JP2017066975A - 内接歯車ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】トロコイド収容部を構成する樹脂製ケーシングとカバーとの間のシール性を安定して担保でき、該部分でのシールリングの省略も可能である内接歯車ポンプを提供する。【解決手段】内接歯車ポンプ1は、複数の内歯を有するアウタロータ2内に、複数の外歯を有するインナロータ3が、外歯が内歯に噛み合い、かつ、偏心する状態で収容されたトロコイド4と、トロコイド収容凹部5aが形成されたケーシング5と、この凹部5aを閉塞するカバー6とを有し、ケーシング5が樹脂組成物の射出成形体であり、ケーシング5とカバー6とがボルト固定されてなり、ケーシング5のボルト固定穴部分に金属製のブッシュ7を有し、ケーシング5とカバー6との接合部断面において、ブッシュ7の端面7aの位置が、凹部5aの底面5cからみて、ケーシング5のブッシュ周囲のブッシュ形成面5eより高く、かつ、ケーシング5の凹部周囲のシール面5dより低い。【選択図】図2
Description
本発明は、油や水、薬液などの液体を圧送する内接歯車ポンプ(トロコイドポンプ)に関する。
内接歯車ポンプ(トロコイドポンプ)は、トロコイド歯形を有するアウタロータおよびインナロータがケーシング内に密閉された状態で収容され、駆動シャフトの回転に伴い、駆動シャフトと固定されたインナロータとアウタロータが回転し、液体を吸入して吐出するように作用するポンプである。この種のポンプとして、近年、機械加工工程を削減でき、低コストで製造可能なものとして、樹脂製のケーシングを有するポンプが知られている(特許文献1参照)。
図4に基づき、この種の内接歯車ポンプの構造について説明する。図4は従来の内接歯車ポンプの断面図である。図4に示すように、このポンプ21は、複数の内歯を有する環状のアウタロータ22内に、複数の外歯を有するインナロータ23が収容されてなるトロコイド24を主体としている。このトロコイド24は、フランジ付き円柱状のケーシング25に形成された円形のトロコイド収容凹部25aに回転自在に収容されている。ケーシング25には、トロコイド収容凹部25aを閉塞するカバー26が固定されている。
トロコイド24は、インナロータ23の外歯が、アウタロータ22の内歯に噛み合い、かつ、偏心した状態で、インナロータ23がアウタロータ22内に回転自在に収容されて構成される。各ロータが互いに接触する仕切点間に、トロコイド24の回転方向に応じて、吸入側および吐出側の容積室が形成される。インナロータ23の軸心には、図示しない駆動源によって回転させられる駆動シャフト29が貫通して固定されている。駆動シャフト29が回転してインナロータ23が回転すると、外歯がアウタロータ22の内歯に噛み合うことによりアウタロータ22が同一方向に連れ回りし、この回転によって容積が増大し、負圧となる吸入側容積室に吸入口から液体が吸入される。この吸入側容積室は、トロコイド24が回転することによって容積が減少して内圧が上昇する吐出側容積室に変わり、ここから、吸入された液体が吐出口に吐出される。
カバー26は焼結金属製であり、ケーシング25は樹脂組成物を用いて射出成形により製造された射出成形体である。ケーシング25のボルト固定穴部分に金属製のブッシュ27が、射出成形時に複合成形により一体化されており、該ブッシュ27を介して通されたボルト28により、ケーシング25とカバー26とが機器本体の固定プレート30に締結固定されている。ケーシング25とカバー26の締結固定にブッシュ28を介在させるのは、締結部分での締結強度を保つためである。
ケーシング25とカバー26との接合面(合わせ面)において、ケーシング25の凹部外周に形成された溝32にシールリング(Oリング)31を組み付けている。これにより、トロコイド収容凹部25aをシールし、ケーシング25とカバー26の合わせ面からの液体の漏れを防止できる。内接歯車ポンプにおいて、ポンプ機能を有効に発揮させるためには、ケーシング25とカバー26の合わせ面でのシール性(トロコイド収容凹部25aのシール性)を安定して担保することが重要である。シールリング31の材質としては、−30〜120℃程度の耐熱性、耐油性を有し、エアコンのスクロール型コンプレッサに適用できることから、水素化ニトリルゴム(H−NBR系)などが使用されている。
上述のとおり、ケーシングを樹脂製とした内接歯車ポンプでは、ポンプの締結部分での締結強度を保つために、ケーシングと複合成形(インサート成形)された金属製のブッシュを利用している。ここで、締結力を安定して保持するためには、ブッシュのカバーとの接合面となるカバー側端面に、上記成形時に樹脂が被覆されることを防止する必要がある。このためには、例えば、ケーシングのブッシュ周囲のブッシュ形成面をシール面(カバーとの合わせ面)やブッシュ端面よりも凹ませ、ブッシュを該ブッシュ形成面より僅かに飛び出させることが考えられる。
しかし、従来、シール面、ブッシュ形成面、およびブッシュ端面の成形後の位置関係は決まっておらず、ブッシュの飛び出し量やケーシングの成形条件によっては、ブッシュ端面よりシール面が低くなる場合がある。その場合、ブッシュはボルト締結部分であるためカバーと接触するが、シール面はカバーと非接触となり、該シール部分でのシール性は担保されない。この場合は、シールリングによりシール性が担保されることとなる。
H−NBR系などのシールリングによりシール性を担保する場合、その耐熱温度である120℃よりも高温の雰囲気では使用できない。また、ポンプ製造工程において、シールリングの組み付け工程が必要となる。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、トロコイド収容部を構成する樹脂製ケーシングとカバーとの間のシール性を安定して担保でき、該部分でのシールリングの省略も可能である内接歯車ポンプを提供することを目的とする。
本発明の内接歯車ポンプは、複数の内歯を有するアウタロータ内に、複数の外歯を有するインナロータが、上記外歯が上記内歯に噛み合い、かつ、偏心する状態で回転自在に収容され、上記内歯と上記外歯との間に、液体を吸入する吸入側容積室と、この吸入側容積室に吸入した液体を吐出する吐出側容積室とが形成されるトロコイドを有する内接歯車ポンプであって、上記トロコイドを収容する凹部を有するケーシングと、該ケーシングの上記凹部を閉塞するカバーとを有し、上記ケーシングが樹脂組成物の射出成形体であり、上記ケーシングと上記カバーとがボルト固定されてなり、上記ケーシングのボルト固定穴部分に金属製のブッシュを有し、上記ケーシングと上記カバーとの接合部断面において、上記ブッシュの上記カバー側の端面位置が、上記凹部の底面からみて、上記ケーシングの該ブッシュ周囲のブッシュ形成面より高く、かつ、上記ケーシングの上記凹部周囲のシール面と同じまたは該シール面より低いことを特徴とする。
上記シール面は、上記ケーシングの上記凹部の内側面から連続する面であり、上記カバーの表面と密着して該凹部をシールすることを特徴とする。
上記内接歯車ポンプは、上記ケーシングの上記カバーとの接合部において、シールリングを介在させていないことを特徴とする。
上記ケーシングの上記凹部の内側面が、上記樹脂組成物の射出成形体からなり、上記凹部の底面が金属体からなることを特徴とする。
上記樹脂組成物が、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とし、これにガラス繊維、炭素繊維、および無機充填剤から選ばれる少なくとも1つを配合してなる樹脂組成物であることを特徴とする。
本発明の内接歯車ポンプは、トロコイド収容凹部を有するケーシングと、この凹部を閉塞するカバーとを有し、ケーシングが樹脂組成物の射出成形体であり、ケーシングとカバーとがボルト固定されてなり、ケーシングのボルト固定穴部分に金属製のブッシュを有し、ケーシングとカバーとの接合部断面において、ブッシュの端面位置が、トロコイド収容凹部の底面からみて、ケーシングの該ブッシュ周囲のブッシュ形成面より高く、かつ、ケーシングの該凹部周囲のシール面と同じまたは該シール面より低いので、ケーシング成形時にブッシュ端面が樹脂で被覆されることを防止できる。また、ケーシングの成形条件に関わらず、ボルト締結時にシール面が優先的にカバーと密着し、常に接する形態となり、該部分でトロコイド収容凹部のシール性を安定して担保でき、吐出能力も安定化される。
また、上記のとおりシール性が保証されるので、シール面の外周に従来配置していたシールリングを省略できる。このため、ポンプ製造工程において、シールリングの組み付け工程が不要であり、組み立てが容易となる。また、H−NBR系Oリングの耐熱温度である120℃よりも高温の雰囲気でも使用が可能となる。
上記シール面は、ケーシングのトロコイド収容凹部の内側面から連続する面であり、カバーの表面と密着して該凹部をシールするので、液体がトロコイド収容凹部からカバーとケーシングとの間に侵入することを防止できる。
上記ケーシングのトロコイド収容凹部の内側面が、樹脂組成物の射出成形体からなり、上記凹部の底面が金属体からなるので、該内側面において摩擦摩耗特性の改善を図りつつ、該底面において吐出性能のばらつきを抑制できる。
ケーシングを形成する樹脂組成物が、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とし、これにガラス繊維、炭素繊維、および無機充填剤から選ばれる少なくとも1つを配合してなる樹脂組成物であるので、耐油性、耐薬品性に優れ、寸法精度も大幅に向上する。
本発明の内接歯車ポンプの一実施例を図1および図2に基づき説明する。図1は内接歯車ポンプの組み立て斜視図であり、図2(a)はこの内接歯車ポンプの軸方向断面図であり、図2(b)はこの内接歯車ポンプにおけるケーシングのシール面周辺の拡大図である。図1に示すように、この内接歯車ポンプ1は、環状のアウタロータ2内にインナロータ3が収容されたトロコイド4と、このトロコイド4を回転自在に収容する円形の凹部(トロコイド収容凹部)5aが形成されたケーシング5と、ケーシング5のトロコイド収容凹部5aを閉塞するカバー6とを有する。カバー6は、トロコイド収容凹部5aが開口するケーシング5の上面の外形に略合致する形状である。図2(a)に示すように、ケーシング5とカバー6とは、ボルト9により、機器本体の固定プレート11に締結固定されている。また、インナロータ3の回転中心に同軸で固定された駆動シャフト10を有している。駆動シャフト10は、カバー6に圧入された軸受(図示省略)などにより支持されている。
インナロータ3の外歯はアウタロータ2の内歯よりも1つ少なく、インナロータ3は、上記外歯が上記内歯に内接して噛み合う偏心した状態で、アウタロータ2内に収容されている。各ロータが互いに接触する仕切点間には、トロコイド4の回転方向に応じて、吸入側および吐出側の容積室が形成される。ケーシング5のトロコイド収容凹部5aの底面5cには、吸入側の容積室に連通する吸入口と、吐出側の容積室に連通する吐出口とが形成されている。なお、吸入側容積室に連通する吸入口と、吐出側容積室に連通する吐出口は、ケーシング5、カバー6、駆動シャフト10の少なくともいずれかに形成されていればよい。
この内接歯車ポンプ1では、駆動シャフト10によってトロコイド4が回転することにより、容積が増大して負圧となる吸入側容積室に、吸入口から液体が吸入される。この吸入側容積室は、トロコイド4が回転することによって容積が減少して内圧が上昇する吐出側容積室に変わり、この吐出側容積室から、吸入された液体が吐出口に吐出される。上記のポンプ作用が、トロコイド4の回転によって連続的に行われ、液体が連続的に圧送される。さらに、吸入された液体によって各容積室の密閉性が高められる液体シール効果によって、各容積室間に生じる差圧が大きくなり、大きなポンプ作用が得られる。
カバー6は金属製であり、ケーシング5は樹脂組成物の射出成形体である。樹脂製のケーシング5を機器本体にボルト締結する場合、樹脂のクリープ変形による締結部分の緩みが懸念される。樹脂材質として、後述のような補強剤などを配合した所定の樹脂組成物を用いることでクリープ対策も可能であるが、脆く耐衝撃性に劣る場合がある。このため、締結部分での締結強度を保つべく、ケーシング5のボルト固定穴部分には金属製のブッシュ7を設けている。このブッシュ7を介して通されたボルト9により、ケーシング5とカバー6とが機器本体の固定プレート11に締結固定されている。
金属製のブッシュ7は、フランジ7bを有する円筒形状であり、ケーシング5のフランジ部5gを貫通して設けられている。ブッシュ7は、ケーシング5に圧入で固定する、または、ケーシング5の射出成形時に金型内に上記ブッシュを配置して複合成形により一体化(インサート成形)させて固定することができる。特に、インサート成形を採用し、焼結金属製のブッシュ7を用いることで、焼結体の表面凹部に樹脂が入り込み、アンカー効果にてブッシュ7とケーシング5とが強固に接合する。
図2(b)に示すように、シール面5dは、トロコイド収容凹部5aの内側面5bから連続する面であり、カバーの表面と密着してケーシング5とカバーとの合わせ面をシールし、トロコイド収容凹部5aをシールしている。ケーシング5において、内側面5bに隣接して連続するカバー側の表面をシール面5dとすることで、液体がトロコイド収容凹部からカバーとケーシングとの間に侵入することを防止できる。
本発明の内接歯車ポンプでは、ケーシングのシール面とブッシュの端面との成形後の位置関係に特徴がある。すなわち、ブッシュ7のカバー側の端面7aの高さ位置が、トロコイド収容凹部5aの底面5cを基準とし、該底面5cからみて、(1)ケーシング5のブッシュ周囲のブッシュ形成面5eより高く、かつ、(2)ケーシング5の凹部周囲のシール面5dよりも低い位置とされている。この関係は、ケーシング5の成形後における位置関係である。
(1)の関係により、ケーシング5とブッシュ7との複合成形時に、ブッシュ7の端面7aが樹脂で被覆されることを防止できる。ブッシュ7の端面7aのブッシュ形成面5eからの飛び出し量h1は、例えば0.01mm〜0.3mmとする。ブッシュ7の端面7aが、僅かでも突出していれば上述の樹脂の被覆を防止できる。
(2)の関係により、シール面5dが、ブッシュ7の端面7aよりも高い位置となるため、ボルト締結時にシール面5dが優先的にカバーと密着する。成形後の位置関係として規定しているため、成形条件に関わらず、シール面5dがカバーに常に接する状態となり、トロコイド収容凹部5aのシール性を安定して担保でき、吐出能力も安定化される。また、シール面5dで十分なシール性を担保できるため、図1および図2に示すように、シール面5dの外周に従来配置していたシールリングを省略できる。
また、ブッシュ7の端面7aの高さとケーシング5のシール面5dの高さとが同じであってもよい。この場合も同様にシール面5dでのシール性を担保できる。より安定してシール面5dとカバーとを接触させ得ることから、シール面5dを端面7aよりも僅かでも高い位置とすることが好ましい。ブッシュ7の端面7aの高さとケーシング5のシール面5dの高さとの差h2は、例えば0.01mm〜0.3mmとする。
図2(a)において、ケーシング5は、トロコイド収容凹部5aを構成する底面5cと内側面5bでアウタロータ2およびインナロータ3と摺接する。トロコイド収容凹部5aの内側面5bは、樹脂組成物の射出成形体部分であるので、アウタロータ2との摩擦摩耗特性に優れる。また、トロコイド収容凹部5aの底面5cは、ケーシング5と複合成形により一体化された円盤状の金属プレート8から構成されている。これにより、樹脂で底面5cを形成する場合と比較して平面度に優れ、吐出性能のばらつきを抑制できる。金属プレート8としては、焼結金属体や溶製金属体(板金プレス品)が採用できる。
また、ケーシング5を樹脂組成物の射出成形体とすることで、液体吸入ノズル5hを、樹脂組成物でケーシング5と一体に形成できる。必要に応じて、吸入側容積室までの連通路入口(液体吸入口)となる液体吸入ノズル5hの端部に、フィルタ13を溶着などにより固定できる。フィルタ13により、ポンプ内への異物混入を防止できる。なお、本発明の内接歯車ポンプでは、トロコイド収容凹部の構成は図2に示す構成に限定されず、底面も含めて樹脂組成物の射出成形体としてもよい。これにより、射出成形にて機械加工なく、トロコイド収容凹部を形成できるため、経済的である。
本発明の内接歯車ポンプの他の実施例を図3に基づき説明する。図3(a)はこの内接歯車ポンプの軸方向断面図であり、図3(b)はこの内接歯車ポンプにおけるケーシングのシール面周辺の拡大図である。図3(a)および図3(b)に示すように、この内接歯車ポンプ1では、トロコイド収容凹部5aの外周をシールする部分に環状の溝5fを有し、この溝5fにシールリング12を組み付けている。それ以外の構成は、図2に示す内接歯車ポンプと同様である。図3(b)に示すように、シール面5dは、トロコイド収容凹部5aの内側面5bから連続する面であり、カバーの表面と密着してトロコイド収容凹部5aを第1次的にシールしている。ブッシュ7のカバー側の端面7aの高さ位置が、トロコイド収容凹部5aの底面5cを基準とし、該底面5cからみて、(1)ケーシング5のブッシュ周囲のブッシュ形成面5eより高く、かつ、(2)ケーシング5の凹部周囲のシール面5dよりも低い位置とされている。
図3の内接歯車ポンプでは、このシール構造に加えて、シールリング12を組み付けて、該シールリング12よりトロコイド収容凹部5aを第2次的にシールしている。このため、トロコイド収容凹部5aのシール性をより安定して担保でき、より安全率が高くなる。なお、シールリング12を設ける場合においても、上記シール構造におけるブッシュの飛び出し量などは同様である。すなわち、図3の形態でも、ブッシュ7の端面7aのブッシュ形成面5eからの飛び出し量h1と、ブッシュ7の端面7aの高さとケーシング5のシール面5dの高さとの差h2は、それぞれ、例えば0.01mm〜0.3mmとする。
シールリングの材質は特に限定するものではなく、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、アクリルゴムなど、用途、使用環境に合致したゴム材などを選択すればよい。例えば、エアコンのスクロール型コンプレッサでは、−30〜120℃程度の耐熱性、耐油性が求められるため、水素化ニトリルゴム(H−NBR系)を用いることが好ましい。
ケーシングを形成する樹脂組成物は、射出成形可能な合成樹脂をベース樹脂とするものである。このベース樹脂としては、例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。これらの各樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。これらの耐熱性樹脂の中でも、成形体の耐クリープ性、耐荷重性、耐摩耗性、耐薬品性などに優れることから、PPS樹脂を用いることが特に好ましい。
高強度化、高弾性化、高寸法精度化、耐摩耗性の付与・射出成形収縮の異方性除去に有効なガラス繊維、炭素繊維、または無機充填剤を単独で、もしくは、適宜併用することが好ましい。特に、ガラス繊維と無機充填剤の併用は、経済性に優れ、油中での摩擦摩耗特性に優れている。
本発明では、直鎖型のPPS樹脂をベース樹脂とし、これに充填剤としてガラス繊維とガラスビーズを配合してなる樹脂組成物を用いることが特に好ましい。この構成により、耐油性、耐薬品性に優れ、靱性に優れ、射出成形収縮の異方性除去によりフランジ部の反りが小さく、寸法精度も大幅に向上する。また、この構成に加えて、図2に示すようにゴム製のシールリングを省略することで、120℃を越えるような高温雰囲であっても好適に使用可能となる。
これらの諸原材料を混合し、混練する手段は、特に限定するものではなく、粉末原料をヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合し、さらに二軸押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得ることができる。また、充填材の投入は、二軸押出し機などで溶融混練する際にサイドフィードを採用してもよい。この成形用ペレットを用いて、射出成形でケーシングを成形する。成形時には、金型内に金属製のブッシュを配置して、複合成形により一体化させる。また、成形時には、ブッシュとケーシングにおいて上述の関係(1)(2)を成形後に満たすように金型形状および成形条件を設定する。
本発明の内接歯車ポンプにおいて、カバーには、上述の金属(鉄、ステンレス鋼、焼結金属、アルミニウム合金など)の他、樹脂(ケーシングと同様のもの)が使用可能であり、金属と樹脂の複合成形品であってもよい。また、アウタロータ、インナロータには、焼結金属(鉄系、銅鉄系、銅系、ステンレス系など)を使用することが好ましく、特に価格面からは鉄系が好ましい。しかし、水、薬液などを圧送するトロコイドポンプにおいては、防錆能力が高いステンレス系などを採用すればよい。
本発明の内接歯車ポンプは、トロコイド収容部を構成する樹脂製ケーシングとカバーとの間のシール性を安定して担保でき、該部分でのシールリングの省略も可能であるので、油や水、薬液などの液体を圧送する内接歯車ポンプ(トロコイドポンプ)として利用でき、特に、代替フロン、炭酸ガス等を冷媒とする電気給湯機、ルームエアコン、カーエアコン用のスクロール型コンプレッサの摺動部に液体を供給するためのポンプとして好適に利用できる。
1 内接歯車ポンプ
2 アウタロータ
3 インナロータ
4 トロコイド
5 ケーシング
6 カバー
7 ブッシュ
8 金属プレート
9 ボルト
10 駆動シャフト
11 機器本体の固定プレート
12 シールリング
13 フィルタ
2 アウタロータ
3 インナロータ
4 トロコイド
5 ケーシング
6 カバー
7 ブッシュ
8 金属プレート
9 ボルト
10 駆動シャフト
11 機器本体の固定プレート
12 シールリング
13 フィルタ
Claims (5)
- 複数の内歯を有するアウタロータ内に、複数の外歯を有するインナロータが、前記外歯が前記内歯に噛み合い、かつ、偏心する状態で回転自在に収容され、前記内歯と前記外歯との間に、液体を吸入する吸入側容積室と、この吸入側容積室に吸入した液体を吐出する吐出側容積室とが形成されるトロコイドを有する内接歯車ポンプであって、
前記トロコイドを収容する凹部を有するケーシングと、該ケーシングの前記凹部を閉塞するカバーとを有し、前記ケーシングが樹脂組成物の射出成形体であり、
前記ケーシングと前記カバーとがボルト固定されてなり、前記ケーシングのボルト固定穴部分に金属製のブッシュを有し、
前記ケーシングと前記カバーとの接合部断面において、前記ブッシュの前記カバー側の端面位置が、前記凹部の底面からみて、前記ケーシングの該ブッシュ周囲のブッシュ形成面より高く、かつ、前記ケーシングの前記凹部周囲のシール面と同じまたは該シール面より低いことを特徴とする内接歯車ポンプ。 - 前記シール面は、前記ケーシングの前記凹部の内側面から連続する面であり、前記カバーの表面と密着して該凹部をシールすることを特徴とする請求項1記載の内接歯車ポンプ。
- 前記内接歯車ポンプは、前記ケーシングと前記カバーとの接合部において、シールリングを介在させていないことを特徴とする請求項1または請求項2記載の内接歯車ポンプ。
- 前記ケーシングの前記凹部の内側面が、前記樹脂組成物の射出成形体からなり、前記凹部の底面が金属体からなることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の内接歯車ポンプ。
- 前記樹脂組成物が、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とし、これにガラス繊維、炭素繊維、および無機充填剤から選ばれる少なくとも1つを配合してなる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の内接歯車ポンプ。
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