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JP2017005218A - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents

熱処理装置および熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】チャンバー内壁への汚染を防止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供する。
【解決手段】半導体ウェハーWを収容するチャンバー6の上側にフラッシュランプHLを配置するとともに、下側にハロゲンランプHLを配置する。チャンバー6の内部には、チャンバー6の内壁を覆う石英のライナー90を設け、そのライナー90に付着した汚染を一対の投光器95および受光器96からなる光学式センサーによって検知する。半導体ウェハーWの加熱処理時に生じた汚染物質はライナー90に付着するため、チャンバー6の内壁への汚染を防止することができる。また、ライナー90に一定量以上の汚染物質が付着したことが光学式センサーによって検知されたときには、半導体ウェハーWに対する処理を中断する。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置および熱処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、不純物導入は半導体ウェハー内にpn接合を形成するための必須の工程である。現在、不純物導入は、イオン打ち込み法とその後のアニール法によってなされるのが一般的である。イオン打ち込み法は、ボロン(B)、ヒ素(As)、リン(P)といった不純物の元素をイオン化させて高加速電圧で半導体ウェハーに衝突させて物理的に不純物注入を行う技術である。注入された不純物はアニール処理によって活性化される。この際に、アニール時間が数秒程度以上であると、打ち込まれた不純物が熱によって深く拡散し、その結果接合深さが要求よりも深くなり過ぎて良好なデバイス形成に支障が生じるおそれがある。
そこで、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するアニール技術として、近年フラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、不純物が注入された半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。このため、キセノンフラッシュランプによる極短時間の昇温であれば、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
このようなフラッシュランプアニールでは、極めて短時間で半導体ウェハーの表面を昇温するため、表面近傍のみに急激な熱膨張が生じて半導体ウェハーが割れることがある。このため、特許文献1には、半導体ウェハーを保持するサセプターの周囲にライナーを設け、半導体ウェハーが割れた場合であっても、外部への破片の飛散を防止して清掃を容易にすることが提案されている。
特開2005−44881号公報
また、フラッシュランプアニールの処理対象となる半導体ウェハーにはレジスト膜等の種々の膜が形成されていることもある。このような膜付きの半導体ウェハーを連続してフラッシュ加熱処理すると、半導体ウェハーを収容するチャンバーの内壁が徐々に汚染されるという問題が生じる。これは、半導体ウェハーに成膜されている各種膜がフラッシュ加熱により燃焼することによって、チャンバーの内壁面に炭素系の汚染物質が付着することが原因であると推定される。
チャンバーの内壁面が汚染されると、それ自体が後続の半導体ウェハーに対する汚染源となる。また、光照射時にはチャンバーの内壁面にて反射された光も半導体ウェハーに照射されるのであるが、チャンバーの内壁面が汚染されると、汚染箇所では反射率が低下するため、光照射時の半導体ウェハーの面内温度分布が不均一となる。そうすると、フラッシュ加熱処理の処理結果に影響を与えるとともに、半導体ウェハーに不均一な温度分布に起因した反りが生じるという問題も発生する。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、チャンバー内壁への汚染を防止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置において、基板を収容するチャンバーと、前記チャンバー内にて基板を支持するサセプターと、前記サセプターに支持された基板に光を照射する光照射部と、前記チャンバーの内壁を覆う石英のライナーと、前記ライナーに付着した汚染を検知する光学式センサーと、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理装置において、前記光学式センサーによって前記ライナーに汚染が検知されたときには基板に対する処理を中断する制御部をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る熱処理装置において、前記光学式センサーは、前記ライナーの外方に配置され、光を投射する投光器と、前記ライナーの外方に前記ライナーを挟んで前記投光器と対向配置され、前記投光器から投射された光を受光する受光器と、を備えることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかの発明に係る熱処理装置において、前記光照射部は、前記チャンバーの一方側から基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプを含むことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る熱処理装置において、前記光照射部は、前記チャンバーの他方側から基板に光を照射するハロゲンランプをさらに含むことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、チャンバー内にてサセプター上に支持した基板に光を照射して加熱する加熱工程と、前記チャンバーの内壁を覆う石英のライナーに付着した汚染を光学式センサーによって検知する汚染検知工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る熱処理方法において、前記汚染検知工程にて前記ライナーに汚染が検知されたときには前記加熱工程の処理を中断することを特徴とする。
請求項1から請求項5の発明によれば、基板を収容するチャンバーの内壁を覆う石英のライナーを備え、ライナーに付着した汚染を光学式センサーによって検知するため、加熱処理時に基板から生じた汚染物質はライナーに付着し、チャンバーの内壁への汚染を防止することができる。
請求項6および請求項7の発明によれば、チャンバーの内壁を覆う石英のライナーに付着した汚染を光学式センサーによって検知するため、加熱処理時に基板から生じた汚染物質はライナーに付着し、チャンバーの内壁への汚染を防止することができる。
本発明に係る熱処理装置の要部構成を示す図である。 フラッシュランプおよびハロゲンランプの配置関係を示す斜視図である。 投光器および受光器の構成を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱処理装置1の要部構成を示す図である。この熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。熱処理装置1に搬入される前の半導体ウェハーWには不純物が注入されており、熱処理装置1による加熱処理によって注入された不純物の活性化処理が実行される。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、主たる構成として、半導体ウェハーWを収容する略円筒形状のチャンバー6と、チャンバー6内にて半導体ウェハーWを支持するサセプター7と、サセプター7に対して半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載部79と、チャンバー6の上側に設けられたフラッシュ加熱部5と、チャンバー6の下側に設けられたハロゲン加熱部4と、チャンバー6内に処理ガスを供給するガス供給部8と、チャンバー6から排気を行う排気部2と、を備えている。また、熱処理装置1は、これらの各部を制御して半導体ウェハーWの加熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、上下両端が開放された略円筒状の内壁を有するチャンバー側部63を備える。チャンバー側部63は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール等)にて形成される。チャンバー6の上部開口および下部開口には上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64がそれぞれ装着されて閉塞されている。チャンバー側部63、上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓61は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。同様に、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4から出射された光を熱処理空間65に透過する石英窓として機能する。
また、熱処理空間65の気密性を維持するために、上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64とチャンバー側部63とは図示省略のOリングによってシールされている。具体的には、上側チャンバー窓61の下面周縁部および下側チャンバー窓64の上面周縁部とチャンバー側部63との間にそれぞれOリングを挟み込み、これらの隙間から気体が流出入するのを防いでいる。
チャンバー側部63には、半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部66が設けられている。搬送開口部66は、図示を省略するゲートバルブによって開閉可能とされている。搬送開口部66が開放されると、図外の搬送ロボットによってチャンバー6に対する半導体ウェハーWの搬入および搬出が可能となる。また、搬送開口部66が閉鎖されると、熱処理空間65が外部との通気が遮断された密閉空間となる。
サセプター7は、石英にて形成された円形のプレートであり、処理対象となる半導体ウェハーWを載置して保持する。サセプター7は、図示を省略する適宜の部材によってチャンバー6内に設置される。サセプター7の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、サセプター7は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。また、サセプター7の厚さは適宜のものとすることができるが、例えば2.5mmである。
サセプター7の上面には、複数個の支持ピン(バンプピン)75が立設されている。本実施形態においては、円形のサセプター7の外周円と同心円の周上に沿って30°毎に計12本の支持ピン75が立設されている。12本の支持ピン75を配置した円の径(対向する支持ピン75間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さい。それぞれの支持ピン75は石英にて形成されている。複数の支持ピン75は、例えばサセプター7の上面に穿設された凹部に嵌着して立設すれば良い。また、サセプター7の上面には、複数の支持ピン75によって支持される半導体ウェハーWの位置ずれを防止するためのガイドピンまたはガイドリングが設けられていても良い。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、サセプター7の上に水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)にて載置されて支持される。半導体ウェハーWは、サセプター7の上面に立設された12本の支持ピン75によって点接触にて支持されてサセプター7に保持される。すなわち、半導体ウェハーWは12本の支持ピン75によってサセプター7の上面から所定の間隔を隔てて支持されることとなる。
サセプター7の下方には移載部79が設けられている。移載部79は、図示省略の駆動機構によって水平方向の移動と鉛直方向の移動とが可能に構成されている。移載動作を行わないときには、移載部79はサセプター7よりも外側の待機位置に待機している。サセプター7に対して半導体ウェハーWの移載を行う際には、移載部79が待機位置からサセプター7の直下の移載位置に水平移動した後、鉛直方向に沿って上昇する。これにより、移載部79のピンの上端がサセプター7の上面から突き出る。移載動作が終了すると、移載部79は再び待機位置に戻る。
ガス供給部8は、チャンバー6内の熱処理空間65に処理ガスを供給する。ガス供給部8は、処理ガス供給源81とバルブ82とを備えており、バルブ82を開放することによって熱処理空間65に処理ガスを供給する。ガス供給部8が供給する処理ガスとしては、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)などの不活性ガス、または、酸素(O)、水素(H)、塩素(Cl)、水蒸気(HO)、塩化水素(HCl)、オゾン(O)、アンモニア(NH)などの反応性ガスを用いることができる。なお、処理ガス供給源81としては、熱処理装置1内に設けられた気体タンクと送給ポンプとで構成するようにしても良いし、熱処理装置1が設置される工場の用力を用いるにようにしても良い。
排気部2は、排気装置21およびバルブ22を備えており、バルブ22を開放することによってチャンバー6内の雰囲気を排気する。排気装置21としては、真空ポンプや熱処理装置1が設置される工場の排気ユーティリティを用いることができる。排気部2によってチャンバー6内の雰囲気を排気しつつ、ガス供給部8からチャンバー6内に処理ガスを供給することにより、チャンバー6内の熱処理空間65を処理ガスの雰囲気に置換することができる。
熱処理装置1は、サセプター7に支持された半導体ウェハーWに光照射を行う光照射部としてフラッシュ加熱部5およびハロゲン加熱部4の2種類の光照射部を備える。フラッシュ加熱部5は、チャンバー6の上方に設けられている。フラッシュ加熱部5は、複数本(本実施形態では30本)のフラッシュランプFLを有するフラッシュ光源と、そのフラッシュ光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。フラッシュ加熱部5は、チャンバー6の上側からサセプター7に支持される半導体ウェハーWの上面に石英の上側チャンバー窓61を介してフラッシュランプFLからフラッシュ光を照射する。
一方、ハロゲン加熱部4は、チャンバー6の下方に設けられている。ハロゲン加熱部4は、複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを有するハロゲン光源と、そのハロゲン光源の下方を覆うように設けられたリフレクタ42と、を備えて構成される。ハロゲン加熱部4は、チャンバー6の下側からサセプター7に支持される半導体ウェハーWの下面に石英の下側チャンバー窓64を介してハロゲンランプHLから光を照射する。
図2は、フラッシュランプFLおよびハロゲンランプHLの配置関係を示す斜視図である。複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向がサセプター7に支持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
一方、ハロゲン加熱部4には、上下2段に各20本ずつのハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向がサセプター7に支持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図2に示すように、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段の各ハロゲンランプHLの長手方向と下段の各ハロゲンランプHLの長手方向とが直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、リフレクタ42は、複数のハロゲンランプHLの下方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ42は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
図1に戻り、熱処理装置1は、チャンバー6の内壁を覆う石英のライナー90を備える。ライナー90は、有底筒形状を有し、チャンバー6の内壁面に沿って着脱自在に取り付けられている。石英のライナー90の肉厚は2mm〜3mmである。なお、ライナー90は、筒部と底部とに分割可能な分割体であっても良いし、一体成形されたものであっても良い。
本実施形態においては、ライナー90は、金属製のチャンバー側部63の内壁面のみならず、石英の上側チャンバー窓61および下側チャンバー窓64の内壁面をも覆う。但し、搬送開口部66や給排気を行うポートに対向するライナー90の部位には孔が形成され、半導体ウェハーWの搬出入および熱処理空間65に対する給排気の障害とならないようにされている。
また、熱処理装置1は、一対の投光器95および受光器96からなる光学式センサーを備える。図3は、投光器95および受光器96の構成を示す図である。投光器95は、光源となる透光素子、当該透光素子を制御する回路、レンズ系等を内蔵し、検出媒体となる光を外部に向けて投射する。投光器95は、チャンバー側部63の外壁面に取り付けられている。すなわち、投光器95は、ライナー90の外方に配置され、チャンバー側部63に設けられた導光路68を介してライナー90に向けて光を投射する。
受光器96は、光を受光する受光素子、当該受光素子を制御する回路、レンズ系等を内蔵し、投光器95から投射された光を受光して電気信号に変換する。受光器96もチャンバー側部63の外壁面に取り付けられている。受光器96は、ライナー90の外方にライナー90を挟んで投光器95と対向配置される。投光器95と受光器96とは、双方の光軸が完全に一致するように設けられる。受光器96は、投光器95から投射されてライナー90を透過した光を導光路68を介して受光する。
図1に戻り、制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。また、制御部3には上記の投光器95および受光器96が電気的に接続されており、制御部3は投光器95からの光の投射を制御するとともに、受光器96から伝達された電気信号に基づいてライナー90に付着した汚染を検知する。
次に、上記構成を有する熱処理装置1における半導体ウェハーWの処理手順について説明する。ここで処理対象となる半導体ウェハーWはイオン注入法により不純物(イオン)が添加された半導体基板である。その不純物の活性化が熱処理装置1によるフラッシュ光照射加熱処理(アニール)により実行される。以下に説明する熱処理装置1の処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、図示省略のゲートバルブが開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内に搬入される。半導体ウェハーWを保持した搬送ロボットのハンドが搬送開口部66からチャンバー6内に進入し、サセプター7の直上にて停止する。続いて、移載部79が待機位置からサセプター7の直下に水平移動した後、鉛直方向に沿って上昇し、移載部79のピンがサセプター7の支持ピン75よりも上側に突き出て搬送ロボットのハンドから半導体ウェハーWを受け取る。その後、搬送ロボットのハンドがチャンバー6から退出するとともに、搬送開口部66が閉鎖されることによりチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。そして、半導体ウェハーWを受け取った移載部79が下降することにより、半導体ウェハーWは移載部79のピンからサセプター7に渡される。半導体ウェハーWは、その中心軸がサセプター7の中心軸と一致するようにサセプター7に支持される。サセプター7に半導体ウェハーWを渡した移載部79は待機位置に戻る。
また、半導体ウェハーWは、パターン形成がなされて不純物が注入された表面を上面としてサセプター7に支持される。半導体ウェハーWは、サセプター7の上面に立設された12本の支持ピン75によって点接触にて支持される。よって、複数の支持ピン75によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)とサセプター7の上面との間には所定の間隔が形成され、半導体ウェハーWはサセプター7の上面と平行に支持される。
また、搬送開口部66が閉鎖されて熱処理空間65が密閉空間とされた後、バルブ82が開放されてガス供給部8から熱処理空間65に処理ガス(本実施形態では窒素ガス)が供給される。これとともに、バルブ22が開放されて排気部2が熱処理空間65から排気を行う。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65が窒素ガス雰囲気に置換される。なお、チャンバー6内の雰囲気置換効率を高める観点からは、処理ガスを供給することなく排気部2が熱処理空間65の排気を行って一旦大気圧よりも低い減圧雰囲気とした後に、ガス供給部8から処理ガスを供給するのが好ましい。
半導体ウェハーWがサセプター7に載置されて支持された後、制御部3の制御によってハロゲン加熱部4の複数のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64、ライナー90、および、サセプター7を透過して半導体ウェハーWの裏面から照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWの温度が上昇する。なお、移載部79はサセプター7よりも外側の待機位置に退避しているため、ハロゲンランプHLによる予備加熱の障害となることは無い。
半導体ウェハーWは、ハロゲンランプHLからの光照射によって予め設定された予備加熱温度T1にまで昇温される。予備加熱温度T1は200℃ないし800℃程度、好ましくは350℃ないし600℃程度とされる(本実施の形態では600℃)。半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持するように制御部3がハロゲンランプHLの出力を維持する。具体的には、半導体ウェハーWの温度は図示省略の温度センサー(接触式温度計または放射温度計)によって計測されており、当該温度センサーによって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を制御して半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持する。なお、半導体ウェハーWの温度が室温から予備加熱温度T1に到達するまでの時間および予備加熱温度T1に維持される時間はいずれも数秒程度である。
ハロゲンランプHLからの光照射によって半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点にてフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLが半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇し、半導体ウェハーWに注入された不純物が活性化された後、表面温度が急速に下降する。このように、熱処理装置1では、半導体ウェハーWの表面温度を極めて短時間で昇降することができるため、半導体ウェハーWに注入された不純物の熱による拡散を抑制しつつ不純物の活性化を行うことができる。なお、不純物の活性化に必要な時間はその熱拡散に必要な時間に比較して極めて短いため、0.1ミリセカンドないし100ミリセカンド程度の拡散が生じない短時間であっても活性化は完了する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度も温度センサーによって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載部79が待機位置からサセプター7の直下に水平移動した後、鉛直方向に沿って上昇し、移載部79のピンがサセプター7の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWを持ち上げてサセプター7から離間させる。次いで、搬送開口部66が開放されて搬送ロボットのハンドがチャンバー6内に進入し、半導体ウェハーWの直下にて停止する。続いて、移載部79が下降して搬送ロボットのハンドに処理後の半導体ウェハーWを渡す。その後、半導体ウェハーWを受け取った搬送ロボットのハンドがチャンバー6から退出することにより半導体ウェハーWが搬出され、熱処理装置1におけるフラッシュ加熱処理が完了する。なお、搬送開口部66を開放する前に、チャンバー6内の熱処理空間65を大気雰囲気に置換するようにしても良い。
ところで、処理対象となる半導体ウェハーWの表面にはレジスト膜や絶縁膜等の種々の膜が形成されていることがある。このような膜形成のなされた半導体ウェハーWにフラッシュ光を照射して加熱処理を行うと、膜の燃焼や残留溶媒成分の揮発等によってチャンバー6の内壁面に汚染物質が付着することがある。チャンバー6の内壁面に汚染物質が付着すると、それが汚染源となるのみならず、チャンバー6の内壁面の反射率が変化することによって光照射時における半導体ウェハーWの照度分布が乱れて面内温度分布が不均一になるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、チャンバー6の内壁を覆うライナー90を設けている。ライナー90を設けることによって、加熱処理時に半導体ウェハーWから生じた汚染物質はチャンバー6の内壁面ではなく、ライナー90に付着することとなる。これにより、チャンバー6の内壁面の汚染を防止することができる。
もっとも、ライナー90に汚染物質が付着した場合であっても、それが熱処理空間65における汚染源となり、チャンバー6の内壁面の反射率が変化することとなる。このため、本実施形態においては、投光器95および受光器96からなる光学式センサーを設けている。図3に示したように、投光器95から投射された光は、チャンバー側部63に設けられた導光路68を通ってライナー90を透過して熱処理空間65に進入する。さらに、その光は、再びライナー90を透過して導光路68を通って受光器96によって受光される。
制御部3は、受光器96が受光した光を電気信号に変換した信号のレベルに基づいて、ライナー90への汚染物質の付着を監視している。ライナー90に汚染物質が付着して光の透過率が低下すると、受光器96に到達する光の強度が低下し、それを電気信号に変換した信号のレベルも低下する。すなわち、ライナー90に付着している汚染物質の量が多くなるにつれて、受光器96に到達する光の強度が低くなり、信号のレベルも低下する。制御部3は、受光器96が出力する信号のレベルに基づいて、ライナー90の汚染の程度を監視しているのである。
そして、制御部3は、ライナー90に付着した汚染物質の量が一定以上となったとき、つまり受光器96から出力される信号のレベルが所定の閾値以下となった時点で熱処理装置1における半導体ウェハーWに対する処理を中断する。なお、ライナー90に付着した汚染物質の量が一定以上となったことが検知された場合であっても、既に仕掛かり中の半導体ウェハーWについては処理を完了するようにしても良い。
ライナー90に付着した汚染物質の量が一定以上となったことが検知されて半導体ウェハーWに対する処理が中断された後、クリーニング(メンテナンス)作業を実行する。本実施形態では、チャンバー6の内壁面に汚染物質は付着しておらず、着脱自在のライナー90に汚染物質が付着しているため、ライナー90を交換するだけで簡便にクリーニング作業を行うことができる。
本実施形態においては、チャンバー6の内壁を覆う石英のライナー90を設け、そのライナー90に付着した汚染を一対の投光器95および受光器96からなる光学式センサーによって検知している。加熱処理時に生じた汚染物質はライナー90に付着するため、チャンバー6の内壁への汚染を防止することができる。
また、ライナー90に一定量以上の汚染物質が付着したことが検知されたときには、半導体ウェハーWに対する処理を中断している。このため、ライナー90に付着した汚染物質から後続の半導体ウェハーWへの汚染を防止するとともに、チャンバー6の内壁面の反射率変化に起因した半導体ウェハーWの面内温度分布の均一性低下を防止することができる。
さらに、ライナー90に一定量以上の汚染物質が付着したことが検知されたときにも、ライナー90を交換するだけで足りるため、クリーニング作業を簡便なものとすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、光学式センサーを一対の投光器95および受光器96を備えた透過型センサーとしていたが、これに限定されるものではなく、光学式センサーとして例えば投射した光の反射光を検知する反射型センサーを用いるようにしても良い。
また、制御部3は、ライナー90に一定量以上の汚染物質が付着したことを検知したときに、半導体ウェハーWに対する処理を中断するのに代えて(または加えて)、汚染が規定値以上である旨の警告を発報するようにしても良い。
さらに、制御部3は、ライナー90に付着している汚染物質の量を熱処理装置1の表示パネル等に定常的に表示するようにしても良い。この場合、熱処理装置1のオペレータが表示内容を確認してクリーニング作業を行うか否かを判断する。ライナー90に上記一定量以上の汚染物質が付着する前にクリーニング作業を行うようにすれば、半導体ウェハーWに対する処理を中断しなくとも足りる。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、上段および下段に複数する配置する形態であれば任意の数とすることができる。
また、本発明に係る熱処理装置によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。また、本発明に係る技術は、高誘電率ゲート絶縁膜(High-k膜)の熱処理、金属とシリコンとの接合、或いはポリシリコンの結晶化に適用するようにしても良い。
1 熱処理装置
2 排気部
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 サセプター
8 ガス供給部
65 熱処理空間
90 ライナー
95 投光器
96 受光器
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (7)

  1. 基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理装置であって、
    基板を収容するチャンバーと、
    前記チャンバー内にて基板を支持するサセプターと、
    前記サセプターに支持された基板に光を照射する光照射部と、
    前記チャンバーの内壁を覆う石英のライナーと、
    前記ライナーに付着した汚染を検知する光学式センサーと、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  2. 請求項1記載の熱処理装置において、
    前記光学式センサーによって前記ライナーに汚染が検知されたときには基板に対する処理を中断する制御部をさらに備えることを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の熱処理装置において、
    前記光学式センサーは、
    前記ライナーの外方に配置され、光を投射する投光器と、
    前記ライナーの外方に前記ライナーを挟んで前記投光器と対向配置され、前記投光器から投射された光を受光する受光器と、
    を備えることを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱処理装置において、
    前記光照射部は、前記チャンバーの一方側から基板にフラッシュ光を照射するフラッシュランプを含むことを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項4記載の熱処理装置において、
    前記光照射部は、前記チャンバーの他方側から基板に光を照射するハロゲンランプをさらに含むことを特徴とする熱処理装置。
  6. 基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    チャンバー内にてサセプター上に支持した基板に光を照射して加熱する加熱工程と、
    前記チャンバーの内壁を覆う石英のライナーに付着した汚染を光学式センサーによって検知する汚染検知工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  7. 請求項6記載の熱処理方法において、
    前記汚染検知工程にて前記ライナーに汚染が検知されたときには前記加熱工程の処理を中断することを特徴とする熱処理方法。
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