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JP2017005509A - 固体撮像素子、撮像装置、および測距装置 - Google Patents

固体撮像素子、撮像装置、および測距装置 Download PDF

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JP2017005509A
JP2017005509A JP2015117690A JP2015117690A JP2017005509A JP 2017005509 A JP2017005509 A JP 2017005509A JP 2015117690 A JP2015117690 A JP 2015117690A JP 2015117690 A JP2015117690 A JP 2015117690A JP 2017005509 A JP2017005509 A JP 2017005509A
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愛彦 沼田
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愛彦 沼田
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Abstract

【課題】使用するレンズやそのズームやフォーカスの状態によらずに高品質な画像を取得できる固体撮像素子を提供する。
【解決手段】固体撮像素子の中心を通り、固体撮像素子の画素が配列された面内方向である第一の方向Xに垂直な第二の方向Yに延びる第一の直線からの距離が、所定の距離以上の固体撮像素子の周辺領域において、第一のマイクロレンズ111aを有する第一の画素110aと、第二のマイクロレンズ121aを有し、第一の直線からの距離が第一の画素と等しい第二の画素120aを有する。第二のマイクロレンズの第一の方向に沿った偏心量125aは、第一の直線に向かう方向を正として正であり、第一のマイクロレンズは、第一の方向に沿った偏心量115aがゼロ又は正であり、第二のマイクロレンズの第一の方向に沿った偏心量よりも小さい。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体撮像素子に関し、特にデジタルカメラやビデオカメラなどにおいて用いられる固体撮像素子に関する。
近年、デジタルカメラの小型化の観点から、バックフォーカスの短いカメラレンズに対応可能な固体撮像素子が求められている。また、デジタルカメラのダイナミックレンジ拡大化の観点から、小型のデジタルカメラにおいてもサイズの大きい固体撮像素子を用いることが求められている。このような要求のあるデジタルカメラでは、固体撮像素子の周辺領域の画素に対して光束が大きく傾いた角度で入射するため、周辺領域の画素の感度が低下する。
この課題に対し、特許文献1は、画素表面に設けたマイクロレンズを固体撮像素子の中心方向に偏心させた固体撮像素子を開示する。画素に対して傾いた角度で入射する光束を効率良く検出できるので、周辺領域の画素の感度を向上できる。
また、撮像素子の一部に測距機能を有する距離測定用画素(以下、測距画素)を配置し、位相差方式で検出するようにした固体撮像素子が提案されている。測距画素は、偏心した遮光膜を配置することで、カメラレンズの瞳上の偏心した領域を通過した光束を受光するように構成される。更に、カメラレンズの瞳中心を基準として反対方向に偏心した領域の光束を受光する測距画素を設ける。各測距画素で得た信号により、互いに反対方向に偏心した瞳領域を通過した光束で生成される像(以下、測距像)を取得する。測距像のズレ量を基にステレオ画像による三角測量を用いて距離を測定することができる。
特許文献2では、測距画素を有する固体撮像素子において、周辺画素の感度を向上させるために、特許文献1と同様に、マイクロレンズを固体撮像素子の中心方向に偏心させた固体撮像素子が開示されている。
特開2010−182765号公報 特許第5169499号公報
一般に、カメラレンズのズームやフォーカス状態により、レンズの射出瞳距離は変化する。また、交換レンズ対応型のカメラに使用する固体撮像素子の場合、使用するレンズによってもレンズの射出瞳距離が変化する。即ち、固体撮像素子の周辺領域の画素に入射する主光線の角度が、使用するレンズや、そのズームやフォーカスの状態によって変化してしまう。その結果、画素に入射する光量が低下したり、隣接画素間のクロストークが増大したりして、画像の品質が低下してしまう。特に、特許文献2のような測距機能を有する固体撮像素子に適用した場合、遮光膜による吸収のために大きく感度が低下し、測距像の品質低下を招く。
本発明は、使用するレンズや、そのズームやフォーカスの状態によらずに高品質な画像を取得できる固体撮像素子の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る固体撮像素子は、固体撮像素子の中心を通り、固体撮像素子の画素が配列された面内方向である第一の方向に垂直な第二の方向に延びる第一の直線からの距離が、所定の距離以上の固体撮像素子の周辺領域において、第一のマイクロレンズを有する第一の画素と、第二のマイクロレンズを有し、第一の直線からの距離が第一の画素と等しい第二の画素を有し、前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量は、前記第一の直線に向かう方向を正として正であり、前記第一のマイクロレンズは、前記第一の方向に沿った偏心量がゼロまたは正であり、前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量よりも小さい、ことを特徴とする。
本発明によれば、固体撮像素子の周辺部においても、使用するレンズや、そのズームやフォーカスの状態によらずに高品質な画像を取得できる固体撮像素子が提供できる。
実施形態1に示す固体撮像素子 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素の感度特性 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素の変形例 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素の変形例 レンズの射出瞳距離と画素へ入射する主光線の入射角の関係 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素の変形例 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素の比較例 実施形態1に示す固体撮像素子中の画素の変形例 実施形態2における撮影モード 実施形態2に示す固体撮像素子中の画素の感度特性 実施形態2に示す固体撮像素子中の画素 実施形態2に示す固体撮像素子中の画素 実施形態3に示す撮像装置 従来の固体撮像素子中の画素 従来の固体撮像素子中の画素
以下、図を用いて、本発明の実施形態における固体撮像素子について説明する。その際、全ての図において同一の機能を有するものは同一の数字を付け、その繰り返しの説明は省略する。
(実施形態1)
<画素構成>
図1は、本実施形態に示す固体撮像素子100内の画素の配置を示した図である。第一の画素110a、第二の画素120aは、固体撮像素子100中の−X方向の周辺領域100aに配置された画素である。周辺領域100aは、中心線(第一の直線)101から−X方向に所定の距離102以上離れた領域である。中心線101は、固体撮像素子100の中心を通る直線であって、固体撮像素子の面内方向(XY方向)のうちX方向(第一の方向)に垂直なY方向(第二の方向)に延びる直線である。一方、第一の画素110b、第二の画素120bは、固体撮像素子100中の+X方向の周辺領域100bに配置された画素である。周辺領域100bは、中心線(第一の直線)101から+X方向に所定の距離以上離れた領域である。上記所定の距離102は、固体撮像素子100のX方向の長さの0.40倍以上とすることが好ましく、0.25倍以上とすれば、更に好ましい。
この理由については後述する。
図2(A)〜(D)は、一点破線で囲んだ、図1の固体撮像素子の周辺領域100aに配置された画素110aおよび画素120aの構成を示した図である。画素110aと画素120aは、中心線101からの距離(X座標距離)が等しい位置に配置された画素である。ここで、中心線101と画素間の距離は、中心線101と画素の中心の間の距離を意味する。画素の中心とは、光電変換部の基板表面における重心を指す。
図2(A)は、画素110aを光の入射方向から見た図、図2(B)は、画素110aのXZ断面模式図である。また、図2(C)は画素120aを光の入射方向から見た図、図2(D)は画素120aのXZ断面模式図である。第一の画素110aは、光の入射側より、第一のマイクロレンズ111a、基板112を有しており、基板112内には光電変換部113が設けられている。また、基板112上の光電変換部113の脇には、光電変換部113で取得した信号を周辺回路に転送するための配線114が設けられている。同様に、第二の画素120aは、第二のマイクロレンズ121a、基板122および、基板122内に設けられた光電変換部123、配線124を有している。光電変換部は、検出する波長帯域で吸収を有するシリコンなどの材料で形成された基板に、イオン打ち込みなどでポテンシャル分布を形成することによって形成される。また、配線はCuやAlなどの金属によって形成される。
図2(A)〜(D)に示すように、マイクロレンズ111aは画素110aの画素中心に対して+X方向に偏心しており、マイクロレンズ121aは画素120aの画素中心に対して+X方向に偏心している。そして、マイクロレンズ121aの偏心量はマイクロレンズ111aの偏心量よりも大きい。前述したように、画素中心とは、光電変換部の基板表面における重心を指す。マイクロレンズは、検出する波長帯域において透明な酸化シリコンや有機物などの材料で形成されており、画素とマイクロレンズとは1対1で対応している。この条件を満たせば、マイクロレンズの一部は隣の画素の上にも配置されていてもよい。
なお、図2(B)、(D)には、各々の画素に入射する光束の伝搬の様子も示している。実線は結像光学系の射出瞳距離が遠い場合、破線は結像光学系の射出瞳距離が近い場合の光束である。
図3(A)〜(D)には、図1の固体撮像素子の周辺領域100bに配置された画素110bおよび画素120bの構成を示した。画素110bおよび画素120bは、画素110aおよび画素120aと基本的に同様の構成を有する。しかしながら、図3(A)〜(D)に示すように、画素110bのマイクロレンズ111bと画素120bのマイクロレンズ121bは、それぞれ画素の画素中心に対して−X方向に偏心している。そして、マイクロレンズ121bの偏心量はマイクロレンズ111bの偏心量よりも大きい。
図2(A)(B),図3(A)(B)において、マイクロレンズ111a,111b,121a,121bの偏心をそれぞれ偏心ベクトル115a,115b,125a,125bによって示している。本実施形態では、マイクロレンズ111a,111b,121a,121bは、いずれも中心線101に向かってX方向に偏心している。すなわち、偏心ベクトル115a,115b,125a,125bはいずれもX方向に沿って中心線101に向かっている。そして、マイクロレンズ121a,121bの偏心量の方が、マイクロレンズ111a,111bの偏心量よりも大きい。すなわち、第一の画素のマイクロレンズの偏心ベクトル(以下、第一の偏心ベクトルとも称する)115a,125aの長さの方が、第二の画素のマイクロレンズの偏心ベクトル(以下、第二の偏心ベクトルとも称する)115b,125bの長さよりも短い。偏心ベクトルは、画素中心からマイクロ
レンズの光軸へ向かうベクトルである。
なお、画素110bおよび画素120bの構成と、画素110bおよび画素120bの構成は、X方向に反転したものであり、基本的に同様である。したがって、X方向の位置関係を考慮する必要がないときには、第一の画素110a,110bを総称して第一の画素110と呼び、第二の画素120a,120bを総称して第二の画素120と呼ぶ。マイクロレンズや偏心ベクトルについても同様とする。
<撮影動作の概要>
本実施形態における固体撮像素子100は、固体撮像素子の周辺において、マイクロレンズの偏心量の異なる2種類の画素を使用し、使用するレンズや、そのズームやフォーカス状態によって、被写体の輝度情報を取得するための画素を切り替える。具体的には、レンズの射出瞳距離が遠い場合(第一の撮影モード)では第一の画素110で取得した信号によって被写体の輝度情報を取得する。そして、レンズの射出瞳距離が近い場合(第二の撮影モード)では第二の画素120で取得した信号によって被写体の輝度情報を取得する。
このような構成とすることで、使用するレンズや、そのズームやフォーカス状態によらず、高品質な画像を取得することができる。以下でその理由について、特許文献1に開示されている従来の手法を用いた場合と比較して説明する。なお、簡単のため−X方向の周辺領域に配置された画素についてのみ説明を行うが、+X方向の周辺領域に配置された画素についても同様であることは明らかである。
<従来例と課題の説明>
図16(A)は、従来の手法(特許文献1)を用いた固体撮像素子中の−X方向の周辺領域に配置された画素1010の模式図を示している。画素1010は、光入射側より、マイクロレンズ1011、配線1014、光電変換部1013を有している。そして、マイクロレンズ1011は画素の画素中心に対して+X方向に偏心している。図16(B)は、図16(A)と同様の構成であるが、偏心量がより大きい例を示している。
また、図16(A)(B)には、レンズの射出瞳が遠い場合と近い場合の、画素1010に入射する光束の伝搬の様子も示している。実線はレンズの射出瞳が遠い場合を示し、破線はレンズの射出瞳が近い場合を示す。図16(A)(B)に示すように、レンズの射出瞳距離が近いほど、画素に入射する主光線の入射角は大きい。ここで、レンズの射出瞳距離が変化した場合に、従来の固体撮像素子中の画素1010では、画素の感度が低下することを説明する。
図16(A)よりわかるように、マイクロレンズ1011の偏心量を小さくすれば、レンズの射出瞳距離が遠い場合に画素1010に入射する光の大部分が光電変換部1013まで到達し、信号として検出できる。しかし、レンズの射出瞳距離が近い場合には画素1010に入射する光の一部は配線1014によって吸収され、一部は隣接画素に漏れてクロストークの原因となる。
一方、図16(B)よりわかるように、マイクロレンズ1011の偏心量を大きくすれば、レンズの射出瞳距離が近い場合に画素1010に入射する光の大部分が光電変換部1013まで到達し、信号として検出できる。しかし、レンズの射出瞳距離が遠い場合には画素1010に入射する光の一部は配線1014によって吸収され、一部は隣接画素に漏れてクロストークの原因となる。
このように、マイクロレンズの偏心量を小さくすると、レンズの射出瞳距離が近い場合
の感度が低下したり、クロストークが増大したりする。一方、マイクロレンズの偏心量を大きくすると、レンズの射出瞳距離が遠い場合の感度が低下したり、クロストークが増大したりする。すなわち射出瞳距離が変化するレンズに対しては、最適な偏心量が存在しない。感度低下やクロストークの増大は、画像のSN比の低下を招くため、特許文献1に示す従来の固体撮像素子では、使用するレンズや、そのズームやフォーカスの状態によっては、画像の品質が低下してしまう。
なお、配線1014を光の入射側とは反対側に設けた、いわゆる裏面照射型の固体撮像素子を用いれば、配線1014による吸収は生じない。しかしながら、裏面照射型の固体撮像素子においても、隣接画素へのクロストークは表面照射型の固体撮像素子と同様に発生する。そのため、使用するレンズや、そのズームやフォーカスの状態によっては、画像の品質が低下してしまう。
<本実施形態における撮影動作の説明>
これに対し、本実施形態に係る固体撮像素子100では、マイクロレンズの偏心量の異なる2種類の画素を使用しているので、レンズの射出瞳距離によって被写体の輝度情報取得に用いる信号を切り替えることができる。即ち、レンズの射出瞳距離が遠い場合には、マイクロレンズの偏心量の小さい第一の画素110で取得した信号を用いて被写体の輝度情報を取得する。一方、レンズの射出瞳距離が近い場合には、マイクロレンズの偏心量の大きい第二の画素120で取得した信号を用いて被写体の輝度情報を取得する。
図16(A)に示すように、マイクロレンズの偏心量が小さい場合にはレンズの射出瞳距離が遠い場合の画素の感度が高く、クロストークは小さい。一方、図16(B)に示すように、マイクロレンズの偏心量が大きい場合にはレンズの射出瞳距離が近い場合の画素の感度が高く、クロストークは小さい。従って輝度情報を取得する画素を切り替えることで、使用するレンズやそのズームやフォーカスの状態によらず、SN比が高い高品質の画像を取得することができる。
画素110、120の感度の角度依存性を、従来の固体撮像素子中の画素1010と比較して図4に示した。画素110の特性は実線で、画素120の特性は破線で、画素1010の特性は点線で示している。なお、画素1010のマイクロレンズの偏心量は、画素110と画素120の中間の偏心量としている。横軸は+X方向に傾く方向を正にとった入射角度、縦軸は感度である。また、レンズの射出瞳距離が変わった場合に画素に入射する主光線の入射角が取り得る範囲を一点鎖線で示した。
図4よりわかるように、従来の固体撮像素子中の画素1010では、レンズの射出瞳距離変動範囲の両端の入射角度において、感度が大きく低下している。一方、レンズの射出瞳距離が遠い場合、即ち主光線角度が小さいときの画素110の感度は、従来の画素1010よりも高い。また、射出瞳距離が近い場合、即ち主光線角度が大きいときの画素120の感度は、画素1010よりも高くなっている。以上より、従来の固体撮像素子よりも、本実施形態に示す固体撮像素子100の方が、使用するレンズや、そのズームやフォーカスの状態によらず、高い感度を実現できていることが分かる。
<ダイナミックレンジ拡大>
また、第一の画素110で取得した信号と第二の画素120で取得した信号を用いることで、画像のダイナミックレンジを拡大することもできる。即ち、レンズの射出瞳距離が遠い場合(第一の撮影モード)、第一の画素110で取得した信号によって低輝度な被写体の輝度情報を取得し、第二の画素120で取得した信号によって高輝度な被写体の輝度情報を取得すれば良い。一方、レンズの射出瞳距離が近い場合(第二の撮影モード)、第二の画素120で取得した信号によって低輝度な被写体の輝度情報を取得し、第一の画素
110で取得した信号によって高輝度な被写体の輝度情報を取得すれば良い。このような構成とすることで、従来の固体撮像素子に対し、ダイナミックレンジの広い画像が取得することができるため、好ましい。
<撮影モードの決定方法>
第一の撮影モードを使用するか、第二の撮影モードを使用するかは、レンズの射出瞳距離、即ち画素に入射する主光線の角度によって切り替えればよい。第一の画素110と第二の画素の感度が等しくなる入射角度を閾値角度103として、主光線角度が閾値角度103よりも大きいか小さいかに応じて使用する撮影モードを切り替えるとよい。例えば図4の場合、主光線角度が閾値角度103よりも小さい場合には第一の画素の感度の方が高いため、第一の撮影モードを使用し、主光線角度が角度103より大きい場合には第二の画素の感度の方が高いため、第二の撮影モードを使用すればよい。なお、主光線の角度と閾値角度を比較することは、レンズの射出瞳距離と閾値距離を比較することと同じである。したがって、射出瞳距離が閾値距離よりも遠い場合に第一の撮影モードを使用し、射出瞳距離が閾値距離よりも近い場合に第二の撮影モードを使用する、と表現することもできる。
また、レンズの射出瞳距離(主光線の入射角度)が近い、遠い、および中間の三つの場合に応じて、第一から第三の三つの撮影モードを使用することも好ましい。第一の撮影モードは、レンズの射出瞳距離が第一閾値以下の時に使用され、第二の撮影モードはレンズの射出瞳距離が第一閾値よりも大きな第二閾値以上の時に使用される。そして、第三の撮影モードはレンズの射出瞳距離が第一閾値から第二閾値の間の時に使用される。第三の撮影モードでは、第一の画素と第二の画素の両方の画素の信号を取得する。レンズの射出瞳距離が中間程度の場合には、第一の画素と第二の画素の感度差が小さいため、第三の撮影モードでは、両方の画素の信号を使用することによって、高解像度な被写体像を取得することができる。なお、第一閾値は、レンズの射出瞳距離がそれ以下であると、第二の画素120の感度が許容値以下に低下するような値であり、第二閾値は、レンズの射出瞳がそれ以上であると、第一の画素110の感度が許容値以下に低下するような値である。
<マイクロレンズの偏心量>
図2(A)〜(D)、図3(A)〜(D)では、画素110のマイクロレンズ111が偏心している場合を示したが、画素110のマイクロレンズ111は偏心していなくてもよい。即ち、第一の偏心ベクトル115の長さの方がゼロであってもよい。
第一のマイクロレンズおよび第二のマイクロレンズの偏心量は、使用するレンズの射出瞳距離に応じて設定するのが好ましい。具体的には、レンズの射出瞳距離が遠いほどマイクロレンズの偏心量が小さく、レンズの射出瞳距離が近いほどマイクロレンズの偏心量が大きく設定するのが好ましい。
また、レンズの射出瞳距離の変動範囲が大きいほど、第一のマイクロレンズの偏心量と第二のマイクロレンズの偏心量の差が大きいほうが好ましい。レンズの射出瞳距離の変動範囲が大きいほど、従来の手法を用いた場合の画像品質の低下度合いが大きいため、相対的に本手法の効果が大きくなる。特に、本手法において、第一の偏心ベクトル115の長さと第二の偏心ベクトル125の長さの差を、画素中の光電変換部のX方向長さの0.5倍以上とするとより良い効果が得られる。以下で理由を説明する。
前述したように、従来の固体撮像素子の場合、レンズの射出瞳距離が変化した場合、画素の感度が低下する。特に、射出瞳距離の変化による主光線角度の差が以下の式で決まる角度θを越えると、画素の感度が低下してくる。
θ=0.5×arcsin(1/F)
但し、FはレンズのF値である。レンズの射出瞳距離によってF値が異なる場合には、FはF値の平均値とする。
この時、マイクロレンズ1011による結像位置のずれdは、以下の式で記述できる。
d=h×sin(θ)≒h/2F
但し、hはマイクロレンズの焦点距離である。図2(A)〜(D)、図3(A)〜(D)に示すように、一般に第一の画素110と第二の画素120のマイクロレンズの焦点距離は等しいが、異なっていても良い。その場合には、hは第一のマイクロレンズの焦点距離と第二のマイクロレンズの焦点距離の平均値とする。即ち、レンズの射出瞳距離の変化による結像位置の差異がd以上(すなわち、h/2F以上)の場合に、本手法を適用した場合の効果が大きくなる。
以下では、簡単のため、結像点の回折による拡がりや、配線によるケラレが小さいとして説明する。本実施形態に係る固体撮像素子100では、射出瞳距離が遠い場合の第一のマイクロレンズ111による結像位置は、第一の画素110の中心に近いほど好ましい(図2(B))。射出瞳距離が遠い場合の画素110の感度が向上するためである。同様に、射出瞳距離が近い場合の第二のマイクロレンズ121による結像位置は、第二の画素120の中心に近いほど好ましい(図2(D))。射出瞳距離が近い場合の画素120の感度が向上するためである。
ここで、レンズの射出瞳距離の変化による結像位置の差異がdの時を考える。第一のマイクロレンズの偏心量と、第二のマイクロレンズの偏心量の差がdであれば、結像位置を各々の光電変換部の中心とすることができる。従って、第一の偏心ベクトルの長さと第二の偏心ベクトルの長さの差がd以上の場合に、本手法の効果が大きくなる。
画素サイズや画素構成(画素が導波路を有するか、表面照射型か、裏面照射型か)にもよるが、マイクロレンズの焦点距離は、画素のX方向(第一の方向)の長さの1倍から3倍程度である。例えば、F値が2.9、マイクロレンズの高さが画素のX方向の長さの1.5倍とすると、dは画素のX方向の長さの0.25倍となる。従って、第一の偏心ベクトルの長さと第二の偏心ベクトルの長さの差の最大値が、画素のX方向の長さの0.25倍以上の時に、本手法の効果が大きいといえる。すなわち、第一のマイクロレンズ111と第二のマイクロレンズ121のX方向に沿った偏心量の差の最大値が、画素のX方向の長さの0.25倍以上の時に、本手法の効果が大きい。図2(A)〜(D)、図3(A)〜(D)に示すように、一般に第一の画素と第二の画素の大きさは等しいが、異なっていても良い。その場合には、第一の偏心ベクトルの長さと、第二の偏心ベクトルの長さの差の最大値が、第一の画素のX方向に沿った長さと、第二の画素のX方向に沿った長さの平均値の、0.25倍以上であれば、本手法の効果が大きいため、好ましい。
また、画素に入射する主光線の角度は、固体撮像素子中の画素の位置によっても異なる。具体的には、中心線(第一の直線)101からの距離が大きいほど、画素に入射する主光線の角度が大きくなる。そのため、中心線101からの距離が大きいほどマイクロレンズの偏心量を大きくする方が好ましい。
<マイクロレンズの偏心方法>
また、図2(A)〜(D)、図3(A)〜(D)では、マイクロレンズの光軸を通り、第一の方向に垂直な平面に対して、面対称な形状のマイクロレンズの位置を、画素中心からずらすことによって、マイクロレンズを偏心させた場合を示した。但し、別の方法でマイクロレンズを偏心してもよい。図5(A)〜(C)にマイクロレンズの偏心方法の変形例を示す。なお、図5(A)〜(C)では第二の画素120の例のみを示したが、第一の画素110についても同様である。
図5(A)は、マイクロレンズの光軸を通りX方向に垂直な平面(YZ平面)に対して、非対称な形状のマイクロレンズを示す。このような非対称形状のマイクロレンズを用いることで、マイクロレンズの光軸を実効的に偏心させることができる。図5(B)は、マイクロレンズの光軸を通りX方向に垂直な平面(YZ平面)に対して、非対称な屈折率分布を設けたマイクロレンズを示す。このような非対称な屈折率分布を有するマイクロレンズを用いることで、マイクロレンズの光軸を実効的に偏心させることができる。マイクロレンズに非対称な屈折率分布を設けるためには、マイクロレンズを形成する層を複数の材料で形成し、媒質の充填率に非対称な分布を設ければよい。また、図5(B)のようにマイクロレンズが複数設けられており、そのうちの一部が偏心していてもよい。
図2(A)〜(D)、図3(A)〜(D)のように面対称な形状のマイクロレンズの位置をずらす方が、非対称形状のマイクロレンズを用いるよりも、マイクロレンズの製造が容易であるため好ましい。一方、図5(A)(B)のように非対称な形状分布や屈折率分布を設けた場合、画素に入射する光の伝搬をより精密に制御できる。そのため、画素の感度を向上させることができ、好ましい。
更に、図5(C)のように、画素がマイクロレンズのほかに導波路127を有していても良い。導波路127を設けることで、傾いた角度で入射する光に対する感度を向上させることができるため、更に好ましい。
<マイクロレンズの偏心方向>
図2(A)〜(D)、図3(A)〜(D)では、第一の画素110と第二の画素120のマイクロレンズの偏心方向がX方向である例を示したが、マイクロレンズの偏心方向が斜め方向であってもよい。固体撮像素子の対角方向の周辺領域に位置する画素については、マイクロレンズを固体撮像素子の中心に向かって斜めに偏心させる方が、画素の感度が向上するため、好ましい。
図6(A)(B)に、固体撮像素子100の(−X、−Y)の対角方向の周辺領域に配置され、中心線101からの距離が等しい第一の画素110、第二の画素120の変形例をそれぞれ示した。図6(A)(B)のいずれにおいても、上記と同様に、第二のマイクロレンズ121のX方向に沿った偏心量が、第一のマイクロレンズ111のX方向に沿った偏心量よりも大きい。図6(A)は、第一のマイクロレンズ111と第二のマイクロレンズ121のY方向に沿った偏心量が等しい例である。図6(B)は、第一のマイクロレンズ111と第二のマイクロレンズ121のY方向に沿った偏心量が異なる例である。
図6(A)(B)の構成は、以下のように表現できる。第二の画素120の中心から第二のマイクロレンズ121の光軸へ向かうベクトルをX方向(第一の方向)とは垂直な方向(Y方向)に射影した第四の偏心ベクトル126とする。そして、第一の画素110の中心から第一のマイクロレンズ111の光軸へ向かうベクトルをX方向(第一の方向)とは垂直な方向(Y方向)に射影した第三の偏心ベクトル116とする。図6(A)は、第四の偏心ベクトル126の長さと、第三の偏心ベクトル116の長さが等しい例である。すなわち、第一のマイクロレンズ111のY方向(第二の方向)に沿った偏心量と、第二のマイクロレンズ121のY方向(第二の方向)に沿った偏心量が等しい例である。また、図6(B)は第四の偏心ベクトル126の長さが、第三の偏心ベクトル116の長さよりも大きい例である。すなわち、第二のマイクロレンズ121のY方向(第二の方向)に沿った偏心量の方が、第一のマイクロレンズ111のY方向(第二の方向)に沿った偏心量よりも大きい例である。
図6(A)のように第三の偏心ベクトルと第四の偏心ベクトルの長さが等しいほうが、
製造が容易なため好ましい。特に、第一の画素と第二の画素がY方向に隣接して配置されている場合、第一のマイクロレンズと第二のマイクロレンズ間の重なりやギャップが生じないため、各々の画素の感度も向上させることができる。
一方、図6(B)のように、第四の偏心ベクトルの長さが第三の偏心ベクトルよりも長いほうが、レンズの射出瞳距離が変動した場合でも、高品質な画像を取得することができるため、好ましい。固体撮像素子の対角方向の周辺領域では、画素に入射する主光線はX方向だけではなくY方向にも傾いて入射する。従って、レンズの射出瞳距離が近い場合の被写体の輝度情報を取得する第二の画素では、第二のマイクロレンズをY方向にも大きく偏心させた方が、感度が向上する。一方、レンズの射出瞳距離が遠い場合の被写体の輝度情報を取得する第一の画素では、第一のマイクロレンズの偏心量はY方向にも小さいほうが、感度が向上する。このように、第四の偏心ベクトルの長さが第三の偏心ベクトルよりも長いほうが、レンズの射出瞳距離が変動した場合でも、高品質な画像を取得することができるため、好ましい。
なお、図6(A)、図6(B)どちらの場合でも、中心線101からの距離が等しい第一の画素110と第二の画素120において、第一の偏心ベクトル115の長さよりも、第二の偏心ベクトル125の長さが長くなっている。すなわち、第二のマイクロレンズ121のX方向(第一の方向)に沿った偏心量の方が、第一のマイクロレンズ111のX方向(第一の方向)に沿った偏心量よりも大きい。また、第一の偏心ベクトル115と第二の偏心ベクトル125は共に固体撮像素子の周辺から中心に向かう向きである。すなわち、第一のマイクロレンズ111および第二のマイクロレンズ121のX方向に沿った偏心量は、中心線101に向かう方向を正として、いずれも正である。
以上の図2(A)〜(D),図3(A)〜(D)および図6(A)(B)に示すマイクロレンズの偏心方法を考慮すると、本実施形態における第一および第二の画素におけるマイクロレンズの構成は次のように特定することができる。まず、第二の偏心ベクトル125は固体撮像素子の周辺から中心へ向かう向きを有する。そして、第一の偏心ベクトル115は、次の二つの条件のうちのいずれか一つを満たす。一つ目の条件は、第一の偏心ベクトル115の長さがゼロであるというものである。二つ目の条件は、第一の偏心ベクトル115の向きも、固体撮像素子の周辺から中心へ向かう向きであって、かつ、第一の偏心ベクトル115の長さよりも第二の偏心ベクトル125の長さの方が長いというものである。
なお、第一の偏心ベクトル115は、第一の画素110中心から第一のマイクロレンズの光軸へ向かうベクトルを第一の方向(X方向)に射影したベクトルである。また、第二の偏心ベクトルは、第二の画素120中心から第二のマイクロレンズの光軸へ向かうベクトルを第一の方向(X方向)に射影したベクトルである。
したがって、本実施形態における第一および第二の画素におけるマイクロレンズの構成は次のように特定することもできる。まず、第二の画素120の第二のマイクロレンズ121のX方向(第一の方向)に沿った偏心量は、中心線101(第一の直線)に向かう方向を正として正である。そして、第一の画素110の第一のマイクロレンズ111は、次の二つの条件のうちのいずれか一つを満たす。一つ目の条件は、第一のマイクロレンズ111のX方向に沿った偏心量がゼロであるというものである。二つ目の条件は、第一のマイクロレンズ111のX方向(第一の方向)に沿った偏心量が正であり、第二のマイクロレンズ121よりも小さい、というものである。
<第一および第二の画素の数>
第一の画素110および第二の画素120は、固体撮像素子100中に各々一つだけ設
けられていてもよいし、複数設けられていても良い。但し、被写体の輝度情報を高精度に取得するには、複数設けられていた方が好ましい。以下では、第一の画素110、第二の画素120が複数設けられている場合について説明する。
中心線101からの距離が大きいほど、レンズの射出瞳距離が変化した場合に、画素に入射する主光線と中心線101とのなす角の変化量θは大きくなる(図7(A))。そのため、中心線101からの距離が大きいほど、第一の偏心ベクトル115と第二の偏心ベクトル116の長さの差が大きくなっている方が好ましい。すなわち、第一のマイクロレンズ111と第二のマイクロレンズ121のX方向に沿った偏心量の差が大きくなっている方が好ましい。
また、同様の理由で、中心線101からの距離が所定の距離未満の中心領域においては、レンズの射出瞳距離が変化しても、画素に入射する主光線とX方向(第一の方向)とのなす角はそれほど変化しない(図7(B))。従って、中心線101からの距離が所定の距離未満の中心領域(周辺領域以外の領域)に設けられた画素では、マイクロレンズの偏心量が等しくても良いし、マイクロレンズが偏心していなくても良い。所定の距離102は、固体撮像素子のX方向(第一の方向)に沿った距離の0.4倍以上であれば好ましく、0.25倍以上であれば更に好ましい。
第一の画素110、第二の画素120が複数設けられている場合、第一の画素110、第二の画素120は、それぞれ異なるY座標において、X方向(第一の方向)に沿って直線状に配列されている方が好ましい。すなわち、第一の画素110はあるY座標位置でX方向に沿って直線状に配置され、第二の画素120は第一の画素110とは異なるY座標位置でX方向に沿って直線状に配置されることが好ましい。以下で理由を説明する。
図8は、−X方向の周辺領域100aにおいて、X方向に沿って直線状に配列された複数の第一の画素110a1、110a2、110a3、X方向に沿って直線状に配列された複数の第二の画素120a1、120a2、120a3を示した図である。画素110a1と画素120a1、画素110a2と画素120a2、画素110a3と画素120a3は、各々、中心線101からの距離が等しい位置(X座標)に配置された画素である。
なお、第一の画素110と第二の画素120が複数設けられている場合でも、中心線101からの距離が等しい第一の画素110と第二の画素120間では、上記で述べた関係が成立している。即ち、第一のマイクロレンズ111および第二のマイクロレンズ121はいずれも固体撮像素子の周辺から中心に向かう向きに偏心しており、X方向に沿った偏心量は第二のマイクロレンズ121の方が第一のマイクロレンズ111よりも大きい。
前述したように、中心線101からの距離によって、最適なマイクロレンズの偏心量は異なる。逆に言うと、X方向に隣接する画素間では、中心線101からの距離が1画素分しかずれていないため、最適なマイクロレンズの偏心量はほぼ等しいことになる。そのため、各々の画素のマイクロレンズの偏心量を最適な値に設定したとしても、図8に示すようにX方向に隣接する画素間でマイクロレンズの重なりやギャップが殆ど生じない。その結果、各々の画素の感度が高くなったり、マイクロレンズの製造が容易になったりする。
図9には比較のため、複数の第一の画素110と第二の画素120が同じY座標位置でX方向に沿って直線状に交互に設けられている場合を示している。第一の画素110と第二の画素120では最適なマイクロレンズの偏心量が異なるため、X方向に隣接する画素(第一の画素110と第二の画素120)間でマイクロレンズの重なりやギャップが生じている。以上より、複数の第一の画素110と第二の画素120は異なるY座標位置にお
いてX方向に沿って設けられている方が、高品質な画像が取得できたり、製造が容易になったりするため好ましい。
第一の画素110と第二の画素120は、同数であってもよいし、どちらか片方の画素が他方の画素よりも多く配置されていてもよい。第一の画素110と第二の画素120が同数の場合、第一の撮影モードでは第一の画素110で取得した信号から被写体の輝度情報と共に、位置情報も取得する。一方、第二の撮影モードでは第二の画素120で取得した信号から被写体の輝度情報と共に、位置情報を取得すれば良い。言い換えると、第一の撮影モードでは第一の画素110で取得した信号に基づいて画像を取得し、第二の撮影モードでは第二の画素120で取得した信号に基づいて画像を取得すれば良い。
図10(A)〜(C)は、第一の画素110と第二の画素120の画素配置例である。図10(A)は、複数の第一の画素110がX方向に沿って直線状に配置された画素列と第二の画素120がX方向に沿って直線状に配置された画素列を、Y方向(第一の方向と垂直な方向)に交互に配置した例である。前述したように、複数の第一の画素110と第二の画素120をそれぞれX方向に沿って配置することで、各々の画素の感度が高くなったり、マイクロレンズの製造が容易になったりする。更に、その画素列をY方向に交互に配置することで、第一の画素110で取得した信号に基づいて取得する画像および、第二の画素120で取得した信号に基づいて取得する画像の、Y方向のサンプリングピッチを一定とすることができるため、好ましい。
図10(B)は、複数の第一の画素110と第二の画素120を市松模様状(チェッカー盤パターン)に互い違いに配置した例である。このような配置を採用する場合、斜め方向に隣接する第一の画素110の信号同士を加算して画像を生成し、第二の画素120の画素信号の同士を加算して画像を生成することが好ましい。第一の画素110で取得した信号に基づく画像と、第二の画素で取得した信号に基づく画像のサンプリング位置を同一にすることができるためである。
一方、第一の画素110と第二の画素120の数が異なる場合、レンズの射出瞳距離によらず、数が多いほうの画素を用いて被写体の解像度情報を取得し、被写体の輝度情報を取得する画素は、レンズの射出瞳距離によって切り替えることが好ましい。このようにすることで、使用するレンズの射出瞳距離によらず、高解像度かつSN比の高い画像が取得できる。
具体的には、レンズの射出瞳距離が遠い場合に使用する第一の撮影モードと、レンズの射出瞳距離が近い場合に使用する第二の撮影モードで、以下のようにして画像を生成する。
第一の画素110が第二の画素120よりも多い場合、第一の撮影モードでは、第一の画素で取得した画素信号を使用して画像を取得する。第二の撮影モードでは、第一の画素110で取得した画素信号で被写体の解像度情報を、第二の画素120で取得した画素信号で被写体の輝度情報を取得し、両方の情報を合成することで画像を生成する。
一方、第二の画素120が第一の画素110よりも多い場合、第二の撮影モードでは、第二の画素120で取得した画素信号を使用して画像を取得する。第一の撮影モードでは、第二の画素120で取得した画素信号で被写体の解像度情報を、第一の画素110で取得した画素信号で被写体の輝度情報を取得し、両方の情報を合成することで画像を生成する。
第一の画素110および第二の画素120がカラーフィルタを有しており、被写体の色
情報も取得できるようにしてもよい。以下では、カラーフィルタの配列としてベイヤ配列を仮定する。
第一の画素110と第二の画素120の数が等しい場合、図10(A)のような画素列交互配置、図10(B)のような市松状配置において、ベイヤ配列の2x2画素を1単位として、第一の画素110と第二の画素120を交互に配置するのが好ましい。
一方、第一の画素110と第二の画素120の数が異なる場合、図10(C)のように、数が多いほうの画素(この例では第一の画素110)の緑画素の片方のみを、数が少ないほうの画素に置き換えた配置とする方が好ましい。即ち、以下の二つの条件のいずれかを満たせばよい。一つ目の条件は、全ての第一の画素110が第一の色のカラーフィルタを有し、第二の画素120が第一の色のカラーフィルタを有する画素と、第一の色とは異なる色のカラーフィルタを有する画素の2種類以上の画素から構成されているという条件である。二つ目の条件は、全ての第二の画素120が第二の色のカラーフィルタを有し、第一の画素110が第二の色のカラーフィルタを有する画素と、第二の色とは異なる色のカラーフィルタを有する画素の2種類以上の画素から構成されているという条件である。
このような構成とすれば、被写体の解像度情報と色情報は常に数の多いほうの画素で取得し、被写体の輝度情報を取得する画素のみを、レンズの射出瞳距離によって入れ替えることが可能となる。そのため、使用するレンズの射出瞳距離によらず、高解像度、高色再現かつSN比の高い画像が取得できる。図10(C)には、二つ目の条件を満たす場合を示した。即ち、全ての第二の画素120が第二の色(緑)のカラーフィルタを有し、第一の画素が第二の色(緑)と、緑とは異なる赤および青のカラーフィルタを有する。図に示すR、G、Bの符号は各々、赤色、緑色、青色のカラーフィルタを有する画素であることを示している。
<周辺領域の向き>
なお、以上の説明では第一の方向がX方向、即ち第一の画素110および第二の画素120が固体撮像素子の±X方向の周辺領域に配置された場合について説明したが、第一の方向はX方向でなくてもよい。第一の方向はY方向であっても良いし、斜め方向であっても良い。但し、第一の方向は固体撮像素子の長手方向と一致することが好ましい。なぜなら、固体撮像素子中心からの距離が遠いほど、画素に入射する主光線と第一の方向のなす角の変化量が大きく、長手方向の周辺領域に位置する画素に本手法を適用する方が、効果が大きいためである。
(実施形態2)
<面内配置>
本実施形態は、第一の画素で取得した画像と第二の画素で取得した画像を比較することで、測距を行う場合の実施形態である。
本実施形態に示す固体撮像素子200は、周辺領域において、複数の第一の画素210、第二の画素220を有する。第一の画素210、第二の画素220の構成は、実施形態1に示す固体撮像素子100中の第一の画素110、第二の画素120の構成と同じである。即ち、−X方向の周辺領域においては、第一のマイクロレンズ211、第二のマイクロレンズ221が+X方向に偏心しており、+X方向の周辺領域においては、第一のマイクロレンズ211、第二のマイクロレンズ221が−X方向に偏心している。そして、第二のマイクロレンズ221の偏心量が第一のマイクロレンズ211の偏心量よりも大きい。
本実施形態に示す固体撮像素子200では、固体撮像素子の周辺において、マイクロレ
ンズの偏心量の異なる2種類の画素を使用し、使用するレンズや、そのズームやフォーカス状態によって、被写体の距離情報を取得するために用いる画素を切り替える。
具体的には、レンズの射出瞳距離が遠い場合(第一の測距モード)は、次のように距離を測定する。図11(A)に示すように、まず、第二の画素220で取得した信号から第一の測距像291を生成する。第一の画素210で取得した信号から第二の画素220で取得した信号を差し引いて第二の測距像292を生成する。そして、第一の測距像291と第二の測距像292のズレ量を検出することにより、距離240を測定する。
一方、レンズの射出瞳距離が近い場合(第二の測距モード)の距離測定方法は次のように行う。図11(B)に示すように、まず、第一の画素210で取得した信号から第三の測距像293を生成する。第二の画素220で取得した信号から第一の画素210で取得した信号を差し引いて第四の測距像294を生成する。そして、第三の測距像293と第四の測距像294のズレ量を検出することにより、距離240を測定する。
このような構成とすることで、使用するレンズや、そのズームやフォーカス状態によらず、高精度な測距を行うことが可能となる。以下でその理由について、特許文献2に開示されている従来の手法を用いた場合と比較して説明を行う。なお、簡単のため−X方向の周辺領域に配置された画素についてのみ説明を行うが、+X方向の周辺領域に配置された画素についても同様であることは明らかである。
<従来例と課題の説明>
図17(A)(B)はそれぞれ、従来の手法を用いた固体撮像素子中の−X方向の周辺領域に配置された画素2010、画素2020の模式図である。画素2010および2020は、光入射側から順に、マイクロレンズ2011、2021と、光電変換部2013、2023を有している。マイクロレンズ2011、2021は画素中心に対して+X方向に同一の偏心量だけ偏心している。画素2010には、マイクロレンズ2011の焦点近傍の高さに、画素中心に対して−X方向に偏心した遮光膜2016が配置されている。また、画素2020には、マイクロレンズ2021の焦点近傍の高さに、画素中心に対して+X方向に偏心した遮光膜2026が配置されている。このように、偏心した遮光膜によって、レンズの瞳上の互いに反対方向に偏心した領域を通過した光束を受光し、画素2010で取得した測距像と画素2020で取得した測距像のズレ量を検出することで、測距を行う。
図17(A)(B)には、レンズの射出瞳が遠い場合と近い場合の、各々の画素に入射する光束の伝搬の様子も示した。実線はレンズの射出瞳が遠い場合、破線はレンズの射出瞳が近い場合である。図17(A)(B)からわかるように、レンズの射出瞳距離が遠い場合、画素2020に入射する光は、ほとんど遮光膜2026によって吸収されてしまう。その結果、レンズの射出瞳距離が遠い場合の画素2020の感度が大きく低下する。同様に、レンズの射出瞳距離が近い場合、画素2010に入射する光は、ほとんど遮光膜2016によって吸収されてしまう。その結果、レンズの射出瞳距離が近い場合の画素2010の感度が大きく低下する。画素の感度が低下すると、測距像のSN比が低下するため、測距像間のズレ量の検出精度が低下し、測距精度が低下する。
このように、従来の手法を用いた固体撮像素子では、使用するレンズや、そのズームやフォーカス状態によって射出瞳距離が変わってしまう場合、測距精度が低下するという課題が生じる。なお、マイクロレンズの偏心量を減らすとレンズの射出瞳距離が近い場合の画素2010の感度がさらに低下し、マイクロレンズの偏心量を増やすとレンズの射出瞳距離が遠い場合の画素2020の感度がさらに低下する。従って、画素のマイクロレンズの偏心量を調整しても、この課題を解決することは困難である。
<本実施形態における測距>
これに対し、本実施形態に係る固体撮像素子200では、マイクロレンズの偏心量の異なる2種類の測距画素を使用し、レンズの射出瞳距離によって距離情報取得に用いる信号を切り替えているため、従来よりも高精度な測距を行うことができる。以下で、説明を行う。
画素210、220の感度の角度依存性を、画素2010、2020と比較して図12(A)(B)に示した。横軸は+X方向に傾く方向を正にとった入射角度、縦軸は感度である。図12(A)は、画素210の特性を実線で、画素2010の特性を破線で示す。図12(B)は、画素220の特性を実線で、画素2020の特性を破線で示す。一点鎖線の四角で囲った部分(F)は、レンズの射出瞳距離が遠い場合に画素に入射する光束の角度範囲である。二点鎖線の四角で囲った部分(N)は、レンズの射出瞳距離が近い場合に画素に入射する光束の角度範囲である。
図12(A)(B)より、従来の固体撮像素子中の測距画素に比べて、本実施形態の固体撮像素子中の画素の感度が向上していることがわかる。特に、一点鎖線で囲った角度範囲(F)における画素2020の感度に対する画素220の感度向上と、二点鎖線で囲った角度範囲(N)における画素2010の感度に対する画素210の感度向上が大きい。
更に、本実施形態に示す固体撮像素子200は、レンズの射出瞳距離に応じて測距像を生成するための演算モードを切り替えることで、互いに反対方向に偏心した瞳領域からの測距像を取得することを可能としている。
まず、レンズの射出瞳距離が遠い場合に使用する第一の測距モードについて説明する。図12(A)(B)の一点鎖線で囲んだ部分(F)からわかるように、画素220は、レンズの射出瞳のうち、+X方向に偏心した領域からの光束を選択的に受光している。したがって画素220により取得した信号に基づく第一の測距像291は、射出瞳のうち+X方向に偏心した領域からの光束に基づく画像である。一方、画素210はレンズの射出瞳の中心付近の広い瞳領域からの光束を受光している。従って、そのままでは、−X方向に偏心した瞳領域からの光束による測距像が得られない。そこで、第一の測距モードでは、画素210で取得した信号から、画素220で取得した信号を差し引くことによって、第二の測距像292を生成する。第二の測距像292は、射出瞳のうち−X方向に偏心した領域からの光束に基づく画像である。このようにして生成した、互いに反対方向に偏心した瞳領域からの測距像291、292のズレ量を比較することで被写体の距離情報を取得することができる。
次に、レンズの射出瞳距離が近い場合に使用する第二の測距モードについて説明する。図12(A)(B)の二点鎖線で囲んだ部分(N)からわかるように、画素210は、レンズの射出瞳のうち、−X方向に偏心した瞳領域からの光束を受光している。したがって画素210により取得した信号に基づく第三の測距像293は、射出瞳のうち−X方向に偏心した領域からの光束に基づく画像である。一方、画素220はレンズの射出瞳の中心付近の広い瞳領域からの光束を受光している。従って、そのままでは、+X方向に偏心した瞳領域からの光束による測距像が得られない。そこで、第二の測距モードでは、画素220で取得した信号から、画素210で取得した信号を差し引くことによって、第四の測距像294を生成する。第四の測距像294は、射出瞳のうち+X方向に偏心した領域からの光束に基づく画像である。このようにして生成した、互いに反対方向に偏心した瞳領域からの測距像293、294のズレ量を比較することで被写体の距離情報を取得することができる。
このように、本実施形態に係る固体撮像素子では、第一の測距モードと第二の測距モードで、測距像の生成に使用する画素信号差分の算出方法を逆転させている。即ち、第一の測距モードでは、第一の画素信号から第二の画素信号を引くことで測距像を生成している。一方、第二の測距モードでは、第二の画素信号から第一の画素信号を引くことで測距像を生成している。その結果、従来よりも感度の高い画素を使用しつつ、異なる方向に偏心した瞳領域からの光束による測距像を取得することができる。
なお、第一のマイクロレンズ211、第二のマイクロレンズ212の偏心量の差を大きくすることで、互いに反対方向に偏心した測距像を直接取得してもよい。但し、互いに反対方向に偏心した測距像を直接取得するよりも、差分によって測距像を生成した方が好ましい。以下で理由を説明する。
レンズの射出瞳距離が遠い場合の−X方向に偏心した測距像292を直接取得するためには、入射光束の重心角度よりも画素210の感度の重心角度が−X側になるように、マイクロレンズ211の偏心量を減少させればよい。即ち、レンズの射出瞳距離が遠い場合に入射する主光線の、マイクロレンズ211による結像位置が、画素中心よりも−X側になっていればよい。
同様に、レンズの射出瞳距離が近い場合の+X方向に偏心した測距像294を直接取得するためには、入射光束の重心角度よりも画素220の感度の重心角度が+X側になるようにマイクロレンズ221の偏心量を増加させればよい。即ち、レンズの射出瞳距離が近い場合に入射する主光線の、マイクロレンズ221による結像位置が、画素中心よりも+X側になっていればよい。
図13(A)〜(D)に、互いに反対方向に偏心した測距像を差分によって取得するための画素と、互いに反対方向に偏心した測距像を直接取得するための画素を比較して示した。図13(A)(B)は、差分によって測距像を取得するための第一の画素210および第二の画素220をそれぞれ示す。図13(C)(D)は、測距像を直接取得するための第一の画素310および第二の画素320をそれぞれ示す。第一の画素310および第二の画素320の構成は、第一の画素210および第二の画素220とほぼ同様であるが、マイクロレンズ311,321の偏心量が異なる。具体的には、図13(A)(B)における第一の画素210と第二の画素220のマイクロレンズ偏心量の差よりも、図13(C)(D)における第一の画素210と第二の画素220のマイクロレンズの偏心量の差の方が大きい。
まず、レンズの射出瞳距離が遠い場合について比較する。図13(D)よりわかるように、画素320に入射する光は、光電変換部の外側に入射したり、配線によって吸収されたりしてしまう。その結果、レンズの射出瞳距離が遠い場合(実線)に、画素320の感度が低下したり、クロストークが増大したりして、+X方向に偏心した測距像291の品質が低下してしまう。一方、図13(B)よりわかるように、画素220に入射する光は、大部分が画素220の光電変換部で検出できている。
同様に、レンズの射出瞳距離が近い場合(破線)についても比較する。図13(C)よりわかるように、画素310に入射する光が、光電変換部の外側に入射したり、配線によって吸収されたりしてしまう。その結果、画素310の感度が低下したり、クロストークが増大したりして、−X方向に偏心した測距像293の品質が低下してしまう。一方、図13(A)よりわかるように、画素210に入射する光は、大部分が画素210の光電変換部で検出できている。
このように、レンズの射出瞳距離が遠い場合に−X方向に偏心した測距像を直接取得で
きるように第一の画素のマイクロレンズの偏心量を減少させると、レンズの射出瞳距離が近い場合の+X方向に偏心した測距像291の品質が低下してしまう。また、レンズの射出瞳距離が近い場合に+X方向に偏心した測距像を直接取得できるように第二の画素のマイクロレンズの偏心量を増加させると、レンズの射出瞳距離が遠い場合の−X方向に偏心した測距像292の品質が低下してしまう。
一方、互いに反対方向に偏心した測距像を画素信号の差分に基づいて取得し、第一の測距モードと第二の測距モードで差分の方向を逆転した場合には、マイクロレンズ211と221の偏心量の差を小さくすることができる。そのため、使用するレンズや、そのズームやフォーカス状態によらず、高いSN比の測距像を取得することができるため、更に好ましい。
更に、互いに反対方向に偏心した測距像を画像信号の差分に基づいて取得し、第一の測距モードと第二の測距モードで差分の求め方を逆転した場合には、撮影画像の品質も向上させることができる。測距像を直接取得した場合、第一の画素310、第二の画素320で取得される画像は、偏心した瞳領域を通過した光束による画像である。従って、第一の画素310、第二の画素320で取得した画素信号をそのまま撮影画像として使用すると、レンズのフォーカス位置からずれた被写体像が片ボケを生じるため、不自然な画像となる。
しかし、差分に基づいて測距像を生成する固体撮像素子では、レンズの射出瞳距離が近い場合には、第二の画素220でレンズの射出瞳の中心付近の広い瞳領域からの光束を受光している。同様に、レンズの射出瞳距離が遠い場合には、第一の画素210でレンズの射出瞳の中心付近の広い瞳領域からの光束を受光している。従って、第一の測距モードおよび第二の測距モードで、それぞれ第一の画素210および第二の画素220で取得した画素信号を撮影画像として使用することで、瞳の中心付近を通過した光束による撮影画像を直接取得することができる。その結果、フォーカス位置からずれた被写体像のボケ味が自然な画像が得られる。
差分に基づいて測距像を生成する際、画素信号に一定の係数をかけて、ゲイン調整を行ってから差分を行っても良い。第一の測距モードにおいて、画素210で取得した信号をA1、画素220で取得した信号をB1、第二の測距モードにおいて、画素210で取得した信号をA2、画素220で取得した信号をB2とする。この時、以下の式を用いて測距像292、294を取得すればよい。
測距像292 = A1 − k1 × B1 (式1)
測距像294 = B2 − k2 × A2 (式2)
ここで、第一の係数k1、第二の係数k2はゲイン調整係数である。ゲインを調整することによって、測距像292、294を形成する光束の重心角度を変化させ、測距精度を向上させることができる。具体的には、k1が大きいほど、測距像292は−X方向に大きく偏心した瞳領域からの光束によって形成された測距像となるため、測距像291と測距像292の間のズレ量が大きくなり、検出精度が向上する。同様に、k2が大きいほど、測距像294は+X方向に大きく偏心した瞳領域からの光束によって形成された測距像となるため、測距像293と測距像294の間のズレ量が大きくなり、検出精度が向上する。但し、k1、k2を大きくしすぎると、測距像291と測距像292、測距像293と測距像294の強度差が大きくなり、像ズレ量の検出精度が低下する。従って、測距像間の強度差も考慮してk1、k2を決定するのが好ましい。なお、特にk1、k2が共に1の場合は、ゲイン調整を行わない場合である。
なお、差分に基づいて測距像を生成する際には、3画素以内に近接して配置された画素210、画素220の間の画素信号に対して差分を適用する方が、測距像間のズレ量を正
確に検出できるため、好ましい。
また、測距像のズレは、第一のマイクロレンズと第二のマイクロレンズの偏心量が異なる第一の方向に対して発生するため、測距像を取得する画素が第一の方向に沿ってずれているほど、距離情報の精度が低下する。本発明に示す固体撮像素子では、第一の画素と第二の画素は第一の直線からの距離が等しいため、第一の方向に沿ったずれのない画素間で差分を適用することができ、高精度な距離情報を取得できる。
また、実施形態1の図10(C)のように、ベイヤ配列の緑画素のみが、第一の画素と第二の画素の二種類で構成されている場合、緑画素で取得した画像を用いて測距像を生成すればよい。即ち、図10(C)のように第一の画素の数の方が多い場合、被写体の解像度情報と色情報は常に第一の画素(数が多い方の画素)で取得するとよい。輝度情報と距離情報については、上述したようにレンズの射出瞳距離に応じて、使用する画素信号を変更したり差分の求め方を反転させたりして、取得方法を異ならせるとよい。
実施形態1の場合と同様、第一の測距モードを使用するか、第二の測距モードを使用するかは、レンズの射出瞳距離、即ち画素に入射する主光線の角度によって切り替えればよい。また、実施形態1の場合と同様、レンズの射出瞳距離を3段階に分類して、3つの測距モードを使用することも好ましい。すなわち、レンズの射出瞳距離が中間程度の場合に、第三の測距モードを使用してもよい。レンズの射出瞳距離が中間程度の場合、第一の画素210には−X方向に偏心した瞳領域からの光束が入射し、第二の画素220には+X方向に偏心した瞳領域の光束が入射する。そのため、第三の測距モードでは、第一の画素210で直接取得した測距像と、第二の画素220で直接取得した測距像間のズレ量を求めるのが好ましい。
実施形態1の場合と同様、固体撮像素子の中心領域(中心線101からの距離が所定の距離未満の領域)では、マイクロレンズの偏心量が異なる複数の画素を設けなくても良い。固体撮像素子の中心領域でも距離情報を取得する場合、互いに反対方向に偏心した遮光膜236、246を有する画素230、240(図14(A))を用いて、互いに反対方向に偏心した測距像を取得し、測距像間のズレ量を求めればよい。また、互いに反対方向に偏心したマイクロレンズ231、241を有する画素230、240(図14(B))を用いて、互いに反対方向に偏心した測距像を取得してもよい。
図14(A)のように偏心した遮光膜を設けた場合、隣接画素間でのクロストークを抑制できたり、遮光膜下部に画素内メモリを設けることで画素内メモリへの迷光成分を抑制できたりするため、好ましい。図14(B)のように互いに反対方向に偏心したマイクロレンズを設けた場合、遮光膜を設けるプロセスが不要となり、周辺領域に配置された画素と同様のプロセスで、距離情報を取得可能な画素が形成できるため、好ましい。
更に、図14(C)に示すように、一つの画素230中に複数の光電変換部233、234を設け、各々の光電変換部で互いに反対方向に偏心した測距像を取得してもよい。図14(C)に示す画素を用いた場合、複数の光電変換部で取得した信号の和から撮影画像も取得できるため、好ましい。
(実施形態3)
図15は、実施形態2で示した固体撮像素子を備えたデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置190の概略図である。撮像装置190は、実施形態2で示した固体撮像素子200の他に、固体撮像素子200よりも光入射側に配置されたレンズ191を含む撮像光学系、CPU192、転送回路193、信号処理部194を有する。撮像装置190は測距機能を有するので、測距装置と捉えることもできる。
CPU192は、レンズの射出瞳距離に応じて、転送回路193、信号処理部194の動作を制御している。具体的には、レンズ191の射出瞳距離が閾値距離よりも遠いと判定された場合には、第一の撮影モードあるいは第一の測距モードを使用して、被写体の輝度情報および距離情報を取得している。また、レンズ191の射出瞳距離が閾値距離よりも近いと判定された場合には、第二の撮影モードあるいは第二の測距モードを使用して、被写体の輝度情報および距離情報を取得している。信号処理部194は、第一の画素から取得される画像(測距像)と第二の画素から取得される画像(測距像)を比較して、その位置ズレ量から被写体の距離情報を取得する。すなわち、信号処理部194は距離算出部としての機能を有する。レンズの射出瞳距離の情報は、使用するレンズとズーム状態のパラメータとしてCPUに記憶していても良いし、予備撮影を行って第一の画素と第二の画素で信号を取得し、それらの輝度差から算出しても良い。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
100、200:固体撮像素子
101:第一の直線
102:所定の距離
110、210:第一の画素
111、211:第一のマイクロレンズ
120、220:第二の画素
121、221:第二のマイクロレンズ

Claims (30)

  1. 固体撮像素子の中心を通り、固体撮像素子の画素が配列された面内方向である第一の方向に垂直な第二の方向に延びる第一の直線からの距離が、所定の距離以上の固体撮像素子の周辺領域において、第一のマイクロレンズを有する第一の画素と、第二のマイクロレンズを有し、第一の直線からの距離が第一の画素と等しい第二の画素を有し、
    前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量は、前記第一の直線に向かう方向を正として正であり、
    前記第一のマイクロレンズは、前記第一の方向に沿った偏心量がゼロまたは正であり、前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量よりも小さい、
    ことを特徴とする、固体撮像素子。
  2. 第一のマイクロレンズが第一のマイクロレンズの光軸を通り第一の方向に垂直な平面に対して面対称な形状であるか、
    第二のマイクロレンズが第二のマイクロレンズの光軸を通り第一の方向に垂直な平面に対して面対称な形状であるか、
    または、上記の両方を満たす、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の固体撮像素子。
  3. 第一のマイクロレンズが第一のマイクロレンズの光軸を通り第一の方向に垂直な平面に対して非対称な形状であるか、
    第二のマイクロレンズが第二のマイクロレンズの光軸を通り第一の方向に垂直な平面に対して非対称な形状であるか、
    または、上記の両方を満たす、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の固体撮像素子。
  4. 第一のマイクロレンズが第一のマイクロレンズの光軸を通り第一の方向に垂直な平面に対して非対称な屈折率分布を有するか、
    第二のマイクロレンズが第二のマイクロレンズの光軸を通り第一の方向に垂直な平面に対して非対称な屈折率分布を有するか、
    または、上記の両方を満たす、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の固体撮像素子。
  5. 前記第二のマイクロレンズの前記第二の方向に沿った偏心量の方が、前記第一のマイクロレンズの前記第二の方向に沿った偏心量よりも大きい、
    ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  6. 前記第一のマイクロレンズの前記第二の方向に沿った偏心量が、前記第二のマイクロレンズの前記第二の方向に沿った偏心量に等しい、
    ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  7. 前記第一のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量と前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量の差の最大値が、前記第一の画素の前記第一の方向に沿った長さと前記第二の画素の前記第一の方向に沿った長さの平均値の0.25倍以上である、
    ことを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  8. 前記第一の画素と前記第二の画素が複数設けられており、前記第一の直線からの距離が大きいほど、前記第一のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量と前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量との差が大きい、
    ことを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  9. 前記所定の距離が、固体撮像素子の前記第一の方向の長さの、0.25倍以上である、
    ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  10. 前記第一の方向が、固体撮像素子の長手方向に一致する、
    ことを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  11. 前記第一の画素と前記第二の画素が複数設けられており、前記第一の画素および前記第二の画素はそれぞれ異なる前記第二の方向の位置において前記第一の方向に沿って直線状に配列されている、
    ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  12. 直線状に配列された前記第一の画素および前記第二の画素が、前記第二の方向に沿って、互い違いに設けられている、
    ことを特徴とする、請求項11に記載の固体撮像素子。
  13. 前記第一の画素と前記第二の画素が複数設けられており、前記第一の画素と前記第二の画素が、市松模様状に互い違いに設けられている、
    ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  14. 前記第一の画素と前記第二の画素が複数設けられており、
    全ての第一の画素は第一の色のカラーフィルタを有しており、第二の画素は第一の色のカラーフィルタを有する画素と、第一の色とは異なる色のカラーフィルタを有する画素の、2種類以上の画素から構成されているか、
    全ての第二の画素は第二の色のカラーフィルタを有しており、第一の画素は第二の色のカラーフィルタを有する画素と、第二の色とは異なる色のカラーフィルタを有する画素の、2種類以上の画素から構成されているか、
    のいずれかを満たすことを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  15. 前記固体撮像素子は、前記第一の直線からの距離が前記所定の距離未満の中心領域において、画素中心に対して偏心した遮光膜を備える画素を有する、
    ことを特徴とする、請求項1から14のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  16. 前記第一の直線からの距離が前記所定の距離未満の中心領域において、画素中心に対して光軸が偏心したマイクロレンズを備える画素を有する、
    ことを特徴とする、請求項1から15のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  17. 前記第一の直線からの距離が前記所定の距離未満の中心領域において、複数の光電変換部と、それに対応したマイクロレンズとを備える画素を有する、
    ことを特徴とする、請求項1から16のいずれか1項に記載の固体撮像素子。
  18. レンズと、
    請求項1から17のいずれか1項に記載の固体撮像素子と、
    を備える、撮像装置。
  19. 前記レンズのF値をF、前記第一のマイクロレンズの焦点距離と前記第二のマイクロレンズの焦点距離の平均値をhとした時に、前記第一のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量と前記第二のマイクロレンズの前記第一の方向に沿った偏心量の差の最大値
    が、h/2F以上である、
    ことを特徴とする、請求項18に記載の撮像装置。
  20. 前記第一の画素で取得した信号から被写体の輝度情報を取得する第一の撮影モードと、前記第二の画素で取得した信号から被写体の輝度情報を取得する第二の撮影モードを有する、
    ことを特徴とする、請求項18または19に記載の撮像装置。
  21. 前記レンズの射出瞳距離が所定の閾値距離よりも遠い場合には前記第一の撮影モードを使用し、前記レンズの射出瞳距離が前記閾値距離よりも近い場合には前記第二の撮影モードを使用する、
    ことを特徴とする、請求項20に記載の撮像装置。
  22. 前記第一の撮影モードでは、前記第一の画素で取得した信号から低輝度な被写体の輝度情報を取得し、前記第二の画素で取得した信号から高輝度な被写体の輝度情報を取得し、
    前記第二の撮影モードでは、前記第二の画素で取得した信号から低輝度な被写体の輝度情報を取得し、前記第一の画素で取得した信号から高輝度な被写体の輝度情報を取得する、
    ことを特徴とする、請求項20または21に記載の撮像装置。
  23. 前記第一の画素で取得した信号と前記第二の画素で取得した信号を共に使用して被写体像を取得する第三の撮影モードをさらに備える、
    ことを特徴とする、請求項20から22のいずれか1項に記載の撮像装置。
  24. 前記第一の画素と前記第二の画素の数が異なっており、第一の撮影モードおよび第二の撮影モードの両方において、第一の画素と第二の画素のうち数が多いほうの画素から得られる画像を用いて被写体の解像度情報を取得する、
    ことを特徴とする、請求項20から23のいずれか1項に記載の撮像装置。
  25. 請求項18から24のいずれか1項に記載の撮像装置と、
    前記撮像装置から撮影された画像に基づいて被写体の距離情報を算出する算出部と、
    を備える測距装置であって、
    前記固体撮像素子には、前記第一の画素と前記第二の画素が複数設けられており、
    前記算出部は、前記第一の画素で取得した信号から取得した画像と、前記第二の画素で取得した信号から取得した画像を比較することで被写体の距離情報を取得する、
    ことを特徴とする、測距装置。
  26. 前記第二の画素で取得した信号から取得した第一の画像と、前記第一の画素で取得した信号から前記第二の画素で取得した信号を差し引くことで生成した第二の画像のズレ量から被写体の距離情報を取得する第一の測距モードと、
    前記第一の画素で取得した信号から取得した第三の画像と、前記第二の画素で取得した信号から第一の画素で取得した信号を差し引くことで生成した第四の画像のズレ量から被写体の距離情報を取得する第二の測距モードと、
    を備えることを特徴とする、請求項25に記載の測距装置。
  27. 前記第一の画素で取得した信号から、前記第二の画素で取得した信号に第一の係数をかけてから差し引くことで前記第二の画像を生成し、
    前記第二の画素で取得した信号から、前記第一の画素で取得した信号に第二の係数をかけてから差し引くことで前記第四の画像を生成する、
    ことを特徴とする、請求項26に記載の測距装置。
  28. 3画素以内に近接した第一の画素と第二の画素の間において、第一の画素で取得した信号から第二の画素で取得した信号を差し引くことで前記第二の画像を生成し、第二の画素で取得した信号から第一の画素で取得した信号を差し引くことで前記第二の画像を生成する、
    ことを特徴とする、請求項25から27のいずれか1項に記載の測距装置。
  29. 前記第一の画素で取得した信号から取得した画像と、前記第二の画素で取得した信号から取得した画像のズレ量から被写体の距離情報を取得する、第三の測距モードを備える、
    ことを特徴とする、請求項25から28のいずれか1項に記載の測距装置。
  30. 前記固体撮像素子は、前記第一の直線からの距離が前記所定の距離未満の中心領域において、画素中心に対して偏心した遮光膜を有する画素を有する、
    ことを特徴とする、請求項25から29のいずれか1項に記載の測距装置。
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