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JP2016221427A - 水処理装置の運転方法 - Google Patents

水処理装置の運転方法 Download PDF

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JP2016221427A JP2015108146A JP2015108146A JP2016221427A JP 2016221427 A JP2016221427 A JP 2016221427A JP 2015108146 A JP2015108146 A JP 2015108146A JP 2015108146 A JP2015108146 A JP 2015108146A JP 2016221427 A JP2016221427 A JP 2016221427A
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聖子 間谷
谷口 雅英
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雅英 谷口
世人 伊藤
Yohito Ito
世人 伊藤
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Abstract

【課題】
本発明の目的は、より短期間に、供給水質評価もしくは予測を行い、水処理装置の運転条件決定を行う運転方法を提供すること。
【解決手段】
被処理水を浄化処理する水処理装置の運転を行う際、該水処理装置への供給対象水を、経時的に複数回測定し、得られた測定値に基づいて供給水質を評価もしくは予測し、水処理装置の運転条件を決定することを特徴とする水処理装置の運転方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、被処理水を浄化処理する水処理装置の運転方法に関するものである。
水処理技術は、長年にわたって人類の飲料水などを供給するのに活用され続けている。旧来の技術としては、沈降分離、砂ろ過などが主であるが、近年は、逆浸透膜を初めとする膜ろ過プロセスが、適用拡大してきている。特に、海水の淡水化、産業用水製造などの水処理分野では、大規模、また、多岐にわたって応用され、競合する他の分離操作に比べて、分離性能やエネルギー効率などの点で、優位性が実証されている。これら、水処理プロセスは、被処理水の水質によっては、汚染され、その性能が低下するため、洗浄や交換などによって処理性能を維持管理することが非常に重要になっている。被処理水の水質指標としては、一般的なイオン分析、懸濁物質濃度、有機物濃度などで表現することが一般的であり、これらによって水処理プロセスの選定が出来る場合が少なくない。しかし、バイオファウリングと呼ばれる微生物繁殖による水処理プロセスの汚染は、前述の一般的な水質指標では、判断することが困難である。とくに、逆浸透膜を用いる場合は、バイオファウリングによる被処理水の流路閉塞が顕著であるため、深刻な事態を引き起こす場合が多い。逆浸透膜ろ過プロセスでは、通常、被処理水に含有される懸濁物や有機物などを除去する、前処理が必要とされ、その処理水質指標として、前述の各種水質指標を総合的に評価すべく、SDI(非特許文献1)が一般的に用いられている。この指標は、0.45μmの精密ろ過膜を用いて水質指標を測定するものであり、逆浸透膜の運転に適した水かどうかを判定することに用いられている。しかし、本手法では、原水中に溶解する有機高分子の影響を完全に把握することは出来ない。そのため、たとえ、SDIが良好な水を用いても逆浸透膜の被処理水側(非透過水側)の膜面上で、前処理で除去しきれなかった有機高分子を餌として、微生物が繁殖し、バイオフィルムを形成、逆浸透膜の操作圧力を上昇させたり、逆浸透膜の透水量や分離性能を低下させたりすること、すなわちバイオファウリングを生じ、運転上問題となっている。ここで、「バイオフィルム」とは、水が流れるときに管壁や逆浸透膜面上に微生物により形成される構造体であり、主として多糖類やタンパク質などからなる細胞外ポリマー物質と細菌とからなるものであり、身近な例としては、台所の「ぬめり」などがある。
バイオフィルムの形成をモニタリングする従来技術としては、特許文献1や特許文献2に示されているように、逆浸透膜供給水、あるいは、逆浸透膜を非透過で排出された濃縮水から分岐させた分流に、通水カラムを取り付け、バイオフィルム形成基材を通水カラムの内部に通水の流れに沿って配置し、定期的にバイオフィルム形成基材を通水カラムから取り出して、基材上のバイオフィルム量をATP(アデノシン三リン酸)量に基づいて評価する方法が、また、その評価結果を基に、逆浸透膜ろ過プラントの運転制御を行うものが公知である。
例えば特許文献1では、バイオフィルム量評価のため、図5に示すようなバイオフィルム形成モニタリング装置が提案されている。また、バイオフィルム形成モニタリング装置に装填するバイオフィルム形成基材としては、例えば図6〜図8に記載のものが提案されている。
図5に示す従来技術のバイオフィルム形成モニタリング装置では、バイオフィルム形成基材55aを収容した通水容器54と、通水容器54の上流側の流量調整バルブ56と、下流側の流量計51とで構成され、それぞれホース50で接続される。通水容器54の両端には、ワンタッチ式ジョイント52が設けられ、バイオフィルム形成モニタリング装置から通水容器54を着脱することができる構造となっている。なお矢印58は、逆浸透膜供給水または濃縮水が流れる方向を表す。
通水容器54の内部には、バイオフィルム量測定用の表面を提供する通水容器とは独立のバイオフィルム形成基材が収容されている。バイオフィルム形成基材としては、図6,図7に示すような“テフロン”(登録商標)リング55aや、図8に示すような逆浸透膜片55bが挙げられる。
“テフロン”(登録商標)リング55aは、図7に示すように、片方にリングフックのついたステンレス棒57に挿入され、通水容器54内に積み重ねて収容し通水容器開閉部53で密閉され、外表面及び内表面が通水可能な構造にする。バイオフィルム量の評価に際しては、流量調整バルブ56を閉止し、通水容器54の通水容器開閉部53を開け、ステンレス棒57をつまみ上げ、必要な量のリング55a(通常2〜3個ずつ)をピンセットで取出し、そのリング内表面と外表面のバイオフィルム量を測定する。残りのリング55aは通水容器54内に再収容し、通水を再開する。
また、バイオフィルム形成基材として逆浸透膜片を用いるときは、図8に示すように、短冊状の逆浸透膜片55bの分離機能層表面(ろ過時の原水側)が内側になるようにロールさせ、通水容器54内の内壁に沿わせて、通水容器54内に押し込み収容する。バイオフィルム量の評価に際しては、逆浸透膜片55bの上端をピンセットでつまみ出し、一定量を切り出しサンプリングした後、残りを通水容器54内に再収容し、通水を再開する。切り出した逆浸透膜片についてバイオフィルム量を測定する。
国際公開第2008/038575号 特開2011−255301号公報
ASTM4189−95
かかる技術で開示されている評価法では、バイオファウリングポテンシャルを的確に評価することが出来る優れた方法であり、被処理水の水質変動が少ない状況下では逆浸透膜のバイオファウリングを起こしやすい水か、また、前処理が適切であるかどうかを的確に判断することができるが、測定期間が長く、判定を行うまで、運転条件を変更できないという問題があった。さらに、測定期間が長く、短期的な水質変化を見逃してしまう場合があり、対策が遅れる場合があった。
とくに、水処理装置を新規に設置したり、長期停止していた場合は、水処理装置の性能が安定するまでに時間がかかる場合が多く、取水以降、順次後段プロセスに供給していくためには、それぞれの処理が適切に行われていることを確認する必要がある。具体的には、例えば、取水の懸濁物質が多いような状況で、前処理に供給すると、前処理が運転継続できないため、通水できない、もしくは、前処理性能が安定しないうちに、逆浸透膜に供給すると、逆浸透膜の性能低下が急速に起こってしまう場合があった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、より短期間に、供給水質評価を行い、水処理装置の運転条件決定を行う運転方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、水処理装置の運転方法は、次の特徴を有するものである。
被処理水を浄化処理する水処理装置の運転方法であって、該水処理装置への供給対象水を、少なくとも下記(1)〜(4)のいずれかの方法で、経時的に複数回分の測定に基づいて、評価もしくは予測し、水処理装置の運転条件を決定することを特徴とする水処理装置の運転方法である。
(1)評価部材を交換可能な通水ユニットに通水するとともに、通水ユニットを経時的に交換しながら、評価部材の付着物量もしくは物性指標を測定する。
(2)評価部材を取り外し可能な通水ユニットに通水するとともに、評価部材の付着物量もしくは物性指標を測定し、その後、同じ評価部材を通水ユニットに戻して、経時後に繰り返し物性指標を測定する。
(3)分割取り外し可能な評価部材から構成される通水ユニットに通水するとともに、少なくともひとつの該評価部材を該通水ユニットから分割して取り外し、経時的に評価部材の付着物量もしくは物性指標を測定する。
(4)評価部材を追加接続可能な通水ユニットに通水するとともに、評価部材を経時的に付け足し、一定時間通水後、評価部材の一部もしくは全部を取り外して各評価部材表面の付着物量もしくは評価部材の物性指標を測定する。
前記供給水質の評価もしくは予測が、少なくとも複数の測定値の差分、移動平均、最小自乗法で求められる近似式、予め決定した式に基づいた関係式に基づくことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置の運転方法である。
前記通水ユニットにおいて、評価部材を交換あるいは付け足す間隔を、10分〜7日の間に1回以上行うことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置である。
前記被処理水が原水を前処理した水であるとともに、前記水処理装置への供給ポイントより上流の少なくとも1つの場所を流れる水を採取し、前記通水ユニットによって通水、評価部材の水質指標を獲得し、その値に応じて、前記原水取水装置、前記前処理装置、および、前記水処理装置のうち、少なくとも1つの運転制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記水質指標が予め定められた範囲内になった場合に水処理装置への被処理水供給を開始するか、もしくは、範囲内になることが予測された場合には、前記水処理装置の運転開始プロトコルを実行することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記水質指標が予めを超えた場合は速やかに水処理装置へ被処理水の供給を停止するとともに、予め定められた値を超えることが予測された場合は、超えるまでの時間に応じて、水処理装置の運転停止プロトコルを実行してから停止することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記通水ユニットが評価部材を含む単位通水ユニット複数を連結して形成され、前記単位通水ユニットは流れ方向の両端に接続部が設けられており、前記各単位通水ユニット内部に水処理装置に使用され、被処理水に接する構成部材表面同等以上の感受性を有する評価部材が配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記水処理装置が、少なくとも分離膜、ろ材、吸着材のいずれかから構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記評価部材が、前記水処理装置を構成する分離膜、または、ろ材、または、吸着材、または、配管部材のいずれかからなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記分離膜が半透膜であることを特徴とする請求項9に記載の水処理装置の運転方法である。
前記ろ材が、珪砂もしくは軽石であることを特徴とする請求項9または10に記載の水処理装置の運転方法である。
前記吸着剤が活性炭もしくはイオン交換樹脂からなることを特徴とする請求項9または10に記載の水処理装置の運転方法である。
前記評価部材の付着物量を、乾燥重量、TOC(全有機炭素量)、ATP(アデノシン三リン酸)量のいずれかで測定することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記評価部材表面の付着物を物理的もしくは化学的手法で回収・除去した後、評価部材の物性測定を行うことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記評価部材の物性指標変化を、評価部材の物理的特性、表面特性あるいは、分離特性の変化から算出することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記物理的特性が、少なくとも、硬度、引張強度、引張伸度、のいずれかであることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記表面特性が、少なくとも、表面元素組成、表面官能基密度、表面粗さ、表面開孔率、接触角、ゼータ電位のいずれかであることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
前記分離特性が、溶質阻止率、溶液もしくは溶媒の透過流束、溶媒透過係数および溶質透過係数であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の水処理装置の運転方法である。
本発明によれば、被処理水を浄化処理する水処理装置の運転を行う際、該水処理装置への供給水水質を経時的に複数回測定し、得られた測定値に基づいて供給水質を評価もしくは予測し、水処理装置の運転条件を決定することで、供給水水質変化に適した確度の高い水処理装置の運転制御が可能となる。
さらに、本発明によれば、測定期間を短く設定することで、これまで見逃す場合があった測定期間中に起こった水質変化を迅速に把握し、また発生時期や原因を特定することも容易となる。
本発明の運転方法を適用する逆浸透膜ろ過プラントの実施形態の一例を示すフロー図である。 本発明で使用する通水ユニットの一例を示す模式図である。 本発明で使用する分割可能な通水ユニットの一例を示す模式図である。 本発明で使用する分割可能な通水ユニットの他の例を示す模式図である。 従来技術のバイオフィルム形成モニタリング装置を例示する模式図である。 従来技術の評価部材を例示する模式図である。 図6の評価部材を連ねた模式図である。 従来技術の他の評価部材を例示する模式図である。 本発明の通水ユニットの実施形態の一例を模式的に示す断面図である。
以下、さらに詳しく本発明の水処理装置の運転方法について説明する。
本発明の水処理装置とは、被処理水もしくは原水の不要物を除去し、目的とする水質の処理水を得るための分離機能を持つ装置のことであり、単独のものから、複数種組み合わせたプラントまである。分離機能としては、分離膜やろ材や吸着材などがあり、本発明においては、これらのいずれかから構成されることが好ましい。分離膜としては、分離対象に応じて逆浸透膜、限外ろ過膜、精密ろ過膜、ナノろ過膜、などがある。
本発明の水処理装置の運転方法は、原水取水口より下流かつ逆浸透膜濃縮水出口より上流の間の少なくとも1つの場所を流れる水を分取し、この分取した水の流水下に、交換可能な評価部材を設けた通水ユニットを配しておき、評価部材表面を継続的に測定し、その結果に基づいて、水処理装置の運転方法を制御する運転方法である。通水ユニットは、流れ方向に分割可能な形状であり、通水ユニットの内部には交換可能な評価部材が設けられていることを特徴とする。ここで、より迅速に水質変化をとらえる為、短期間で評価部材を適宜交換したり、付け足したりすることで、測定期間中の水質変化の推移を永続的に監視し、即時に水処理装置の運転条件の決定を行う。さらに測定結果を元に、水質変化を予測し、水処理装置の運転開始時期を見極めたり、地域性や温度特性など既存の知見と合わせて、水処理装置の運転条件を変更したり、メンテナンス時期を決定したりすることが好ましい。
ここで、逆浸透膜を有するプラントの図を例示し、本発明について詳しく説明するが、本発明の内容はこの図に限定されるものではない。図1に、本発明の運転方法を採用している海水淡水化用の逆浸透膜プラントのフロー図の一例を、図2に、本発明で使用する評価部材を有する通水容器の模式図の一例をそれぞれ示す。
図1において、逆浸透膜ろ過プラントは、原水取水部100、前処理部200および逆浸透膜ろ過部300を有し、さらに詳しくは水の流れる順に沿って上流側から、原水取水口501、取水管1、取水ポンプ2、砂ろ過装置6、中間槽7、保安フィルター8、高圧ポンプ29、逆浸透膜モジュール11、逆浸透膜非透過水排出流路、濃縮水出口503の順に接続、構成されている。原水取水部100は、取水管1、取水ポンプ2、必要に応じて次亜塩素酸溶液貯槽3および次亜塩素酸溶液供給ポンプ21を含む。前処理部200は、砂ろ過装置6、浮上分離装置、限外ろ過膜や精密ろ過膜、ルース逆浸透膜などの分離膜装置等からなる前処理装置と、中間槽7、必要に応じて凝集剤溶液貯槽4、pH調整溶液貯槽5、凝集剤溶液供給ポンプ22、pH調整溶液供給ポンプ23を含む。また逆浸透膜ろ過部300は、高圧ポンプ29、逆浸透膜モジュール11、必要に応じて保安フィルター8、亜硫酸水素ナトリウム溶液貯槽9、殺菌剤溶液貯槽10、亜硫酸水素ナトリウム溶液供給ポンプ24、殺菌剤溶液供給ポンプ25を含む。また原水取水口501は取水管1の先端部、濃縮水出口503は逆浸透膜非透過水が逆浸透膜ろ過プラントから系外へ排出される出口である。
上記原水取水部100において、取水は直接、海の表層部分から行っても良いし、いわゆる深層水をくみ出しても構わない。表層取水の場合は、砂ろ過等の前処理を行うに先立ち、スクリーン等を用いて処理し、海草やクラゲ、魚類の侵入を阻止しておくことが好ましい。また、海底砂層などをフィルターとして用いる浸透取水法により取水しても良い。くみ出した海水は、一旦沈殿池などで砂などの粒子を分離しておいても良い。
取水ポンプ2の上流の地点では、取水管1やその下流工程の配管におけるバイオフィルム形成や貝や海草などの海棲生物の固着を防止する目的で、必要に応じて連続的に、または、間欠的に次亜塩素酸溶液貯槽3の次亜塩素酸溶液が、次亜塩素酸溶液供給ポンプ21により殺菌剤として添加される。用いる殺菌剤としては、酸化性の殺菌剤、たとえば、遊離塩素を発生させ得る薬剤である次亜塩素酸ナトリウム溶液が一般に用いられているが、同等の目的が達成されるものであれば、次亜塩素酸溶液以外の殺菌剤や硫酸などの薬品を用いても良い。
取水ポンプ2と砂ろ過装置6との間の地点では、砂ろ過やUF膜、浮上分離装置による固液分離などの前処理の促進用に必要に応じて、凝集剤溶液貯槽4の凝集剤溶液が凝集剤溶液供給ポンプ22により添加される。また、凝集を効率的に行うためのpH条件の調整や、逆浸透膜モジュール11の非透過水側流路における硫酸カルシウムなどのスケール生成を抑制する目的で、硫酸などのpH調整溶液がpH調整溶液貯槽5からpH調整溶液供給ポンプ23により海水(取水原水)に添加される。凝集剤としては、塩化第二鉄やポリ塩化アルミニウムなどを用いることができる。前処理としては、砂ろ過装置6以外に、浮上分離装置、限外ろ過膜や精密ろ過膜、ルース逆浸透膜などの膜による処理を行っても構わない。この前処理は、下流の各工程に負荷をかけないように、必要な程度まで取水原水を精製する目的を有し、取水原水の汚濁の程度により適宜選択すれば良い。
前処理を終えた取水原水は、水量や水質調節機能を有する中間槽7を必要に応じて設ける。
中間槽7の下流には、異物混入による高圧ポンプ29や逆浸透膜モジュール11の破損を防ぐ為に、必要に応じて保安フィルター8が設けられる。
次いで、必要に応じて亜硫酸水素ナトリウム溶液貯槽9から亜硫酸水素ナトリウム溶液供給ポンプ24により亜硫酸水素ナトリウムなどの還元剤が添加される。これは、原水取水部などの上流の工程で酸化性殺菌剤を添加した場合に行うもので、残留塩素などが逆浸透膜を劣化させることを防ぐためのものであり、同様の効果を有するものであれば、亜硫酸水素ナトリウム溶液以外の薬品を使用しても良い。
次いで、必要に応じて殺菌剤溶液貯槽10から殺菌剤溶液供給ポンプ25により殺菌剤が添加される。殺菌剤を添加する装置については、殺菌剤の添加条件を制御するために、添加量や添加時間、添加頻度などがコントロールできるバルブやポンプを有する制御機構を備えていることが好ましい。殺菌剤等の薬剤の添加位置は任意に決定すれば良いが、好ましくは、保安フィルター8の前、または後の地点である。この他、必要に応じてスケール防止剤などを添加しても良い。
次いで、高圧ポンプ29により加圧された海水は、逆浸透膜モジュール11に供給される。
逆浸透膜モジュール11の上流には、薬品洗浄の為に、洗浄剤溶液貯槽15から洗浄剤溶液供給ポンプ28により洗浄剤を添加する管路が設けられている。洗浄剤を添加する地点は、特に限定されるものではないが、洗浄剤の種類によっては、高圧ポンプ29などを腐食させるおそれがあるため、その下流が好ましい。
逆浸透膜モジュール11に供給された供給水は、透過水と非透過水とに分離され、そのうち非透過水は、必要に応じて逆浸透膜非透過水無害化溶液貯槽31、逆浸透膜非透過水無害化溶液供給ポンプ34を備えた逆浸透膜非透過水無害化処理槽32でpHを調整したり、殺菌剤を無害化する処理を経た後、逆浸透膜非透過水排水管33、濃縮水出口503を通って海へ廃棄される。
一方、逆浸透膜透過水は、逆浸透膜モジュール11の下流の透過水出口502から排出し、逆浸透膜透過水水槽12に蓄えられる。その後、例えば、下流側でpH調整溶液貯槽13からpH調整溶液供給ポンプ26によりpH調整溶液が、また、カルシウム溶液貯槽14からカルシウム溶液供給ポンプ27によりカルシウム溶液がそれぞれ添加され、飲料水基準に適合するような淡水として、透過水送水管18より取り出される。
なお、ここで、逆浸透膜モジュール11を構成する逆浸透膜とは、供給水中の一部の成分、たとえば、水等の溶媒を透過させ、他の成分を透過させない半透性の膜をいい、いわゆるナノフィルトレーション膜やルース逆浸透膜なども含まれる。素材としては、酢酸セルロース系ポリマーやポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子材料を用いることが好ましい。また、その膜構造としては、少なくとも片面に徴密層を持ち、徴密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称構造としたり、非対称膜の徴密層の上に別の素材で形成された分離機能層を有する複合膜構造とすることもできる。膜厚としては、10μm〜1mmの範囲内であると好ましい。代表的な逆浸透膜としては、たとえば、酢酸セルロース系やポリアミド系の非対称膜およびポリアミド系やポリ尿素系の分離機能層を有する複合膜などがあるが、中でも、本発明においては、ボリアミド系の複合膜を用いると効果が高く、特開昭62−121603号公報や特開平8−138658号公報、米国特許第4277344号明細書に記載されている芳香族系ポリアミド複合膜が好適なものとして挙げられる。
また、逆浸透膜モジュールとは、上記した逆浸透膜などを実際に使用するために筐体に組み込んだものであり、平膜形態の膜を用いる場合は、スパイラル型モジュールや、チューブラー型モジュール、プレート・アンド・フレーム型モジュールとすると良い。上記の内、スパイラル型モジュールは、たとえば、特開平9−141060号公報や特開平9−141067号公報に記載されるように、供給水流路材や透過水流路材などの部材を組み込んでおり、溶質濃度の高い海水を取水原水として用いたり、高圧で装置を運転する場合などに高い効果がある。
高圧ポンプの運転圧力は、供給水の種類や運転方法などにより適宜設定できるが、かん水や超純水など浸透圧の低い溶液を供給水とする場合には0.1〜3.0MPa程度の比較的低圧で、海水淡水化や廃水処理、有用物の回収などの場合には2.5〜1 5.0MPa程度の比較的高圧で使用するのが、電力等のエネルギーの無駄がなく、かつ良好な透過水の水質を得ることができ好ましい。また、適当な供給圧力、運転圧力を得るために、任意の経路にポンプを設置することができる。
また、逆浸透膜ろ過部の運転温度は、0℃よりも低いと供給水が凍結して使用できず、100℃よりも高い場合には供給水の蒸発が起こり使用できないため、0〜100℃の範囲内で適宜設定するが、装置や逆浸透膜の性能を良好に維持するためには、5〜50℃の範囲とするのが好ましい。詳細は、製造業者提供の技術資料の条件に従えば良い。
逆浸透膜ろ過部の回収率は、5〜98%の範囲内で適宜設定することができる。ただし、供給水や非透過水の性状、濃度、浸透圧に応じて前処理条件や運転圧力などを考慮する必要がある(特開平8−108048号公報参照)。たとえば、海水淡水化の場合には、通常10〜40%、高効率の装置の場合には40〜70%の回収率を設定する。また、かん水淡水化や超純水製造の場合には70%以上、さらには、90〜95%の回収率で運転することもできる。
また、逆浸透膜ろ過部における逆浸透膜モジュールは、1段とすることも、また、多段とすることもでき、さらに、供給水に対して直列でも並列に配しても構わない。直列に配列する場合は、モジュール間に昇圧ポンプを設置しても良い。
逆浸透膜の非透過水は圧力エネルギーを有しており、運転コストの低減化のためには、このエネルギーを回収することが好ましい。エネルギー回収の方法としては任意の部分の高圧ポンプに取り付けたエネルギー回収装置で回収することもできるが、高圧ポンプの前後や、モジュール間に取り付けた専用のタービンタイプのエネルギー回収ポンプで回収することが好ましい。また、造水装置の処理能力は1日当たり水量で0.5〜100万mの範囲内とすることができる。
逆浸透膜ろ過部の配管は、できるだけ滞留部の少ない構造とすることが好ましい。さらに、回収率を高くしたい場合は、スケールの生成を防止する目的から、供給水のpHは酸性にすることが好ましく、また、殺菌や洗浄剤として各種性質の薬剤を使用するケースも想定されるため、そのような薬剤が流れる配管やバルブその他の部材には、ステンレス鋼や2相ステンレス鋼などの耐薬品性を有する材料を用いることが好ましい。
本発明の水処理装置の運転方法は、精密ろ過膜を用いた液体と固形分の分離や濃縮、限外ろ過膜を用いた濁質成分の分離や濃縮を行うにあたっても適用できるものであるが、特に、逆浸透膜やナノろ過膜を用いて溶解成分の分離や濃縮を行うのに適している。中でも、海水やかん水の淡水化、工業用水の製造、水道における高度処理などにおいて効果が大である。
ここで本発明において重要な要素の一つである評価部材からの水質評価方法について、詳しく説明する。
本発明において、原水取水部100とは、原水取水口501、取水管1、取水ポンプ2などから構成される、原海水をプラントに取水するための工程を指す。前処理部200とは、取水された海水を砂ろ過装置6などの前処理装置により処理し、中間槽7に一旦貯えるまでの工程を指す。逆浸透膜ろ過部300とは、一つまたは複数の逆浸透膜モジュール11と、前処理を経た海水を逆浸透膜モジュール11に供給する前に施される一連の処理工程を指す。ここで、一連の処理とは、必要に応じて任意に実施される、保安フィルター8によるろ過、亜硫酸水素ナトリウム溶液などの還元剤の添加、逆浸透膜モジュール部のファウリング防止のための殺菌剤の添加、スケール防止剤の添加などをさす。
本発明では、水処理装置への供給ポイントより上流の少なくとも1つの場所を流れる水を分取し、流れ方向に分割可能であって、その内部に評価部材を収容した通水ユニット(16a〜16e)に分取した水を通水し、所定の頻度で、通水ユニットの一部を分割して取出し、評価部材の付着物量もしくは物性指標を継続的に複数回実施することで、分取した水の水質の推移を評価し、得られた評価結果に基づいて、原水取水部100、前処理部200、および逆浸透膜ろ過部300からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御を行う。
ここで、水処理装置への供給ポイントより上流の少なくとも1つの場所を流れる水とは、原水取水口501より下流かつ逆浸透膜濃縮水出口503より上流の間の、海水(取水原水)、逆浸透膜供給水および逆浸透膜非透過水からなる群から選ばれる少なくとも1つの水をいう。ここで、海水(取水原水)とは、原水取水口501から取水された水である。逆浸透膜供給水とは、前処理部200より下流で、逆浸透膜ろ過部300内にあり、逆浸透膜モジュール11が複数ある場合は、先頭の逆浸透膜モジュール11より上流の管路から分取され、逆浸透膜供給水と成分が同等で、温度が同レベル(差が−3℃〜+5℃の範囲内)の水である。逆浸透膜モジュール11が単一の場合、逆浸透膜供給水は、その上流の管路から分取され、その分取された場所の水と成分が同等で、温度が同レベル(差が−3℃〜+5℃の範囲内)の水である。また、逆浸透膜非透過水とは、逆浸透膜モジュール11より下流の管路から分取され、その分取された場所の逆浸透膜非透過水と成分が同等で、温度が同レベル(差が−3℃〜+5℃の範囲内)の水である。
海水(取水原水)、逆浸透膜供給水および/または逆浸透膜非透過水の分取地点としては、例えば原水取水部100では、原水取水口501より下流で前処理部200より上流から枝分かれする配管17d、前処理部200では、中間槽7より下流で保安フィルター8より上流の管路からの枝分かれ配管17e、逆浸透膜ろ過部300では、保安フィルター8より下流で高圧ポンプ29より上流の管路からの枝分かれ配管17a、高圧ポンプ29より下流で最初の逆浸透膜モジュール11より上流の管路からの枝分かれ配管17b、逆浸透膜モジュール11の逆浸透膜非透過水を通水する管路からの枝分かれ配管17c、を挙げることができる。
いずれの分取地点(枝分かれ配管17a〜17e)においても、それぞれ分岐した配管の下流に、通水ユニット16a〜16e、流量調節バルブ19a〜19e、および必要に応じて流量計を配置することができる。
ここで、分取地点の少なくとも一つを、殺菌剤や洗浄剤の添加地点の下流に設けておけば、逆浸透膜モジュール内の逆浸透膜の膜面状態をモニター可能となり、殺菌や洗浄の効果を直接的に迅速に検証することが可能となり、その結果、逆浸透膜ろ過部300を、より安定、効率的に運転することが可能となるため、好ましい。
ここで、高圧ポンプ29より下流の高圧の管路から逆浸透膜供給水を分取する場合、通水ユニット16b、16cへの通水は、減圧後の通水下での評価部材付着物もしくは表面特性を評価した結果においても、高圧下の逆浸透膜ろ過部の運転制御と相関があることを見出したため、減圧後に通水することが好ましい。逆浸透膜供給水および/または逆浸透膜非透過水は、岐分かれ配管17a、17b、17cより、パイプ、ホースなどを用いて評価部材を収容した通水ユニット16a,16b,16cに通水する。
ここで、評価部材を有する通水ユニットは、所定の頻度で新しいものと交換してもよいし、通水ユニットの評価部材のみを新しいものと交換して、取り出した評価部材のみを測定に供してもよい。さらに、一度取り出して、評価した評価部材を通水ユニットに戻して、所定期間、通水したのち、再び取り出して評価に用いてもよい。特に、拭き取り後も、バイオフィルムなどの付着物の場合、表面に残る物理的には回収できない極微量の微生物もしくは付着物が、以降の微生物や付着物の増殖・付着の足がかりとなり、初期の着床期を省略できるため、付着物の付着を促進させる場合に効果的である。取り出した後、洗浄などを行って、再利用してもよい。さらに、評価部材の一部を定期的に切り出し、残りを引き続き通水してもよい。特に本発明においては、評価部材を所定期間毎に必要量のみ付け足し、所定期間経過後に、一部もしくは全部を取り出して、測定に供することが好ましい。この方法によれば、測定終了から開始までの期間を設けることなく、短期間に交換と測定のサイクルを継続することが可能となるため、通水期間中に起こった水質変化を見逃すことなく、その都度迅速に把握可能であり、いつ発生したかを追跡し、原因を特定しやすいなどの利点がある。通水ユニット内に、目的に応じて複数種の評価部材を共存させてもよい。
評価部材の取り出しや交換および付け足しを行う頻度は、目的に応じて1分〜10日に1回以上、より好ましくは10分〜7日に1回以上行うのが好ましい。さらに、短期間で得られた複数の評価結果に基づいて、その後数日間の水質を予測し、水処理装置の運転制御を決定することが好ましい。この時、経時的に必要量に評価部材を取り出し、その都度測定することを複数回繰り返してもよいし、経時的に必要量の評価部材を付け足していき、一括して取り外し、測定して、複数回分の評価結果としてもよい。
ここで、複数の評価結果に基づいて、水質を予測する際には、少なくとも複数の測定値の差分や移動平均、もしくは最小自乗法で求められる近似式や予め決定した式に基づいた関係式を用いることが好ましい。予め決定した式としては、分離膜のろ過時に考慮すべき温度依存式などが例示される。
評価した水質指標が、予め定められた範囲内になった場合、もしくは、範囲内になることが予測された場合には、水処理装置への被供給水を開始したり、前記水処理装置の運転開始プロトコルを実行するなどの制御を行う。
逆に、評価した水質指標が、予め定められた範囲を超えた場合、もしくは、範囲内を超えることが予測された場合には、水処理装置への被供給水を停止したり、前記水処理装置の運転停止プロトコルを実行するなどの制御を行う。
これらはその都度行っても良いが、シーケンスを組んで自動制御させることも好適である。
本発明における通水ユニットは、流れ方向に分割可能であることを特徴とする。
ここで、流れ方向に分割可能とは、大きく2タイプに分けられ、1つは、図2に例示するように、ネジ構造や嵌合構造(ジョイントなど)の接続部材を介して、ある単位構造物を連続して結合・分離可能であること、あるいは、ホースなどハサミ等を用いて容易に切断できるか、または一部を分離可能であることを指す。前者の通水ユニットとしては、図3、図4に例示するような、円筒形状であり長手方向(通水方向)の両端にネジ溝が設けられ、連結可能な構造をもつ単位通水ユニット60aを、複数連結して形成した通水ユニット60を好ましい形態として例示することができる。本態様では、評価部材が通水ユニットの内側通水面に固定されており、通水ユニットと評価部材が一体となっていることを特徴とする。または、通水ユニットの内側通水面が評価部材を兼ねていてもよい。接続部には、形状に応じて、パッキン、シールテープ、オーリングなどの水漏れ防止の対策を施しておくことが好ましい。単位通水ユニットの大きさは、外側から綿棒などで、評価部材面上のバイオフィルムを回収するのに適した大きさであれば、特に、限定されるものではない。
また、簡易的な通水ユニットとしては、後者のような、ホース等の部材を用いることができる。このとき通水ユニットは、軟質素材で形成された円筒状であることが好ましい。これによりハサミ等を用いて、通水ユニットの一部を流れ方向に容易に切断し取出すことができる。切り出した単位通水ユニットの大きさは、外側から綿棒などで、評価部材面上のバイオフィルムを回収するのに適した大きさにしておくことが好ましい。ホース材質としては、当該ホースから可塑剤等のバイオフィルム増殖を促進させる物質が溶出することが極力少ない材質のものが好ましい。好ましい材質としては、“テフロン”(登録商標)やポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系素材などが挙げられる。
ホースは遮光性のものが好ましいが、遮光性の低い部材を使用する際は、藻類の増殖をさけるため、測定操作のとき以外、外側から全体を暗幕等で覆ったり、不透明なポリ塩化ビニルやステンレス配管の中にホースを保管するなどして、暗い環境下に保持することが好ましい。
図3に示した単位通水ユニット60aでは、円筒形状の上方の端部にオネジ、下方の端部にメネジが形成され、互いに隣接する単位通水ユニット60a同士が連結可能な構造になっている。また連結された複数の単位通水ユニット60aが、通水ユニット60を形成し、その上端および下端が、それぞれ通水ユニット開閉部53に接続している。この単位通水ユニット60aは、少なくとも分割可能な通水ユニットの通水面61が、評価部材を兼ねている。
また図4に示した単位通水ユニット60aでは、図3の例と同様に隣接する単位通水ユニットと互いに連結可能な構造を有すると共に、ナノろ過膜、または逆浸透膜の膜片62が、膜の原水側(基材側でなくポリアミドや酢酸セルロースなどの機能層側)が内向きになるようにして、円筒形状の単位通水ユニット60aの通水面側に固定・配置されている。このナノろ過膜、または逆浸透膜の膜片62は、単位通水ユニット60aの内周面に、ナノろ過膜、または逆浸透膜の膜片の反りを利用しての単なる物理的な固定や、単位通水ユニットに膜片を埋め込める浅い溝を設けて膜片をより動きにくくした物理的な固定、あるいは、膜片の基材側の四隅や四辺あるいは全面に接着剤を用いて化学的に固定するなどの手段で、容易に固定することができる。実用上は、逆浸透膜の膜片の反りを利用しての単なる物理的な固定で十分であり、容器の再利用の点でも好ましいが、本態様の場合、容器内壁に滑り止め加工を施したり、ズレ防止の小突起で膜片の固定を強化しても良い。
これら、円筒形状で、ネジ式構造を有する単位通水ユニット60aの場合、単位容器1個当たりの付着物量評価の測定面積を予め規格化できること、例えば取出した基材の数が3(n=3)の測定を行う際などに付着物回収までの間は複数の基材をまとめて扱うことができること、再利用が可能であること、追加補充が可能であること、などの利点がある。
ここで、評価部材としては、評価対象とする水処理装置に使用されている、被処理水に接する構成部材表面同等以上の感受性を有するものを用いることが好適である。
本発明で使用する構成部材表面同等以上の感受性を有するものとしては、被処理水に含まれる物質に対し、敏感に反応・変化するものが好ましく、特に評価対象とする水処理装置の構成部材より付着物が付着し易い、あるいは、表面の物理的特性、表面特性、分離特性が、反応・変化しやすい部材が好ましい。これらは、予め評価対象とする水処理装置の構成部材と比較評価し、差異があるものを選択し、評価部材として用いることが好ましい。
評価対象とする水処理装置が、砂ろ過器やイオン交換器等、ろ材や吸着材で構成される場合には、評価部材としてろ材や吸着部材を用いることも好適である。ここでいうろ材としては、珪砂、軽石などが例示されるが、特に限定されるものではない。また吸着材としては、活性炭、イオン交換樹脂などが例示されるが、特に限定されるものではない。さらには、水処理装置に使用されている、もしくは一般的に使用される配管部材をそのまま評価部材として使用することも好適に例示される。
評価部材としてろ材や吸着材を図3、図4に示す単位通水ユニットに装填して用いる場合には、各ユニットの端部に通水可能でかつろ材や吸着材を保持可能なメッシュなど入れて、各ユニット同士の部材を分別した形態が好適に例示される。
逆浸透膜プラントの場合には、逆浸透膜ろ過部で使用されている逆浸透膜モジュールの膜と同品種の半透膜を用いるのが好適と考えられるが、図4に例示するように、通水ユニットの通水面側に、逆浸透膜の膜片62を膜の原水側が内向きになるようにして固定・配置されている態様が最も信頼性の高い評価が可能となり、好ましい。半透膜の膜片62としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、または逆浸透膜の膜片を好適に例示することができる。これらの膜の原水側が内向きになるようにして丸めた円筒状物を、単位通水ユニット60aの内側に配置することができる。
通水ユニット、ホース、接続部材(ジョイント)、流量計、流量調節バルブの材質は、水圧等への強度要件を満たすものであり、また、殺菌や薬品洗浄などで使用される薬品に対して耐性を有し、有機物の溶出や吸着の少ないものであれば特に制限されるものではないが、可塑剤等のバイオフィルム増殖を促進させる物質が溶出することが極力少ないものが好ましい。さらに、表面が平滑であるものが好ましい。好適な材質としては、ガラスやポリカーボネート、ポリアミド “テフロン”(登録商標)、ステンレス、フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、水道配管に使われる硬質ポリ塩化ビニル(HIVP)、などが挙げられる。
通水ユニットの内径は特に限定されるものではないが、評価部材収容後の通水ユニット内の線速度を、評価対象とする水処理装置の条件に合わせることで、似たような付着環境、せん断環境となるため好ましい。例えば、逆浸透膜モジュールの場合、一般的に5〜30cm/sの範囲である。一方で、付着を促進させるため、線速度を評価対象とする水処理装置の条件より下げたり、線速度を上げて、物性変化を加速的に評価することも好ましい。
通水ユニットおよび枝分かれ配管の部材は、遮光性のある方が藻類の増殖をさけるため好ましく、特に、通水ユニットは遮光性を有することが好ましい。遮光性のない、あるいは、低い部材を使用する場合は、測定操作のとき以外、外側から全体を暗幕等で遮光することが望ましい。
評価部材の付着量の測定は、一般的な水質分析で行われる方法であればいずれでもよいが、中でも乾燥重量、TOC(全有機炭素量)、ATP(アデノシン三リン酸)量のいずれかで測定することが好ましい。
本手法を用いて、バイオフィルム量の評価・測定を行ってもよく、その際の通水ユニット構造や通水ユニットに対する操作以外は基本的には従来技術と同等であり、詳しくは、国際公開2008/038575号公報に開示されているが、概要を述べると以下の通りである。
バイオフィルム量の測定に際しては、図2の円筒ネジ式通水ユニットの場合を例に説明する。図2において、枝分かれ配管の下流で、流れ方向58に流量調節バルブ56、分割可能な通水ユニット60、流量計51がホース50により連通している。分割可能な通水ユニット60は、ホース50とワンタッチ式ジョイント52を介して接続している。また分割可能な通水ユニット60は、両端に通水ユニット開閉部53を有し、その間を複数の単位通水ユニット60aを連結して構成している。
バイオフィルム量を測定するとき、流量調節バルブ56により通水ユニット60への通水を停止し、上部または下部のワンタッチ式ジョイント52を外し、必要な数(通常1〜3個程度)の単位通水ユニット60aを回転させて取り外す。この際、リングや逆浸透膜シートなどの独立部材を評価部材として用いていた従来技術では、基材の測定のための取り出しや再仕込みの際に、形成されたバイオフィルムを汚染ないし破損させないように、またバイオフィルム形成面を他のものに接触させないよう慎重に操作する必要があった。これに対し、本発明では、評価部材面が単位通水ユニット60aの内側に配置しているため、分割し取出した通水ユニットを容易にハンドリングすることが可能であり、測定者のストレスを大幅に低減できるだけでなく操作時間の短縮にもつながる。また、本発明では、従来技術で必要であった、図5の通水ユニット開閉部53の開閉操作も不要となる。通常、通水ユニット開閉部53を再度閉めるときは、シールテープを巻くなどシール性を確保する必要があり手間を要したが、本操作が不要となるため、同様に作業者は快適に作業が行え、操作時間の短縮にもつながる。
通水ユニット60を分割して、単位通水ユニット60aを取り出すパターンや数については、特に限定されるものではないが、上流側あるいは下流側から、サンプル数の分だけ(通常2〜3個)連続して取り出す態様などを好適な方法として例示することができる。
通水ユニットを分割して取り出した後は、残りの通水ユニット60に再び通水を開始し、取り出した通水ユニットについては、通水面上に形成されたバイオフィルム量を測定する。
簡易的にホース等の部材を通水ユニットとして用いたとき、ホースの長さに余裕がないなど何らかの制限があるときは、清澄な通水ユニットを寸法調節用に補充しても良い。
ここで、バイオフィルムには、生命活動を行っているバクテリアや不活化した細菌や多糖類やタンパク質などのそれらの代謝生成物、さらには死骸や核酸などの分子が含まれる。従って、バイオフィルムの定量化法としては、種々考えられ、タンパク質、糖、核酸、細菌の全菌数、ATP(アデノシン三リン酸)量などにより定量化することが可能であり、任意の方法を用いても良いが、この中では、ATP測定法が、感度、簡便性、迅速性に優れ、ポータブルなキットや試薬等も市販されているため特に好ましい。
基材表面のバイオフィルム中のATPの回収・分散方法は、回収率が高く定量的な方法であれば特に限定されるものではないが、取り出した通水ユニットの通水面に付着したバイオフィルムを滅菌綿棒等の拭き取り用具を用いて回収した後、拭き取り用具を純水に浸漬し、付着したバイオフィルム破片を分散させる方法を好ましい態様として例示することができる。ろ材や吸着材におけるバイオフィルム量を回収する際には、ろ材や吸着材の一部を取り出し、表面の付着物を拭き取り回収してもよく、滅菌蒸留水にろ材や吸着材を浸漬攪拌して、表面の付着物を懸濁させることで回収してもよい。
懸濁液のATP測定も特に限定されるものでないが、試薬キット、発光光度計が市販されており、それぞれ製造業者推奨の測定条件に準拠した方法で測定を実施すれば良い。
バイオフィルムを分散させる純水は、蒸留水、精製直後の逆浸透膜精製水、精製直後のイオン交換水、市販の超純水などのATPを含有しないもの(10ng/L以下)を用いるのが、測定への不純物による誤差が少なく好ましい。市販の医療用ディスポーザブル蒸留水も便利である。水道水をオートクレーブ滅菌して使用しても良い。
サンプルを入れるチューブなどの容器もATPに汚染されていない清澄なものであればいずれでも良いが、予め滅菌済のものを使用しても、非滅菌品をオートクレーブ滅菌して使用しても良い。
測定用のチューブに純水を分注し、逆浸透膜に付着したバイオフィルムを拭き取った綿棒を1〜2分ずつ浸漬、撹拌して懸濁液を得る。この操作は1回実施しても良いが、正確な値を得るためには、拭き取ったバイオフィルムをできるだけ多く綿棒から分散・懸濁させるために、1回目の液に分散・懸濁させた綿棒を、別の液に浸漬、撹拌することを繰り返し、数回に分けて実施した方が、正確な値が得られ、値自体が安定化するため好ましい。
なお、ATP測定を用いた評価法は優れた方法であるが、塩により阻害を受けるため、予め塩濃度が発光量に与える影響に関する相関式を得ておき、バイオフィルム懸濁液の塩濃度を導電率計で測定し、前述の相関式に基づき、塩阻害の影響を排除した真のATP濃度を算出するなどし、必要に応じて塩阻害の影響を考慮に入れた測定を実施する必要がある。
以上のようなバイオフィルム量の測定を継続的に実施することで、バイオフィルム量の推移を算出したり、バイオフィルム量の経時変化をもとに、バイオフィルム形成速度を算出したりすることができる。
本発明では、バイオフィルム量の測定を継続的に実施し、バイオフィルム量の推移に基づいて、原水取水部、前処理部、および逆浸透膜ろ過部からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御を行う。例えば、逆浸透膜ろ過部300の殺菌剤添加点の下流に通水ユニット16b、および/または、通水ユニット16cを設置した場合、通水ユニットの通水面上のバイオフィルム量の推移に基づいて、その大小から、殺菌剤添加の条件を、強めたり弱めたりすることも可能である。
また、バイオフィルム量の推移を表す指標として、バイオフィルム形成速度の値を用いることができる。バイオフィルム形成速度の値を、逆浸透膜ろ過プラントの運転にフィードバックする方法についても、以下に例示するが、これに限定されるものではない。前述のように、本発明の分割可能な通水ユニットを採用することで、バイオフィルム量評価の手順が簡素化されて操作性が大幅に向上し、評価部材の誤接触の心配が大幅に減り、測定ストレスを大幅に低減することができ、これらの効果で、評価時間も大幅に短縮でき、バイオフィルム形成速度の評価結果に基づいた原水取水部、前処理部、および逆浸透膜ろ過部からなる群から選ばれる少なくとも1つの工程の運転制御も簡便、充実して実施することが可能となる。
原水取水部100に分割可能な通水ユニット16dを設置した場合、バイオフィルム形成速度の値に基づいて、取水部の殺菌条件や前処理部の運転条件をバイオフィルム形成速度の値に基づいて運転制御することが可能である。例えば、浮上分離装置、砂ろ過装置、あるいは、中空糸膜ろ過装置を用いて取水原水の前処理を行う場合、バイオフィルム形成速度が最小になるような凝集剤(例えば、塩化第二鉄)の必要添加量を決定することが可能である。また、例えば、前処理部が浮上分離装置と砂ろ過装置の2段で構成されるシステムの場合、取水原水のバイオフィルム形成速度の値が高い場合にのみ浮上分離装置を稼動させ、値が低い場合は省エネのために浮上分離装置のエアレーションを停止するなどの運転も可能である。取水配管1に殺菌剤を添加する場合は、例えば、バイオフィルム形成速度が5pg−ATP/cm/d以内となるような、必要最低限の殺菌頻度を、バイオフィルム形成速度の値を基に決定することができる。
少なくとも1工程の前処理を経た前処理部200に分割可能な通水ユニット16eを設置した場合や逆浸透膜ろ過部300に分割可能な通水ユニット16aを設置した場合も、それらのバイオフィルム形成速度の値に基づいて、前述の方法と同様に、前処理部200の運転条件や逆浸透膜ろ過部300の運転条件を、バイオフィルム形成速度の値に基づいて最適化制御することが可能である。なお、例えば、取水原水に殺菌剤が間欠的に添加されるようなプラントにおいて、純粋に前処理部200の水質安定化効果を原水取水部100や前処理部200に設置した通水ユニット16d,16eでのバイオフィルム形成速度の値に基づいて評価したい場合は、殺菌剤添加の間は、各通水ユニット16d,16eへの通水を停止し、通水ユニット16d,16e内に形成されたバイオフィルムの殺菌を防止する必要があることは言うまでもない。
また逆浸透膜ろ過部300において、殺菌剤や薬液洗浄注入点より下流で逆浸透膜モジュールより上流に分割可能な通水ユニット16bを設置したり、逆浸透膜モジュールより下流に分割可能な通水ユニット16cを設置した場合には、バイオフィルム形成速度の値に基づいて、殺菌剤や薬液洗浄条件を最適に制御することが可能である。
流れ方向に分割可能な、もうひとつのタイプは、図9に例示するように、通水ユニットの外側から着脱可能で、通水ユニットから分割可能な固定部を複数有することをさす。
図9には、通水ユニットの外側から着脱可能で、通水ユニットから分割可能な固定部を複数有し、前記固定部は前記通水ユニットの内側で評価部材を保持する手段を有することを特徴とするバイオフィルム形成モニタリング装置を模式図で示す。本発明のバイオフィルム形成モニタリング装置は通水ユニットを有し、任意に流量計、流量調節バルブ、およびワンタッチ式ジョイント、配管部材(ホース)等の接続手段を有する。
図9において、バイオフィルム形成モニタリング装置を構成する通水ユニット68は、その内部に複数の評価部材65を有する。また通水ユニット68は、その容器外側から着脱可能な固定部66,67を複数有し、固定部66,67を取り外すことにより、通水ユニット68の側面に貫通孔が形成され、通水ユニット68の内側と外側とが連通するようになる。固定部66は、通水ユニット68の内側で評価部材65を保持する手段を有する。評価部材65は、支持された固定部66を通水ユニット68から着脱することにより、通水ユニット68から出し入れされる。また評価部材65の保持の有無にかかわらず固定部66,67は、通水ユニット68の側面に形成された貫通孔のフタになり、通水時に通水ユニット68の内部の水が漏れないように貫通孔を封止する。図9の例では、固定部66,67と、対応する通水ユニット68の側面の貫通孔とには、互いに螺合するように構成されている。
通水ユニットの形状は、特に限定されるものではないが、図9に例示するような、円筒形状であり長手方向に複数の評価部材を装填可能な固定部を有する構造などを挙げることができる。通水ユニットの内径は特に限定されるものではないが、後述する線速度の条件を実現しやすいように取水可能な流量に応じて決めると良い。
また固定部としては、評価部材を通水ユニット内の通水領域に保持する機能を有するとともに、通水ユニットの貫通孔を密封しかつ容器外側から着脱可能な構造を有するものであれば特に限定されるものではない。固定部の具体的な構造としては、ネジによる締め付けを可能にするネジ構造やワンタッチジョイントなどのジョイント構造などを好適なものとして挙げることができる。
なお通水ユニット68の側面に形成される貫通孔は、相手方の固定部の構造に対応する構造を備えていれば特に制限されるものではない。例えば図9に示すように通水ユニットの側面に円筒形の管を貫通させ、その外側端部にネジ構造を設けることができる。ネジ構造の代わりに嵌合などのジョイント構造を設けても良い。また通水ユニットの壁面を肉厚に形成し、その貫通孔にネジ構造を直接、形成することもできる。
固定部の数も、特に限定されるものではない。1回の評価では2〜3個の評価部材のバイオフィルム量を測定した方が信頼性が増し、また、経時変化を見るためには、3回、より好ましくは5回以上評価するほうが良く、従って、固定部の数も6個以上、より好ましくは10個以上、さらに好ましくは15個以上、設けると良い。
評価部材としては、例えば逆浸透膜の膜片や、綿棒などを挙げることができる。逆浸透膜プラントの膜面モニタリング用途には、逆浸透膜ろ過部で使用されている逆浸透膜と同品種の膜を評価部材として用いることができる。この場合、評価部材として、逆浸透膜の膜片を膜の原水側が通水面に接する向きになるようにして固定部に保持する態様が信頼性の高い評価が可能となり、好ましい。
また評価部材として、綿棒を用いる場合は、バイオフィルム量評価の測定面積が予め規格化されているATPフリーの滅菌綿棒が好ましい。この場合、取り出した綿棒を直接ATP測定用の蒸留水/滅菌水へ浸漬・回収することによりバイオフィルムの分散を行っても良く、または、ATP抽出試薬に浸漬し、バイオフィルム内に含まれるATP抽出を行っても良い。これによりバイオフィルム量を測定する工程数が減り、大変簡便に測定することが可能である。
なお、バイオフィルム量の評価、測定の条件は、通水ユニット構造や通水ユニットに対する操作以外は基本的には従来技術と同等にすることができ、詳しくは、特許文献1などに開示されているが、概要は、図2に例示した、通水ユニットが単位通水ユニットを複数連結して形成されてなり、前記単位通水ユニットは前記流れ方向の両端に接続部材が設けられていることを特徴とするバイオフィルム形成モニタリング装置の場合について、前述した通りである。
バイオフィルム量の測定に際しては、図9の、評価部材が綿棒で、綿棒の軸部分がネジ固定可能な固定部66に固定され、通水ユニットの外側から、評価部材を通水ユニット内に保持する場合を例に説明する。通水ユニット68の上流側の流量調節バルブ56(図示せず)により通水ユニット68への通水を停止し、必要な数(通常2〜3個程度)の評価部材65を、固定部66のネジを回転させて取り外す。この際、リングや逆浸透膜シートなどの独立部材を評価部材として用いていた従来技術では、基材を採取するための取り出しや再仕込みの際に、形成されたバイオフィルムを汚染ないし破損させないように、バイオフィルム形成面を他のものに接触させないよう慎重に操作する必要があったが、本発明では、評価部材として軸を有する綿棒を用い、綿棒が固定部に保持されているため、通水ユニットを外すことなく、通水ユニットの外側から容易に評価部材をハンドリングすることが可能であり、測定者のストレスを大幅に低減できるだけでなく操作時間の短縮にもつながる。
また、本発明では、従来技術で必要であった、図5の通水ユニット開口部53の開閉操作も不要となる。通常、通水ユニットの開口部53を再度閉めるときは、シールテープを巻くなどシール性を確保する必要があり手間を要したが、この開閉操作が不要となるため、操作時間の短縮にもつながる。
評価部材を取り出すパターンや数については、特に限定されるものではないが、上流側あるいは下流側から、サンプル数の分だけ(通常2〜3個)連続して取り出す態様などを好適な方法として例示することができる。
通水ユニットから固定部と共に評価部材を取り出し、評価部材を取り外した後は、固定部をそのまま通水ユニットの側面に取り付けるか、新たな評価部材を固定部に保持させ、その固定部を通水ユニットの側面に取り付けてから、通水ユニットに再び通水を開始する。また取り外した評価部材については、通水面上に形成されたバイオフィルム量を測定する。
上述したような、固定部がネジ構造である場合は、同じネジ構造を有するチューブや容器をサンプル容器として準備すると便利である。例えばチューブや容器に所定量のバイオフィルム回収用の分散液(蒸留水、滅菌水)またはATP抽出溶液を入れておき、採取した評価部材を浸漬させ、ネジフタまたはネジ構造の固定部を用いて密封し、持ち運ぶことができる。
分離膜ろ過プラントにおける分離膜の物理的特性を評価・予測する場合には、評価部材として、分離膜ろ過プラントの分離膜よりも物理的特性、表面特性あるいは、分離特性が鋭敏に変化するものを用いても良い。具体的には、酢酸セルロース化合物、ポリアミド化合物、ポリエステル化合物、ポリイミド化合物などが挙げられ、特に半透膜素材として広く使用されている酢酸セルロース化合物やポリアミド化合物が好ましく、酸化性物質への感受性が高いポリアミド化合物がより好ましい。例えば、ポリアミド系逆浸透膜よりも酸化耐久性が高いと言われている酢酸セルロース系逆浸透膜ろ過プラントの場合、酸化性物質感受性部材としてポリアミド化合物を使用できる。また、同素材でも製膜条件が異なると界面重合反応に影響を及ぼし、酸化性物質への感受性が変化する。例えば、モノマー濃度を低くしたり、種々の添加物を界面重合時に添加したりして製膜した分離膜の方が酸化性物質への感受性が高くなるため好ましい。また、あらかじめ分離膜ろ過プラントの分離膜との物理的特性、表面特性あるいは、分離特性変化の差異を予め測定した分離膜を酸化性物質感受性部材とすることでより確度が高い評価が可能となるため、好適である。
前記評価部材の表面の付着物を物理的または化学的手法で回収・除去した後、評価部材の物性測定を行うことで、流入有無を評価する方法が好適に例示される。
ここで、物性測定には、一般的に行われている測定法であればいずれでもよいが、硬度や引張強度および引張伸度が好適に挙げられる。
硬度は、例えば、薄膜硬度計を用い、押し込み荷重をμNオーダーで制御し、圧子の深さをnmオーダーで追跡する手法や、原子間力顕微鏡(AFM)の微細探針の押し込み解析による手法が挙げられる。
引張強度と引張伸度の測定方法は特に限定されるものではないが、例えば、引張試験機を用い、測定長50mmの酸化性物質感受性部材を引張速度50mm/分で引張試験を、酸化性物質感受性部材を変えて5回以上行い、引張強度の平均値と、引張伸度の平均値を求めることで算出することができる。
表面特性については、一般的に行われている測定法であればいずれでもよいが、表面元素組成、表面官能基密度、表面粗さ、表面開孔率、接触角、などが好適に例示される。
表面元素組成は、X線光電子分光分析(XPS)、エネルギー分散型X線分析(EDS)、波長分散型X線分析(WDS)などを用いて表面官能基、例えば、ハロゲン系物質のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などの濃度や存在比、C−O(エーテル、ヒドロキシ基)やC=O(カルボニル基)やCOOH(カルボン酸)などの濃度や存在比を測定する手法が挙げられる。また、界面活性剤などの影響が懸念される場合には、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)などを用い、表面の有機物構造に関する情報を得る方法も挙げられる。飛行時間型二次イオン質量分析法とは、超高真空下で膜表面に、一次イオンビームを照射し、膜表面から放出された二次イオンを飛行時間型質量分析計へ導入することで、膜最表面の質量スペクトルを得るものであり、一次イオン照射量を低く抑えることにより、膜表面成分を化学構造を保った分子イオンや部分的に開裂したフラグメントとして検出し、最表面の元素組成や化学構造情報を得る手法である。
また、イオン化して加速した原子や分子を固体表面に衝突させるイオンスパッタリングなどの手法と組み合わせたり、膜を凍結割断法などで薄膜化した後、透過型電子顕微鏡TEMで断面観察をすることで、膜の内部深さ方向における情報も得ることができる。
また、簡易的に表面元素組成を測定する方法として、Fujiwara Testなどの比色法が挙げられる。Fujiwara Testとは、有機ハロゲン化合物の簡易テストなどで用いられる分析法で、有機ハロゲン化合物とピリジン/アルカリ水溶液を混合して加熱すると、ピリジン層が赤色に呈色する反応を応用している。本発明では、酸化性物質感受性部材が水中に含有するハロゲン系酸化性物質および/またはハロゲン系酸化剤と接触することで、酸化性物質感受性部材表面に有機ハロゲン化合物が生成し蓄積し、ピリジン法で赤色呈色した場合、分離膜の酸化リスクがあると判定する。Fujiwara Testの実施法としては、例えばAlice Anthony et al., Journal of Membrane Science, 347, 2010, 159-164に記載されている以下の方法が挙げられるが、本発明においてはこの方法に限定されない。
(1)ピリジン/水酸化カリウム(10M)をそれぞれ10mlずつ混ぜ、混合水溶液を試験管内で調製する。
(2)酸化性物質感受性部材を調製した混合水溶液中に浸漬する。
(3)試験管を密閉し、湯浴の中で2分間温める。
(4)混合水溶液中の酸化性物質感受性部材の赤色呈色有無を確認する。呈色が有る場合、酸化性物質感受性部材がハロゲン系酸化剤に接触した可能性が高く、分離膜に酸化リスクがあると判定する。
表面官能基密度は流動電位法によるコロイド滴定を用い、膜表面の電荷量測定を行い、膜表面のCOOH(カルボン酸)基などの官能基について定量を行い、面積あたりの密度として算出する方法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
表面粗さは、具体的には、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、表面のひだ構造として、表面の三次元プロファイルを測定し、その三次元座標値(x、y、z)から計算によって、分離機能層の表面凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xと互いに隣接する頂点と底点の凹凸差の平均値Zを測定し、ひだのピッチXとひだのアスペクト比Z/X、比表面積、自乗平均粗さを表面特性として獲得することが出来る。表面の凹凸の隣接頂点間水平距離の平均値Xは、原子間力顕微鏡の探針によって膜の原液側表面の凹凸を走査・実測することによって求める。すなわち、原子間力顕微鏡は視野範囲の膜表面の凹凸を三次元的にデジタル座標化することが出来、この座標データから、本発明で述べるところのXとZを算出することが出来るので、複合半透膜の表面側から原子間力顕微鏡の探針をある一方向(x軸方向)へスキャンさせてある一断面における膜表面の凹凸をデジタル座標で得る。つづいて、y軸方向へずらしながら、スキャンすることによって多数のXとZを算出することができる。さらに、膜の製膜方向などによって生じる異方性を考慮し、スキャンする角度を45度ずつずらして計4回測定し、平均値を得ることによって、異方をも考慮した正確なXとZを算出することができる。ここで、原子間力顕微鏡の探針の走査は、分離機能層の形状をできるだけ正確に測定するために、タッピングモードとすることが好ましい。具体的な測定例は、特許文献(特開2005−169332)にも記載されている。
表面開孔率は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察・撮影した画像から開孔部を計数し、面積当たりの平均値を算出する方法などが好適に挙げられる。さらに、孔径別にラテックス粒子などの標準物質の透過率を測定することで算出したり、陽電子消滅寿命測定法などを用いて細孔径分布を測定する方法も挙げられるが、これに限定されるものではない。
接触角は、膜表面に滴下した液滴と膜表面との角度を静置状態での測定や、傾斜をつけた膜表面での液滴の動的な状態での測定などがあり、これらを顕微鏡で直接測定もしくは画像解析を行うことで測定する方法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
ゼータ電位(界面動電電位)は、溶液中に浸漬した膜表面の荷電対イオンにより形成された電気二重層に対し、膜表面の溶液を流動させることで生じる境界(すべり面)の電位差を動的および電気泳動光散乱法で測定するもので、市販の測定機器を用いて測定するとよい。具体例としては、ELS−800(大塚電子(株))を用い、専用平板試料用セルユニットに膜をセットし、塩化ナトリウム溶液で希釈した専用モニター粒子を流動させて測定する手法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
分離特性については、分離膜の形状でろ過試験を行ない、溶質阻止率、溶液もしくは溶媒の透過流束、溶媒透過係数および溶質透過係数などを評価した後、これらの分離特性の変化から膜ろ過供給水の酸化ポテンシャルを評価する。分離膜がナノろ過膜(NF膜)や逆浸透膜(RO膜)などの半透膜の場合、阻止率、透過流束、溶媒透過係数および溶質透過係数は、一般的に公知の計算式を用いて行えば良く、例えば、次式から算出する。
R=(1−(Cp/Cf))×100・・・(1)
Jv=Lp(ΔP−π(Cm))・・・(2)
Js=P(Cm−Cp)・・・(3)
(Cm−Cp)/(Cf−Cp)=exp(Jv/k)・・・(4)
Cp=Js/Jv・・・(5)
Lp=α×Lp25×μ25/μ・・・(6)
P=β×P25×μ25/μ×(273.15+T)/(298.15)・・・(7)
R :阻止率(見かけの阻止率) [%]
Cf :半透膜供給水濃度 [mg/l]
Cm :膜面濃度 [mg/l]
Cp :透過水濃度 [mg/l]
Js :溶質透過流束 [kg/m2/s]
Jv :純水透過流束 [m3/m2/s]
k :物質移動係数 [m/s]
Lp :溶媒透過係数 [m3/m2/Pa/s]
Lp25 :25℃での溶媒透過係数 [m3/m2/Pa/s」
P :溶質透過係数 [m/s]
P25 :25℃での溶質透過係数 [m/s]
T :温度 [℃]
α :運転条件による変動係数 [−]
β :運転条件による変動係数 [−]
ΔP :運転圧力 [Pa]
μ :粘度 [Pa・s]
μ25 :25℃での粘度 [Pa・s]
π(Cm):浸透圧 [Pa]
溶質透過係数は、全蒸発残留物(TDS)から算出しても良いが、B(ホウ素)から算出した方が、酸化性物質に対してより鋭敏に反応することから好ましい。また、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)の場合、分画分子量から阻止率を算出しても構わない。分画分子量測定は、溶液粘度法、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、浸透圧法、光散乱法、超遠心法などで行うことができる。
酸化分解度は物理的特性、表面特性あるいは、分離特性の絶対値で評価しても構わないが、膜ろ過供給水に非接触の酸化性物質感受性部材との相対値で評価しても構わない。また、酸化速度は不規則的でも、規則的でも構わないが、複数回酸化分解度を測定し、物理的特性、表面特性あるいは、分離特性の変化から算出する。
本発明の水処理装置の運転方法は、上述の通り、評価部材を有する通水ユニットに被処理水を通水し、所定期間毎に交換や付け足しを行い、評価部材の表面の付着物や物性変化を評価し、これを複数回行った結果から評価もしくは予測される供給水水質に基づいて、水処理装置の運転条件を決定するものであるが、これに限定されるものではない。
被処理水を浄化処理する水処理装置の運転を行う際、該水処理装置への供給水水質を評価もしくは予測し、水処理装置の運転条件を決定する水処理装置の運転方法提供することにある。
1:取水管
2:取水ポンプ
3:次亜塩素酸溶液貯槽
4:凝集剤溶液貯槽
5:pH調整溶液貯槽
6:砂ろ過装置
7:中間槽
8:保安フィルター
9:亜硫酸水素ナトリウム溶液貯槽
10:殺菌剤溶液貯槽
11:逆浸透膜モジュール
12:逆浸透膜透過水水槽
13:pH調整溶液貯槽
14:カルシウム溶液貯槽
15:洗浄剤溶液貯槽
16a:分割可能な通水ユニット
16b:分割可能な通水ユニット
16c:分割可能な通水ユニット
16d:分割可能な通水ユニット
16e:分割可能な通水ユニット
17a:枝分かれ配管
17b:枝分かれ配管
17c:枝分かれ配管
17d:枝分かれ配管
17e:枝分かれ配管
18:透過水送水管
19:流量調節バルブ
21:次亜塩素酸溶液供給ポンプ
22:凝集剤溶液供給ポンプ
23:pH調整溶液供給ポンプ
24:亜硫酸水素ナトリウム溶液供給ポンプ
25:殺菌剤溶液供給ポンプ
26:pH調整溶液供給ポンプ
27:カルシウム溶液供給ポンプ
28:洗浄剤溶液供給ポンプ
29:高圧ポンプ
30:送液ポンプ
31:逆浸透膜非透過水無害化溶液貯槽
32:逆浸透膜非透過水無害化処理槽
33:逆浸透膜非透過水排水管
34:逆浸透膜非透過水無害化溶液供給ポンプ
50:ホース
51:流量計
52:ワンタッチ式ジョイント
53:通水ユニット開閉部
54:従来技術の通水ユニット
55a:“テフロン”(登録商標)リング
55b:逆浸透膜片
56:流量調節バルブ
57:リングフックのついたステンレス棒
58:流れの方向
60:分割可能な通水ユニット
60a:単位通水ユニット
61:分割可能な通水ユニットの通水面
62:逆浸透膜の膜片
65:評価部材
66:通水ユニット外側から着脱可能な固定部
67:通水ユニット外側から着脱可能な固定部(フタ用)
68:通水ユニット
100:原水取水部
200:前処理部
300:逆浸透膜ろ過部
501:原水取水口
502:透過水出口
503:濃縮水出口

Claims (18)

  1. 被処理水を浄化処理する水処理装置の運転方法であって、該水処理装置への供給対象水を、少なくとも下記(1)〜(4)のいずれかの方法で、経時的に複数回分の測定に基づいて、評価もしくは予測し、水処理装置の運転条件を決定することを特徴とする水処理装置の運転方法。
    (1)評価部材を交換可能な通水ユニットに通水するとともに、通水ユニットを経時的に交換しながら、評価部材の付着物量もしくは物性指標を測定する。
    (2)評価部材を取り外し可能な通水ユニットに通水するとともに、評価部材の付着物量もしくは物性指標を測定し、その後、同じ評価部材を通水ユニットに戻して、経時後に繰り返し物性指標を測定する。
    (3)分割取り外し可能な評価部材から構成される通水ユニットに通水するとともに、少なくともひとつの該評価部材を該通水ユニットから分割して取り外し、経時的に評価部材の付着物量もしくは物性指標を測定する。
    (4)評価部材を追加接続可能な通水ユニットに通水するとともに、評価部材を経時的に付け足し、一定時間通水後、評価部材の一部もしくは全部を取り外して各評価部材表面の付着物量もしくは評価部材の物性指標を測定する。
  2. 前記供給水質の評価もしくは予測が、少なくとも複数の測定値の差分、移動平均、最小自乗法で求められる近似式、予め決定した式に基づいた関係式に基づくことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置の運転方法。
  3. 前記通水ユニットにおいて、評価部材を交換あるいは付け足す間隔を、10分〜7日の間に1回以上行うことを特徴とする請求項1または2に記載の水処理装置の運転方法。
  4. 前記被処理水が原水を前処理した水であるとともに、前記水処理装置への供給ポイントより上流の少なくとも1つの場所を流れる水を採取し、前記通水ユニットによって通水、評価部材の水質指標を獲得し、その値に応じて、前記原水取水装置、前記前処理装置、および、前記水処理装置のうち、少なくとも1つの運転制御を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  5. 前記水質指標が予め定められた範囲内になった場合に水処理装置への被処理水供給を開始するか、もしくは、範囲内になることが予測された場合には、前記水処理装置の運転開始プロトコルを実行することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  6. 前記水質指標が予めを超えた場合は速やかに水処理装置へ被処理水の供給を停止するとともに、予め定められた値を超えることが予測された場合は、超えるまでの時間に応じて、水処理装置の運転停止プロトコルを実行してから停止することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  7. 前記通水ユニットが評価部材を含む単位通水ユニット複数を連結して形成され、前記単位通水ユニットは流れ方向の両端に接続部が設けられており、前記各単位通水ユニット内部に水処理装置に使用され、被処理水に接する構成部材表面同等以上の感受性を有する評価部材が配置されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  8. 前記水処理装置が、少なくとも分離膜、ろ材、吸着材のいずれかから構成されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  9. 前記評価部材が、前記水処理装置を構成する分離膜、または、ろ材、または、吸着材、または、配管部材のいずれかからなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  10. 前記分離膜が半透膜であることを特徴とする請求項9に記載の水処理装置の運転方法。
  11. 前記ろ材が、珪砂もしくは軽石であることを特徴とする請求項9または10に記載の水処理装置の運転方法。
  12. 前記吸着剤が活性炭もしくはイオン交換樹脂からなることを特徴とする請求項9または10に記載の水処理装置の運転方法。
  13. 前記評価部材の付着物量を、乾燥重量、TOC(全有機炭素量)、ATP(アデノシン三リン酸)量のいずれかで測定することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  14. 前記評価部材表面の付着物を物理的もしくは化学的手法で回収・除去した後、評価部材の物性測定を行うことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  15. 前記評価部材の物性指標変化を、評価部材の物理的特性、表面特性あるいは、分離特性の変化から算出することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  16. 前記物理的特性が、少なくとも、硬度、引張強度、引張伸度、のいずれかであることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  17. 前記表面特性が、少なくとも、表面元素組成、表面官能基密度、表面粗さ、表面開孔率、接触角、ゼータ電位のいずれかであることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
  18. 前記分離特性が、溶質阻止率、溶液もしくは溶媒の透過流束、溶媒透過係数および溶質透過係数であることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の水処理装置の運転方法。
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