JP2017001251A - 樹脂成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】表皮層を剥がれ難くして、耐久性を向上させることができる樹脂成形体を提供する。【解決手段】塩化ビニル樹脂から成る表皮層2と、表皮層と一体的に接合される発泡ウレタン樹脂3とから形成される樹脂成形体1において、表皮層を形成する塩化ビニル樹脂が発泡ウレタンに拡散し、塩化ビニル樹脂を拡散源とする塩素原子(Cl)が、発泡ウレタン中に存在することを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、塩化ビニル樹脂および発泡ウレタン等から成る樹脂成形体に関する。
従来、自動車の内装部材には塩化ビニル樹脂等を用いた樹脂成形体が広く用いられている。
特に、柔軟性を与えるために内部を発泡ウレタンの層とし、表面を塩化ビニル樹脂で覆った樹脂成形体は、成形加工性に優れ、比較的安価であることから、インストゥルメントパネル(インパネ)、グローブボックス、ドアトリムなどに多用されている。
このような樹脂成形体に関する技術は種々提案されている(特許文献1等)。
本発明は、表皮を形成する塩化ビニル樹脂と発泡ウレタンとのの密着性を高め、表皮層を剥がれ難くして、耐久性を向上させることができる樹脂成形体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る樹脂成形体は、塩化ビニル樹脂から成る表皮層と、前記表皮層と一体的に接合される発泡ウレタン樹脂とから形成される樹脂成形体において、前記表皮層を形成する塩化ビニル樹脂が発泡ウレタンに拡散し、前記塩化ビニル樹脂を拡散源とする塩素原子が、前記発泡ウレタン中に存在することを要旨とする。
本発明に係る樹脂成形体によれば、表皮層を形成する塩化ビニル樹脂が発泡ウレタンに拡散し、塩化ビニル樹脂を拡散源とする塩素原子が、発泡ウレタン中に存在するので、塩化ビニル樹脂から成る表皮層を発泡ウレタンから剥がれ難くして、耐久性を向上させることができる。
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
[実施の形態に係る樹脂成形体]
(樹脂成形体の構成)
図1を参照して、実施の形態に係る樹脂成形体1の構成例について説明する。
(樹脂成形体の構成)
図1を参照して、実施の形態に係る樹脂成形体1の構成例について説明する。
本実施の形態に係る樹脂成形体1は、図1に模式的に示すように、塩化ビニル樹脂(ポリ塩化ビニル(PVC:polyvinyl chloride)から成る表皮層2と、表皮層2と一体的に接合される発泡ウレタン樹脂3とから形成される樹脂成形体であって、表皮層2を形成するポリ塩化ビニル(PVC)が発泡ウレタン3に拡散し、ポリ塩化ビニル(PVC)2を拡散源とする塩素原子(Cl)が、発泡ウレタン3中に存在するようになっている。
図1において、符号4は、発泡ウレタン3に添加される可塑剤である。可塑剤4の詳細については後述する。
なお、ポリ塩化ビニル(PVC)の化学式は、(CH2CHCl)nであり、1分子中に、1個の塩素原子(Cl)を含んでいる。
また、ポリ塩化ビニル(PVC)は、塩化ビニルモノマ(CH2=CHCl)を付加重合させて合成することができる。
ここで、ポリ塩化ビニル(PVC)2の発泡ウレタン3への拡散深さαは、5μm以上であることが望ましい。
また、上述のように発泡ウレタン3に添加される可塑剤4としては、溶解度パラメータ(SP(Solubility Parameter)値)が9.0以上の可塑剤が選択されることが望ましい。
(可塑剤について)
図1に示す本実施の形態に係る樹脂成形体1では、可塑剤4は、ポリ塩化ビニル(PVC)2に添加されている。
図1に示す本実施の形態に係る樹脂成形体1では、可塑剤4は、ポリ塩化ビニル(PVC)2に添加されている。
なお、これに限らず、ポリ塩化ビニル(PVC)2と発泡ウレタン3の両方に可塑剤4を添加するようにしてもよい。
また、図1に示す例では、可塑剤4は、発泡ウレタン3にも存在しているが、これは、後述するように、ポリ塩化ビニル(PVC)2に予め添加された可塑剤4が、発泡ウレタン3中に拡散したものである。
ここで、可塑剤4としては、ジブチルフタレート(SP値9.41)、ブチルベンジルフタレート(SP値9.86)、ジブトキシエチルフタレート(SP値9.22)、エポキシ化大豆油(SP値9.00)、トリクレジルフォスフェート(SP値9.70)、トリスクロルエチルフォスフェート(SP値10.50)、メチレンビスブチルチオグリコレート(SP値9.59)、アジピン酸ポリエステル(SP値9.0〜9.3)、ジエチレングルコールジベンゾエート(SP値10.5)からなる群から選択される1または2以上の組合せとすることができる。
なお、可塑剤4として、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エーテル系可塑剤、ポリエステル系司塑剤、塩素系可塑剤の何れかを用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態に係る樹脂成形体1は、可塑剤の配合量が、塩化ビニル樹脂100重量部に対して70〜150重量部とすると良い。
(塩素原子拡散のメカニズム)
塩素原子(Cl)が、発泡ウレタン3側に拡散するメカニズムについて、本発明者が実験から得た知見に基いて説明する。
塩素原子(Cl)が、発泡ウレタン3側に拡散するメカニズムについて、本発明者が実験から得た知見に基いて説明する。
可塑剤4を多く含むポリ塩化ビニル(PVC)2から成る表皮層が、発泡ウレタン3と接触した状態で熱負荷を加えると、塩化ビニル(PVC)2から成る表皮層の伸び率が時間と共に小さくなっていく事象が知られている。
これは、塩化ビニル(PVC)2から成る表皮層中の可塑剤4が、発泡ウレタン3側に移行(拡散)するために観測される現象である。
この際に、塩化ビニル(PVC)2から成る表皮層と発泡ウレタン3との界面は強固に密着しており、表皮剥離試験を行うと高い確率で凝集破壊となる。
また、図2のグラフに示すように、可塑剤の移行量の多少により、凝集破壊、界面破壊となる。
従って、初期可塑剤の移行量が多いほど、表皮層中の塩化ビニル(PVC)2が可塑剤4と共に一体となって発泡ウレタン樹脂3の架橋構造に分散、拡散していると考えられる。
そして、発明者は、さらに鋭意研究を続けた結果、本実施の形態に係る樹脂成形体1において、塩化ビニル(PVC)2中の塩素原子(Cl)が、発泡ウレタン3の深さ方向に5μm以上拡散させた場合に、界面が強固に密着することを確認し、本発明を完成するに至ったものである。
(樹脂成形体の分析例)
図3(a)、(b)を参照して、本実施の形態に係る樹脂成形体1についての分析例について説明する。
図3(a)、(b)を参照して、本実施の形態に係る樹脂成形体1についての分析例について説明する。
図3(a)は、分析用試料として成形した樹脂成形体1の接着界面について含有元素のマッピング分析を行った撮像図、図3(b)は、その接着界面を拡大した撮像図である。
なお、含有元素のマッピング分析は、エネルギー分散X線分析(EDX分析)により行った。
より具体的には、検出器としてエネルギー分散型X線分光器を用い、加速電圧は10kVの条件で行った。
なお、分析用試料としての樹脂成形体1は、カッタで切り出し、その試料断面に蒸着処理を施した上で測定を行った。
ここで、図3(a)、(b)に示すように、接着界面から発泡ウレタン3側に塩化ビニル樹脂(表皮層)2が拡散していることが分かる。
そして、塩化ビニル樹脂(表皮層)2に含まれる塩素原子(Cl)の発泡ウレタン3への拡散深さαは、5μm以上であった。
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載にしたがって解釈すべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれる。
1…樹脂成形体
2…表皮層(ポリ塩化ビニル(PVC))
3…発泡ウレタン樹脂(発泡ウレタン)
4…可塑剤
Cl…塩素原子
α…拡散深さ
2…表皮層(ポリ塩化ビニル(PVC))
3…発泡ウレタン樹脂(発泡ウレタン)
4…可塑剤
Cl…塩素原子
α…拡散深さ
Claims (4)
- 塩化ビニル樹脂から成る表皮層(2)と、前記表皮層と一体的に接合される発泡ウレタン樹脂(3)とから形成される樹脂成形体(1)において、
前記表皮層を形成する塩化ビニル樹脂が発泡ウレタンに拡散し、前記塩化ビニル樹脂を拡散源とする塩素原子(Cl)が、前記発泡ウレタン中に存在することを特徴とする樹脂成形体。 - 前記塩化ビニル樹脂の発泡ウレタンへの拡散深さ(α)は、5μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
- 前記塩化ビニル樹脂に添加される可塑剤(4)として、溶解度パラメータ(SP値)が9.0以上の可塑剤が選択されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形体。
- 前記可塑剤は、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジブトキシエチルフタレート、エポキシ化大豆油、トリクレジルフォスフェート、トリスクロルエチルフォスフェート、メチレンビスブチルチオグリコレート)、アジピン酸ポリエステルおよびジエチレングルコールジベンゾエートからなる群から選択される1または2以上の組合せであることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体。
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5431078U (ja) * | 1977-08-03 | 1979-03-01 | ||
JPS63118355A (ja) * | 1986-11-07 | 1988-05-23 | Du Pont Mitsui Polychem Co Ltd | 接着性が改良された塩化ビニル系重合体組成物 |
WO2016098344A1 (ja) * | 2014-12-17 | 2016-06-23 | 日本ゼオン株式会社 | 塩化ビニル樹脂組成物及びその製造方法、塩化ビニル樹脂成形体及びその製造方法、並びに、積層体 |
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2015
- 2015-06-09 JP JP2015116467A patent/JP2017001251A/ja active Pending
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