JP2017086541A - 神経刺激電極 - Google Patents
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Abstract
Description
刺激発生装置の例としては、例えば、神経刺激装置、疼痛緩和装置、てんかん治療装置、及び筋肉刺激装置等を挙げることができる。
リード本体の先端部はリードアンカーの外側に結合されている。リードアンカーは、折り畳み形状から予形成された拡張形状へと拡がるように構成されており、折り畳み形状のとき、先端部は、折り畳まれたリードアンカーの有効長と実質的に等しい有効長を有する。
先端部が取り付けられているリードアンカーが刺激すべき神経に隣接する血管内の刺激部位に到達したら、リードアンカーは拡張して、リードアンカーの外側に取り付けられている先端部を、リードアンカーを含む先端部が拡張配置されている血管の壁と接触させて、摩擦係合させる。
この課題は、固定部を血管内に留置する場合だけでなく、固定部をリンパ管内に留置する場合にも生じる。
本発明の神経刺激電極は、神経に電気刺激を行う神経刺激電極であって、弾性を有する材料で形成され、縮径するように弾性的に変形された状態で所定の脈管内に留置されることで前記脈管の内面を付勢する固定部と、前記固定部に設けられた刺激電極である第一刺激陽極、第一刺激陰極、第二刺激陽極、及び第二刺激陰極と、先端部が前記固定部に接続されたリード部と、を備え、前記リード部は、前記第一刺激陽極及び前記第二刺激陽極に接続された陽極配線と、前記第一刺激陰極及び前記第二刺激陰極に接続された陰極配線と、を有し、前記脈管内に留置されることで前記固定部が縮径したときに、前記第一刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離よりも前記第一刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離の方が長く、前記第二刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離よりも前記第二刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離の方が長いことを特徴としている。
また、上記の神経刺激電極において、前記第二刺激陽極及び前記第二刺激陰極を通る基準線と前記脈管の長手軸とのなす角度が30°以下であってもよい。
また、上記の神経刺激電極において、前記第一刺激陽極及び前記第一刺激陰極は、複数の前記弾性部材の一に設けられ、前記第二刺激陽極及び前記第二刺激陰極は、複数の前記弾性部材の他の一に設けられていてもよい。
また、上記の神経刺激電極において、前記固定部に設けられた刺激電極である第三刺激陽極及び第三刺激陰極を備え、前記陽極配線は前記第三刺激陽極に接続され、前記陰極配線は前記第三刺激陰極に接続され、前記脈管内に留置されることで前記固定部が縮径したときに、前記第一刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離よりも前記第一刺激陽極と前記第三刺激陰極との距離の方が長く、前記第二刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離よりも前記第二刺激陽極と前記第三刺激陰極との距離の方が長く、前記第三刺激陽極と前記第三刺激陰極との距離よりも、前記第三刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離及び前記第三刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離の方がそれぞれ長くてもよい。
また、上記の神経刺激電極において、前記脈管は上大静脈であってもよい。
図1に示すように、本実施形態の神経刺激電極1は、図示しない迷走神経(神経)に電気刺激を行うものである。本神経刺激電極1は、弾性を有する材料で形成された固定部10と、固定部10に設けられた刺激電極である第一刺激陽極26、第一刺激陰極27、第二刺激陽極28、及び第二刺激陰極29と、先端部が固定部10に接続されたリード部40と、を備えている。
神経刺激電極1のリード部40は、後述する刺激発生装置60に着脱可能になっている。神経刺激電極1及び刺激発生装置60で、神経刺激システム2を構成する。
以下では、リード部40に対する固定部10側を先端側、固定部10に対するリード部40側を基端側とそれぞれ称する。
リード本体41の外径は1〜2mm、全長500mm程度である。
陽極配線42は、図2に示すように陽極主配線42aの先端部に、第一陽極配線42bの基端部及び第二陽極配線42cの基端部が接続されて構成されている。陽極主配線42a、第一陽極配線42b、及び第二陽極配線42cは、耐屈曲性を有するニッケルコバルト合金(35NLT28%Ag材)からなる撚り線を、電気的絶縁材(厚さ20μmのETFE〔四フッ化エチレン−エチレン共重合体樹脂〕等)で被覆したものが用いられる。
陽極配線42の陽極主配線42a、及び陰極配線43の陰極主配線43aは、リード本体41内で保護チューブ46内に挿通されている。保護チューブ46の先端部は、リード本体41に固定部47により固定されている。
保護チューブ46、陽極配線42、及び陰極配線43は、リード本体41内を通して基端側に延びている。
リード本体41や交差ブロック44の表面に抗血栓コーティングを施すことが有効であることは、言うまでも無い。
リード本体41の基端部には、図1に示すように刺激発生装置60に着脱可能な電気コネクタ45が設けられている。前述の陽極配線42及び陰極配線43はこの電気コネクタ45に接続されている。
以下では、特に断らない限り、弾性部材11Aの形状について符号として数字や英小文字に英大文字「A」を付して説明し、弾性部材11B、11Cの説明は、同形状の部位に数字や英小文字に英大文字「B」、「C」をそれぞれ付して説明を省略する。
例えば、弾性部材11B(11C)における基端側線状部11bB(11bC)は、弾性部材11Aにおける基端側線状部11bAと対応する同一形状の部位を表す。
弾性部材11Aは、図4から6に示すように、一端部から他端部に向かって、連結端部11aA、基端側線状部11bA、先端側線状部11cA、基端側線状部11dA、及び連結端部11eAを、この順に備える。
連結端部11aA、11eAは、軸線Cに対して第1軸線O1が平行となるように配置される。
連結端部11aA、11eAと交差ブロック44との固定方法は特に限定されず、交差ブロック44の材質に応じて、例えば、接着、溶接、カシメ等の固定方法を適宜選択することができる。
すなわち、図5に示すように、基端側線状部11bA、11dAは、それぞれ、連結端部11aA、11eAに接続する端部から、先端側に向かうにしたがって互いに離間するように斜め方向に延ばされ、それぞれ第1軸線O1から漸次離間している。基端側線状部11bA、11dAの先端側の端部の近傍では、第1軸線O1と略平行(平行の場合を含む)になっている。
本実施形態では、基端側線状部11bAの形状は、一例として、連結端部11aAに近い基端側領域b1(図5参照)では、先端側線状部11cAに近い先端側領域b2に比べて、第1軸線O1に対する傾斜の平均変化率がより大きくなる曲線形状を採用している。
基端側線状部11dAは、基端側線状部11bAと同様に構成されている。
本実施形態では、基端側線状部11bA、11dAは、先端側に向かうにつれて互いに離間するように傾斜する形状を採用している。このため、基端側線状部11bA、11dAの先端側端部は、自然状態において、弾性部材11Aの第1軸線O1と直交する方向の最大幅となる部位になっている。
第1軸線O1を含み平面S1と直交する平面S2を規定すると、基端側線状部11bA、11dAは、平面S2に対して対称である。
本実施形態では、先端側線状部11cAは、一例として、平面S1内の第2軸線O2を含み平面S1に対して角度θ1をなして交差する平面S3上に配置されるとともに平面S2に関して面対称なC字状に形成されている。
ここで、第2軸線O2は、平面S3内にあって、基端側線状部11bA、11dAの先端部を通り第1軸線O1に直交する軸線である。
このため、平面S2、S3の交線からなる第3軸線O3が、先端側線状部11cAと交差する位置に、先端側線状部11cAの頂部11gAが形成されている。
平面S3の角度θ1は、5°以上90°以下が好ましい。
本実施形態では、図5に示すように、先端側線状部11cAの形状は、一例として、基端側線状部11bA(11dA)に近い基端側領域c1(c3)では、基端側線状部11bA(11dA)の先端側端部から平面S2に向かって傾斜する曲線状又は直線状に延ばされている。
また、基端側領域c1、c3の間の先端側領域c2では、頂部11gAを頂点とする山形の形状を有する。先端側領域c2における山形は、例えば、円弧、楕円弧などの曲線からなる山形や、複数の折れ線で形成された山形も可能である。本実施形態では、一例として、頂部11gAの曲率半径が最小となり頂部11gAの近傍に屈曲状の部位が形成された曲線形状を採用している。
ここで、弾性部材11Aの内部構造と、第一刺激陽極26及び第一刺激陰極27の構成について説明する。
ワイヤ本体14Aは、固定部10の外径を変化させる外力によっても塑性変形せず、外力が解除されると自然状態に戻る良好な弾性を有する。
なお、ワイヤ本体14Aは形状記憶合金以外にも、超弾性ワイヤ等で形成することができる。
外部被覆16Aは、第一刺激陽極26及び第一刺激陰極27の露出部位を除いては、弾性部材11A最外周面を形成する被覆部材である。したがって、外部被覆16Aは、血管(脈管)内に導入されると、外部被覆16Aの外周面が血液、血管の内壁等の生体組織と接触する。このため、外部被覆16Aは、ワイヤ本体14A及び内部被覆15Aとともに変形可能な絶縁性材料であって、生体適合性に優れる材料で形成される。外部被覆16Aに好適な材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を採用することができる。
なお、第一刺激陽極は、固定部10の径方向外側となる向きだけ外部被覆16Aの外部に露出するように構成してもよい。この場合の弾性部材11Aの軸線に直交する方向から見たときの第一刺激陽極の形状は特に限定されず、矩形状、長円形状、及び楕円形状等でもよい。
また、第一刺激陽極26の内周面には、前述の第一陽極配線42bが溶接等により電気的に接続されている。第一陽極配線42bは、外部被覆16A内に配置されてワイヤ本体14Aに沿って基端側に向かって延びている。
第一刺激陰極27は第一刺激陽極26と同様に構成されている。第一刺激陰極27には、第一陰極配線43bが接続されている。この例では、図4及び5に示すように、第一刺激陽極26及び第一刺激陰極27は、基端側線状部11bAにおいて第一刺激陰極27が第一刺激陽極26よりも先端側に配置されるように構成されている。後述するように第一刺激陽極26はプラス(+)極として機能し、第一刺激陰極27はマイナス(−)極として機能する。
第一刺激陽極26及び第一刺激陰極27で、後述する電気力線Fを生じる補助刺激電極対25aを構成する。
弾性部材11Cは、弾性部材11Aに対して第一刺激陽極26、第一刺激陰極27に代えて第二刺激陽極28、第二刺激陰極29を備えている。第二刺激陽極28及び第二刺激陰極29は、第一刺激陽極26と同様に構成されている。第二刺激陽極28には第二陽極配線42cが接続され、第二刺激陰極29には第二陰極配線43cが接続されている。
この例では、図1に示すように第二刺激陽極28及び第二刺激陰極29は、基端側線状部11dCにおいて第二刺激陰極29が第二刺激陽極28よりも先端側に配置されるように構成されている。後述するように第二刺激陽極28はプラス極として機能し、第二刺激陰極29はマイナス極として機能する。第二刺激陽極28及び第二刺激陰極29で、後述する電気力線Fを生じる主刺激電極対25bを構成する。
すなわち、第一刺激陽極26及び第一刺激陰極27は、弾性部材11A、11B、11Cのうちの一の弾性部材である弾性部材11Aに設けられている。第二刺激陽極28及び第二刺激陰極29は、弾性部材11A、11B、11Cのうちの他の一の弾性部材である弾性部材11Cに設けられている。
図3に示すように、各弾性部材11A、11B、11Cは、それぞれの先端側線状部11cA、11cB、11cCの張り出し方向が軸線Cに関して径方向外側に向くように配置され、図3に示す先端側から見たときに、時計回りに弾性部材11A、11B、11Cの順で配置されている。
図1及び3に示すように、弾性部材11A、11B、11Cにおける軸線C方向の中間部は、互いに連結部材19で接続されている。より詳しくは、弾性部材11Aの基端側線状部11bAの先端部と弾性部材11Bの基端側線状部11dBの先端部とが連結部材19により接続されている。連結部材19は、例えば弾性部材11Aの外部被覆16A及び弾性部材11Bの外部被覆が溶融接合により互いに接合されて形成されたものである。
同様に、弾性部材11Bの基端側線状部11bBの先端部と弾性部材11Cの基端側線状部11dCの先端部とが連結部材19により接続されている。弾性部材11Cの基端側線状部11bCの先端部と弾性部材11Aの基端側線状部11dAの先端部とが連結部材19により接続されている。固定部10には、3つの連結部材19が設けられている。
固定部10の自然状態における外径は、固定部10を留置する上大静脈等の血管(脈管)の内径よりも大きな、例えば35mmである。固定部10の軸線C方向の長さは例えば35mmである。
図1及び3に示すように、固定部10は、先端側が円筒形で、基端側は基端側に向かうにしたがって外径が小さくなる釣鐘形(バスケット形)に形成されている。固定部10は、リード部40の軸線Cに対して回転対称(3回転対称)な形状に形成されている。
第一刺激陰極27及び第二刺激陰極29は、軸線C方向において略等しい(等しいも含む)位置に配置されている。言い換えれば、第一刺激陰極27及び第二刺激陰極29は、軸線C周りに位置をずらして配置されている。
刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29は、固定部10の径方向外側に配置されている。
自然状態において、連結部材19よりも基端側の固定部10(以下、基端側領域10aと称する)の外径よりも連結部材19よりも先端側の固定部10(以下、先端側領域10bと称する)の外径の方が小さい。
このとき、弾性部材11A、11B、11Cは、上大静脈P1の内面によって縮径するように弾性的に変形する。弾性部材11A、11B、11Cは、上大静脈P1の内面を付勢する。このときに、外径の大きい基端側領域10aが上大静脈P1からより大きな反力を受けて縮径する。以下では、固定部10の動作を、弾性部材11Aの動作で代表して説明する。
固定部10は回転対称な形状であるため、上大静脈P1の長手軸周りには比較的回転しやすい。一方で、上大静脈P1内に固定部10を留置したときに頂部11gA、11gB、11gCが上大静脈P1に当接することで、上大静脈P1の長手軸周りの方向に比べて、上大静脈P1の長手軸に沿う方向には移動しにくい。
距離L1、L3は、1mm〜6mm程度が望ましく、2mm以下であることがより望ましい。
すなわち、刺激陽極26、28はプラス極、刺激陰極27、29はマイナス極である。電気力線Fは、プラス極からマイナス極に向かって生じる。図11に示すように、刺激陽極26、28間、及び刺激陰極27、29間には、電気力線Fは生じない。
距離L1よりも距離L2の方が長いことで、電気抵抗R1の抵抗値よりも電気抵抗R2の抵抗値の方が大きくなり、第一刺激陽極26と第二刺激陰極29との間では電気力線Fの密度が低く、第一刺激陽極26と第一刺激陰極27との間では電気力線Fの密度が高くなる(第一刺激陽極26と第二刺激陰極29との間の電気力線Fの密度が低いため、図11ではこの電気力線Fを記載していない)。
すなわち、距離L3よりも距離L4の方が長いことで、電気抵抗R3の抵抗値よりも電気抵抗R4の抵抗値の方が大きくなり、図11に示すように密度が高い電気力線Fは第二刺激陽極28と第一刺激陰極27との間ではなく第二刺激陽極28と第二刺激陰極29との間に生じる。
刺激発生装置60は、このようなバイフェージック波形を1分間あたり任意の秒数の間印加する。例えば3秒〜20秒間、集中的に印加したい場合には60秒間等である。
刺激発生装置60は、リード部40の電気コネクタ45が接続されたときに、刺激陽極26、28をプラス極として機能させ、刺激陰極27、29をマイナス極として機能させる。
刺激発生装置60は、リード部40の電気コネクタ45、陽極配線42、及び陰極配線43を介して刺激陽極26、28及び刺激陰極27、29に接続される。このため、刺激陽極26、28及び刺激陰極27、29には、神経刺激信号が同時に印加される。
術者は、図8に示す患者Pに対して、図示はしないが、頚部の近傍を小切開して開口を形成する。この開口に、公知のイントロデューサやダイレータ等の挿入具を取付ける。
挿入具を通して、例えば右内頚静脈内に固定部10を挿入する。このとき、固定部10を挿入具に挿入可能な外径まで弾性的に変形(縮径)させてから挿入する。なお、固定部10を右内頚静脈ではなく、右外頚静脈、左内頚静脈、又は左外頚静脈を介して上大静脈P1内に導入してもよい。
挿入時には、X線透視下で神経刺激電極1の固定部10のワイヤ本体14A、刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29等の位置を確認する。
術者は、X線透視下でリード部40を押し進め、図8に示すように固定部10を上大静脈P1内に概略設置する。
このとき、上大静脈P1の内径が固定部10の外径よりも小さいことで、基端側領域10aが縮径するのに対して、頂部11gA、11gB、11gCはあまり縮径しない。頂部11gA、11gB、11gCが上大静脈P1に当接することで、固定部10は、上大静脈P1の長手軸に沿う方向には比較的移動しにくくなる。
上大静脈P1に対する血液の下流側には、心臓P3の右心房P4がある。上大静脈P1に隣接して、刺激対象となる迷走神経P5が並走している。
主刺激電極対25bにより生じる電気力線Fの縁部と補助刺激電極対25aにより生じる電気力線Fの縁部とが重なる程度に、主刺激電極対25bと補助刺激電極対25aとが配置されていることが好ましい。このため、主刺激電極対25bと補助刺激電極対25aとの距離は、4mm〜8mm程度が好ましい。
神経刺激電極1が主刺激電極対25bだけでなく補助刺激電極対25aを備えることで、主刺激電極対25bだけを備える場合に比べて、迷走神経P5に電気刺激を印加できる固定部10の向きがおよそ2倍に広がる。
右心房P4に電気刺激を印加して心房ペーシングとならないように、高密度の電気力線Fが領域R6内であって領域R7内でない部分に生じるように刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29を配置することが望ましい。
仮に第一刺激陰極27と第二刺激陰極29との間に電気力線Fが生じると、高密度の電気力線Fが領域R7内に生じて、右心房P4に電気刺激が印加される恐れがある。
心拍計で測定される患者Pの心拍数を確認しながら、患者Pの心拍数が低下するように上大静脈P1内における刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29の位置及び向きを調節する。具体的には、術者はリード部40の基端側を操作し、リード部40を押込んだり引き戻したりする。これにより、上大静脈P1内における固定部10、すなわち刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29の上大静脈P1の長手軸に沿う方向の位置を調節する。リード部40の基端側を軸線C1周りに回転させることで、刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29の上大静脈P1の長手軸周りの向きを調節する。
この位置及び向きの調節を行いながら心拍計により患者Pの心拍数を計測する。主刺激電極対25b又は補助刺激電極対25aが迷走神経P5に近づいて対向するように配置され、迷走神経P5に印加される電気刺激が最も大きくなったときに、患者Pの心拍数が最も低下する。迷走神経P5に電気刺激が印加されることで、迷走神経P5が活性化する。
術者は、心拍数が最も低下するように、すなわち、主刺激電極対25b又は補助刺激電極対25aが迷走神経P5側を向くように、刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29の位置及び向きを調節する。
この例では、主刺激電極対25bが迷走神経P5側を向くように、固定部10の位置及び向きを調節する。
この状態で、一定期間、刺激発生装置60により神経刺激信号を生成して電気刺激を印加させつつ、上大静脈P1内に固定部10を留置する。
電気力線Fは第二刺激陽極28と第二刺激陰極29との間ではなく、第二刺激陽極28と第一刺激陰極27との間に生じる。
迷走神経P5に電気刺激を印加可能となる刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29の配置範囲が広いことで、神経刺激電極1は刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29の移動に対して寛容になる。
距離L1、L3が短いことで、刺激陽極26、28、及び刺激陰極27、29に無駄に電流が流れない。
固定部10が頂部11gA、11gB、11gCを備えることで、血管内の任意の位置に留まり、神経に電気刺激を行うことができる。
本実施形態の固定部10は、上大静脈P1内に留置されたときに先端側の先端側領域10bが上大静脈P1に当接する。このため、固定部10が上大静脈P1の長手軸に沿う方向に比較的移動しにくくなる。
第一刺激陽極26及び第一刺激陰極27が弾性部材11Aに設けられ、第二刺激陽極28及び第二刺激陰極29が弾性部材11Cに設けられている。したがって、刺激陽極26、28及び刺激陰極27、29が設けられる弾性部材を複数のものに分けることができる。
例えば、図14に示す神経刺激電極1Aの固定部10Aのように、第二刺激陽極28及び第二刺激陰極29を通る基準線L6と上大静脈P1の長手軸P7とのなす角度θ2が0°以上30°以下であってもよい。なお、この角度θ2は、上大静脈P1の長手軸P7に直交する方向に見たときの角度である。
このように神経刺激電極1Aを構成することで、領域R7内に高密度の電気力線Fが生じにくくなり、迷走神経P5に安定して電気刺激を印加することができる。
なお、角度θ2が30°を越えると、領域R7内に高密度の電気力線Fがある可能性が高くなる。
上大静脈P1内に留置されることで固定部10Bが縮径したときに、第一刺激陽極26と第一刺激陰極27との距離よりも第一刺激陽極26と第二刺激陰極29との距離及び第一刺激陽極26と第三刺激陰極52との距離の方がそれぞれ長くなる。同様に、第二刺激陽極28と第二刺激陰極29との距離よりも第二刺激陽極28と第一刺激陰極27との距離及び第二刺激陽極28と第三刺激陰極52との距離の方がそれぞれ長くなる。第三刺激陽極51と第三刺激陰極52との距離よりも、第三刺激陽極51と第一刺激陰極27との距離及び第三刺激陽極51と第二刺激陰極29との距離の方がそれぞれ長くなる。
神経刺激電極1Bに刺激陽極及び刺激陰極の組を3組備えることで、固定部10Bの長手軸周りの向きが変わっても、迷走神経P5に電気刺激を印加し続けやすくなる。
このように神経刺激電極が備える刺激陽極及び刺激陰極の組の数は、3組でもよいし4組以上でもよい。
図16に示す神経刺激電極1Cの固定部10Cのように、第一刺激陽極26及び第二刺激陽極28は、軸線C方向の位置をずらして配置されていてもよい。同様に、第一刺激陰極27及び第二刺激陰極29は、軸線C方向の位置をずらして配置されていてもよい。
このように構成することで、固定部10Dが縮径する前後で第一刺激陽極26、第一刺激陰極27、第二刺激陽極28、及び第二刺激陰極29の相互の間隔が変化しにくくなる。また、固定部10Dが上大静脈P1の長手軸に沿う方向に移動しても、迷走神経P5に電気刺激を印加し続けやすくなる。
また、このように構成することで、第一刺激陽極26、第一刺激陰極27、第二刺激陽極28、及び第二刺激陰極29を流れる電流が、右心房P4や近傍の他の神経を刺激しにくくなる。このため、安定して電気刺激を行うことができる。
例えば、前記実施形態では、固定部10を構成する弾性部材の数が3であるとしたが、この数は1、2でもよいし、4以上でもよい。
固定部10は、弾性部材11A、11B、11Cにより釣鐘形に形成されているとしたが、固定部の構成はこれに限定されない。固定部は、弾性的に変形された状態で上大静脈内に留置される形状であれば、球形や筒形等でもよい。
脈管が上大静脈等の血管であるとしたが、脈管がリンパ管であるとしてもよい。
10、10A、10B、10C、10D 固定部
11A、11B、11C 弾性部材
19 連結部材
26 第一刺激陽極
27 第一刺激陰極
28 第二刺激陽極
29 第二刺激陰極
40 リード部
42 陽極配線
43 陰極配線
51 第三刺激陽極
52 第三刺激陰極
C 軸線
L1、L2、L3、L4 距離
L6 基準線
P1 上大静脈(脈管)
P5 迷走神経(神経)
P7 長手軸
θ2 角度
Claims (8)
- 神経に電気刺激を行う神経刺激電極であって、
弾性を有する材料で形成され、縮径するように弾性的に変形された状態で所定の脈管内に留置されることで前記脈管の内面を付勢する固定部と、
前記固定部に設けられた刺激電極である第一刺激陽極、第一刺激陰極、第二刺激陽極、及び第二刺激陰極と、
先端部が前記固定部に接続されたリード部と、
を備え、
前記リード部は、
前記第一刺激陽極及び前記第二刺激陽極に接続された陽極配線と、
前記第一刺激陰極及び前記第二刺激陰極に接続された陰極配線と、
を有し、
前記脈管内に留置されることで前記固定部が縮径したときに、
前記第一刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離よりも前記第一刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離の方が長く、
前記第二刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離よりも前記第二刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離の方が長いことを特徴とする神経刺激電極。 - 前記第一刺激陽極及び前記第二刺激陽極は、前記リード部の軸線方向において略等しい位置に配置され、
前記第一刺激陰極及び前記第二刺激陰極は、前記軸線方向において略等しい位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の神経刺激電極。 - 前記第二刺激陽極及び前記第二刺激陰極を通る基準線と前記脈管の長手軸とのなす角度が30°以下であることを特徴とする請求項1に記載の神経刺激電極。
- 前記固定部は、複数の線状の弾性部材が前記リード部の軸線周りに略等角度ごとに配置されて構成され、
前記弾性部材の前記リード部の軸線方向の中間部は、互いに連結部材で接続され、
前記固定部が縮径したときに、前記弾性部材のうち前記連結部材よりも基端側が前記脈管からの反力により前記軸線に近づくように移動することで、前記弾性部材のうち前記連結部材よりも先端側が前記連結部材に対して前記軸線から離間するように移動することを特徴とする請求項1に記載の神経刺激電極。 - 前記第一刺激陽極及び前記第一刺激陰極は、複数の前記弾性部材の一に設けられ、
前記第二刺激陽極及び前記第二刺激陰極は、複数の前記弾性部材の他の一に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の神経刺激電極。 - 前記第一刺激陽極、前記第一刺激陽極、前記第二刺激陽極、及び前記第二刺激陽極は、複数の前記弾性部材の一に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の神経刺激電極。
- 前記固定部に設けられた刺激電極である第三刺激陽極及び第三刺激陰極を備え、
前記陽極配線は前記第三刺激陽極に接続され、
前記陰極配線は前記第三刺激陰極に接続され、
前記脈管内に留置されることで前記固定部が縮径したときに、
前記第一刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離よりも前記第一刺激陽極と前記第三刺激陰極との距離の方が長く、
前記第二刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離よりも前記第二刺激陽極と前記第三刺激陰極との距離の方が長く、
前記第三刺激陽極と前記第三刺激陰極との距離よりも、前記第三刺激陽極と前記第一刺激陰極との距離及び前記第三刺激陽極と前記第二刺激陰極との距離の方がそれぞれ長いことを特徴とする請求項1に記載の神経刺激電極。 - 前記脈管は上大静脈であることを特徴とする請求項1に記載の神経刺激電極。
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