JP2017078211A - 高成形性アルミニウム合金板 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車パネル材用として、従来の組成や製造条件を大きく変えることなく製造できる、高成形性6000系アルミニウム合金板を提供する。【解決手段】Al−Mg−Si系アルミニウム合金板の、固溶Si量と固溶Cu量とをバランス良く増加させ、この板に低歪領域の引張変形を付与した際の転位密度を特定の範囲として、自動車パネル材へのプレス成形時に引張変形により材料中に導入される転位の局在化を抑制し、低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させて、自動車パネル材への成形における不均一変形を抑制し、高い加工硬化特性を発現させる。【選択図】なし
Description
本発明は成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板に関するものである。本発明で言うアルミニウム合金板とは、熱間圧延板や冷間圧延板などの圧延板であって、溶体化処理および焼入れ処理などの調質が施された後であって、使用される部材に曲げ加工されたり、塗装焼付硬化処理される前のアルミニウム合金板を言う。また、以下の記載ではアルミニウムをアルミやAlとも言う。
近年、地球環境などへの配慮から、自動車等の車両の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車の材料として、鋼板等の鉄鋼材料に代えて、成形性や塗装焼付硬化性(ベークハード性、以下BH性とも言う)に優れた、より軽量なアルミニウム合金材の適用が増加しつつある。
自動車のアウタパネル、インナパネルなどの大型自動車パネル材用のアルミニウム合金板としては、代表的にはAl−Mg−Si系のAA乃至JIS 6000系 (以下、単に6000系とも言う) アルミニウム合金板が例示される。この6000系アルミニウム合金板は、Si、Mgを必須として含む組成を有し、成形時には低耐力(低強度)で成形性を確保し、成形後のパネルの塗装焼付処理などの人工時効(硬化) 処理時の加熱により耐力(強度)が向上し、必要な強度を確保できる、塗装焼付硬化性が優れている。
自動車のアウタパネルは、デザイン性の点で、コーナー部やキャラクターラインなどの形状が先鋭化あるいは複雑化しても、ひずみやしわのない美しい曲面構成とキャラクターラインを実現させることが必要である。また、自動車のインナパネルでも、前記アウタパネルとの関係で、設計される凹凸形状が深く(高く)なり、複雑化しても、ひずみやしわのない曲面構成を実現させることが必要である。
そして、このような高成形性化の要求は、素材であるアルミニウム合金板の採用拡大に伴って、年々厳しくなっている。
そして、このような高成形性化の要求は、素材であるアルミニウム合金板の採用拡大に伴って、年々厳しくなっている。
ただ、このような自動車パネル材用途に要求される高成形性化を、鋼板素材よりも難加工材である、6000系アルミニウム合金板の、通常の(従来の)合金組成範囲や、通常の製造工程や条件を大きく変えることなく達成することは、かなり難しい課題となる。
これに対して、周知の通り、従来から、前記パネル材としての素材6000系アルミニウム合金板の、成形性や強度特性を向上させるための組成や組織制御の手段は、結晶粒径の制御から、集合組織の制御を含め、原子の集合体(クラスター)の制御に至るまで、多数提案されている。
これらの組織制御の手段の中で、固溶Mg量や固溶Si量、あるいは固溶Cu量を制御することや、転位密度を制御することも種々提案されている。
これらの組織制御の手段の中で、固溶Mg量や固溶Si量、あるいは固溶Cu量を制御することや、転位密度を制御することも種々提案されている。
例えば、特許文献1では、前記パネル材として、常温安定性に優れ、室温時効によるベークハード性(BH性)などの材質の低下が生じ難い6000系アルミニウム合金板を得ることを目的として、固溶Si量を0.55〜0.80質量%、固溶Mg量を0.35〜0.60質量%とし、且つ、固溶Si量/固溶Mg量を1.1〜2とすることが提案されている。
また、特許文献2では、残渣抽出法により測定したCu固溶量を0.01〜0.7%とし、平均結晶粒径も10〜50μmとした、BH性に優れた温間成形用6000系アルミニウム合金板が提案されている。
更に、非特許文献1では、6000系アルミニウム合金板の更なる高強度化を図るために、転位強化あるいは結晶粒微細化強化と、析出強化とを最適に組み合わせた微視的組織パラメータ(転位密度,結晶粒径)を予測することが提案されている。
そして、6000系アルミニウム合金板に、冷間圧延または巨大ひずみ加工法の1つであるHPT加工を施した試料について、転位密度を調査し、無加工材の転位密度が1011m-2 程度であり、圧延率30%(相当ひずみ0.36)を施した冷間圧延材の転位密度が1014m-2 程度であることを記載している。
そして、この転位密度の測定は、等厚干渉縞法により、倍率10万倍のTEM写真5視野を用いた、交切解析法により行っている。
そして、6000系アルミニウム合金板に、冷間圧延または巨大ひずみ加工法の1つであるHPT加工を施した試料について、転位密度を調査し、無加工材の転位密度が1011m-2 程度であり、圧延率30%(相当ひずみ0.36)を施した冷間圧延材の転位密度が1014m-2 程度であることを記載している。
そして、この転位密度の測定は、等厚干渉縞法により、倍率10万倍のTEM写真5視野を用いた、交切解析法により行っている。
日本金属学会誌第75 巻、第5 号(2011)283〜290頁、「高転位密度および超微細粒組織をもつAl-Mg-Si合金で観察される競合析出現象の実験的ならびに計算科学的研究」増田哲也、廣澤渉一、堀田善治、松田健二
ただ、これら従来技術では、固溶元素量の制御や、転位密度の制御は、6000系アルミニウム合金板の特に強度特性を向上させる目的で行われている。このため、成形性の兼備も当然考慮してはいるものの、そのレベルは、通常のヘム加工性やプレス成形性の域を出ず、前記した近年の自動車のパネル材に要求されるような厳しい高成形性を達成する目的ではない。
したがって、このような自動車パネル材用途に要求される厳しい高成形性を達成するためには、パネルデザインの変更や成形条件を変更して、成形時の負荷を緩和するか、6000系アルミニウム合金板の成形時の強度を下げるなどの、従来周知の対策しか、これまでなかったのが実情である。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、自動車パネル材用として、従来の6000系アルミニウム合金板の組成や製造条件を大きく変えることなく製造できる、高成形性6000系アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明の高成形性アルミニウム合金板の要旨は、質量%で、Si:0.30〜2.0%、Mg:0.20〜1.5%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)を各々含み、残部がAl及び不可避不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の熱フェノール残渣抽出法により分離された溶液中の固溶Si量が0.30〜2.0%、固溶Cu量が0.05〜1.0%であり、この板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、X線回折により測定された、この板の圧延表面の転位密度が平均で6.0×1014〜12×1014 m-2であることとする。
本発明では、6000系アルミニウム合金板の固溶Si量と固溶Cu量を増加させ、自動車パネル材への成形時において、引張変形により材料中に導入される転位の局在化を抑制し、前記引張変形の低歪み域から高歪み域まで、均一に(比較的高めに)転位を増殖させることを意図する。
これによって、自動車パネル材へのプレス成形における、高歪み域から破断に至るまでの不均一変形を抑制し、高い加工硬化特性を発現させることができる。
これによって、自動車パネル材へのプレス成形における、高歪み域から破断に至るまでの不均一変形を抑制し、高い加工硬化特性を発現させることができる。
但し、このような固溶Siや固溶Cuの機構を確実に発揮させ、自動車パネル材用としての高成形性化を確実に達成するためには、実際の自動車パネル材への成形時を想定した、前記引張変形の低歪み域における、板の転位密度の量が重要な指標となる。
言い換えると、固溶Siや固溶Cuの増加だけでは不十分で、前記引張変形の低歪み域における板の転位密度の量も満足することで、自動車パネル材用としての高成形性化が達成できることを知見した。
また、素材板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の転位密度により、実際の自動車パネル材への成形時(引張変形時)の低歪み域での転位密度の量を模擬することができ、互いに相関することも知見した。
言い換えると、固溶Siや固溶Cuの増加だけでは不十分で、前記引張変形の低歪み域における板の転位密度の量も満足することで、自動車パネル材用としての高成形性化が達成できることを知見した。
また、素材板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の転位密度により、実際の自動車パネル材への成形時(引張変形時)の低歪み域での転位密度の量を模擬することができ、互いに相関することも知見した。
すなわち、素材板の固溶Si量や固溶Cu量とをバランス良く増加させることが必要条件、素材板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際に、所定の転位密度を有することが十分条件であって、これら両者を満足させることで、自動車パネル材用としての高成形性を達成できる。
しかも、これらの制御による高成形性化は、従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないで達成できる利点がある。
しかも、これらの制御による高成形性化は、従来のアルミニウム合金組成や製造条件を大きく変えないで達成できる利点がある。
以下に、本発明の実施の形態につき、要件ごとに具体的に説明する。
(化学成分組成)
先ず、本発明のAl−Mg−Si系(以下、6000系とも言う)アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明では、前記パネル材用として必要な高成形性や、BH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性を、組成の面からもこれらの要求を満たすようにする。但し、この場合でも、従来の組成や製造条件を大きくは変えないことを前提とする。
先ず、本発明のAl−Mg−Si系(以下、6000系とも言う)アルミニウム合金板の化学成分組成について、以下に説明する。本発明では、前記パネル材用として必要な高成形性や、BH性、強度、溶接性、耐食性などの諸特性を、組成の面からもこれらの要求を満たすようにする。但し、この場合でも、従来の組成や製造条件を大きくは変えないことを前提とする。
このような課題を組成の面から満たすようにするため、6000系アルミニウム合金板の組成は、質量%で、Si:0.30〜2.0%、Mg:0.20〜1.5%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)を各々含み、残部がAl及び不可避不純物からなるものとする。
また、これに加えて、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.1%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)、Sn:0.15%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を含むことを許容する。
上記6000系アルミニウム合金板における、各元素の含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に説明する。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
Si:0.30〜2.0%
Siは、Mgとともに、固溶強化と、焼付け塗装処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与するMg−Si系析出物を形成して、人工時効硬化能(BH性)を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。
また、固溶Siは自動車パネル材へのプレス成形において材料に導入される転位の局在化を抑制し、引張変形の低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させる効果を有する。これによって、プレス成形時の高歪み域から破断に至るまでの不均一変形を抑制し、高い伸びや加工硬化特性を発現させることができる。
Siは、Mgとともに、固溶強化と、焼付け塗装処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与するMg−Si系析出物を形成して、人工時効硬化能(BH性)を発揮し、自動車のアウタパネルとして必要な強度(耐力)を得るための必須の元素である。
また、固溶Siは自動車パネル材へのプレス成形において材料に導入される転位の局在化を抑制し、引張変形の低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させる効果を有する。これによって、プレス成形時の高歪み域から破断に至るまでの不均一変形を抑制し、高い伸びや加工硬化特性を発現させることができる。
Si含有量が少なすぎると、固溶Si量が減少し、プレス成形時の伸びや加工硬化特性が低下して、5%の歪の引張変形を付与した後の転位増殖量が低下する。また、それだけではなく、Mg−Si系析出物の生成量が不足するため、BH性が低下して、焼付け塗装処理後の強度が著しく低下する。
一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、熱間圧延中に大幅な板割れが生じる。
したがって、Siは0.30〜2.0%の範囲とする。Siの好ましい下限値は0.50%であり、好ましい上限値は1.5%である。
一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、熱間圧延中に大幅な板割れが生じる。
したがって、Siは0.30〜2.0%の範囲とする。Siの好ましい下限値は0.50%であり、好ましい上限値は1.5%である。
Mg:0.20〜1.5%
MgもSiとともに、固溶強化と、焼付け塗装処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与するMg−Si系析出物を形成して、人工時効硬化能(BH性)を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
また、固溶Mgは、固溶Siと同様に、自動車パネル材へのプレス成形において材料に導入される転位の局在化を抑制し、引張変形の低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させる効果を有する。これによって、プレス成形時の高歪み域から破断に至るまでの不均一変形を抑制し、高い伸びや加工硬化特性を発現させることができる。
MgもSiとともに、固溶強化と、焼付け塗装処理などの人工時効処理時に、強度向上に寄与するMg−Si系析出物を形成して、人工時効硬化能(BH性)を発揮し、パネルとしての必要耐力を得るための必須の元素である。
また、固溶Mgは、固溶Siと同様に、自動車パネル材へのプレス成形において材料に導入される転位の局在化を抑制し、引張変形の低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させる効果を有する。これによって、プレス成形時の高歪み域から破断に至るまでの不均一変形を抑制し、高い伸びや加工硬化特性を発現させることができる。
Mg含有量が少なすぎると、固溶Mg量が減少し、加工硬化特性が低下して、5%の歪の引張変形を付与した後の転位増殖量が低下する。さらに、Mg−Si系析出物の生成量が不足するため、BH性が低下して、焼付け塗装処理後の強度が低下する。
一方、Mg含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、熱間圧延中に大幅な板割れが生じる。
したがって、Mgの含有量は0.20〜1.5%の範囲とする。Mgの好ましい下限値は0.30%であり、好ましい上限値は1.2%である。
一方、Mg含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、熱間圧延中に大幅な板割れが生じる。
したがって、Mgの含有量は0.20〜1.5%の範囲とする。Mgの好ましい下限値は0.30%であり、好ましい上限値は1.2%である。
Cu:0.05〜1.0%
Cuは強度や成形性の向上に寄与する。そして、固溶Cuは、固溶Siと同様に、加工硬化特性を向上させ、強度と成形性のバランスを高める。
Cu量が0.05%未満では、Cu自体の前記効果が小さくなり、同時に固溶Cu量も不足して、固溶Cuによる前記効果も不足する。
一方、Cu量が1.0%を超えると、塗装後の耐糸さび性や耐応力腐食割れ性を著しく劣化させる。このため、耐食性が重視される用途などの場合には0.80%以下とすることが好ましい。
Cuは強度や成形性の向上に寄与する。そして、固溶Cuは、固溶Siと同様に、加工硬化特性を向上させ、強度と成形性のバランスを高める。
Cu量が0.05%未満では、Cu自体の前記効果が小さくなり、同時に固溶Cu量も不足して、固溶Cuによる前記効果も不足する。
一方、Cu量が1.0%を超えると、塗装後の耐糸さび性や耐応力腐食割れ性を著しく劣化させる。このため、耐食性が重視される用途などの場合には0.80%以下とすることが好ましい。
Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)
Mnは、固溶強化と結晶粒微細化効果により、アルミニウム合金の強度を向上させる。
ただ、1.0%を超えて過度に含有すると、Al−Mn系金属間化合物量が多くなって破壊の起点になり、伸びが低下しやすい。また、板に5%程度の低歪みを付与したときに、Al−Mn系金属間化合物の周囲に転位が局在化し、加工硬化特性も低下する。
したがって、Mnの含有量は1.0%以下(但し、0%を含まず)、好ましくは0.8%以下(但し、0%を含まず)とする。
Mnは、固溶強化と結晶粒微細化効果により、アルミニウム合金の強度を向上させる。
ただ、1.0%を超えて過度に含有すると、Al−Mn系金属間化合物量が多くなって破壊の起点になり、伸びが低下しやすい。また、板に5%程度の低歪みを付与したときに、Al−Mn系金属間化合物の周囲に転位が局在化し、加工硬化特性も低下する。
したがって、Mnの含有量は1.0%以下(但し、0%を含まず)、好ましくは0.8%以下(但し、0%を含まず)とする。
Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)
Feはアルミニウム合金中でAl−Fe系金属間化合物を形成するため、その含有量が多くなると、その化合物量が多くなって破壊の起点になり、伸びが低下しやすい。しかも、Al−Fe系金属間化合物にはSiも包含されることが多く、この金属間化合物にSiが取り込まれた分だけ、固溶Si量が減少してしまう。
Feは地金不純物としてアルミニウム合金中に混入され、溶解原料としてアルミニウム合金スクラップ量(アルミニウム地金に対する割合)が増すほど、含有量が多くなるので、その含有量は少ないほど良い。ただ、検出限界以下などにFeを低減することはコストアップとなるため、ある程度の含有の許容が必要となる。
したがって、Feの含有量は1.0%以下(但し、0%を含まず)、好ましくは0.5%以下(但し、0%を含まず)とする。
Feはアルミニウム合金中でAl−Fe系金属間化合物を形成するため、その含有量が多くなると、その化合物量が多くなって破壊の起点になり、伸びが低下しやすい。しかも、Al−Fe系金属間化合物にはSiも包含されることが多く、この金属間化合物にSiが取り込まれた分だけ、固溶Si量が減少してしまう。
Feは地金不純物としてアルミニウム合金中に混入され、溶解原料としてアルミニウム合金スクラップ量(アルミニウム地金に対する割合)が増すほど、含有量が多くなるので、その含有量は少ないほど良い。ただ、検出限界以下などにFeを低減することはコストアップとなるため、ある程度の含有の許容が必要となる。
したがって、Feの含有量は1.0%以下(但し、0%を含まず)、好ましくは0.5%以下(但し、0%を含まず)とする。
その他の元素
その他、本発明では、更に、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.1%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)、Sn:0.15%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を含むことを許容する。
その他、本発明では、更に、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.1%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)、Sn:0.15%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を含むことを許容する。
なお、これらの元素は、共通して板を高強度化させる効果があるので、高強度化の同効元素と見なせるが、その具体的な機構には、共通する部分だけでなく、異なる部分も勿論ある。
Cr、Zr、Vは、Mnと同様に、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があり、結晶粒を微細化する役割を果たす。
Tiは、Bとともに晶出物を生成して、再結晶粒の核となり、結晶粒の粗大化を阻止し、結晶粒を微細化する役割を果たす。
Zn、Agは人工時効硬化能(BH性)を向上させるのに有用で、比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、板組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物相の析出を促進させる効果がある。
Snは原子空孔を捕獲することで、室温でのMgやSiの拡散を抑制し、室温における強度増加(室温時効)を抑制し、人工時効処理時に、捕獲していた空孔を放出し、MgやSiの拡散を促進し、BH性を高くする効果がある。
Cr、Zr、Vは、Mnと同様に、均質化熱処理時に分散粒子 (分散相) を生成し、これらの分散粒子には再結晶後の粒界移動を妨げる効果があり、結晶粒を微細化する役割を果たす。
Tiは、Bとともに晶出物を生成して、再結晶粒の核となり、結晶粒の粗大化を阻止し、結晶粒を微細化する役割を果たす。
Zn、Agは人工時効硬化能(BH性)を向上させるのに有用で、比較的低温短時間の人工時効処理の条件で、板組織の結晶粒内へのGPゾーンなどの化合物相の析出を促進させる効果がある。
Snは原子空孔を捕獲することで、室温でのMgやSiの拡散を抑制し、室温における強度増加(室温時効)を抑制し、人工時効処理時に、捕獲していた空孔を放出し、MgやSiの拡散を促進し、BH性を高くする効果がある。
但し、これらの元素各々の含有量が大きすぎると、粗大な化合物を形成するなどして、板の製造が困難となり、強度や曲げ加工性などの成形性、耐食性も低下する。したがって、これらの元素を含有させる場合には、前記した各上限値以下の含有量とする。
(組織)
以上の合金組成を前提として、本発明では成形性の向上のために、板の組織についても、以下の通り、固溶Si量と固溶Cu量、転位密度について各々規定する。
以上の合金組成を前提として、本発明では成形性の向上のために、板の組織についても、以下の通り、固溶Si量と固溶Cu量、転位密度について各々規定する。
固溶Si量と固溶Cu量
従来の自動車パネル材用途における、6000系アルミニウム合金板の固溶Si量や固溶Cu量の制御は、前記特許文献1、2などの通り、主として強度特性を向上させる目的であった。
これに対して、本発明では、固溶Si量と固溶Cu量とをバランス良く増加させることで、自動車パネル材への成形性を向上させる。
自動車パネル材用途の6000系アルミニウム合金板において、成形性向上の目的で、固溶Si量と固溶Cu量の制御を合わせて行っている例を、本発明者らは知見していない。
以下に、これら固溶Si量と固溶Cu量の規定範囲と、その意義につき各々説明する。
従来の自動車パネル材用途における、6000系アルミニウム合金板の固溶Si量や固溶Cu量の制御は、前記特許文献1、2などの通り、主として強度特性を向上させる目的であった。
これに対して、本発明では、固溶Si量と固溶Cu量とをバランス良く増加させることで、自動車パネル材への成形性を向上させる。
自動車パネル材用途の6000系アルミニウム合金板において、成形性向上の目的で、固溶Si量と固溶Cu量の制御を合わせて行っている例を、本発明者らは知見していない。
以下に、これら固溶Si量と固溶Cu量の規定範囲と、その意義につき各々説明する。
固溶Si量0.30〜2.0%
固溶Si量が多いほど、固溶Cuとともに、アルミ合金の積層欠陥エネルギーを低下させ、自動車パネル材へのプレス成形時など、引張変形時に材料中に導入される転位の局在化を抑制して、引張変形の低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させる。その結果、加工硬化特性が向上して、降伏比が低減され、伸びが増加する。
固溶Si量が0.30%未満では、例え固溶Cu量を満足しても、その効果が不十分である。
固溶Si量の上限は、実質的に、前記したSiの含有量の上限と同じである。
固溶Si量が多いほど、固溶Cuとともに、アルミ合金の積層欠陥エネルギーを低下させ、自動車パネル材へのプレス成形時など、引張変形時に材料中に導入される転位の局在化を抑制して、引張変形の低歪み域から高歪み域まで均一に転位を増殖させる。その結果、加工硬化特性が向上して、降伏比が低減され、伸びが増加する。
固溶Si量が0.30%未満では、例え固溶Cu量を満足しても、その効果が不十分である。
固溶Si量の上限は、実質的に、前記したSiの含有量の上限と同じである。
ちなみに、固溶Mgも、固溶Siと同様に、加工硬化特性を向上させ、降伏比を低減し、伸びを増加させる。
ただ、SiがAl−Fe系やAl−Mn系の金属間化合物と共に析出するため、固溶Si量の制御が複雑で重要であるのに対して、Mgは主にSiと共に析出するだけなので、固溶Mg量の制御は比較的容易である。
さらに、固溶Mg量の増減は、固溶Si量と同じ挙動や傾向を示すので、固溶Si量さえ測定および制御して、上記規定を満足させれば、固溶Mg量も必然的に好ましい範囲になり、固溶Mg量までを測定および制御する必要が無い。
したがって、本発明では、その作用効果は期待しているものの、固溶Mg量は敢えて規定しない。
ただ、SiがAl−Fe系やAl−Mn系の金属間化合物と共に析出するため、固溶Si量の制御が複雑で重要であるのに対して、Mgは主にSiと共に析出するだけなので、固溶Mg量の制御は比較的容易である。
さらに、固溶Mg量の増減は、固溶Si量と同じ挙動や傾向を示すので、固溶Si量さえ測定および制御して、上記規定を満足させれば、固溶Mg量も必然的に好ましい範囲になり、固溶Mg量までを測定および制御する必要が無い。
したがって、本発明では、その作用効果は期待しているものの、固溶Mg量は敢えて規定しない。
固溶Cu量0.05〜1.0%
固溶Si量とともに、固溶Cu量も重要である。固溶Cu量が多いほど、固溶Siと同様に、加工硬化特性を向上させ、降伏比を低減し、伸びを増加させ、強度と成形性のバランスを高めることができる。
固溶Cu量が0.05%未満では、例え固溶Siを満足しても、その効果が不十分である。
固溶Cu量の上限は実質的に添加量の上限と同じである。
固溶Si量とともに、固溶Cu量も重要である。固溶Cu量が多いほど、固溶Siと同様に、加工硬化特性を向上させ、降伏比を低減し、伸びを増加させ、強度と成形性のバランスを高めることができる。
固溶Cu量が0.05%未満では、例え固溶Siを満足しても、その効果が不十分である。
固溶Cu量の上限は実質的に添加量の上限と同じである。
転位密度
上記したような固溶Siや固溶Cuの機構を確実に発揮させ、自動車パネル材用としての高成形性を確実に達成するためには、固溶Si量や固溶Cu量の制御に加えて、実際の自動車パネル材への成形時の低歪み域での板の転位密度の量の制御が必要となる。
このような低歪み域での転位密度の量は、実際の自動車パネル材へのプレス成形を模擬した、板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の転位密度により、再現性良く測定できる。
上記したような固溶Siや固溶Cuの機構を確実に発揮させ、自動車パネル材用としての高成形性を確実に達成するためには、固溶Si量や固溶Cu量の制御に加えて、実際の自動車パネル材への成形時の低歪み域での板の転位密度の量の制御が必要となる。
このような低歪み域での転位密度の量は、実際の自動車パネル材へのプレス成形を模擬した、板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の転位密度により、再現性良く測定できる。
したがって、本発明では、上記組成や固溶Siや固溶Cuの量を満足する板を、実際の自動車パネル材へのプレス成形を模擬した引張試験を行う。そして、5%の歪の引張変形を付与した際の(付与した後の)、板の転位密度を、平均で6.0×1014〜12×1014 m-2の範囲に制御する。
この転位密度の測定は、板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、この板の圧延表面(板の圧延面)の組織を、X線回折により測定して行う。
この転位密度の測定は、板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、この板の圧延表面(板の圧延面)の組織を、X線回折により測定して行う。
前記引張試験を行った時の歪みが5%程度の低歪み域において、上記範囲に均一に(比較的高めに)転位を増殖させることで、その後の高歪み域〜破断までの不均一変形が抑制され、高い加工硬化特性(降伏比の低減、伸びの増加)が発現する。
この転位密度が6.0×1014m-2より低いことは、転位が増殖しにくく、加工硬化特性が低いことを示唆しており、それが起因して高歪み域での早期の破断をまねくことになり、成形性が低下する。
逆に、歪みが5%の低歪み域での転位密度が12×1014m-2より高いと、それ以降の高歪み域で導入、蓄積できる転位が減少するので、やはり成形性が向上しない。
したがって、板の圧延方向に5%の引張変形を付与した際の(後の)転位密度は、平均で6.0×1014〜12×1014 m-2の範囲とし、好ましくは7.0×1014〜11×1014 m-2の範囲とする。
この転位密度が6.0×1014m-2より低いことは、転位が増殖しにくく、加工硬化特性が低いことを示唆しており、それが起因して高歪み域での早期の破断をまねくことになり、成形性が低下する。
逆に、歪みが5%の低歪み域での転位密度が12×1014m-2より高いと、それ以降の高歪み域で導入、蓄積できる転位が減少するので、やはり成形性が向上しない。
したがって、板の圧延方向に5%の引張変形を付与した際の(後の)転位密度は、平均で6.0×1014〜12×1014 m-2の範囲とし、好ましくは7.0×1014〜11×1014 m-2の範囲とする。
ちなみに、前記非特許文献1に記載されているように、本発明のような、5%の歪の引張変形を付与しない、通常の6000系アルミニウム合金板は、測定方法が異なり(倍率10万倍のTEMにて測定)、比較が難しい面もあるが、無加工の状態(溶体化処理材)で1011m-2 程度の転位密度しか有さない。また、この板に、圧延率30%(相当ひずみ0.36)もの冷間圧延を施した状態で、1014m-2 程度の転位密度しか有していない。
これに対して、本発明では、溶体化処理を行った冷延板にわずか5%の低歪の引張変形を付与するだけで、前記非特許文献1の冷間圧延付加を超える、6.0×1014〜12×1014 m-2もの転位密度を導入できている。
これは、本発明における固溶Si量と固溶Cu量との増加ゆえであって、これが無い限り、本発明で規定する転位密度が導入できないことを意味している。また、自動車パネル材への成形時などの引張変形と、前記非特許文献1のような板の冷間圧延とでは、材料中に導入されるひずみの機構や転位密度が全く異なることも意味している。
これは、本発明における固溶Si量と固溶Cu量との増加ゆえであって、これが無い限り、本発明で規定する転位密度が導入できないことを意味している。また、自動車パネル材への成形時などの引張変形と、前記非特許文献1のような板の冷間圧延とでは、材料中に導入されるひずみの機構や転位密度が全く異なることも意味している。
本発明の固溶Si量と固溶Cu量とを増加させようとする技術思想は、自動車パネル材への成形性と、固溶Si量と固溶Cu量との関係を知見しない限り生じない。
また、板の転位密度の量を制御しようとする技術思想も、自動車パネル材への成形時など、引張変形により材料中に導入される転位密度、それも低歪み域での転位密度に着目しない限り生じない。
更に、溶体化処理材(無加工材)にわずか5%の低歪の引張変形を付与するだけで、6.0×1014〜12×1014 m-2もの転位密度を導入できるという認識も、前記技術思想を得て、実際に試験して確認しない限り生じない。
したがって、前記非特許文献1他の公知例が、板の転位密度の強度などの特性に及ぼす影響に例え着目していたとしても、また、固溶Si量や固溶Cu量を増加させて板の強度を向上させている公知例があったとしても、本発明の構成は容易には得られない。
また、板の転位密度の量を制御しようとする技術思想も、自動車パネル材への成形時など、引張変形により材料中に導入される転位密度、それも低歪み域での転位密度に着目しない限り生じない。
更に、溶体化処理材(無加工材)にわずか5%の低歪の引張変形を付与するだけで、6.0×1014〜12×1014 m-2もの転位密度を導入できるという認識も、前記技術思想を得て、実際に試験して確認しない限り生じない。
したがって、前記非特許文献1他の公知例が、板の転位密度の強度などの特性に及ぼす影響に例え着目していたとしても、また、固溶Si量や固溶Cu量を増加させて板の強度を向上させている公知例があったとしても、本発明の構成は容易には得られない。
転位密度の測定方法
転位密度を透過型電子顕微鏡などにより計測することも、前記非特許文献1などのように汎用されているが、本発明では、X線回折により、より簡便かつ再現性よく測定する。
転位のうち、線状、筋状の転位が密集した領域(セル壁やせん断帯)は、透過型電子顕微鏡では判別しにくく、転位密度ρを求める際の測定誤差となりうる。これに対して、X線回折では、後述する通り、集合組織における各面からの回折ピークの半価幅から転位密度ρを算出するために、このような林立転位であっても誤差が少なくなる利点がある。
転位密度を透過型電子顕微鏡などにより計測することも、前記非特許文献1などのように汎用されているが、本発明では、X線回折により、より簡便かつ再現性よく測定する。
転位のうち、線状、筋状の転位が密集した領域(セル壁やせん断帯)は、透過型電子顕微鏡では判別しにくく、転位密度ρを求める際の測定誤差となりうる。これに対して、X線回折では、後述する通り、集合組織における各面からの回折ピークの半価幅から転位密度ρを算出するために、このような林立転位であっても誤差が少なくなる利点がある。
冷延や引張試験などの塑性変形を加えて転位を導入した板の組織では、転位を中心に格子歪みが生じる。また、転位の配列により小傾角粒界、セル構造などが発達する。このような転位やそれに伴うドメイン構造をX線回折パターンからとらえると、回折指数に応じた特徴的な拡がり、形状が回折ピークに現れる。この回折ピークの形状(ラインプロファイル)を解析(ラインプロファイル解析)して、転位密度を求めることができる。
具体的には、先ず、調質された冷延板から供試板として、引張試験の要領で、JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて試験片の引張方向を圧延方向とした引張を行う。これは、実際の自動車パネル材への成形時の低歪み域での板の転位密度を模擬したもので、低歪み域として、5%の歪の引張変形を付与する。
この5%の歪の引張変形を付与した試験片の圧延表面(圧延面)の組織をX線回折して、板(試験片)表面部の集合組織における主要な方位である、(111)、(200)、(220)、(311)、(400)、(331)、(420)、(422)の各面(各方位面)からの回折ピークの半価幅を求める。転位密度ρが高いほど、これら各面の回折ピークの半価幅は大きくなる。なお、5%の歪の引張変形を付与した試験片の、X線回折の測定対象となる圧延表面は、試験片の状態のままであっても、エッチングを伴わない洗浄が施されていても良い。
次に、これらの各面の回折ピークの半価幅から、Williamson-Hall法により、格子ひずみ(結晶歪み)εを求めた上で、下記の式により転位密度ρを算出することができる。
ρ= 16.1ε2/b2
ここで、ρは転位密度、εは格子ひずみ、bはバーガースベクトルの大きさである。
また、バーガースベクトルの大きさには2.8635×10-10mを用いた。
ρ= 16.1ε2/b2
ここで、ρは転位密度、εは格子ひずみ、bはバーガースベクトルの大きさである。
また、バーガースベクトルの大きさには2.8635×10-10mを用いた。
上記Williamson-Hall法は、複数の回折の半価幅と回折角の関係から転位密度や結晶粒径を求めるために汎用されている公知のラインプロファイル解析法である。また、これらX線回折による転位密度の一連の求め方も公知であり、これらX線回折による転位密度の一連の求め方を総称して、本発明では転位密度を「X線回折により測定された転位密度」と称している。
高加工硬化特性(高成形性)の指標
以上の組成と組織の制御による、板の高加工硬化特性化(高成形性化)達成の指標(目安)として、降伏比と伸びが挙げられる。
降伏比が低く、同時に伸びが高ければ、板の小試験片での成形試験をせずとも、あるいは実際の自動車パネル材への成形試験をせずとも、自動車パネル材用としての高成形性化が裏付けられる。
具体的に、この高成形性化達成の指標(目安)は、後述する実施例にて裏付ける通り、アルミニウム合金板の0.2%耐力と引張強さとの比率(0.2%耐力/引張強さ)で定義される降伏比が0.56以下であるとともに、全伸びが26%以上である。
この降伏比が0.56を超えて高すぎるか、全伸びが26%未満と低すぎれば、自動車パネル材用としての高加工硬化特性化や高成形性化が達成できていない。
以上の組成と組織の制御による、板の高加工硬化特性化(高成形性化)達成の指標(目安)として、降伏比と伸びが挙げられる。
降伏比が低く、同時に伸びが高ければ、板の小試験片での成形試験をせずとも、あるいは実際の自動車パネル材への成形試験をせずとも、自動車パネル材用としての高成形性化が裏付けられる。
具体的に、この高成形性化達成の指標(目安)は、後述する実施例にて裏付ける通り、アルミニウム合金板の0.2%耐力と引張強さとの比率(0.2%耐力/引張強さ)で定義される降伏比が0.56以下であるとともに、全伸びが26%以上である。
この降伏比が0.56を超えて高すぎるか、全伸びが26%未満と低すぎれば、自動車パネル材用としての高加工硬化特性化や高成形性化が達成できていない。
(製造方法)
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。
本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
次ぎに、本発明アルミニウム合金板の製造方法について以下に説明する。
本発明アルミニウム合金板は、製造工程自体は常法あるいは公知の方法であり、上記6000系成分組成のアルミニウム合金鋳塊を鋳造後に均質化熱処理し、熱間圧延、冷間圧延が施されて所定の板厚とされ、更に溶体化焼入れなどの調質処理が施されて製造される。
但し、これらの製造工程中で、本発明の規定する組織(固溶Si量と固溶Cu量、あるいは転位密度)を確実に再現性良く得るためには、後述する通り、均熱条件、熱間仕上げ圧延条件、溶体化および焼入れ処理などの条件を好ましい範囲とする。
溶解、鋳造冷却速度
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明の規定範囲内に組織(固溶Si量と固溶Cu量、あるいは転位密度)を制御するために、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、連続鋳造法、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。ここで、本発明の規定範囲内に組織(固溶Si量と固溶Cu量、あるいは転位密度)を制御するために、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを30℃/分以上と、できるだけ大きく(速く)することが好ましい。
このような、鋳造時の高温領域での温度(冷却速度)制御を行わない場合、この高温領域での冷却速度は必然的に遅くなる。このように高温領域での平均冷却速度が遅くなった場合、この高温領域での温度範囲で粗大に生成する晶出物の量が多くなって、鋳塊における固溶Si量や固溶Cu量が少なくなる。この結果、本発明の範囲に前記組織を制御することができなくなる可能性が高くなる。
均質化熱処理
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、通常の目的である、組織の均質化(鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくす)の他に、SiやMgを充分に固溶させるために重要である。この目的を達成する条件であれば、特に限定されるものではなく、通常の1回または1段の処理でも良い。
次いで、前記鋳造されたアルミニウム合金鋳塊に、熱間圧延に先立って、均質化熱処理を施す。この均質化熱処理(均熱処理)は、通常の目的である、組織の均質化(鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくす)の他に、SiやMgを充分に固溶させるために重要である。この目的を達成する条件であれば、特に限定されるものではなく、通常の1回または1段の処理でも良い。
均質化熱処理温度は、500℃以上で、560℃以下、均質(保持)時間は1時間以上の範囲から適宜選択して、SiやCuを充分に固溶させる。この均質化温度が低いと、SiやCuの固溶量を確保できず、後述する溶体化・焼入れ処理後の予備時効処理(再加熱処理)によっても、本発明の規定する組織(固溶Si量と固溶Cu量)とできなくなる。また、結晶粒内の偏析を十分に無くすことができず、これが破壊の起点として作用するために、成形性が低下する。
この均質化熱処理を行った後に熱間圧延を行うが、均質化熱処理後の熱間での粗圧延開始まで、500℃以下には、鋳塊の温度を下げずに、SiやCuの固溶量を確保することが必要である。
粗圧延開始までに、500℃以下に鋳塊の温度が下がった場合、SiやCuが析出して、本発明の前記規定する組織とするための、SiやCuの固溶量が確保できない可能性が高くなる。
粗圧延開始までに、500℃以下に鋳塊の温度が下がった場合、SiやCuが析出して、本発明の前記規定する組織とするための、SiやCuの固溶量が確保できない可能性が高くなる。
熱間圧延
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
熱間圧延は、圧延する板厚に応じて、鋳塊 (スラブ) の粗圧延工程と、仕上げ圧延工程とから構成される。これら粗圧延工程や仕上げ圧延工程では、リバース式あるいはタンデム式などの圧延機が適宜用いられる。
熱間粗圧延の開始から終了までの圧延中には、450℃以下には温度を下げることなく、SiやMgの固溶量を確保することが必要である。
圧延時間が長くなるなどして、パス間の粗圧延板の最低温度が450℃以下に下がると、Mg−Si系の化合物が析出しやすくなり、固溶Siと固溶Cu量が低下する。このため、本発明の規定する前記組織とするための、SiやCuの固溶量が確保できない可能性が高くなる。
圧延時間が長くなるなどして、パス間の粗圧延板の最低温度が450℃以下に下がると、Mg−Si系の化合物が析出しやすくなり、固溶Siと固溶Cu量が低下する。このため、本発明の規定する前記組織とするための、SiやCuの固溶量が確保できない可能性が高くなる。
このような熱間粗圧延後に、終了温度を300〜360℃の範囲とした熱間仕上圧延を行う。
この熱間仕上圧延の終了温度が300℃未満と低すぎる場合には、圧延荷重が高くなって生産性が低下する。一方、加工組織を多く残さず再結晶組織とするために、熱間仕上圧延の終了温度を高くした場合、この温度が360℃を超えると、Mg−Si系の化合物が析出しやすくなって固溶Si量と固溶Cu量が低下する。このため、本発明の規定する前記組織とするための、SiやCuの固溶量が確保できない可能性が高くなる。
この熱間仕上圧延の終了温度が300℃未満と低すぎる場合には、圧延荷重が高くなって生産性が低下する。一方、加工組織を多く残さず再結晶組織とするために、熱間仕上圧延の終了温度を高くした場合、この温度が360℃を超えると、Mg−Si系の化合物が析出しやすくなって固溶Si量と固溶Cu量が低下する。このため、本発明の規定する前記組織とするための、SiやCuの固溶量が確保できない可能性が高くなる。
また、熱間仕上げ圧延終了直後の材料(板)温度から、150℃の材料温度までの間の平均冷却速度を、最低でも5℃/時間以上に制御する。
この平均冷却速度が5℃/時間より小さいと、その冷却中に生成するMg−Si系の析出物量が多くなって、製品板の固溶Si量が減少する。
したがって、熱間仕上げ圧延終了直後の前記平均冷却速度は大きい方が好ましく、最低でも5℃/時間以上、好ましくは8℃/時間以上とする。
この平均冷却速度が5℃/時間より小さいと、その冷却中に生成するMg−Si系の析出物量が多くなって、製品板の固溶Si量が減少する。
したがって、熱間仕上げ圧延終了直後の前記平均冷却速度は大きい方が好ましく、最低でも5℃/時間以上、好ましくは8℃/時間以上とする。
熱延板の焼鈍
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必要ではないが、実施しても良い。
この熱延板の冷間圧延前の焼鈍 (荒鈍) は必要ではないが、実施しても良い。
冷間圧延
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) を製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、冷間圧延率は30%以上であることが望ましく、また前記荒鈍と同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
冷間圧延では、上記熱延板を圧延して、所望の最終板厚の冷延板 (コイルも含む) を製作する。但し、結晶粒をより微細化させるためには、冷間圧延率は30%以上であることが望ましく、また前記荒鈍と同様の目的で、冷間圧延パス間で中間焼鈍を行っても良い。
溶体化および焼入れ処理
冷間圧延後、溶体化処理と、これに続く、室温までの焼入れ処理を行う。この溶体化焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインを用いてよい。
ただ、Mg、Siなどの各元素の十分な固溶量を得るためには、550℃以上、溶融温度以下の溶体化処理温度で10秒以上保持した後、その保持温度から100℃までの平均冷却速度を20℃/秒以上とすることが好ましい。
550℃より低い温度、または10秒より短い保持時間では、溶体化処理前に生成していた、Cuを含むAl−Mn系やAl−Fe系化合物や、Mg−Si系化合物の再固溶が不十分になって、固溶Si量と固溶Cu量が低下する。
冷間圧延後、溶体化処理と、これに続く、室温までの焼入れ処理を行う。この溶体化焼入れ処理については、通常の連続熱処理ラインを用いてよい。
ただ、Mg、Siなどの各元素の十分な固溶量を得るためには、550℃以上、溶融温度以下の溶体化処理温度で10秒以上保持した後、その保持温度から100℃までの平均冷却速度を20℃/秒以上とすることが好ましい。
550℃より低い温度、または10秒より短い保持時間では、溶体化処理前に生成していた、Cuを含むAl−Mn系やAl−Fe系化合物や、Mg−Si系化合物の再固溶が不十分になって、固溶Si量と固溶Cu量が低下する。
また、平均冷却速度が20℃/秒未満の場合、冷却中に主にMg−Si系の析出物が生成して固溶Si量が低下し、やはりSiの固溶量が確保できない可能性が高くなる。この冷却速度を確保するために、焼入れ処理は、ファンなどの空冷、ミスト、スプレー、浸漬等の水冷手段や条件を各々選択して用いる。
予備時効処理:再加熱処理
このような溶体化処理および焼入れ処理後に、予備時効処理を必要により行う。ちなみに、この予備時効処理の固溶Si量やCu量への影響は小さく、BH性向上などの必要性があれば選択的に行う。
予備時効処理(再加熱処理)を行う場合は、前記焼入れ処理して室温まで冷却した後、1時間以内に行うことが好ましい。
室温までの焼入れ処理終了後、予備時効処理開始(加熱開始)までの室温保持時間が長すぎると、室温時効により、BH性に寄与しないMg−Siクラスタが生成してしまい、BH性に寄与するMgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタを増加させることができにくくなる。したがって、この室温保持時間は短いほど良く、溶体化および焼入れ処理と再加熱処理とが、時間差が殆ど無いように連続していても良く、下限の時間は特に設定しない。
このような溶体化処理および焼入れ処理後に、予備時効処理を必要により行う。ちなみに、この予備時効処理の固溶Si量やCu量への影響は小さく、BH性向上などの必要性があれば選択的に行う。
予備時効処理(再加熱処理)を行う場合は、前記焼入れ処理して室温まで冷却した後、1時間以内に行うことが好ましい。
室温までの焼入れ処理終了後、予備時効処理開始(加熱開始)までの室温保持時間が長すぎると、室温時効により、BH性に寄与しないMg−Siクラスタが生成してしまい、BH性に寄与するMgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタを増加させることができにくくなる。したがって、この室温保持時間は短いほど良く、溶体化および焼入れ処理と再加熱処理とが、時間差が殆ど無いように連続していても良く、下限の時間は特に設定しない。
この予備時効処理は、60〜120℃での保持時間を10時間以上、40時間以下保持する。これによって、前記MgとSiのバランスが良いMg−Siクラスタが形成される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に本発明の実施例を説明する。表1に示す組成と表2に示す組織のように、組成や、固溶Si量、固溶Cu量、5%の引張変形を付与した際の転位密度からなる組織が異なる6000系アルミニウム合金板を、製造条件を変えて作り分けて製造した。
そして、板製造後室温に10日間保持後(室温時効後)の、固溶Si量、固溶Cu量、5%の引張変形を付与した際の転位密度、0.2%耐力、引張強さ、降伏比(0.2%耐力/引張強さ)、全伸びを各々測定、評価した。これらの結果も表2に示す。ここで、表2は表1の続きであり、表1の合金番号と、表2の番号とは、各々対応して同じである。
具体的な前記作り分け方は、表1に示す化学成分組成の6000系アルミニウム合金板を、表2に示すように、均熱温度、熱間粗圧延のパス間における粗圧延板が最低となる温度(表2には最低温度と記載)、熱間仕上げ圧延の終了温度、熱間仕上げ圧延終了直後の材料(板)温度から、150℃の材料温度までの間の平均冷却速度、溶体化処理の保持温度、平均冷却速度などの製造条件を種々変えて行った。
ここで、表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値をブランクとしている表示は、その含有量が検出限界以下であることを示す。
ここで、表1中の各元素の含有量の表示において、各元素における数値をブランクとしている表示は、その含有量が検出限界以下であることを示す。
アルミニウム合金板の具体的な製造条件は以下の通りとした。表1に示す各組成のアルミニウム合金鋳塊を、DC鋳造法により共通して溶製した。この際、各例とも共通して、鋳造時の平均冷却速度について、液相線温度から固相線温度までを50℃/分とした。続いて、鋳塊を、各例とも表2に示す温度条件にて、共通して6時間の均熱処理をした後、その温度で熱間粗圧延を開始した。この際の熱間粗圧延の最低(パス)温度も表2に示す。
そして、各例とも共通して、続く熱間仕上げ圧延を、表2に示す終了温度と、終了後の前記平均冷却速度(℃/時間)にて、厚さ2.5mmまで熱延し、熱間圧延板とした。
この熱間圧延後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して、500℃×1分の荒焼鈍を施した後、冷延パス途中の中間焼鈍無しで、加工率50%の冷間圧延を行い、厚さ1.0mmの冷延板とした。
そして、各例とも共通して、続く熱間仕上げ圧延を、表2に示す終了温度と、終了後の前記平均冷却速度(℃/時間)にて、厚さ2.5mmまで熱延し、熱間圧延板とした。
この熱間圧延後のアルミニウム合金板を、各例とも共通して、500℃×1分の荒焼鈍を施した後、冷延パス途中の中間焼鈍無しで、加工率50%の冷間圧延を行い、厚さ1.0mmの冷延板とした。
更に、この各冷延板を、各例とも共通して、連続式の熱処理設備で巻き戻し、巻き取りながら、連続的に調質処理(T4)した。具体的には、溶体化処理を、500℃までの平均加熱速度を50℃/秒として、各例とも表2に示す各目標温度(保持温度)に到達後、各例とも共通して20秒保持して行い、その後、各例とも表2に示す各平均冷却速度(℃/秒)にて水冷を行うことで室温まで冷却した。
これらの調質処理後、10日間室温放置した後の各最終製品板から供試板 (ブランク) を切り出し、各供試板の前記固溶Si量と固溶Cu量、転位密度で規定する組織や、機械的特性を測定、評価した。これらの結果を表2に示す。
固溶Si量と固溶Cu量の測定
前記各供試板の固溶Si量と固溶Cu量の測定は、熱フェノールによる残渣抽出法により、測定対象となる試料を溶解し、メッシュを0.1μmとしたフィルターにより固液をろ過分離し、分離された溶液中のSiとCuの含有量を、各々固溶Si量と固溶Cu量として測定した。
前記各供試板の固溶Si量と固溶Cu量の測定は、熱フェノールによる残渣抽出法により、測定対象となる試料を溶解し、メッシュを0.1μmとしたフィルターにより固液をろ過分離し、分離された溶液中のSiとCuの含有量を、各々固溶Si量と固溶Cu量として測定した。
熱フェノールによる残渣抽出法は、具体的に次のように行った。先ず、分解フラスコにフェノールを入れて加熱した後、測定対象となる各供試板試料を、この分解フラスコに移し入れて加熱分解した。次に、ベンジルアルコールを加えた後、前記フィルターにより吸引ろ過して、固液をろ過分離し、分離された溶液中のSiとCuとの含有量を各々定量分析した。
この定量分析には、原子吸光分析法(AAS)や誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−OES)などを適宜用いた。
前記吸引ろ過には、前記した通り、メッシュ(捕集粒子径)が0.1μmでφ47mmのメンブレンフィルターを用いた。
この測定と計算は、前記供試板の板幅方向の中央部1箇所と、この中央部からの板幅方向の両端部2箇所の計3箇所から採取した各試料3個について行い、これら各試料のSi、Cuの固溶量(質量%)を平均化し、板の固溶Si量と固溶Cu量とした。
この定量分析には、原子吸光分析法(AAS)や誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−OES)などを適宜用いた。
前記吸引ろ過には、前記した通り、メッシュ(捕集粒子径)が0.1μmでφ47mmのメンブレンフィルターを用いた。
この測定と計算は、前記供試板の板幅方向の中央部1箇所と、この中央部からの板幅方向の両端部2箇所の計3箇所から採取した各試料3個について行い、これら各試料のSi、Cuの固溶量(質量%)を平均化し、板の固溶Si量と固溶Cu量とした。
転位密度の測定
前記各供試板(採取試験片)に、前記要領にて圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、圧延表面の転位密度(×1014 m-2)を、X線回折により前記した具体的な条件で測定した。測定は前記各供試板の任意の5箇所にて行い、これら5箇所の転位密度を平均化したものを、平均転位密度(×1014 m-2)とした。
前記各供試板(採取試験片)に、前記要領にて圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、圧延表面の転位密度(×1014 m-2)を、X線回折により前記した具体的な条件で測定した。測定は前記各供試板の任意の5箇所にて行い、これら5箇所の転位密度を平均化したものを、平均転位密度(×1014 m-2)とした。
引張試験
前記各供試板の引張試験は、前記各供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて引張試験を行った。このときの試験片の引張方向を圧延方向の平行方向とした。引張速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。機械的特性測定のN数は3とし、各々平均値で算出した。
そして、各例とも、0.2%耐力、引張強さ、降伏比(0.2%耐力/引張強さ)、全伸びを各々算出した。
前記各供試板の引張試験は、前記各供試板から、各々JISZ2201の5号試験片(25mm×50mmGL×板厚)を採取し、室温にて引張試験を行った。このときの試験片の引張方向を圧延方向の平行方向とした。引張速度は、0.2%耐力までは5mm/分、耐力以降は20mm/分とした。機械的特性測定のN数は3とし、各々平均値で算出した。
そして、各例とも、0.2%耐力、引張強さ、降伏比(0.2%耐力/引張強さ)、全伸びを各々算出した。
表1、2に各々示す通り、発明例1〜11は、本発明の成分組成範囲内で、かつ好ましい条件範囲で製造されている。
このため、これら各発明例は、表2に示す通り、本発明で規定する通り、熱フェノール残渣抽出法により分離された溶液中の固溶Si量が0.30〜2.0%、固溶Cu量が0.05〜1.0%であり、この板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、前記板の圧延表面のX線回折により測定された転位密度が平均で6.0×1014〜12×1014 m-2である。
このため、これら各発明例は、表2に示す通り、本発明で規定する通り、熱フェノール残渣抽出法により分離された溶液中の固溶Si量が0.30〜2.0%、固溶Cu量が0.05〜1.0%であり、この板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、前記板の圧延表面のX線回折により測定された転位密度が平均で6.0×1014〜12×1014 m-2である。
この結果、各発明例は、室温時効後であっても、表2に示す通り、0.2%耐力と引張強さとの比率(0.2%耐力/引張強さ)で定義される降伏比が0.56以下、全伸びが26%以上であり、自動車パネル材用として合格する高い成形性を有する。
これに対して、表2の比較例12〜16は、好ましい条件範囲で製造しているものの、表1の合金番号12〜16を用いており、Si、Mg、Cu、Mn、Feの含有量が各々本発明範囲を外れている。
このため、これら比較例は、表2に示す通り、固溶Si量や固溶Cu量、あるいは低歪領域での平均転位密度の、いずれかが本発明で規定する範囲から外れ、降伏比が0.56を超えるか、全伸びが26%未満であり、発明例に比して成形性が劣っている。したがって、自動車パネル材用としては不合格である。
このため、これら比較例は、表2に示す通り、固溶Si量や固溶Cu量、あるいは低歪領域での平均転位密度の、いずれかが本発明で規定する範囲から外れ、降伏比が0.56を超えるか、全伸びが26%未満であり、発明例に比して成形性が劣っている。したがって、自動車パネル材用としては不合格である。
比較例12は表1の合金12であり、Mgが少なすぎる。
比較例13は表1の合金13であり、Siが少なすぎる。
比較例14は表1の合金14であり、Cuが少なすぎる。
比較例15は表1の合金15であり、Mnが多すぎる。
比較例16は表1の合金16であり、Feが多すぎる。
比較例13は表1の合金13であり、Siが少なすぎる。
比較例14は表1の合金14であり、Cuが少なすぎる。
比較例15は表1の合金15であり、Mnが多すぎる。
比較例16は表1の合金16であり、Feが多すぎる。
また、表2の比較例17〜21は、表1の通り、本発明範囲内の合金例を用いている。しかし、これら各比較例は、表2に示す通り、均熱温度、熱間粗圧延の最低温度、熱間仕上げ圧延の終了温度、この終了後の平均冷却速度(℃/時間)、溶体化処理の保持温度、平均冷却速度(℃/秒)などの製造条件が、好ましい条件を外れている。
この結果、固溶Si量、固溶Cu量、低歪領域での平均転位密度などが、本発明で規定する範囲から外れ、発明例に比して、降伏比が0.56を超えるか、全伸びが26%未満となって劣っている。したがって、自動車パネル材用としては不合格である。
この結果、固溶Si量、固溶Cu量、低歪領域での平均転位密度などが、本発明で規定する範囲から外れ、発明例に比して、降伏比が0.56を超えるか、全伸びが26%未満となって劣っている。したがって、自動車パネル材用としては不合格である。
このうち、比較例17は、均熱温度や熱間粗圧延の最低温度が低すぎる。このため、固溶Si量と固溶Cu量とがともに下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例18は、熱間粗圧延の最低温度や熱間仕上げ圧延の終了温度が低すぎる。このため、固溶Si量と固溶Cu量とがともに下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例19は、熱間仕上げ圧延後の平均冷却速度(℃/時間)が遅すぎる。このため、固溶Si量が下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例20は、溶体化処理の保持温度が低すぎる。このため、固溶Si量と固溶Cu量とが下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例21は、溶体化処理後の平均冷却速度(℃/秒)が遅すぎる。このため、固溶Si量が下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、固溶Cu量は規定を満たすものの、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例18は、熱間粗圧延の最低温度や熱間仕上げ圧延の終了温度が低すぎる。このため、固溶Si量と固溶Cu量とがともに下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例19は、熱間仕上げ圧延後の平均冷却速度(℃/時間)が遅すぎる。このため、固溶Si量が下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例20は、溶体化処理の保持温度が低すぎる。このため、固溶Si量と固溶Cu量とが下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
比較例21は、溶体化処理後の平均冷却速度(℃/秒)が遅すぎる。このため、固溶Si量が下限を外れて少なすぎ、低歪領域での平均転位密度も低すぎる。このため、固溶Cu量は規定を満たすものの、降伏比が0.56を超え、全伸びが26%未満であり、成形性が劣る。
したがって、以上の実施例の結果から、自動車パネル材用として、従来の組成や製造条件を大きく変えることなく、高成形性6000系アルミニウム合金板を得るための、本発明で規定する組成や組織の要件を全て満たすことの意義が裏付けられる。
本発明によれば、自動車パネル材用として、従来の組成や製造条件を大きく変えることなく製造できる、高成形性6000系アルミニウム合金板を得ることができる。この結果、自動車パネル材用として、6000系アルミニウム合金板の適用を拡大できる。
Claims (3)
- 質量%で、Si:0.30〜2.0%、Mg:0.20〜1.5%、Cu:0.05〜1.0%、Mn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Fe:1.0%以下(但し、0%を含まず)を各々含み、残部がAl及び不可避不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金板であって、この板の熱フェノール残渣抽出法により分離された溶液中の固溶Si量が0.30〜2.0%、固溶Cu量が0.05〜1.0%であり、この板の圧延方向に5%の歪の引張変形を付与した際の、X線回折により測定された、この板の圧延表面の転位密度が平均で6.0×1014〜12×1014 m-2であることを特徴とする高成形性アルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板が、Cr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Zr:0.3%以下(但し、0%を含まず)、V:0.3%以下(但し、0%を含まず)、Ti:0.1%以下(但し、0%を含まず)、Zn:1.0%以下(但し、0%を含まず)、Ag:0.2%以下(但し、0%を含まず)、Sn:0.15%以下(但し、0%を含まず)の1種または2種以上を含む請求項1に記載の高成形性アルミニウム合金板。
- 前記アルミニウム合金板の0.2%耐力と引張強さとの比率(0.2%耐力/引張強さ)で定義される降伏比が0.56以下、全伸びが26%以上である請求項1または2に記載の高成形性アルミニウム合金板。
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