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JP2017054912A - 光電変換素子 - Google Patents

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JP2017054912A JP2015177454A JP2015177454A JP2017054912A JP 2017054912 A JP2017054912 A JP 2017054912A JP 2015177454 A JP2015177454 A JP 2015177454A JP 2015177454 A JP2015177454 A JP 2015177454A JP 2017054912 A JP2017054912 A JP 2017054912A
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Abstract

【課題】低温で被覆性に優れた成膜が可能であり、リークの発生が抑制され、長期安定性を有し、かつ高い光電変換効率を有する光電変換素子を提供する。【解決手段】有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を含むペロブスカイト化合物を含む光吸収層を備える光電変換素子であって、光吸収層の下に位置する電子輸送層が、原子層堆積法を用いて形成したアモルファスのTiO2からなり、電子輸送層の589nmでの屈折率が1.80以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
近年、再生可能エネルギー技術のひとつとして、太陽からの光エネルギーを直接、電気に変換することのできる太陽電池が注目されている。太陽電池は、原料として使用される半導体によってシリコン系、化合物系、有機系等の種類が存在するが、近年、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ化合物(ペロブスカイト化合物)を利用したペロブスカイト系太陽電池に関する研究が盛んに行われており、現在主流のシリコン系太陽電池に迫るほどのエネルギー変換効率が得られるようになってきている。
ペロブスカイト化合物としては、例えば、化学式ABOで表記される遷移金属酸化物等、種々の組成が知られているが、従来の研究の多くは鉛系ペロブスカイト化合物に関するものである。例えば、特許文献1では、ヨウ化鉛系層状ペロブスカイト化合物からなる光吸収層に無機正孔輸送層を組み合わせることにより光電変換効率を向上させた太陽電池が提案されている。
特開2014−175473号公報
上記のように、ペロブスカイト化合物を用いた太陽電池は、研究初期の頃と比べると高いエネルギー変換効率が得られるようになってはいるものの、実用性の観点からは、依然として、さらなる変換効率の向上や素子寿命の向上が必要である。
光電変換素子の性能を長期間にわたって発揮させるためには、素子を構成する薄膜層の膜厚が均一でありかつ被覆性が高いことが望まれる。例えば、ペロブスカイト層(光吸収層)に欠陥が生じると、下地の電子輸送層とペロブスカイト層の上に積層する正孔輸送層が直接接触してしまい、その結果リークが発生し、特性にバラつきが生じる。また、ペロブスカイト層の表面平坦性が低いと、正孔輸送層の膜厚を確保できず、正孔輸送層の上に積層する正孔捕集電極(第二電極)とペロブスカイト層が接触して短絡が生じ、光電変換効率低下の原因となる。
また、近年、ロールtoロール方式によってプラスチックフィルム上に連続的に成膜した機能性フィルム(例えば、ITO薄膜をプラスチックフィルム基板に形成した透明導電性フィルム)などのフレキシブルな基板を用いた新しい電子デバイスの開発、いわゆるフレキシブルエレクトロニクスへの関心が高まっている。しかしながら、ロールtoロール方式によるフレキシブルなペロブスカイト系太陽電池の開発には、依然として解決すべき課題が存在している。特に、プラスチックフィルムの低耐熱性に起因して成膜条件が制限されるため、成膜法のさらなる改良が望まれている。
そこで、高温プロセスを必要とせず、簡便に製造可能であり、かつ優れた性能を有する光電変換素子の開発が求められている。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、低温で被覆性に優れた成膜が可能であり、リークの発生が抑制され、長期安定性を有し、かつ高い光電変換効率を有する光電変換素子を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者等は、光電変換素子を構成する薄膜層のうち、電子輸送層における特定の波長での屈折率と光電変換素子の性能との相関関係を見出し、電子輸送層の緻密性を制御することにより、光電変換素子の性能を向上させることができることを想到した。そして、光電変換素子を構成する電子輸送層を、原子層堆積法を用いて所定の条件下で積層することにより、電子輸送層が安定的かつ高い被覆性で成膜され、これによって、光電変換素子を構成する薄膜層の表面平坦性が向上し、リークの発生が抑制され、長期安定性を有し、かつ高い光電変換効率が得られることを見出した。また、このような構成を採用した光電変換素子は、高温プロセスを必要とせず、簡便に製造可能であることも見出した。
これらの新規な知見に基づき、本発明者等は、さらに研究を重ね、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
(1)有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を含む光吸収層を備える光電変換素子であって、前記光吸収層の下に位置する電子輸送層がアモルファスのTiOからなり、前記電子輸送層の589nmでの屈折率が1.80以上であることを特徴とする光電変換素子。
(2)前記電子輸送層の膜厚が5〜100nmであることを特徴とする(1)の光電変換素子。
(3)前記電子輸送層が、原子層堆積法で積層してなる電子輸送層であることを特徴とする(1)または(2)の光電変換素子。
(4)前記原子層堆積法が、プラズマALD法、オゾンALD法または熱ALD法であることを特徴とする(3)の光電変換素子。
(5)前記電子輸送層が、積層数が50〜2000のアモルファスTiO層からなる積層構造を有することを特徴とする(1)〜(4)のうちのいずれかの光電変換素子。
本発明によれば、低温で被覆性に優れた成膜が可能であり、リークの発生が抑制され、長期安定性を有し、かつ高い光電変換効率を有する光電変換素子が提供される。また、本発明の光電変換素子は、高温プロセスを必要とせず、簡便に製造可能である。
図1は、実施例1の作製条件で得られたTiO薄膜(電子輸送層)を、X線回折装置を用いて分析した結果を示すX線回折チャートである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、具体的な形態はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更等があっても本発明に含まれる。
<光吸収層>
光吸収層は、少なくとも1種のペロブスカイト化合物を含む層である。光吸収層は、単層であっても複層であってもよい。複層の場合は、各層すべてがペロブスカイト化合物を含む層であってもよく、少なくとも1層がペロブスカイト化合物を含む層であってもよい。なお、ペロブスカイト化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ペロブスカイト化合物は、周期表第一族元素またはカチオン性有機基A、周期表第一族元素以外の金属原子M、およびアニオン性原子Xを有している。ペロブスカイト化合物の周期表第一族元素またはカチオン性有機基A、金属原子Mおよびアニオン性原子Xは、それぞれ、ペロブスカイト型結晶構造において、カチオン(以下、「カチオンA」ということがある)、金属カチオン(以下、「金属カチオンM」ということがある)およびアニオン(以下、「アニオンX」ということがある)の各構成イオンとして存在する。
本発明において、カチオン性有機基とは、ペロブスカイト型結晶構造においてカチオンになる性質を有する有機基をいう。アニオン性原子とは、ペロブスカイト型結晶構造においてアニオンになる性質を有する原子をいう。
本発明に用いるペロブスカイト化合物は、上記構成イオンを含むペロブスカイト型結晶構造を取りうる化合物であれば、特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、カチオンAは、周期表第一族元素のカチオンもしくはカチオン性有機基Aからなる有機カチオンである。カチオンAは有機カチオンが好ましく、有機アンモニウムカチオンがより好ましい。周期表第一族元素のカチオンは、特に限定されず、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)またはセシウム(Cs)の各元素のカチオン(Li、Na、K、Cs)が挙げられ、特にセシウムのカチオン(Cs)が好ましい。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、金属カチオンMは、周期表第一族元素以外の金属原子Mのカチオンであって、ペロブスカイト型結晶構造を取りうる金属原子のカチオンであれば、特に限定されない。このような金属原子としては、例えば、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、カドミウム(Cd)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、イッテルビウム(Yb)、ユウロピウム(Eu)およびインジウム(In)の各金属原子が挙げられる。なかでも、金属カチオンを形成する金属原子は、PbまたはSnが特に好ましい。金属原子は1種の金属原子であってもよく、2種以上の金属原子であってもよい。2種以上の金属原子である場合には、PbおよびSnの2種が好ましい。なお、このときの金属原子の割合は特に限定されない。
本発明に用いるペロブスカイト化合物において、アニオンXは、アニオン性原子Xのアニオンを表す。このアニオンは、好ましくはハロゲン原子のアニオンである。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が挙げられる。アニオンXは、1種のアニオン性原子のアニオンであってもよく、2種以上のアニオン性原子のアニオンであってもよい。2種以上のアニオン性原子のアニオンである場合には、2種のハロゲン原子のアニオン、特に塩素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオン、臭素原子のアニオンおよびヨウ素原子のアニオンが好ましい。なお、このときのアニオン性原子のアニオンの割合は特に限定されない。
本発明の一実施形態において、光吸収層は、有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を含む層である。
有機アンモニウム金属ハロゲン化物を構成する有機アンモニウムは、特に制限されないが、例えば、メチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、セチルアンモニウム、フェニルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、フェネチルアンモニウム等の1置換アンモニウム(好ましくはC1−6アルキルアンモニウム、より好ましくはメチルアンモニウム);ジメチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、ジヘキシルアンモニウム、ジオクチルアンモニウム、ジフェニルアンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ジフェネチルアンモニウム等の2置換アンモニウム(好ましくはC1−6ジアルキルアンモニウム、より好ましくはジメチルアンモニウム);トリメチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリヘキシルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム、トリフェニルアンモニウム、トリベンジルアンモニウム、トリフェネチルアンモニウム等の3置換アンモニウム(好ましくはC1−6トリアルキルアンモニウム、より好ましくはトリメチルアンモニウム);テトラメチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、テトラデシルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム、テトラベンジルアンモニウム、テトラフェネチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム、デシルトリメチルアンモニウム、ベンジルセチルジメチルアンモニウム、セチルジメチルエチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム等の4置換アンモニウム(好ましくはC1−6テトラアルキルアンモニウム、より好ましくはテトラメチルアンモニウム)等が挙げられる。これらのなかでも、分子内の対称性、誘電率、双極子モーメント等の観点から、1置換アンモニウムが好ましく、C1−6アルキルアンモニウムがより好ましく、メチルアンモニウムがさらに好ましい。
有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を構成する金属は、特に制限されないが、ペロブスカイト構造を構成する観点から、周期表の11〜15族に属する金属が好ましい。具体的には、鉛、インジウム、亜鉛、スズ、銀、アンチモン、銅等が好ましく、鉛、スズがより好ましく、鉛がさらに好ましい。
有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を構成するハロゲンは、特に制限されないが、電子雲の適切な広がり、電気陰性度、電荷密度、イオン性等の観点から、ヨウ素、塩素、臭素等が好ましく、ヨウ素がより好ましい。これらのハロゲンは、有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物中に1種のみが含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
このような条件を満たす有機アンモニウム金属ハロゲン化物としては、特に制限されるわけではないが、ペロブスカイト構造の形成の可否、分子内の対称性、誘電率、双極子モーメント等の観点から、一般式(1):
(RNHPbX(2+n)
[式中、Rは炭化水素基を表し、Xはハロゲンを表し、nは1または2である。]
で示される1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物が好ましい。
Rで示される炭化水素基は、1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物が、有機アンモニウム分子層とヨウ化鉛層とが交互に積層した構造を有することができる限り特に限定されないが、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、セチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、メチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のC1−6アルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
Xで示されるハロゲンは特に限定されないが、ヨウ素、塩素、臭素等が好ましく、ヨウ素がより好ましい。
nは、Rの種類に従って、1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物が有機アンモニウム分子層とヨウ化鉛層とが交互に積層した構造を形成できるような値をとることが好ましい。例えば、Rがメチル基等の場合にはnは1が好ましく、Rがヘキシル基、フェネチル基等の場合にはnは2が好ましい。
このような条件を満たす1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物としては、具体的には、(CHNH)PbI、(CNHPbI、(C10CHNHPbIおよび(C13NHPbI等が挙げられ、ペロブスカイト構造の形成の可否、分子内の対称性、誘電率、双極子モーメント等の観点から、(CHNH)PbI等が好ましい。上記1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、光吸収層に使用する有機アンモニウム金属ハロゲン化物は、上記の1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物のみに限定されるものではなく、種々様々な化合物を使用することができる。例えば、(CHNH)PbCl、(CHNH)PbCl3−x(0<x<3)、(CHNH)PbBr、(CNH)PbBr、(CHNH)Pb(I1-xBr(0<x<1)、(CNH)Pb(I1-xBr(0<x<1)等も使用可能である。また、(CHNH)SnCl、(CHNH)SnBr、CHNHSnI、CHNHSnIBr、CHCHNHSnCl、CHCHNHSnBr、CHCHNHSnI、CHCHNHSnIBr、(CHCH=NH)SnCl、(CHCH=NH)SnBr、および(CHCH=NH)SnI等の有機アンモニウムスズ(II)ハロゲン化物も使用可能である。
また、光吸収層に使用するCs金属ハロゲン化物としては、特に制限されるわけではないが、CsPbX、CsSnX等(Xはハロゲンを表す。)で示される化合物が挙げられ、具体的には、CsPbCl、CsPbBr、CsPbI、CsPbIBr、CsSnCl、CsSnBr、CsSnI、およびCsSnIBr等が挙げられる。
また、本発明では、必要に応じて、ペロブスカイト構造に類似の一般式(2):ASnX[式中、AはCs、CHNH、またはCH=CHNHを表し、XはI、BrまたはClを表す。]で示されるペロブスカイト様化合物を用いてもよい。
また、本発明では、有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を構成するハロゲンを、チオシアネート基(SCN基)等の特性基とした化合物を用いることもできる。
また、本発明では、光吸収層の吸収波長域を広げる目的で、光吸収層に、金属錯体色素および有機色素等の増感色素を使用してタンデム型としてもよい。増感色素としては一般に公知のものを使用することができる。例えば、金属錯体色素としては、ルテニウム金属錯体色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。また、有機色素としては、シアニン色素等が挙げられる。
光吸収層の膜厚は、過度に厚膜化すると欠陥や剥離による性能劣化が発生しやすいという観点から、10〜10000nmが好ましく、20〜500nmがより好ましく、100〜400nmがさらにより好ましい。光吸収層が複層の場合は、光吸収層の合計の膜厚が上記範囲内であることが好ましい。
上記の光吸収層は、例えば、後述する電子輸送層上に、一般に公知の方法を用いて、ペロブスカイト化合物溶液を塗布し、乾燥して成膜することにより形成することができる。例えば、スピンコーティング法等の非真空プロセスを採用することにより、より簡便に本発明の光電変換素子を製造することができる。
なお、ペロブスカイト化合物溶液は、ペロブスカイト化合物そのものを含有する溶液でもよいが、ペロブスカイト化合物の構成イオンであるカチオンA、金属カチオンMおよびアニオンXを含有する溶液、またはMXとAXとを含有する溶液であることが好ましい。例えば、上記の一般式(1)で示される1置換アンモニウム鉛ハロゲン化物を用いる場合、PbXと(RNH)Xとを含有する溶液とすることができる。
本発明の光電変換素子では、以下に詳述するように、電子輸送層の表面平坦性に優れているので、電子輸送層上に積層される光吸収層の表面平坦性も向上し、これにより、光吸収層の欠陥を抑制することが期待される。
<電子輸送層>
本発明の光電変換素子では、電子輸送層は、光吸収層の下に形成されることが好ましい。
電子輸送層は、透光性の電子輸送材料を含む層(特に透光性の電子輸送材料からなる層)とすることが好ましい。透光性の電子輸送材料としては、特に制限されないが、具体的には、酸化チタン(TiO等)、酸化タングステン(WO、WO、W等)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO等)、酸化アルミニウム(Al)等の金属酸化物の1種または2種以上を用いることができる。
本発明の一実施形態において、電子輸送層は、TiOを用いて、アモルファス状態の結晶形態とすることができる。すなわち、本発明の光電変換素子では、高温プロセスを含まない低温での成膜条件(例えば、130℃以下)で形成された電子輸送層であっても、膜欠陥の発生およびリークを抑制することができる。なお、アモルファスのTiO層には、例えば、ホールブロッキング層としてAlを積層したり、ZnOを積層して電子輸送性をより向上させたりするなど、他の金属酸化物の層を設けてもよい。
上記の実施形態において、アモルファスのTiOからなる電子輸送層は、589nmでの屈折率が1.80以上である。中でも、当該屈折率は、2.00以上2.52以下の範囲内であることが好ましく、2.30以上2.52以下の範囲内であることがより好ましい。アモルファスのTiOからなる電子輸送層の589nmでの屈折率が上記の範囲内であると、電子輸送層の優れた緻密性によって電子輸送性が向上し、変換効率に優れた光電変換素子とすることができる。一方、当該屈折率が1.80を下回ると、電子輸送層の緻密性が損なわれて電子輸送性が低下し、光電変換素子の変換効率が低下する。すなわち、本発明では、電子輸送層の緻密性が制御されていることにより、リークの発生が抑制され、長期安定性を有し、かつ高い光電変換効率を有する光電変換素子が得られる。
電子輸送層の膜厚は、5〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜40nmがさらにより好ましい。電子輸送層の膜厚を上記範囲内とすることにより、より確実にリークを抑制することができる。例えば、アモルファスのTiOからなる電子輸送層の膜厚は、5〜100nmとすることができる。
次に、電子輸送層の形成方法について説明する。
本実施形態では、電子輸送層は、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)を用いて成膜することが好ましい。より具体的には、例えば、ALD法を用いて、成膜反応を50〜130℃で50〜2000サイクル繰り返して、電子輸送層を成膜することができる。これにより、電子輸送層の緻密性が制御され、表面平坦性が向上する。
ALD法は、チェンバ内に、形成しようとする薄膜を構成する元素を主成分とする2種の原料ガス(前駆体ガス)を交互に導入して原料ガスを基板表面に吸着させ、不要なガスをNで除去した後に、吸着単分子に水等の他の原料ガスを導入し熱反応させる、あるいは、活性な酸素プラズマまたはオゾンガスを導入し反応させて1原子層ずつ反応生成物膜を形成し、これを繰り返して、所望の膜厚(例えば、数十nm)の薄膜を形成する方法である。この方法で形成されたALD薄膜は、緻密であり、さらにはその高い被覆性のため基板の割れや形状に追従して形成されるので、安定して高いバリア性を有するバリアフィルムを得るのに適している。
ALD法は、反応の活性化手段や用いる酸化剤の違いによって分類することができ、熱ALD法、オゾンALD法、プラズマALD法(PEALD:Plasma Enhanced ALD)等が知られている。熱ALD法は、加熱により反応ガスの反応を促進する方法であり、本明細書では、特に言及しない限り、水を酸化剤として用いるALD法を指すものとする。オゾンALD法は、オゾンを酸化剤として用いて加熱により反応ガスの反応を促進する方法である。また、プラズマALD法は、酸素プラズマ(プラズマ化した酸素)により反応ガスの反応を促進する方法である。
熱ALD法では、1秒間未満という短時間に1原子層を成膜する工程を終了する必要があるため、基板に対して大きな吸着力を有する水の原料ガスへの吸着、および不要なガスの完全除去が困難になる場合がある。一方、オゾンALD法やプラズマALD法では、水を使用しないため、上記のような課題がなく生産性の観点で優れている。また、水を使用しないALD法では、基板に吸着された水を除去する必要がなく、例えば50〜130℃、好ましくは70〜100℃、さらに好ましくは70〜90℃の低温条件で成膜することができ、PETなど軟化温度が低いフレキシブルな基板に対しても成膜が可能になり好ましい。特に、反応活性の高い酸素プラズマを用いるプラズマALD法は、高速成膜が可能になり好ましい。また、オゾンALD法では、オゾン酸化によってTiO等の電子輸送材料表面に付着したオレフィンなどの有機高分子が分解(クラッキング)され、より低分子で親水性のカルボニルなどへ変化して除去(洗浄)されるため、電子輸送層における電子輸送材料の塗膜の欠陥の発生を抑制する効果があり、欠陥によるリークが低減されるため、光電変換素子の変換効率が向上し、素子の高寿命化が可能になり好ましい。
ALD法による成膜反応のサイクル数は、電子輸送層として用いる電子輸送材料の種類、電子輸送層の所望の膜厚等に応じて、適宜調整することができる。例えば、アモルファスのTiOからなる電子輸送層を成膜する場合には、50〜2000サイクル繰り返すことが好ましく、100〜1500サイクル繰り返すことがより好ましく、150〜1000サイクル繰り返すことがさらにより好ましい。これにより、電子輸送層の緻密性が制御され、表面平坦性が向上する。
電子輸送層における電子輸送材料の積層数および膜厚は、例えば、ALD法により成膜した電子輸送層の断面を電子顕微鏡(TEM、FESEM等)により観察して測定することができる。また、電子輸送層の膜厚は、触診段差計、光干渉膜厚計、分光エリプソメーター等を用いて測定することもできる。本発明では、ALD法を適用して成膜することができる条件下においては、ALD法による成膜反応のサイクル数と電子輸送材料の積層数とが、直線性を示す相関関係を有していることが確認されている。
<多孔質電子輸送層>
本発明の光電変換素子では、光吸収層と上記電子輸送層との間に、多孔質構造を有する多孔質電子輸送層を形成してもよい。なお、本明細書において、単に「電子輸送層」という場合には、「多孔質電子輸送層」を含まないことを意味するものとする。
多孔質電子輸送層に関して、多孔質構造とは、特に制限されるわけではないが、粒状体、線状体(線状体:針状、チューブ状、柱状等)等が集合して、全体として多孔質な性質を有していることが好ましい。また、細孔サイズはナノスケールであることが好ましい。多孔質構造を有することにより、ナノスケールであるため、光吸収層の活性表面積を著しく増加させ、光電変換効率を向上させるとともに、電子収集に優れる多孔質電子輸送層とすることができる。
多孔質電子輸送層は、透光性の多孔質電子輸送材料を含む層(透光性の多孔質電子輸送材料からなる層)とすることが好ましい。透光性の多孔質電子輸送材料としては、特に制限されないが、具体的には、酸化チタン(TiO等)、酸化タングステン(WO、WO、W等)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb等)、酸化タンタル(Ta等)、酸化イットリウム(Y等)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO等)等のうちの1種または2種以上を用いることができる。なお、半導体を使用する場合には、ドナーがドープされていてもよい。これにより、多孔質電子輸送層が、光吸収層に導入するための窓層となり、かつ、光吸収層から得られた電力をより効率よく取り出すことができる。透光性の多孔質電子輸送材料として酸化チタン(TiO等)を採用する場合には、結晶形態はアナターゼ型が好ましい。
多孔質電子輸送層の膜厚は、10〜2000nm程度が好ましく、20〜1500nm程度がより好ましい。多孔質電子輸送層の膜厚を上記範囲内とすることにより、より確実にかつ、光吸収層からの電子を収集することができる。
上記の多孔質電子輸送層を、例えばスクリーン印刷法等の非真空プロセスにより形成すれば、より簡便に本発明の光電変換素子を製造することが可能である。また、大面積化が容易で品質が安定するという利点も有する。
<第一電極層:透光性導電層>
本発明の光電変換素子では、透光性導電層は、電子輸送層の下に形成されることが好ましい。
透光性導電層は、例えば、透明導電性酸化物を含む層(特に透明導電性酸化物からなる層)とすることが好ましい。透明導電性酸化物としては、例えば、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウムドープ亜鉛酸化物(GZO)、アルミドープ亜鉛酸化物(AZO)、ニオブドープチタン酸化物(TNO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)等のうちの1種または2種以上を用いることができる。また、アルミドープ亜鉛酸化物(AZO)とAgとを交互に積層したもの(AZO/Ag/AZO)を用いてもよい。これにより、透光性導電層が、光吸収層に導入するための窓層となり、かつ、光吸収層から得られた電力を効率よく取り出すことができる。
透光性導電層の膜厚は、0.01〜10.0μm程度が好ましく、0.05〜1.0μm程度がより好ましい。透光性導電層の膜厚を上記範囲内とすることにより、シート抵抗を低減し、結果として光電変換素子のシリーズ抵抗を低減できるため、フィルファクター特性を維持できる。
<透光性基板>
本発明の光電変換素子では、透光性基板は、透光性導電層の下に形成されることが好ましい。
透光性基板としては、特に制限されないが、例えば、ガラス、プラスチック等から構成することが好ましい。これにより、光を光吸収層に導入するための窓層になり得る。
また、本発明の光電変換素子では、透光性基板は、フレキシブルな透光性樹脂基板であることがより好ましい。これにより、ロールtoロール方式による素子製造を実現することができる。
フレキシブルな透光性樹脂基板を形成する有機材料としては、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等を挙げることができる。透光性樹脂基板は、これらの有機材料で形成される基板を単層で、あるいは2層以上積層して用いることができる。また、透光性樹脂基板は、一般に公知の方法により製造することが可能であり、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
透光性基板の厚みは、特に限定されないが、0.1〜5.0mm程度とすることが好ましい。
例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)膜付きガラス、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)膜付きガラス等の透明導電膜付き基板を、透光性基板および透光性導電層とすることも可能である。
<正孔輸送層>
本発明の光電変換素子では、光吸収層の上に、さらに正孔輸送層を備えていてもよい。
正孔輸送層に使用される材料としては、例えば、セレン、ヨウ化銅(CuI)等のヨウ化物、層状コバルト酸化物等のコバルト錯体、CuSCN、酸化モリブデン(MoO等)、酸化ニッケル(NiO等)、4CuBr・3S(C)、有機ホール輸送材等が挙げられる。
有機ホール輸送材としては、例えば、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体、2,2’,7,7’−テトラキス−(N,N−ジ−p−メトキシフェニルアミン)−9,9’−スピロビフルオレン(spiro-MeO-TAD)等のフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、ジフェニルアミン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアニリン誘導体等が挙げられる。
正孔輸送層の膜厚は、特に制限されないが、0.01〜10μm程度が好ましい。
正孔輸送層は、蒸着法、スプレー法、ディップ法等の非真空プロセスにより形成することが好ましい。
<第二電極層>
本発明の光電変換素子では、正孔輸送層の上に、第二電極層を備えることが好ましい。
第二電極層を構成する材料としては、特に制限されないが、例えば、カーボン、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、ニオビウム、インジウムスズ酸化物、フッ素ドープスズ酸化物、アルミドープ亜鉛酸化物、およびガリウムドープ亜鉛酸化物等が好ましい。また、金、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、ニオビウム等の金属の合金等も好ましく用いられる。
第二電極層の膜厚は、特に制限されないが、0.01〜2.0μm程度とすることが好ましい。
なお、本発明では、第一電極層および電子輸送層の表面が、UVオゾン処理または酸素プラズマ処理されてなることが好ましい。これにより、表面から有機物が除去され、また、表面が活性化され、その上に形成される薄膜の成膜精度が向上する。
また、本発明の光電変換素子は、透光性基板の成膜(蒸着)を行った領域を封止材で密封するように封止されてなることが好ましい。これにより、光電変換素子の耐久性の向上や高寿命化等が可能となる。封止材としては、ガラス製、樹脂製等、一般に公知の各種の材料を使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(光電変換素子の作製)
以下のようにして、セル構造として、< glass / ITO / TiO2 / (CH3NH3)PbI3 / Spiro-OMeTAD / Au >構造の太陽電池素子を作製した。なお、スラッシュ(/)で区切られた構造は、その順に有することを意味し、本実施例では、glass、ITO、TiO2、(CH3NH3)PbI3、Spiro-OMeTAD、Auが、下から順に層形成されていることを意味する。
まず、インジウムスズ酸化物(ITO)膜付きガラス基板(0.7mm glass / 150nm ITO)(ジオマテック社製)の表面を、10分間UVオゾン処理した。
次いで、原料としてチタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)(ジャパン・アドバンスト・ケミカルズ社製)を用いて、プラズマALD法(For all社製 Model OZONE、プラズマ発生装置の出力80W)により、成膜反応を120℃で330サイクル繰り返してTiOからなる電子輸送層(膜厚20nm)を成膜し、この表面を酸素プラズマ処理した。なお、後述するように、TiOの結晶状態はアモルファスであった。また、本実施例において、成膜した薄膜層の膜厚は触診段差計により測定した。
次いで、文献(Y. Yang et al., "Moisture assisted perovskite film growth for high performance solar cell", Applied Physics Letters 105, 183902 (2014))に記載の方法と同様にして、電子輸送層の上に、CHNHPbIペロブスカイト化合物からなる光吸収層(膜厚300nm)を成膜した。
次いで、正孔輸送材料としてのSpiro−OMeTAD(72.3mg、0.059mmol)と、リチウム−ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI、9.1mg、0.0317mmol)と、[トリス(2-(1H-ピラゾール-1-イル)-4-tert-ブチルピリジン)コバルト(III) トリス(ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)]([Tris(2-(1H-pyrazol-1-yl)-4-tert-butylpyridine)cobalt(III) Tris(bis(trifluoromethylsulfonyl)imide)]、8.7mg、0.0058mmol)とをクロロベンゼン(1mL)に溶解し、t−ブチルピリジン(TBP、28.8μL、0.195mmol)を加えて10分間撹拌し、正孔輸送層用溶液を調製した。この正孔輸送層用溶液90μLを、光吸収層の上に載せ、20秒間静置した後、スピンコート法(スロープ5sec、500rpm5sec、スロープ5sec、4000rpm30sec、スロープ5sec)により塗布し、70℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥して、正孔輸送層(膜厚400nm)を成膜した。
次いで、正孔輸送層の上に、Auを蒸着法により蒸着して、第二電極層(膜厚100nm)を作製した。
次いで、窒素置換したグローブボックス内において、キャップガラスの凹部に吸湿剤シートを貼り付け、キャップガラスの凹部の周囲にUV硬化樹脂をディスペンサーにて塗布し、基板の成膜(蒸着)を行った領域をキャップガラスで密封するように密着させ、UVランプにてUV光を照射してUV硬化樹脂を硬化させて、封止した。
このようにして、光電変換素子(太陽電池素子)を得た。
図1は、本実施例の作製条件で得られたTiO薄膜(電子輸送層)を、X線回折装置(リガク社製、XtaLAB mini)を用いて分析した結果を示すX線回折チャートである。なお、測定用サンプルは、スライドガラス(松浪硝子工業株式会社製 型番S011110、サイズ76mm×26mm 厚さ1mm)上に、上記と同様の方法により、TiO層を成膜して作製した。一般に知られているように、アナターゼ型結晶のTiOでは、2θ=20〜30°に特徴的な回折ピークが見られるが、図1に示すXRDチャートでは、2θ=20〜30°付近に見られる回折パターンは強度が低く、ブロードになっていることがわかる。これより、本実施例では、電子輸送層がアモルファスのTiOから構成されていることが確認された。なお、予備実験として、上記の測定用サンプルをさらに90℃で30分間加熱した後にX線回折分析を行ったところ、図1と同様のXRDチャートが得られ、TiO薄膜の結晶状態がアモルファスのまま維持されていることが確認された。
また、分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製 M−2000)を用いて、電子輸送層の589nmでの屈折率を測定した。なお、測定用サンプルは上記のX線回折分析と同様にして作製し、測定条件は以下のとおりとした。光学定数の計算においては、例えば、測定された位相差Δと振幅反射率ψのスペクトルを、計算モデル(本実施例ではTiO/ガラス基板の光学モデル)から算出された(Δ、ψ)と比較し、測定値(Δ、ψ)に近づくように最小2乗法等を用いてフィッティングする。
(測定条件)
入射角:50、60、70度
測定波長範囲:195nm〜1680nm
解析ソフト:WVASE32
ビーム径:2mm×8mm程度。
<実施例2>
インジウムスズ酸化物(ITO)膜付きガラス基板(0.7mm glass / 150nm ITO)(ジオマテック社製)の表面を、10分間UVオゾン処理した。
次いで、原料としてテトラキスジメチルアミノチタン(TDMAT)(ジャパン・アドバンスト・ケミカルズ社製)を用いて、オゾンALD法(Ensure Nanotech社製 LabNanoTM 9100)により、成膜反応を120℃で330サイクル繰り返してTiOからなる電子輸送層(膜厚20nm)を成膜し、この表面をUVオゾン処理した。
次いで、電子輸送層の上に、実施例1と同様にして、光吸収層、正孔輸送層および第二電極層を成膜し、キャップガラスで封止して、光電変換素子(太陽電池素子)を得た。
<実施例3>
電子輸送層を成膜する際に、原子層堆積法として熱ALD法(Ensure Nanotech社製 LabNanoTM 9100)を用いたこと以外は実施例2と同様にして、光電変換素子(太陽電池素子)を得た。
<比較例1>
ホットプレート上に耐熱ガラスを置き、その上にインジウムスズ酸化物(ITO)膜付きガラス基板(0.7mm glass / 150nm ITO)(ジオマテック社製)を置き、ITOとコンタクトをとる部分(ITOをエッチングした辺の逆側)の上にアルミ板を置いてマスクし、基板を450℃に加熱した。
次いで、以下の条件で、スプレー法により、TiOからなる電子輸送層(膜厚20nm)を成膜した。
(スプレー塗布成膜条件)
グローボックス内で、スタラーチップを入れ乾燥させた青(茶色)サンプル瓶に、チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(OCH(CH)28.4mLを素早く入れ、次いで攪拌状態で1mLずつアセチルアセトン19.5〜20mLを加え、スプレー液を調液した。
120℃に加温したホットプレート上に基板を置き、基板とスプレーの吹き出し口との距離を約30cmに保ちながら、スプレー液を2回吹き付け、基板を約30°回し、20秒静置した。この作業をスプレー液がなくなるまで続け、その後室温まで冷却した。
次いで、電子輸送層の上に、実施例1と同様にして、光吸収層、正孔輸送層および第二電極層を成膜し、キャップガラスで封止して、光電変換素子(太陽電池素子)を得た。
<比較例2>
電子輸送層を成膜する際に、プラズマALD法(For all社製 Model OZONE、プラズマ発生装置の出力60W)により、成膜反応を45℃で165サイクル繰り返したこと以外は実施例1と同様にして、光電変換素子(太陽電池素子)を得た。なお、電子輸送層の膜厚は20nmであった。
以下の表1に、実施例1〜3および比較例1〜2の太陽電池素子における電子輸送層の成膜条件および589nmでの屈折率をまとめて示す。なお、電子輸送層の成膜条件は、使用するALD装置の構成、仕様等に応じて適宜調整される点に留意されたい。例えば、プラズマALD法により成膜する場合において、プラズマ発生装置の出力値(W)は、使用するALD装置に応じて適宜調整することができる。
Figure 2017054912
このようにして作製した太陽電池素子の光電変換効率(PCE)は、実施例1および実施例2ではいずれも12%であり、実施例3では6%であった。一方、比較例1の太陽電池素子のPCEは1%未満であった。なお、実施例1〜3の作製条件と同様にして、透光性基板としてフレキシブルな透光性樹脂基板を用いて作製した太陽電池素子においても、比較例を有意に上回るPCEでの発電が可能であることも確認されている。
これらの結果から、アモルファスのTiOからなる電子輸送層において、589nmでの屈折率が1.80以上であると、高い光電変換効率を有する太陽電池素子が得られることが確認された。すなわち、本発明の光電変換素子は、電子輸送層の緻密性が制御され、表面平坦性が優れていることによって、リークの発生が抑制され、長期安定性を有し、かつ高い光電変換効率を有する素子であると考えられる。このように、電子輸送層における特定の波長での屈折率と光電変換素子の性能との相関関係は、本発明者等によって見出された新規な知見であり、ペロブスカイト系太陽電池の性能向上に向けた新たなアプローチを提起するものである。また、本発明の光電変換素子はその全ての製造工程において、温度条件を130℃以下とすることができる。従って、ロールtoロール方式によるペロブスカイト系太陽電池の薄型化、軽量化、フレキシブル化が可能となり、また、製造技術面においても低コスト化、高生産性を実現可能とすることが期待される。

Claims (5)

  1. 有機アンモニウム金属ハロゲン化物またはCs金属ハロゲン化物を含む光吸収層を備える光電変換素子であって、前記光吸収層の下に位置する電子輸送層がアモルファスのTiOからなり、前記電子輸送層の589nmでの屈折率が1.80以上であることを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記電子輸送層の膜厚が5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記電子輸送層が、原子層堆積法で積層してなる電子輸送層であることを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記原子層堆積法が、プラズマALD法、オゾンALD法または熱ALD法であることを特徴とする請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記電子輸送層が、積層数が50〜2000のアモルファスTiO層からなる積層構造を有することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の光電変換素子。
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