JP2017048389A - トナー用ポリエステル樹脂およびトナー - Google Patents
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Abstract
Description
VOCの発生は、使用者の健康や環境へ影響を及ぼすおそれがある。そのため、近年、健康や環境保護を考慮してVOCの総量(TVOC:Total Volatile Organic Compound)の低減が求められており、トナーにおいてもTVOCの低減(低TVOC化)が求められている。
特許文献1では、粒子状アロフェンにVOCを吸着させることでTVOCを低減しているが、トナーに含まれる結着樹脂の低TVOC化は行っていない。
特許文献4、5に記載のように、脂肪族ジオール成分の量を調整する方法では、ポリエステル樹脂の低TVOC化に限界があった。
[1] 酸成分と、酸成分100モル部に対して90〜150モル部のアルコール成分とを含む単量体混合物の重縮合物であるトナー用ポリエステル樹脂であって、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位、およびエチレングリコール由来の構成単位を含み、揮発性有機化合物の総量が380ppm以下である、トナー用ポリエステル樹脂。
[2] 下記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たす、[1]に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
条件(a):チタン系触媒の存在下で得られた重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。
条件(b):酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が30モル部以下であり、テレフタル酸由来の構単位が70モル部以下である。
条件(c):酸成分に由来するカルボキシ基の数とアルコール成分に由来する水酸基の数との比率(水酸基/カルボキシ基)が1.09以下である単量体混合物の重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。
[3] [1]または[2]に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有する、トナー。
本発明のトナー用ポリエステル樹脂(以下、単に「ポリエステル樹脂」ともいう。)は、酸成分と、酸成分100モル部に対して90〜150モル部のアルコール成分とを含む単量体混合物の重縮合物である。
このようなポリエステル樹脂は、酸成分と、アルコール成分として少なくともビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物およびエチレングリコールとを原料として用いて製造される。
酸成分としては、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。以下、2価のカルボン酸および3価以上のカルボン酸を総称して、「多価カルボン酸」ともいう。
2価のカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸の異性体(具体的には1,4−、1,5−、1,6−、1,7−、2,5−、2,6−、2,7−、2,8−)、およびこれらの低級アルキルエステル;コハク酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、フランジカルボン酸、およびこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル、ジエチルエステルや、これらの酸無水物;フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、およびこれらのエステル誘導体;アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、およびこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
テレフタル酸、イソフタル酸の低級アルキルエステルの例としては、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、テレフタル酸ジブチル、イソフタル酸ジブチルなどが挙げられる。
これらのうち、2価のカルボン酸としては、トナーの保存性、ハンドリング性およびコストに優れる点で、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、反応性に優れる点で、イソフタル酸がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、後述の3価以上のカルボン酸と併用してもよい。
これらのうち、3価以上のカルボン酸としては、ハンドリング性およびコストに優れる点で、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸無水物が好ましい。
アルコール成分としては、少なくともビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物およびエチレングリコールを用いる。以下、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、エチレングリコール、およびこれら以外の2価以上のアルコールを総称して、「多価アルコール」ともいう。
エチレングリコールはVOCに該当する。そのため、アルコール成分としてエチレングリコールのみを用いるとポリエステル樹脂の生産性には優れるが、TVOCの高いポリエステル樹脂が得られやすい。
しかし、本発明であれば、アルコール成分としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を併用するので、ポリエステル樹脂のTVOCを低減できる。
R1およびR2はそれぞれ同一または異なって、炭素数2または3のアルキレン基である。
xおよびyは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す数であり、x、yともに1以上である。また、x+y=2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
他の多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、D−イソソルバイド、L−イソソルバイド、イソマンニド、エリスリタン、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン等の2価のアルコール;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサテトラロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、グリセリン等の3価のアルコールなどが挙げられる。これらのうち、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールが好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
1価のカルボン酸としては、例えば、安息香酸、p−メチル安息香酸等の炭素数30以下の芳香族カルボン酸;ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数30以下の脂肪族カルボン酸;桂皮酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和二重結合を分子内に1つ以上有する不飽和カルボン酸などが挙げられる。
1価のアルコールとしては、例えば、ベンジルアルコール等の炭素数30以下の芳香族アルコール;オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の炭素数30以下の脂肪族アルコールなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限されず、公知のポリエステル樹脂の製造方法を用いて製造することができる。例えば、酸成分およびアルコール成分等を含む単量体混合物を反応容器に投入し、加熱昇温して、エステル化反応またはエステル交換反応を行い、反応で生じた水またはアルコールを除去する。その後引き続き重縮合反応を実施するが、このとき反応装置内を徐々に減圧し、150mmHg(20kPa)以下、好ましくは15mmHg(2kPa)以下の真空下でジオール成分を留出除去させながら重縮合を行う。
アルコキシ基を有するチタンアルコキシド化合物としては、例えばテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラペントキシチタン、テトラオクトキシチタンなどが挙げられる。
カルボン酸チタン化合物としては、例えば蟻酸チタン、酢酸チタン、プロピオン酸チタン、オクタン酸チタン、シュウ酸チタン、コハク酸チタン、マレイン酸チタン、アジピン酸チタン、セバシン酸チタン、ヘキサントリカルボン酸チタン、イソオクタントリカルボン酸チタン、オクタンテトラカルボン酸チタン、デカンテトラカルボン酸チタン、安息香酸チタン、フタル酸チタン、テレフタル酸チタン、イソフタル酸チタン、1,3−ナフタレンジカルボン酸チタン、4,4−ビフェニルジカルボン酸チタン、2,5−トルエンジカルボン酸チタン、アントラセンジカルボン酸チタン、トリメリット酸チタン、2,4,6−ナフタレントリカルボン酸チタン、ピロメリット酸チタン、2,3,4,6−ナフタレンテトラカルボン酸チタンなどが挙げられる。これらのうち、テトラブトキシチタンが好ましい。
チタン系触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
得られるポリエステル樹脂の物性面を考慮しても、上記の比率範囲で酸成分とアルコール成分とを組み合わせることが好ましい。
なお、モル比率とは、アルコール成分/酸成分で表されるモル比率である。
条件(a):チタン系触媒の存在下で得られた重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。
条件(b):酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が30モル部以下であり、テレフタル酸由来の構単位が70モル部以下である。
条件(c):酸成分に由来するカルボキシ基の数とアルコール成分に由来する水酸基の数との比率(水酸基/カルボキシ基)が1.09以下である単量体混合物の重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。
前記条件(a)、(b)、(c)はいずれも、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の使用量を所定の量以下とし、かつVOCに該当する成分であるエチレングリコールを未反応の状態でポリエステル樹脂中に残存させ難くするための各要件を示したものである。ポリエステル樹脂が前記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たせば、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成成分が少ないにも関わらず、TVOCをより低下させる(具体的には、TVOCを380ppm以下とする)ことができ、かつ人体への健康面にも十分に配慮されたものとなる。
条件(a)は、チタン系触媒の存在下で得られた重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。
条件(a)において、重縮合物はチタン系触媒の存在下で単量体混合物を重縮合させてなるものでる。重縮合の際にチタン系触媒を用いると、酸成分とアルコール成分との反応性が良好となる。その結果、アルコール成分としてエチレングリコールを多く使用してもエチレングリコールが十分に多価カルボン酸と反応し、未反応のエチレングリコールの割合が少なくなるため、TVOCがより低下する傾向になる。
条件(b)は、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が30モル部以下であり、テレフタル酸由来の構成単位が70モル部以下である。
多価カルボン酸の中でもテレフタル酸は反応性に劣る。多価カルボン酸としてテレフタル酸の量を70モル部以下にすることで反応性が高められ、ポリエステル樹脂のTVOCを低減できる。テレフタル酸以外の多価カルボン酸としては、反応性、性能面を勘案し、イソフタル酸、トリメリット酸およびその無水物が好ましい。
条件(c)は、酸成分に由来するカルボキシ基の数とアルコール成分に由来する水酸基の数との比率(水酸基/カルボキシ基)が1.09以下である単量体混合物の重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。
上述したように、エチレングリコールはVOCに該当する成分であるため、TVOCの低減には未反応のエチレングリコールを残存し難くすることが重要である。ポリエステル樹脂が、酸成分とアルコール成分とを、前記比率(水酸基/カルボキシ基)が1.09以下となるように含む単量体混合物の重縮合物であれば、水酸基の余剰が少なくなるため、未反応のエチレングリコールを残存し難くすることができ、TVOCを低下させることができる。
また、重縮合工程の時間(重縮合反応時間および取り出し時間の合計)が短いほど、ポリエステル樹脂の分解や、臭気の要因となる揮発分の副生成を抑制できる傾向にある。
離型剤としては、後述する他の成分として挙げるものと同様のものが挙げられ、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重縮合時における離型剤の添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜設定できる。
ただし、TVOCを低減する観点では、離型剤を用いずに重縮合する方が有利である。
ポリエステル樹脂のTVOCは、380ppm以下であり、330ppm以下が好ましく、300ppm以下がより好ましい。ポリエステル樹脂等の結着樹脂は、通常、トナー中に90質量%以下程度含まれる。ポリエステル樹脂のTVOCが380ppm以下であれば、該ポリエステル樹脂を含有するトナーのTVOCは、概ね300ppm以下となるので、TVOCが十分に低減されたトナーが得られる。
ポリエステル樹脂のTVOCは、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて測定することができる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、以下のようにして求める。すなわち、示差走差熱量計を用い、昇温速度5℃/分で測定したときのチャートの低温側のベースラインと、ガラス転移温度近傍にある吸熱カーブの接線との交点の温度を求め、これをTgとする。
ポリエステル樹脂の軟化温度は、フローテスターを用いて測定することができる。
ポリエステル樹脂の酸価とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものである。
本発明のポリエステル樹脂は、特定量の酸成分とアルコール成分とを含む単量体混合物の重縮合物であり、モノマー成分(多価アルコール)としてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物およびエチレングリコールを用い、TVOCが380ppm以下となるように製造されたものである。よって、本発明のポリエステル樹脂は、TVOCが十分に低減されている。
しかも、本発明のポリエステル樹脂であれば、従来のように樹脂の製造において重合後に揮発成分を留去したり、樹脂の製造時の減圧反応時間を長くして残留モノマーを除去したりする必要がなく、また反応性の高いエチレングリコールを用いているので、生産性が高い。
特に、ポリエステル樹脂が、前記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たせば、人体の健康面にも十分に配慮されたものとなる。
本発明のポリエステル樹脂は、トナー用のバインダー樹脂として好適であり、本発明のポリエステル樹脂を用いれば、TVOCが十分に低減されたトナーを得ることができる。
本発明のトナーは、上述した本発明のトナー用ポリエステル樹脂を含む。
本発明のポリエステル樹脂の含有量は、トナー100質量%中、5〜90質量%が好ましい。
トナーをカラートナーとして用いる場合、イエロー系着色剤としてはベンジジンイエロー、モノアゾ系染顔料、縮合アゾ系染顔料などが挙げられ、マゼンタ系着色剤としてはキナクリドン、ローダミン系染顔料、モノアゾ系染顔料などが挙げられ、シアン系着色剤としてはフタロシアニンブルーなどが挙げられる。
着色剤の含有量は特に制限されないが、トナーの色調や画像濃度、熱特性に優れる点から、トナー100質量%中、2〜10質量%が好ましい。
トナーをカラートナーとして用いる場合、荷電制御剤としては無色ないし淡色で、トナーへの色調障害が少ないものが適しており、このような荷電制御剤としては、例えばサリチル酸またはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等との金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物などが挙げられる。さらに、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、スルホン酸基を有するビニル重合体を荷電制御剤として用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、トナー100質量%中、0.5〜5質量%が好ましい。荷電制御剤の含有量が0.5質量%以上であればトナーの帯電量が十分なレベルとなる傾向にあり、5質量%以下であれば荷電制御剤の凝集による帯電量の低下が抑制される傾向にある。
離型剤の融点は、上記トナー性能を考慮して適宜決定すればよい。
離型剤の含有量は特に制限されないが、上記のトナー性能を左右することから、トナー100質量%中、0.3〜15質量%が好ましい。離型剤の含有量の下限値は、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。また、離型剤の含有量の上限値は、13質量%以下がより好ましく、12質量%以下が特に好ましい。
これらの添加剤の含有量は、トナー100質量%中、0.05〜10質量%が好ましい。これらの添加剤の含有量が0.05質量%以上であればトナーの性能改質効果が十分に得られる傾向にあり、10質量%以下であればトナーの画像安定性が良好となる傾向にある。
磁性体の含有量は特に制限されないが、トナーの粉砕性に大きく影響を与えるため、トナー100質量中、3〜70質量%が好ましい。磁性体の含有量が3質量%以上であればトナーの帯電量が十分なレベルとなる傾向にあり、70質量%以下であればトナーの定着性や粉砕性が良好となる傾向にある。磁性体の含有量の上限値は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
キャリアとしては、例えば鉄粉、マグネタイト粉、フェライト粉等の磁性物質、それらの表面に樹脂コーティングを施したもの、磁性キャリアなどが挙げられる。樹脂コーティングキャリアのための被覆樹脂としては、例えばスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル共重合系樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、それらの樹脂の混合物などが挙げられる。
キャリアの使用量は、トナー100質量部に対して、500〜3000質量部が好ましい。キャリアの使用量が500質量部以上であればかぶり等が発生しにくくなる傾向にあり、3000質量部以下であれば定着画像の濃度が十分なものとなる傾向にある。
本実施例で示されるポリエステル樹脂の評価方法は以下の通りである。
<ガラス転移温度(Tg)の測定>
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、示差走差熱量計(島津製作所社製、「DSC−60」)を用いて、昇温速度5℃/minにおけるチャートのベースラインと吸熱カーブの接線との交点から測定した。測定試料は10mg±0.5mgをアルミパン内に計量し、ガラス転移温度以上の100℃で10分融解後、ドライアイスを用いて急冷却処理したサンプルを用いて行った。
ポリエステル樹脂の軟化温度は、フローテスター(島津製作所社製、「CFT−500D」)を用いて、1mmφ×10mmのノズル、荷重294N、昇温速度3℃/minの等速昇温下で、樹脂サンプル1.0g中の1/2量が流出したときの温度を測定し、これを軟化温度とした。
ポリエステル樹脂の酸価は、以下のようにして測定した。
測定サンプル約0.2gを枝付き三角フラスコ内に精秤し(a(g))、ベンジルアルコール20mLを加え、窒素雰囲気下として230℃のヒーターにて15分加熱し測定サンプルを溶解した。室温まで放冷後、クロロホルム20mL、クレゾールレッド溶液数滴を加え、0.02規定のKOH溶液にて滴定した(滴定量=b(mL)、KOH溶液の力価=p)。ブランク測定を同様に行い(滴定量=c(mL))、以下の式に従って酸価を算出した。
酸価(mgKOH/g)={(b−c)×0.02×56.11×p}/a
ポリエステル樹脂のTVOCは、以下のようにして測定した。
測定サンプル約10mg(9.9mg以上、10.1mg未満)を精秤し、測定サンプルから揮発成分を加熱脱着装置内で130℃にて10分間加熱抽出した後、冷却モジュールにてトラップ(濃縮)した。次いで、急速加熱した後、GC−MSに供試し、TVOCを定量した。測定装置、測定条件、定量方法は以下の通りである。
・加熱脱着装置:ゲステル株式会社製、「加熱脱着導入システム TDS A/TDS 2/CIS 4」
・GC−MS:アジレント・テクノロジー株式会社製、「GC/MS 6890N/5975」
・試料加熱温度:50℃(0.5min)→50℃/min→130℃(10min)
・クライオフォーカスおよび急速加熱条件:−30℃(0.5min)→12℃/sec→130℃(10min)
・インターフェイス:130℃
・キャリアガス:ヘリウム
・Desorpthopn Mode:スプリットレス
・カラム:フロンティア・ラボ株式会社製、「UA−5(30min×0.25mmI.D.膜厚0.25μm)
・カラム温度:35℃(3min)→10℃/min→330℃(7min)
・キャリアガス:ヘリウム(流量1.0ml/min)
・注入口モード:ソルベントベント(ベント流量50ml/min、スプリットベントライン流量30min/minで0.02minかけて注入した。)
・トランスファーライン温度:280℃
・イオン化法:EI
・イオン化電圧:70V
・イオン化電流:300μA
・スキャンレンジ:29〜550amu
得られたクロマトグラムにおいて、n−ヘキサンおよびn−ヘキサデカンのピーク溶出時間の間に検出される成分について、エチレングリコール(EG)を除く各成分のピーク面積総和を、予め作成しておいたトルエン溶液(1000ppm、上記GC条件およびMS条件にて、注入量1μl)の測定結果(ピーク面積)より、トルエン換算濃度として算出した。
EGについては、EGのピーク面積を、予め作成しておいたEG溶液(1000ppm、上記GC条件およびMS条件にて、注入量1μl)の測定結果(ピーク面積)より、EG濃度として算出した。
EGを除く各成分の面積総和の濃度と、EGの濃度の和の値をTVOCとした。
表1に示す仕込み組成の酸成分と、アルコール成分と、重合触媒とを、蒸留塔備え付けの反応容器に投入した。なお、重合触媒の量は、酸成分に対する量(ppm)である。
次いで、反応容器中の撹拌翼の回転数を120rpmに保ち、昇温を開始し、反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持してエステル化反応を行った。反応系からの水の留出がなくなりエステル化反応が終了した後、反応系内の温度を下げて240℃に保ち、反応容器内を約40分かけて減圧し、真空度を133Paとし、反応系からアルコール成分を留出させながら重縮合反応を行った。
反応とともに反応系の粘度が上昇し、粘度上昇とともに真空度を上昇させ、撹拌翼のトルクが所望の軟化温度を示す値となるまで縮合反応を実施した。そして、所定のトルクを示した時点で撹拌を停止し、反応系を常圧に戻し、窒素により加圧して反応物を反応容器から取り出し(吐出し)、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の物性(ガラス転移温度、軟化温度、酸価、TVOC)を測定した。これらの結果を表1に示す。
・ジオールA:ビスフェノールAのプロピレンオキサイド誘導体(ポリオキシプロピレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(PO2.3モル付加体))
・ジオールB:ビスフェノールAのエチレンオキサイド誘導体(ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、(EO2.3モル付加体))
表1の結果から明らかなように、実施例1〜5で得られたポリエステル樹脂は、比較例1、2で得られたポリエステル樹脂に比べてTVOCが低かった。
比較例1は、酸成分100モル部に対するビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位を56モル部含んでいるにも関わらず、VOC低減への配慮が十分でないため、TVOCが高い結果であった。
実施例5と比較例2の比較により、ポリエステル樹脂が、酸成分に由来するカルボキシ基の数とアルコール成分に由来する水酸基の数との比率(水酸基/カルボキシ基)が1.09以下となる比率で酸成分とアルコール成分とを混合した単量体混合物の重縮合物であると、TVOCが低減する傾向にあることが示された。
Claims (3)
- 酸成分と、酸成分100モル部に対して90〜150モル部のアルコール成分とを含む単量体混合物の重縮合物であるトナー用ポリエステル樹脂であって、
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位、およびエチレングリコール由来の構成単位を含み、揮発性有機化合物の総量が380ppm以下である、トナー用ポリエステル樹脂。 - 下記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たす、請求項1に記載のトナー用ポリエステル樹脂。
条件(a):チタン系触媒の存在下で得られた重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。トナー用ポリエステル樹脂。
条件(b):酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が30モル部以下であり、テレフタル酸由来の構成単位が70モル部以下である。
条件(c):酸成分に由来するカルボキシ基の数とアルコール成分に由来する水酸基の数との比率(水酸基/カルボキシ基)が1.09以下である単量体混合物の重縮合物であり、酸成分100モル部に対して、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物由来の構成単位が45モル部以下である。 - 請求項1または2に記載のトナー用ポリエステル樹脂を含有する、トナー。
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