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JP2016212771A - 非接触型ic付き情報記録媒体 - Google Patents

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JP2016212771A JP2015097952A JP2015097952A JP2016212771A JP 2016212771 A JP2016212771 A JP 2016212771A JP 2015097952 A JP2015097952 A JP 2015097952A JP 2015097952 A JP2015097952 A JP 2015097952A JP 2016212771 A JP2016212771 A JP 2016212771A
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Abstract

【課題】 ICチップが搭載された情報記録媒体に、透かしによる真偽判別機能に加え、同じ構成のアンテナ及びICチップを用いた偽造を防止することが可能な情報記録媒体と、その情報記録媒体を用いた冊子を提供する。
【解決手段】 非接触型IC付き情報記録媒体は、紙基材である第一の層、プラスチック基材である第二の層及び第三の層が、各層の同じ位置に光透過性を有する共通領域を有して順次積層されて成り、第一の層は、共通領域に透過模様である第1の画像を有し、第二の層は、共通領域の周囲にICチップ及びアンテナを有することを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、外部処理装置との通信を非接触で行うことができる非接触型のICチップが搭載された情報記録媒体及びそれを用いたパスポート、預金通帳、学生証、社員証等の身分を証明する冊子に関するものである。
従来、パスポートのように身分証明機能を有する冊子は、表紙の見返しに本人確認のための顔写真や個人情報が印字され、中身には査証等の必要事項が記入できる用紙が設けられている。用紙には、すき入れやパールインキ等の目視により真偽判別を行うことが可能な偽造防止要素が付与されている。渡航者の入出国審査では、不正な入出国を防止するために、人により、記載事項と前述した偽造防止要素の目視判別を行っている。
近年は、さらに、機械的な認識の必要性が高まっており、非接触型のICチップ及びアンテナを有するカード状の情報記録媒体を冊子に組み込むことで、目視による真偽判別機能に加えて、機械読取による真偽判別機能を併せ持ったものが種々提案されている。
例えば、特許文献1においては、中間層に光を拡散する領域及びICチップ及びアンテナを有するICシートを設けて、上層を中間層と隣接する位置にすき入れを有する用紙とし、下層を用紙とした、情報記録媒体を有する冊子が開示されている。冊子は、透過光下で、上層側から視認した場合、上層に形成したすき入れが中間層の光透過領域を介して視認可能となるが、下層側から視認した場合、中間層の光拡散機能により、すき入れを視認することはできない。
特許第5345685号公報
特許文献1により、透過模様とICチップを付与した情報記録媒体を有することで、透かしによる真偽判別機能に加えて、冊子内の情報の読み取りを行える機能を、併せ持つことが可能となった。しかしながら、特許文献1の冊子では、中間層が光拡散機能を有していることから、すき入れを、表裏から視認することができない。よって、すき入れを通常の印刷インキを用いて、印刷による模様として偽造製品を作製された場合、一見して反射画像と透過模様を区分けして視認することが困難となる。
本発明は、上記課題の解決を目的とするものであり、ICチップが搭載された情報記録媒体において、透かしによる真偽判別を、表裏いずれからも行うことが可能な情報記録媒体と、その情報記録媒体を用いた冊子を提供することである。
本発明の非接触型IC付き情報記録媒体は、紙基材である第一の層、プラスチック基材である第二の層及び第三の層が、各層の同じ位置に光透過性を有する共通領域を有して順次積層されて成り、第一の層は、共通領域に透過模様である第1の画像を有し、第二の層は、共通領域の周囲にICチップ及びアンテナを有することを特徴とする。
また、本発明の非接触型IC付き情報記録媒体は、第二の層及び/又は第三の層における共通領域に、透過模様である第2の画像を有して、第1の画像及び第2の画像による合成模様(10)が形成されたことを特徴とする。
また、本発明の非接触型IC付き情報記録媒体は、共通領域の周囲が、所定の不透明度を有して、ICチップ及びアンテナを隠蔽することを特徴とする。
さらに、本発明の非接触型IC付き情報記録媒体は、冊子への使用をすることを特徴とする。
本発明は、情報記録媒体を三層構成で形成し、各層の同じ位置に形成した共通領域に透過模様を有することで、透過光下において表裏いずれの面からも透過模様が視認可能となる。よって、透過模様の有無により真偽判別を行う場合、観察面に依存することなく、瞬時に判別を行うことが可能となる。
本発明の非接触型IC付き情報記録媒体を示す模式図である。 情報記録媒体の積層状態を示す模式図である。 情報記録媒体の他の積層状態を示す模式図である。 第一の層を示す平面図である。 第二の層を示す平面図及び断面図である。 第三の層を示す平面図である。 情報記録媒体(S)の視認状態を示す模式図である。 印刷部(7)を有する情報記録媒体(S)を示す平面図である。 隠蔽層(8)を有する情報記録媒体(S)を示す平面図である。 情報記録媒体(S)の変形例を示す模式図である。 情報記録媒体(S’)の視認状態を示す模式図である。 情報記録媒体(S、S’)の冊子(M)への使用を示す概略図である。 情報記録媒体(S、S’)の冊子(M)への綴じ込み方法を示す概略図である。
(第一の実施の形態)
本願発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本願発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
図1は、本発明の非接触型IC付き情報記録媒体(以下、「情報記録媒体」という。)(S)を示す模式図であり、図1(a)は、情報記録媒体(S)の平面図である。情報記録媒体(S)は、運転免許証、社員証等の個体識別を必要とするカードである。情報記録媒体(S)は、共通領域(Z)と、共通領域(Z)の周囲に形成された周辺領域(P)から成る。
共通領域(Z)は、光透過性を有し、透過模様である第1の画像(1)が形成され、周辺領域(P)は、ICチップ(2)及びアンテナ(3)を有する。
本発明において、光透過性を有するとは、透過濃度が0.9以下のことである。透過濃度は、検査対象物が光を透過し易いほど数値が低くなる。隣り合う二つの領域において、透過濃度の差が0.9を超える場合、隣り合う二つの領域を肉眼で区分けして視認することができない。よって、共通領域(Z)の透過濃度を0.9以下とすることで、共通領域(Z)とその周囲に形成された周辺領域(P)の透過濃度に肉眼で区分け可能となることから、反射光下においては、共通領域(Z)と周辺領域(P)を区別して視認することができないが、透過光下においては、共通領域(Z)と周辺領域(P)を区別して視認することが可能となる。よって、本発明においては、透過光下で第1の画像(1)が視認可能となるために、共通領域(Z)の透過濃度を0.9以下とする。なお、透過濃度は、エックスライト社製のポータブル透過濃度計341を用いて測定した。
図1(b)に示すように、情報記録媒体(S)を反射光下で視認した場合、第1の画像(1)は視認することができないが、図1(c)に示すように、透過光下で観察した場合、共通領域(Z)から第1の画像(1)を透過模様として視認することが、可能となる。
図2は、情報記録媒体(S)の積層状態を示す模式図であり、第一の層(4)、第二の層(5)及び第三の層(6)は、順次積層して成る。図2に示すように、第一の層(4)における共通領域(Z1)、第二の層(5)における共通領域(Z2)及び第三の層(6)における共通領域(Z3)は、同じ位置で重なって形成される。
図2において、共通領域(Z1、Z2、Z3)は同一形状としている。本発明における同一形状とは、大きさ(面積)も同一であることを意味するが、完全に同一の形状だけでなく、肉眼で同一とみなせる範囲で異なる形状も含む。第二の層(5)の共通領域(Z2)は、前述した第一の層(4)の共通領域(Z1)及び後述する第三の層(6)の共通領域(Z3)と同一形状である。各層の共通領域(Z1、Z2、Z3)を同一形状とし、かつ、同じ位置となるように積層して配置することで、情報記録媒体(S)と成った際に、実際は三層構成であるが、単層構成のように視認することが、可能となる。
なお、情報記録媒体(S)の表裏面からいずれも透過光下で第一の画像(1)が視認可能であれば、共通領域(Z1、Z2、Z3)は、同一形状に限らず、図3に示すように各層で異なる形状としても良い。各層を異なる形状とした場合、情報記録媒体(S)において、一つの共通領域から成る箇所と、複数の共通領域が積層して成る箇所で、透過光量に差が生じる。よって、肉眼では透過光量の差により、濃淡(階調)を有る領域として視認することが、可能となる。
以下、第一の層(4)における共通領域(Z1)、第二の層(5)における共通領域(Z2)及び第三の層(6)における共通領域(Z3)が積層して成る、情報記録媒体(S)の共通領域を指す場合には、「共通領域(Z)」と記す。また、第一の層(4)における周辺領域(P1)、第二の層(5)における周辺領域(P2)及び第三の層(6)における周辺領域(P3)が積層して成る、情報記録媒体(S)の周辺領域を指す場合には、「周辺領域(P)」と記す。次に、本発明の情報記録媒体(S)について、詳細に説明する。
まず、第一の層(4)について説明する。
図4は、第一の層(4)を示す平面図であり、共通領域(Z1)とその周囲に形成された周辺領域(P1)から成る。第一の層(4)は、上質紙やコート紙のように、光を透過する特性、いわゆる光透過性を有する紙基材とする。不透明なプラスチックや金属では、透過光下での効果は得られない。
また、紙基材とすることで、情報記録媒体(S)上に、所有者を示す個人情報や、地紋模様等を施す場合の印刷適性が向上する。
なお、第一の層(4)は、共通領域(Z1)と周辺領域(P1)で光透過性が異なっても良い。例えば、光透過性の低い紙基材では、共通領域(Z1)のみに、白すき入れや浸透インキをベタで施すことで、光透過性を上げた後、共通領域(Z1)に透過模様である第1の画像(1)構成とすることも可能である。
共通領域(Z1)は、透過模様である第1の画像(1)を有する。第1の画像(1)は、すき入れ、レーザ穿孔、透かしインキを用いた印刷等、第1の画像(1)を透過光下で視認可能とする構成であれば、形成方法に特に限定はないが、反射光下において、第1の画像(1)を、周辺領域(P1)と区別することなく視認することが可能であり、第1の画像(1)の隠蔽性が向上する構成としては、すき入れが好ましい。
なお、レーザ穿孔で第1の画像(1)を形成した場合、情報記録媒体(S)を繰り返し使用した際に、穿孔箇所から第一の層(4)が破損し、耐久性が低下する可能性がある。よって、レーザ穿孔で形成した場合、必要に応じて、第1の画像(1)を覆うように、ラミネート加工を施すことが、好ましい。
また、透かしインキには、白すき入れのように、紙基材の光透過性を向上させて透過模様を形成する浸透インキと、黒すき入れのように、紙基材の光透過性を低下させて透過模様を形成する、チタンや酸化鉄を含む光遮断性インキがあるが、反射光下において、第1の画像(1)が、他の領域と区別できず、かつ、透過光下では視認可能であれば、特に限定はない。さらには、浸透インキと光遮断性インキを組み合わせて、階調を有する透過模様として第1の画像(1)を形成しても良い。
第一の層(4)における共通領域(Z1)の色は、反射光下で第1の画像(1)を視認不可能とし、透過光下において第1の画像(1)を視認可能とする色であれば、特に限定はないが、第1の画像(1)と反射光下で等色が好ましい。第1の画像(1)と等色とすることで、反射光下では第1の画像(1)と共通領域(Z1)を区分けして視認することが、不可能となる。なお、本発明における等色とは、二つの色を反射光下で視認した際に区別することができない又は区別することが困難な色相の差異を含むものである。
本発明における情報記録媒体(S)は、前述のとおり、第一の層(4)のみで構成されるのではなく、第一の層(4)、第二の層(5)及び第三の層(6)という三層から成る積層構成である。よって、第一の層(4)における共通領域(Z1)、及び後述する第二の層(5)の共通領域(Z2)及び第三の層(6)の共通領域(Z3)は、いずれも一層のみで透過光下で第1の画像(1)が視認可能となるような、光透過性を有する材質又は色とするのではなく、三層のそれぞれの共通領域(Z1、Z2、Z3)が積層した際に、透過光下において第1の画像(1)を視認可能となるように、光透過性を有する材質又は色を適宜設定する。
なお、三層が積層した際の、共通領域(Z)及び周辺領域(P)については、各層の構成を説明した後に後述する。
次に、第二の層(5)について説明する。
図5(a)は、第二の層(5)を示す平面図である。第二の層(5)は、共通領域(Z2)と周辺領域(P2)から成る。第二の層(5)の共通領域(Z2)は、前述した第一の層(4)の共通領域(Z1)及び後述する第三の層(6)の共通領域(Z3)と同一形状である。
第二の層(5)は、塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂や、合成の高い紙等、前述した第一の層(4)と熱圧着が可能であり、かつ、透過模様を形成可能な材料であれば特に限定はないが、プラスチック材料から成る基材が好ましい。
プラスチック材料は、加熱すると徐々に軟化し、軟化の程度が進んだ後に溶融する性質を有する。よって、第一の層(4)、第二の層(5)及び第三の層(6)を積層した後、加熱圧着することで、溶融したプラスチック材料の一部が、紙基材である第一の層(4)に浸透した後固化することで、より各層を密着した構成とすることが、可能となる。
プラスチック材料は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G(ポリエチレンテトラフタレートグレインドエチレングリコール)等公知の樹脂を用いることが、可能である。
なお、第二の層(5)を、紙基材、二軸延伸PETシート等の加熱により軟化しない材料を用いる場合、第二の層(5)と他の層(4、6)を接着させるために、第二の層(5)の表面及び裏面全体に、熱により融着する接着剤をあらかじめ付与しておく必要がある。
第二の層(5)は、周辺領域(P2)に、非接触で外部と情報の授受が可能なICチップ(2)と、ICチップ(2)に対して非接触で通信するアンテナ(3)を備えている。ICチップ(2)及びアンテナ(3)は、情報記録媒体(S)の持ち主や真偽を確認する場所に設けられた、ICリーダから送信される電波を、アンテナ(3)で受信すると共に、アンテナ(3)から応答電波を送信することで、ICリーダがこれを受信し、ICチップ(2)のメモリに記憶されている情報の読み取りや、情報の書き込みを行えるように構成されている。
図5(b)及び図5(c)は、図5(a)におけるA−A’断面図である。ICチップ(2)及びアンテナ(3)は、第二の層(5)を構成するプラスチック材料と接していれば、図5(b)に示すように、第二の層(5)を構成するプラスチック材料内に埋没された構成、又は、図5(c)に示すように、第二の層(5)を構成するプラスチック材料の上に配置された構成等、特に限定はない。
第二の層(5)における共通領域(Z2)の色は、透過光下において第1の画像(1)を視認可能とする色であれば、特に限定はないが、第1の画像(1)を情報記録媒体(S)の表裏面から透過模様として視認可能とするために、透過性を有する必要がある。なお、第二の層(5)における共通領域(Z2)の透過性は、前述した第一の層(4)における共通領域(Z1)の透過性と同等とする。
また、第二の層(5)における周辺領域(P2)の色は、特に限定はない。なお、第二の層(5)においても、前述した第一の層(4)と同様に、共通領域(Z2)と周辺領域(P2)が、異なる材料から成る構成としても良い。
次に、第三の層(6)について説明する。
図6は、第三の層(6)を示す平面図である。第三の層(6)は情報記録媒体(S)に耐久性を付与するために設ける層であり、共通領域(Z3)と周辺領域(P3)から成る。
第三の層(6)は、塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂や、合成の高い紙等、前述した第二の層(5)と熱圧着が可能な材料であれば特に限定はないが、プラスチック材料から成る基材が好ましい。
前述のとおり、本発明の情報記録媒体(S)は、運転免許証、社員証等の個体識別を必要とするカードであることから、長期に渡り使用及び携帯されるとともに、認証時では、外部処理装置との通信を非接触で行う必要がある。
よって、第三の層(6)は、耐水性、耐折り曲げ性、耐薬品性等の耐久性を付与するために、紙基材ではなく、紙基材よりも耐久性に優れた、プラスチック材料とすることが、好ましい。
なお、第三の層(6)を構成するプラスチック材料については、前述した第二の層(5)と同様であることから、説明を省略する。
第三の層(6)における共通領域(Z3)は、透過光下において、第1の画像(1)を視認可能とする色であれば、特に限定はないが、第1の画像(1)を情報記録媒体(S)の表裏面から透過模様として視認可能とするために、透過性を有する必要がある。なお、第三の層(6)における共通領域(Z3)の透過性は、前述した第一の層(4)における共通領域(Z1)の透過性と同等とする。
第三の層(6)における周辺領域(P3)の色は、特に限定はない。
なお、第三の層(6)においても、前述した第一の層(4)及び第二の層(5)と同様に、共通領域(Z3)と周辺領域(P3)が、異なる材料から成る構成としても良い。
以上、本発明の情報記録媒体(S)は、偽造を行おうとする者が、情報記録媒体(S)に付与された、ICチップ(2)及びアンテナ(3)を改ざんするために分解した場合、第二の層(5)と接着した第一の層(4)に形成された第1の画像(1)が、剥離により破壊されるため、復元することが不可能となり、偽造品を作製することが困難になる。さらには、透過光下において、透過模様が破壊されているか否かという簡易な目視判別により情報記録媒体(S)の真偽を判別することが、可能となる。
次に、情報記録媒体(S)の視認状態について説明する。
図7(a)は、情報記録媒体(S)を反射光下において観察した際の模式図である。反射光下では、第1の画像(1)は、共通領域(Z)と等色であることから、肉眼で区分けして視認することができない。
図7(b)は、情報記録媒体(S)を透過光下において観察した際の模式図である。透過光下において、透過模様である第1の画像(1)が、肉眼で視認可能となる。また、共通領域(Z)は透過性を有することから、第1の層(4)側及び第3の層(6)のいずれかの層側から観察した場合でも、第1の画像(1)を透過模様として視認することが、可能となる。
以上、情報記録媒体(S)を反射光下で観察した場合、第1の画像(1)は、肉眼で視認されないが、透過光下において観察した場合、表裏どちらの面からも、第1の画像(1)が視認可能となる。よって、情報記録媒体(S)の真偽判別を行う場合、従来のICリーダを用いた機械読取による識別に加えて、透過光下という道具を用いない簡易な識別を行うことが、可能となる。
なお、本発明の偽造防止媒体(S)は、図8に示すように、表裏面となる第一の層(4)及び第三の層(6)の少なくとも一つの層上に、偽造防止媒体(S)の保有者に関する個人情報や、地紋模様、微小文字、絵柄等の印刷部(7)をさらに付与しても良い。第一の層(4)における第1の画像(1)上に印刷部(7)を設けた場合、反射光下に置いて第1の画像(1)を隠蔽する効果を奏する。
また、本発明の偽造防止媒体(S)における周辺領域(P)は、無色透明以外の、反射光下でICチップ(2)及びアンテナ(3)を隠蔽する色とすることが、好ましい。ICチップ(2)及びアンテナ(3)が、反射光下で視認不可能となることで、ICチップ(2)及びアンテナ(3)の種類及び型番等の構成が、情報記録媒体(S)を分解しないと知ることができない。よって、同じ構成のICチップ(2)及びアンテナ(3)を用いた偽造を防止することが可能となる。
なお、各層(4、5、6)の周辺領域(P)は、ICチップ(2)及びアンテナ(3)を隠蔽するために、反射光下で、ICチップ(2)及びアンテナ(3)が視認されないような、チタン白やカーボンブラック等の不透明度が90%以上の材料を適宜選択する。なお、本発明における不透明度の測定には、村上色彩技術研究所製ISO白色度対応高速分光光度計を使用する。
さらには、図9(b)に示すように、第二の層(5)におけるICチップ(2)及びアンテナ(3)が配置された箇所と隣接する、第三の層(6)を厚くすることで、ICチップ(2)及びアンテナ(3)を有する周辺領域(P)を隠蔽する構成としても良い。
次に、情報記録媒体(S)の変形例について説明する。
図10は、情報記録媒体(S)の変形例を示す模式図である。前述した情報記録媒体(S)は、多層構成から成る層構成のうち、一つの層に付与された画像が、透過模様として視認可能な構成であったが、変形例では、二つ以上の層に付与された複数の画像から成る合成模様(10)が、透過模様として視認可能な構成とする。以下、変形例について説明する。
図10(a)に示す情報記録媒体(S’)は、透過光下において視認可能な合成模様(10)を有する。情報記録媒体(S’)は、図10(b)に示す第一の層(4)、図10(c)に示す第二の層(5)及び図10(d)に示す第三の層(6)が順次積層して成る。なお、各層の積層構成については、図2を用いて説明した積層構成と同様であることから、説明を省略する。
図10(b)に示す第一の層(4)の共通領域(Z1)は、透過模様であり、三枚の花びらの形状を示す第1の画像(1)を有し、図10(c)に示す第二の層(5)の共通領域(Z2)は、透過模様であり、一枚の花びらの形状を示す第2aの画像(9a)を有し、図10(d)に示す第三の層(6)の共通領域(Z3)は、透過模様であり、一枚の花びらの形状を示す第2bの画像(9b)を有する。
なお、第二の層(5)と第三の層(6)に形成された画像を区分けして説明する場合には、第二の層(5)に形成された透過模様を「第2aの画像(9a)」と記し、第三の層(6)に形成された透過模様を「第2bの画像(9b)」と記し、二つの画像を併せて説明する場合には、「第2の画像(9)」と記す。
変形例では、第一の層(4)に加え、第二の層(5)における共通領域(Z2)及び第三の層(6)における少なくとも一方の層における共通領域(Z3)に、透過模様である第2の画像(9)を有する。さらに、合成模様(10)は、第1の画像(1)及び第2の画像(9)から成る。例えば、図10では、第1の画像(1)及び第2の画像(9)により、五枚の花びらの形状を示す合成模様(10)となる。
それにより、各層(4、5、6)が積層され、情報記録媒体(S’)となった場合、図11(a)に示すように、反射光下においては、前述した情報記録媒体(S)と同様に何も視認されないが、図11(b)に示すように、透過光下では、第1の画像(1)及び第2の画像(9)の合成模様(10)が、透過模様として視認可能となる。
また、合成模様(10)は、肉眼で五枚の花びらから成る一つの花として視認されるが、実際には異なる層に形成された、三つの画像から成る模様である。よって、情報記録媒体(S’)を剥離により改ざんを行おうとした場合、合成模様(10)が一つの層に形成した場合と比べ、より複雑に破壊され、各層が有していた第1の画像(1)及び第2の画像(9)の形状を特定することが困難となることから、偽造防止効果が向上する。
なお、透過模様である第2の画像(9)を形成する材料及び方法については、前述した第1の画像(1)と同様であることから、説明を省略する。
変形例では、第二の層(5)及び第三の層(6)が、いずれも第2の画像(9)を有していたが、どちらか一つの層に有する構成でも良い。
図1から図11に示す情報記録媒体(S、S’)は、パスポート、通帳等、身分証明を必要とする冊子の中に組み込んで使用することが、可能である。
図12(a)は、情報記録媒体(S、S’)の冊子(M)への使用を示す概略図である。図12では、パスポートとした冊子(M)を以下説明する。
冊子(M)は、筆記や捺印が可能な複数の頁からなる中身用紙(11)を有しており、この冊子(M)に、情報記録媒体(S、S’)を組み込む。組み込み方法としては、例えば、表紙(12)の内側に情報記録媒体(S、S’)を貼り付けるか、又は、綴じ糸を用いて綴じ込む。また、図12(a)に示すように、中身用紙(11)の最上部に位置する一頁(11T)を表紙(12)に貼り付ける構成としても良い。
冊子(M)として使用した場合においても、図12(a)に示すように、第一の層(4)側及び第三の層(6)側、いずれの視点(E1、E2)からも、透過光下において、第1の画像(1)を視認することが、可能となる。
なお、冊子(M)に情報記録媒体(S、S’)を綴じ込む場合、図12(b)に示すように、第二の層(5)は、第一の層(4)及び第三の層(6)よりも、小さいことが、好ましい。第二の層(5)は、ICチップ(2)及びアンテナ(3)を有することから、第一の層(4)及び第三の層(6)よりも厚くなり、冊子(M)内に綴じ糸を用いて綴じ込むのが、困難となる
よって、第一の層(4)及び第三の層(6)により第二の層(5)を挟持するとともに、第一の層(4)及び第三の層(6)の長辺である綴じ込み部(L)を冊子(M)内に綴じ込むことで、容易になる。
なお、情報記録媒体(S、S’)は、図13に示すように、あらかじめ、第一の層(4)及び第三の層(6)の綴じ込み部(L)を冊子(M)に綴じ込んだのち、後から第二の層(5)を挟み込むことで、冊子(M)に綴じ込む構成としても良い。
また、情報記録媒体(S、S’)の大きさは、冊子(M)と略同じ大きさでも、冊子(M)と同じ大きさでなくても良いが、パスポートや通帳のように冊子(M)を二つ折りにして使用する際には、冊子(M)よりも小さい方が、好ましい。情報記録媒体(S、S’)を冊子(M)よりも小さくすることで、二つ折りにした際に、表紙(12)により情報記録媒体(S、S’)の表裏面に加えて、側面も保護することが可能となる。
1 第1の画像
2 ICチップ
3 アンテナ
4 第一の層
5 第二の層
6 第三の層
7 印刷部
8 隠蔽層
9 第2の画像
9a 第2aの画像
9b 第2bの画像
10 合成模様
11、11T 中身用紙
12 表紙
Z、Z1、Z2、Z3 共通領域
P、P1、P2、P3 周辺領域
S、S’ 非接触型IC付き情報記録媒体
M 冊子

Claims (4)

  1. 紙基材である第一の層、プラスチック基材である第二の層及び第三の層が、各層の同じ位置に光透過性を有する共通領域を有して順次積層されて成り、
    前記第一の層は、前記共通領域に透過模様である第1の画像を有し、
    前記第二の層は、前記共通領域の周囲にICチップ及びアンテナを有することを特徴とする非接触型IC付き情報記録媒体。
  2. 前記第二の層及び/又は前記第三の層における共通領域に、透過模様である第2の画像を有して、前記第1の画像及び前記第2の画像による合成模様が形成されたことを特徴とする請求項1記載の非接触型IC付き情報記録媒体。
  3. 前記共通領域の周囲が、所定の不透明度を有して、前記ICチップ及び前記アンテナを隠蔽することを特徴とする請求項1又は2記載の非接触型IC付き情報記録媒体。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項記載の非接触型IC付き情報記録媒体の冊子への使用。
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