度範囲においては、酸素濃度を1.0体積%以上10.0体積%以下、水蒸気濃度を10.0体積%未満とした雰囲気中とし、
前記焼鈍炉内での酸化膜の形成は、酸素濃度を1.0体積%未満、水蒸気濃度を10.0体積%以上30.0体積%以下とした雰囲気中で、到達温度を900℃以下とすると共に滞在時間を15秒以上180秒以下として実施することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 - 前記鋼板が、更に質量%で、Cを0.04%以上0.20%以下、Mnを1.0%以上3.0%以下、Pを0%超0.02%以下、Sを0%超0.004%以下、Alを0%超0.06%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記鋼板が、更に質量%で、Crを0.01%以上0.30%以下、Tiを0.01%以上0.05%以下含有する特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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JP2015136876A JP2017020061A (ja) | 2015-07-08 | 2015-07-08 | 溶融亜鉛めっき鋼板或いは合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
Publications (1)
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JP (1) | JP2017020061A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP4424860A1 (de) * | 2023-03-02 | 2024-09-04 | ThyssenKrupp Steel Europe AG | Verfahren zur wärmebehandlung eines stahls |
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2015
- 2015-07-08 JP JP2015136876A patent/JP2017020061A/ja active Pending
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EP4424860A1 (de) * | 2023-03-02 | 2024-09-04 | ThyssenKrupp Steel Europe AG | Verfahren zur wärmebehandlung eines stahls |
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