JP2017083774A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリの低減にも優れる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することを課題とする。
工程(1):水性媒体中で、樹脂粒子A及びワックス粒子を凝集し、凝集粒子(1)を得る工程、
工程(2):工程(1)で得られた凝集粒子(1)に樹脂粒子Bを凝集させ、凝集粒子(2)を得る工程、
を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度が0℃以上25℃以下であり、
前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度が50℃以上70℃以下であり、
前記樹脂粒子Aを構成する樹脂と樹脂粒子Bを構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(A)、SP(B)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(A)−SP(B)|)が0.3(cal/cm3)1/2以上1.5(cal/cm3)1/2以下であり、
前記工程(2)の温度が、前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度より35℃高い温度以上、かつ、前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度未満であり、かつ、工程(2)以降の操作の温度が工程(2)の温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法を提供する。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、
工程(1):水性媒体中で、樹脂粒子A及びワックス粒子を凝集し、凝集粒子(1)を得る工程、
工程(2):工程(1)で得られた凝集粒子(1)に樹脂粒子Bを凝集させ、凝集粒子(2)を得る工程、
を含む。
本発明の製造方法において、前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度は、0℃以上25℃以下であり、前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度は、50℃以上70℃以下である。
また、前記樹脂粒子Aを構成する樹脂(以下、単に「樹脂A」ともいう)と樹脂粒子Bを構成する樹脂(以下、単に「樹脂B」ともいう)のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(A)、SP(B)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(A)−SP(B)|)が0.3(cal/cm3)1/2以上1.5(cal/cm3)1/2以下である。
更に、前記工程(2)の温度が、前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度より35℃高い温度以上、かつ、前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度未満であり、かつ、工程(2)以降の操作の温度が工程(2)の温度以下である。
本発明の製造方法により得られるトナーは、そのコア部はガラス転移温度が0℃以上25℃以下の樹脂Aを含有し、シェル部は、ガラス転移温度が50℃以上70℃以下の樹脂Bを含む樹脂粒子を有する構造を形成することを想定している。そして、当該トナーは当該樹脂Aと樹脂BのSP値差をある特定の範囲内としたものである。
従来技術の課題を改善するため、本発明ではまず、コア部の樹脂と、シェル部の樹脂との間で、相溶性の指標であるSP値を適切にコントロールすることで、コア部とシェル部の相溶化を抑制しつつ、しかし完全に相分離しない状態を作り出し、コア部の周囲にシェル部が十分に覆うことができる。そして、シェル部用の樹脂粒子を凝集させる工程において、樹脂Aのガラス転移温度より35℃高い温度以上、かつ、樹脂Bのガラス転移温度に満たない温度でトナーの製造を行う。
ここで従来の融着工程では、通常、シェル部の樹脂のガラス転移温度よりも高い温度を施すことで、シェル部の樹脂粒子同士を融着させシェル層を形成させている。しかし本発明においては、この加熱作業を行う必要がない。シェル部の樹脂粒子Bはそのごく表面ではコア部の樹脂Aと相溶していると考えられ、コア部の樹脂Aのガラス転移温度を十分低くすることで、シェル部の樹脂粒子Bへの拡散速度が上がりコアシェル界面に相溶部が形成され、この相溶部でのガラス転移温度はシェル内部の樹脂に比べて低くなる。その結果、融着時の加熱を行うことなく、樹脂粒子間が実質的に融着した構造となることで、コア部の低ガラス転移温度の樹脂やワックス成分のトナー表面への露出を抑制できる。その結果、低温定着性と耐熱保存性を両立できるとともに、ワックス成分の表面露出等に起因する印刷特性(感光体カブリ)の悪化を、抑制できるものと考えられる。
前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度は、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立させ、カブリを低減する観点から、0℃以上25℃以下である。当該範囲で示されるように樹脂Aのガラス転移温度が低いため、高い低温定着性を示すトナーが得られる。
樹脂Aのガラス転移温度は、トナーの低温定着性を高める観点から、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下、更に好ましくは12℃以下であり、そして、トナーの耐熱保存性を高める観点から、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは7℃以上である。
なお、樹脂Aとして、2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移温度は、各々2種以上の樹脂Aの混合物として、実施例に記載の方法によって得られた値である。
樹脂Bのガラス転移温度は、トナーの耐熱保存性を高める観点から、好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは65℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を高める観点から70℃以下である。
なお、樹脂Bとして、2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移温度は、各々2種以上の樹脂Bの混合物として、実施例に記載の方法によって得られた値である。
樹脂粒子Aを構成する樹脂と樹脂粒子Bを構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(A)、SP(B)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(A)−SP(B)|)は、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、0.3(cal/cm3)1/2以上1.5(cal/cm3)1/2未満である。
ΔSPは、SP(A)、SP(B)の差の値の絶対値を示す。
ΔSPは、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、好ましくは0.5(cal/cm3)1/2以上、より好ましくは0.8(cal/cm3)1/2以上、更に好ましくは0.9(cal/cm3)1/2以上であり、そして、好ましくは1.4(cal/cm3)1/2以下、より好ましくは1.2(cal/cm3)1/2以下、更に好ましくは1.0(cal/cm3)1/2以下である。
樹脂粒子が複数種の樹脂を含有する場合、各々の樹脂の溶解度パラメータについて前記のΔSPの条件を満たす。すなわち、樹脂粒子Aが2種の樹脂A1とA2から構成される場合、SP(A1)及びSP(A2)が、それぞれ、樹脂粒子Bを構成する樹脂Bの溶解度パラメータSP(B)に対し、前記の関係を満たす。
樹脂粒子が複数種の樹脂を含有する場合、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、同一の樹脂粒子を構成する複数種の樹脂間のSP値差は、好ましくは0.3(cal/cm3)1/2以下、より好ましくは0.2(cal/cm3)1/2以下、更に好ましくは0.1(cal/cm3)1/2以下であり、より更に好ましくは実質的に0(cal/cm3)1/2である。
なお、溶解度パラメータSP(A)とSP(B)は、カブリを低減する観点から、SP(A)<SP(B)の関係を満たすことが好ましい。
本発明の製造方法においては、ワックスの遊離を防止して、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、前記工程(2)の温度が、前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度より35℃高い温度以上、かつ、前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度未満である。そして、工程(2)以降の操作の温度が工程(2)の温度以下である。ここで「工程(2)の温度以下」とは、工程(2)で処理した温度以下であることを意味する。
工程(2)の温度は、トナーの耐熱保存性を高める観点から、樹脂Aのガラス転移温度より35℃高い温度以上が好ましく、40℃高い温度以上がより好ましく、45℃高い温度以上が更に好ましく、50℃高い温度以上が更に好ましく、そして、ワックスの遊離を防止して、トナーの低温定着性と耐熱保存性を両立させ、カブリを低減する観点から、樹脂Bのガラス転移温度未満が好ましく、樹脂Bのガラス転移温度より3℃低い温度以下が好ましい。
工程(1)は、水性媒体中で、樹脂粒子A及びワックス粒子を凝集し、凝集粒子(1)を得る工程である。
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、樹脂粒子の水系分散液の分散安定性を向上させる観点、及び環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは100質量%である。水としては、脱イオン水、イオン交換水、又は蒸留水が好ましい。
水と共に水性媒体を構成し得る水以外の成分としては、炭素数1以上5以下のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の炭素数3以上5以下のジアルキルケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。これらの中でも、有機溶媒のトナーへの混入を防止する観点から、ポリエステルを溶解しない炭素数1以上5以下のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びブタノールから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
本発明において、樹脂粒子Aを構成する樹脂は、好ましくはポリエステルAを含有する。本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル以外の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
樹脂粒子Aを構成する樹脂中のポリエステルAの含有量は、トナーの低温定着性と耐熱保存性と両立し、カブリを低減する観点から、樹脂粒子Aを構成する樹脂中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上であり、そして、トナーの低温定着性を向上させる観点から、より更に好ましくは100質量%、すなわち、樹脂粒子Aを構成する樹脂がポリエステルAである。
ポリエステルAは、樹脂粒子Aの水系分散液の分散安定性を向上させる観点から、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられる。これらの中でも、樹脂粒子Aの水系分散液の分散安定性を向上させる観点から、カルボキシ基が好ましい。
ポリエステルAのアルコール成分(a−al)は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立させる観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含むポリエステルが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、好ましくは、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)及びビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のアルコール成分(a−al)中の含有量は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立させる観点から、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは95モル%以下である。
モノオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンモノエチルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルが挙げられる。
ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルのアルキルの炭素数は、好ましい熱物性の樹脂を得る観点から、好ましくは1以上であり、そして、好ましくは12以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
またポリオキシエチレンの付加モル数は、好ましい熱物性の樹脂を得る観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、そして、好ましくは50以下、より好ましくは30以下である。
モノオールを併用する場合、モノオールのアルコール成分(a−al)中の含有量は、好ましい熱物性の樹脂を得る観点から、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上であり、そして、好ましくは15モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
アルコール成分(a−al)が含み得る他のアルコールは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
ポリエステルAのカルボン酸成分(a−ac)としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。中でもジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸と3価以上の多価カルボン酸とを併用することがより好ましい。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、イソフタル酸、及びテレフタル酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
炭素数2以上30以下の脂肪族カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。これらの中でもフマル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、及びドデセニルコハク酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
3価以上の多価カルボン酸としては、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を向上させる観点から、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましく、トリメリット酸無水物がより好ましい。
以上の中でも、テレフタル酸、フマル酸、アジピン酸、ドデカン二酸、及びドデセニルコハク酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カルボン酸成分(a−ac)は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
ポリエステルAのガラス転移温度は、トナーの低温定着性を高める観点から、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、更に好ましくは15℃以下、より更に好ましくは12℃以下であり、そして、耐熱保存性を高める観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは3℃以上、更に好ましくは5℃以上、より更に好ましくは7℃以上である。
ポリエステルAの軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、後述の実施例に記載の方法により求められる。
ポリエステルAは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。なお、ポリエステルAとして、2種以上混合して使用する場合は、それらの混合物として得られた軟化点、ガラス転移温度、及び酸価の値が、それぞれ前述の範囲内であることが好ましい。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。
エステル化触媒は、反応性の観点から、カルボン酸成分(a−ac)とアルコール成分(a−al)との総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。
エステル化助触媒としては、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル等のピロガロール化合物;2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート等のカテキン誘導体等が挙げられ、反応性の観点から、没食子酸が好ましい。
エステル化助触媒の使用量は、反応性の観点から、カルボン酸成分(a−ac)とアルコール成分(a−al)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下である。
ラジカル重合禁止剤としては、4−tert−ブチルカテコール等が挙げられる。ラジカル重合禁止剤の使用量は、カルボン酸成分(a−ac)とアルコール成分(a−al)との総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.2質量部以下である。
また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させることが好ましい。
樹脂粒子Aは、ポリエステルAを含有する樹脂(以下、「結着樹脂」ともいう)、必要に応じて界面活性剤、及び着色剤等の任意成分を水性媒体中に分散させ、樹脂粒子の水系分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
転相乳化法としては、樹脂等を有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に水性媒体を添加して転相乳化する方法(A)、及び、樹脂等を溶融して混合して得られた樹脂混合物に水性媒体を添加して転相乳化する方法(B)が挙げられる。均質な樹脂粒子Aの水系分散液を得る観点から、方法(A)が好ましい。
方法(A)では、まず、樹脂等を有機溶媒に溶解させ、樹脂等の有機溶媒溶液を得、次いで、該溶液に水性媒体を添加して転相乳化する方法が好ましい。
以下、転相乳化による方法について述べる。
有機溶媒としては、エタノール(26.0)、イソプロパノール(23.5)、イソブタノール(21.5)等のアルコール系溶媒;アセトン(20.3)、メチルエチルケトン(19.0)、メチルイソブチルケトン(17.2)、ジエチルケトン(18.0)等のケトン系溶媒;ジブチルエーテル(16.5)、テトラヒドロフラン(18.6)、ジオキサン(20.5)等のエーテル系溶媒;酢酸エチル(18.6)、酢酸イソプロピル(17.4)等の酢酸エステル系溶媒などが挙げられる。なお、各溶媒の後ろのカッコ内の数値はそれぞれのSP値(単位:MPa1/2)である。これらの中でも、水性媒体添加後の混合液からの除去が容易である観点から、好ましくはケトン系溶媒及び酢酸エステル系溶媒から選ばれる1種以上、より好ましくはメチルエチルケトン、酢酸エチル及び酢酸イソプロピルから選ばれる1種以上、更に好ましくはメチルエチルケトンである。
中和剤としては、塩基性物質が挙げられる。塩基性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の含窒素塩基性物質などが挙げられ、これらの中でも、樹脂粒子Aの分散安定性及び凝集性を向上させる観点から、好ましくはアルカリ金属の水酸化物、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
なお、中和剤の使用当量(モル%)は、下記式によって求めることができる。中和剤の使用当量は、100モル%以下の場合、中和度と同義であり、下記式で中和剤の使用当量が100モル%を超える場合には、中和剤が樹脂の酸基に対して過剰であることを意味し、この時の樹脂の中和度は100モル%とみなす。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{樹脂の酸価(mgKOH/g)×樹脂の質量(g)}/(56×1000)]〕×100
また、樹脂粒子Aの分散安定性を向上させる観点から、水性媒体と前記有機溶媒との質量比(水性媒体/有機溶媒)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは50/50以上、更に好ましくは80/20以上であり、そして、好ましくは97/3以下、より好ましくは93/7以下、更に好ましくは90/10以下である。
水性媒体の添加速度は、小粒径の樹脂粒子Aを得る観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子Aを構成するポリエステル樹脂A 100質量部に対して、好ましくは0.1質量部/分以上、より好ましくは0.5質量部/分以上、更に好ましくは1質量部/分以上、より更に好ましくは3質量部/分以上であり、そして、好ましくは50質量部/分以下、より好ましくは40質量部/分以下、更に好ましくは30質量部/分以下、より更に好ましくは20質量部/分以下である。転相後の水性媒体の添加速度には制限はない。
また、有機溶媒は、完全に除去されず水系分散液中に残留していてもよい。この場合、有機溶媒の残存量は、水系分散液中、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは実質的に0%である。
ここで、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径であり、後述の実施例に記載の方法で求められる。
また、樹脂粒子Aの粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、樹脂粒子Aの水系分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上であり、そして、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは40%以下である。
なお、CV値は、下記式で表される値である。下記式における体積平均粒径とは、体積基準で測定された粒径に、その粒径値を持つ粒子の割合を掛け、それにより得られた値を粒子数で除して得られる粒径であり、後述の実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(nm)/体積平均粒径(nm)]×100
工程1で使用するワックス粒子は、ワックスを含有する。
(ワックス)
ワックスとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン;シリコーンワックス;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド;植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;鉱物又は石油系ワックス;エステルワックス等の合成ワックス等が挙げられる。
植物系ワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられ、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、カルナウバワックスが好ましい。
鉱物又は石油系ワックスとしては、モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等が挙げられ、トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、パラフィンワックスが好ましい。
これらのワックスは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができ、2種以上を併用することが好ましい。トナーの離型性及び低温定着性を向上させる観点から、植物系ワックスと鉱物系又は石油系ワックスとを併用することが好ましく、カルナウバワックスとパラフィンワックスとを併用することがより好ましい。
本発明において、ワックスの融点は、実施例に記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有されるワックス中、最も質量比の大きいワックスの融点を、本発明におけるワックスの融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い融点の値を本発明におけるワックスの融点とする。
ワックスの使用量は、トナーの離型性を向上させる観点から、トナー中の樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、そして、カブリを低減する観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。
ワックス粒子は、ワックスを水性媒体に分散してワックス粒子の分散液として得ることが好ましい。
ワックス粒子の分散液は、ワックスと水性媒体とを、界面活性剤又は樹脂エマルション等の存在下、ワックスの融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点から、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
超音波分散機としては、例えば超音波ホモジナイザーが挙げられる。その市販品としては、「US−150T」、「US−300T」、「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)、「SONIFIER(登録商標)4020−400」、「SONIFIER(登録商標)4020−800」(ブランソン社製)等が挙げられる。
また、前記分散機を使用する前に、ワックス、任意で樹脂粒子及び界面活性剤、及び水性媒体を、あらかじめホモミキサー、ボールミル等の混合機で予備分散させておくことが好ましい。
本製造で用いる水性媒体の好ましい態様は、前記樹脂粒子の水系分散液を得る際に用いられる水性媒体と同様である。
オキサゾリン基含有重合体は、ワックスを水性媒体中に分散させる観点から使用される。オキサゾリン基含有重合体を用いることで、ポリマー主鎖が疎水性のワックスに吸着し、極性を持つオキサゾリン基が水性媒体への分散基となり、ワックスを水性媒体中に分散させることが可能となる。そして、次いで混合する樹脂エマルション中の樹脂中の反応活性部位とオキサゾリン基が化学的に結合するため、強固にワックス粒子表面に樹脂粒子が付着した粒子とすることができる。さらに、ワックス中にカルボキシ基などの官能基を含む場合には、オキサゾリン基と反応し、より強固にワックス表面に付着しやすく、ワックス粒子の分散安定性が向上するものと考えられる。
オキサゾリン基含有重合体の数平均分子量は、ワックス及び樹脂との反応性を高める観点から、好ましくは1,000以上、より好ましくは5,000以上であり、そして、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは100,000以下である。
オキサゾリン基含有重合体の市販品としては、エポクロス(登録商標)WS−300、WS−500、WS−700等の「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」(株式会社日本触媒製、水溶性タイプ、主鎖アクリル)、「Kシリーズ」(株式会社日本触媒製、エマルションタイプ、主鎖スチレン/アクリル)等が挙げられる。
塩化ビニル系樹脂エマルションは、塩化ビニルモノマーと、必要により、少なくとも1種の共重合し得るモノマーとの重合(好ましくは、乳化重合)によって得られる樹脂を含むことが好適である。ここで塩化ビニルモノマーと共重合し得るモノマーとしては、アクリル系モノマー、酢酸ビニル等が挙げられる。その他、国際公開第2010−140647号に示されるようにスチレン・アクリルオリゴマー及び/又はアクリル酸エステルオリゴマーの存在下で、塩化ビニルモノマーと、少なくとも1種の共重合し得るモノマーとを重合(好ましくは、乳化重合)させることで得られる塩化ビニル系樹脂を用いてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂エマルションとして、市販の樹脂エマルションを用いてもよい。市販の樹脂エマルションとしては、界面活性剤を用いない、所謂ソープフリー型として市販されている、ビニブラン700、ビニブラン701(いずれも塩化ビニル共重合エマルション:日信化学工業株式会社製;ビニブランは登録商標)等が挙げられる。
アクリル系樹脂エマルションとしては、アクリル樹脂エマルション、スチレン−アクリル共重合体樹脂エマルション、酢酸ビニル−アクリル共重合体樹脂エマルション、シリコーン−アクリル樹脂エマルション、ポリエステル−アクリル樹脂エマルション、ウレタン−アクリル樹脂エマルション、変性アクリル樹脂エマルション、自己架橋型アクリル酸エステル樹脂エマルション、及びエチレン−酢酸ビニル−アクリル樹脂エマルションから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。中でも、ワックス粒子の分散安定性を向上させる観点から、アクリル樹脂エマルション、スチレン−アクリル共重合体樹脂エマルションが好ましい。
ワックス粒子の分散液を製造するために用いるポリエステル樹脂エマルションに使用するポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂、非晶質ポリエステル樹脂のどちらでもよく、その種類と作製方法は、前述のコア部分を構成するポリエステルの製造と同様の方法で、酸成分とアルコール成分とを、重縮合反応させることによって製造することができる。
ワックス粒子の分散液における樹脂エマルションの添加量は、ワックス100質量部に対して、トナー作製時のワックス粒子の凝集性を向上させ遊離を防止する観点から、樹脂分として、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは3質量部以上であり、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
ワックス粒子のCV値は、樹脂粒子との凝集を容易にする観点、及びトナーの帯電安定性を向上させるカブリを低減する観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは35%以下であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは25%以上である。ワックス粒子の体積中位粒径(D50)及びCV値は、具体的には実施例に記載の方法で求められる。
工程1では、必要に応じて着色剤を混合してもよい。
着色剤の含有量は、印刷物の画像濃度を向上させる観点から、樹脂粒子Aを構成する樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、そして、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
顔料としては、シアン顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、黒色顔料等が挙げられる。
シアン顔料は、フタロシアニン顔料が好ましく、銅フタロシアニンがより好ましい。イエロー顔料は、モノアゾ顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料が好ましく、マゼンタ顔料は、キナクリドン顔料、BONAレーキ顔料等の溶性アゾ顔料、ナフトールAS顔料等の不溶性アゾ顔料が好ましい。黒色顔料は、カーボンブラックが好ましい。
染料の例としては、アクリジン染料、アゾ染料、ベンゾキノン染料、アジン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、フタロシアニン染料、アニリンブラック染料等が挙げられる。
着色剤は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
工程1で着色剤を混合する場合、着色剤を水性媒体に分散した着色剤粒子の分散液を用いることが好ましい。
着色剤粒子の分散液は、着色剤と水性媒体とを、界面活性剤等の存在下、分散機を用いて分散して得ることが好ましい。分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
前記界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、着色剤粒子の分散安定性を向上させる観点、及び着色剤粒子と樹脂粒子Aとの凝集性を向上させる観点から、好ましくはアニオン性界面活性剤である。具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム等が挙げられ、好ましくはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
凝集粒子(1)は、樹脂粒子A及びワックス粒子、必要に応じて、凝集剤、界面活性剤、着色剤等の任意成分を水性媒体中で凝集して凝集粒子を得ることができる。
本工程においては、まず、樹脂粒子Aの水系分散液、及びワックス粒子の分散液を水性媒体中で混合して、混合分散液を得ることが好ましい。
また、混合分散液には、樹脂粒子A以外の樹脂粒子を混合してもよい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
混合温度は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、0℃以上40℃以下が好ましい。
凝集剤としては、過剰な凝集を防ぎつつ、所望の粒径のトナーを得る観点から、電解質であることが好ましく、塩であることがより好ましい。具体的には、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤等が挙げられる。これらの中でも、凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、好ましくは無機系凝集剤であり、より好ましくは無機金属塩、無機アンモニウム塩であり、より好ましくは無機アンモニウム塩である。
無機系凝集剤のカチオンの価数は、過剰な凝集を防ぎつつ、所望の粒径のトナーを得る観点から、好ましくは5価以下、より好ましくは2価以下、更に好ましくは1価である。無機系凝集剤の1価のカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。凝集性を向上させ均一な凝集粒子を得る観点から、好ましくはアンモニウムイオンである。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。
無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられる。
凝集剤としては、好ましくは硫酸アンモニウムである。
凝集剤は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、水溶液として、滴下することが好ましい。凝集剤の水溶液の濃度は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
凝集剤の滴下時間は、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは1分以上であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは120分以下、より好ましくは60分以下、更に好ましくは30分以下である。
凝集剤を滴下する温度は、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、そして、凝集を制御して所望の粒径の凝集粒子を得る観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
更に、凝集を促進させ、所望の粒径及び粒径分布の凝集粒子を得る観点から、凝集剤を添加した後に分散液の温度を上げて凝集させることが好ましい。保持する温度としては、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは70℃以下、より好ましくは65℃以下、更に好ましくは63℃以下である。
前記温度範囲にて、凝集粒子の体積中位粒径(D50)をモニタリングすることによって、凝集の進行を確認することが好ましい。
体積中位粒径(D50)の測定は実施例に記載の方法によって行う。
また、凝集粒子(1)のCV値は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下であり、そして、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。CV値は、下記式で表される値であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
工程(2)は、工程(1)で得られた凝集粒子(1)に樹脂粒子Bを凝集させ、凝集粒子(2)を得る工程である。
本発明において、樹脂粒子Bを構成する樹脂は、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、好ましくはポリエステルBを含有する。本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル以外の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
樹脂粒子Bを構成する樹脂中のポリエステルBの含有量は、得られるトナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは98質量%以上、より更に好ましくは100質量%、すなわち、樹脂粒子Bを構成する樹脂がポリエステルBである。
ポリエステルBは、ポリエステルBを含む樹脂粒子Bの水系分散液の分散安定性を向上させる観点から、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられる。これらの中でも、樹脂粒子Bの水系分散液の分散安定性を向上させる観点から、カルボキシ基が好ましい。
ポリエステルBのアルコール成分(b−al)は、トナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、好ましくはビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物を含有する。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、好ましくは、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)及びビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物(ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはビスフェノールAのエチレンオキシド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のアルコール成分(b−al)中の含有量は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立させる観点から、好ましくは85モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは95モル%以上であり、そして、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは100モル%である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物のアルキレンオキシドの平均付加モル数は、トナーの低温定着性と耐熱保存性とを両立し、カブリを低減する観点から、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.5以上であり、そして、好ましくは16以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは8以下、より更に好ましくは4以下である。
アルコール成分(b−al)が含み得る他のアルコールは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
ポリエステルBのカルボン酸成分(b−ac)としては、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの無水物及びそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられ、中でもジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、及び脂環式ジカルボン酸が挙げられ、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が好ましく、芳香族ジカルボン酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸の例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられ、トナーの耐熱保存性を向上させる観点から、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸は、トナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立させる観点から、炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは20以下である。
炭素数2以上30以下の脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等が挙げられる。炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。
これらの中でも、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸と、ドデセニルコハク酸及びその無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を併用することがより好ましい。
カルボン酸成分(b−ac)は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
ポリエステルBのガラス転移温度は、得られるトナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立させる観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上、更に好ましくは60℃以上、より更に好ましくは65℃以上であり、そして、トナーの低温定着性を高める観点から好ましくは70℃以下である。
ポリエステルBの軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができ、また、それらの値は、後述の実施例に記載の方法により求められる。
なお、ポリエステルBとして、2種以上混合して使用する場合は、その軟化点、ガラス転移温度、及び酸価は、各々2種以上のポリエステルBの混合物として、実施例に記載の方法によって得られた値である。
ポリエステルBは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
なお、本発明において、ポリエステルには、酸基を有するものであれば未変性のポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化又はブロック化したポリエステル等が挙げられる。
樹脂粒子Bの水系分散液を得る方法としては、樹脂粒子Aの製造において挙げた方法が好ましい。
樹脂粒子Bの粒径分布の変動係数(CV値)(%)は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下であり、そして、樹脂粒子の水系分散液の生産性を向上させる観点から、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。
凝集粒子(2)は、凝集粒子(1)に樹脂粒子Bを凝集させて得られる。凝集粒子(1)がコア側となり、樹脂粒子Bがシェル側になった凝集粒子(2)が得られる。
凝集させる温度は、前述の工程(2)の温度のとおりである。
凝集を停止させる方法としては、分散液を冷却する方法、凝集停止剤を添加する方法、分散液を希釈する方法等が挙げられる。
体積中位粒径(D50)の測定は実施例に記載の方法によって行う。
また、凝集粒子(2)のCV値は、高画質の画像が得られるトナーを得る観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下であり、そして、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは15%以上である。CV値は、下記式で表される値であり、実施例に記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒径分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
工程(2)の後に後処理工程を行ってもよく、単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。後処理工程を行う場合、処理する温度は工程(2)の温度以下である。
工程(2)で得られた凝集粒子(2)は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。このとき、添加した界面活性剤も除去することが好ましいため、界面活性剤の曇点以下で水性媒体により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましい。本発明においては、乾燥時の温度は、工程(2)の温度以下である。具体的には、乾燥効率の観点から、20℃以上35℃以下の温度で行うことが好ましい。乾燥方法としては、真空低温乾燥法、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの帯電特性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下に調整する。
静電荷像現像用トナーは、前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子及びポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、そして、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4.5質量部以下である。
得られるトナーの体積中位粒径(D50)は、トナーの生産性を向上させる観点及びトナーの低温定着性及び耐熱保存性を両立させる観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下である。
トナーのCV値は、高画質の画像を得る観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは27%以下、更に好ましくは25%以下であり、そして、トナーの生産性を向上させる観点から、好ましくは15%以上、より好ましくは18%以上である。
本発明により得られる静電荷像現像用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(質量比))とした。
(1)軟化点
フローテスター「CFT−500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を室温(20℃)より昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)結晶性指数
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、室温(20℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料をそのまま1分間静止させ、その後、昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(1)として、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(1)(℃))により、結晶性指数を求めた。
(3)ガラス転移温度
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度(2)とした。ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移温度とした。
示差走査熱量計「Q100」(ティー エイ インスツルメント ジャパン株式会社製)を用いて、試料0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次いで試料を昇温速度10℃/minで昇温し、熱量を測定し、吸熱の最大ピーク温度を融点とした。
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機「LA−920」(株式会社堀場製作所製)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
赤外線水分計「FD−230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5min/変動幅0.05%)にて、水分(質量%)を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(質量%)=100−水分(質量%)
凝集粒子の体積中位粒径(D50)は以下の通り測定した。
・測定機:「コールターマルチサイザー(登録商標)III」(ベックマンコールター株式会社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:「マルチサイザー(登録商標)IIIバージョン3.51」(ベックマンコールター株式会社製)
・電解液:「アイソトン(登録商標)II」(ベックマンコールター株式会社製)
・測定条件:試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、改めて3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
トナー粒子の体積中位粒径(D50)は以下の通り測定した。
測定機、アパチャー径、解析ソフト、電解液は、凝集粒子の体積中位粒径(D50)と同様のものを用いた。
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル「エマルゲン(登録商標)109P」(花王株式会社製、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5質量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー粒子の測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、改めて3万個の粒子を測定し、その粒径分布から体積中位粒径(D50)及び体積平均粒径を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
下記条件でトナー粒子の円形度を測定した。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス株式会社製)
・分散液の調製:5質量%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P)水溶液5mlにトナー粒子50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させて調製した。
・測定モード:HPF測定モード
下記条件で、窒素吸着法によりトナー粒子のBET比表面積を測定した。
・測定装置:比表面積測定装置「Micromeritics FlowSorbIII」(株式会社島津製作所製)
・サンプル量:0.09〜0.11g
・脱気条件:40℃、10分間
・吸着ガス:窒素ガス
上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)に市販のプリンタ「Microline(登録商標)5400」(株式会社沖データ製)を用いて、トナーの紙上の付着量が1.4〜1.5mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を90℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.2秒の速度で定着し、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、定着し、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分からベタ画像にかけて、メンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810」(住友スリーエム株式会社製、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、直径5cmの底円を有する500gのおもりを載せ、速さ10mm/secで1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/secで剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙「エクセレントホワイト紙A4サイズ」(株式会社沖データ製)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計「SpectroEye」(GretagMacbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率(%)=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる最低の温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど低温定着性に優れることを表す。
内容積100mlの広口ポリビンにトナー10gを入れて密封し、50℃に保った恒温槽に入れ、その温度で48時間静置した。その後、25℃の温度で密封したまま12時間以上静置して冷却した。次いで、「パウダーテスタ(登録商標)」(ホソカワミクロン株式会社製)の振動台に、目開き250μmのフルイをセットし、その上に前記トナー10gを乗せ30秒間振動を行い、フルイ上に残ったトナーの質量を測定した。数値が小さいほど、トナーが耐熱保存性に優れることを表す。
市販のプリンタ「Microline5400」(株式会社沖データ製)にトナーを実装し、画像のない白色画像を、上質紙「J紙A4サイズ」(富士ゼロックス株式会社製)を用いて印字し、A4の半分まで転写した時点でマシンを停止させ、転写前の感光体表面に透明なメンディングテープ「Scotch(登録商標)メンディングテープ810−3−18」(住友スリーエム株式会社製)を貼付け、感光体表面のトナーを採取する。
未使用のJ紙面上に、リファレンスとしてのメンディングテープと、感光体上のトナーを採取したメンディングテープをそれぞれ貼付し、それをJ紙30枚の上に置き、測色計「SpectroEye」(Gretag−Macbeth社製、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて、それぞれCIE L*a*b*を測色する。感光体表面のトナーを採取したメンディングテープとリファレンスとの色差ΔE={(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2}1/2を求め、その値をカブリとする。ΔEは値が小さいほどカブリが少ないことを示す。
製造例X1(ポリエステルX1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン5314g、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル1195g、フマル酸1907g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)20g、及び4−tert−ブチルカテコール5gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、180℃に昇温した後、210℃まで10℃/hrで昇温し、その後、10kPaにて反応を行って、ポリエステルX1を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6035g、ドデカン二酸2379g、ドデセニルコハク酸無水物1386g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)20g、及び没食子酸2gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、170℃に昇温した後、235℃まで10℃/hrで昇温し、235℃で5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて1時間保持した。大気圧に戻し、210℃まで冷却し、フマル酸200g及び4−tert−ブチルカテコール5gを加え、210℃で保持しながら、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて反応を行って、ポリエステルX2を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7071g、テレフタル酸335g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)20g、及び没食子酸2gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて1時間保持した。大気圧に戻し、200℃まで冷却し、フマル酸234g、アジピン酸2360g、及び4−tert−ブチルカテコール5gを加え、190℃まで冷却し、190℃で1時間保持した後、210℃まで2時間かけて昇温した。フラスコ内の圧力を下げ、8kPaにて反応を行って、ポリエステルX3を得た。物性を表1に示す。
原料組成を表1に示すように変更した以外は製造例X3と同様にして、ポリエステルX4を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7181g、テレフタル酸734g、コハク酸2086g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)20g、及び没食子酸2gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、170℃に昇温した後、210℃まで10℃/hrで昇温し、210℃で5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて反応を行って、ポリエステルX5を得た。物性を表1に示す。
原料組成を表1に示すように変更した以外は製造例X5と同様にして、ポリエステルX6を得た。物性を表1に示す。
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン6534g、テレフタル酸2002g、ジ(2−エチルヘキサン酸)錫(II)20g、及び没食子酸2gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、235℃に昇温し、235℃で5時間保持した後、フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて1時間保持した。大気圧に戻し、200℃まで冷却し、ドデセニルコハク酸無水物1078g及びトリメリット酸無水物386gを加え、190℃まで冷却し、190℃で1時間保持した後、210℃まで2時間かけて昇温した。フラスコ内の圧力を下げ、10kPaにて反応を行って、ポリエステルY1を得た。物性を表1に示す。
原料組成を表1に示すように変更した以外は製造例Y1と同様にして、ポリエステルY2〜Y4を得た。物性を表1に示す。
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計及び窒素導入管を備えた2L容の容器に、ポリエステルX1 200g、メチルエチルケトン120gを入れ、73℃にて1時間かけて溶解させた。得られた溶液に、5質量%水酸化ナトリウム水溶液を、ポリエステルX1の酸価に対して中和度60モル%になるように添加して、30分撹拌した。
次いで、73℃に保持したまま、200r/min(周速度63m/min)で撹拌しながら、脱イオン水1000gを60分かけて添加し、転相乳化した。継続して73℃に保持したまま、メチルエチルケトンを減圧下で留去し水系分散液を得た。その後、200r/min(周速度63m/min)で撹拌を行いながら水系分散液を30℃に冷却した後、固形分濃度が23質量%になるように脱イオン水を加えることにより、樹脂粒子の水系分散液A−1を得た。物性を表2に示す。
ポリエステルの種類を表2及び表3に示すように変更した以外は、製造例A1と同様にして樹脂粒子の水系分散液A−2〜A−6、B−1〜B−4を得た。物性を表2及び表3に示す。
1リットル容のビーカーに、脱イオン水225g、カルナウバワックス「カルナウバワックス1号」(株式会社加藤洋行製、融点83℃)5g、及びパラフィンワックス「HNP−9」(日本精蝋株式会社製、融点75℃)45gを添加し、90〜95℃に温度を保持して溶融させて撹拌し、カルナウバワックスとパラフィンワックスとが一体となって溶融した溶融混合物を得た。ついで、オキサゾリン基含有ポリマー水溶液「エポクロス(登録商標)WS−700」(株式会社日本触媒製、不揮発分25質量%、数平均分子量20,000)1.7gを添加し、90〜95℃に温度を保持しながら、超音波ホモジナイザー「US−600T」(株式会社日本精機製作所製)を用いて15分間分散処理を行った。ここに塩化ビニル系共重合エマルション「ビニブラン(登録商標)701」(日信化学工業株式会社製、固形分30質量%、酸価46mgKOH/g、ガラス転移温度70℃、平均粒径30nm)9.0gを添加し、超音波ホモジナイザーにて15分間分散処理を行った後に室温まで冷却した。得られた分散物に脱イオン水を加え、固形分濃度を20質量%に調整し、ワックス粒子分散液W−1を得た。得られたワックス粒子分散液の粒径は0.44μm、粒度分布CV値は30%であった。
1リットル容のビーカーに、銅フタロシアニン顔料「ECB−301」(大日精化工業株式会社製)116.2g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス(登録商標)G−15」(花王株式会社製、15質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液)154.9g及びイオン交換水340gを混合し、ホモジナイザーを用いて室温(20℃)で3時間分散させた後、固形分濃度が24質量%になるようにイオン交換水を加えることにより着色剤分散液P−1を得た。分散液中の着色剤粒子の体積中位粒径(D50)は0.118μmであった。
実施例1(トナー1の作製)
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積2リットルの4つ口フラスコに、樹脂粒子の水系分散液A−1 300g、ワックス粒子分散液W−1 32g、着色剤粒子分散液P−1 21g、脱イオン水21g、及び非イオン性界面活性剤「エマルゲン(登録商標)150」(花王株式会社製、ポリオキシエチレン(平均付加モル数:50)ラウリルエーテル)の10質量%水溶液6.9gを温度25℃で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム18gを脱イオン水243gに溶解した水溶液を25℃で10分かけて滴下した後、60℃まで3時間かけて昇温し、凝集粒子の体積中位粒径(D50)が4.3μmになるまで、60℃で保持し、凝集粒子(1)の分散液を得た(工程(1))。
前記凝集粒子(1)の分散液の温度を60℃に保持しながら、樹脂粒子の水系分散液B−2 84gを0.2ml/minの速度で滴下し、62℃まで1時間かけて昇温し、樹脂粒子が付着した凝集粒子(2)の分散液を得た(工程(2))。
得られた凝集粒子(2)の分散液を30℃に冷却して、分散液を吸引濾過で固形分を分離した後、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行って、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子の物性を表4に示す。該トナー粒子100質量部、疎水性シリカ「RY50」(日本アエロジル株式会社製、個数平均粒径;0.04μm)2.5質量部、及び疎水性シリカ「キャボシル(登録商標)TS720」(キャボットジャパン株式会社製、個数平均粒径;0.012μm)1.0質量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのフルイを通過させてトナー1を得た。トナーの評価を表4に示す。
実施例1において、使用する樹脂粒子の水系分散液を表4に示すとおりに変更し、工程(1)、工程(2)の温度を表4及び表5記載の条件に変更したこと以外は実施例1と同様にして、トナー2〜4,51〜56を得た。トナーの物性及び評価を表4及び表5に示す。
Claims (8)
- 工程(1):水性媒体中で、樹脂粒子A及びワックス粒子を凝集し、凝集粒子(1)を得る工程、
工程(2):工程(1)で得られた凝集粒子(1)に樹脂粒子Bを凝集させ、凝集粒子(2)を得る工程、
を含む、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度が0℃以上25℃以下であり、
前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度が50℃以上70℃以下であり、
前記樹脂粒子Aを構成する樹脂と樹脂粒子Bを構成する樹脂のFedors法による溶解度パラメータをそれぞれSP(A)、SP(B)とするとき、溶解度パラメータの差ΔSP(|SP(A)−SP(B)|)が0.3(cal/cm3)1/2以上1.5(cal/cm3)1/2以下であり、
前記工程(2)の温度が、前記樹脂粒子Aを構成する樹脂のガラス転移温度より35℃高い温度以上、かつ、前記樹脂粒子Bを構成する樹脂のガラス転移温度未満であり、かつ、工程(2)以降の操作の温度が工程(2)の温度以下である、静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 前記ワックス粒子を構成するワックスの融点が60℃以上100℃以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記溶解度パラメータSP(A)とSP(B)が、SP(A)<SP(B)の関係を満たす、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記樹脂粒子Aを構成する樹脂がポリエステルAである、請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記ポリエステルAが、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物を85モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステルである、請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記ポリエステルAが、アルコール成分として、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルを含む、請求項4又は5に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記樹脂粒子Bを構成する樹脂がポリエステルBである、請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 前記ポリエステルBが、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を85モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステルである、請求項7に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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