JP2017007455A - インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】インホイールモータ駆動装置を車体に取り付けるために、従来よりも改良されたサスペンション構造を提供する。【解決手段】インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造(31)は、一方端部がインホイールモータ駆動装置(11)と連結し、中央領域が車体側メンバ(101)に回動可能に支持されて、一方端部および残る他方端部が上下方向に揺動可能なアーム部材(32)と、アーム部材の他方端部および車体側メンバに架設されてアーム部材の揺動を減衰するダンパ(41)とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置のサスペンション装置に関する。
インホイールモータは、電気駆動されることから環境に負荷を与えることが少ないばかりでなく、自動車の車輪内に設置されて当該車輪を駆動することから、従来のエンジン自動車と比較して広い車室スペースを確保することができ、有利である。従来、インホイールモータをハイマウント型ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置で車体側に取り付ける技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
村田智史、「139-20105175 インホイールモータ駆動ユニットの開発」、学術講演会前刷集 No.28-10、社団法人自動車技術会、2010年
非特許文献1のようにインホイールモータを車輪のロードホイール内空領域に設けてサスペンション装置で懸架する場合、以下に説明するような問題を生ずる。つまり車体の側部には、車輪、インホイールモータ駆動装置、およびサスペンション装置の油圧ダンパを収容に形成されるホイールハウジングが形成されるところ、これらをすべて収容するためには電動車両のホイールハウジングをエンジン自動車のホイールハウジングよりも大きくなければならない。そうすると従来からあるエンジン自動車用の車体を利用することができずコスト増加の原因となる。
また非特許文献1のサスペンション装置では、車輪およびインホイールモータの隣にサスペンション装置の油圧ダンパを配置するため、油圧ダンパが車輪およびインホイールモータと干渉しないよう、油圧ダンパと車輪およびインホイールモータとの間に車幅方向のクリアランスを確保しなければならない。そうすると上述したホイールハウジングが大きくなるという問題が顕在化し、コスト増加の原因が解消されない。
さらに非特許文献1のサスペンション装置は前輪と考えられるところ、非特許文献1の油圧ダンパは上下方向に延び、油圧ダンパ下端がロアアームの車幅方向外側端部と連結し、油圧ダンパ上端がアッパアームよりも上方まで延びている。そうするとロアアームの車幅方向内側端から外側端までの距離に対する、ロアアームの車幅方向内側端から油圧ダンパ下端までの距離比(レバー比)は略1となり、油圧ダンパのストローク範囲が大きくなる。この場合、油圧ダンパの全長を長く確保しなければならず、油圧ダンパ上端が車体の運転席に着座する運転者の視線高さ位置に接近し、ひいては運転者の前方視野を狭くするという問題がある。
あるいは油圧ダンパを特許文献1の技術よりも車幅方向内側に配置して、レバー比を小さくし、油圧ダンパのストローク範囲を小さくすることも考えられる。この場合、ホイールハウジングを車幅方向に益々大きくしなければならない。そうすると上述したホイールハウジングが大きくなるという問題が顕在化し、コスト増加の原因が解消されない。
本発明は、上述の実情に鑑み、ホイールハウジングを小さくすることができるインホイールモータ駆動装置用のサスペンション装置を提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるインホイールモータ駆動装置用サスペンション装置は、一方端部がインホイールモータ駆動装置と連結し中央領域が車体側メンバに回動可能に支持されて一方端部および他方端部が上下方向に揺動可能なアーム部材と、アーム部材の他方端部および車体側メンバに架設されアーム部材の揺動を減衰するダンパとを備える。
かかる本発明によれば、ダンパをインホイールモータ駆動装置から遠い箇所に配置することができ、車輪が上方へバウンドしたり下方へリバウンドしてもダンパとインホイールモータ駆動装置の干渉を防止することができる。また車輪が転舵してもダンパと車輪の干渉を防止することができる。またアーム部材の一方端部から回動支持箇所までの距離に対する、アーム部材の回動支持箇所から他方端部までの距離比(レバー比)を1よりも小さくし得て、ダンパのストローク範囲を小さくすることができる。したがってダンパ上端を運転者の視線高さ位置よりも遥かに低くして、運転者の前方視野を広く確保することができる。なお車体側メンバとは、説明される部材からみて車体に取り付けられた部材をいい、車体のみならず、車体および説明される部材間に介在する部品、例えば車体に附設されるフレームやブラケット、を含む。なお、ここでいうアーム部材の一方端および他方端とは、細長く延びるアーム部材の長手方向における一方端および他方端をいう。具体的には、インホイールモータ駆動装置と連結する近い方の端部をアーム部材の一方端部とし、インホイールモータ駆動装置から離れた方の端部をアーム部材の他方端部とする。
本発明の一実施形態としてアーム部材の一方端部は、車体に設けられるホイールハウジングの内部空間に配置され、アーム部材の他方端部はホイールハウジングの外方に配置される。かかる実施形態によれば、ホイールハウジングにダンパを収容する必要がなくなる。したがって従来からあるエンジン自動車用の車体を利用し得て、従来のインホイールモータ搭載車両と比較してコスト上有利となる。また車体の車内空間にダンパを配置することができ、エンジンを搭載しない車体の車内空間を有効に利用することができる。
アーム部材およびダンパの延在方向および高さ位置は特に限定されないが本発明の一実施形態として、アーム部材はインホイールモータ駆動装置の上部と連結して車幅方向に延びるアッパアームであり、ダンパは車体の車内空間に配置されてアーム部材の他方端部から下方へ延びる。かかる実施形態によれば、ダンパの高さ位置をアーム部材よりも低くして、運転者の前方視野を広く確保することができる。本発明の他の実施形態として、上述した一実施形態と上下対称であってもよい。具体的にはアーム部材はインホイールモータ駆動装置の下部と連結して車幅方向に延び、ダンパは車体の車内空間に配置されてアーム部材の他方端部から上方へ延びる。
アーム部材は1本のリンクであってもよいし、あるいはV字状アームやY字状アームのように複数本の腕部を含んでもよい。本発明の好ましい実施形態としてアッパアームは車両前側に配置される第1のアーム部材と、車両後側に配置される第2のアーム部材を含む。そして第1のアーム部材の一方端領域および第2のアーム部材の一方端領域が一体結合するとともに、第1のアーム部材の他方端部および第2のアーム部材の他方端部が共通するダンパと結合する。かかる実施形態によれば、アッパアームの車幅方向外側をV字状あるいはY字状に形成して、アッパアームのアーム剛性を大きくすることができる。本発明の他の実施形態として、アーム部材は別々に設けられる複数本のリンクであってもよい。
本発明のさらに好ましい実施形態としてアッパアームよりも下方に配置されるサスペンション部材であって、一方端がインホイールモータ駆動装置の下部と連結し、他方端が車体側メンバと回動可能に連結し、上下方向に揺動可能なロアアームをさらに備えてもよい。かかる実施形態によれば、ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置のようにインホイールモータ駆動装置を車体側メンバに取り付けることができる。他の実施形態として本発明のサスペンション構造は、他の方式のサスペンション装置の一部であってもよい。
本発明の他の実施形態としてアーム部材は、一方端部から中央領域まで車幅方向に延び、中央領域が屈曲形成されて中央領域から他方端部まで上下方向に延び、ダンパは車体の車内空間に配置されて、アーム部材の他方端部から車幅方向へ延びる。かかる実施形態によればダンパをさらに下方に配置することができ、運転者の視界を一層広く確保できる。
本発明の好ましい実施形態としてアーム部材は、一方端部がインホイールモータ駆動装置の下部と連結するロアアームである。またロアアームよりも上方に配置されるサスペンション部材であって、一方端がインホイールモータ駆動装置の上部と連結し、他方端が車体側メンバと回動可能に連結し、上下方向に揺動可能なアッパアームをさらに備えてもよい。かかる実施形態によれば、ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置のようにインホイールモータ駆動装置を車体側メンバに取り付けることができる。
インホイールモータ駆動装置は転舵しなくてもよいが、本発明の好ましい実施形態としてアッパアームの一方端は第1のボールジョイントを介してインホイールモータ駆動装置の上部と連結し、ロアアームの一方端は第2のボールジョイントを介してインホイールモータ駆動装置の下部と連結する。かかる実施形態によれば、インホイールモータ駆動装置を転舵可能にアーム部材に取り付けることができる。
インホイールモータ駆動装置の形状は特に限定されないが、本発明の好ましい実施形態としてインホイールモータ駆動装置は、該インホイールモータ駆動装置と連結する車輪を迂回して上方へ延びる腕部を含み、アッパアームの一方端は腕部の上端部と連結する。かかる実施形態によれば、本発明のサスペンション構造をハイマウント型ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置に適用することができる。
このように本発明のサスペンション装置によれば、従来と比較してダンパの高さ位置を下げて運転者の視界を広くすることができる。また従来と比較してダンパをインホイールモータ駆動装置から遠くすることができる。したがってダンパをホイールハウジングに収容する必要がなくなり、ホイールハウジングを小さくすることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になるインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造を示す正面図であり、車両前後方向にみた状態を表す。なお理解を容易にするため、図1中の車輪を断面にして表す。図2は、同実施形態を示す平面図である。
まずインホイールモータ駆動装置11から説明すると、インホイールモータ駆動装置11はモータ部、減速部と、および車輪ハブ軸受部を備え、これらの外郭は円筒形状のケーシング12をなす。ケーシング12の車幅方向外側端面から車輪ハブ軸受部の車輪ハブ13が突出する。
インホイールモータ駆動装置11のモータ部はケーシング12内に回転電機を内蔵し、車輪ハブ13を駆動し、あるいは車輪ハブ13の回転を利用して電力回生を行う。インホイールモータ駆動装置11の減速部はケーシング12内に例えばサイクロイド減速機などの減速機構を内蔵し、モータ部の回転を減速して車輪ハブ13に伝達する。車輪ハブ13には車輪21が取付固定される。
車輪21は金属製のロードホイール22と、ロードホイール22の外周に取付固定されるゴムタイヤ23を含む。インホイールモータ駆動装置11の車幅方向外側領域はロードホイール22の内空領域に収容され、インホイールモータ駆動装置11の車幅方向内側領域はロードホイール22の内空領域から突出する。ケーシング12の上部には腕部14が一体形成される。腕部14の根元は、インホイールモータ駆動装置11の車幅方向内側領域に配置される。腕部14は車輪21を越えて上方へ延びる。さらに腕部14は折れ曲がって車幅方向外側に延びる。このように腕部14はゴムタイヤ23を迂回して車輪21よりも上方に達する。
次にインホイールモータ駆動装置11を車体101に取り付けるサスペンション装置につき説明する。
図1および図2に示すサスペンション装置31は、ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置の一種であり、インホイールモータ駆動装置11の上部と連結するアッパアーム32と、インホイールモータ駆動装置11の下部と連結するロアアーム33と、インホイールモータ駆動装置11のバウンド量およびリバウンド量を減衰させるダンパ41とを備える。
アッパアーム32は図2に示すように2本のアーム部材32f,32rを含む。アーム部材32fは車両前側に配置され、アーム部材32rは車両後側に配置され、これらは車幅方向に延びる。アーム部材32fの一方端とアーム部材32rの一方端は一体に結合する。かかるアッパアーム32の車幅方向外側端は第1のボールジョイント35を介して腕部14の先端と連結する。図2に示す実施形態ではアッパアーム32の一方端領域はV字状にされる。この他にも図示はしなかったが、アーム部材32fの一方端領域に含まれる一箇所が、アーム部材32rの一方端領域に含まれる一箇所と一体に結合していればよく、アッパアーム32の一方端領域はY字状であってもよい。補足説明すると、アッパアーム32およびロアアーム33は車幅方向に延び、車幅方向外側端部が一方端部となり、車幅方向内側端部が他方端部となる。
前側のアーム部材32fは、車幅方向中央領域に含まれる一箇所で車体101に回動可能に連結される。図3はアーム部材32fと車体101との連結箇所を取り出して示す断面図であり、図2中のIII−IIIにおける断面を矢印方向にみた状態を表す。車体101には一対のブラケット103が形成される。一対のブラケット103間には筒状部材38が配置される。一対のブラケット103および1個の筒状部材38を支持軸104が貫通して車両前後方向に延びる。筒状部材38はアーム部材32fの車幅方向中央部に一体形成される。筒状部材38と支持軸104の環状空間には円筒形状のゴムブッシュ39が介在する。
図2に示すように、前側のアーム部材32fは、ホイールハウジング102を区画する壁に形成される壁孔102hを貫通し、ブラケット103によって枢支される支持点からさらに車幅方向内側へ延びる。かかるアーム部材32fの他方端は、車体101の車内空間Sに配置され、ダンパ41の上端41pと連結する。後側のアーム部材32rも同様に構成される。アーム部材32fの他方端とアーム部材32rの他方端との間には上端41pが介在し、これらを1本の回動軸43が貫通する。これによりアッパアーム32の車幅方向内側端はダンパ41と回動可能に連結する。
ダンパ41は車内空間Sに配置され、コイルスプリング42を貫通する。コイルスプリング42の上端は上端41pに取り付けられ、コイルスプリング42の下端はダンパ41の下端41qに取り付けられる。ダンパ41およびコイルスプリング42はサスペンション装置のショックアブソーバ40を構成する。
ダンパ41の下端41qは回動軸44を介して車体101と連結する。回動軸43,44は車両前後方向に延びる。このためダンパ41およびコイルスプリング42は、アッパアーム32が上下に揺動することによって伸縮するとともに、回動軸43,44を中心として若干回動する。なおダンパ41およびコイルスプリング42は、アッパアーム32の高さ位置とロアアーム33の高さ位置との間に配置される。
ロアアーム33は、アッパアーム32よりも下方にされ、図1に示すようにロアアーム33の一方端が第2のボールジョイント36を介してインホイールモータ駆動装置11の下部と連結する。ロアアーム33は一方端から車幅方向内側へ延びるとともに下方へ膨らむよう湾曲する。これによりロアアーム33はインホイールモータ駆動装置11の下部よりもさらに下方に位置し、インホイールモータ駆動装置11の下部との間にクリアランスCを確保する。
ロアアーム33は車幅方向に延びるが、図2に示すように途中で前側および後側に分岐してさらに車幅方向内側へ延びるY字状に形成される。分岐する前側腕部33fの他方端は車体101と回動可能に連結する。分岐する後側腕部33rの他方端も車体101と回動可能に連結する。これらの連結箇所の構造は、前述した図3と同様である。ボールジョイント35,36を結ぶ仮想直線は前述したキングピンKを構成する。車輪21は転舵輪であり、キングピンKを中心として転舵する。車輪21の転舵角が0°のとき、インホイールモータ駆動装置11の軸線Oは図1に示すように車幅方向に延びる。
ロアアーム33、アッパアーム32の一方端領域、インホイールモータ駆動装置11、および車輪21は、車体101の車幅方向両側に設けられるホイールハウジング102に収容される。これに対しアッパアーム32の他方端領域、ダンパ41、およびコイルスプリング42はホイールハウジング102の外方、具体的には車内空間S、に収容される。
次に本実施形態の機能を説明する。
車輪21がインホイールモータ駆動装置11とともに上下にバウンドおよびリバウンドすると、アッパアーム32およびロアアーム33は図1に円弧矢印で示すように支持軸104を中心として上下に揺動する。そしてアッパアーム32の一方端と他方端がシーソーのように上下に交互に移動する。インホイールモータ駆動装置11が上方へバウンドする際、アッパアーム32の一方端はボールジョイント35とともに上方へ移動し、アッパアーム32の他方端は回動軸43とともに下方へ移動し、ダンパ41は短縮する。反対にインホイールモータ駆動装置11が下方へリバウンドする際、アッパアーム32の一方端はボールジョイント35とともに下方へ移動し、アッパアーム32の他方端は回動軸43とともに上方へ移動し、ダンパ41は伸長する。このようにダンパ41が繰り返し伸縮することによって、ダンパ41はアッパアーム32の揺動を減衰させる。これによりアッパアーム32およびロアアーム33の揺動は少なくされ、インホイールモータ駆動装置11の高さ位置が安定に向かう。
ところで本実施形態によれば、アッパアーム32の車幅方向外側の一方端部がインホイールモータ駆動装置11と連結し、アッパアーム32の車幅方向中央領域が車体101に回動可能に支持されて、アッパアーム32の一方端部が上下方向に揺動する。ダンパ41はアッパアーム32の車幅方向内側の他方端部および車体101に架設され、アッパアーム32の揺動を減衰する。これによりダンパ41をインホイールモータ駆動装置11から離隔して配置することができ、バウンド、リバウンド、および転舵の際にダンパ41とインホイールモータ駆動装置11の干渉を確実に防止することができる。
また本実施形態のアッパアーム32は、ホイールハウジング102の内部空間から車体101の車内空間Sまで延び、アッパアーム32の一方端部は車体101に設けられるホイールハウジング102の内部空間に配置され、アッパアーム32の他方端部はホイールハウジング102の外方に配置される。これにより、ホイールハウジング102はダンパ41を収容する必要がなくなり、ホイールハウジング102の寸法を小さくすることができる。
また本実施形態のアッパアーム32は、インホイールモータ駆動装置11の上部と連結して車幅方向に延びるアーム部材である。またダンパ41は、ホイールハウジング102外方で、車体101の車内空間Sに配置されて、アッパアーム32の他方端部から下方へ延びる。これにより従来エンジンが搭載されていた車体の車内空間Sを活用することができる。
また本実施形態のアッパアーム32は、車両前側に配置される第1のアーム部材32fと、車両後側に配置される第2のアーム部材32rを含み、第1のアーム部材32fの一方端および第2のアーム部材32rの一方端が一体結合するとともに、第1のアーム部材32fの他方端および第2のアーム部材32rの他方端が共通するダンパ41と結合する。これによりアッパアーム32の車幅方向外側をV字状あるいはY字状に形成して、アッパアーム32のアーム剛性を大きくすることができる。
また本実施形態のサスペンション構造は、アッパアーム32よりも下方に配置される別なアーム部材であって、一方端がインホイールモータ駆動装置の下部と連結し、他方端が車体側メンバと回動可能に連結し、上下方向に揺動可能なロアアームをさらに備える。これによりダブルウィッシュボーン式サスペンション装置のようにインホイールモータ駆動装置11を車体101に取り付けることができる。
次に本発明の他の実施形態を説明する。図4は本発明の他の実施形態になるインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造を示す正面図であり、車両前後方向にみた状態を表す。なお理解を容易にするため、図4中の車輪を断面にして表す。図5は、他の実施形態を示す平面図である。他の実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。他の実施形態では、ロアアーム33の他方端を車体101の車内空間Sまで延設し、ダンパ41と連結する。またダンパ41を車幅方向に延在する姿勢で車内空間Sに配置する。アッパアーム32は、ホイールハウジング102の内部空間に収容され、アッパアーム32の他方端はホイールハウジング102内で車体101のブラケット103と連結する。
ロアアーム33は、車幅方向一方端でインホイールモータ駆動装置11と連結し、この一方端から中央部まで車幅方向に延び、この中央部から上方へ延びる。つまりロアアーム33は中央部で屈曲形成されており車両前後方向にみてV字状に形成される。ロアアーム33の屈曲部分には筒状部材38が形成される。ロアアーム33の車幅方向外側はホイールハウジング102に収容され、ロアアーム33の車幅方向内側は車内空間Sに収容される。
ロアアーム33は車幅方向に延びるところ、図5に示すようにロアアーム33の一方端領域は前側腕部33fおよび後側腕部33rからなるV字状に形成される。前側腕部33fの一方端および後側腕部33rの一方端は一体結合し、ボールジョイント36が設けられる。前側腕部33fの車幅方向中央部は車体101と回動可能に連結する。前側腕部33fはホイールハウジング102の内部空間から車体101の車内空間Sまで延び、前側腕部33fの他方端は車内空間Sでダンパ41と連結する。後側腕部33rも同様である。あるいは図示はしなかったが後側腕部33rはホイールハウジング102の内部空間のみに配置され、車内空間Sに配置されず、ダンパ41と非連結であってもよい。いずれにせよ後側腕部33rは車体101に回動可能に連結される。これらの腕部と車体との連結箇所の構造は、前述した図3と同様である。
ダンパ41は車幅方向に延び、ダンパ41の車幅方向外側端41rは、回動軸43を介して、ロアアーム33の車幅方向内側の他方端と回動可能に連結する。ダンパ41の車幅方向内側端41sは、回動軸44を介して、車体101と回動可能に連結する。
ロアアーム33の一方端がボールジョイント36とともに上下に揺動すると、ロアアーム33の他方端は回動軸43とともに車幅方向に揺動する。このためダンパ41およびコイルスプリング42は車幅方向に伸縮するとともに、回動軸43,44を中心として若干回動する。なおダンパ41およびコイルスプリング42は、インホイールモータ駆動装置11の高さ位置と略同じ高さ位置に配置される。
図4および図5に示す他の実施形態によれば、ダンパ41およびコイルスプリング42を、図1および図2に示す実施形態よりもさらに下方に配置することができる。これにより運転者の前方視野を益々広く確保することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明になるインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造は、電気自動車およびハイブリッド車両において有利に利用される。
11 インホイールモータ駆動装置、 12 ケーシング、
13 車輪ハブ、 14 腕部、 21 車輪、
22 ロードホイール、 23 ゴムタイヤ、
31 サスペンション装置、 32 アッパアーム、
33 ロアアーム、 35 第1のボールジョイント、
36 第2のボールジョイント、 38 筒状部材、
39 ゴムブッシュ、 40 ショックアブソーバ、
41 ダンパ、 42 コイルスプリング、 43,44 回動軸、
101 車体、 102 ホイールハウジング、 102h 壁孔、
103 ブラケット、 104 支持軸、 C クリアランス、
K キングピン、 O 軸線、 S 車内空間。
13 車輪ハブ、 14 腕部、 21 車輪、
22 ロードホイール、 23 ゴムタイヤ、
31 サスペンション装置、 32 アッパアーム、
33 ロアアーム、 35 第1のボールジョイント、
36 第2のボールジョイント、 38 筒状部材、
39 ゴムブッシュ、 40 ショックアブソーバ、
41 ダンパ、 42 コイルスプリング、 43,44 回動軸、
101 車体、 102 ホイールハウジング、 102h 壁孔、
103 ブラケット、 104 支持軸、 C クリアランス、
K キングピン、 O 軸線、 S 車内空間。
Claims (9)
- 一方端部がインホイールモータ駆動装置と連結し、中央領域が車体側メンバに回動可能に支持されて、前記一方端部および残る他方端部が上下方向に揺動可能なアーム部材と、
前記アーム部材の前記他方端部および車体側メンバに架設され、前記アーム部材の揺動を減衰するダンパとを備える、インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記アーム部材の一方端部は、車体に設けられるホイールハウジングの内部空間に配置され、
前記アーム部材の他方端部は、前記ホイールハウジングの外方に配置される、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記アーム部材は、前記インホイールモータ駆動装置の上部と連結して車幅方向に延びるアッパアームであり、
前記ダンパは、前記車体の車内空間に配置されて、前記アーム部材の前記他方端部から下方へ延びる、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記アッパアームは車両前側に配置される第1のアーム部材と、車両後側に配置される第2のアーム部材を含み、
前記第1のアーム部材の一方端領域および前記第2のアーム部材の一方端領域が一体結合するとともに、前記第1のアーム部材の前記他方端部および前記第2のアーム部材の前記他方端部が共通する前記ダンパと結合する、請求項3に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記アッパアームよりも下方に配置されるサスペンション部材であって、一方端が前記インホイールモータ駆動装置の下部と連結し、他方端が車体側メンバと回動可能に連結し、上下方向に揺動可能なロアアームをさらに備える、請求項4に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。
- 前記アーム部材は、前記一方端部から前記中央領域まで車幅方向に延び、前記中央領域が屈曲形成されて前記中央領域から前記他方端部まで上下方向に延び、
前記ダンパは、前記車体の車内空間に配置されて、前記アーム部材の前記他方端部から車幅方向へ延びる、請求項2に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記アーム部材は、前記一方端部が前記インホイールモータ駆動装置の下部と連結するロアアームであり、
前記ロアアームよりも上方に配置されるサスペンション部材であって、一方端が前記インホイールモータ駆動装置の上部と連結し、他方端が車体側メンバと回動可能に連結し、上下方向に揺動可能なアッパアームをさらに備える、請求項6に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記アッパアームの一方端は第1のボールジョイントを介して前記インホイールモータ駆動装置の上部と連結し、
前記ロアアームの一方端は第2のボールジョイントを介して前記インホイールモータ駆動装置の下部と連結する、請求項5または7に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記インホイールモータ駆動装置は、該インホイールモータ駆動装置と連結する車輪を迂回して上方へ延びる腕部を含み、
前記アッパアームの前記一方端は前記腕部の上端部と連結する、請求項8に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。
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