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JP2016136031A - 緩衝ストッパ - Google Patents

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Abstract

【課題】緩衝体の歪が過大となることなく、かつ最大圧縮変位量を大きくすることなく、緩衝性能を向上させることの可能な緩衝ストッパ1を提供する。【解決手段】軸方向相対移動可能な二部材のうちの一方3に取り付けられ二部材のうちの他方2に形成された端面21aと対向する環状のストッパ本体11と、このストッパ本体11に一体的に設けられた環状の緩衝体12を備え、この緩衝体12はストッパ本体11に接着された基部12aと、この基部12aから、ストッパ本体11より端面21a側へ向けて延びる突出端部12bと、この突出端部12bの外周に形成され基部12aの外径より大径の肉盛部12cと、基部12aの外周面に形成された肉欠部12dとを有し、肉盛部12cが、二部材のうちの他方2に形成された筒状面22aに、突出端部12bの軸方向圧縮に伴う拡径変形によって圧接可能である。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば車両の操舵装置におけるステアリングラックの端部に緩衝手段として取り付けられる緩衝ストッパに関する。
自動車のラックアンドピニオン式の操舵装置は、よく知られているように、運転者がステアリングホイールを回転操作することにより、ピニオンギアを介してステアリングラックが移動され、その左右両端にボールジョイントを介して連結されたタイロッドが、ステアリングラックに対して揺動され、車輪を任意の方向へ旋回させるようになっている。この種の操舵装置において、ステアリングラックの端部には、ラックハウジングの端面との間で衝撃を緩和するための緩衝手段として、緩衝ストッパが設けられている。
図3は従来の技術による緩衝ストッパを装着状態で示す部分断面図で、参照符号200はラックハウジング、参照符号300はこのラックハウジング200に軸方向往復動自在に挿通されたステアリングラック、参照符号400はステアリングラック300の端部に設けられたラックエンド301にボールジョイント401を介して連結されたタイロッドである。緩衝ストッパ100は、ラックエンド301におけるラックハウジング200の拡径部201の端面201aとの対向面に取り付けられており、金属環などからなるストッパ本体101と、その外周にゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)で一体に成形された緩衝体102を備える。緩衝体102は、ストッパ本体101に接着された基部102aと、この基部102aからストッパ本体101の筒部101aよりもラックハウジング200の拡径部201の端面201a側へ向けて軸方向へ延びる突出端部102bを有する。突出端部102bの外周面は、基部102aの外周面と連続した円筒面をなしている。
この緩衝ストッパ100は、例えば油圧や電動等により操舵力がアシストされた車両において、フルロックまで勢いよくハンドルを切った場合などに、ラックハウジング200に対して軸方向往復動するステアリングラック300がそのストロークエンドに達する過程で、緩衝体102の突出端部102bが、まずラックハウジング200の端面201aと衝突して圧縮変形されることにより衝撃を緩和し、次にストッパ本体101の筒部101aの端部がラックハウジング200の端面201aと接触することによって、ステアリングラック300の最大変位量を規制するものである(例えば下記の特許文献参照)。
特開平8−133102号公報
この種の緩衝ストッパ100において、緩衝は、ステアリングラック300の質量と移動速度による運動エネルギーを、ゴム状弾性材料からなる緩衝体102の圧縮荷重(反力)と変位(たわみ)により吸収することで行われ、縦軸に荷重、横軸に変位量をとった図4の線図に示すように、吸収可能な運動エネルギー量の大きさは、緩衝体102の荷重−変位特性線kと横軸との間のハッチングされた領域の面積として表すことができる。このため、吸収可能なエネルギー量を大きくするには、緩衝体102のゴム硬度を高くすることによって荷重を大きくするか、あるいは緩衝ストッパ100のサイズ(最大圧縮変位量)を大きくすることによって、図4におけるハッチングされた領域の面積を大きくすることが有効である。
しかしながら、ゴム状弾性材料においては、変位が小さいうちは荷重が線形的に変化するのに対し(図4における線形領域)、変位が所定値を超えて大きくなると、荷重が非線形的に変化する(図4における非線形領域)。このため、緩衝体102のゴム硬度を高くすることによって、図4に一点鎖線で示すように線形領域の傾きを大きくした場合は、非線形領域の傾きが過大となり、歪の増大によって耐久性が低下してしまう問題がある。
また、操舵装置の構造上、緩衝ストッパ100の設計スペースが限られており、吸収可能なエネルギー量の増大を図るために緩衝ストッパ100の最大圧縮変位量を拡大することは困難であった。
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、緩衝体の歪が過大となることなく、かつ最大圧縮変位量を大きくすることなく、緩衝性能を向上させることの可能な緩衝ストッパを提供することにある。
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、本発明に係る緩衝ストッパは、軸方向相対移動可能な二部材のうちの一方に取り付けられ前記二部材のうちの他方に形成された端面と対向する環状のストッパ本体と、このストッパ本体に一体的に設けられた環状の緩衝体を備え、この緩衝体はゴム状弾性材料からなるものであって、前記ストッパ本体に接着された基部と、この基部から、前記ストッパ本体より前記端面側へ向けて延びる突出端部と、この突出端部の外周に形成され前記基部の外径より大径の肉盛部と、前記基部の外周面に形成された肉欠部とを有し、前記肉盛部が、前記二部材のうちの他方に形成された筒状面に、前記突出端部の軸方向圧縮に伴う拡径変形によって圧接可能であることを特徴とするものである。
上記構成によれば、二部材の軸方向相対移動がそのストロークエンドに達する過程で、二部材のうちの一方に取り付けられた緩衝体の突出端部が、まず二部材のうちの他方に形成された端面と衝突して軸方向へ圧縮されることによって衝撃を緩和し、次にストッパ本体の端部が前記端面と接触することによって、最大変位量を規制する。このとき、突出端部は外周に肉盛部が形成されていることによって、圧縮を受けるゴム状弾性材料の体積が大きくなることに加え、圧縮に伴う突出端部及び肉盛部の拡径変形によって、肉盛部が二部材のうちの他方に形成された筒状面に圧接することで、荷重−変位特性における線形領域の傾きが大きくなる。このため、緩衝体によって吸収可能な運動エネルギー量を効率よく大きくすることができる。しかも緩衝体は、基部に肉欠部が形成されていることによって、基部の膨出変形による充填率の上昇が抑制され、これによって、荷重−変位特性における線形領域から非線形領域の移行点が大変位側へ移動するため、非線形領域での急激な荷重の増大による過大な歪を抑制することができる。
本発明に係る緩衝ストッパによれば、緩衝体の最大圧縮変位量を大きくすることなく、吸収可能な運動エネルギー量を大きくすることができ、低変位・高反力による緩衝性能の向上、及び耐久性の向上を実現することができる。
本発明に係る緩衝ストッパの好ましい実施の形態を装着状態で示す断面図である。 本発明に係る緩衝ストッパによる作用を説明するための特性線図である。 従来の技術による緩衝ストッパの一例を装着状態で示す断面図である。 従来の技術による緩衝ストッパの特性線図である。
以下、本発明に係る緩衝ストッパの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る緩衝ストッパを装着状態で示す部分断面図で、この図1における参照符号2はラックハウジング、参照符号3はこのラックハウジング2に軸方向往復動自在に挿通されたステアリングラック、参照符号4はステアリングラック3の端部に設けられたラックエンド31にボールジョイント41を介して連結されたタイロッドである。ラックハウジング2の端部には、ラックエンド31におけるタイロッド4と反対側の端面31aと軸方向に対向する拡径部21と、その外径部からタイロッド4側へ向けて延び、ラックエンド31より大径の筒状端部22が形成されている。なお、ステアリングラック3は請求項1に記載された二部材のうちの一方に相当し、ラックハウジング2は請求項1に記載された二部材のうちの他方に相当する。
緩衝ストッパ1は、ラックエンド31におけるタイロッド4と反対側の端面31aに当接配置されており、ストッパ本体11と、このストッパ本体11に一体的に設けられた緩衝体12を備える。
緩衝ストッパ1におけるストッパ本体11は金属環などで製作されたものであって、ステアリングラック3に外挿される筒部11aと、この筒部11aの端部から外径側へ展開し、ラックエンド31におけるタイロッド4と反対側の端面31aに当接される鍔部11bからなる。
緩衝ストッパ1における緩衝体12は、ゴム状弾性材料(ゴム材料又はゴム状弾性を有する合成樹脂材料)でストッパ本体11と一体的に成形されたものであって、ストッパ本体11の筒部11aの外周面及び鍔部11bにおけるラックエンド31と反対側の端面に接着された環状の基部12aと、この基部12aから、ストッパ本体11の筒部11aよりもラックハウジング2の拡径部21の端面21a側まで軸方向へ延びる突出端部12bと、この突出端部12bの外周に円周方向へ連続して形成され基部12aの外径より大径の肉盛部12cと、基部12aの外周面に、円周方向へ連続して形成された肉欠部12dを有する。
緩衝体12の肉盛部12cの外径は、無負荷状態ではラックハウジング2の筒状端部22の内周面22aよりわずかに小径であるが、突出端部12bと共に軸方向圧縮を受けたときの拡径変形によって筒状端部22の内周面22aに圧接可能となっている。また、肉欠部12dは、基部12aの外周面のうち突出端部12bと反対側の端部寄りの部分を小径に形成したものである。なお、筒状部22の内周面22aは請求項1に記載された筒状面に相当する。
以上のように構成された緩衝ストッパ1によれば、例えば油圧や電動等により操舵力がアシストされた車両において、フルロックまで勢いよくハンドルを切った場合などに、ラックハウジング2に対して軸方向往復動するステアリングラック3がそのストロークエンドに達する過程で、緩衝体12の突出端部12b及びその外周に形成された肉盛部12cが、まずラックハウジング2の拡径部21の端面21aと衝突して圧縮される。またこの圧縮変形に伴って、突出端部12bと共に肉盛部12cが拡径変形されるので、所定の圧縮を受けた時点で肉盛部12cの外周面がラックハウジング2の筒状端部22の内周面22aと圧接する。そしてこのような動作によって、ステアリングラック3の運動エネルギーが吸収され、衝撃が緩和される。そしてステアリングラック3がストロークエンドに達した時点で、ストッパ本体11の筒部11aの端部がラックハウジング2の拡径部21の端面21aと接触することによって、ステアリングラック3の変位が規制される。
ここで、緩衝体12の突出端部12bは外周に肉盛部12cが形成されていることによって、圧縮を受けるゴム状弾性材料の体積が大きくなることに加え、上述のように、圧縮に伴う突出端部12b及び肉盛部12cの拡径変形によって肉盛部12cの外周面がラックハウジング2の筒状端部22の内周面22aと圧接するため、図2に特性線Aで示すように、荷重−変位特性における線形領域の傾きが、肉盛部12cを設けない従来構造による特性線B(図4における特性線k)の線形領域の傾きよりも大きくなり、言い換えれば低変位領域での反力が大きくなり、したがって図2に特性線Aと横軸との間のハッチングされた領域の面積として示すように、吸収可能なエネルギー量を効率よく大きし、緩衝体12のサイズ(ストッパ本体11によってステアリングラック3の変位が規制されるまでの最大圧縮変位量)を大きくすることなく緩衝性能を向上することができる。
また、緩衝体12の基部12aに肉欠部12dを設けずに突出端部12bに肉盛部12cを形成した場合は、突出端部12b及び肉盛部12cの軸方向圧縮による応力を受ける基部12aの径方向膨出変形によって、ラックハウジング2の拡径部21及び筒状端部22と緩衝ストッパ1のストッパ本体11との間の空間における緩衝体12の充満率が増大するため、線形領域から非線形領域への移行が早まって非線形領域での急激な荷重の増大による緩衝体12の過大な歪を生じる懸念があるが、図示の実施の形態によれば、緩衝体12は、基部12aの外周面に円周方向へ連続した肉欠部12dが形成されているため、突出端部12b及び肉盛部12cの圧縮に伴う基部12aの膨出変形による充填率の上昇が抑制される。このため、特性線Aにおける線形領域から非線形領域への移行が遅れ、その結果、非線形領域での急激な荷重の増大による緩衝体12の過大な歪を抑制することができる。
1 緩衝ストッパ
11 ストッパ本体
12 緩衝体
12a 基部
12b 突出端部
12c 肉盛部
12d 肉欠部
2 ラックハウジング(二部材のうちの他方)
21 拡径部
21a 端面
22 筒状端部
22a 内周面(筒状面)
3 ステアリングラック(二部材のうちの一方)

Claims (1)

  1. 軸方向相対移動可能な二部材のうちの一方に取り付けられ前記二部材のうちの他方に形成された端面と対向する環状のストッパ本体と、このストッパ本体に一体的に設けられた環状の緩衝体を備え、この緩衝体はゴム状弾性材料からなるものであって、前記ストッパ本体に接着された基部と、この基部から、前記ストッパ本体より前記端面側へ向けて延びる突出端部と、この突出端部の外周に形成され前記基部の外径より大径の肉盛部と、前記基部の外周面に形成された肉欠部とを有し、前記肉盛部が、前記二部材のうちの他方に形成された筒状面に、前記突出端部の軸方向圧縮に伴う拡径変形によって圧接可能であることを特徴とする緩衝ストッパ。
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