JP2016222835A - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、および、成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性および電気絶縁性に優れる成形品を得ることができる樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法、および、樹脂組成物を成形して得られる成形品を提供すること。
【解決手段】樹脂組成物に、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを含有させる。また、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを、80℃以上180℃以下において混練することにより、樹脂組成物を製造する。また、その樹脂組成物を成形して成形品を得る。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂組成物に、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを含有させる。また、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを、80℃以上180℃以下において混練することにより、樹脂組成物を製造する。また、その樹脂組成物を成形して成形品を得る。
【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、および、成形品に関し、詳しくは、熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法、および、樹脂組成物を成形して得られる成形品に関する。
従来より、熱硬化性樹脂は、例えば、電気部品、自動車部品、建築材料、日用品などの各種産業分野において広く用いられている。
このような熱硬化性樹脂としては、その用途に応じて、例えば、成形品の機械物性(強度など)、耐熱性、電気絶縁性など、各種物性の向上が要求されており、要求される物性を満足するため、各種添加剤を熱硬化性樹脂に添加することが検討されている。
また、熱硬化性樹脂に添加される添加剤としては、近年、環境保全の観点から、植物由来の材料の有効利用が要求されており、具体的には、例えば、熱硬化性樹脂と草本系リグニンとを含有するリグニン添加熱硬化性樹脂が、提案されている(特許文献1参照)。
しかし、上記のリグニン添加熱硬化性樹脂では、耐熱性および電気絶縁性が十分ではない場合がある。
そこで、本発明の目的は、耐熱性および電気絶縁性に優れる成形品を得ることができる樹脂組成物、その樹脂組成物の製造方法、および、樹脂組成物を成形して得られる成形品を提供することにある。
本発明は、
[1] 熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを含有することを特徴とする、樹脂組成物、
[2] カルボン酸およびフェノール類により変性された前記リグニンが、カルボン酸により変性されたリグニンと、フェノール類との反応生成物である、上記[1]に記載の樹脂組成物、
[3] カルボン酸により変性された前記リグニンと、前記フェノール類との反応において、前記フェノール類の配合割合が、カルボン酸により変性された前記リグニン100質量部に対して、30質量部以上1000質量部以下である、上記[2]に記載の樹脂組成物、
[4] 前記カルボン酸が、酢酸である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
[5] 前記リグニンが、草本系植物由来リグニンである、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
[6] 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
[7] 熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを、80℃以上180℃以下において混練することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法、
[8]
上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする、成形品
である。
[1] 熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを含有することを特徴とする、樹脂組成物、
[2] カルボン酸およびフェノール類により変性された前記リグニンが、カルボン酸により変性されたリグニンと、フェノール類との反応生成物である、上記[1]に記載の樹脂組成物、
[3] カルボン酸により変性された前記リグニンと、前記フェノール類との反応において、前記フェノール類の配合割合が、カルボン酸により変性された前記リグニン100質量部に対して、30質量部以上1000質量部以下である、上記[2]に記載の樹脂組成物、
[4] 前記カルボン酸が、酢酸である、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
[5] 前記リグニンが、草本系植物由来リグニンである、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
[6] 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物、
[7] 熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを、80℃以上180℃以下において混練することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法、
[8]
上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする、成形品
である。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを含有しているため、耐熱性および電気絶縁性に優れる成形品を得ることができる。また、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンは、取扱性に優れるため、本発明の樹脂組成物は、簡易かつ作業性よく得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物の製造方法によれば、本発明の樹脂組成物を、簡易に製造することができる。
また、本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物を成形して得られるため、耐熱性および電気絶縁性に優れる。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニン(以下、カルボン酸−フェノール変性リグニンと称する場合がある。)とを含有している。
熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、公知の熱硬化性樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、フェノール樹脂(ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂など)、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。
これら熱硬化性樹脂は、単独使用または2種類以上併用することができる。
熱硬化性樹脂として、好ましくは、フェノール樹脂が挙げられ、好ましくは、ノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
また、樹脂組成物には、熱硬化性樹脂の種類に応じて、硬化剤を配合することができる。より具体的には、例えば、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂が用いられる場合、樹脂組成物には、フェノール樹脂硬化剤を配合することができる。
フェノール樹脂硬化剤としては、特に制限されず、公知の硬化剤を用いることができる。具体的には、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、メチロールメラミン、メチロール尿素などが挙げられる。
これらフェノール樹脂硬化剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
フェノール樹脂硬化剤として、好ましくは、ヘキサメチレンテトラミンが挙げられる。
フェノール樹脂硬化剤の配合割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
カルボン酸−フェノール変性リグニンは、例えば、カルボン酸により変性されたリグニン(以下、カルボン酸変性リグニンと称する場合がある。)と、フェノール類との反応により、得ることができる。
カルボン酸変性リグニンにおいて、カルボン酸としては、例えば、カルボキシ基を1つ有するカルボン酸(以下、単官能カルボン酸と称する場合がある。)が挙げられ、具体的には、例えば、飽和脂肪族単官能カルボン酸、不飽和脂肪族単官能カルボン酸、芳香族単官能カルボン酸などが挙げられる。
飽和脂肪族単官能カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸などが挙げられる。
不飽和脂肪族単官能カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、リノール酸などが挙げられる。
芳香族単官能カルボン酸としては、例えば、安息香酸、2−フェノキシ安息香酸、4−メチル安息香酸などが挙げられる。
これらカルボン酸は、単独使用または2種類以上併用することができる。
カルボン酸として、好ましくは、飽和脂肪族単官能カルボン酸、より好ましくは、酢酸が挙げられる。上記のカルボン酸を用いれば、カルボン酸変性リグニンを簡易に得ることができ、また、得られるカルボン酸変性リグニンは、後述するように、有機溶媒に対する溶解性が比較的高く、また、溶融温度が比較的低温(100〜200℃程度)であるため、取扱性にも優れる。
リグニンは、グアイアシルリグニン(G型)、シリンギルリグニン(S型)、p−ヒドロキシフェニルリグニン(H型)などの基本骨格からなる高分子フェノール性化合物であって、植物全般に含まれている。このような天然リグニンを工業的に取り出したものとしては、例えば、植物原料からパルプをソーダ法、亜硫酸法、クラフト法などによって製造する際、排出される廃液(黒液)中に含まれるソーダリグニン、サルファイトリグニン、クラフトリグニンなどが知られている。
リグニンとして、具体的には、木本系植物由来リグニン、草本系植物由来リグニンが挙げられる。
木本系植物由来リグニンとしては、例えば、針葉樹(例えば、スギなど)に含まれる針葉樹系リグニン、例えば、広葉樹に含まれる広葉樹系リグニンなどが挙げられる。このような木本系植物由来リグニンは、H型を基本骨格とするリグニンを含まず、例えば、針葉樹系リグニンはG型を基本骨格とし、広葉樹系リグニンは、G型およびS型を基本骨格としている。
草本系植物由来リグニンとしては、例えば、イネ科植物(麦わら、稲わら、とうもろこし、タケなど)に含まれるイネ系リグニンなどが挙げられる。このような草本系植物由来リグニンは、H型、G型およびS型の全てを基本骨格としている。
これらのリグニンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
リグニンとして、好ましくは、草本系植物由来リグニン、より好ましくは、コーンストーバー(とうもろこしの芯、茎、葉など)に由来する草本系植物由来リグニンが挙げられる。
また、リグニンとして、好ましくは、反応性の観点から、H型の基本骨格を3質量%以上、より好ましくは、9質量%以上、さらに好ましくは、14質量%以上の割合で含有することが挙げられる。
カルボン酸変性リグニンの製造方法は、特に制限されず、公知の方法に準拠することができる。
具体的には、例えば、リグニンの原料となる植物材料(例えば、針葉樹、広葉樹、イネ科植物など)を、カルボン酸(好ましくは、酢酸)を用いて蒸解することによって、パルプ廃液としてカルボン酸変性リグニンを得ることができる。
蒸解方法としては、特に制限されないが、例えば、リグニンの原料となる植物材料と、カルボン酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸など)とを混合し、反応させる。
カルボン酸の配合割合は、リグニンの原料となる植物材料100質量部に対して、カルボン酸(100%換算)が、例えば、500質量部以上、好ましくは、900質量部以上であり、例えば、30000質量部以下、好ましくは、15000質量部以下である。
また、無機酸の配合割合は、リグニンの原料となる植物材料100質量部に対して、無機酸(100%換算)が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応条件としては、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、400℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
このような蒸解によって、パルプが得られるとともに、パルプ廃液としてカルボン酸変性リグニンが得られる。
次いで、この方法では、濾過などの公知の分離方法によってパルプを分離し、濾液(パルプ廃液)を回収し、必要により、未反応のカルボン酸を、例えば、ロータリーエバポレーター、減圧蒸留などを用いた公知の方法により除去(留去)する。その後、大過剰の水を添加してカルボン酸変性リグニンを沈殿させ、濾過することによって、固形分としてカルボン酸変性リグニンを回収する。
また、カルボン酸変性リグニンを得る方法は、上記に限定されず、例えば、カルボン酸により変性されていないリグニン(以下、未変性リグニン)とカルボン酸とを反応させることにより、カルボン酸変性リグニンを得ることもできる。
このような方法では、未変性リグニンとして、好ましくは、粉末状の未変性リグニンが挙げられる。
粉末状の未変性リグニンの平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
平均粒子径が上記範囲であれば、未変性リグニンの凝集を抑制して、未変性リグニンをカルボン酸に対して良好に分散することができる。
なお、粉末状の未変性リグニンは、塊状の未変性リグニンを公知の方法で乾燥および粉砕することにより得ることができ、また、市販品を用いることもできる。
未変性リグニンとカルボン酸とを反応させる方法としては、例えば、未変性リグニンと、カルボン酸および無機酸(例えば、塩酸、硫酸など)とを混合し、反応させる。
カルボン酸の配合割合は、未変性リグニン100質量部に対して、カルボン酸(100%換算)が、例えば、300質量部以上、好ましくは、500質量部以上であり、例えば、15000質量部以下、好ましくは、10000質量部以下である。
また、無機酸の配合割合は、未変性リグニン100質量部に対して、無機酸(100%換算)が、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、反応条件としては、反応温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上であり、例えば、400℃以下、好ましくは、250℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
このようなカルボン酸変性リグニンは、取扱性に優れる。
すなわち、カルボン酸により変性されていないリグニンは、有機溶媒に対する溶解性が比較的低く、また、溶融しないため、用途によっては、取扱性に劣る場合がある。
一方、上記のようにカルボン酸により変性されたリグニンは、有機溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、メタノールなどの脂肪族アルコール類、例えば、フェノール、クレゾール、ビスフェノールAなどのフェノール類、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、例えば、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのグリコールエーテルエステル類、例えば、アセトニトリルなどのニトリル類、その他、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミドなどの極性溶媒など)に対する溶解性が比較的高く、溶融温度が比較的低温(100〜200℃程度)において溶融可能であるため、取扱性に優れる。
そのため、カルボン酸変性リグニンは、上記の有機溶媒の溶液として用いることもできる。そのような場合、溶液におけるカルボン酸変性リグニンの濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、100質量%未満、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下である。
また、カルボン酸変性リグニンは、上記の有機溶媒(好ましくは、酢酸エチル)により溶解可能な成分(可溶成分)と、上記の有機溶媒によって溶解不能な成分(不溶成分)との混合物として得られる場合がある。
このような場合、カルボン酸変性リグニンとして、可溶成分と不溶成分との混合物(粗カルボン酸変性リグニンと称する。)を用いることができる。
また、可溶成分と不溶成分とを分離して、可溶成分のみを用いることもでき、また、不溶成分のみを用いることもできる。さらには、分離された可溶成分と不溶成分とを、混合して用いることもできる。
可溶成分と不溶成分とを分離する方法としては、例えば、上記した有機溶媒による抽出法などが採用される。
なお、抽出条件としては、特に制限されないが、抽出温度が、例えば、室温(例えば、25℃)である。
また、カルボン酸変性リグニンの平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、例えば、2cm以下、好ましくは、1cm以下である。
カルボン酸−フェノール変性リグニンにおいて、フェノール類は、フェノールおよびその誘導体であって、例えば、フェノール、さらには、例えば、o−クレゾール、p−クレゾール、p−ter−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、2,4−または2,6−キシレノールなどの2官能性フェノール誘導体、例えば、m−クレゾール、レゾルシノール、3,5−キシレノールなどの3官能性フェノール誘導体、例えば、ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルメタンなどの4官能性フェノール誘導体などが挙げられる。また、例えば、塩素、臭素などのハロゲンにより置換されたハロゲン化フェノール類なども挙げられる。これらフェノール類は、単独使用または2種類以上併用することができる。
フェノール類として、好ましくは、フェノールが挙げられる。
カルボン酸変性リグニンとフェノール類との反応において、フェノール類の配合割合は、カルボン酸変性リグニン100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、例えば、1000質量部以下、好ましくは、500質量部以下である。
また、この反応では、酸触媒が添加される。すなわち、上記の各成分は、酸触媒下において反応する。
酸触媒としては、例えば、有機酸、無機酸などが挙げられる。
有機酸としては、例えば、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、キュメンスルホン酸、ジノニルナフタレンモノスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などのスルホン酸化合物、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸モノブチル、リン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有するリン酸エステル類、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸などが挙げられる。
無機酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
これら酸触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
酸触媒として、好ましくは、無機酸、より好ましくは、硫酸が挙げられる。
酸触媒の配合割合は、フェノール類100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上であり、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
なお、酸触媒の添加のタイミングは、特に制限されず、カルボン酸変性リグニンおよびフェノール類の少なくともいずれかに予め添加されていてもよく、また、カルボン酸変性リグニンおよびフェノール類の配合時に同時に添加されてもよく、さらに、カルボン酸変性リグニンおよびフェノール類の配合後に添加されてもよい。
反応条件としては、大気圧下、反応温度が、例えば、60℃以上、好ましくは、80℃以上であり、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。また、反応時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1時間以上であり、例えば、10時間以下、好ましくは、5時間以下である。
これにより、カルボン酸変性リグニンがフェノール類により変性され、カルボン酸−フェノール変性リグニンが得られる。
また、カルボン酸−フェノール変性リグニンを得る方法は、上記に限定されず、例えば、カルボン酸変性リグニンの製造時(例えば、未変性リグニンとカルボン酸との反応時)に、フェノール類を適宜の割合で添加することもできる。
このような方法では、未変性リグニンが、カルボン酸およびフェノール類により一括変性され、カルボン酸−フェノール変性リグニンが得られる。
さらには、例えば、まず、未変性リグニンをフェノール類で変性することによりフェノール変性リグニンを製造し、その後、得られたフェノール変性リグニンをカルボン酸で変性することにより、カルボン酸−フェノール変性リグニンを得ることもできる。
カルボン酸−フェノール変性リグニンとして、製造効率の観点から、好ましくは、カルボン酸変性リグニンとフェノール類との反応生成物が挙げられる。
また、カルボン酸−フェノール変性リグニンは、上記有機溶媒に溶解可能であるなど、取扱性に優れている。カルボン酸−フェノール変性リグニンが、有機溶媒の溶液として用いられる場合、溶液におけるカルボン酸−フェノール変性リグニンの濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上であり、例えば、100質量%未満、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、80質量%以下である。
樹脂組成物において、熱硬化性樹脂とカルボン酸−フェノール変性リグニンとの配合割合は、詳しくは後述するが、熱硬化性樹脂100質量部に対して、カルボン酸−フェノール変性リグニン(溶媒に溶解される場合、その固形分(以下同様))が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下、より好ましくは、150質量部以下、さらに好ましくは、125質量部以下である。
また、樹脂組成物は、さらに、添加剤を含有することができる。
添加剤としては、熱硬化性樹脂組成物に添加される公知の添加剤、例えば、充填剤(木粉、パルプ、ガラス繊維など)、着色剤、可塑剤、安定剤、離型剤(ステアリン酸亜鉛などの金属石鹸など)などが挙げられる。
これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
添加剤として、好ましくは、充填剤が挙げられ、より好ましくは、木粉、ガラス繊維が挙げられ、さらに好ましくは、木粉が挙げられる。
また、添加剤の含有量は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、目的および用途に応じて、適宜設定される。
例えば、充填剤が添加される場合には、その配合割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、充填剤が、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下、より好ましくは、150質量部以下、さらに好ましくは、125質量部以下である。
また、添加剤は、熱硬化性樹脂および/またはカルボン酸−フェノール変性リグニンに予め添加されていてもよく、熱硬化性樹脂とカルボン酸−フェノール変性リグニンとの配合時に同時に添加されてもよく、熱硬化性樹脂とカルボン酸−フェノール変性リグニンとの混合物に添加されてもよい。
そして、樹脂組成物を製造するには、例えば、熱硬化性樹脂およびカルボン酸−フェノール変性リグニン(さらに、必要により添加剤)を配合および混練すればよい。
熱硬化性樹脂とカルボン酸−フェノール変性リグニンとの配合割合は、熱硬化性樹脂100質量部に対して、カルボン酸−フェノール変性リグニンが、例えば、10質量部以上、好ましくは、20質量部以上であり、例えば、300質量部以下、好ましくは、200質量部以下、より好ましくは、150質量部以下、さらに好ましくは、125質量部以下である。
熱硬化性樹脂とカルボン酸−フェノール変性リグニンとの配合割合が上記範囲であれば、粘度の上昇を抑制するとともに、優れた成形性を確保することができ、さらに、得られる成形品の耐熱性および電気絶縁性の向上を図ることができる。
とりわけ、成形品の耐熱性の向上を図る観点から、より好ましくは、熱硬化性樹脂100質量部に対して、カルボン酸−フェノール変性リグニンが、70質量部以上、さらに好ましくは、75質量部以上、とりわけ好ましくは、80質量部以上であり、より好ましくは、150質量部以下、さらに好ましくは、125質量部以下、とりわけ好ましくは、110質量部以下である。
また、成形品の電気絶縁性の向上を図る観点から、より好ましくは、熱硬化性樹脂100質量部に対して、カルボン酸−フェノール変性リグニンが、100質量部を超過し、さらに好ましくは、150質量部以上、とりわけ好ましくは、180質量部以上であり、より好ましくは、300質量部以下、さらに好ましくは、250質量部以下、とりわけ好ましくは、220質量部以下である。
また、熱硬化性樹脂とカルボン酸−フェノール変性リグニンとの配合割合を調整することにより、さらに、成形品の機械強度および耐水性の向上を図ることができる。
成形品の機械強度および耐水性の向上を図る観点から、好ましくは、熱硬化性樹脂100質量部に対して、カルボン酸−フェノール変性リグニンが、30質量部以上、より好ましくは、40質量部以上であり、好ましくは、100質量部未満、より好ましくは、80質量部以下、さらに好ましくは、70質量部以下である。
また、混練方法としては、特に制限されず、例えば、単軸押出機、多軸押出機、ロール混練機、ニーダー、ヘンシエルミキサー、バンバリーミキサーなどの公知の混練機を用いることができる。
混練条件としては、混練温度が、80℃以上、好ましくは、90℃以上、より好ましくは、100℃以上であり、180℃以下、好ましくは、170℃以下、より好ましくは、160℃以下である。また、混練時間が、例えば、3分以上、好ましくは、5分以上であり、例えば、30分以下、好ましくは、20分以下である。
このようにして得られる樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンとを含有しているため、耐熱性および電気絶縁性に優れる成形品を得ることができる。また、カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンは、取扱性に優れるため、上記の樹脂組成物は、簡易かつ作業性よく得ることができる。
また、上記の樹脂組成物の製造方法によれば、上記の樹脂組成物を簡易に製造することができる。
そして、このような樹脂組成物は、本発明の成形品の製造に用いられる。
より具体的には、上記の樹脂組成物を、例えば、トランスファ成形、圧縮成形などの公知の熱硬化性樹脂の成形方法によって成形することにより、成形品を得ることができる。
このような成形品は、上記の樹脂組成物を成形して得られるため、耐熱性および電気絶縁性に優れる。また、樹脂組成物に応じて、機械物性、耐水性にも優れる。
そのため、得られる成形品は、電気部品、自動車部品、建築材料、日用品などの各種産業分野において、広範に用いることができる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
製造例1
コーンストーバー100質量部を、95質量%の酢酸1000質量部および硫酸3質量部と混合し、還流下において4時間反応させた。反応後、濾過してパルプを除去し、パルプ廃液を回収した。次いで、ロータリーエバポレーターを用いてパルプ廃液中の酢酸を除去し、体積が1/10になるまで濃縮した後、その濃縮液の10倍量(質量基準)の水を添加し、濾過することにより、固形分として酢酸変性リグニン(粗酢酸変性リグニン)を得た。
コーンストーバー100質量部を、95質量%の酢酸1000質量部および硫酸3質量部と混合し、還流下において4時間反応させた。反応後、濾過してパルプを除去し、パルプ廃液を回収した。次いで、ロータリーエバポレーターを用いてパルプ廃液中の酢酸を除去し、体積が1/10になるまで濃縮した後、その濃縮液の10倍量(質量基準)の水を添加し、濾過することにより、固形分として酢酸変性リグニン(粗酢酸変性リグニン)を得た。
製造例2
製造例1において得られた酢酸変性リグニン(粗酢酸変性リグニン)を、酢酸エチルに室温(25℃)にて溶解させ、ろ過によりろ液と残渣に分別した。
製造例1において得られた酢酸変性リグニン(粗酢酸変性リグニン)を、酢酸エチルに室温(25℃)にて溶解させ、ろ過によりろ液と残渣に分別した。
得られたろ液に含有される酢酸変性リグニンを、可溶成分(可溶酢酸変性リグニン)とした。ろ液を乾燥させることにより、固形分として、可溶成分(可溶酢酸変性リグニン)を得た。
また、フェノール328.9gをフラスコに入れ、50℃程度まで加熱してフェノールを液化させ、その後、上記の酢酸変性リグニンの可溶成分(可溶酢酸変性リグニン)100gを添加した。
次いで、98%濃硫酸(酸触媒)3gを添加し、その後、130℃、2.5時間反応させた。これにより、可溶酢酸変性リグニンをフェノールにより変性させた。
次いで、得られた生成物を、1kgの水によってpHが6〜7になるまで繰り返し洗浄し、その後、濾紙(Advantec No.101)を用いた吸引濾過によって、可溶酢酸変性リグニンのフェノール変性物(可溶酢酸−フェノール変性リグニン)を取り出した。
製造例3
製造例1において得られた酢酸変性リグニンを、酢酸エチルに室温(25℃)にて溶解させ、ろ過によりろ液と残渣に分別した。
製造例1において得られた酢酸変性リグニンを、酢酸エチルに室温(25℃)にて溶解させ、ろ過によりろ液と残渣に分別した。
得られた残渣を蒸留水で水洗し、再度ろ過して得られた残渣を、不溶成分(不溶酢酸変性リグニン)として得た。
また、フェノール328.9gをフラスコに入れ、50℃程度まで加熱してフェノールを液化させ、その後、上記の酢酸変性リグニンの不溶成分(不溶酢酸変性リグニン)100gを添加した。
次いで、98%濃硫酸(酸触媒)3gを添加し、その後、130℃、2.5時間反応させた。これにより、不溶酢酸変性リグニンをフェノールにより変性させた。
次いで、得られた生成物を、1kgの水によってpHが6〜7になるまで繰り返し洗浄し、その後、濾紙(Advantec No.101)を用いた吸引濾過によって、不溶酢酸変性リグニンのフェノール変性物(不溶酢酸−フェノール変性リグニン)を取り出した。
製造例4
麦わらのアルカリ蒸解パルプ廃液(黒液)を中和した後、濾過することにより、固形分として未変性リグニンを得た。
麦わらのアルカリ蒸解パルプ廃液(黒液)を中和した後、濾過することにより、固形分として未変性リグニンを得た。
<樹脂組成物の製造>
実施例1
ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製)300gと、製造例2で得られた可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gと、充填剤としての木粉(旭有機材工業社製)150gと、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミン(リグナイト社製)54gと、離型剤としてのステアリン酸亜鉛(和光純薬工業社製)4.5gとを順次配合し、2本の熱ロールにて100℃で5分間混練して、樹脂組成物を得た。
実施例1
ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製)300gと、製造例2で得られた可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gと、充填剤としての木粉(旭有機材工業社製)150gと、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミン(リグナイト社製)54gと、離型剤としてのステアリン酸亜鉛(和光純薬工業社製)4.5gとを順次配合し、2本の熱ロールにて100℃で5分間混練して、樹脂組成物を得た。
実施例2
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を225gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を225gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を225gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を225gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例3
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を180gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を270gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を180gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を270gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例4
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を150gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を300gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を150gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を300gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例5
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を112.5gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を337.5gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を112.5gとし、また、可溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を337.5gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例6
製造例2で得られた可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例3で得られた不溶酢酸−フェノール変性リグニン150gを配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
製造例2で得られた可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例3で得られた不溶酢酸−フェノール変性リグニン150gを配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例7
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を225gとし、また、不溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を225gとした以外は、実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を225gとし、また、不溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を225gとした以外は、実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例8
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を200gとし、また、不溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を250gとした以外は、実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
ノボラック型フェノール樹脂の配合量を200gとし、また、不溶酢酸−フェノール変性リグニンの配合量を250gとした以外は、実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例1
製造例2で得られた可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例4で得られた未変性リグニン150gを配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
製造例2で得られた可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例4で得られた未変性リグニン150gを配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例2
可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例2においてフェノールによって変性される前の可溶酢酸変性リグニン(非フェノール変性−可溶酢酸変性リグニン)150gを配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
可溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例2においてフェノールによって変性される前の可溶酢酸変性リグニン(非フェノール変性−可溶酢酸変性リグニン)150gを配合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例3
不溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例3においてフェノールによって変性される前の不溶酢酸変性リグニン(非フェノール変性−不溶酢酸変性リグニン)150gを配合した以外は、実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
不溶酢酸−フェノール変性リグニン150gに代えて、製造例3においてフェノールによって変性される前の不溶酢酸変性リグニン(非フェノール変性−不溶酢酸変性リグニン)150gを配合した以外は、実施例6と同様にして樹脂組成物を得た。
比較例4
ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製)300gと、充填剤としての木粉(旭有機材工業社製)100gと、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミン(リグナイト社製)54gと、離型剤としてのステアリン酸亜鉛(和光純薬工業社製)4.5gとを配合し、2本の熱ロールにて100℃で5分間混練して、樹脂組成物を得た。
<評価>
各実施例および各比較例において得られた樹脂組成物について、170℃において15分間トランスファ成形し、成形品として、曲げ試験用の矩形試験片と、75mmφの円盤形試験片とを得た。
ノボラック型フェノール樹脂(旭有機材工業社製)300gと、充填剤としての木粉(旭有機材工業社製)100gと、硬化剤としてのヘキサメチレンテトラミン(リグナイト社製)54gと、離型剤としてのステアリン酸亜鉛(和光純薬工業社製)4.5gとを配合し、2本の熱ロールにて100℃で5分間混練して、樹脂組成物を得た。
<評価>
各実施例および各比較例において得られた樹脂組成物について、170℃において15分間トランスファ成形し、成形品として、曲げ試験用の矩形試験片と、75mmφの円盤形試験片とを得た。
そして、得られた成形品を、下記の方法により評価した。その結果を、表1〜2に示す。
(1)ガラス転移温度(Tg)
Rheogel−E4000(ユ−ビーエム社製)を用い、固体動的粘弾性を測定した(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)。そして、得られるtanδ曲線のピーク温度を、ガラス転移温度(Tg)として求めた。
(2)曲げ強度
JIS K6911(1995年版)に準拠して、クロスヘッド速度3mm/分、スパン100mmにて曲げ強度を測定した。
(3)荷重たわみ温度
ASTM D648(2004年版)に準拠して、ヒートディストーションテスター(マイズ試験機製)を用い、シリコーンオイル中において、昇温速度2℃/分、荷重18.5kg/cm2の条件で、標準たわみ量(0.25mm)に到達したときの温度を測定した。
(4)体積抵抗率(電気絶縁性)
JIS K6911(1995年版)に従い、HP4339A(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
(5)吸水率
成形品の初期質量(乾燥質量)を測定し、次いで、成形品を沸騰水に2時間浸漬した後、その質量(吸水質量)および増加量を測定し、下記式により、吸水率を求めた。
(1)ガラス転移温度(Tg)
Rheogel−E4000(ユ−ビーエム社製)を用い、固体動的粘弾性を測定した(周波数1Hz、昇温速度2℃/分)。そして、得られるtanδ曲線のピーク温度を、ガラス転移温度(Tg)として求めた。
(2)曲げ強度
JIS K6911(1995年版)に準拠して、クロスヘッド速度3mm/分、スパン100mmにて曲げ強度を測定した。
(3)荷重たわみ温度
ASTM D648(2004年版)に準拠して、ヒートディストーションテスター(マイズ試験機製)を用い、シリコーンオイル中において、昇温速度2℃/分、荷重18.5kg/cm2の条件で、標準たわみ量(0.25mm)に到達したときの温度を測定した。
(4)体積抵抗率(電気絶縁性)
JIS K6911(1995年版)に従い、HP4339A(アジレント・テクノロジー社製)を用いて、体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。
(5)吸水率
成形品の初期質量(乾燥質量)を測定し、次いで、成形品を沸騰水に2時間浸漬した後、その質量(吸水質量)および増加量を測定し、下記式により、吸水率を求めた。
吸水率(質量%)
= 100 × 沸騰水の浸漬後における質量増加量 / 乾燥質量
= 100 × 沸騰水の浸漬後における質量増加量 / 乾燥質量
Claims (8)
- 熱硬化性樹脂と、
カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンと
を含有することを特徴とする、樹脂組成物。 - カルボン酸およびフェノール類により変性された前記リグニンが、
カルボン酸により変性されたリグニンと、フェノール類との反応生成物である、請求項1に記載の樹脂組成物。 - カルボン酸により変性された前記リグニンと、前記フェノール類との反応において、
前記フェノール類の配合割合が、カルボン酸により変性された前記リグニン100質量部に対して、30質量部以上1000質量部以下である、請求項2に記載の樹脂組成物。 - 前記カルボン酸が、酢酸である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記リグニンが、草本系植物由来リグニンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂と、
カルボン酸およびフェノール類により変性されたリグニンと
を、80℃以上180℃以下において混練することを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形して得られることを特徴とする、成形品。
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