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JP2016204636A - 両性イオン型ボレート塩、及びこれを含んでなる硬化性樹脂組成物 - Google Patents

両性イオン型ボレート塩、及びこれを含んでなる硬化性樹脂組成物 Download PDF

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JP2016204636A
JP2016204636A JP2016063049A JP2016063049A JP2016204636A JP 2016204636 A JP2016204636 A JP 2016204636A JP 2016063049 A JP2016063049 A JP 2016063049A JP 2016063049 A JP2016063049 A JP 2016063049A JP 2016204636 A JP2016204636 A JP 2016204636A
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group
carbon atoms
synthesis
compound
borate salt
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Application number
JP2016063049A
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篤志 白石
Atsushi Shiraishi
篤志 白石
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】安定性に優れ、硬化性樹脂や重合性モノマーと配合させた場合の硬化性樹脂や重合性モノマーへの溶解性に優れたボレート塩を提供することを目的とする。【解決手段】一般式(1)で表される両性イオン型ボレート塩及び両性イオン型ボレート塩と硬化性化合物とを含む硬化性樹脂組成物を用いる。一般式(1)中、Yは一般式(2)で表される基又は一般式(3)で表される基が好ましく、R1は炭素数6〜18のアリール基が好ましい。硬化性化合物は分子内に2つ以上のグリシジル基を有する化合物(J)であり、更に分子内に2つ以上の活性水素含有基を有する化合物(K)又は酸無水物(L)を含有することが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、両性イオン型ボレート塩に関する。さらに詳しくは加熱または光照射によって硬化させる材料、例えば光照射によって硬化させた場合に露光部と未露光部の現像液への溶解性差を利用してパターン等を形成する製品及び部材(例えば、電子部品、光学製品、光学部品の形成材料、層形成材料または接着剤等)等の製造に好適に用いられる両性イオン型ボレート塩、及びこれを含んでなる低温硬化性に優れる硬化性樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と架橋剤からなる硬化性組成物はIC封止材料等の電気・電子材料として用いられており、硬化に用いる触媒としてはイミダゾール及びアミジン等のアニオン硬化触媒が用いられており、硬化性の優れた触媒は安定性を確保するために冷蔵保管する必要があった。
硬化性と保存性に優れたアニオン潜在性触媒として、ボレート塩として一分子中にホスホニウムカチオンとホウ素アニオンとを有する両性ボレート塩が知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のボレート塩は硬化性樹脂や重合性モノマーと配合させた場合に硬化性樹脂や重合性モノマーへの溶解性が低いことや、感光性ポリイミドに環化反応によるイミド化反応を十分に進行させるには300℃以上の温度での加熱が必要となりポリイミド膜のクラックの発生が問題となる場合があった。
特開2000−128912号公報
本発明の目的は、安定性に優れ、硬化性樹脂や重合性モノマーと配合させた場合の硬化性樹脂や重合性モノマーへの溶解性に優れたボレート塩を提供すること、従来よりも低い温度で反応が進行して良好なパターン形成性を有する硬化性樹脂組成物を提供することことにある。
本発明者は、前記問題点を解決すべく鋭意検討の結果、新規なボレート塩を見出すに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)で表される両性イオン型ボレート塩及び前記両性イオン型ボレート塩と硬化性化合物を含む硬化性樹脂組成物である。
[式(1)中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数7〜24のアラルキル基若しくは炭素数6〜18のアリール基又はこれらの基が有する少なくとも一つの水素原子が酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基、窒素原子を有する基若しくはハロゲノ基で置換された基であり、Aは4価共有結合窒素原子を有する基であり、Bはアニオン性ホウ素原子であり、YはAが有する4価共有結合窒素原子とアニオン性ホウ素原子とを結合する二価の有機基である。]
本発明により得られるボレート塩は硬化性樹脂や重合性モノマーと配合させた場合の貯蔵安定性・溶解性に優れ、加熱または光照射によって硬化させる場合優れた硬化性を示し、これを含む硬化性樹脂組成物は、従来よりも低い温度で反応が進行して優れたパターン形成性を有する。
本発明のボレート塩は一般式(1)で表される。
はそれぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数7〜24のアラルキル基若しくは炭素数6〜18のアリール基又はこれらの基が有する少なくとも一つの水素原子が酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基、窒素原子を有する基若しくはハロゲノ基で置換された基であり、Aは4価共有結合窒素原子を有する基であり、Bはアニオン性ホウ素原子であり、YはAが有する4価共有結合窒素原子とアニオン性ホウ素原子とを結合する二価の有機基である。
炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基及びn−オクタデシル基等)、分岐アルキル基(イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基及び1,1,3,3−テトラメチルブチル基等)、シクロアルキル基(シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル基、アダマンチル基及びピナニル基等)等が挙げられる。中でも好ましくは原料の入手しやすさ等の観点から、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基である。
炭素数2〜18のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基及び2−メチル−2−プロペニル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル基及び3−シクロヘキセニル基等)及びアリールアルケニル基(スチリル基及びシンナミル基等)が挙げられる。中でも好ましくは原料入手しやすさ等の観点から、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、3−シクロヘキセニル基、スチリル基及びシンナミル基である。
炭素数2〜18のアルキニル基としては、直鎖又は分岐のアルキニル基(エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基、1−ぺンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−メチル−2−ブチニル基、3−メチル−1−ブチニル基、1−ヘキシニル基、1−デシニル基、2−デシニル基、8−デシニル基、1−ドデシニル基、2−ドデシニル基及び10−ドデシニル基
等)及びアリールアルキニル基(フェニルエチニル基等)等が挙げられる。中でも好ましくは原料の入手しやすさ等の観点から、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ヘキシニル基及びフェニルエチニル基である。
炭素数6〜18のアリール基としては、単環式アリール基(フェニル基等)、縮合多環式アリール基(ナフチル基、アントラセニル基、フェナンスレニル基、アントラキノリル基、フルオレニル基及びナフトキノリル基等)、芳香族複素環炭化水素基[単環式複素環炭化水素基(チエニル基、フラニル基、ピラニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基及びピラジニル基等)並びに縮合多環式複素環炭化水素基(インドリル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、イソベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、キサンテニル基、チアントレニル基、フェノキサジニル基、フェノキサチイニル基、クロマニル基、イソクロマニル基、クマリニル基、ジベンゾチエニル基、キサントニル基、チオキサントニル基及びジベンゾフラニル基等)]等が挙げられる。中でも好ましくは原料の入手しやすさ等の観点から、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、キノリル基、キノキサリニル基、カルバゾリル基、キサンテニル基、チアントレニル基、クマリニル基、キサントニル基及び、チオキサントニル基である。
炭素数7〜24のアラルキル基としては、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、9−アントラセニルメチル基、9−アントラセニルエチル基、2−チアントレニルエチル基、3−チオキサントニルメチル基、3−チオキサントニルエチル基、3−カルバゾリルメチル基及び3−カルバゾリルエチル基等が挙げられる。中でも好ましくは原料の入手しやすさ等の観点から、ベンジル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、9−アントラセニルメチル基、2−チアントレニルエチル基、3−チオキサントニルメチル基及び3−カルバゾリルエチル基である。
これらの基が有する少なくとも1つの水素原子を置換する硫黄原子を有する基、酸素原子を有する基、窒素原子を有する基及びハロゲノ基のうち、硫黄原子を有する基、酸素原子を有する基及び窒素原子を有する基としては、ニトロ基(−NO)、水酸基(−OH)、シアノ基(−CN)、アミノ基(−NH)、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数2〜15のアシル基、炭素数2〜15のアシロキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数6〜14のアリールチオ基及び炭素数1〜28の置換アミノ基が挙げられる。
水素原子を置換する酸素原子を有する基である炭素数1〜8のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、iso−ペントキシ基、neo−ペントキシ基及び2−メチルブトキシ基等が挙げられる。
炭素数6〜14のアリールオキシ基としては、フェノキシ基及びナフトキシ基等が挙げられる。
水素原子を置換する酸素原子を有する基である炭素数2〜15のアシル基としては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアシル基及び炭素数6〜14のアリール基を有するアシル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基を有するアシル基としては、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基及びピバロイル基等が挙げられ、炭素数6〜14のアリール基を有するアシル基としては、ベンゾイル基等が挙げられる。
水素原子を置換する酸素原子を有する基である炭素数2〜15のアシロキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアシロキシ基及び炭素数6〜14のアリール基を有するアシロキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基を有するアシロキシ基としては、アセトキシ基及びブタノイルオキシ基等が挙げられ、炭素数6〜14のアリール基を有するアシロキシ基としては、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
水素原子を置換する硫黄原子を有する基である炭素数1〜8のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基及びシクロヘキシルチオ基等が挙げられる。
炭素数6〜14のアリールチオ基としては、フェニルチオ基及びナフチルチオ基等が挙げられる。
水素原子を置換する窒素原子を有する基である炭素数1〜28の置換アミノ基の好ましいものとしては、炭素数1〜8のアルキル基が結合したジアルキルアミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基及びジブチルアミノ基等)、炭素数1〜8のアルキル基が結合したアルキルアミノ基(メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ヘキシルアミノ基及びシクロヘキシルアミノ基等)並びに炭素数2〜8の2価の炭化水素基が結合した環状アミノ基(ピペリジノ基及びモルホリノ基等)等が挙げられる。
水素原子を置換するハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基等が挙げられる。
これら酸素原子有する基、硫黄原子有する基、窒素原子を有する基及びハロゲノ基のうち、水素原子を置換する基としては、両性イオン型ボレート塩の溶剤溶解性の観点から、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数6〜14のアリールチオ基、炭素数1〜28の置換アミノ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基が好ましい。
更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数6〜14のアリールオキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキル基が結合したアルキルアミノ基、2価の炭化水素基が結合した環状アミノ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基であり、特に好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、フルオロ基、クロロ基及びブロモ基である。
は4価共有結合窒素原子を有する基を表し、以下のものが挙げられる。
アンモニオ基(アンモニオ基、ブチルアンモニオ基、オクチルアンモニオ基、ジメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基、ジイソプロピルエチルアンモニオ及びフェニルジメチルアンモニオ基等);
ピロリジニオ基(N−メチルピロリジニオ基、N−メチル−2,5−ジメチルピロリジニオ基及びN−エチルピロリジニオ基等);
ピペリジニオ基(N−メチルピペリジニオ基、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジニオ基およびN−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニオ基等);
キヌクリジニオ基(キヌクリジニオ基及び3−ヒドロキシキヌクリジニオ基等);
モルホリニオ基(N−メチルモルホリニオ基等);
イミダゾリニオ基(N−メチルイミダゾリニオ基及びN−エチルイミダゾリニオ基等)

アミジニオ基(N−メチルテトラヒドロピリミジニオ基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニオ基及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニオ基等);
グアニジオ基(ペンタメチルグアニジオ基及び2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジオ基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセニオ基、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセニオ基等);
イミダゾリオ基(N−メチルイミダゾリオ基及びN−エチルイミダゾリオ基等);
チアゾニオ基(ベンゾチアゾニオ基等);
ピリジニオ基(ピリジニオ基、4,4−ジメチルアミノピリジニオ基、4−オクチルピリジニオ基等);
キノリニオ基(キノリニオ基等);
イソキノリニオ基(イソキノリニオ基等);
アクリジオ基(アクリジオ基等)。
これらアンモニウム基の中でも、アンモニオ基、アルキルアンモニオ基(ブチルアンモニオ基、オクチルアンモニオ基、ジメチルアンモニオ基、トリエチルアンモニオ基、ジイソプロピルエチルアンモニオ及びフェニルジメチルアンモニオ基等)、ピロリジニオ基(N−メチルピロリジニオ基、N−メチル−2,5−ジメチルピロリジニオ基及びN−エチルピロリジニオ基等)、ピペリジニオ基(N−メチルピペリジニオ基、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジニオ基及びN−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニオ基等)、キヌクリジニオ基(キヌクリジニオ基及び3−ヒドロキシキヌクリジニオ基等)、モルホリニオ基(N−メチルモルホリニオ基等)、イミダゾリニオ基(N−メチルイミダゾリニオ基及びN−エチルイミダゾリニオ基等)、アミジニオ基(N−メチルテトラヒドロピリミジニオ基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニオ基及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニオ基等)、グアニジオ基(ペンタメチルグアニジオ基及び2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジオ基、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセニオ基、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセニオ基等)、イミダゾリオ基(N−メチルイミダゾリオ基及びN−エチルイミダゾリオ基等)が好ましい。
YはAが有する4価共有結合窒素原子とアニオン性ホウ素原子とを結合する2価の有機基である。
2価の有機基としては、炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数2〜18のアルキニレン基及び炭素数7〜24のアラルキレン基並びにこれら炭化水素基が有する少なくとも1つの水素原子が酸素原子を有する基で置換された基(ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、エステル基等)、硫黄原子を有する基で置換された基(メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホキシド基、スルホニル基等)、窒素原子を有する基(アミノ基、アミド基及びウレア基等)又はハロゲノ基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基及びヨード基等)で置換された基並びにこれらの炭化水素基が有する炭素原子の一部が酸素原子を有する基(エーテル基、ケト基及びエステル基等)、窒素原子を有する基(イミノ基、アミド基及びウレア基等)又は硫黄原子を有する基(チオエーテル基、スルフィド基、スルホキシド基、スルホニル基及びチオエステル基等)等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2−メチルプロピレン基、へキシレン基、オクチレン基、ドデシレン基、オクタデシレン基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロペンタン−1,1−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]−2,5−へプチレン基及びビシクロ[2.2.2]−2,3
−オクチレン基等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子が酸素原子を有する基で置換された基としては、メトキシメチレン基、1−メトキシエチレン基、2−ブトキシプロピレン基、3,3−ジメトキシブチレン基、2−メチル−3−エトキシプロピレン基、3−アセトキシへキシレン基、4−ピバロイルオキシオクチレン基、6−ヒドロキシドデシレン基、2−フェノキシオクタデシレン基及び2,3−エトキシ−シクロヘキサン−1,4−ジイレン基等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子が硫黄原子を有する基で置換された基としては、メチルチオメチレン基、1−エチルチオエチレン基、2−フェニルチオプロピレン基、3,3−ジチオシクロヘキシルブチレン基、2−メチルスルホニルプロピレン基、3−アセチルチオへキシレン基、4−フェニルスルフェニルオクチレン基、6−メルカプトドデシレン基及び2−フェニルチオオクタデシレン基等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子が窒素原子を有する基で置換された基としては、アセトアミドメチレン基、1−ジメチルアミノエチレン基、2−ジシクロヘキシルアミノプロピレン基、6−アミノドデシレン基及び2−メチルウレイドオクタデシレン基等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲノ基で置換された基としては、ジフルオロメチレン基、1,2−ジクロロエチレン基、3−ブロモシクロヘキサン−1,4−ジイレン基及び2−ヨードメチルプロピレン基等が挙げられる。
これらのアルキレン基の有する炭素原子の一部が酸素原子を有する基で置換された基としては、2−オキサプロピレン基、3−オキサプロピレン基、5−メチル−5−アザオクチレン基、3,6−ジオキサオクチレン基、3,6,9−トリオキサウンデシル基及び3−オキソ−1−ブチレン基、メチレンカルボキシエチレン基(−CHCOOC−)、6−オキソドデシレン基等が挙げられ、窒素原子を有する基で置換された基としては、2−アザプロピレン基、メチレンカルバモイルエチレン(−CHCONHC−)基及びジエチレンウレイレン基(−CNHCONHC−)等が挙げられ、硫黄原子を有する基で置換された基としては、2−チアプロピレン基、4−チアへキシレン基、メチレンスルホニルメチレン基(−CHSOCH−)及びエチレンスルフィニルプロピレン基(−CSOC−)等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−メチルプロペニレン基、1−へキセニレン基、2−へキセニレン基、1−オクテニレン基、1−ドデセニレン基、1−オクタデセニレン基、2−シクロヘキセン−1,4−ジイル基、2−シクロペンテン−1,1−ジイル基、ビシクロ[2.2.1]−2−へプテン−2,5−ジイル基及びビシクロ[2.2.2]−5−オクテン−2,3−ジイル基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニレン基が有する少なくとも1つの水素原子が酸素原子を有する基で置換された基としては、1−メトキシエテニレン基、2−ブトキシプロペニレン基、3,3−ジメトキシ−1−ブテニレン基、2−メチル−3−エトキシプロペニレン基、3−アセトキシ−1−へキセニレン基、4−ピバロイルオキシ−1−オクテニレン基、6−ヒドロキシ−1−ドデセニレン基、2−フェノキシ−1−オクタデセニレン基及び5,6−エトキシ−2−シクロヘキセン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニレン基が有する少なくとも1つの水素原子が硫黄原子を有する基で置換された基としては、1−メチルチオエテニレン基、1−エチルチオプロペニレン基、2−フェニルチオプロペニレン基、3,3−ジチオシクロヘキシル−1−ブテニレン基、2−メチルスルホニルプロペニレン基、3−アセチルチオ−1−へキセニレン基、4−フェニルスルフェニル−1−オクテニレン基、6−メルカプト−2−ドデセニレン基及び2−フェニルチオ−1−オクタデセニレン基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニレン基が有する少なくとも1つの水素原子が窒素原子を有する基で置換された基としては、アセトアミドエテニレン基、1−ジメチルアミノエテニレン基、2−ジシクロヘキシルアミノプロペニレン基、6−アミノ−1−ドデセニレン基及び2−メチルウレイド−1−オクタデセニレン基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニレン基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲノ基で置換された基としては、1,2−ジフルオロエテニル基、1,2−ジクロロエテニル基、3−ブロモ−2−シクロヘキセン−1,4−ジイル基及び2−ヨードメチルプロペニレン基等が挙げられる。
これらのアルケニレン基の有する炭素原子の一部が酸素原子を有する基で置換された基としては、3−オキサブテニレン基、3−オキサ−1−へキセニレン基、3,6−ジオキサ−1−オクテニレン基、3,6,9−トリオキサ−1−ウンデセニレン基、3−オキソ−1−ブテニレン基、プロペニレンカルボキシエチレン基(−CH=CHCHCOOC−)、及び6−オキソ−1−ドデセニレン基等が挙げられ、窒素原子を有する基で置換された基としては、3−アザブテニレン基、5−メチル−5−アザ−1−オクテニレン基、メチレンカルバモイルエテニレン(−CHCONHCH=CH−)基及びジエテニレンウレイレン基(−CH=CHNHCONHCH=CH−)等が挙げられ、硫黄原子を有する基で置換された基としては、3−チアブテニレン基、4−チア−1−へキセニレン基、エテニレンスルホニルメチレン基(−CH=CHSOCH−)及びエテニレンスルフィニルプロピレン基(−CH=CHSOC−)等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、1−ブチニレン基、2−メチルプロピニレン基、1−へキシニレン基、2−へキシニレン基、オクチニレン基、3−オクチニレン基、1−ドデシニレン基及び1−オクタデシニレン基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルキニレン基が有する少なくとも1つの水素原子が酸素原子を有する基で置換された基としては、ブトキシプロピニレン基、3,3−ジメトキシ−1−ブチニレン基、エトキシプロピニレン基、3−アセトキシ−1−へキシニレン基、4−ピバロイルオキシ−1−オクチニレン基、6−ヒドロキシ−1−ドデシニレン基及び3−フェノキシ−1−オクタデシニレン基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルキニレン基が有する少なくとも1つの水素原子が硫黄原子を有する基で置換された基としては、3−エチルチオプロピニレン基、3−フェニルチオプロピニレン基、3,3−ジチオシクロヘキシル−1−ブチニレン基、メチルスルホニルプロピニレン基、3−アセチルチオ−1−へキシニレン基、4−フェニルスルフェニル−1−オクチニレン基、6−メルカプト−3−ドデシニレン基及び4−フェニルチオ−1−オクタデシニレン基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルキニレン基が有する少なくとも1つの水素原子が窒素原子を有する基で置換された基としては、アセトアミドプロピニレン基、1−ジメチルアミノプロピレニレン基、ジシクロヘキシルアミノプロピニレン基、6−アミノ−1−ドデシニレン基
及び3−メチルウレイド−1−オクタデシニレン基等が挙げられる。
炭素数2〜18のアルキニレン基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲノ基で置換された基としては、ジフルオロプロピニレン基、ジクロロプロペニレン基、3−ブロモ−1−へキシニレン基及び3−ヨードメチル−1−ブチニレン基等が挙げられる。
これらのアルキニレン基の有する炭素原子の一部が酸素原子を有する基で置換された基としては、3−オキサブチニレン基、3−オキサ−1−へキシニレン基、3,6−ジオキサ−1−オクチニレン基、3,6,9−トリオキサ−1−ウンデシニレン基、6−オキソ−1−ドデシニレン基及びプロピニレンカルボキシエチレン基(−C≡CCHCOOC−)等が挙げられ、窒素原子を有する基で置換された基としては、3−アザブチニレン基、5−メチル−5−アザ−1−オクチニレン基、メチレンカルバモイルエチニレン(−CHCONHC≡C−)基及びジプロピニレンウレイレン基(−C≡CCHNHCONHCHC≡C−)等が挙げられ、硫黄原子を有する基で置換された基としては、3−チアブチニレン基、4−チア−1−へキシニレン基、エチニレンスルホニルメチレン基(−C≡CSOCH−)及びエチニレンスルフィニルプロピレン基(−C≡CSOC−)等が挙げられる。
炭素数7〜24のアラルキレン基としては、p−フェニレンメチレン基、m−フェニレンメチレン基、p−フェニレンエチレン基、m−フェニレンエチレン基、p−フェニレン−メチルメチレン基、3,5−ジメチル−1−メチレン−1,4−フェニレン基、p−フェニレンジメチルメチレン基、p−フェニレン−へキシレン基、p−ビフェニレンメチレン基、ナフタレン−4−メチレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−6−メチレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−5−ブチレン−1,5−ジイル基、アントラセン−9−メチレン−9,10−ジイル基及びアントラセン−9−エチレン−9,10−ジイル基、及び芳香環の一部が酸素原子、硫黄原子あるいは窒素原子で置換された基(チオフェン−2−メチレン−2,5−ジイル基、ピリジン−2−メチレン−2,6−ジイル基、キサンテン−1−メチレン−1,4−ジイル基等)等が挙げられる。
炭素数7〜24のアラルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子が酸素原子を有する基で置換された基としては、3−メトキシ−1,4−フェニレン−4−メチレン基、4−アセトキシ−1,3−フェニレン−3−エチレン基、α、α−ジメトキシ−1,4−フェニレン−4−メチレン基、1,4−ジエトキシアントラセン−9−メチレン−9,10−ジイル基及び1,4−ジメトキシアントラセン−9−エチレン−9,10−ジイル基、及び芳香環の一部が酸素原子、硫黄原子あるいは窒素原子で置換された基(3,4−ジブトキシチオフェン−2−メチレン−2,5−ジイル基、4−アセトキシピリジン−2−メチレン−2,6−ジイル基、6−メトキシキサンテン−1−メチレン−1,4−ジイル基等)等が挙げられる。
炭素数7〜24のアラルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子が硫黄原子を有する基で置換された基としては、α、α−ジチオエチレン−p−フェニレン−へキシレン基、3−メチルスルファニル−1,4−フェニレン−4−メチレン基、3−メチルスルホニル−1,4−フェニレン−4−エチレン基、2−メチルチオナフタレン−4−メチレン−1,4−ジイル基、3,4−メチルチオナフタレン−6−メチレン−2,6−ジイル基及び4−メルカプトナフタレン−5−ブチレン−1,5−ジイル基及び芳香環の一部が酸素原子、硫黄原子あるいは窒素原子で置換された基(3−フェニルチオチオフェン−2−メチレン−2,5−ジイル基、4−メタンスルファニルピリジン−2−メチレン−2,6−ジイル基、6−ブチルチオキサンテン−1−メチレン−1,4−ジイル基等)等が挙げられる。
炭素数7〜24のアラルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子が窒素原子を有する基で置換された基としては、4−ジメチルアミノ−1,3−フェニレン−3−メチレン基及び3−メチルチオ−1,4−フェニレン−4−エチレン基及び芳香環の一部が酸素原子、硫黄原子あるいは窒素原子で置換された基(3−ジメチルアミノチオフェン−2−メチレン−2,5−ジイル基、4−ピロリジルピリジン−2−メチレン−2,6−ジイル基、6−ジブチルアミノキサンテン−1−メチレン−1,4−ジイル基等)等が挙げられる。
炭素数7〜24のアラルキレン基が有する少なくとも1つの水素原子がハロゲノ基で置換された基としては、4−ブロモ−1,3−フェニレン−3−メチレン基、4−クロロ−1,3−フェニレン−3−メチレン基、4−フルオロ−1,3−フェニレン−3−メチレン基及び2,3,5,6−テトラフルオロ−1,3−フェニレン−3−メチレン基及び芳香環の一部が酸素原子、硫黄原子あるいは窒素原子で置換された基(3−ブロモチオフェン−2−メチレン−2,5−ジイル基、4−クロロピリジン−2−メチレン−2,6−ジイル基、6−フルオロキサンテン−1−メチレン−1,4−ジイル基等)等が挙げられる。
炭素数7〜24のアラルキレン基が有する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子及び窒素原子で置換された基としては、p−フェニレンオキシメチレン基、p−フェニレンチオメチレン基、p−フェニレン−N−メチルアミノメチレン基、m−フェニレンオキシメチレン基、p−フェニレン−α−オキソエチレン基、m−フェニレンチオエチレン基、p−フェニレンカルボニルオキシ−メチルメチレン基、p−フェニレンスルホニルメチレン基、p−フェニレン−5−オキソへキシレン基、p−ビフェニレン−アミドメチレン基、ナフタレン−4−ウレイレンメチレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−6−カルボメチレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−5−(3−オキサブチレン)−1,5−ジイル基、アントラセン−9−カルボメチレン−9,10−ジイル基及びアントラセン−9−カルボエチレン−9,10−ジイル基等が挙げられる。
Yとしては、炭素数7〜24のアラルキレン基及び炭素数7〜24のアラルキレン基の有する炭素原子の一部が酸素原子を有する基で置換された基が好ましく、炭素数7〜24のアラルキレン基及び炭素数7〜24のアラルキレン基の有する炭素原子の一部がケト基で置換された基が更に好ましい。
炭素数7〜24のアラルキレン基及び炭素数7〜24のアラルキレン基の有する炭素原子の一部がケト基で置換された基としては、下記一般式(2)で表される基及び下記一般式(3)で表される基が好ましい。
[一般式(2)中、Yは炭素数1〜18のアルキレン基であり、Arはアリーレン基であり、Arの有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1〜8のアルキル基又は酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基若しくはハロゲノ基で置換されていても良い。]
[一般式(3)中、Yは炭素数1〜18のアルキレン基であり、Arはアリーレン基であり、Arの有する少なくとも1つの水素原子が炭素数1〜8のアルキル基又は酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基若しくはハロゲノ基で置換されていても良い。]
一般式(2)及び(3)において、Yは炭素数1〜18のアルキレン基であり、炭素数1〜18のアルキレン基としては前記のYとして例示した炭素数1〜18のアルキレン基と同じものが挙げられる。
Arはアリーレン基であり、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基等が挙げられ、Arの有する少なくとも1つの水素原子は、炭素数1〜8のアルキル基又は酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基若しくはハロゲノ基で置換されていても良い。
Arとして好ましいものとしては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、p−ビフェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基、3−メトキシ−1,4−フェニレン基、4−アセトキシ−1,3−フェニレン基、3−メチルスルファニル−1,4−フェニレン基、3−メチルスルホニル−1,4−フェニレン基、2−メトキシナフタレン−1,4−ジイル基、3,4−ジヒドロキシナフタレン−2,6−ジイル基、4−メルカプトナフタレン−1,5−ジイル基、4−ジメチルアミノ−1,3−フェニレン基、3−メチルチオ−1,4−フェニレン基、4−ブロモ−1,3−フェニレン基、4−クロロ−1,3−フェニレン基、4−フルオロ−1,3−フェニレン基及び2,3,5,6−テトラフルオロ−1,3−フェニレン基が挙げられる。
一般式(2)で表される基のうち、好ましいものとしてはp−フェニレンメチレン基、m−フェニレンメチレン基、p−フェニレンエチレン基、m−フェニレンエチレン基、p−フェニレン−メチルメチレン基、3,5−ジメチル−1−メチレン−1,4−フェニレン基、p−フェニレンジメチルメチレン基、p−フェニレン−ブチレン基、p−フェニレン−へキシレン基、p−ビフェニレンメチレン基、ナフタレン−4−メチレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−6−メチレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−5−ブチレン−1,5−ジイル基、アントラセン−9−メチレン−9,10−ジイル基及びアントラセン−9−エチレン−9,10−ジイル基、4−メトキシ−1,3−フェニレン−3−メチレン基、4−アセトキシ−1,3−フェニレン−3−エチレン基、α、α−ジメトキシ−1,4−フェニレン−4−メチレン基、1,4−ジエトキシアントラセン−9−メチレン−9,10−ジイル基及び1,4−ジメトキシアントラセン−9−エチレン−9,10−ジイル基、α、α−ジチオエチレン−p−フェニレン−へキシレン基、3−メチルスルファニル−1,4−フェニレン−4−メチレン基、3−メチルスルホニル−1,4−フェニレン−4−エチレン基、2−メトキシナフタレン−4−メチレン−1,4−ジイル基、3,4−ジヒドロキシナフタレン−6−メチレン−2,6−ジイル基及び4−メルカプトナフタレン−5−ブチレン−1,5−ジイル基、4−ジメチルアミノ−1,3−フェニレン−3−メチレン基、3−メチルチオ−1,4−フェニレン−4−エチレン基、4−ブロモ−1,3−フェニレン−3−メチレン基、4−クロロ−1,3−フェニレン−3−メチレン基、4−フルオロ−1,3−フェニレン−3−メチレン基及び2,3,5,6−テトラフルオロ−1,3−フェニレン−3−メチレン基が挙げられる。
一般式(3)で表される基のうち、好ましいものとしてはp−フェニレン−α−オキソエチレン基、p−フェニレン−α−オキソブチレン基、p−フェニレンカルボニルオキシ−メチルメチレン基、p−フェニレン−5−オキソへキシレン基、p−ビフェニレン−αオキソエチレン基、p−フェニレン−α−オキソ−フェニルエチレン基、ナフタレン−6−カルボメチレン−2,6−ジイル基、アントラセン−9−カルボメチレン−9,10−ジイル基及びアントラセン−9−カルボエチレン−9,10−ジイル基が挙げられる。
本発明のボレート塩は、以下の方法1及び方法2等の公知の方法により製造できる。
方法1:脱離基を有するボレート塩中間体(D1)に対し、4価共有結合窒素原子を有する基(A)に対応するアミン化合物(A)を溶媒中で又は溶媒を用いずに反応させる方法。
方法2:4価共有結合窒素原子を有する基(A)に対応するアミノ基(A)を有するボレート塩中間体(D2)に対し、脱離基を有する化合物(G)を溶媒中で又は溶媒を用いずに反応させる方法。
方法1は、脱離基を有するボレート塩中間体(D1)に対し、カチオン(A)に対応するアミン化合物(A)を溶媒中で又は溶媒を用いずに反応させる方法であり、下記の反応式(1)で表すことが出来る。
反応式(1)中、A、R及びYは一般式(1)と同じであり、Zは脱離基であり、Aは4価共有結合窒素原子を有する基(A)に対応するアミン化合物であり、Mは金属カチオンである。なお、本発明において脱離基は、Yと結合し、Aと反応する際にYとの結合が切断され開裂する基を意味する。
脱離基としては、ハロゲノ基(クロロ基、ブロモ基等)、スルホニルオキシ基(トリフルオロメチルスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ基等)及びアシロキシ(アセトキシ基及びトリフルオロメチルカルボニルオキシ基等)等が挙げられ、製造しやすさの観点から、ハロゲノ基が好ましい。
脱離基を有するボレート塩中間体(D1)は公知の方法(Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、vol34、2817(1996)等に記載の方法)で合成でき、対応する脱離基のアルキル有機金属化合物又はアラルキル有機金属化合物とアルキルホウ素化合物、アリールホウ素
化合物又はハロゲン化ホウ素化合物とを有機溶媒中で反応させることにより得られる。アルキル有機金属化合物及びアラルキル有機金属化合物としては、アルキルリチウムやアラルキルリチウムなどのリチウム化合物、アルキルマグネシウムハライドやアラルキルマグネシウムハライドなどのマグネシウム化合物(グリニヤール試薬)が好適に用いられる。
アルキルホウ素化合物、アリールホウ素化合物又はハロゲン化ホウ素化合物とアルキル又はアラルキル有機金属化合物との反応条件は、−80℃〜100℃、好ましくは−50℃〜50℃、最も好ましくは−30℃〜30℃である。用いる有機溶媒としては、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、環状エーテル(テトラヒドロフラン及びジオキサン等)及び塩素系溶剤(クロロホルム及びジクロロメタン等)が好適に用いられる。
上記で得られるボレート塩中間体(D1)が有する金属カチオン(M)は安定性や溶解性の観点からアルカリ金属カチオンであることが好ましい。中でもナトリウムカチオン、リカリウムカチオン、リチウムカチオンがさらに好ましい。グリニヤール試薬で反応させる場合は反応中もしくは反応後に、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム等を加え、金属交換を
行うことが好ましい。
ボレート塩中間体(D1)のうち、芳香環基に置換したアルキル基のα位炭素をハロゲン化(好ましくは臭素化)する場合、ハロゲン化の方法としては、ハロゲン(臭素が好ましい)を用いる方法又はラジカル発生剤を併用したN−ブロモスクシンイミドを用いた方法が簡便で好ましい(第4版実験化学講座19日本化学会編p422)。
アミン化合物(A)は、ボレート塩中間体(D1)との付加反応によって、ボレート塩中間体(D1)から脱離基を除いた残基が付加することで本発明の両性イオン型ボレート塩の有する4価共有結合窒素原子を有する基(A)となる。
アミン化合物(A)としては、アンモニア、アルキルアミン(ブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、及びフェニルジメチルアミン等);
ピロリジン(N−メチルピロリジン、N−メチル−2,5−ジメチルピロリジン及びN−エチルピロリジン等);
ピペリジン(N−メチルピペリジン、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジンおよびN−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等);
キヌクリジン(キヌクリジン及び3−ヒドロキシキヌクリジン等);
モルホリン(N−メチルモルホリン等);
イミダゾリン(N−メチルイミダゾリン及びN−エチルイミダゾリン等);
アミジン(N−メチルテトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(以下、DBUと記載)及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(以下DBNと記載)等);
グアニジン(ペンタメチルグアニジン及び2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセン等);
イミダゾール(N−メチルイミダゾール及びN−エチルイミダゾール等);
チアゾール(ベンゾチアゾール等);
ピリジン;(ピリジン、4−4−ジメチルアミノピリジン、4−オクチルピリジン等);キノリン(キノリン等);
イソキノリン(イソキノリン等);
アクリジン(アクリジン等)等が挙げられる。
これらの中でもアミン化合物(A)としては、アンモニア、アルキルアミン(ブチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン及びフェニルジメチルアミン等)、N−アルキルピロリジン(N−メチルピロリジン、N−メチル−2,5−ジメチルピロリジン及びN−エチルピロリジン等)、N−アルキルピペリジン(N−メチルピペリジン、N−メチル−2,6−ジメチルピペリジン及びN−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等)、キヌクリジン(キヌクリジン及び3−ヒドロキシキヌクリジン等)、N−アルキルモルホリン(N−メチルモルホリン等)、N−アルキルイミダゾリン(N−メチルイミダゾリン及びN−エチルイミダゾリン等)、アミジン(N−メチルテトラヒドロピリミジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン及び1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等)、グアニジン(ペンタメチルグアニジン及び2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセン等)及びN−アルキルイミダゾール(N−メチルイミダゾール及びN−エチルイミダゾール等)が好ましい。
方法1は溶媒中で又は溶媒を用いずに行ってもよいが副反応の抑制の観点から溶媒中で行うことが好ましい。
方法1に用いる溶媒としては、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、トルエン及びキシレン等)、ニトリル(アセトニトリル及びプロピオニトリル等)、アルコール(メタノール及びプロパノール等)、水、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、アミド(N、N−ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン等)並びに塩素系溶剤(クロロホルム及びジクロロメタン等)等が挙げられる。
これらの溶媒は1種でもよく、2種以上混合して用いても良い。
方法1において、アミン化合物(A)とボレート塩中間体(D1)との付加反応を行う条件としては、ボレート塩中間体(D1)の存在下にアミン化合物(A)又はアミン化合物(A)を前記の溶媒に溶解した溶液を滴下することが好ましい。滴下する場合の速度は、副反応の抑制の観点から、アミン化合物(A)として0.1〜20mL/分(更に好ましくは0.5〜10mL/分)が好ましい。
方法1において、ボレート塩中間体(D1)とアミン化合物(A)との比率は、副反応の抑制の観点からモル数の比率として0.6〜1.5となる比率であることが好ましく、0.8〜1.2が更に好ましい。ボレート塩中間体(D1)とアミン化合物(A)の反応は、副反応の抑制の観点から通常−20℃〜150℃、好ましくは−10℃〜100℃、最も好ましくは0℃〜70℃である。
方法2は、4価共有結合窒素原子を有する基(A)に対応するアミノ基(A)を有するボレート塩中間体(D2)に対し、脱離基を有する化合物(G)を溶媒中で又は溶媒を用いずに反応させる方法であり、下記の反応式(2)で表すことが出来る。
反応式(2)中、A、R及びYは一般式(1)と同じであり、Zは脱離基であり、Aは4価共有結合窒素原子を有する基(A)に対応するアミノ基であり、EはAと反応することで4価共有結合窒素原子を有する基(A)の構成成分となる官能基であり、Mは金属カチオンである。
化合物(G)は、反応式(2)においてE−Zで表され、脱離基(Z)とボレート塩中間体(D2)が有するアミノ基(A)に付加することで4価共有結合窒素原子を有する基(A)の構成成分となる官能基(E)とからなる。
化合物(G)とボレート塩中間体(D2)との反応によって、化合物(G)から脱離基を除いた残基である官能基(E)がボレート塩中間体(D2)の有するアミノ基(A)に付加し、本発明の両性イオン型ボレート塩の有する4価共有結合窒素原子を有する基(A)となる。
脱離基(Z)としては、ハロゲノ基(クロロ基、ブロモ基、ヨーダイド基等)、スルホニルオキシ基(トリフルオロメチルスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基及びp−トルエンスルホニルオキシ基等)及びアシロキシ(アセトキシ基及びトリフルオロメチルカルボニルオキシ基等)が含まれる。
官能基(E)として好ましいものとしては、アミノ基(A)との反応性の観点から炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜30のアラルキル基が挙げられる。
反応性等の観点から、好ましい化合物(G)としては、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジメチル硫酸、メタンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸メチル、臭化エチル、ジエチル硫酸、臭化ブチル、ベンジルブロミド、ベンジルクロリド、1−ブロモメチルナフタレン、2−クロロメチルナフタレン、クロロエチルベンゼン、α−ブロモアセトン、α
−クロロベンゾフェノン及びα−ブロモエチルベンゼンが挙げられる。
アミノ基(A)は、ボレート塩中間体(D2)が有する4価共有結合窒素原子を有する基(A)の構成成分であり、アミン化合物(A)のうち、少なくとも1つの水素原子を有するアミン化合物から1つの水素原子を除いた残基である1価のアミノ基が挙げられる。
中でもアミノ基(A)としては、アミノ基(NH)、アルキルアミノ基(ブチルアミノ基、オクチルアミノ基及びジメチルアミノ基等)、ピロリジノ基(ピロリジノ基及び2,5−ジメチルピロリジノ基等)、ピペリジノ基(ピペリジノ基、2,6−ジメチルピペリジノ基及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジノ基等)、キヌクリジノ基(キヌクリジノ基及び3−ヒドロキシキヌクリジノ基等)、モルホリノ基、イミダゾノ基(2−メチルイミダゾリノ基及びイミダゾリノ基等)、アミジノ基(テトラヒドロピリミジノ基等)、グアニジノ基(テトラメチルグアニジノ基及び1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]−5−デセニル基等)、イミダゾリノ基(イミダゾリノ基及び2−メチルイミダゾリノ基等)が好ましい。
ボレート塩中間体(D2)が有する金属カチオン(M)は前記のボレート塩中間体(D1)と同じであり、好ましいものも同じである。
アミノ基(A)を有するボレート塩中間体(D2)は公知の方法を用いることができ、前記のボレート塩中間体(D1)と同様の方法を用いて得ることができ、ボレート塩中間体(D2)と化合物(G)との反応条件は、ボレート塩中間体(D1)とアミン化合物(A)の反応条件と同様であり、好ましい反応条件も同じである。
前記の方法1及び方法2において得られた反応混合物から、更にボレート塩の単離を行って本発明の両性イオン型ボレート塩を得ることができる。
単離は、公知の方法で行うことが出来、両性イオン型ボレート塩を含む有機溶剤溶液を必要により濃縮した後、両性イオン型ボレート塩の貧溶剤を加えて両性イオン型ボレート塩を析出させて単離する方法及び両性イオン型ボレート塩を含む有機溶剤溶液からクロマドグラフィー法によって両性イオン型ボレート塩を単離する方法等を用いることができる。
貧溶媒を加えて両性イオン型ボレート塩を析出させて単離する方法において、貧溶剤としては、前記の鎖状エーテル、前記の炭化水素溶剤及びエステル溶剤(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)を用いることが出来る。
貧溶剤を加えて両性イオン型ボレート塩を析出させて単離する方法において、両性イオン型ボレート塩が油状物の場合、単離した油状物をデカンテーション法等によって有機溶剤溶液から分離し、更に油状物に含有する有機溶剤を留去することにより両性イオン型ボレート塩を得ることができる。
両性イオン型ボレート塩が固体の場合、析出した固体をデカンテーション法等によって有機溶剤溶液から分離し、更に固体に含有する有機溶剤を留去することにより、両性イオン型ボレート塩を得ることができる。
クロマドグラフィー法によって両性イオン型ボレート塩を単離する方法の場合、分離操作後に得られた両性イオン型ボレート塩を含む有機溶剤溶液から有機溶剤を留去することにより両性イオン型ボレート塩を得ることができる。
前記の方法等で単離した両性イオン型ボレート塩が固体である場合、更に公知の方法により再結晶を行っても良い。
本発明の両性イオン型ボレート塩は潜在性塩基触媒(光が照射される前は、触媒作用はないが、光照射によって塩基触媒の作用を発現する触媒や、保管時には触媒作用はないが、熱を加えることにより塩基触媒の作用を発現する触媒)等に適用できる。
たとえば、塩基で硬化が促進する硬化性樹脂や重合性モノマーおよび本発明の両性イオン型ボレート塩、並びに必要に応じて、溶剤及び/又は添加剤を含んでなる硬化性樹脂組成物を容易に構成でき、熱または光照射等により硬化させることが可能である。このような硬化性樹脂組成物は、本発明の両性イオン型ボレート塩を含有するため、保存安定性に優れている。
硬化方法の一例として、本発明の両性イオン型ボレート塩を含有する硬化性樹脂組成物に、例えば光を照射(光照射ともいう)することによって塩基を発生させ、硬化反応を促進させて、硬化物を得ることができる。
なお、本発明において、光照射とは、放射線、X線、電子線、紫外線及び可視光線等の活性エネルギー線を照射することを意味する。
なお、硬化反応の際には必要に応じて加熱してもよい。あるいは本発明の両性イオン型ボレート塩を含有する硬化性樹脂組成物を加温することで硬化反応を促進させて、硬化物を得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記の両性イオン型ボレート塩と硬化性化合物を含む。
硬化性化合物としては、前記の両性イオン型ボレート塩によって硬化する硬化性化合物であれば制限がなく、硬化性ウレタン化合物{(ポリ)イソシアネートと硬化剤(ポリオール及びチオール等)とからなる硬化性化合物等}、硬化性エポキシ化合物{(ポリ)エポキシドと硬化剤[酸無水物、カルボン酸、(ポリ)エポキシド及びチオール等]とからなる硬化性化合物、エピクロルヒドリンとカルボン酸とからなる硬化性化合物等}、硬化性アクリル化合物[(メタ)アクリルモノマー及び/又は(メタ)アクリルオリゴマーと硬化剤(チオール、マロン酸エステル及びアセチルアセトナート等)とからなる硬化性化合物等]、ポリシロキサン(硬化して架橋ポリシロキサンとなる硬化性化合物)、硬化性ポリアミド化合物(Am)及びポリイミド化合物等が挙げられる。
なかでも硬化性エポキシ化合物、及び硬化性ポリアミド化合物(Am)であることが好ましく、硬化性エポキシ化合物は、分子内に2つ以上のグリシジル基を有する化合物(J)と分子内に2つ以上の活性水素含有基を有する化合物(K)又は酸無水物(L)とからなる硬化性化合物であることが更に好ましく、硬化性ポリアミド化合物(Am)は一般式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂(Am1)及び/又は前記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂(Am2)であることが更に好ましい。
尚、上記及び以下において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方又はいずれか
を指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
[一般式(4)中、(V)は4価の有機基を表し、(W)は2価の有機基を表す。]
[一般式(5)中、(V)は4価の有機基を表し、(W)は2価の有機基を表し、Xは水酸基、メルカプト基又はアミノ基である。]
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物として、2つ以上のグリシジル基を有する化合物(J)と分子内に2つ以上の活性水素含有基を有する化合物(K)又は酸無水物(L)とからなる硬化性化合物に用いる場合、分子内に2つ以上のグリシジル基を有する化合物(J)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのほかに、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、含複素環エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂及びスピロ環含有エポキシ樹脂等を用いることもできる。また、グリシジル基と類似した、エポキシ基の酸素原子が硫黄原子で置換されたチイラン化合物も同様に使用できる。
これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
分子内に2つ以上の活性水素含有基を有する化合物(K)の有する活性水素基としては、OH基、SH基、NH基及びNHR基が挙げられる。化合物(K)としては、OH基、SH基、NH基及びNHR基からなる群から選ばれる少なくとも二つの官能基を有する化合物であることが好ましい。なお、NHR基に含まれるRは窒素原子に結合する1価の有機基である。
化合物(K)のうち、OH基を有する化合物としては、フェノール樹脂類及び多官能アルコール類等が挙げられる。
フェノール樹脂類としては、フェノールノボラック樹脂、キシリレンノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、トリフェニルメタンノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂及びジシクロペンタジエンフェノールノボラック樹脂等が挙げられる。
多官能アルコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マンニトール、グルコース、ハイドロキノン及びグリシドール等のアルコール類並びにこれらのアルキレンオキサイド(エチレンオキシド及びプロピレンオキシド等)付加物等が挙げられる。
化合物(K)のうち、SH基を有する化合物としては、チオフェノール類、多官能チオール類が挙げられ、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリストールテトラキスチオプロピオネート、エチレングリコールビスチオグリコレート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリストールテトラキスチオグリコレート、ジ(2−メルカプトエチル)エーテル、エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,4−ジメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン、4,4’−チオジベンゼンチオール、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン、その他末端チオール基含有ポリエーテル、末端チオール基含有ポリチオエーテル、エポキシ化合物と硫化水素との反応によって得られるチオール化合物及びポリチオール化合物とエポキシ化合物との反応によって得られる末端チオール基を有するチオール化合物等が挙げられる。
化合物(K)のうち、NH基およびNHR基を有する化合物としては、芳香族ポリアミンおよび脂肪族ポリアミンが挙げられ、具体的にはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチレルへキシレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等脂肪族アミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
酸無水物(L)としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、テトラアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(無水トリメリット酸)エステル、グリセリンビス(無水トリメリット酸)エステルモノアセテート、ドデセニル無水コハク酸及びクロレンド酸無水物等が挙げられる。
硬化性化合物が硬化性エポキシ化合物である場合、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる前記の両性イオン型ボレート塩の含有量は、硬化速度と硬化性組成物の安定性の観点から、硬化性化合物の合計重量に基づいて0.1〜30重量%が好ましく、更に好ましくは1〜10重量%である。
硬化性化合物が硬化性エポキシ化合物である場合、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物の合計含有量は、硬化物の物性の観点から、硬化性組成物の全体の重量に基づいて5〜99重量%が好ましく、更に好ましくは10〜60重量%である。
硬化性化合物として、分子内に2つ以上のグリシジル基を有する化合物(J)と分子内に2つ以上の活性水素含有基を有する化合物(K)又は酸無水物(L)とからなる硬化性化合物を用いる場合、化合物(K)の含有量は、目的に応じた硬化物の物性の観点から、化合物(J)のエポキシ基1当量に対して、0.5〜1.5当量が好ましく、更に好ましくは0.7〜1.2当量である。
酸無水物(L)の含有量は、目的に応じた硬化物の物性の観点から、化合物(J)のエポキシ基1当量に対して、0.7〜1.5当量が好ましく、更に好ましくは0.8〜1.2当量である。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物のうち、好ましい硬化性化合物である硬化性ポリアミド化合物(Am)は、多価カルボン酸(又はその酸無水物)とポリアミンとが反応してできるアミド結合の繰り返しによって結合した繰り返し単位を有しする熱硬化性化合物である。
硬化性ポリアミド化合物(Am)のうち、更に好ましいものは、前記一般式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂(Am1)である。
一般式(4)において、(V)は4価の有機基であり、(W)は2価の有機基である。
4価の有機基である(V)としては、芳香族化合物(ベンゼン、ナフタレン、ピリジン及びチオフェン等)の芳香環から4個の水素原子を除いた残基、脂環式化合物(シクロブタン、シクロペンタン及びノルボルナン等)の有する環状構造から4個の水素原子を除いた残基、前記芳香族化合物の有する芳香環から2個の水素原子を除いた残基及び前記脂環式化合物の有する環状構造から2個の水素原子を除いた残基から選ばれる2種の残基を互いに直接又はエーテル基、スルフィド基、フェニレン基、ビフェニレン基、炭素数1〜8のアルキレン基、フッ素が置換した炭素数1〜8のアルキレン基、スルホン基、スルホキシド基、ジスルフィド基若しくはケトン基で結合した基等が挙げられる。なかでも(V)としては、ベンゼンから4個の水素原子を除いた残基、ナフタレン4個の水素原子を除いた残基、シクロブタンから4個の水素原子を除いた残基、シクロペンタンから4個の水素原子を除いた残基、ベンゼンから2個の水素原子を除いた残基、ナフタレンから2個の水素原子を除いた残基、シクロブタンから2個の水素原子を除いた残基及びシクロペンタンから2個の水素原子を除いた残基からなる群から選ばれる2種の残基を直接又はエーテル基、スルフィド基、スルホン基、ケト基、炭素数1〜8のアルキレン基若しくはフッ素が置換した炭素数1〜8のアルキレン基で結合した基が好ましい。
2価の有機基である(W)としては、前記芳香族化合物の有する芳香環に結合する2個の水素原子を除いた残基、前記脂環式化合物の有する環状構造から2個の水酸基を除いた残基、前記芳香族化合物の有する芳香環から1個の水素原子を除いた残基及び前記脂環式化合物から1個の水素原子を除いた残基から選ばれる2種の残基を互いに直接又はエーテル基、スルフィド基、フェニレン基、ビフェニレン基、炭素数1〜8のアルキレン基、フッ素が置換した炭素数1〜8のアルキレン基、スルホン基、スルホキシド基、ジスルフィド基若しくはケト基で結合した基である。
なかでも、ベンゼンから2個の水素原子を除いた残基、ナフタレンから2個の水素原子を除いた残基シクロブタンから2個の水素原子を除いた残基、シクロペンタンから2個の水素原子を除いた残基、ノルボルナンから2個の水素原子を除いた残基、ベンゼンから1
個の水素原子を除いた残基、ナフタレンから1個の水素原子を除いた残基、シクロブタンから1個の水素原子を除いた残基、シクロペンタンから1個の水素原子を除いた残基及びノルボルナンから1個の水素原子を除いた残基からなる群から選ばれる2種の残基を直接又はエーテル基、スルフィド基、スルホン基、ケト基、炭素数1〜8のアルキレン基若しくはフッ素が置換した炭素数1〜8のアルキレンで結合した基が好ましい。
ポリアミド樹脂(Am1)は通常ポリアミック酸と呼ばれ、テトラカルボン酸二無水物(T1)とジアミノ化合物(E1)とを反応させることにより得ることができる。
テトラカルボン酸二無水物(T1)としては、炭素数4〜18の脂環式テトラカルボン酸および炭素数6〜30の芳香族テトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられ、炭素数4〜18の脂環式テトラカルボン酸としては、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸等が挙げられる。炭素数6〜30の芳香族テトラカルボン酸としてはピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−テトラカルボキシジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物(T1)として好ましいものとしては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}プロパンテトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物及び1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジアミノ化合物(E1)としては、炭素数4〜18の脂肪族アミン化合物、炭素数6〜30の芳香族ジアミン化合物等が挙げられ、p−フェニレンジアミン、テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン,p−キシレンジアミン、2,4−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2−ビス(4−(p−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3−ジアミノピリジン、ヘキサメチレンジアミン,ビス(アミノメチル)ノルボルナン及びアセトグアナミン等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
硬化性ポリアミド化合物(Am)のうち、前記一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂(Am2)も更に好ましい。
一般式(5)において、4価の有機基である(V)は、前記の一般式(4)に含まれる(V)のうち芳香環又は環状構造から除いた4個の水素原子が互いに隣り合う2個の水素原子の組み合わせである残基及び芳香環又は環状構造から互いに互いに隣り合う2個の水素原子を除いた残基を直接又はエーテル基、スルフィド基、スルホン基、ケト基、炭素数1〜8のアルキレン基若しくはフッ素が置換した炭素数1〜8のアルキレン基で結合した基であることが好ましい。
一般式(5)において、2価の有機基である(W)は一般式(4)と同じであり、好ましいものも同じである。
一般式(5)において、Xは水酸基、メルカプト基又はアミノ基(NH)である。
一般式(5)で表される繰り返し単位を更に脱水縮合反応することで、Xが水酸基の場合にはポリベンゾオキサゾールが、Xがメルカプト基の場合にはポリベンゾチオキサゾールが、Xがアミノ基の場合にはポリベンゾイミダゾールがそれぞれ得られる。
ポリアミド樹脂(Am2)は、ジカルボン酸、ジカルボン酸ハライド又はジカルボンエステル)[以下、ジカルボン酸、ジカルボン酸ハライド又はジカルボンエステルをジカルボン酸誘導体(T2)と記載する。]と、ジアミノジヒドロキシ化合物(E2)、ジアミノジメルカプト化合物(E3)又はテトラアミノ化合物(E4)とを反応させることにより得ることができる。
ジカルボン酸誘導体(T2)としては、炭素数6〜30のジカルボン酸のジカルボン酸誘導体が挙げられる。炭素数6〜30のジカルボン酸としては、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、1,10−ビス(4−カルボキシフェノキシ)デカン、エチレングリコールビス(4−カルボキシフェニル)エーテル等が挙げられる。
ジカルボン酸誘導体として好ましいものとしては、テレフタル酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4−カルボキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、1,10−ビス(4−カルボキシフェノキシ)デカン、エチレングリコールビス(4−カルボキシフェニル)エーテル並びにこれらの酸塩化物、酸臭化物及び炭素数1〜8のエステル化物等が挙げられる。これらは単独での用いても2種単以上を併用してもよい。
ジアミノジヒドロキシ化合物(E2)としては、炭素数6〜18のジアミノジヒドロキシ化合物等が挙げられ、2,4−ジアミノレゾルシノール、2,2’−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシ−6,6’−トリフルオロメチルビフェニル、1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼン、2,6−ジアミノ−3,7−ジヒドロキシナフタレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)メタン等公知のものが挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
ジアミノジメルカプト化合物(E3)としては、炭素数6〜18のジアミノジメルカプト化合物等が挙げられ、2,2’−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ビス(4−アミノ−3−メルカプトフェニル)プロパン、3,4’−ジアミノ−4,3’−ジメルカプトジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメルカプトビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジメルカプト2,2’−トリフルオロメチルビフェニル、1,3−ジアミノ−4,6−ジメルカプトジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−3,6−ジメルカプトベンゼン、2,7−ジアミノ−3,6−ジメルカプトナフタレン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)ケトン、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ−4−メルカプトフェニル)エーテル、ビス(3−メルカプト4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−メルカプト4−アミノフェニル)メタン等公知のものが挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
テトラアミノ化合物(E4)としては、炭素数6〜18のテトラアミノ化合物等が挙げられ、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、1,2,5,6−テトラアミノナフタレン、2,3,6,7−テトラアミノナフタレン、3,3’−ジアミノベンジジン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエタン、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルチオエーテル及び3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルホン等公知のものが挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。
ポリアミド樹脂(Am1)及び(Am2)は、公知の方法(例えば特許文献;特開昭60−223824号公報、特開平10−168173号公報、非特許文献;J.Polymer.Sci.,A−1,3,p1373(1965)等参照)を用いてテトラカルボン酸二無水物(T1)又はジカルボン酸誘導体(T2)[以下、ポリカルボン酸誘導体(T)成分と記載する。]とジアミノ化合物(E1)又はジアミノジヒドロキシ化合物(E2)、ジアミノジメルカプト化合物(E3)若しくはテトラアミノ化合物(E4)[以下、ポリへテロ化合物(E)成分と記載する。]とを反応させることで得ることができる。
ポリアミド樹脂(Am1)及び(Am2)を得る反応において、ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分を有機溶媒中で反応することが好ましい。
ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分とを反応させる際の具体的な方法としては、少なくとも1種のポリへテロ化合物(E)成分を有機溶媒に溶解して得られた溶液に、少なくとも1種のポリカルボン酸誘導体(T)成分を添加し、0〜100℃の温度で、1〜60時間撹拌する方法等が挙げられる。
ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分との反応を有機溶媒中で行う場合、有機溶媒としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン、γ‐ブチラクトン、N,
N‐ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2‐メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル‐1,3‐ブチレングリコールアセテート、1,3‐ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン及びこれらの混合物が使用できる。
ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分との反応において、ポリカルボン酸誘導体(T)成分、ポリへテロ化合物(E)成分及び必要による用いる有機溶剤からなる反応溶液中に含まれるポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分との合計重量は、反応溶液全体の重量に対して1重量%以上であることが好ましく、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分との反応において有機溶媒を用いる場合、有機溶剤の使用量は、反応溶液重量に対し99重量%以下が好ましく、更に好ましくは20から95重量%、特に好ましくは40重量%〜90重量%である。
ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分は、モル比{(T)成分/(E)成分}が0.8〜1.2となるように反応させることが好ましく、0.95〜1.0となるように反応させることがより好ましい。(T)成分と(E)成分とのモル比が、0.8当量未満、若しくは1.2当量を超えると、分子量が低くなり膜(フィルム)を形成することが困難なことがある。
ポリカルボン酸誘導体(T)成分とポリへテロ化合物(E)成分とを反応させた反応混合物は、そのまま本発明の硬化性樹脂組成物として使用してもよく、前記の反応混合物からポリアミド樹脂(Am1)及び(Am2)をそれぞれ単離して使用しても良い。反応混合物からポリアミド樹脂(Am1)及び(Am2)を単離する方法としては、反応混合物を、ポリアミド樹脂(Am1)及び(Am2)に対する貧溶媒(水、メタノール及びイソプロパノール等)に投じてポリアミド樹脂(Am1)及び(Am2)を沈殿させ、濾過・洗浄・乾燥等により分離する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性化合物が硬化性アミド化合物(Am)である場合、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる両性イオン型ボレート塩の含有量は感光性樹脂組成物の重量に基づいて1〜20重量%が好ましく、更に好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
硬化性化合物として硬化性ポリアミド化合物(Am)を含む場合、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる硬化性ポリアミド化合物(Am)[好ましくは一般式(4)で表される繰り返し構造を有するポリアミド樹脂(Am1)及び/又は一般式(5)で表される繰り返し構造を有するポリアミド樹脂(Am2)]の合計重量は、硬化性樹脂組成物の重量に基づいて1〜100重量%が好ましく、更に好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
本発明における硬化性樹脂組成物はさらに溶剤を含有していてもよい。溶剤としては、モノアルコール類(メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ゲラニオール、リナロール及びシトロネロール等)、カーボネート系溶剤(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン及び2−ヘプタノン等)、多価アルコール系溶剤(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコール等)及びその誘導体(エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート及びジプロピレングリコールモノアセテート並びにこれらの多価アルコール系溶剤のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル及び又はモノフェニルエーテル等)、環状エーテル系溶剤(テトラヒドロフラン、ジオキサン及び1,8−シネオール等)、エステル系溶剤(蟻酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート及び3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等)並びに芳香族炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン及びメシチレン等)等が挙げられる。
これらは、単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
また、分子内に1つのグリシジル基を有するフェニルグリシジルエーテル及びメチルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル並びにオキセタン、スチレンオキシド及びシクロヘキセンオキシド等のアルキレンオキサイドを溶剤として用いることができる。なお、これらのグリシジルエーテル及びアルキレンオキサイドは反応性希釈剤と呼ばれる。
溶剤の含有量は、配合安定性の観点から、溶剤を含む硬化性樹脂組成物合計の重量に基づいて99重量%以下であることが好ましく、95重量%以下がさらに好ましく、3〜95重量%が特に好ましく、1〜90重量%がより好ましく、とりわけ好ましくは5〜90重量%、最も好ましくは5〜80重量%である。
光照射による硬化を行う場合、使用する光源の種類(波長)に応じさらに増感剤(H)を含有することが好ましい。
増感剤(H)としては、公知(特開平11−279212号及び特開平09−183960号等)の増感剤等が使用でき、アントラセン(アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン及び9,10−ジプロポキシアントラセン等)、ピレン、1,2−ベンズアントラセン、ペリレン、テトラセン、コロネン、チオキサントン(チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等)、フェノチアジン(フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン及びN−フェニルフェノチアジン等)、キサントン、ナフタレン(1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン及び4−メトキシ−1−ナフトール等)、ケトン(ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等)、カルバゾール(N−フェニルカルバゾール、N−エチルカルバゾール、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びN−グリシジルカルバゾール等)、クリセン(1,4−ジメトキシクリセン及び1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等)、フェナントレン(9−ヒドロキシフェナントレン、9−メトキシフェナントレン、9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等)等が挙げられる。
また、下記で挙げる着色剤のうち、照射する光の波長(特に可視光領域400〜830nm;JISZ8120参照)に感光性を有する着色剤は増感剤として用いることが可能である。
増感剤(H)の含有量は、硬化性樹脂組成物に対して1〜20重量%が好ましく、さらに好ましくは3〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%であり、感度等の観点から、両性イオン型ボレート塩の重量に基づいて1〜500重量%が好ましく、更に好ましくは10〜300重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに添加剤として使用目的に合わせて、着色剤(顔料等)、無機微粒子(金属酸化物粒子及び金属粒子等)、分散剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤(流動調整剤ともいう)、スリップ剤、難燃剤、帯電防止剤、イオン補足剤、酸化防止剤、密着性付与剤、着色防止剤及び光安定剤(紫外線吸収型及び消光型等)等を含有することができる。
着色剤としては、従来、塗料及びインキ等に使用されている公知の顔料等が使用でき、無機顔料(酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラック等)、有機顔料(アゾ顔料、シアニン顔料、フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料等)及び染料等が挙げられる。
顔料を含有する場合、顔料の含有量は、両性イオン型ボレート塩の重量に基づいて、0.5〜400000重量%が好ましく、さらに好ましくは10〜150000重量%である。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄及びカーボンブラックの他に、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、亜鉛華、ベンガラ、アルミナ、炭酸カルシウム、群青、グラファイト及びチタンブラック等が挙げられる。
有機顔料のうちアゾ顔料としては、溶性アゾ顔料(β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系及びピラゾロン系等)及び不溶性アゾ顔料(β−ナフトール系、β−オキシナフトエ酸系、β−オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ及びピラゾロン系等)が挙げられ、フタロシアニン顔料としては銅フタロシニンブルー、ハロゲン化銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー及び金属フリーフタロシアニン等が挙げられる。有機顔料としては、これらの他にイソシンドリノン系、ジオキサンジン系、ペリノン系及びペリレン系等の多環式又は複素環式化合物等を用いることができる。
染料としては、イエロー染料としては、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類若しくは開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料及びモノメチンオキソノール染料等のメチン染料、ナフトキノン染料及びアントラキノン染料等のキノン系染料等、キノフタロン染料、ニトロ、ニトロソ染料、アクリジン染料並びにアクリジノン染料等が挙げられる。
マゼンタ染料としては、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、ピラゾロトリアゾール類、閉環型活性メチレン化合物類若しくはヘテロ環(ピロール、イミダゾール、チオフェン及びチアゾール誘導体等)を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、カップリング成分としてピラゾロン類又はピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料及びオキソノール染料等のメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン及びアントラピリドン等のキノン系染料並びにジオキサジン染料等の縮合多環系染料等を挙げられる。
シアン染料としては、インドアニリン染料及びインドフェノール染料等のアゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料及びメロシアニン染料等のポリメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピロロピリミジノン若しくはピロロトリアジノン誘導体を有するアリール又はヘテリルアゾ染料(C.I.ダイレクトブルー14等)並びにインジゴ・チオインジゴ染料を挙げられる。
着色剤の粒子径は、塗膜の鮮映性の観点から、平均粒子径として0.01μm〜2.0μmが好ましく、0.01μm〜1.0μmが更に好ましい。
着色剤の添加量は特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の合計重量に基づいて1〜60重量%であることが好ましい。
顔料を用いる場合は、その分散性及び硬化性樹脂組成物の保存安定性を向上させるために顔料分散剤を添加することが好ましい。
顔料分散剤としてはビックケミー社製顔料分散剤(Anti−Terra−U、Disperbyk−101,103、106、110、161、162、164、166、167、168,170、174、182、184又は2020等)、味の素ファインテクノ社製顔料分散剤(アジスパーPB711、PB821、PB814、PN411及びPA111等)、ルーブリゾール社製顔料分散剤(ソルスパーズ5000、12000、3
2000、33000及び39000等)が挙げられる。これらの顔料分散剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。顔料分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、感光性組成物中に0.1〜10重量%の範囲で用いることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、添加剤として無機微粒子(金属酸化物粒子又は金属粒子等)を含有することにより、例えばセラミック電子部品のグリーンシート形成及び電極層形成に使用することができる。
金属酸化物粒子は、誘電体層を形成する際に使用され、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、酸化ニオブ及びチタン酸ジルコン酸鉛等が挙げられ、好ましいのはチタン酸バリウムである。また、酸化アルミニウムや酸化ケイ素、酸化チタン等は基材の保護のためのコーティング層形成の際に使用される。
金属酸化物粒子の粒子径は、誘電率の観点から、平均粒子径として0.01μm〜2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.01μm〜1.0μmである。
金属粉末は導電体層を形成する際に使用される貴金属及び卑金属であり、具体的には、パラジウム、ニッケル、銅、銀及び金等が挙げられ、好ましいのはパラジウム、ニッケル及び銅である。
金属粉末の平均粒子径は、0.01μm〜10μmであることが好ましい。
無機微粒子は硬化性樹脂組成物の充填剤としても用いられる。充填剤としては、公知の充填剤等が使用でき、溶融シリカ、結晶シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、ケイ酸カルシウム及びケイ酸リチウムアルミニウム等が挙げられる。
充填剤を含有する場合、充填剤の含有量は、両性イオン型ボレート塩の重量に基づいて、50〜600000重量%が好ましく、さらに好ましくは300〜200000重量%である。
帯電防止剤としては、公知の帯電防止剤等が使用でき、非イオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、カチオン型帯電防止剤、両性型帯電防止剤及び高分子型帯電防止剤が挙げられる。
帯電防止剤を含有する場合、帯電防止剤の含有量は、両性イオン型ボレート塩の重量に基づいて、0.1〜20000重量%が好ましく、さらに好ましくは0.6〜5000重量%である。
難燃剤としては、公知の難燃剤等が使用できる。
公知の難燃剤としては、無機難燃剤(三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム及びアルミン酸カルシウム等)、臭素難燃剤{テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン及びデカブロモビフェニルエーテル等)及びリン酸エステル難燃剤[トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート等]等が挙げられる。
難燃剤を含有する場合、難燃剤の含有量は、両性イオン型ボレート塩の重量に基づいて、0.5〜40000重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜10000重量%である。
消泡剤としては、公知の消泡剤等が使用でき、アルコール消泡剤、金属石鹸消泡剤、リン酸エステル消泡剤、脂肪酸エステル消泡剤、ポリエーテル消泡剤、シリコーン消泡剤及び鉱物油消泡剤等が挙げられる。
流動調整剤としては、公知の流動性調整剤等が使用でき、水素添加ヒマシ油、酸化ポリエチレン、有機ベントナイト、コロイド状シリカ、アマイドワックス、金属石鹸及びアクリル酸エステルポリマー等が挙げられる。
光安定剤としては、公知の光安定剤等が使用でき、紫外線吸収型安定剤(ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、サリチレート、シアノアクリレート及びこれらの誘導体等)、ラジカル補足型安定剤(ヒンダードアミン等)及び消光型安定剤(ニッケル錯体等)等が挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤等が使用でき、フェノール系酸化防止剤(モノフェノール系、ビスフェノール系及び高分子フェノール系等)、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
密着性付与剤としては、公知の密着性付与剤等が使用でき、カップリング剤、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤等が挙げられる。
密着性付与剤として好ましいものとしては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム及びアセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
密着性付与剤を用いる場合の含有量は、硬化性樹脂組成物の合計重量にもとづいて0〜20重量%が好ましく、更に好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは5〜10重量%である。
イオン補足剤としては、公知のイオン補足剤等が使用でき、有機アルミニウム(アルコキシアルミニウム及びフェノキシアルミニウム等)等が挙げられる。
着色防止剤としては、公知の着色防止剤が使用でき、一般的には酸化防止剤が有効であり、フェノール系酸化防止剤(モノフェノール系、ビスフェノール系及び高分子フェノール系等)、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
レベリング性付与剤及びスリップ剤としては、公知のもの使用することができる。
消泡剤、流動調整剤、光安定剤、酸化防止剤、密着性付与剤、イオン補足剤又は、着色防止剤を含有する場合、各々の含有量は、両性イオン型ボレート塩の重量に基づいて、0.1〜20000重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5000重量%である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、両性イオン型ボレート塩、硬化性化合物、必要により用いる増感剤(H)、必要により用いる着色剤、必要により用いる金属酸化物粒子、必要により用いる金属粒子、必要により用いる溶剤及び必要により用いる密着性付与剤等を公知の撹拌混合装置(撹拌機の付属した混合容器及びペイントシェーカー等)を用いて均一混合する方法及び公知の混練機(ボールミル及び3本ロールミル等)を用いて混練する方法等で得られる。均一混合温度及び混練温度は通常10℃〜40℃、好ましくは20℃〜30℃である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱することにより硬化させて、硬化体を得ることができる。加熱温度は、好ましくは50℃〜180℃である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光照射(紫外〜可視光領域、好ましくは360nm〜830nmの活性光線の照射)することにより硬化させて、硬化体を得ることができる。
光源としては、本発明の両性イオン型ボレート塩の分解を誘発するエネルギーを有する限りいかなるものでもよいが、低圧、中圧、高圧若しくは超高圧の水銀灯、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ等(UV・EB硬化技術の最新動向、ラドテック研究会編、シーエムシー出版、138頁、2006)、LEDランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、蛍光灯、半導体固体レーザ、アルゴンレーザ、He−Cdレーザ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ又はFレーザ等が挙げられる。なお、電子線又はX線等の高エネルギーを有する放射線を用いることもできる。
活性光線の照射時及び/又は照射後に両性イオン型ボレート塩から発生した塩基を拡散させる目的で、加熱を行ってもよい。加熱温度は、通常、30℃〜200℃であり、好ましくは35℃〜150℃、更に好ましくは40℃〜120℃である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、基材(シリコンウエハ、セラミック及びアルミ基板)上に塗布し、光照射してパターンを形成する用途に好ましく用いられる。
パターンを形成する方法は、まず該組成物を適当な基材に塗布し、60〜120℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に光照射して硬化し、更に未露光部を溶解除去することによりパターンを得る方法等が挙げられる。
塗布方法としてはスピンコーターを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどが挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は露光現像方法によるパターン形成に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を用いたパターン形成において、現像液としては、アルカリ水溶液又はアルカリ水溶液に水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液が挙げられる。アルカリとしては無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム及びアンモニア等)、一級アミン(エチルアミン及びn−プロピルアミン等)、二級アミン(ジエチルアミン及びジ−n−プロピルアミン等)、三級アミン(トリエチルアミン及びメチルジエチルアミン等)、アミノアルコール(ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン等)及び四級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等)等が挙げられる。
未露光部を溶解除去する方法は、通常の現像方法として用いられる方法を用いることができ、スプレー、パドル、浸漬及び超音波等の方式が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いてパターン形成において、現像によって形成したパターンを更にリンス(洗浄)することができる。リンス液としては蒸留水を使用することができる。次に加熱処理(通常120〜450℃)を行うことで耐熱性に優れたパターンを得ることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物は、半導体装置や多層配線板などの電子部品に使用することができ、具体的には、半導体装置中の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板中の層間絶縁膜などの形成に使用することができる。またカラーフィルター保護膜、有機EL用絶縁膜、液晶配向膜、光学レンズ保護膜、光回路材料にも使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されることは意図するものではない。なお、以下特記しない限り、%は重量%を意味する。
<製造例1:トリフェニルボランの合成>
第4版実験化学講座24[有機合成VI(ヘテロ元素・典型金属元素化合物)] 日本化学会編 78頁に記載の方法によりトリフェニルボランを合成した。
<製造例2:トリ(2−ナフチル)ボランの合成
上記と同様の方法によりトリ(2−ナフチル)ボランを合成した。
<製造例3:トリ(p−フルオロフェニル)ボランの合成
上記と同様の方法によりトリ(p−フルオロフェニル)ボランを合成した。
<製造例4:トリ(m−クロロフェニル)ボランの合成
上記と同様の方法によりトリ(m−クロロフェニル)ボランを合成した。
<製造例5:比較例1に用いるボレート塩の合成>
特開2000−128912号公報に記載の方法にて下記化学式(1)で表される比較例1に用いるボレート塩(d−1)を合成した。
<製造例6:ポリアミド樹脂(P1−1)の合成>
反応容器に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成製)10.0gをジメチルアセトアミド100gに溶解させ、そこへピロメリット酸二無水物10.9gを氷浴にて徐々に滴下した。室温にて16時間反応させた。反応後の混合物を撹拌下のメタノール300gに少しずつ投入し、生じた沈殿をろ過により回収した。更に得られた固体をメタノール50mLを用いて3回洗浄を行った。洗浄後の固体を減圧下乾燥させることによりポリアミド樹脂(P1−1)を得た。
<製造例7:ポリアミド樹脂(P1−2)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成製)10.0gをビス(アミノメチル)ノルボルナン(東京化成製)7.7gに変更し、ピロメリット酸二無水物10.9gを1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(東京化成製)9.8gに変更したことした以外は製造例6と同様に行い、ポリアミド樹脂(P1−2)を得た。
<製造例8:ポリアミド樹脂(P1−3)の合成>
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル10.0gを4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成製)5.0gと2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(東京化成製)8.3gの混合物に変更し、ピロメリット酸二無水物10.9gを3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物16.1gとした以外は製造例6と同様に行い、ポリアミド樹脂(P1−3)を得た。
<製造例9:ポリアミド樹脂(P2−1)の合成>
反応容器に4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩(東京化成製)10.6gをジメチルアセトアミド200gに溶解し、そこへ4,4’−ジ(クロロホルミル)ジフェニルエーテル14.8g及びトリエチルアミン22gを加えた。常温にて20時間反応し、反応後の混合物を撹拌下水500gに少しずつ投入し、生じた沈殿をろ過により回収した。更に得られた固体を水50mLを用いて3回洗浄を行った。洗浄後の固体を減圧下乾燥してポリアミド樹脂(P2−1)を得た。
<製造例10:ポリアミド樹脂(P2−2)の合成>
4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩10.6gを2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン12.9gとした以外は製造例9と同様に行い、ポリアミド樹脂(P2−2)を得た。
<製造例11:ポリアミド樹脂樹脂(P2−3)の合成>
4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩10.6gを1,4−ジアミノ−3,6−ジメルカプトベンゼン二塩酸塩(東京化成製)12.3g、4,4’−ジ(クロロホルミル)ジフェニルエーテル14.8gを4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジクロリド(和光純薬製)12.3gに変更した以外は製造例9と同様の操作を行い、ポリアミド樹脂(P2−3)を得た。
<製造例12:ポリアミド樹脂(P2−4)の合成>
4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩(東京化成製)10.6gを3,3’−ベンジジン(和光純薬製)10.7gに変更する以外は製造例9と同様の操作を行い、ポリアミド樹脂(P2−4)を得た。
<製造例13:ポリアミド樹脂(P2−5)の合成>
4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩10.6gを4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩(東京化成製)5.3gと1,4−ジアミノ−3,6−ジメルカプトベンゼン二塩酸塩(東京化成製)6.1gとの混合物に変更する以外は製造例9と同様の操作を行い、ポリアミド樹脂(P2−5)を得た。
<製造例14:比較例3に用いる塩基発生剤の合成>
特開2007−119766号公報に記載の方法にて下記化学式(2)で表される比較例3に用いる塩基発生剤(d−3)を合成した。
<製造例15:比較例4に用いる塩基発生剤の合成>
特開2007−262276号公報に記載の方法にて下記化学式(3)で表される比較例4に用いる塩基発生剤(d−4)を合成した。
<製造例16:比較例5に用いる塩基発生剤の合成>
非特許文献1に記載の方法にて下記化学式(4)で表される比較例5に用いる塩基発生剤(d−5)を合成した。
<実施例1:4−(N−メチルモルホニオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A10):トリフェニル(p−トリル)ボレートカリウム塩の合成
反応容器に製造例1で得られたトリフェニルボラン6.1g、THF100mLを加え、−10℃に冷却した。そこへ常法により調製した4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)30mLを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに10時間反応を行った。THFを留去しそこへ飽和炭酸カリウム水溶液100mLを加え、さらに酢酸エチル200mLにて抽出を行った。有機層(酢酸エチル)を留去し、淡褐色固体を得た。メタノール−エーテルにて再結晶を行い、白色固体8.4gを得た。反応に用いたトリフェニルボランから計算される理論収量に対する収率は90%であった。
1H−NMRによりこの白色固体が中間体(A10)であることを確認した。
(2)中間体(A11):4−ブロモメチルフェニルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
還流管付反応容器にN−ブロモスクシンイミド(和光純薬製)7.1g、中間体(A10)7.4g、四塩化炭素200mL、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.8gを加え、80℃にて8時間反応を行った。反応後室温にてろ過を行い、ろ液を濃縮し褐色固体を得た。酢酸エチル100mLに溶解させ、水100mLで5回洗浄し、有機層を濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、淡黄色固体7.2gを得た。反応に用いた中間体(A10)から計算される理論収量に対する収率は80%であった。
1H−NMRによりこの淡黄色固体が中間体(A11)であることを確認した。
(3)4−(N−メチルモルホニオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成
反応容器に中間体(A11)4.5g、クロロホルム100mLを加えて溶解させた。そこへN−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gを徐々に加えた。60℃にて6時間反応させた後、水100mLで5回洗浄した。有機層(クロロホルム)を濃縮し、そこへメタノール200mLを加えた。生じた固体をろ過し乾燥することで3.5gの淡黄色固体を得た。反応に用いた中間体(A11)から計算される理論収量に対する収率は80%であった。1H−NMRによりこの淡黄色固体が目的物である4−(N−メチルモルホニオメチル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−1)]であることを確認した。また、以下の条件による高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCと記載する。)により算出した純度は98%であった。
<HPLCの条件>
株式会社 日立ハイテクノロジーズ社製 LaChrom7000
展開溶媒:メタノール/水/過塩素酸ナトリウム=87/10/3(重量比)
カラム:ジーエルサイエンス社製 イナートシルPh−3
カラム温度:40℃ 流量:1.0mL/分
検出器:UV検出器(254nm)
<実施例2:4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
実施例1においてN−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gをDBU(サンアプロ製)2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−2)]を得た(収率82%、純度95%)。
<実施例3:4−(α−トリブチルアンモニオエチル)フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A30):4−エチルフェニルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)を4−エチルフェニルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に変更したこと以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A30)を得た。
(2)中間体(A31):4−(α−ブロモエチル)フェニルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
中間体(A11)の合成において、中間体(A10)7.4gを中間体(A30)7.7gに変更したこと以外は中間体(A11)の合成と同様に行い、中間体(A31)を得た。
(3)4−(α−トリブチルアンモニオエチル)フェニルトリフェニルボレートの合成
中間体(A11)4.5gを中間体(A31)4.7gに、N−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gをトリブチルアミン(東京化成製)2.8g変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(α−トリブチルアンモニオエチル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−3)]を得た(収率80%、純度95%)。
<実施例4:4−(1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム−3−イル)エチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A40):4−ブロモエチルフェニルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
反応容器に4−(ブロモエチル)ブロモベンゼン(アルドリッチ製)8.2g、THF200mLを加え、ドライアイスアセトン浴にて−78℃に冷却した。n−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6mol/L、和光純薬製)20mLを−70℃で加えた。10分攪拌後、トリフェニルボランTHF溶液(0.25mol/L、アルドリッチ製)100mLを2時間かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに5時間反応を行った。THFを留去しそこへ飽和炭酸カリウム水溶液100mLを加え、さらに酢酸エチル200mLにて抽出を行った。有機層(酢酸エチル)を留去し、淡褐色固体を得た。メタノール−エーテルにて再結晶を行い、白色固体10.5gを得た。反応に用いたトリフェニルボランから計算される理論収量に対する収率は90%であった。
1H−NMRによりこの白色固体が中間体(A40)であることを確認した。
(2)4−(1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム−3−イル)エチルフェニルトリフェニルボレートの合成
中間体(A11)4.5gを中間体(A40)4.7gに、N−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gを1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン(和光純薬製)1.7gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム−3−イル)エチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−4)]であることを得た(収率80%、純度95%)。
<実施例5:4−{α−(トリエチルアンモニオ)アセチル}フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A50):2−(4−ブロモフェニル)−2−メチル−1,3−ジオキサンの合成
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に4−ブロモアセトフェノン10g、トルエン50mL、エチレングリコール30g、p−トルエンスルホン酸0.2gを仕込み、還流下で6時間反応させた。反応後トルエンを留去した。残渣を酢酸エチル100mLに溶解させ、水100mLで3回洗浄し、有機層(酢酸エチル)を濃縮した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、白色固体を得た。反応に用いた4−ブロモアセトフェノンから計算される理論収量に対する収率は95%であった。1H−NMRによりこの白色固体が目的物である2−(4−ブロモフェニル)−2−メチル−1,3−ジオキサンであることを確認した。
(2)中間体(A51):(1−メチル−2,5−ジオキサシクロペンチル)フェニルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
中間体(A40)の合成において4−ブロモエチルブロモベンゼン(アルドリッチ製)を中間体(A50)7.5gに変更すること以外は中間体(A40)の合成と同様に行い、中間体(A51)を得た。
(3)中間体(A52):4−(α−ブロモアセチル)フェニルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
反応容器に四臭化炭素(和光純薬製)9.9g、中間体(A51)6.7g、アセトン50mLを仕込んだ。0℃に冷却しトリフェニルホスフィン(東京化成製)7.9gのアセトン溶液50mLを少しずつ加えた。1時間攪拌後さらに室温で6時間攪拌した。反応液をヘキサン500mLに投入し、生じた固体をろ過することで中間体(A52)を得た。
(4)4−{α−(トリエチルアンモニオ)アセチル}フェニルトリフェニルボレートの合成
実施例1において中間体(A11)4.5gを中間体(A52)4.8g、N−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gをトリエチルアミン1.5gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−{α−(トリエチルアンモニオ)アセチル}フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−5)]を得た(収率88%、純度97%)。
<実施例6:4−(7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ−[4.4.0]−5−デセニウム−5−イル)フェニルトリフェニルボレートの合成>
実施例1においてN−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gを7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ−[4.4.0]−5−デセン(東京化成製)2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ−[4.4.0]−5−デセニウム−5−イル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−6)]を得た(収率82%、純度95%)。
<実施例7:4−(1−エチルイミダゾリニウム−3イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
実施例1においてN−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gを1−エチルイミダゾール(東京化成製)1.4gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1−エチルイミダゾリニウム−3イル)メチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−7)]を得た(収率90%、純度95%)。
<実施例8:4−(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウム−5−イル)ブチルトリフェニルボレートの合成>
(1)4−クロロブチルマグネシウムブロミドの調製
還流管付反応容器にマグネシウム(削り状、和光純薬製)2.9g、エーテル5mLを加えた。そこへ4−クロロブチルブロミド(東京化成製)17.1gのエーテル溶液(40mL)を35℃〜40℃に保ちながら滴下を行った。滴下後さらに1時間還流を行い、室温まで冷却後、エーテル55mLを加え、4−クロロブチルマグネシウムブロミドエーテル溶液(1.0mol/L)を得た。
(2)中間体80:4−クロロブチルトリフェニルボレートカリウム塩の合成
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)を4−クロロブチルマグネシウムブロミドエーテル溶液(1.0mol/L)に変更したこと以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A80)を得た。
(3)4−(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウム−5−イル)ブチルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A80)3.7gに、N−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gをDBN(サンアプロ製)1.9gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネニウム−5−イル)ブチルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−8)]を得た(収率90%、純度95%)。
<実施例9:4−(1−エチルイミダゾリニウム−3イル)メチルフェニルトリ(2−ナフチル)ボレートの合成>
実施例1においてトリフェニルボラン6.1gを製造例2で得られたトリ(2−ナフチル)ボラン9.8gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1−エチルイミダゾリニウム−3イル)メチルフェニルトリ(2−ナフチル)ボレート[ボレート塩(A−9)]を得た(収率88%、純度95%)。
<実施例10:4−(1−エチルイミダゾリニウム−3イルメチル)フェニルトリ(p−フルオロフェニル)ボレートの合成>
実施例1においてトリフェニルボラン6.1gを製造例3で得られたトリ(p−フルオロフェニル)ボラン7.4gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1−エチルイミダゾリニウム−3イル)メチルフェニルトリ(p−フルオロフェニル)ボレート[ボレート塩(A−10)]を得た(収率87%、純度95%)。
<実施例11:4−(2−tert−ブチル−テトラメチルグアニジニウム−2−イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
実施例1においてN−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gを2−tert−ブチル−テトラメチルグアニジン(アルドリッチ製)2.5gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(2−tert−ブチル−テトラメチルグアニジニウム−2−イル)メチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−11)]を得た(収率82%、純度95%)。
<実施例12:3−(キヌクリジニオ)メチルフェニルトリス(m−クロロフェニル)ボレートの合成>
(1)中間体(A110)の合成
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)を3−トリルフェニルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に、トリフェニルボラン6.1gをトリス(m−クロロフェニル)ボラン8.6g変更したこと以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A110)を得た。
(2)中間体(A111):3−ブロモメチルフェニルトリス(m−クロロフェニル)ボレートカリウム塩の合成
中間体(A11)の合成において、中間体(A10)7.4gを中間体(A110)7.4gに変更したこと以外は中間体(A11)の合成と同様に行い、中間体(A111)を得た。
1H−NMRによりこの淡黄色固体が中間体(A111)であることを確認した。
(3)3−(キヌクリジニオ)メチルフェニルトリス(m−クロロフェニル)ボレートの合成
実施例1において中間体(A11)4.5gを中間体A(111)5.5g、N−メチルモルホリン(東京化成製)1.5gをキヌクリジン(東京化成製)1.7gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、3−(キヌクリジニオ)メチルフェニルトリス(m−
クロロフェニル)ボレート[ボレート塩(A−12)]を得た(収率77%、純度95%)。
<実施例13:4−(トリエチルアンモニオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A130)の合成
反応容器に4−ブロモベンジルブロミド25gをTHF50mLに溶解させ、そこへジエチルアミン8gを徐々に加えた。室温にて5時間攪拌した後酢酸エチル50mLにて2回抽出を行い、有機層を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで中間体(130)を得た。
(2)中間体(A131)の合成
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)を中間体(A130)を原料として常法にて調製したGrignard試薬(THF溶液、1.0mol/L)に変更したこと以外は実施例1における中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A131)を得た。
(3)4−(トリエチルアンモニオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成
反応容器に中間体(A131)4.4gとTHF100mLを加え、そこへ臭化エチル1.3gを10℃で滴下した。滴下後室温にて8時間攪拌し、有機溶媒を留去した。残渣を水100mLにて5回洗浄し、少量のアセトンに溶解した。これをジエチルエーテルにて再結晶を行い、淡黄色の固体3.8gを得た(収率87%、純度97%)。1H−NMRによりこの淡黄色固体が目的物である4−(トリエチルアンモニオメチル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−13)]であることを確認した。
<実施例14:4−(1−ブチルイミダゾリオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A140)の合成
中間体(A130)の合成において、ジエチルアミン8gをイミダゾール(東京化成製)7.5gに変更すること以外は中間体(A130)の合成と同様に行い、中間体(A140)を得た。
(2)中間体(A141)の合成
中間体(A131)の合成において、中間体(A130)より常法にて調製したGrignard試薬(THF溶液、1.0mol/L)を中間体(A140)を原料として常法にて調製したGrignard試薬(THF溶液、1.0mol/L)に変更したこと以外は中間体(A131)の合成と同様に行い、中間体(A141)を得た。
(3)4−(1−ブチルイミダゾリオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成
実施例13において、中間体(A131)4.4gを中間体(A141)4.4gに変更し、臭化エチル1.3gを臭化ブチル1.6gに変更したこと以外は実施例13と同様に行い、4−(1−ブチルイミダゾリオメチル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−14)]を得た(収率90%、純度96%)。
<実施例15:4−(N−メチルモルホニオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成の合成>
(1)中間体(A150)の合成
中間体(A131)の合成において、中間体(A130)より常法にて調製したGrignard試薬(THF溶液、1.0mol/L)を4−(モルホリノメチル)ブロモベンゼン(和光純薬製)より常法にて調製したGrignard試薬(THF溶液、1.0mol/L)に変更したこと以外は中間体(A131)の合成と同様に行い、中間体(A150)を得た。
(2)4−(N−メチルモルホニオメチル)フェニルトリフェニルボレートの合成
実施例13において、中間体(A131)4.4gを中間体(A150)4.6gに変更し、臭化エチル1.3gをヨウ化メチル1.7gに変更したこと以外は実施例13と同様に行い、4−(N−メチルモルホニオメチル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−15)]を得た(収率93%、純度98%)。
<実施例16:4−(4−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル}ブタノイル)フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A160)の合成:
中間体(A50)の合成において、4−ブロモアセトフェノン10gを1−(4−ブロモフェニル)4−クロロブタノン13.1g(アルドリッチ製)に変更すること以外は中間体(A50)の合成と同様に行い、中間体(A160)を得た。
(2)中間体(A161)の合成
中間体(A51)の合成において、中間体(A50)7.5gを中間体(A160)9.5gに変更したこと以外は中間体(A51)の合成と同様に行い、中間体(A161)を得た。
(3)4−(4−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル}ブタノイル)フェニルトリフェニルボレートの合成
実施例5において、中間体(A52)4.5gを中間体(A161)4.7gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例5と同様に行い、4−(4−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル}ブタノイル)フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−16)]を得た(収率90%、純度94%)。
<実施例17:6−(α−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル}アセチル)−2−ナフチルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A170)の合成:
中間体(A50)の合成において、4−ブロモアセトフェノン10gを6−ブロモ−2−アセトナフトン12.5g(アルドリッチ製)に変更すること以外は中間体(A50)の合成と同様に行い、中間体(A170)を得た。
(2)中間体(A171)の合成
中間体(A51)の合成において、中間体(A50)7.5gを中間体(A170)9.1gに変更したこと以外は中間体(A51)の合成と同様に行い、中間体(A171)を得た。
(3)中間体(A172)の合成
中間体(A52)の合成において、中間体(A51)6.7gを中間体(A171)7.4gに変更する以外は中間体(A52)の合成と同様に行い、中間体(A172)を得た。
(4)6−(α−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル}アセチル)−2−ナフチルトリフェニルボレートの合成
実施例5において、中間体(A52)4.5gを中間体(A172)5.3gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例5と同様に行い、6−(α−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル}アセチル)−2−ナフチルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−17)]を得た(収率88%、純度95%)。
<実施例18:4−{α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−p−ビフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A180)の合成:
中間体(A50)の合成において、4−ブロモアセトフェノン10gを4’−(4−ブロモフェニル)アセトフェノン13.8g(アルドリッチ製)に変更すること以外は中間体(A50)の合成と同様に行い、中間体(A180)を得た。
(2)中間体(A181)の合成
中間体(A51)の合成において、中間体(A50)7.5gを中間体(A180)9.9gに変更したこと以外は中間体(A51)の合成と同様に行い、中間体(A181)を得た。
(3)中間体(A182)の合成
中間体(A52)の合成において、中間体(A51)6.7gを中間体(A181)7.8gに変更する以外は中間体(A52)の合成と同様に行い、中間体(A182)を得た。
(4)4−{α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−p−ビフェニルトリフェニルボレートの合成
実施例5において、中間体(A52)4.5gを中間体(A182)5.6gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例5と同様に行い、4−{α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−p−ビフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−18)]を得た(収率87%、純度90%)。
<実施例19:3−{α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−4−フルオロフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A190)の合成:
中間体(A50)の合成において、4−ブロモアセトフェノン10gを3−ブロモ−4−フルオロアセトフェノン10.9g(東京化成製)に変更すること以外は中間体(A50)の合成と同様に行い、中間体(A190)を得た。
(2)中間体(A191)の合成
中間体(A51)の合成において、中間体(A50)7.5gを中間体(A190)8.1gに変更したこと以外は中間体(A51)の合成と同様に行い、中間体(A191)を得た。
(3)中間体(A192)の合成
中間体(A52)の合成において、中間体(A51)6.7gを中間体(A191)6.9gに変更する以外は中間体(A52)の合成と同様に行い、中間体(A192)を得た。
(4)3−{α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−4−フルオロフェニルトリフェニルボレートの合成
実施例5において、中間体(A52)4.5gを中間体(A192)5gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例5と同様に行い、3−{α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−4−フルオロフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−19)]を得た(収率82%、純度96%)。
<実施例20:4−{α−フェニル−α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−フェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A200)の合成:
中間体(A50)の合成において、4−ブロモアセトフェノン10gを4−ブロモ−αフェニルアセトフェノン13.8g(アルドリッチ製)に変更すること以外は中間体(A50)の合成と同様に行い、中間体(A200)を得た。
(2)中間体(A201)の合成
中間体(A51)の合成において、中間体(A50)7.5gを中間体(A200)9.9gに変更したこと以外は中間体(A51)の合成と同様に行い、中間体(A201)を得た。
(3)中間体(A202)の合成
中間体(A52)の合成において、中間体(A51)6.7gを中間体(A201)7.8gに変更する以外は中間体(A52)の合成と同様に行い、中間体(A202)を得た。
(4)4−{α−フェニル−α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−フェニルトリフェニルボレートの合成
実施例5において、中間体(A52)4.5gを中間体(A202)5.6gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例5と同様に行い、4−{α−フェニル−α−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)アセチル}−フェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−20)]を得た(収率89%、純度94%)。
<実施例21:4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチル−1−ナフチルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A210)の合成:
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液を常法により調製できる4−メチル−1−ナフチルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に変更すること以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A210)を得た。
(2)中間体(A211)の合成
中間体(A11)の合成において、中間体(A10)7.4gを中間体(A210)8.4gに変更したこと以外は中間体(A11)の合成と同様に行い、中間体(A211)を得た。
(3)4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチル−1−ナフチルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A211)5gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチル−1−ナフチルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−21)]を得た(収率87%、純度97%)。
<実施例22:9−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチル−10−アントリルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A220)の合成:
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液を常法により調製できる9−メチル−10−アントリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に変更すること以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A220)を得た。
(2)中間体(A221)の合成
中間体(A11)の合成において、中間体(A10)7.4gを中間体(A220)9.4gに変更したこと以外は中間体(A11)の合成と同様に行い、中間体(A221)を得た。
(3)9−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチル−10−アントリルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A221)5.5gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、9−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチル−10−アントリルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−22)]を得た(収率76%、純度97%)。
<実施例23:3−フルオロ−4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A230)の合成:
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液を常法により調製できる9−メチル−10−アントリルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に変更すること以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A230)を得た。
(2)中間体(A231)の合成
中間体(A11)の合成において、中間体(A10)7.4gを中間体(A230)7.8gに変更したこと以外は中間体(A11)の合成と同様に行い、中間体(A231)を得た。
(3)3−フルオロ−4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A231)4.7gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、3−フルオロ−4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−23)]を得た(収率88%、純度91%)。
<実施例24:4−メトキシ−3−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A240)の合成:
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液を常法により調製できる4−メトキシ−3−メチルフェニルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に変更すること以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A240)を得た。
(2)中間体(A241)の合成
中間体(A11)の合成において、中間体(A10)7.4gを中間体(A240)8.1gに変更したこと以外は中間体(A11)の合成と同様に行い、中間体(A241)を得た。
(3)4−メトキシ−3−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A241)4.8gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−メトキシ−3−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−24)]を得た(収率70%、純度90%)。
<実施例25:4−(α−フェニル−α−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル})メチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A250)の合成:
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液を常法により調製できる4−(α−クロロ−α−フェニル)メチルフェニルマグネシウムブロミドTHF溶液(1.0mol/L)に変更すること以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A250)を得た。
(2)4−(α−フェニル−α−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル})メチルフェニルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A250)4.8gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(α−フェニル−α−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル})メチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−25)]を得た(収率81%、純度94%)。
<実施例26:4−(4−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル})ブチルフェニルトリフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A260)の合成:
反応容器に水酸化カリウム30gとエチレングリコール150mLを仕込み、150℃にて水酸化カリウムを溶解させた。100℃にて1−(4−ブロモフェニル)−4−クロロブタノン40g(アルドリッチ製)を仕込み 、そこへヒドラジン一水和物(東京化成製)12gを滴下した。滴下後100℃にて8時間反応させ、冷却後300mLの水へ投入した。ジクロロメタン200mLで抽出を行い、さらにジクロロメタン層を5回水洗した。有機層(ジクロロメタン)を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製しを行い、中間体(A260)を得た。
(2)中間体(A261)の合成:
中間体(A10)の合成において、4−トリルマグネシウムブロミドTHF溶液を中間体(A260)より常法にて調製できるGrignard試薬(THF溶液、1.0mol/L)に変更すること以外は中間体(A10)の合成と同様に行い、中間体(A261)を得た。
(3)4−(4−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル})ブチルフェニルトリフェニルボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A261)4.5gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(4−{1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル})ブチルフェニルトリフェニルボレート[ボレート塩(A−26)]を得た(収率77%、純度91%)。
<実施例27:4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリス(sec−ブチル)ボレートの合成>
(1)中間体(A270)の合成
中間体(40)の合成において、4−(ブロモエチル)−ブロモベンゼン8.2gを4−ブロモベンジルクロリド(東京化成製)6.4gに変更し、トリフェニルボランTHF溶液(0.25mol/L)100mLをトリス(sec−ブチル)ボランTHF溶液(1.0mol/L、アルドリッチ製)25mLに変更した以外は中間体(40)の合成と同様に行い、中間体(A270)を得た。
(2)4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリス(sec−ブチル)ボレートの合成
実施例1において、中間体(A11)4.5gを中間体(A270)3.5gに、トリエチルアミン1.5gをDBU2.3gに変更したこと以外は実施例1と同様に行い、4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニルトリス(sec−ブチル)ボレート[ボレート塩(A−27)]を得た(収率56%、純度94%)。
<実施例28:4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニル−ジエチル−3−ピリジルボレートの合成>
(1)中間体(A280)の合成
中間体(270)の合成において、トリフェニルボランTHF溶液(0.25mol/L)を3−ピリジルジエチルボラン3.7gをTHF100mLで溶解させたものに変更した以外は中間体(270)の合成と同様に行い、中間体(A280)を得た。
(2)4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニル−ジエチル−3−ピリジルボレートの合成
実施例27において、中間体(A270)3.5gを中間体(A280)3.1gに変更したこと以外は実施例27と同様に行い、4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニル−ジエチル−3−ピリジルボレート[ボレート塩(A−28)]を得た(収率78%、純度95%)。
<実施例29:4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニル−トリスペンタフルオロフェニルボレートの合成>
(1)中間体(A290)の合成
中間体(270)の合成において、トリフェニルボランTHF溶液(0.25mol/L)をトリスペンタフルオロフェニルボラン(アルドリッチ製)12.8gをTHF100mLに溶解させたものに変更した以外は中間体(270)の合成と同様に行い、中間体(A290)を得た。
(2)4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニル−トリスペンタフルオロフェニルボレートの合成
実施例27において、中間体(A270)3.5gを中間体(A290)6.8gに変更したこと以外は実施例27と同様に行い、4−(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウム−8−イル)メチルフェニル−トリスペンタフルオロフェニルボレート[ボレート塩(A−29)]を得た(収率74%、純度98%)。
<実施例30〜58、比較例1〜2>
実施例1〜29で得られた両性イオン型ボレート塩、製造例5で得られた比較用のボレート塩(d−1)及び比較用のボレート塩(d−2)[DBU誘導体のテトラフェニルボレート塩(製品名:U−CAT 5002、サンアプロ製)]を用いて以下の組成を均一に混合し、硬化性樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物及び光硬化性樹脂組成物)をそれぞれ調製した。
(熱硬化性樹脂組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (JER−828;三菱化学製)100g
酸無水物 (HN5500E;日立化成製) 90g
ボレート塩 5g
(光硬化性樹脂組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 (JER−828;三菱化学製) 100g
酸無水物 (HN5500E;日立化成製) 90g
ボレート塩 5g
増感剤 (ジエチルチオキサントン;東京化成製) 5g
実施例1〜29で得られた両性イオン型ボレート塩(A)、製造例5で得られた比較用のボレート塩(d−1)及び比較用のボレート塩(d−2)を硬化性樹脂組成物用の硬化促進剤として用いた場合の効果を確認するため、以下の方法で溶解性、保存安定性、熱硬化性及び光硬化性を評価し、結果を表1に記載した。
(溶解性)
熱硬化性樹脂組成物を目視にて観察し、不溶物の有無を確認した。
不溶物なし・・○、 カスミあり・・△、 不溶物有り・・×
(保存安定性)
熱硬化性樹脂組成物を40℃の恒温機にて保存し、初期粘度の2倍に達する日数を比較した。
>2週間・・◎、1〜2週間・・○、3〜6日・・△、<3日・・×、<1日××
なお、粘度測定は回転式粘度計:ビスコリードプロL(ファンキラブ社製)を用いて25℃で行った。
(熱硬化)
熱硬化性樹脂組成物をガラス基板(100mm×100mm)にバーコーターで均一に塗布した後、150℃に加熱したホットプレートで30分加熱を行い、塗布面を指で触ることで表面タックの有無を確認した。
タックなし・・○、 タックあり・・×
(光硬化)
光硬化性樹脂組成物をガラス基板(100mm×100mm)にバーコーターで均一塗布し、光源に高圧水銀灯を用いたベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社、ECS−151U)を用いて、露光量1000mJ/cm2(365nmにおける積算光量)となるように露光[300〜450nmの波長の光を透過するフィルター(アイグラフィックス株式会社、365フィルター)を使用]を行い、塗布面を指で触ることで表面タックの有無を確認した。
タックなし・・○、 タックあり・・×
表1の結果から、本発明の両性イオン型ボレート塩が比較用のボレート塩と比べて硬化性及び貯蔵安定性に優れていることがわかる。
<実施例59〜76及び比較例3〜5>
実施例1〜28で得られた両性イオン型ボレート塩(A−1)〜(A−28)のうち表2に記載の両性イオン型ボレート塩又は比較用の塩基発生剤(d−3)〜(d−5)と、製造例6〜13で得られたポリアミド樹脂(P1−1)〜(P2−5)と、溶媒(S−1)〜(S−3)と、増感剤(H−1)又は(H−2)とをそれぞれ表2に記載の部数用い、室温で3時間撹拌することで均一に混合して硬化性樹脂組成物を作成し、得られた硬化性樹脂組成物について下記の方法で加熱後残確率とパターン形成性を評価し、結果を表2に記載した。
なお、表2において、溶剤(S−1)はジメチルアセトアミドを表し、溶剤(S−2)はN−メチルピロリドンを表し、増感剤(H−1)は4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノンを表し、増感剤(H−2)は2,4−ジエチルチオキサントンを表す。
〔試験法:加熱後残膜率〕
シリコン基板上に調整した硬化性樹脂組成物をそれぞれ仕上がり膜厚10μmとなるようにスピンコートした後、100℃に温調されたホットプレート上で15分間乾燥した。乾燥させたシリコン基板の半分をマスクで遮光した後、i線(365nm)露光機で露光量1000mJ/cmで露光した。露光後の加熱温度を160℃から250℃まで変化させた。加熱時間は15分とした。加熱後、2%NaOH水溶液中にシリコン基板を浸漬して現像を行った。現像時間は遮光部分(未露光部分)が完全に溶解するまでの時間とした。
現像終了後に水洗を行い、露光部分の露光前膜厚と現像後の膜厚より残膜率を算出し、その結果を表2に示した。残存率が高いほど環化反応が進行していることを意味する。
〔試験法:パターン形成性〕
硬化性樹脂組成物を半導体保護膜、プリント基板保護膜に適応する場合、より精細なパターン形成できることが好ましいことから、パターン形成性を以下の方法で評価した。
シリコン基板上に硬化性樹脂組成物を仕上がり膜厚3μmとなるようにそれぞれスピンコートしたのち、100℃に温調されたホットプレート上で15分間乾燥した。
硬化部分であるライン(L)と未硬化部分であるスペース(S)からなるパターンを形成できるストライプ状のフォトマスクであって、ライン幅とスペース幅とが異なる複数のフォトマスクをそれぞれ用いてi線(365nm)露光機(TME−150RSC(トプコン社製))で露光量1000mJ/cmで露光した。露光後更に150℃で5分間加熱しその後、2%NaOH水溶液を用いて現像を行った。現像後、水洗した後、200℃で15分間加熱してフォトマスクに対応するストライプ状のパターンを形成することができたフォトマスクうち、最小のライン幅とスペース幅とを有するフォトマスクのライン幅とスペース幅をパターンの最小L/Sとして表2に記載した。この値が小さいほどより精細なパターン形成が可能であり、パターン形成性に優れることを意味する。
表2から、本発明の硬化性樹脂組成物は加熱温度200℃における残膜率が80%以上と良好であり、またパターン形成性におけるライン幅及びスペース幅も5〜10μmと細く良好である。比較の感光性樹脂組成物は加熱温度250℃においても残膜率が70%程度であり、ライン幅及びスペース幅は15〜20μmであった。またパターン形成時に一部欠損等の欠陥が見られた。
本実施例に見られるように、本発明の硬化性樹脂組成物を用いることで従来よりも低い温度である200℃でも環化反応が進行し、ポリイミドをはじめとする高耐熱樹脂が得られることがわかる。従って、高温での加熱プロセスに耐えられない半導体部品の保護膜及びプリント基板に特に有用である。
本発明の両性イオン型ボレート塩は硬化性樹脂や重合性モノマーと配合させた場合の貯蔵安定性・溶解性に優れ、加熱または光照射によって硬化させる場合優れた硬化性を発揮する。更に従来よりも低い温度でイミド化が進行し、良好なパターン形成性を有する感光性樹脂組成物を得ることができる。光照射によって硬化させる場合、パターン等を形成する製品及び部材等(例えば電子部品(半導体保護膜、絶縁膜及びプリント基板保護膜等)、光学製品、光学部品の形成材料、層形成材料または接着剤等)の製造、あるいは熱硬化性樹脂と架橋剤からなる熱硬化性組成物ではIC封止材料等の電気・電子材料等に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 一般式(1)で表される両性イオン型ボレート塩。
    [一般式(1)中、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数7〜24のアラルキル基若しくは炭素数6〜18のアリール基又はこれらの基が有する少なくとも一つの水素原子が酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基、窒素原子を有する基若しくはハロゲノ基で置換された基であり、Aは4価共有結合窒素原子を有する基であり、Bはアニオン性ホウ素原子であり、YはAが有する4価共有結合窒素原子とアニオン性ホウ素原子とを結合する二価の有機基である。]
  2. Yが下記一般式(2)で表される基又は一般式(3)で表される基である請求項1に記載の両性イオン型ボレート塩。
    [一般式(2)中、Yは炭素数1〜18のアルキレン基であり、Arはアリーレン基であり、Arの有する少なくとも1つの水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基又はハロゲノ基で置換されていても良い。]
    [一般式(3)中、Yは炭素数1〜18のアルキレン基であり、Arはアリーレン基であり、Arの有する少なくとも1つの水素原子は炭素数1〜8のアルキル基、酸素原子を有する基、硫黄原子を有する基又はハロゲノ基で置換されていても良い。]
  3. が炭素数6〜18のアリール基である請求項1又は2に記載の両性イオン型ボレート塩。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の両性イオン型ボレート塩と硬化性化合物とを含む硬化性樹脂組成物。
  5. 硬化性化合物が分子内に2つ以上のグリシジル基を有する化合物(J)と分子内に2つ以上の活性水素含有基を有する化合物(K)又は酸無水物(L)とからなる硬化性化合物、並びに一般式(4)で表される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂(Am1)及び/又は一般式(5)で表される繰り返し単位を有するポリアミド樹脂(Am2)である硬化性化合物、からなる群から選ばれる少なくとも1種の硬化性化合物を含む請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
    [一般式(4)中、(V)は4価の有機基を表し、(W)は2価の有機基を表す。]
    [一般式(5)中、(V)は4価の有機基を表し、(W)は2価の有機基を表し、Xは水酸基、メルカプト基又はアミノ基である。]
  6. 更に増感剤(H)を含む請求項4又は5に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物の硬化体。
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