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JP2017052908A - 湿気硬化型ウレタン組成物、及び被覆材 - Google Patents

湿気硬化型ウレタン組成物、及び被覆材 Download PDF

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JP2017052908A JP2015179647A JP2015179647A JP2017052908A JP 2017052908 A JP2017052908 A JP 2017052908A JP 2015179647 A JP2015179647 A JP 2015179647A JP 2015179647 A JP2015179647 A JP 2015179647A JP 2017052908 A JP2017052908 A JP 2017052908A
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博美 入江
西村 紀夫
Norio Nishimura
紀夫 西村
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DIC Corp
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Abstract

【課題】本発明が解決しようとする課題は、JISA6021:2011の「表1−屋根用塗膜防水材の性能」中のウレタンゴム系の引張性能に規定する試験時温度23℃、及び60℃の高強度形の基準を満たし、透明性に優れる被覆材を簡便に施工することができる材料を提供することである。
【解決手段】本発明は、非結晶性ポリオール(a−1−1)、及び、鎖伸長剤(a−1−2)を含むポリオール(a−1)とポリイソシアネート(a−2)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、ポリオール(b−1)とポリイソシアネート(b−2)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b−3)との反応物であるオキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)、及び、酸触媒(C)を含有することを特徴とする湿気硬化型ウレタン組成物、並びに、その湿気硬化物であることを特徴とする被覆材を提供するものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防水材として有用な湿気硬化型ウレタン組成物に関する。
近年、ウレタン系材料の高耐久化を目的として、防水材や補強材用樹脂に対する高強度化・高靭性化のニーズが高まっている。特に、防水材ではJISA6021に「高強度形」の規格が制定されたこともあり、産業界ではこの規格を満たす材料開発が盛んに行われている。
前記高強度規格を満たす材料としては、例えば、2液系の速硬化型ポリウレタンが開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。前記速硬化型ポリウレタンはスプレー塗布により瞬間硬化するため大面積の施工が容易であるが、大型機械操作が必要である点、及び反応が速すぎる点により取扱い性が悪いとの問題点があった。
また、近年では、基体であるコンクリート等のひび割れ状況等を目視確認したいとのニーズが高まっており、材料の透明化も求められている。
特開2007−113249号公報
本発明が解決しようとする課題は、JISA6021:2011の「表1−屋根用塗膜防水材の性能」中のウレタンゴム系の引張性能に規定する試験時温度23℃、及び60℃の高強度形(以下、「高強度形規格」と略記する。)の基準を満たし、透明性に優れる被覆材を簡便に施工することができる材料を提供することである。
本発明は、非結晶性ポリオール(a−1−1)、及び、鎖伸長剤(a−1−2)を含むポリオール(a−1)とポリイソシアネート(a−2)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、ポリオール(b−1)とポリイソシアネート(b−2)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b−3)との反応物であるオキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)、及び、酸触媒(C)を含有することを特徴とする湿気硬化型ウレタン組成物、並びに、その湿気硬化物であることを特徴とする被覆材を提供するものである。
本発明の湿気硬化型ウレタン組成物は貯蔵安定性に優れ、鏝塗り等によっても簡便に塗膜を作製でき、大型機械によらなくても施工が可能なものである。また、本発明の湿気硬化型ウレタン組成物を湿気硬化させて得られる硬化物は、高強度形規格の基準を満たすものであるため、高強度性に極めて優れるものである。また、得られる被覆材は、透明性に優れるものであるから、基体であるコンクリート等のひび割れ状況等を目視で確認できるものである。従って、本発明の湿気硬化型ウレタン組成物は、土木建築用の被覆材として好適に使用することができ、防水材として特に好適に使用することができる。
本発明の湿気硬化型ウレタン組成物は、非結晶性ポリオール(a−1−1)、及び、鎖伸長剤(a−1−2)を含むポリオール(a−1)とポリイソシアネート(a−2)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、ポリオール(b−1)とポリイソシアネート(b−2)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b−3)との反応物であるオキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)、及び、酸触媒(C)を必須成分として含有するものである。
前記非結晶性ポリオール(a−1−1)は、特に優れた透明性を得る上で必須の成分である。なお、本発明において、前記「非結晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できないものを示す。
前記非結晶性ポリオール(a−1−1)としては、具体的には、例えば、低分子量グリコールと芳香族多塩基酸との反応物である非結晶性ポリエステルポリオール;側鎖を有する低分子量グリコールと脂肪族多塩基酸との反応物である非結晶性ポリエステルポリオール;低分子量グリコールを開始剤として、側鎖を有する環状エーテルモノマーを開環付加させせた非結晶性ポリエーテルポリオール;2種以上の低分子量グリコールと炭酸エステルとの反応物である非結晶性ポリカーボネートポリオールなどを用いることができる。なお、前記「低分子量」とは、数平均分子量が50〜400の範囲を示す。なお、前記数平均分子量は、前記非結晶性ポリオール(a−1−1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記低分子量グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記芳香族多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記側鎖を有する低分子量グリコールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3-メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記側鎖を有する環状エーテルモノマーとしては、例えば、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記側鎖を有する炭酸エステルとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記非結晶性ポリオール(a−1−1)としては、後述するウレタン化合物(B)との良好な相溶性が得られ、優れた貯蔵安定性、及び透明性が得られる点から、低分子量グリコールを開始剤として側鎖を有する環状エーテルモノマーを開環付加させせた非結晶性ポリエーテルポリオール、及び/又は、2種以上の低分子量グリコールと炭酸エステルとの反応物である非結晶性ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましく、優れた高強度性が得られる点から、ポリオキシプロピレングリコール、及び/又は、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとを原料としたポリカーボネートポリオールを用いることがより好ましい。
前記非結晶性ポリオール(a−1−1)の数平均分子量としては、優れた透明性が得られる点から、500〜5,000の範囲であることが好ましく、700〜4,000の範囲であることがより好ましい。なお、前記非結晶性ポリオール(a−1−1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定して得られた値を示す。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
前記鎖伸長剤(a−1−2)は、高強度形規格を満たす上で必須の成分である。なお、鎖伸長剤(a−1−2)を用いることにより、ウレタン基濃度が増加し、得られるポリウレタンに海島構造を形成させることで機械的強度の高い硬化物が得られることはポリウレタンの技術分野においては広く知られている。しかしながら、前記非結晶性ポリオール(a−1−1)と組合せ用いてウレタンプレポリマー(A)を得、更に後述するオキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)と組合せることにより、優れた透明性と高強度形規格を満たすことが分かった。
前記鎖伸長剤(a−1−2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の脂環式ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールS、ビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ポリオールなどを用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高強度性及び貯蔵安定性をより一層向上できる点から、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上の鎖伸長剤を用いることが好ましい。
前記鎖伸長剤(a−1−2)の数平均分子量としては、引張強さの点から、50〜450の範囲であることが好ましい。なお、前記鎖伸長剤(a−1−2)の数平均分子量は、前記非結晶性ポリオール(a−1−1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記鎖伸長剤(a−1−2)の使用量としては、引張強さの点から、前記ポリオール(a−1)及びポリイソシアネート(a−2)の合計量に対して、1〜40質量%の範囲であることが好ましく、3〜30質量%の範囲がより好ましい。
前記ポリオール(a−1)は、前記非結晶性ポリオール(a−1−1)及び前記鎖伸長剤(a−1−2)を必須成分として含有するが、優れた透明性を得るため、結晶成分を含まないものである。
前記結晶成分としては、例えば、結晶性ポリエーテルポリオール、結晶性ポリエステルポリオール、結晶性ポリカーボネートポリオール等を示す。
前記ポリイソシアネート(a−2)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ポリイソシアネートなどを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高強度性及び貯蔵安定性をより一層向上できる点から、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のポリイソシアネートを用いることがより好ましい。
前記ウレタンプレポリマー(A)の製造方法としては、前記ポリオール(a−1)が有する水酸基と前記ポリイソシアネート(a−2)が有するイソシアネート基とのモル比(NCO/OH)が、好ましくは1.2〜1.9の範囲で、前記ポリオール(a−1)及び前記ポリイソシアネート(a−2)を反応させる方法を使用することが、試験時温度60℃における優れた高強度性が得られる点から好ましい。
前記ウレタンプレポリマー(A)はイソシアネート基を有するものであり、そのイソシアネート基含有率(以下「NCO%」と略記する。)としては、試験時温度60℃における優れた高強度性、及び良好な貯蔵安定性が得られる点から、4質量%以上であることが好ましく、4〜10質量%の範囲であることがより好ましく、4.5〜8質量%の範囲が更に好ましい。
前記ウレタンプレポリマー(A)の重量平均分子量としては、硬化速度、接着性、高強度性及び貯蔵安定性をより一層向上できる点から、1,000〜20,000の範囲であることが好ましく、4,000〜8,000の範囲がより好ましい。なお、前記ウレタンプレポリマー(A)の重量平均分子量は、前記非結晶性ポリオール(a−1−1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記オキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)の原料として用いる前記ポリオール(b−1)としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、ダイマージオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、作業性及び柔軟性をより一層向上できる点から、ポリエーテルポリオールを用いることが好ましい。
前期ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレンポリオール等を用いることができる。これらのポリエーテルポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ポリオール(b−1)の数平均分子量としては、作業性及び柔軟性をより一層向上できる点から、500〜5,000の範囲が好ましく、800〜3,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオール(b−1)の数平均分子量は、前記ポリテトラメチレングリコール(a−1−1)の数平均分子量と同様に測定して得られた値を示す。
前記オキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)の原料として用いる前記ポリイソシアネート(b−2)としては、前記ポリイソシアネート(a−2)と同様のものを用いることができる。
前記N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b−3)としては、例えば、アルデヒド化合物とジヒドロキシアルキルアミン化合物とを反応させて得られたものを用いることができる。
前記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ジヒドロキシアルキルアミン化合物としては、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
前記ウレタン化合物(B)は、前記ポリオール(b−1)、前記ポリイソシアネート(b−2)及び前記N−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b−3)を公知の方法で反応させたものであり、そのオキサゾリジン基の数としては、低温時及び高温時の引張性能並びに作業性の点から、1〜4の範囲であることが好ましく、1〜3の範囲がより好ましい。
前記ウレタン化合物(B)の数平均分子量としては、基材への接着性及び硬化速度をより一層向上できる点から、500〜15,000の範囲であることが好ましい。なお、前記ウレタン化合物(B)の数平均分子量は、前記ポリテトラメチレングリコール(a−1−1)と同様に測定した値を示す。
前記ウレタン化合物(B)の使用量としては、低温時及び高温時での引張性能、硬化速度、基材への接着性、高強度性並びに貯蔵安定性をより一層向上できる点から、前記ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、10〜100質量部の範囲であることが好ましく、20〜60質量部の範囲がより好ましい。
前記酸触媒(C)は、前記ウレタン化合物(B)が有するオキサゾリジン基の解離を促進するものであり、例えば、硫酸、塩酸、燐酸、炭酸、アルキルベンゼンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸、蟻酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸等の有機酸又は無機酸;それらの塩などを用いることができる。これらの酸触媒は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、硬化性がより一層向上する点から、燐酸、サリチル酸及び燐酸塩からなる群より選ばれる1種以上の酸触媒を用いることが好ましい。
前記酸触媒(C)の使用量としては、硬化性の点から、前記ウレタン化合物(B)100質量部に対して、0.01〜1質量部の範囲であることが好ましい。
本発明の湿気硬化型ウレタン組成物は、前記ウレタンプレポリマー(A)、前記ウレタン化合物(B)、及び、前記酸触媒(C)を必須成分として含有するものであるが、必要に応じてその他の添加剤を含有してもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、充填剤、有機溶剤、顔料、チキソ性付与剤、プロセスオイル、紫外線防止剤、補強材、骨材、硬化促進剤、難燃剤等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破断時の伸び率、及び、破断時のつかみ間の伸び率を向上できる点から、可塑剤を添加することが好ましい。
前記可塑剤としては、例えば、2−エチルヘキシルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等を用いることができる。これらの可塑剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記可塑剤を用いる場合の使用量としては、前記ウレタンプレポリマー(A)及び前記オキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)の合計100質量部に対し0.5〜30質量%の範囲であることが好ましく、1〜20質量%の範囲がより好ましい。
本発明の湿気硬化型ウレタン組成物は貯蔵安定性に優れ、鏝塗り等によっても簡便に塗膜を作製でき、大型機械によらなくても施工が可能なものである。また、本発明の湿気硬化型ウレタン組成物を湿気硬化させて得られる硬化物は、高強度形規格の基準を満たすものであるため、高強度性に極めて優れるものである。また、得られる被覆材は、透明性に優れるものであるから、基体であるコンクリート等のひび割れ状況等を目視で確認できるものである。従って、本発明の湿気硬化型ウレタン組成物は、土木建築用の被覆材として好適に使用することができ、防水材として特に好適に使用することができる。
本発明の湿気硬化型ウレタン組成物を土木建築関連の被覆材として用いる場合に塗布する基体(下地)としては、コンクリート、アスファルト、モルタル等の無機質基材;金属、木材、布帛、プラスチックなどを用いることができる。また、塗布する際の厚さは、用途に応じて適宜決定されるが、例えば、0.1〜10mmの範囲である。
前記湿気硬化型ウレタン組成物は、湿気により硬化し硬化物を得る。前記湿気硬化させる方法としては、例えば、25℃、湿度50%の条件下で5〜10日間養生させる方法が挙げられる。
前記方法により得られる硬化物は、高強度形規格を満たすものであり、すなわち硬化物のJISA6021:2011に準拠して測定した引張強さ(試験時温度23℃)が10N/mm以上であり、引張強さ(試験時温度60℃)が6N/mm以上であり、破断時の伸び率(試験時温度23℃)が200%以上であり、破断時のつかみ間の伸び率(試験時温度23℃)が120%以上であり、破断時のつかみ間の伸び率(試験時温度60℃)が100%以上である。
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
[合成例1]ウレタンプレポリマー(A−1)の合成
数平均分子量1,000のポリオキシプロピレングリコール(以下「PPG1000」と略記する。)300質量部、数平均分子量3,000のポリオキシプロピレングリコール(以下「PPG3000」と略記する。)180質量部、ジプロピレングリコール(以下「DPG」と略記する。)170質量部を混合し、そこへトリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記する。)350質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;4.6質量%のウレタンプレポリマー(A−1)を得た。
[合成例2]ウレタンプレポリマー(A−2)の合成
PPG1000を300質量部、PPG3000を360質量部、DPGを70質量部を混合し、そこへTDIを270質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;6.3質量%のウレタンプレポリマー(A−2)を得た。
[合成例3]ウレタンプレポリマー(A−3)の合成
ポリカーボネートポリオール(1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールを原料としたもの、数平均分子量1,000(以下「1,5PG/1,6HG−PC1000」と略記する。)300質量部、PPG3000を180質量部、DPGを170質量部を混合し、そこへTDIを350質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;4.6質量%のウレタンプレポリマー(A−3)を得た。
[合成例4]ウレタンプレポリマー(A−4)の合成
ポリカーボネートポリオール(1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールを原料としたもの、数平均分子量3,000(以下「1,5PG/1,6HG−PC3000」と略記する。)300質量部、PPG3000を380質量部、DPGを60質量部を混合し、そこへTDIを260質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;6.9質量%のウレタンプレポリマー(A−4)を得た。
[合成例5]ウレタンプレポリマー(A−5)の合成
PPG3000を570質量部、DPGを140質量部混合し、そこへTDIを290質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;5.7質量%のウレタンプレポリマー(A−5)を得た。
[比較合成例1]ウレタンプレポリマー(A’−1)の合成
ポリオキシテトラメチレングリコール(数平均分子量1,000(以下「PTMG1000」と略記する。)を300質量部、PPG3000を440質量部、DPGを40質量部混合し、そこへTDIを220質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;5.9質量%のウレタンプレポリマー(A’−1)を得た。
[比較合成例2]ウレタンプレポリマー(A’−2)の合成
PTMG1000を300質量部、PPG3000を180質量部、DPGを170質量部混合し、そこへTDIを350質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;4.6質量%のウレタンプレポリマー(A’−2)を得た。
[比較合成例3]ウレタンプレポリマー(A’−3)の合成
ポリカーボネートポリオール(1,6−ヘキサンジオールを原料としたもの、数平均分子量3,000(以下「1,6HG−PC1000」と略記する。)300質量部、PPG3000を180質量部、DPGを170質量部を混合し、そこへTDIを350質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;4.6質量%のウレタンプレポリマー(A’−3)を得た。
[比較合成例4]ウレタンプレポリマー(A’−4)の合成
PPG1000を1,000質量部入れ、そこへTDIを392質量部加え、窒素気流下、90℃で8時間反応させ、NCO%;7.6質量%のウレタンプレポリマー(A’−4)を得た。
[合成例6]ウレタン化合物(B−1)の合成
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量;1,000、オキシエチレン構造の含有量;20質量%、以下、「EOPO」と略記する。)を100質量部、TDIを80質量部を反応させ、NCO%;16.8質量%のウレタンプレポリマーを得た。次いで、キシレンを40質量部加えて撹拌しながら、N−2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)−1,3−オキサゾリジン(以下、「OXZ−1」と略記する。)を114.5質量部を発熱を抑えながらゆっくり滴下した。発熱が収まったのを確認した後、70℃にて8時間撹拌させ、オキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B−1)を得た。
[実施例1]
密閉した混合容器内で表1に示した所定量のウレタンプレポリマー(A)とウレタン化合物(B)、及び酸触媒(C)を均一に混合して湿気硬化型ウレタン組成物を得た。
[実施例2〜6、及び比較例1〜4]
ウレタンプレポリマー(A)及びウレタン化合物(B)の種類及び/又は量と、可塑剤の種類とを表1〜2に示す通り変更した以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ウレタン組成物を得た。
[引張性能試験]
JISA6021:2011「6.6.1 23℃における引張性能試験」に準拠して引張試験を行い、試験時温度23℃における引張強さ(N/mm)、破断時の伸び率(%)、及び破断時のつかみ間の伸び率を測定した。
また、JISA6021:2011「6.6.2 −20℃及び60℃における引張性能試験」に準拠して引張試験を行い、試験時温度60℃における引張強さ(N/mm)及び破断時のつかみ間の伸び率(%)を測定した。
[透明性の評価方法]
実施例及び比較例で得られた湿気硬化型ウレタン組成物を、新聞紙上に厚さ2mmで塗布し、25℃、湿度50%の条件下で7日間放置し、硬化物を得た。その後、硬化物の上から、新聞紙の文字が確認できるか目視で観察し、確認できる場合は「○」、確認できない場合は「×」と評価した。
Figure 2017052908
Figure 2017052908
本発明の湿気硬化型ウレタン組成物である実施例1〜6は、高強度形規格の基準を満たし、かつ、優れた透明性を有することが分かった。
一方、比較例1〜3は、ポリオール(a−1)として結晶成分を含んだ態様であるが、いずれも透明性が不良であった。
比較例4は、鎖伸長剤(a−1−2)を用いない態様であるが、高強度規格の基準を満たすことができなかった。

Claims (6)

  1. 非結晶性ポリオール(a−1−1)、及び、鎖伸長剤(a−1−2)を含み、結晶成分を含まないポリオール(a−1)とポリイソシアネート(a−2)との反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(A)、
    ポリオール(b−1)とポリイソシアネート(b−2)とN−2−ヒドロキシアルキルオキサゾリジン(b−3)との反応物であるオキサゾリジン基を有するウレタン化合物(B)、及び、酸触媒(C)を含有することを特徴とする湿気硬化型ウレタン組成物。
  2. 前記非結晶性ポリオール(a−1−1)が、ポリオキシプロピレングリコール、及び/又は、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールとを原料としたポリカーボネートポリオールである請求項1記載の湿気硬化型ウレタン組成物。
  3. 前記鎖伸長剤(a−1−2)が、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、及びブタンジオールからなる群より選ばれる1種以上のものである請求項1記載の湿気硬化型ウレタン組成物。
  4. 前記ポリイソシアネート(a−2)が、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群より選ばれる1種以上のものである請求項1記載の湿気硬化型ウレタン組成物。
  5. 硬化物のJISA6021:2011に準拠して測定した引張強さ(試験時温度23℃)が10N/mm以上であり、引張強さ(試験時温度60℃)が6N/mm以上であり、破断時の伸び率(試験時温度23℃)が200%以上であり、破断時のつかみ間の伸び率(試験時温度23℃)が120%以上であり、破断時のつかみ間の伸び率(試験時温度60℃)が100%以上である請求項1記載の湿気硬化型ウレタン組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の湿気硬化型ウレタン組成物の湿気硬化物であることを特徴とする被覆材。
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