JP2017088738A - ポリカーボネート樹脂組成物、成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体を含むポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体は、低温や試験片の厚みが厚い場合の耐衝撃性が劣る課題があり、使用できる製品形態や環境に制限がある。これらの条件下での耐衝撃性を改良する手段として、ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体にゴム含有グラフト共重合体を添加したポリカーボネート樹脂組成物に関する発明があり、特許文献1が以下の組成物を開示している。
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体30〜100質量%、及び、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合以外の芳香族ポリカーボネート0〜70質量%である樹脂混合物100質量部に対して、ポリオルガノシロキサン−アクリル系複合ゴム1〜5.5質量部を含み、粘度平均分子量が17000〜23000である、ポリカーボネート系樹脂組成物。
しかしながら、特許文献1に記載されたポリカーボネート樹脂組成物は、耐衝撃性は向上するものの、耐熱着色性に劣る、すなわち熱をかけると強く着色する性質を有し、ヒートエージング後の外観が悪化するという課題がある。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)、化学式(I)で表される構成単位および化学式(II)で表される構成単位を有するポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)、ならびにポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合して得られるゴム含有グラフト共重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)との合計100質量%のうち、ポリカーボネート樹脂(A)が75〜99質量%であり、ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)が1〜25質量%であるポリカーボネート樹脂組成物。
[4]化学式(II)で表される構成単位が、化学式(IV)で表される構成単位である[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[6]ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)の割合が、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)との合計100質量%のうち、1〜8質量%である[1]〜[5]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[7]ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)がオルガノシロキサン−アクリル系複合ゴム、およびオルガノシロキサン−スチレン系複合ゴムから選ばれる少なくとも一つ以上である[1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[8]ビニル単量体(c2)が(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む[1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[9]ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)の割合が、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)とビニル単量体(c2)との合計100質量%のうち、60〜99質量%である[1]〜[8]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[10]ゴム含有グラフト共重合体(C)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)およびポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部である[1]〜[9]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[11][1]〜[10]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
「構成単位」とは、単量体が重合することによって形成された重合体において、単量体に由来する構成単位、および重合体を処理することによって構成単位の一部が別の構造に変換された構成単位を意味する。
「質量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定される、ポリスチレン換算の質量平均分子量である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
ポリカーボネート樹脂(A)は、主鎖に炭酸エステル結合(−O−C(O)−O−)を有する高分子化合物であればよく、特に制限はない。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、通常、2価フェノールとカーボネート前駆体との反応によって製造される芳香族ポリカーボネートが挙げられる。具体的には、2価フェノールとカーボネート前駆体とを、溶液法または溶融法によって反応させて製造されたものが挙げられる。より具体的には、2価フェノールとホスゲンとを反応させて製造されたもの、2価フェノールとジフェニルカーボネート等とをエステル交換法によって反応させて製造されたものが挙げられる。
本明細書において、2価フェノールとは、分子内に2つのフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物をいう。
2価フェノールとしては、コストの点から、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン系が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。
2価フェノールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボネート前駆体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、種々のポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、粘度法により算出することができ、15,000〜30,000が好ましく、17,000〜25,000がより好ましい。粘度平均分子量が前記範囲内であれば、ポリカーボネート樹脂組成物の成形性が優れる傾向にある。
粘度法としては、例えば、塩化メチレン中20℃におけるウベローデ型粘度計による測定法が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)は、透明性に優れた成形体が得られることから、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明で用いられるポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)は、化学式(I)で表される構成単位および(II)で表される構成単位を含む共重合体である。
これら構成単位は、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)において、上記化学式(II)および上記化学式(IV)における構成単位の平均繰り返し数nは、1〜40が好ましく、5〜30がより好ましく、10〜30がさらに好ましい。平均繰り返し数nが1以上であれば耐衝撃性に優れる傾向にある。平均繰り返し数nが30以下であると耐熱性に優れる傾向にある。
本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体である。
本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)とビニル単量体(c2)との合計100質量%中、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)の含有量が60〜99質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましく、80〜95質量%であることがさらに好ましい。ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)の含有量が60質量%以上であれば、得られる成形体の耐衝撃性が優れる傾向にあり、99質量%以下であれば、ゴム含有グラフト共重合体(C)を樹脂に配合した際の分散性が向上する傾向にある。
本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)とビニル単量体(c2)との合計100質量%に中、ビニル単量体(c2)を重合して得られるグラフト部が1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)は、ポリオルガノシロキサン(C1−1)およびポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)から選ばれる1種または2種である。
本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)は成形体の発色性が優れることから、ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)を用いることが好ましく、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)がオルガノシロキサン−アクリル系複合ゴム、およびオルガノシロキサン−スチレン系複合ゴムから選ばれる少なくとも一つ以上であることがさらに好ましい。
ポリオルガノシロキサン(C1−1)は、オルガノシロキサン、必要に応じてポリオルガノシロキサン用グラフト交叉剤(以下、「シロキサン交叉剤」という。)、ポリオルガノシロキサン用架橋剤(以下、「シロキサン架橋剤」という。)及び末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマー等から成るオルガノシロキサン混合物を乳化重合して得られる。
RSi(R5)l(OR6)(3−l)・・・(V)
化学式(V)中、R5は、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を示す。R6は、アルコキシ基における有機基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基を挙げることができる。lは、0、1又は2を示す。Rは、化学式(V−1)〜(V−4)で表されるいずれかの基を示す。
[化学式(V1)〜(V4)]
CH2=C(R7)−COO−(CH2)p− (V−1)
CH2=C(R8)−C6H4− (V−2)
CH2=CH− (V−3)
HS−(CH2)q− (V−4)
これらの式中、R7およびR8は、それぞれ、水素又はメチル基を示し、pは1〜6の整数を示し、qは1〜6の整数を示す。
化学式(V−2)で表される官能基としては、ビニルフェニル基等を挙げることができる。この基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルフェニルエチルジメトキシシランを挙げることができる。
化学式(V−3)で表される官能基を有するシロキサンとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランを挙げることができる。
化学式(V−4)で表される官能基としては、メルカプトアルキル基を挙げることができる。この基を有するシロキサンとして、γ−メルカプトプロピルジメトキメチルシラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルエトキシジメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
これらシロキサン系グラフト交叉剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシトリメチルシランを挙げることができる。
ポリオルガノシロキサン(C1−1)の製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。
まず、オルガノシロキサン、必要に応じてシロキサン系架橋剤、必要に応じてシロキサン系グラフト交叉剤、及び必要に応じて末端封鎖基を有するシロキサンオリゴマーを含むオルガノシロキサン混合物を乳化剤と水によって乳化させてエマルションを調製する。エマルション調製後、酸触媒存在以下において高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質を添加して酸を中和し、ポリオルガノシロキサンラテックスを得る。
本明細書において、ラテックスとは溶液中に重合体の粒子が安定に分散した系をいう。
この製造方法において、エマルションの調製方法としては、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーを用いる方法、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して高速攪拌により混合する方法などが挙げられる。これらの中でも、ホモジナイザーを使用する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が狭くなるので好ましい方法である。
重合の際の酸触媒の混合方法としては、オルガノシロキサン混合物、乳化剤及び水とともに一括して添加し、混合する方法、オルガノシロキサン混合物のエマルション中に酸触媒水溶液を一括して添加する方法、オルガノシロキサン混合物のエマルションを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下して混合する方法等が挙げられるが、ポリオルガノシロキサンの粒子径を制御しやすいことから、オルガノシロキサン混合物のエマルションを高温で保持し、次いで酸触媒水溶液を一括して添加する方法が好ましい。
更に、−150℃以上30℃以下の温度においては、シラノール間の架橋反応が進行することから、ポリオルガノシロキサンの架橋密度を上げるために、−150℃以上30℃以下の温度で5時間から100時間程度保持することもできる。
ポリオルガノシロキサンの重合反応は、上記重合反応によって生成したポリオルガノシロキサンラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水溶液等のアルカリ性物質でpH6〜8に中和することにより、終了させることができる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを挙げることができる。
これらの乳化剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
乳化剤の使用量は、オルガノシロキサン混合物100質量部に対して、0.05〜12質量部であることが好ましく、乳化剤の使用量によって、ポリオルガノシロキサン(C1−1)を所望の粒子径に調整することが可能である。
オルガノシロキサン混合物100質量部に対して、0.001〜10質量部の乳化剤を使用することにより、ポリオルガノシロキサン(C1−1)の粒子径を10〜2000nmに調整することができる。
ポリオルガノシロキサンのラテックスの質量平均粒子径は、以下の方法で測定した値を採用することができる。
ポリオルガノシロキサンのラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定する。
測定は以下の条件で行うことが出来る。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名:C−202)
キャリア液:専用キャリア液(商品名:2XGR500)
流速:1.4ml/分
圧力:約4000psi
測定温度:35℃
使用量:0.1ml
本発明において、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)としては、ポリオルガノシロキサン(C1−1)およびビニル単量体(c3)からなる重合体を含み、さらに必要に応じて架橋性単量体(c4)からなる構成単位またはアクリル交叉剤(c5)からなる構成単位を含む複合ゴム(C1−2)を使用することもできる。
複合ゴム(C1−2)を使用する場合、凝固性や、成形体の耐衝撃特性を向上することから、ビニル単量体(c3)からなる重合体のガラス転移温度(Tgともいう)が−150℃〜0℃であることが好ましく、−130℃〜−20℃であることがより好ましく、−120℃〜−30℃であることがさらに好ましい。
重合体のTgの数値は、Foxの式(式1)により算出した値を用いる。単独重合体のTgの数値は、POLYMER HANDBOOK Volume 1(WILEY−INTERSCIENCE)に記載の数値を用いる。
1/(273+Tg)=Σ(wi/(273+Tgi))・・・(式1)
ただし各記号は以下を表す。
Tg:ガラス転移温度(℃)
wi:単量体iの重量分率
Tgi:単量体iを重合して得られる単独重合体のガラス転移温度(℃)
ビニル単量体(c3)からなる重合体は、質量平均分子量が1,000以上1,000,000以下であることが好ましく、5,000以上300,000以下であることがより好ましい。
アクリル交叉剤(c5)は、反応性の異なる重合性不飽和結合を2つ以上有する多官能性単量体である。反応性が異なる基を有することにより、他の成分と共に重合される際に不飽和基を温存した状態で複合ゴム内に組み込まれ、グラフト共重合体の形成を可能とする。例えば、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上併用できる。アクリル交叉剤(c5)は、架橋性単量体と同様に重合性不飽和結合を2つ以上有するため、架橋剤としての機能も有する。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)100質量%中のビニル単量体(c3)からなる重合体の含有率は、0.1質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上95質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上93質量%以下が特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)100質量%中の架橋性単量体(c4)またはアクリル交叉剤(c5)の重合体の含有率は、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上10質量%以下が特に好ましい。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、微細懸濁重合法により製造することができるが、乳化重合法を用いることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)の製造方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックス存在下で、ビニル単量体(c3)の重合体を合成する方法が挙げられる。ポリオルガノシロキサンラテックス存在下で、ビニル単量体(c3)の重合体を合成する方法としては、まず、ポリオルガノシロキサンラテックス中に、ビニル単量体(c3)を添加し、ポリオルガノシロキサン中にビニル単量体(c3)を含浸させた後、公知のラジカル重合開始剤を作用させてビニル単量体(c3)を重合する。
架橋性単量体(c4)またはアクリル交叉剤(c5)を用いる場合は、これらをビニル単量体(c3)と同時に添加してもよい。
この製造方法においてビニル単量体(c3)が含浸されたポリオルガノシロキサンラテックス中にラジカル重合開始剤を添加する方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックスに全量を一括して添加する方法、ポリオルガノシロキサンラテックス中に一定速度で滴下して添加する方法が挙げられる。
重合温度は、30℃以上100℃以下が好ましく、40℃以上90℃以下であることがさらに好ましい。また、重合時間は、1時間以上、好ましくは2時間以上である。通常、重合時間は100時間以下である。
アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸、ポリオキシエチレンアルキル燐酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル燐酸カルシウムが挙げられる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテルが挙げられる。これらの乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等の油溶性アゾ系開始剤、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシメチル)−2−メチルプロピオナミジン]ハイドレート、2,2’−アゾビス−(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
過酸化物としては、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が挙げられる。これらの過酸化物は1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
過酸化物を還元剤と組み合わせてレドックス系開始剤としては、上記の過酸化物と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、L−アスコルビン酸、フルクトース、デキストロース、ソルボース、イノシトール等の還元剤と、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を組み合わせた開始剤が好ましい。
これらの酸化剤および還元剤は、それぞれ1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合、過酸化物はグラフト共重合体100質量部に対して0.001〜3質量部であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としてレドックス系開始剤を用いる場合、過酸化物の使用量は、グラフト共重合体100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましく、還元剤の使用量は、グラフト共重合体100質量部に対して0.01〜1質量部であることが好ましい。
ビニル単量体(c3)の重合体の製造には、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、α−メチルスチレン等の連鎖移動剤を用いることもできる。
ポリオルガノシロキサン複合ゴム(C1−2)の質量平均粒子径は、以下の方法で測定した値を採用することができる。
ポリオルガノシロキサンのラテックスを脱イオン水で濃度約3%に希釈したものを試料として、MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定する。
測定は以下の条件で行うことが出来る。
カートリッジ:専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジ(商品名:C−202)
キャリア液:専用キャリア液(商品名:2XGR500)
流速:1.4ml/分
圧力:約4000psi
測定温度:35℃
使用量:0.1ml
本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体である。
ビニル単量体(c2)は、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸エステル単量体(c2−1)、および必要に応じてその他の単量体(c2−2)を含むことが好ましい。
ビニル単量体(c2)100質量%中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(c2−1)の含有率は、ポリカーボネート樹脂への分散性が向上することから、20〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましく、80〜100質量%であることがさらに好ましく、90〜100質量%であることが特に好ましく、95〜100質量%であることが最も好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(c2−1)100質量%中のメタクリル酸メチルの含有率は、0.1〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましく、50〜100質量%であることがさらに好ましく、80〜100質量%であることが特に好ましい。
その他の単量体(c2−2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル基を有する芳香族;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基およびビニル基を有する化合物;ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸プロピレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン、メタクリル酸アリル等の架橋性単量体が挙げられる。重合性や凝固性、粉体特性等に優れるとから、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチルが好ましい。
ビニル単量体(c2)100質量%中のその他の単量体(c2−2)の含有率は、ポリカーボネート樹脂への分散性が向上することから0〜80質量%であることが好ましく、0〜50質量%であることがより好ましく、0〜20質量%であることがさらに好ましく、0〜10質量%であることが特に好ましく、0〜5質量%であることが最も好ましい。
共重合体のTgの数値は、Foxの式(式1)により算出した値とする。尚、上記のTgは、ビニル単量体(c2)から架橋性単量体を除いた単量体を重合して得られる重合体について求めた値を、ビニル単量体(c2)のガラス転移温度として用いることとする。単独重合体のTgの数値は、POLYMER HANDBOOK Volume 1(WILEY−INTERSCIENCE)に記載の数値を用いる。
1/(273+Tg)=Σ(wi/(273+Tgi))・・・(式1)ただし各記号は以下を表す。
Tg:ガラス転移温度(℃)
wi:単量体iの重量分率
Tgi:単量体iを重合して得られる単独重合体のガラス転移温度(℃)
本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)は、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)の存在下において、ビニル単量体(c2)を重合して得られる。すなわち、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合することにより、本発明のゴム含有グラフト共重合体(C)が得られる。
グラフト重合に用いる重合開始剤としては、ビニル単量体(c3)の製造に用いる重合開始剤と同様のものを用いることができる。
グラフト重合に用いる乳化剤としては、ビニル単量体(c3)の製造に用いる乳化剤と同様のものを用いることができる。
また、グラフト重合には、ビニル単量体(c3)の製造に用いる連鎖移動剤と同様の連鎖移動剤を用いることができる。
ラテックス中のゴム含有グラフト共重合体(C)の体積平均粒子径は、10〜3000nmが好ましく、10〜1000nmがより好ましく、10〜700nmがさらに好ましい。さらに好ましくは50〜700nm、特に好ましくは100〜700nmである。ラテックス中のゴム含有グラフト共重合体(C)の平均粒子径が10〜3000nmであれば、樹脂中でのゴム含有グラフト共重合体(C)の分散性が良好となる。
尚、ゴム含有グラフト共重合体(C)のラテックスには、必要に応じて、酸化防止剤や添加剤を配合することができる。
ラテックスからグラフト共重合体を凝固する際に用いる凝固剤としては、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硝酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの無機塩や、硫酸等の酸などが挙げられ、酢酸カルシウムが特に好ましい。これらの凝固剤は1種を単独で又は2種以上を併用してもよいが、併用する場合は水に不溶性の塩を形成しない組み合わせを選択することが必要である。例えば、酢酸カルシウムと、硫酸、もしくはそのナトリウム塩とを併用すると、水に不溶性のカルシウム塩を形成するので好ましくない。
上記の凝固剤は、通常、水溶液に溶解して凝固剤水溶液として用いる。凝固剤水溶液中の凝固剤の濃度は、グラフト共重合体を安定的に凝固し、回収する観点から、0.1質量%以上であることが好ましい。また、回収されたグラフト共重合体中に残存する凝固剤の量を少なくして成形体の電気特性の悪化を抑制する観点から、凝固剤水溶液の濃度は、20質量%以下、特に15質量%以下であることが好ましい。凝固剤水溶液の量は特に限定されないが、ラテックス100質量部に対して10質量部以上、500質量部以下であることが好ましい。
ラテックスを凝固剤水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、通常、凝固剤水溶液を攪拌しながら、そこにラテックスを連続的に添加して一定時間保持する方法や、凝固剤水溶液とラテックスとを、一定の比率で攪拌機付きの容器中に連続的に注入しながら接触させ、凝析された重合体と水とを含む混合物を容器から連続的に抜き出す方法等が挙げられる。ラテックスを凝固剤水溶液に接触させるときの温度は特に限定されないが、30℃以上、100℃以下であることが好ましい。接触時間は特に限定されないが、例えば0.1時間以上10時間以下である。
凝析したゴム含有グラフト共重合体(C)は、1〜100質量倍程度の水で洗浄され、ろ別した湿潤状のゴム含有グラフト共重合体(C)体は流動乾燥機や圧搾脱水機等を用いて乾燥される。乾燥温度、乾燥時間は得られるゴム含有グラフト共重合体(C)によって適宜決めればよいが、例えば30℃以上90℃以下において、1時間以上96時間以下である。なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたゴム含有グラフト共重合体(C)を回収せず、直接、樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送り、その他の熱可塑性樹脂と混合して成形体を得ることも可能である。
本発明において、ゴム含有グラフト共重合体(C)は、樹脂組成物とした際の耐熱分解性の観点から、凝固法を用いて回収することが好ましい。
乾燥時のブロッキングを抑え、嵩比重等の粉体特性を向上させるために、凝析する際に複数の重合体ラテックスを添加してもよい。また、シリカ、タルク、炭酸カルシウム等の無機質充填剤;ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等を添加して乾燥を行ってもよい。また、適当な酸化防止剤、添加剤等を添加することもできる。
噴霧乾燥法は、ゴム含有グラフト共重合体(C)のラテックスを微小液滴状に噴霧し、これに熱風を当てて乾燥するものである。液滴を発生する装置として、回転円盤型式、圧力ノズル式、二流体ノズル式、加圧二流体ノズル式等のいずれのものでも使用することができる。また、乾燥機は、容量が実験室で用いる小規模のものから、工業的に用いる大規模のものまで用いることができる。
装置内に導入する熱風の温度(熱風入口温度)、即ち、ゴム含有グラフト共重合体(C)に接触し得る熱風の最高温度は、200℃以下が好ましく、特に好ましくは120〜180℃である。また、噴霧乾燥する際に、ゴム含有グラフト共重合体(C)のラテックスは単独でもよいが、複数のラテックスの混合物であってもよい。さらには、噴霧乾燥時のブロッキング、嵩比重等の粉体特性を向上させるために、シリカ等の任意成分を添加して噴霧乾燥を行うこともできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)を含む。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じてポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)以外の他の成分を含んでいてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、求核剤、難燃化剤等の各種添加剤、ガラス、マイカ、ゴム粒子等の各種フィラー等を含んでいてもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、ポリカーボネート樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。
本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)との合計100質量%のうち、ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)が1〜25質量%であり、好ましくは1〜20質量%であり、より好ましくは1〜18質量%であり、更に好ましくは1〜12質量%であり、特に好ましくは1〜8質量%である。ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)が1質量%以上であると成形体の耐衝撃性が優れる傾向にあり、25質量%以下であると成形体の耐熱着色性が優れる傾向にある。
本発明において、ゴム含有グラフト共重合体(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)およびポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜4質量部であることがより好ましく、0.8〜3.5質量部であることがさらに好ましい。ゴム含有グラフト共重合体(C)の含有量が0.1質量部以上であると成形体の耐衝撃性が優れる傾向にあり、5質量部以下であると成形体中のゴム含有グラフト共重合体(C)の分散性が優れる傾向にある。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)と、必要に応じて他の成分とを溶融混練することによって製造することができる。
溶融混練装置としては、例えば、バンバリーミキサ、ニーダ、ロール、ニーダールーダ、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。
<成形体の製造方法>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の公知の方法での製造することができる。成形方法としては、所望の形状に成形できる点から、射出成形法、押出成形法が好ましい。
実施例において、「部」は「質量部」を示す。重合体の各構成単位の割合および質量平均分子量の求め方、ならびに成形体の評価方法は、下記のとおりである。
(構成単位の割合)
重合体の各構成単位の割合は、単量体の仕込み量から計算した。
(質量平均分子量)
テトラヒドロフラン(THF)に溶解した重合体について、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって溶出曲線を測定し、標準ポリスチレンによる検量線を基に重合体の質量平均分子量を算出した。
(アイゾット衝撃強度)
シート状成形体を、ASTM D256に準じ、23℃の測定温度で測定した(厚さ:1/4インチ、単位:kJ/m2)。
(耐熱着色性)
シート状成形体のYI値をJIS K7105に準拠し、分光色差計(日本電色工業社製、機種名「SE2000」)を用いて、C光源、2度視野の条件で反射光測定法にて測定した。
先ず、ヒートエージング前のシート状成形体のYI値(YIB)を測定した。次いで、シート状成形体をハイテンプオーブン(タバイスペック社製、機種名「PMS−B」)を使用して温度120℃で100時間ヒートエージングした。ヒートエージング後のシート状成形体のYI値(YIA)を測定し、以下の式によりΔYI値を算出した。
なお、ヒートエージングとは、高温状態に一定時間置くことをいう。
ΔYI=YIA−YIB
(ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)の製造)
ポリオルガノシロキサン(C1−1−1)の製造 環状オルガノシロキサン混合物(信越シリコーン(株)製、製品名:DMC)を97.5部、シロキサン架橋剤としてテトラエトキシシラン(TEOS)を2部およびシロキサン交叉剤としてγ−メタクリロイロキシプロピルジメトキシメチルシラン(DSMA)を0.5部、混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBSNa)を0.68部、ドデシルベンゼンスルホン酸(DBSH)を0.68部、脱イオン水200部中に溶解した水溶液を、前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10000rpmで2分間撹拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えた容量5リットルのセパラブルフラスコ内に前記エマルションを仕込んだ。該エマルションを85℃に加熱し、6時間維持して重合反応させた後、25℃に冷却し、室温で12時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンゴム(C1−1−1)のラテックスを得た。
このラテックスの固形分は28.3%であった。また、このラテックスのキャピラリー粒度分布計による数平均粒子径(Dn)は86nm、質量平均粒子径(Dw)は254nmであり、Dw/Dnは2.95であった。
TEOSを2部、DSMAを2部、オクタメチルシクロテトラシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(株)製、製品名:TSF404)96部を混合してオルガノシロキサン混合物100部を得た。脱イオン水150部中にDBSNaを1部溶解した水溶液を、前記混合物中に添加し、ホモミキサーにて10,000rpmで5分間撹拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通し、安定な予備混合エマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えた容量5リットルのセパラブルフラスコ内に、上記エマルションを入れた後、該エマルションを温度80℃に加熱、次いで硫酸0.20部と蒸留水49.8部との混合物を3分間にわたり連続的に投入した。80℃に加熱した状態を7時間維持して重合反応させた後、25℃に冷却し、6時間保持した。その後、5%水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液をpH7.0に中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(C1−1−2)を得た。
ポリオルガノシロキサンラテックス(C1−1−2)の固形分は29.8%であった。またこのラテックスのキャピラリー粒度分布計によるDnは384nm、Dwは403nmであり、Dw/Dnは1.05であった。
製造例1において得たポリオルガノシロキサンゴム(C1−1−1)のラテックスをポリマー換算で9.9部、容量5リットルのセパラブルフラスコ内に採取し、脱イオン水100部を添加混合した。次いでこのセパラブルフラスコ内に、アクリル酸n−ブチル(n−BA)77.5部、およびメタクリル酸アリル(AMA)1.6部、tert−ブチルハイドロパーオキサイド(t−BH)0.25部の混合物を添加した。
このセパラブルフラスコ内に窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気の窒素置換を行い、液温を50℃まで昇温した。50℃となった時点で硫酸第一鉄(Fe)0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩(EDTA)0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.3部を脱イオン水2.5部に溶解させた水溶液を添加し、ラジカル重合を開始した。アクリレート成分の重合を完結させるため、液温65℃の状態を1時間維持し、ポリオルガノシロキサンとn−BAとの複合ゴム(C1−2)のラテックスを得た。
(製造例1)
上記複合ゴム(C1−2)のラテックスの温度を65℃に維持した状態で、ビニル単量体(c2)としてメタクリル酸メチル(MMA)を11部、およびt−BHを0.03部の混合液を1.5時間にわたって、このラテックス中に滴下し重合した。滴下終了後、液温を65℃に1時間維持した後、25℃に冷却して、ゴム含有グラフト共重合体(C−1)のラテックスを得た。ゴム含有グラフト共重合体(C−1)の体積平均粒子径を表1に示す。
(製造例2〜4)
製造例1において用いた各原料の種類および量を表1に示す条件に変更した以外は製造例1と同様にしてゴム含有グラフト共重合体(C−2)〜(C−4)を得た。
(実施例1)
ポリカーボネート樹脂(A)としてユーピロンS−2000F(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)を95部、ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)として、化学式(III)m=117および化学式(IV)n=19量体からなる質量平均分子量が52,000のポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)を5部の合計100部に対し、製造例1で作製したゴム含有グラフト共重合体(C−1)1部をポリエチレン製の袋に入れ、ポリエチレン製の袋を手でよく振ってポリエチレン製の袋内に添加したものをハンドブレンドした後、二軸押出機((株)池貝製、商品名:PCM30)を用いて280℃で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、ペレットを得た。
実施例1において用いた各原料の種類および量を表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして各評価に応じた厚さのシート状の成形体を得た。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
ポリカーボネート樹脂(A)のみを用いた以外は実施例1と同様にして各評価に応じた厚さのシート状の成形体を得た。評価結果を表2に示す。ポリカーボネートオルガノシロキサン共重合体(B)およびゴム含有グラフト共重合体(C)を用いていないため、衝撃強度が低位であった。
(比較例2)
ポリカーボネート樹脂(A)を95部、およびポリカーボネートオルガノシロキサン共重合体(B)を5部用いた以外は実施例1と同様にして各評価に応じた厚さのシート状の成形体を得た。ゴム含有グラフト共重合体(C)を用いていないため、衝撃強度が低位であった。
Claims (11)
- ポリカーボネート樹脂(A)、
化学式(I)で表される構成単位および化学式(II)で表される構成単位を有するポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)、ならびに
ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)にビニル単量体(c2)をグラフト重合して得られるゴム含有グラフト共重合体(C)を含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)との合計100質量%のうち、ポリカーボネート樹脂(A)が75〜99質量%であり、ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)が1〜25質量%であるポリカーボネート樹脂組成物。
- 化学式(II)で表される構成単位の平均繰り返し数nが1〜40である請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)の割合が、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)との合計100質量%のうち、1〜18質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)の割合が、ポリカーボネート樹脂(A)とポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)との合計100質量%のうち、1〜8質量%である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)がオルガノシロキサン−アクリル系複合ゴム、およびオルガノシロキサン−スチレン系複合ゴムから選ばれる少なくとも一つ以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ビニル単量体(c2)が(メタ)アクリル酸エステル単量体を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)の割合が、ポリオルガノシロキサン系ゴム(C1)とビニル単量体(c2)との合計100質量%のうち、60〜99質量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- ゴム含有グラフト共重合体(C)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)およびポリカーボネート−オルガノシロキサン共重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜5質量部である請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
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