JP2017089736A - 軸受およびコンロッドアセンブリ - Google Patents
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Abstract
【課題】ブシュの内周面の下側部分に、簡単に潤滑油を供給することができる軸受、およびコンロッドアセンブリを提供することを課題とする。【解決手段】軸受1は、コンロッド7の小端部70と大端部71とを通過する方向を上下方向、小端部70側を上側、大端部71側を下側として、小端部70に配置され、ピストンピン92を支持すると共に内周面20に複数の溝部200a、200bを有する円筒状のブシュ2と、溝部200a、200bから突出可能に溝部200a、200bに配置され、ピストンピン92を支持可能な支持部30a、30bを有する複数のばね部材3a、3bと、を備える。複数の支持部30a、30bは、ブシュ2の重心Gよりも下側であって、かつ重心Gの真下以外の位置に配置される。【選択図】図2
Description
本発明は、コンロッドの小端部に配置されピストンピンを相対的に揺動可能に支持する軸受、およびコンロッドアセンブリに関する。
特許文献1に開示されているように、コンロッドは、ピストンに作用する爆発力をクランクシャフトに伝達している。また、コンロッドは、ピストンの往復運動を、クランクシャフトの回転運動に変換している。コンロッドの小端部は、ブシュを介して、ピストンピンに連結されている。ブシュの内周面とピストンピンの外周面との間には、潤滑油が供給される。
ピストンのストローク方向を上下方向、上死点側を上側、下死点側を下側として、エンジンの爆発力は、ピストンつまりピストンピンに対して、下向きに作用する。つまり、ピストンピンをブシュの内周面の下側部分に押し付ける方向に、爆発力は作用する。一方、クランクシャフトの回転運動に伴って、ピストンピンには、所定のクランク回転角度領域において、上向きの遠心力が作用する。このように、ピストンピンには、下向きの爆発力と、上向きの遠心力と、が作用する。当該遠心力により、ブシュの内周面に対して、ピストンピンを浮かせることができる。このため、ブシュの内周面の下側部分に、潤滑油を供給することができる。
しかしながら、近年のエンジン(例えば、ディーゼルターボエンジンなど)においては、エンジンの圧縮比が高くなっている。このため、爆発力が大きくなっている。これに対して、燃費向上の観点から摺動抵抗軽減が求められることから、エンジンの回転速度は遅い方が好ましい。エンジンの回転速度が遅くなると、コンロッドの大端部の回転速度が遅くなる。したがって、ピストンピンに作用する遠心力が小さくなる。
このように、近年のエンジンにおいては、ピストンピンに下向きに作用する爆発力は大きくなる傾向にある。一方、ピストンピンに上向きに作用する遠心力は小さくなる傾向にある。このため、ピストンピンの外周面の下側部分が、ブシュの内周面の下側部分に、押し付けられてしまう。したがって、ブシュの内周面の下側部分に、潤滑油が供給されにくくなる。そこで、本発明は、ブシュの内周面の下側部分に、簡単に潤滑油を供給することができる軸受、およびコンロッドアセンブリを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の軸受は、コンロッドの小端部と大端部とを通過する方向を上下方向、前記小端部側を上側、前記大端部側を下側として、前記小端部に配置され、ピストンピンを支持すると共に内周面に複数の溝部を有する円筒状のブシュと、前記溝部から突出可能に前記溝部に配置され、前記ピストンピンを支持可能な支持部を有する複数のばね部材と、を備え、複数の前記支持部は、前記ブシュの重心よりも前記下側であって、かつ前記重心の真下以外の位置に配置されることを特徴とする。
前述したように、クランクシャフトの回転運動に伴って、所定のクランク回転角度領域において、ピストンピンには、上向きの遠心力(慣性力)が作用する。この点、本発明の軸受およびコンロッドアセンブリによると、複数の支持部が、ブシュの重心よりも下側に配置されている。このため、複数のばね部材は、ピストンピンに上向きに作用する遠心力を、補助することができる。したがって、ブシュの内周面に対して、ピストンピンを浮かせることができる。よって、ブシュの内周面の下側部分に、簡単に潤滑油を供給することができる。
また、支持部は、複数配置されている。このため、支持部が一つだけ配置されている場合と比較して、ピストンピンに対する支持部の受圧面積を広くすることができる。すなわち、支持部に加わる面圧を小さくすることができる。
また、燃焼室における混合気の爆発力により、ピストンピンは、内周面の真下部分に、押し付けられやすい。このため、内周面の真下部分には、大きな荷重が加わりやすい。この点、複数の支持部は、内周面の真下部分を避けて配置されている。このため、内周面の真下部分に一つだけ支持部が配置されている場合と比較して、ばね部材に過大な荷重が加わりにくい。
以下、本発明の軸受およびコンロッドアセンブリの実施の形態について説明する。
<第一実施形態>
[コンロッドアセンブリの構成]
まず、本実施形態のコンロッドアセンブリの構成について説明する。図1に、本実施形態のコンロッドアセンブリを備えるエンジンのシリンダの軸方向断面図を示す。図1に示すように、エンジン9は、シリンダ90と、ピストン91と、ピストンピン92と、クランクシャフト93と、コンロッドアセンブリ8と、を備えている。エンジン9は、ディーゼルターボエンジンである。
[コンロッドアセンブリの構成]
まず、本実施形態のコンロッドアセンブリの構成について説明する。図1に、本実施形態のコンロッドアセンブリを備えるエンジンのシリンダの軸方向断面図を示す。図1に示すように、エンジン9は、シリンダ90と、ピストン91と、ピストンピン92と、クランクシャフト93と、コンロッドアセンブリ8と、を備えている。エンジン9は、ディーゼルターボエンジンである。
ピストン91は、シリンダ90内に収容されている。ピストン91により、シリンダ90内には、燃焼室Cが区画されている。ピストンピン92は、円筒状を呈している。ピストンピン92は、ピストン91を直径方向に貫通している。クランクシャフト93は、メインジャーナル930と、クランクピン931と、クランクアーム932と、を備えている。メインジャーナル930に対して、クランクピン931は、クランクアーム932を介して、偏心して接続されている。すなわち、メインジャーナル930の中心a3に対して、後述するコンロッド(コネクティングロッド)7の大端部71の中心a2は、偏心している。
図2に、エンジンのピストンの軸方向断面図を示す。図3に、図2の円III内の拡大図を示す。図4に、本実施形態の軸受の部分斜視図を示す。図5に、同軸受のブシュ内周面の下半分の展開図を示す。なお、図4においては、ピストンピン92を透過して示す。
図2、図4に示すように、コンロッドアセンブリ8は、軸受1と、コンロッド7と、を備えている。図1、図2に示すように、コンロッド7は、小端部70と、大端部71と、ロッド部72と、を備えている。図1に示すように、大端部71は、円環状を呈している。大端部71には、コンロッドベアリング710を介して、クランクピン931が接続されている。図2〜図4に示すように、小端部70は、大端部71より小径の円環状を呈している。小端部70は、二つの油孔700を備えている。二つの油孔700は、小端部70を径方向に貫通している。ロッド部72は、大端部71と小端部70とを連結している。
図1に示すように、コンロッド7を正面から見て、小端部70の中心a1および大端部71の中心a2を通過する中心線Aの延在方向を「上下方向」、中心a2から見て中心a1側を「上側」、中心a1から見て中心a2側を「下側」、と各々定義する。
図2〜図4に示すように、軸受1は、ブシュ2と、二つのばね部材3a、3bと、を備えている。軸受1は、滑り軸受である。ブシュ2は、短軸円筒状を呈している。ブシュ2は、小端部70の径方向内側に配置されている。ブシュ2は、ピストンピン92を下側から支持している。ブシュ2の内周面20と、ピストンピン92の外周面920と、の間には、隙間(オイルクリアランス)Bが確保されている。内周面20には、二つの溝部200a、200bが凹設されている。図3〜図5に示すように、二つの溝部200a、200bは、各々、内周面20の周方向に、弧状に延在している。二つの溝部200a、200bは、内周面20の軸方向(前後方向)にずれて配置されている。また、二つの溝部200a、200bは、内周面20の周方向にずれて配置されている。二つの溝部200a、200bは、中心線Aの左右両側に配置されている。ブシュ2は、二つの油孔21を備えている。二つの油孔21は、ブシュ2を径方向に貫通している。油孔21は、小端部70の油孔700と、径方向に連なっている。図3に示すように、油孔700、21を経由して、潤滑油Oが内周面20に供給される。潤滑油Oは、隙間Bに油膜を形成する。
ばね部材3aは、溝部200aに配置されている。ばね部材3aは、内周面20の周方向に、延在している。ばね部材3aの周方向全長は、溝部200aの周方向全長よりも、短い。ばね部材3aの板厚は、溝部200aの溝深さよりも、小さい。無荷重状態において、ばね部材3aは、平板状かつ帯状を呈している。ばね部材3aは、自身の有する弾性力により、溝部200aから、右上側(斜め上側)に突出可能である。ばね部材3aは、支持部30aを備えている。支持部30aは、ブシュ2の重心Gよりも下側に配置されている。図4、図5に点線ハッチングで示すように、支持部30aは、ピストンピン92の外周面920を、左下側(斜め下側)から支持可能である。エンジン9の状態により、支持部30aの面積(受圧面積)や位置は変化する。
ばね部材3bは、溝部200bに配置されている。ばね部材3bの構成は、ばね部材3aの構成と、同様である。ばね部材3bの配置は、ばね部材3aの配置と、中心線Aに対して、左右対称である。
ここで、ブシュ2の重心Gとは、ブシュ2を軸方向(コンロッド7の正面側)から見て、内周面20により形成される円の図形重心である。本実施形態において、重心Gは、小端部70の中心a1と一致している。
また、支持部30a、30bが外周面920を支持する形態には、支持部30a、30bが外周面920に接触することにより、外周面920を直接支持する形態が含まれる。また、支持部30a、30bが、潤滑油Oによる油膜を介して、外周面920を間接的に支持する形態が含まれる。内周面20が外周面920を支持する形態についても、同様である。
[軸受の動き]
次に、本実施形態の軸受の動きについて説明する。図6に、エンジンのピストンの軸方向断面図を示す。図7に、図6の円VII内の拡大図を示す。なお、図6は図2に、図7は図3に、各々対応している。また、図2、図3の軸受1は、リフト状態である。図6、図7の軸受1は、支持状態である。
次に、本実施形態の軸受の動きについて説明する。図6に、エンジンのピストンの軸方向断面図を示す。図7に、図6の円VII内の拡大図を示す。なお、図6は図2に、図7は図3に、各々対応している。また、図2、図3の軸受1は、リフト状態である。図6、図7の軸受1は、支持状態である。
後述するように、リフト状態においては、ピストンピン92が、内周面20ではなく、ばね部材3a、3bにより支持される。一方、支持状態においては、ピストンピン92が、内周面20およびばね部材3a、3bのうち、少なくとも内周面20により支持される。
通常運転時において、エンジン9のピストン91は、圧縮行程、膨張行程、排気行程、吸入行程からなるサイクルを、繰り返し実行する。当該サイクルに応じて、軸受1は、リフト状態と、支持状態と、に切り替わる。
図1に示すように、クランク回転角度(中心a3に対する中心a2の角度)領域が−90°〜0°(上死点)の区間(圧縮行程後半)の場合、図2に示すように、ピストンピン92には、上向きに遠心力(慣性力)F3が作用する。また、ばね部材3aからピストンピン92に、右上向きに弾性力F1aが加わる。並びに、ばね部材3bからピストンピン92に、左上向きに弾性力F1bが加わる。弾性力F1a、F1bの合力F1は、ピストンピン92に上向きに加わる。一方、ピストンピン92から二つのばね部材3a、3bに、下向きに、ピストン91およびピストンピン92の重さF2が加わる。ばね部材3a、3bの各々には、重さF2の分力が加わる。ここで、(合力F1+遠心力F3>重さF2)の関係が成立する。このため、図2、図3に示すように、圧縮行程後半において、軸受1はリフト状態になる。なお、説明の便宜上、ばね部材3a、3bの自重は省略する。
リフト状態において、外周面920の下側部分は、ばね部材3aの支持部30a、およびばね部材3bの支持部30bにより、支持されている。支持部30aは、溝部200aから突出している。ばね部材3aの周方向(内周面20の周方向)両端は、溝部200aの周方向両端に、周方向内側から弾接している。すなわち、ばね部材3aは、溝部200aに係止されている。同様に、支持部30bは、溝部200bから突出している。また、ばね部材3bは、溝部200bに係止されている。内周面20の下側部分と、外周面920の下側部分と、は離間している。このため、隙間Bの下側部分に、潤滑油Oが供給される。また、溝部200a、200bに、潤滑油Oが流れ込む。
図1に示すように、クランク回転角度領域が0°〜90°の区間(膨張行程前半)の場合、図6に示すように、圧縮行程後半と同様に、ピストンピン92には、上向きに遠心力F3が作用する。また、二つのばね部材3a、3bからピストンピン92に、上向きに合力F1が加わる。また、ピストンピン92から二つのばね部材3a、3bに、下向きに、ピストン91およびピストンピン92の重さF2が加わる。ばね部材3a、3bの各々には、重さF2の分力が加わる。
これらの荷重に加えて、膨張行程においては、ピストンピン92から二つのばね部材3a、3bに、下向きに、燃焼室Cにおける混合気の爆発力F4が加わる。ばね部材3a、3bの各々には、爆発力F4の分力が加わる。ここで、(合力F1+遠心力F3<重さF2+爆発力F4)の関係が成立する。このため、図6、図7に示すように、膨張行程前半において、軸受1は支持状態になる。
リフト状態から支持状態に切り替わる際、ピストンピン92は下側に移動する。このため、ばね部材3aの大部分は、溝部200aに収容される。したがって、溝部200a内の潤滑油Oが、内周面20に流出する。同様に、ばね部材3bの大部分は、溝部200bに収容される。このため、溝部200b内の潤滑油Oが、内周面20に流出する。支持状態においては、主に、内周面20の真下部分が、ピストンピン92の外周面920の真下部分を、支持している。なお、内周面20と共に、二つの支持部30a、30bも、外周面920に弾接している。リフト状態から支持状態に切り替わる際、二つばね部材3a、3bの曲率は大きくなる。このため、リフト状態よりも支持状態の方が、ばね部材3a、3bに蓄積される弾性エネルギが大きくなる。ばね部材3aの周方向両端は、溝部200aの周方向両端から、周方向内側に移動している。同様に、ばね部材3bの周方向両端は、溝部200bの周方向両端から、周方向内側に移動している。
このように、クランク回転角度領域が0°±90°以内(圧縮行程後半、膨張行程前半、排気行程後半、吸入行程前半)の場合、ピストンピン92には、上向きに遠心力F3が作用する。このため、膨張行程前半を除いて、軸受1はリフト状態になる。一方、クランク回転角度領域が180°±90°以内(圧縮行程前半、膨張行程後半、排気行程前半、吸入行程後半)の場合、ピストンピン92には、下向きに遠心力F3が作用する。当該区間、および膨張行程前半において、軸受1は支持状態になる。
エンジン停止時においては、二つのばね部材3a、3bからピストンピン92に、上向きに合力F1が加わる。一方、ピストンピン92から二つのばね部材3a、3bに、下向きに、ピストン91およびピストンピン92の重さF2が加わる。ここで、(合力F1<重さF2)の関係が成立する。このため、図6、図7に示すように、エンジン停止時において、軸受1は支持状態になる。
[作用効果]
次に、本実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリの作用効果について説明する。クランクシャフト93の回転運動に伴って、ピストンピン92には、所定のクランク回転角度領域(例えば、図1に示すように、0°±90°以内)において、上向きの遠心力(慣性力)F3が作用する。この点、本実施形態の軸受1およびコンロッドアセンブリ8によると、図3に示すように、ばね部材3a、3bの支持部30a、30bが、ブシュ2の重心Gよりも下側に配置されている。このため、ばね部材3a、3bは、自身の有する弾性力F1a、F1bを利用して、ピストンピン92に上向きに作用する遠心力F3を、補助することができる。したがって、ブシュ2の内周面20に対して、ピストンピン92を浮かせることができる。よって、ブシュ2の内周面20の下側部分、つまり隙間Bの下側部分に、簡単に潤滑油Oを供給することができる。
次に、本実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリの作用効果について説明する。クランクシャフト93の回転運動に伴って、ピストンピン92には、所定のクランク回転角度領域(例えば、図1に示すように、0°±90°以内)において、上向きの遠心力(慣性力)F3が作用する。この点、本実施形態の軸受1およびコンロッドアセンブリ8によると、図3に示すように、ばね部材3a、3bの支持部30a、30bが、ブシュ2の重心Gよりも下側に配置されている。このため、ばね部材3a、3bは、自身の有する弾性力F1a、F1bを利用して、ピストンピン92に上向きに作用する遠心力F3を、補助することができる。したがって、ブシュ2の内周面20に対して、ピストンピン92を浮かせることができる。よって、ブシュ2の内周面20の下側部分、つまり隙間Bの下側部分に、簡単に潤滑油Oを供給することができる。
また、ピストンピン92を介して支持部30a、30bに伝達される燃焼室Cの爆発力F4により、ばね部材3a、3bは弾性変形し、ばね部材3a、3bの大部分は溝部200a、200bに収容される。すなわち、爆発力F4により、軸受1は、図2、図3に示すリフト状態から、図6、図7に示す支持状態に、切り替わる。支持状態においては、主に、内周面20の真下部分が、ピストンピン92の外周面920の真下部分を、支持する。ピストンピン92は、溝部200a、200bに進入することはできない。このため、爆発力F4からばね部材3a、3bを保護することができる。
また、図6、図7に示す支持状態において、ばね部材3aは、溝部200a全体の容積を100%として、50%以上の容積を占有している。このため、図2、図3に示すリフト状態から、図6、図7に示す支持状態に、切り替わる際、ブシュ2の内周面20に充分な量の潤滑油Oを供給することができる。ばね部材3bについても同様である。
また、図2、図3に示すように、リフト状態において、ばね部材3aの周方向両端は、溝部200aの周方向両端に、周方向内側から弾接している。当該弾接により、ばね部材3aは溝部200aに係止されている。このため、ばね部材3aの周方向両端のうち少なくとも一方は、ばね部材3aの弾性変形時に、溝部200aに沿って移動可能である。したがって、ばね部材3aの周方向両端が溝部200aに固定されている場合と比較して、ばね部材3aの弾性変形が拘束されにくい。ばね部材3bについても同様である。
また、支持部30a、30bは、二つ配置されている。このため、支持部30a、30bが一つだけ配置されている場合と比較して、外周面920に対する支持部30a、30bの面積(受圧面積)を広くすることができる。すなわち、支持部30a、30bに加わる面圧を小さくすることができる。
また、膨張行程の始期(図1に示す上死点)において、爆発力F4(図6参照)により、ピストンピン92の外周面920は、内周面20の真下部分に、押し付けられる。このため、内周面20の真下部分には、大きな荷重が加わりやすい。
この点、二つの支持部30a、30bは、内周面20の真下部分を避けて配置されている。このため、内周面20の真下部分に一つだけ支持部30a、30bが配置されている場合と比較して、ばね部材3a、3bに過大な荷重が加わりにくい。
また、図3、図5、図7に示すように、ブシュ2の軸方向から見て、二つの支持部30a、30bは、中心線Aに対して、左右対称に配置されている。このため、二つの支持部30a、30bからピストンピン92に加わる弾性力F1a、F1bの合力F1を、ピストンピン92に対して、真上に作用させることができる。
<第二実施形態>
本実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリと、第一実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリと、の相違点は、溝部およびばね部材が各々軸方向に延在している点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
本実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリと、第一実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリと、の相違点は、溝部およびばね部材が各々軸方向に延在している点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
図8に、本実施形態の軸受のブシュ内周面の下半分の展開図を示す。図9(a)に、同軸受のリフト状態における図8のIX−IX方向断面図を示す。図9(b)に、同軸受の支持状態における図8のIX−IX方向断面図を示す。なお、これらの図において、図3、図5、図7と対応する部位については、同じ符号で示す。
図8に示すように、内周面20には、二つの溝部200a、200bが配置されている。二つの溝部200a、200bは、各々、内周面20の軸方向に延在している。二つの溝部200a、200bは、軸方向において同位置に配置されている。また、二つの溝部200a、200bは、周方向にずれて配置されている。溝部200aには、ばね部材3aが配置されている。溝部200bには、ばね部材3bが配置されている。無荷重状態において、ばね部材3a、3bは、各々、弧板状かつ帯状を呈している。
図8、図9(a)に示すように、リフト状態において、ばね部材3a、3bは、各々、径方向外側に向かって開口するC字弧状を呈している。ばね部材3aの支持部30aは、ピストンピン92の外周面920の左下部分を支持している。並びに、ばね部材3bの支持部30bは、ピストンピン92の外周面920の右下部分を支持している。ばね部材3aの弾性力とばね部材3bの弾性力との合力は、ピストンピン92に上向きに加わる。
図9(b)に示すように、支持状態において、ばね部材3aの大部分は、溝部200aに収容されている。並びに、ばね部材3bの大部分は、溝部200bに収容されている。ただし、支持部30a、30bは、各々、溝部200a、200bから突出している。支持状態においては、主に、内周面20の真下部分が、ピストンピン92の外周面920の真下部分を、支持している。
本実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリと、第一実施形態の軸受およびコンロッドアセンブリとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、溝部200a、200bおよびばね部材3a、3bが、各々、軸方向に延在していてもよい。また、無荷重状態において、ばね部材3a、3bが、各々、弧板状かつ帯状を呈していてもよい。また、リフト状態から支持状態に切り替わる際、ばね部材3a、3bが、各々、曲率が小さくなるように、弾性変形してもよい。
<その他>
以上、本発明の軸受およびコンロッドアセンブリの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
以上、本発明の軸受およびコンロッドアセンブリの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
上記実施形態においては、図1に示すように、0°±90°以内のクランク回転角度領域において、ピストンピン92に、上向きの遠心力(慣性力)F3が作用した。しかしながら、ピストンピン92に上向きの遠心力F3が作用するクランク回転角度領域は、特に限定しない。当該クランク回転角度領域は、例えば0°±80°以内など、0°±90°未満であってもよい。
軸受1がリフト状態、支持状態になるクランク角度領域は、特に限定しない。図2、図6に示すように、ピストンピン92周囲の荷重状況に応じて、軸受1は、リフト状態や支持状態に切り替わる。並びに、ピストンピン92周囲の荷重状況に応じて、リフト状態における溝部200a、200bからの支持部30a、30bの突出量は変化する。例えば、排気行程において、燃焼室C下流側の排気系の圧力が高い場合、ピストン91に下向きに荷重が加わる場合がある。この場合、軸受1は支持状態になる。
ばね部材3a、3bの材質、形状(無荷重状態や弾性変形状態における形状など)、数、位置、種類、特性(ばね定数など)は特に限定しない。板ばね、皿ばね、コイルばねなどであってもよい。支持部30a、30bの形状、数、位置は特に限定しない。単一のばね部材3a、3bが、複数の支持部30a、30bを有していてもよい。複数の支持部30a、30bからピストンピン92に加わる荷重の合力F1は、真上を向いている方がよい。
図3に示す油孔21の配置数、位置は特に限定しない。例えば、内周面20の下側部分に、油孔21が開口していてもよい。また、ブシュ2に油孔21を配置しなくてもよい。油孔700についても同様である。内周面20に潤滑油Oを供給する供給経路は特に限定しない。
エンジン9の種類は特に限定しない。本発明の軸受およびコンロッドアセンブリをガソリンエンジンに用いてもよい。ただし、本発明の軸受およびコンロッドアセンブリは、回転速度が遅く、図2に示す遠心力F3が小さいディーゼルエンジンに用いるのに、好適である。
1:軸受、2:ブシュ、20:内周面、200a:溝部、200b:溝部、21:油孔、3a:ばね部材、30a:支持部、3b:ばね部材、30b:支持部、7:コンロッド、70:小端部、700:油孔、71:大端部、710:コンロッドベアリング、72:ロッド部、8:コンロッドアセンブリ、9:エンジン、90:シリンダ、91:ピストン、92:ピストンピン、920:外周面、93:クランクシャフト、930:メインジャーナル、931:クランクピン、932:クランクアーム、A:中心線、B:隙間、C:燃焼室、F1:合力、F1a:弾性力、F1b:弾性力、F2:重さ、F3:遠心力、F4:爆発力、G:重心、O:潤滑油、a1〜a3:中心
Claims (6)
- コンロッドの小端部と大端部とを通過する方向を上下方向、前記小端部側を上側、前記大端部側を下側として、
前記小端部に配置され、ピストンピンを支持すると共に内周面に複数の溝部を有する円筒状のブシュと、
前記溝部から突出可能に前記溝部に配置され、前記ピストンピンを支持可能な支持部を有する複数のばね部材と、
を備え、
複数の前記支持部は、前記ブシュの重心よりも前記下側であって、かつ前記重心の真下以外の位置に配置される軸受。 - 前記ブシュの軸方向から見て、複数の前記支持部は、前記小端部の中心および前記大端部の中心を通過する中心線に対して、対称に配置される請求項1に記載の軸受。
- 前記ピストンピンを介して前記支持部に伝達される燃焼室の爆発力により、前記ばね部材は弾性変形し前記溝部に収容される請求項1または請求項2に記載の軸受。
- 前記ばね部材が前記溝部に収容されている状態において、前記ばね部材は、前記溝部の50%以上の容積を占有する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の軸受。
- 前記ばね部材および前記溝部は、前記ブシュの前記内周面の周方向に延在し、
前記支持部が前記溝部から突出している状態において、前記ばね部材の前記周方向両端が、前記溝部の前記周方向両端に、前記周方向内側から弾接することにより、前記ばね部材は前記溝部に係止される請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の軸受。 - 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の軸受と、前記軸受が小端部に配置されるコンロッドと、を備えるコンロッドアセンブリ。
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JP2015219741A JP2017089736A (ja) | 2015-11-09 | 2015-11-09 | 軸受およびコンロッドアセンブリ |
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- 2015-11-09 JP JP2015219741A patent/JP2017089736A/ja active Pending
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