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JP2017009778A - 照明用光学ユニット及び照明装置 - Google Patents

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JP2017009778A JP2015124455A JP2015124455A JP2017009778A JP 2017009778 A JP2017009778 A JP 2017009778A JP 2015124455 A JP2015124455 A JP 2015124455A JP 2015124455 A JP2015124455 A JP 2015124455A JP 2017009778 A JP2017009778 A JP 2017009778A
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麻衣子 西田
Maiko Nishida
麻衣子 西田
広瀬 直樹
Naoki Hirose
直樹 広瀬
中村 健太郎
Kentaro Nakamura
中村  健太郎
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Konica Minolta Inc
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Abstract

【課題】高密度に配列された複数の光源からの放射光を投射する際に、照射領域の鮮明さと照射強度分布の均一性とのいずれかの特徴の選択制御が可能であり、かつ選択に際して調整誤差が生じにくい照明用光学ユニットを提供すること。
【解決手段】光軸OA方向に配列された複数のレンズL1〜Lnを有し、複数の光源22からの入射光を複数のレンズL1〜Lnを通して照明用の出射光に変換する照明用光学系11と、照明用光学系11を保持する鏡胴12と、鏡胴12に付随して設けられ、複数のレンズL1〜Lnの一部を移動させることによって、球面収差の状態が異なる複数の照射パターンのいずれかに選択的に切り替え可能な収差変更機構14とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の光源から放射される光を被照射物体に照射するための照明用光学ユニット及び当該照明用光学ユニットを組み込んだ照明装置に関する。
近年、エネルギー問題の高まりの中で省エネルギーかつ長寿命である発光ダイオード(LED)を光源として用いたLED照明装置が注目され、実際に利用されている。一般に、LEDは指向性が強いため、例えば看板照明や液晶のバックライト等に使用される場合、照射領域を拡大する目的でレンズや拡散板等が用いられる。より強く、より広範囲を照射したい場合においては、複数のLEDチップが配置された基板と、それぞれのLEDからの放射光を集光、コリメート、又は拡散するレンズとを用いる手法がとられている。このような光源を使用する場合、複数のLEDチップのうち特定のLEDチップを消灯することにより、特定の方向に光を照らさなかったり、あるいは特定のLEDチップを点灯することにより文字や形等を模って光を照らしたりすることもできる。ここで、一般に、複数の光源から放射される光を、光学手段によって集光、又は投光した場合、照射面における照射強度分布は各光源の配置に対応した像として投射される。つまり複数の光源を使用する場合、それらが高密度に配列されていたとしても、物理的制約のため光源と光源との隙間を完全に無くすのは難しく、例えば光源をマトリクス状に高密度に配列した場合、照射面上の照射強度分布にはグリッド状の強弱(暗線ともいう)が発生してしまう。このような照明の見栄えが悪くなる現象は照明装置としては回避すべき問題である。暗線を消すためにはデフォーカスにより投射される像をぼかす手法が取られるが、結果として照射領域と非照射領域との境目があいまいとなり、照射領域の鮮明さが失われる。
特許文献1には、光源を複数並べて1つの照明を形成する照明装置が開示されている。特許文献1では、光源と光学手段との相対位置関係を決定する機構があり、照明において各光源の照射領域の鮮明さと照射強度分布の均一性(暗線の見えにくさ)とのいずれかの特徴を選択制御できる構成が提示されている。第1の相対位置関係では光源と光学手段とをベストフォーカスの位置に設定し、暗線が生じる代わりに各照射領域の鮮明さを確保している。第2の相対位置関係では光源を光学手段のベストフォーカス位置ではなく、あえてベストフォーカス位置から少し遠ざけた位置に設定している(つまり、デフォーカスしている)。これにより、各光源の照射領域の鮮明さが失われてくる(境界がぼやける)ため、隣接する光源における照射領域との境界が曖昧になり、暗線が見えにくくなる。すなわち、各照射領域の照射強度分布をブロードなものとすることで、各光源からの照射強度分布を重ね合わせた際の全体としての照射強度分布の均一化を図っている。
しかしながら、このようなデフォーカスにより照射強度分布を均一化する手法は、光源と光学手段との相対位置関係が少し変わるだけで光学特性が大きく変化してしまうため、相対位置を変更する機構の位置決め誤差や振動等による外乱の影響により所望の特性を得られないおそれがある。また、デフォーカスにより照射強度分布を均一化する手法では、光学手段にプラスチックレンズ等を用いた場合、光源の発熱等による温度変化によっても焦点距離等の光学仕様が大きく変化し照射強度分布の均一性が失われるおそれもある。特にLEDが高密度でアレイ状に並んでいて高い光量を要求される分野(例えば、車載用照明装置等)においてはこの問題が非常に顕著なものとなる。
特開2011−249183号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、高密度に配列された複数の光源からの放射光を投射する際に、照射領域の鮮明さと照射強度分布の均一性とのいずれかの特徴の選択制御が可能であり、かつ選択に際して調整誤差が生じにくい照明用光学ユニットを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記照明用光学ユニットを組み込んだ照明装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る照明用光学ユニットは、光軸方向に配列された複数のレンズを有し、複数の光源からの入射光を複数のレンズを通して照明用の出射光に変換する照明用光学系と、照明用光学系を保持する鏡胴と、鏡胴に付随して設けられ、複数のレンズの一部を移動させることによって、球面収差の状態が異なる複数の照射パターンのいずれかに選択的に切り替え可能な収差変更機構とを備える。ここで、光源からの入射光を照明用の出射光に変換するとは、光の進む方向を変えるもの、例えば、集光、コリメート、又は発散光とすることを意味する。
上記照明用光学ユニットは、球面収差の状態を変更させることで、異なる照射パターンを選択的に形成することができる。また、例えば複数のレンズのうち特定のレンズの位置を変更することで意図的に球面収差を発生させることにより、照射強度を確保しつつ照射強度分布を均一化することができ、その際の最適位置からのずれの許容範囲を広くすることができる。つまり、照射パターンを変更するためにレンズを動かす場合において、レンズを特定量動かす際の誤差感度を低くできる。そのため、照明用光学ユニットによる照明は、位置決め誤差や温度等の外乱に影響されにくい。なお、最適位置からのずれの許容範囲は、準フォーカス範囲(その照射パターンにおけるベストフォーカス時を含む照射強度と後述する暗線とのバランスが丁度よい範囲)である。
本発明の具体的な側面では、上記照明用光学ユニットにおいて、照明用光学系は、少なくとも2つの照射パターンでの照明を可能にし、出射側から光源側に向かって照明用光学系に平行光を通したときに、レンズ開口部の中心領域、中間領域、及び周辺領域を通過するそれぞれの光の集光位置をα(mm)、β(mm)、及びγ(mm)として、レンズ開口部の中心領域とは光軸から径方向に10%以下の領域であり、中間領域とは光軸から径方向に45%以上55%以下までの領域であり、周辺領域とは光軸から径方向の90%以上の領域であり、第1の照射パターンを選択した場合に、以下の条件式
|γ−α|>0.1 … (1)
を満足し、
第2の照射パターンを選択した場合に、以下の条件式
|γ−α|>0.5 … (2)
|((α+γ)/2)−β|<|(γ−α)/3| … (3)
を満足する。ここで、レンズ開口部とは、鏡胴の出射側の開口部であり、照明用光学系の最も出射側のレンズの有効径に対応する。中心領域、中間領域、及び周辺領域は、例えばレンズ開口部の外形を円形で近似した形状を有する。レンズ開口部の外形が円形でない場合、各領域の形状は、外形の外接円としてもよい。また、これらの領域は、光の入射高さ位置で考えて規定しており、集光位置α、β、及びγは、各領域の面積比に応じて平均をとったものとなる。
このような照明用光学ユニットは、上記条件式(1)を満たす第1の照射パターンにおける照明では、照射領域の鮮明さを確保することができる。一方、上記条件式(2)及び(3)を満たす第2の照射パターンにおける照明では、照射強度分布を均一化した照明を提供することができる。
本発明の別の側面では、収差変更機構は、照明用光学系のうち少なくとも1枚のレンズを光軸方向に動かす。この場合、収差変更機構の駆動構成を簡易なものとすることができる。
本発明のさらに別の側面では、複数のレンズのうち最も出射光側のレンズの位置と、複数の光源との位置を固定し、最も出射光側のレンズと複数の光源との間にある少なくとも1枚のレンズを収差変更機構により移動させる。この場合、収差変更機構による照明用光学系の全長変化が発生せず、照明用光学ユニットをコンパクトにすることができる。
本発明のさらに別の側面では、以下の条件式を満足する。
1.5>|γ−α|/U>0.2 … (4)
ただし、U(mm)は、収差変更機構によるレンズ移動量である。
条件式(4)は、位置決め誤差による影響と、レンズ移動量とのバランスを適切に設定するための条件式である。条件式(4)の上限値を下回ることで、位置決め誤差に対する影響を小さくすることができる。一方、条件式(4)の下限値を上回ることで、レンズ移動量が大きくなりすぎることを防ぐことができる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学系は、照明中に照射パターンを切り替える。この場合、動的な照明によって自由度を向上させることができる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学系は、3枚のレンズで構成される。この場合、レンズ枚数が比較的少ないため、低コストかつ小型の照明用光学ユニットとなる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学系は、4枚のレンズで構成される。この場合、コスト、サイズ、性能のバランスがとれた照明用光学ユニットとなる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学系は、5枚のレンズで構成される。この場合、高性能な照明用光学ユニットとなる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学系のうち少なくとも1枚のレンズは負の屈折力を有し、最も出射側のレンズと最も光源側のレンズはそれぞれ正の屈折力を有する。この場合、色収差を抑えつつ、小さく明るいFナンバーとすることができるため、色むらが小さく、高い光利用効率を実現できる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学ユニットは、以下の条件式(5)を満足する。
Fno<1.0 … (5)
ただし、Fnoは照明用光学系のFナンバーである。この場合、取り込み光量が多いため、光利用効率が高くなる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学系は、少なくとも1枚のプラスチック非球面レンズを含む。この場合、照明用光学ユニットの低コスト化及び軽量化を図ることができる。
本発明のさらに別の側面では、照明用光学ユニットは、室内照明装置、建築物照明装置、車載用照明装置、拡大投影装置を含む映像装置、及び顕微鏡照明装置のいずれかに用いられる。
本発明に係る照明装置は、上述の照明用光学ユニットと、複数の光源を有するアレイ光源と、を備える。
上記照明装置は、上述のような照明用光学ユニットを組み込むことで、球面収差の状態を変更させることで、異なる照射パターンを選択的に形成することができる。また、照射強度を確保しつつ照射強度分布を均一化することができ、最適位置からのずれの許容範囲を広くすることができる。そのため、照明用光学ユニットによる照明は、位置決め誤差や温度等の外乱に影響されにくい。
本発明の具体的な側面では、上記照明装置において、照明用光学系は、直線状に配列された複数の光源の像を投影する。この場合、球面収差を発生させた照射パターンにおいては、暗線の発生を防ぎつつ明暗の境界を明確にした直線状の照明をすることができる。
本発明の別の側面では、照明用光学系は、2次元的に配列された複数の光源の像を投影する。この場合、球面収差を発生させた照射パターンにおいては、暗線の発生を防ぎつつ明暗の境界を明確にした文字や形を模るような照明をすることができる。
本発明のさらに別の側面では、光源はLEDチップである。
本発明のさらに別の側面では、複数の光源は所定平面に略沿って配列され、隣接する光源の隙間は50μm以下である。隣接する光源の隙間を50μm以下とすることで、球面収差によるデフォーカス特性等の改善をより確実にすることができる。
(A)は、第1実施形態の照明用光学ユニットを備える照明装置等を説明する概念図であり、(B)は、照明装置のうちアレイ光源の平面図である。 (A)及び(B)は、照明用光学アレイが満たす条件式を説明する図である。 (A)は、実施例1の照明装置のうち照明用光学ユニット等の断面図であり、(B)は、第1の照射パターンにおける球面収差を示す図であり、(C)は、第2の照射パターンにおける球面収差を示す図である。 (A)は、実施例2の照明装置のうち照明用光学ユニット等の断面図であり、(B)は、第1の照射パターンにおける球面収差を示す図であり、(C)は、第2の照射パターンにおける球面収差を示す図である。 (A)は、実施例3の照明装置のうち照明用光学ユニット等の断面図であり、(B)は、第1の照射パターンにおける球面収差を示す図であり、(C)は、第2の照射パターンにおける球面収差を示す図である。 (A)は、実施例4の照明装置のうち照明用光学ユニット等の断面図であり、(B)は、第1の照射パターンにおける球面収差を示す図であり、(C)は、第2の照射パターンにおける球面収差を示す図である。 (A)及び(B)は、実施例4の照明装置のシミュレーション結果を示す図である。 (A)及び(B)は、比較例の照明装置のシミュレーション結果を示す図である。 第2実施形態の照明装置のうちアレイ光源の平面図である。
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、本発明の第1実施形態である照明用光学ユニット及び照明装置について説明する。なお、図1で例示した照明用光学ユニット10は、後述する実施例1の照明用光学ユニット10Aと同一の構成となっている。
図1(A)及び1(B)に示すように、照明装置100は、アレイ状に配列された複数の光源から放出される光を、後述する照明用光学ユニット10を用いて被照射物体SBに照射するものである。照明装置100は、照明用光学ユニット10と、アレイ光源20と、制御装置30とを備える。照明装置100の用途としては、例えば室内照明装置、建築物照明装置、車載用照明装置、拡大投影装置等の映像装置、顕微鏡照明装置等が挙げられる。
照明用光学ユニット10は、照明用光学系11と、鏡胴12と、収差変更機構14とを備える。照明用光学ユニット10は、明るさに関する前提として、以下の条件式(5)を満足する。
Fno<1.0 … (5)
ただし、Fnoは照明用光学系11のFナンバーである。これにより、照明用光学ユニット10の取り込み光量が多くなり、光利用効率が高くなる。
照明用光学系11は、アレイ光源20からの入射光を照明用の出射光に変換するものであり、光軸OA方向に配列された複数のレンズL1〜Lnで構成される。ここで、アレイ光源20(光源)からの入射光を照明用の出射光に変換するとは、光の進む方向を変えるもの、例えば、集光、コリメート、又は発散光とすることを意味する。照明用光学系11は、3枚〜5枚のレンズで構成されることが好ましい。照明用光学系11のうち少なくとも1枚のレンズは負の屈折力を有している。また、最も出射側のレンズ(図1では第1レンズL1)と最も光源側のレンズ(図1では第3レンズL3)とは正の屈折力をそれぞれ有している。これにより、照明用光学ユニット10は、色収差を抑えつつ、小さく明るいFナンバーとすることができるため、色むらが小さく、高い光利用効率を実現できる。最も光源側のレンズ(図1では第3レンズL3)は出射側において曲率が比較的大きい面を有することが好ましい。これにより、アレイ光源20からの光をできるだけ多く確保することができる。また、照明用光学系11は、少なくとも1枚のプラスチック非球面レンズを含む。これにより、照明用光学ユニット10の低コスト化及び軽量化を図ることができる。プラスチックとしては、例えばアクリルやポリカーボネート等の高耐熱性を有する材料であることが好ましい。
鏡胴12は、照明用光学系11を収納し保持するものである。鏡胴12は、光源22側からの光束を入射させるレンズ開口部13aと、照明用光学系11を通過した光束を出射させるレンズ開口部13bとを有する。
収差変更機構14は、鏡胴12に付随して設けられ、アクチュエーターを付随させている。収差変更機構14は、複数のレンズLnの一部を移動させることによって、球面収差の状態を変更させ、球面収差の状態が異なる複数の照射パターンのいずれかに選択的に切り替える照明を可能にする。つまり、照明用光学系11は、この収差変更機構14を用いることによって、照明状態を少なくとも2つの照射パターンのいずれかに切り替えることができる。収差変更機構14は、照射パターンの切り替えに際して、少なくとも1枚のレンズ(図1では第1レンズL1)を光軸OA方向に動かすことで球面収差の状態を変更する。これにより、収差変更機構14の駆動構成を簡易なものとすることができる。なお、後述する実施例4のように、複数のレンズのうち最も出射光側のレンズ(図6では第1レンズL1)の位置と、複数の光源22との位置を固定し、最も出射光側のレンズ(第1レンズL1)と複数の光源22との間にある少なくとも1枚のレンズ(図6では第2レンズL2)を、球面収差を変更させるために移動させれば、収差変更機構14による照明用光学系11の全長変化が発生せず、照明用光学ユニット10をコンパクトにすることができる。収差変更機構14としては、例えばカムやアクチュエーター等が用いられる。
本実施形態において、照明用光学系11は、第1の照射パターンでの照明と第2照射パターンでの照明を行うことができる。照明用光学系11は、第1の照射パターンによる照明を選択した場合に、以下の条件式(1)を満足する。
|γ−α|>0.1 … (1)
また、照明用光学系11は、第2の照射パターンによる照明を選択した場合に、以下の条件式(2)及び(3)を満足する。
|γ−α|>0.5 … (2)
|((α+γ)/2)−β|<|(γ−α)/3| … (3)
ただし、α(mm)、β(mm)、及びγ(mm)は、出射側から光源22側に向かって平行光(光軸OAに平行な光)を通したときに、レンズ開口部13aの中心領域AR1、中間領域AR2、及び周辺領域AR3を通過する光の集光位置である。図2(A)及び2(B)に示すように、レンズ開口部13aの中心領域AR1とは光軸OAから径方向に10%以下の領域であり、中間領域AR2とは光軸OAから径方向に45%以上55%以下の領域であり、周辺領域AR3とは光軸OAから径方向の90%以上の領域である。集光位置α、β、及びγは、光軸OA上の任意の位置を共通の基準点としている。また、レンズ開口部13aとは、鏡胴12の出射側の開口部であり、照明用光学系11の最も出射側のレンズ(第1レンズL1)の有効径に対応する。中心領域AR1、中間領域AR2、及び周辺領域AR3は、例えばレンズ開口部13aの外形を円形で近似した形状を有する。レンズ開口部13aの外形が円形でない場合、各領域AR1,AR2,AR3の形状は、外形の外接円としてもよい。領域AR1,AR2,AR3は、高さ位置で考えて規定しており、集光位置α、β、及びγは、各領域AR1,AR2,AR3の面積比に応じて平均をとったものとなる。
照明用光学系11は、上記条件式(1)を満たす第1の照射パターンにおける照明では、ほとんど球面収差を有さず、照射領域の鮮明さを確保することができる。一方、上記条件式(2)及び(3)を満たす第2の照射パターンにおける照明では、照射強度分布を均一化した照明を提供することができる。
また、照明用光学系11は、以下の条件式(4)を満足する。
1.5>|γ−α|/U>0.2 … (4)
ただし、U(mm)は、収差変更機構によるレンズ移動量である。レンズ移動量は、例えば0.5mm〜2mm程度である。
条件式(4)は、位置決め誤差による影響と、レンズ移動量とのバランスを適切に設定するための条件式である。条件式(4)の上限値を下回ることで、移動するレンズ(例えば、第1レンズL1)の位置決め誤差に対する影響を小さくすることができる。一方、条件式(4)の下限値を上回ることで、レンズ移動量が大きくなりすぎることを防ぐことができる。なお、本実施形態では、収差変更機構14によるレンズの移動を2段階で行うが、連続的に移動させ、上記条件式(1)〜(4)を満たす範囲内でオペレーターが指定する位置で止めてもよい。
照明用光学系11は、照明中に照射パターンを切り替えることができる。これにより、動的な照明によって自由度を向上させることができる。
アレイ光源20は、基板21と複数の光源22とを有する。光源22は、光軸OAに垂直な方向に配置されている。つまり、光源22は、基板21の面上にアレイ状に配置されている。複数の光源22として、例えば複数のLEDチップその他の固体光源がある。図1(B)に示すように、複数の光源22は、直線状に配列されている。各光源22は、略正方形の輪郭を有し、同一サイズとなっている。ここで、隣接する光源22間には、細い線状の隙間GAが形成されている。また、全体としては、細長い矩形領域が照射面上の明領域に対応する発光領域となっている。照明用光学系11は、その直線状に配列された複数の光源22の像を投影する。この場合、球面収差をより発生させた照射パターン(すなわち、第2の照射パターン)においては、隙間GAに対応する暗線の発生を防ぎつつ明領域外縁において明暗の境界を明確にした直線状の照明をすることができる。隣接する光源22の隙間の距離Ldは50μm以下となっており、球面収差によるデフォーカス特性等の改善がより確実となっている。アレイ光源20は、例えば同色のLEDチップで構成してもよいし、異なる色のLEDチップで構成してもよい。
制御装置30は、アレイ光源20及び照明用光学系11の動作を制御するものである。制御装置30は、オペレーターの操作によって動作してもよいし、プログラムによって動作してもよい。制御装置30は、アレイ光源20を構成する各光源22の点灯状態を制御する。例えば、制御装置30は、光源22であるLEDチップの1つ1つと配線で繋がっており、LEDチップは間欠的に又は連続的に点灯する。特定の光源22のみを選択的に点灯することによって所望の点灯パターンを形成することもできる。また、制御装置30は、照明用光学系11の収差変更機構14の動作を制御する。例えば、第1の照射パターン又は第2の照射パターンのいずれかに対応するレンズ配置になるように所定のレンズを移動させる。
以下、照明装置100の使用状態の一例について説明する。まず、オペレーター又はプログラムによって制御装置30を動作させアレイ光源20のうち点灯される光源22が選択される。次に、制御装置30を動作させ選択された光源22が点灯する。光源22から放出された光線は、照明用光学ユニット10に入射し、照明用の出射光に変換される。次に、オペレーター又はプログラムによって制御装置30を動作させ、照射パターンを選択する。制御装置30による収差変更機構14の動作により、選択された第1の照射パターン又は第2の照射パターンに対応するレンズ配置になるように所定のレンズが移動される。この状態で、照明用光学ユニット10を通過した光線は、第1の照射パターンの場合、照射領域が鮮明に照明される。一方、第2の照射パターンの場合、被照射物体SBに準フォーカス状態で照明される。この際、被照射物体SBの照射面上には、アレイ光源20の明暗に対応した像が照射強度の高い状態で投影される。この際、点灯された光源22の群に対応する明領域の外縁において明暗の境界が比較的明確な状態とできる。なお、点灯する光源22の選択の前に照射パターンの選択を行ってもよい。
上記照明用光学ユニット10は、球面収差の状態を変更させることで、異なる照射パターンを選択的に形成することができる。また、複数のレンズのうち特定のレンズの位置を変更することで意図的に球面収差を発生させることにより、照射強度を確保しつつ照射強度分布を均一化することができ、光源22と光学手段である照明用光学ユニット10との最適位置からのずれの許容範囲つまり、準フォーカス範囲を広くすることができる。そのため、照明用光学ユニット10による照明は、位置決め誤差や温度等の外乱に影響されにくい。
一方、デフォーカスによってピンボケ状態とする従来の手法を用いた照明系では、照射強度を確保しつつ照射強度分布均一化を達成できる準フォーカス範囲が極端に狭くなり、上述の外乱により所望の特性を得られない可能性が高くなる。
〔実施例〕
以下、本発明に係る照明用光学ユニット等の実施例を示す。各実施例に使用する記号は下記の通りである。
Fno:Fナンバー
R:近軸曲率半径
D:軸上面間隔
n:レンズ材料のd線に対する屈折率
eff.dia.:レンズの有効半径
その他、記号Surf.Nは、面番号を意味し、記号INFは、無限大又は∞を意味し、記号P-Sは、出射側又は照射面側を意味し、記号L-Sは、光源側を意味し、記号STOPは、開口絞りSを意味する。
各実施例において、各面番号の後に「*」が記載されている面が非球面形状を有する面であり、非球面の形状は、面の頂点を原点とし、光軸方向にZ軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとして以下の「数1」で表す。
Figure 2017009778
ただし、
Ai:i次の非球面係数
R :曲率半径
K :円錐定数
〔実施例1〕
実施例1の照明用光学系の光学諸元値を以下に示す。
Fno:0.89
実施例1の照明用光学系のレンズ面等のデータを以下の表1に示す。表1のデータは、照明用光学系の第1の照射パターンにおけるデータである。照明用光学ユニットは、照明用光学系の第1レンズを出射側に0.5mm移動させ、第2の照射パターンとすることによって球面収差が発生するように球面収差の状態を変更している。
〔表1〕
Surf.N R(mm) D(mm) n eff.dia.(mm)
P-S INF INF
1*(STOP) 34.967 15.265 1.488 18.000
2* -25.805 6.679 18.027
3* -6.870 5.496 1.583 17.060
4* -32.463 3.855 16.093
5* 8.862 31.547 1.488 15.000
6* 152.846 3.767 11.123
L-S INF 0.000
実施例1の照明用光学系の非球面係数を以下の表2に示す。なお、これ以降(表のレンズデータを含む)において、10のべき乗数(例えば2.5×10−02)をE(例えば2.5E−02)を用いて表すものとする。
〔表2〕
第1面
R=34.967, K=-1.000, A4=-1.107E-06, A6=2.248E-08,
A8=-2.054E-10, A10=1.558E-13, A12=1.535E-16
第2面
R=-25.805, K=-3.146, A4=3.758E-05, A6=-1.728E-07,
A8=2.531E-10, A10=-5.047E-14, A12=0.000E+00
第3面
R=-6.870, K=-3.134, A4=4.186E-05, A6=-1.377E-07,
A8=2.970E-10, A10=-4.526E-14, A12=-9.809E-17
第4面
R=-32.463, K=0.757, A4=6.550E-05, A6=-1.484E-07,
A8=2.627E-10, A10=-3.937E-14, A12=0.000E+00
第5面
R=8.862, K=-3.052, A4=6.547E-05, A6=-2.002E-07,
A8=5.386E-10, A10=-4.704E-13, A12=0.000E+00
第6面
R=152.846, K=-50.000, A4=-4.577E-05, A6=2.194E-06,
A8=-2.203E-08, A10=7.925E-11, A12=0.000E+00
図3(A)は、実施例1の照明用光学ユニット10A等の断面図である。照明用光学ユニット10Aは、3枚のレンズで構成されており、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3とを有する。第1レンズL1側が出射側又は照射面側であり、第3レンズL3側が光源側となっている。第1レンズL1の出射側には、開口絞りSが設けられている。なお、符号Iは、アレイ光源20の表面を示す(以下の実施例も同様)。
図3(B)は、図3(A)に示す実施例1の照明用光学ユニット10Aの第1の照射パターンでの球面収差を示し、図3(C)は、照明用光学ユニット10Aの第2の照射パターンでの球面収差を示している。
(実施例2)
実施例2の照明用光学系の光学諸元値を以下に示す。
Fno:0.71
実施例2の照明用光学系のレンズ面等のデータを以下の表3に示す。表3のデータは、照明用光学系の第1の照射パターンにおけるデータである。照明用光学ユニットは、照明用光学系の第1レンズを出射側に0.9mm移動させ、第2の照射パターンとすることによって球面収差が発生するように球面収差の状態を変更している。
〔表3〕
Surf.N R(mm) D(mm) n eff.dia.(mm)
P-S INF INF
1* 31.636 16.998 1.488 27.778
2* -81.559 4.346 27.000
3* -48.799 7.886 1.579 25.101
4* 28.964 10.427 20.202
5(STOP) INF 1.000 19.725
6* 25.572 18.000 1.488 19.449
7* -52.093 3.743 18.322
8 17.186 11.000 1.593 12.500
9 32.471 9.070 10.871
L-S INF 0.000
実施例2の照明用光学系の非球面係数を以下の表4に示す。
〔表4〕
第1面
R=31.636, K=0.064, A4=-3.554E-06, A6=-4.782E-09,
A8=-4.346E-12, A10=1.223E-14, A12=-2.432E-17
第2面
R=-81.559, K=0.164, A4=1.440E-05, A6=-5.715E-09,
A8=-9.821E-12, A10=7.094E-15, A12=0.000E+00
第3面
R=-48.799, K=-0.488, A4=4.794E-05, A6=-9.911E-08,
A8=1.166E-10, A10=-6.988E-14, A12=2.577E-17
第4面
R=28.964, K=-6.329, A4=7.216E-05, A6=-1.817E-07,
A8=1.313E-10, A10=-9.965E-16, A12=0.000E+00
第6面
R=25.572, K=-0.847, A4=6.361E-06, A6=-2.243E-08,
A8=1.765E-10, A10=-4.232E-13, A12=0.000E+00
第7面
R=-52.093, K=1.000, A4=-1.278E-06, A6=1.305E-07,
A8=-4.482E-10, A10=3.915E-13, A12=0.000E+00
図4(A)は、実施例2の照明用光学ユニット10B等の断面図である。照明用光学ユニット10Bは、4枚のレンズで構成されており、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4とを有する。第1レンズL1側が出射側であり、第4レンズL4側が光源側となっている。第2レンズL2と第3レンズL3との間には、開口絞りSが設けられている。
図4(B)は、図4(A)に示す実施例1の照明用光学ユニット10Bの第1の照射パターンでの球面収差を示し、図4(C)は、照明用光学ユニット10Bの第2の照射パターンでの球面収差を示している。
(実施例3)
実施例3の照明用光学系の光学諸元値を以下に示す。
Fno:0.61
実施例3の照明用光学系のレンズ面等のデータを以下の表5に示す。表5のデータは、照明用光学系の第1の照射パターンにおけるデータである。照明用光学ユニットは、照明用光学系の第1及び第2レンズを出射側に0.9mm移動させ、第2の照射パターンとすることによって球面収差が発生するように球面収差の状態を変更している。
〔表5〕
Surf.N R(mm) D(mm) n eff.dia.(mm)
P-S INF INF
1* 44.587 10.000 1.488 31.090
2* 122.213 5.000 29.876
3* 70.760 10.022 1.488 28.426
4* -43.027 7.044 27.500
5* -31.190 9.000 1.579 23.900
6* 18.224 11.878 19.644
7(STOP) INF 1.000 19.725
8* 16.668 18.000 1.488 20.472
9* -75.871 6.878 19.735
10 16.002 11.000 1.593 13.000
11 51.812 7.281 11.127
L-S INF 0.000
実施例3の照明用光学系の非球面係数を以下の表6に示す。
〔表6〕
第1面
R=44.587, K=0.383, A4=-3.802E-07, A6=-2.536E-09,
A8=-4.277E-12, A10=1.600E-14, A12=-1.210E-17
第2面
R=122.213, K=-0.072, A4=5.038E-07, A6=2.945E-10,
A8=2.999E-12, A10=7.081E-16, A12=-4.051E-18
第3面
R=70.760, K=-25.319, A4=-5.731E-08, A6=-8.541E-10,
A8=-2.967E-12, A10=4.774E-17, A12=3.838E-18
第4面
R=-43.027, K=0.688, A4=1.484E-05, A6=-3.938E-09,
A8=-7.204E-12, A10=9.598E-15, A12=0.000E+00
第5面
R=-31.190, K=-1.542, A4=5.281E-05, A6=-9.912E-08,
A8=1.132E-10, A10=-7.542E-14, A12=2.121E-17
第6面
R=18.224, K=-4.989, A4=6.965E-05, A6=-1.733E-07,
A8=1.626E-10, A10=-7.564E-14, A12=0.000E+00
第8面
R=16.668, K=-2.016, A4=6.400E-06, A6=-2.780E-09,
A8=1.352E-10, A10=-3.126E-13, A12=0.000E+00
第9面
R=-75.871, K=4.433, A4=-1.099E-05, A6=1.557E-07,
A8=-4.375E-10, A10=3.566E-13, A12=0.000E+00
図5(A)は、実施例3の照明用光学ユニット10C等の断面図である。照明用光学ユニット10Cは、5枚のレンズで構成されており、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを有する。第1レンズL1側が出射側であり、第5レンズL5側が光源側となっている。第3レンズL3と第4レンズL4との間には、開口絞りSが設けられている。
図5(B)は、図5(A)に示す実施例3の照明用光学ユニット10Cの第1の照射パターンでの球面収差を示し、図5(C)は、照明用光学ユニット10Cの第2の照射パターンでの球面収差を示している。
(実施例4)
実施例4の照明用光学系の光学諸元値を以下に示す。
Fno:0.62
実施例4の照明用光学系のレンズ面等のデータを以下の表7に示す。表7のデータは、照明用光学系の第1の照射パターンにおけるデータである。照明用光学ユニットは、照明用光学系の第2レンズを出射側に2.0mm移動させ、第2の照射パターンとすることによって球面収差が発生するように球面収差の状態を変更している。
〔表7〕
Surf.N R(mm) D(mm) n eff.dia.(mm)
P-S INF INF
1* 3.095E+05 10.000 1.488 30.457
2* 38.458 19.366 29.549
3* 25.529 12.720 1.488 20.560
4* -26.128 8.062 20.000
5* -25.746 9.000 1.579 14.862
6* 13.274 6.520 14.582
7(STOP) INF 1.000 14.301
8* 14.327 15.629 1.488 15.931
9* -23.186 0.500 15.576
10 13.829 9.922 1.593 11.500
11 56.926 7.281 9.649
L-S INF 0.000
実施例4の照明用光学系の非球面係数を以下の表8に示す。
〔表8〕
第1面
R=3.095E+05, K=1.000, A4=6.389E-07, A6=5.531E-09,
A8=-9.380E-12, A10=7.586E-15, A12=-4.979E-18
第2面
R=38.458, K=-16.977, A4=3.029E-06, A6=-3.382E-09,
A8=-5.747E-12, A10=-8.630E-15, A12=9.787E-18
第3面
R=25.529, K=-5.337, A4=-8.084E-06, A6=-1.293E-08,
A8=-4.444E-12, A10=7.810E-15, A12=-7.858E-17
第4面
R=-26.128, K=-0.141, A4=2.556E-05, A6=3.181E-14,
A8=-3.484E-11, A10=5.499E-14, A12=0.000E+00
第5面
R=-25.746, K=-2.666, A4=5.459E-05, A6=-1.369E-07,
A8=-1.179E-13, A10=-1.916E-13, A12=-1.396E-15
第6面
R=13.274, K=-5.979, A4=5.591E-05, A6=-2.407E-07,
A8=-2.770E-11, A10=2.469E-13, A12=0.000E+00
第8面
R=14.327, K=-3.943, A4=8.264E-06, A6=-1.494E-08,
A8=1.349E-10, A10=-3.662E-13, A12=0.000E+00
第9面
R=-23.186, K=0.003, A4=5.477E-06, A6=1.384E-07,
A8=-4.422E-10, A10=7.794E-13, A12=0.000E+00
図6(A)は、実施例4の照明用光学ユニット10D等の断面図である。照明用光学ユニット10Dは、5枚のレンズで構成されており、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを有する。第1レンズL1側が出射側であり、第5レンズL5側が光源側となっている。第3レンズL3と第4レンズL4との間には、開口絞りSが設けられている。
図6(B)は、図6(A)に示す実施例4の照明用光学ユニット10Dの第1の照射パターンでの球面収差を示し、図6(C)は、照明用光学ユニット10Dの第2の照射パターンでの球面収差を示している。
図7(A)及び7(B)は、実施例1のシミュレーション結果を示す。本シミュレーションにおいて、照明用光学ユニットは、照明用光学系が図3(A)に示すような3枚のレンズで構成されており、Fナンバーが0.89のものを想定している。個々の光源は一辺が0.4mmの正方形であり、光源の隙間の距離は0.01mmとした。照明用光学ユニットは、第1及び第2の照射パターンの2種類の照射強度分布を選択することができる構成となっている。第1の照射パターンは、照射領域の鮮明さを確保したパターンであり、第2の照射パターンは、照射強度分布の均一性を確保したパターンである。
図7(A)は、左側が第1の照射パターンにおける点光源の点灯例であり、右側が複数光源における点灯例となっている。複数光源では、光源を5個直線状に並べている。光源と光学手段とをベストフォーカスの位置に配置することにより、輪郭のはっきりとした照射強度分布を達成している。複数光源では、暗線TLがはっきりと見える状態となっている。
図7(B)は、第2の照射パターンにおける複数光源における点灯例である。第2の照射パターンでは、最も出射光側のレンズ(具体的には、第1レンズ)の位置を変更し球面収差を大きく出す構成を取っている。強度と鮮明さを確保するベストフォーカス位置である第1の照射パターンに対し、強度と照射強度分布の均一性(暗線の見えにくさ)とのバランスが取れている位置(すなわち準フォーカス範囲)は最適位置BP±0.150mmであり、位置ずれの許容範囲が広く、位置決め誤差や外乱等に強い構成となっているといえる。
図8(A)及び8(B)は、比較例1のシミュレーション結果を示す。本シミュレーションの条件は実施例1と同様である。図8(A)は、左側が第1の照射パターンにおける点光源の点灯例であり、右側が複数光源における点灯例となっている。実施例1と同様に、光源と光学手段とをベストフォーカスの位置に配置することにより、輪郭のはっきりとした照射強度分布を達成している。複数光源では、暗線TLがはっきりと見える状態となっている。図8(B)は、球面収差が出ていない設計であり、デフォーカスを使用して照射強度分布の均一性を確保している。デフォーカスを使用する場合、光源と光学手段との相対位置をベストフォーカスの位置から外す手法が取られており、この場合、強度と暗線のバランスが取れている位置(すなわち準フォーカス範囲)は最適位置BP±0.075mmであり、位置ずれの許容範囲が狭く、位置決め誤差や外乱等に弱い状態となっている。
以下、表9に実施例1と比較例1とをまとめた結果を示す。図7(A)又は図8(A)の左側の照射強度分布において、左側から来たときの最初のピークから右側から来たときの最初のピークまでの平均を強度比1として、強度の評価については、平均強度が0.9以上である場合に良好とし、符号「○」とした。また、暗線の評価については、隣接する光源における照射領域の境界周辺に0.125以上の強度変化を有さない場合に良好とし、符号「○」とした。表9中の網掛け部分が、照射強度分布の均一さ及び暗線のバランスが丁度よい準フォーカス範囲となっている。
〔表9〕
Figure 2017009778
表9からわかるように、実施例1において、準フォーカス範囲が広くなっているのがわかる。なお、実施例2〜4においても、図7(A)及び7(B)とほぼ同様の図となるため、割愛する。
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態の照明用光学ユニット及び照明装置について説明する。第2実施形態の照明用光学ユニット等は、第1実施形態の照明用光学ユニット等を部分的に変更したものであり、特に説明しない事項は、第1実施形態の照明用光学ユニット等と同様である。
図9に示すように、本実施形態の照明装置100において、複数の光源22は、2次元的に配列されている。この場合、球面収差を発生させた照射パターンにおいては、暗線の発生を防ぎつつ明暗の境界を明確にした文字や形を模ることができる。
以上、実施形態に係る照明用光学ユニット及び照明装置について説明したが、本発明に係る照明用光学ユニット等は、上記例示のものには限られない。例えば、上記実施形態において、照明用光学ユニット10の出射側に折り曲げミラーを設けてもよい。
また、上記実施形態において、収差変更機構14は、レンズの一部を光軸OA方向に移動させたが、レンズの一部を光学系から外す、又は光学系に少なくとも1枚のレンズを追加する、又は構成する一部レンズを別のレンズに入れ替えて球面収差の状態を変更することもできる。
また、上記実施形態において、照射パターンを2つとしたが、3つ以上としてもよい。また、
また、上記実施形態において、照射パターンとして、球面収差の状態の異なる照明状態としたが、広義の照射パターンとして、点灯領域を変更する照明状態を含めてもよい。
10,10A,10B,10C,10D…照明用光学ユニット、 11…照明用光学系、 12…鏡胴、 13a,13b…レンズ開口部、 20…アレイ光源、 21…基板、 22…光源、 30…制御装置、 100…照明装置、 AR1…中心領域、 AR2…中間領域、 AR3…周辺領域、 Ln,L1,L2,L3,L4,L5…レンズ、 GA…隙間、 OA…光軸、 SB…被照射物体、 α,β,γ…集光位置

Claims (18)

  1. 光軸方向に配列された複数のレンズを有し、複数の光源からの入射光を前記複数のレンズを通して照明用の出射光に変換する照明用光学系と、
    前記照明用光学系を保持する鏡胴と、
    前記鏡胴に付随して設けられ、前記複数のレンズの一部を移動させることによって、球面収差の状態が異なる複数の照射パターンのいずれかに選択的に切り替え可能な収差変更機構と、
    を備えることを特徴とする照明用光学ユニット。
  2. 前記照明用光学系は、少なくとも2つの照射パターンでの照明を可能にし、
    前記出射側から前記光源側に向かって前記照明用光学系に平行光を通したときに、レンズ開口部の中心領域、中間領域、及び周辺領域を通過するそれぞれの光の集光位置をα(mm)、β(mm)、及びγ(mm)として、
    前記レンズ開口部の前記中心領域とは前記光軸から径方向に10%以下の領域であり、前記中間領域とは前記光軸から径方向に45%以上55%以下までの領域であり、前記周辺領域とは前記光軸から径方向の90%以上の領域であり、
    第1の照射パターンを選択した場合に、以下の条件式
    |γ−α|>0.1 … (1)
    を満足し、
    第2の照射パターンを選択した場合に、以下の条件式
    |γ−α|>0.5 … (2)
    |((α+γ)/2)−β|<|(γ−α)/3| … (3)
    を満足することを特徴とする請求項1に記載の照明用光学ユニット。
  3. 前記収差変更機構は、前記照明用光学系のうち少なくとも1枚のレンズを光軸方向に動かすことを特徴とする請求項1及び2のいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  4. 前記複数のレンズのうち最も出射光側のレンズの位置と、前記複数の光源との位置を固定し、前記最も出射光側のレンズと前記複数の光源との間にある少なくとも1枚のレンズを前記収差変更機構により移動させることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  5. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
    1.5>|γ−α|/U>0.2 … (4)
    ただし、
    α(mm):レンズ開口部の中心領域を通過する光の集光位置
    γ(mm):前記レンズ開口部の周辺領域を通過する光の集光位置
    U(mm):前記収差変更機構によるレンズ移動量。
  6. 前記照明用光学系は、照明中に前記照射パターンを切り替えることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の照明光学ユニット。
  7. 前記照明用光学系は、3枚のレンズで構成されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  8. 前記照明用光学系は、4枚のレンズで構成されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  9. 前記照明用光学系は、5枚のレンズで構成されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  10. 前記照明用光学系のうち少なくとも1枚のレンズは負の屈折力を有し、最も出射側のレンズと最も光源側のレンズはそれぞれ正の屈折力を有することを特徴とする請求項7から9までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  11. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から10までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
    Fno<1.0 … (5)
    ただし、
    Fno:前記照明用光学系のFナンバー
  12. 前記照明用光学系は、少なくとも1枚のプラスチック非球面レンズを含むことを特徴とする請求項1から11までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  13. 室内照明装置、建築物照明装置、車載用照明装置、拡大投影装置を含む映像装置、及び顕微鏡照明装置のいずれかに用いられることを特徴とする請求項1から12までのいずれか一項に記載の照明用光学ユニット。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の照明用光学ユニットと、
    前記複数の光源を有するアレイ光源と、
    を備えることを特徴とする照明装置。
  15. 前記照明用光学系は、直線状に配列された前記複数の光源の像を投影することを特徴とする請求項14に記載の照明装置。
  16. 前記照明用光学系は、2次元的に配列された前記複数の光源の像を投影することを特徴とする請求項14に記載の照明装置。
  17. 前記光源はLEDチップであることを特徴とする請求項14から16までのいずれか一項に記載の照明装置。
  18. 前記複数の光源は所定平面に略沿って配列され、隣接する光源の隙間は50μm以下であることを特徴とする請求項14から17までのいずれか一項に記載の照明装置。
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