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JP2016120518A - ダイカスト方法 - Google Patents

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JP2016120518A
JP2016120518A JP2014263643A JP2014263643A JP2016120518A JP 2016120518 A JP2016120518 A JP 2016120518A JP 2014263643 A JP2014263643 A JP 2014263643A JP 2014263643 A JP2014263643 A JP 2014263643A JP 2016120518 A JP2016120518 A JP 2016120518A
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大塚 幸男
Yukio Otsuka
幸男 大塚
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Kochi Prefectural PUC
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Abstract

【課題】ダイカスト製品は通常、均一な肉厚をしていないことが多く、その部位毎の凝固時間が異なり指向性凝固が達成できなくなるのを防止するダイカスト方法の提供。【解決手段】開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にてキャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップをスリーブ内で後退させて生じたスリーブ内の空間に金属溶湯が保持された断熱性カプセルを収容するカプセル収容工程と、可動金型を固定型の方向に移動させて型締する閉型工程と、キャビティ内を減圧する真空工程と、閉型工程後、プランジャチップをスリーブ内でキャビティに向かって前進させ、カプセルをキャビティに移動させカプセルを破壊してカプセル内に保持された金属溶湯をキャビティ内に充填するアルミニウムダイカスト方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ダイカスト方法に関する。さらに詳しくは、アルミニウムダイカストの製造技術に関するものであり、高品質(鋳造欠陥皆無)のダイカスト品を製造することができ、また、薄肉、大型一体のアルミニウムダイカスト品も製造することができる方法に関するものである。
従来のアルミニウムダイカスト法で、例えば、3mmの肉厚x500mmの幅x1000mmの長さ程度の製品(例えば、自動車用サスペンションメンバー等)を製造する場合、真空ダイカスト法が採用されている。
真空ダイカスト法では、高速高圧の射出プランジャー、均等に溶湯を供給するためのランナー、ゲート、製品キャビティ、真空吸引のための減圧ランナー、及び真空バルブなどを大型金型に配置して、型締め−射出−押し出しを行なう複雑で大掛かりな金型及びダイカスト装置(例えば、3000トンの型締め装置、3−5m/sのプランジャー射出速度)を必要とする。
さらに大物で薄肉の製品(例えば、2mmの肉厚x1000mmの幅x1500mmの長さのドアパネル等)を製造するためには、更なる高速高圧化、超大型の金型、ダイカスト装置(例えば、4000トンの型締め装置、5−8m/sのプランジャー射出速度)を必要とするため、実際上多大な費用が掛かり困難か不可能である。
一方、従来の低速・低圧法(重力鋳造法や低圧鋳造法)、あるいは低速・高圧法(スクイーズダイカスト)で、このような薄肉大型の製品を製造することは、全く不可能である。薄肉大物のダイカストを低コストでの製造を可能にするためには、低速低圧、かつシンプルかつコンパクトな構成のダイカスト方法の発明がどうしても必要であった。
ここで、従来ダイカストにおいて、なぜ高速高圧の真空ダイカストが必要であったかについて述べる。
(イ)充填中に凝固しないようにするために高速射出する必要がある。
(ロ)キャビティ内の空気巻き込み防止のために減圧するか、或いは真空化する必要がある。(但し、完全真空は不可能であるため、どうしても残留空気が存在する)
(ハ)高速充填で巻き込んだ空気の圧縮のために高圧化する必要がある。
(ニ)凝固収縮を補うなうために高圧加圧する必要がある。
すなわち、従来ダイカストにおいては、高速高圧にしないとダイカスト製品の品質を確保することができなかなかったのである。しかしながら、高速高圧には限界があったのである。
そこで、本発明者は以下の特許文献1、特許文献2、特許文献3及び特許文献4により、ダイカスト装置及び方法を提案した。
特許文献1によれば、
(1)真空、射出、加圧、押し出しの機能を併せ持つインジェクターにより、ダイカスト型設備のシンプル化を実現した。
(2)断熱カプセルによる溶湯供給により温度低下をなくし、注湯量の管理容易にし、ハンドリングを容易にした。
(3)シンプルなダイカスト型構造になるため、真空リーク少ないという効果が得られた。
(4)凝固、流れ、押し出しより、ダイカスト製品内の最適位置にインジェクターを直接、複数個配置できるので、大物かつ薄肉の製品を製造することが可能になった。
(5)吸引時間が長く取れるため、リーク部位が少なくなり、高真空度を達成することが可能になった。
(6)射出加圧位置を、製品内に直接設ける構成により、湯の流動距離が短縮化され、湯まわり、引け巣防止が容易となった。
(7)また、ランナー、ゲート、オーバーフローが不要となるため、型のサイズが小さくなり、このため歩留まりが向上した。
(8)湯の流動距離が短縮化と高真空度により、低速・低圧射出が可能となり、金型とダイカスト装置がコンパクトになった。
特許文献2によれば、
(1)断熱カプセル、フィルターのハンドリング法を提案した。
(2)保温性塗型剤と、補助湯道リブのダイカストへの適用(超薄肉大型ダイカスト製品での適用)を提案した。
(3)ビスケット分離方法を提案した。
特許文献3によれば、叙上の特許文献1〜2における高品質アルミニウムダイカストをさらに効率的に得るために、複数射出、真空・加圧・押し出し機構を一体化した金型を、容易に交換し、また注湯など一連の工程を効率的に行い、稼動率、良品率を画期的に上げるダイカストシステム装置を提案している。すなわち、特許文献3により、
(1)射出・真空・加圧・押し出し一体コンパクト金型と、金型迅速交換装置(馬蹄型プラテン)を提案し、
(1−1)<複数射出サーボ機構、真空、押し出し機構>などの構成をすべて備えたコンパクトな金型とした。
(1−2)外段取りとしたので、配線配管、型予熱が可能になり、捨て打ちをなくし、稼働率、良品率が向上した。
(1−3)ダイカスト機本体は、金型の開閉機構のみとなるため、シンプルな構造(馬蹄型プラテンでスライド式迅速型交換、型締め力が従来法の10分の一以下であり、プラテンの変形がない)を実現した。
(2)<注湯カプセル及び保温移動装置>を事前に準備しておき、迅速に静かに供給することを提案した。すなわち、
(2−1)注湯量、注湯温度の高精度、注湯温度を安定化するために、保温カプセルにて、注湯量、温度を確認し、給湯することを提案した。
(2−2)清浄溶湯を実現するために、注湯時の落差をなくすることで、スリーブ・プランジャーとの接触・冷却をなくした。
(2−3)迅速給湯を実現するために、プランジャーの動きを利用して静かに迅速に給湯することを提案した。
上記特許文献1、特許文献2及び特許文献3により、高品質かつ超薄肉大型のダイカスト製品の製造が可能となった。しかしながら、保温材を使用している点、真空機能つきインジェクターを使用している点で構成上改善すべき点があり、本発明者は、さらに以下の特許文献4に開示した発明により、さらに高品質のダイカスト製品を製造する方法を実現した。
本発明者は特許文献4により、
(1)保温材なしで、スリーブ内の凝固を防ぐ方法を提案した。
竪型ダイカスト法においては、通常、低速高圧射出で、比較的小物で厚肉品が対象である。特許文献4では、大型、薄肉品をつくるべく、複数射出シリンダーを持ち、低圧を可能にする叙上の特許文献1においては必須構成要件である断熱カプセルを不要としたシンプルな構成の発明である。
保温材がない場合、注湯から射出までに時間がかかると、スリーブ内で凝固が進行し、射出トラブルや湯回り不良になるという問題がある。
そこで、<金型開き、鋳物取りだし、清掃、離型材塗布>工程の完了後、金型を半閉じ状態(例えば、3/4くらい閉じる)に保ち、注湯治具(保温性の樋)により型の隙間より注湯する。
この注湯時には、プランジャチップを注湯量に応じて下降させ、注湯落差を極小にして湯の乱れや酸化分の発生を防止する。
注湯治具を除去後、金型をさらに閉じる。これにより従来の金型閉じストローク(例えば、600mm)を、150mm程度までに短くできるので、型閉時間が、例えば従来15秒であったのを、4秒程度(注湯治具除去+型閉時間)に短縮できるので、射出スリーブ内の溶湯の凝固が進行しにくい。
さらに、保温性のスリーブ潤滑剤や保温性のスリーブを併用することにより、さらに凝固の進行を遅くすることが可能となり、いわゆるスリーブ内面の凝固層(破断チル層)をなくすことができ、さらに複数射出も同様に、容易に可能となる。
また本発明者は、特許文献4により、
(2)簡易な方法で金型キャビティ内を迅速に高真空にする方法を提案した。
注湯工程の完了後、さらに金型を下降させ、隙間を少し開け(2mm程度(これは、真空シールが効力を持つ隙間))、その位置で金型を短時間保持する。その直後、真空系を開放し、金型キャビティ内を高真空に保つ。すなわち、真空DC用バルブやチルベント、あるいは真空機能を持つインジェクターをなくすることで、高真空を容易に達成することができる。また、金型隙間が2mm前後と大きくまた吸引面積も広いので、非常に短時間(例えば、1秒)で高真空を達成することができる。高真空到達後、のこりの隙間を完全に閉じ、射出を行う。
特許文献4の上記(1)及び(2)のプロセスは、注湯工程の完了から射出工程までが短いストローク(例えば、〔4+1〕秒程度)で可能であり、スリーブ内の溶湯の凝固は、ほとんど問題とならなくなり、その結果、保温材による断熱カプセルは不用となり、また特殊な注湯機構や真空機構も不用となる。
また本発明者は、特許文献4により、
(3)ビスケットからの加圧効果を確保する方法を提案した。
射出をおこなうと、フィルターを透過して清浄な溶湯が、金型キャビティ内に注入され、ビスケット部が形成される。上記(1)及び(2)のプロセスによりスリーブ内の凝固は極少にすることができるが、充填中にも凝固は若干進行するため、金型接触面で徐々に凝固殻が発生し、プランジャー加圧ストロークの抵抗となり、加圧が十分行われない場合が発生する。そこで、凝固殻を避けるべくプランジャーの先端径をビスケットより小さくして、プランジャーの先端がビスケットの内部に侵入できるようにする。これによりプランジャーの圧力を、未凝固部を通じて、製品に伝播させ、従来に比べて低圧で凝固収縮巣を防ぐことができる。従来においてはこの凝固殻(強度をもっている)を押しつぶすためにも高圧が必要であった。
また、ビスケットの位置を高くとり、いわゆる重力押湯が効く様に設定することも低圧射出を可能にする重要なポイントである。
上記(1)、(2)及び(3)のプロセスにより、特殊な保温材を使用することなく、また特殊な注湯金型機構(例えば、傾転スリーブ法)、バキュラル法(真空吸い上げ法)、低圧注湯法(MP法)などを必要とせず、さらに、高価な真空バルブやチルベントなどを不要とせず、金型の閉じるストロークを、3段階に保持することにより、竪型ダイカスト法において、容易に、低速・低圧で、大物、薄肉品を作ることができる。さらに2箇所以上の複数射出も容易に可能となる。
上述のとおり、特許文献1〜4の方式を簡単に説明した。特許文献1等においては、スリーブ保温カプセルを用いている。その保温材は高品質の溶湯を保持し、高品質のダイカスト品の製造に非常に効果があるが、保温材コストに問題があるため、上記特許文献4において、この保温材を用いずに迅速に注湯射出する発明を提案したのである。
特許第4810706号公報 特開2010−179331号公報 特開2012−148319号公報 特開2013−132644号公報
叙上の特許文献1等に開示した保温材は、保温効果、スリーブとの接触を防ぎ、溶湯の清浄度を確保するものであるが、さらに射出後の保温材破片流入の悪影響を防ぐために、薄膜化することが望ましい。
しかし、注湯時に破損する虞があり、かつ成型が難しく、その薄膜化(膜厚1mm以下)には限界がある。薄膜成型を容易に行い、かつ注湯時の破損を防止することができるダイカスト方法を提供することを目的として、本発明者は特願2013−205708号により、溶湯がスリーブ内面に接触せず凝固進行せずいわゆる凝固チル層が発生せず、またプランジャー潤滑剤と溶湯が接触しないため反応ガスが発生せず、清浄溶湯を安定的に保持することが可能となり、また保温材の量が少ないため流動に及ぼす影響を最小限にすることができる。そして薄膜密着方式により高品質なダイカスト製品を製造することが可能となる。
叙上の特許文献1〜4に開示したマルチ射出方式は、従来のダイカストと異なり、高品質で薄肉大型のダイカスト製品の製造が可能である。すなわち射出スリーブ内の溶湯の凝固を防止し、高真空を確保し、さらに射出スリーブを複数設置し、各スリーブからの必要流動距離を短くすることにより、薄肉大型のダイカスト製品を低速低圧(従来の1/10程度)で製造することが可能である。特許文献1〜4の発明で、それらの基本となる、あるいは関連する方法を開示している。特許文献1〜3においては、複数の溶湯保温カプセルにて溶湯を供給し、複数の射出を行う方式を開示し、特許文献4においては保温材なしの方式を開示し、特願2013−205708号においては薄膜保温材方式を開示した。
薄膜保温材方式は、薄膜保温材を射出スリーブ内壁に密着させ、溶湯の温度低下及び汚染を防止できるというメリットがある一方で、複数の保温材挿入、複数の注湯、金型締め、真空、取り出し、エアブロー、離型剤塗布、複数のスリーブ潤滑剤塗布のため、工程数が増えるというデメリットがあり、これら各工程を順次実施すると、サイクルタイムが長くなり製造性の良いダイカストのメリットが失われるという問題がある。
本発明者は、叙上の技術的課題に鑑みて特願2013−264618号によって改良されたダイカスト装置及び方法を提案しており、このダイカスト装置及び方法では、射出圧が従来のダイカストに比して1/10程度となるため、型締め力が大幅に低減できる。このため、当該油圧クランプ方式を適用することが可能になる。
本発明者は更に、特願2013−264619号において、アンダーカットや中空のアルミダイカスト製品を容易に得ることができる砂中子と、該砂中子を用いるダイカスト方法の提供を技術的課題とし、かかる技術的課題を、ジルコン砂、クロマイト砂、アルミナ砂からなる群から選択された1種または2種以上の粒子と、無機バインダー(1〜3重量%)とを混錬準備する工程と、砂型中子を製作する造型工程を含んでなることを特徴とする1又は2以上の射出による低速低圧ダイカストで用いる砂中子の製法と、ジルコン砂、クロマイト砂、アルミナ砂からなる群から選択された1種または2種以上の粒子と、無機バインダー(1〜3重量%)とを含んでなることを特徴とする薄肉大型ダイカスト用の中子と、当該中子を用いるアルミニウムダイカスト方法であり、保温材と共に前記砂中子の製法に記載の中子を当該上型と下型との間に装入する工程、下型内に、保温材を複数の射出スリーブの内壁に密着する工程、前記保温材に溶湯を注湯する工程、上型を閉じて型締めする工程、溶湯を射出する工程、湯を凝固させる工程、湯の凝固終了後、上型を上昇させる工程、及び製品を中子と共に前記上型より押し出す工程を含んでなることを特徴とするアルミニウムダイカスト方法により解決することを提案している。
特願2013−264619号に係るダイカスト方法の利点は、超低速、超低圧でアルミニウムダイカスト品を製造できることであるが、さらに、利点を活かして、従来の高速高圧ダイカストでは、使用が困難である砂中子を用いることができる。
本発明者は、叙上の特許文献1〜4、特願2013−205708号、特願2013−264618号及び特願2013−264619号に開示された発明により、薄肉大型のダイカスト部品の鋳造を実現したが、実際のアルミニウムダイカスト製品を鋳造するにあたり、つぎのとおりの問題が発生することを認識した。
(ア)ダイカスト製品は通常、均一な肉厚をしていないことが多く、その部位ごとの凝固時間が異なることにより、指向性凝固が達成できなくなる。すなわち、ボス形状部や肉厚部の凝固が遅くなり、プランジャーからの加圧が効かず、引け巣が発生する。特願2013−264618号及び特願2013−264619号に記載のとおりに複数プランジャーにするとこれらは改善されるが、それだけでは不可能な形状もある。
(イ)肉薄の部位が存在すると、その部位で凝固が促進され、湯回り不良となる。その肉薄の部位の湯回り対策として充填時間の短縮が必要となる。
(ウ)アルミニウム製品として、薄肉化・軽量化が重要であり、従来よりも更に薄肉の製品が要求されている。しかしながら強度や締結の必要性から均一の肉厚ではなく、部分的に薄肉、或は厚肉にせざるを得ない。
前記(ア)の対策において、従来のダイカスト法として、厚肉部やボス部を鋳ぬきするか、或いは形状の変更をすることが第一番目の対策となる。更に、場合によっては、その凝固遅れ部に加圧ピンを設置し、充填後加圧することにより、対策をする場合もある。しかし、形状の変更には限界があり、また加圧ピンは型構造やその制御が難しく、トラブルの原因となる。
前記(イ)及び(ウ)の肉薄部の対策として、充填速度を増加することが行われるが、これは、ダイカスト装置の複雑化、高価格化となり限界がある。また、肉薄部への湯回り対策として、保温性の良い離型剤を使用したり、金型表面に細かな凹凸をつけたり、メッシュ模様をつけたりすることもあるが、その効果は十分ではない。
一方、重力金型鋳造法や低圧鋳造法では、金型へのコーティングすなわち塗型が行われ、塗型の膜厚を上げ、保温性を確保し凝固を遅くするか、逆に塗型膜を薄くすることにより凝固を促進することが定性的・経験的に行われている(図8参照)。
通常の金型重力鋳造法などで使用されている塗型は、各種耐火物粉末(アルミナ、カオリン、黒鉛、雲母、耐火粘土など)にバインダーをまぜ、金型を加熱(200℃前後)した状態で、スプレイして金型表面に固定する。この塗型は比較的軟質であるが、通常、重力鋳造法などで一日から数日使用される程度の耐久性はあり、場合によっては随時補修などが行われる。しかし、鋳造を繰り返すうちに膜厚が減少し、その効果が安定持続しないという問題点がある。また、充填速度や溶湯圧力がダイカストに比べ非常に低いレベルであり、薄肉大型鋳造品を製造するには適したプロセスではない。
このような重力鋳造における塗型法を、通常ダイカストの適用することは難しい。その理由は、重力鋳造や低圧鋳造では、重力や空気圧で静かに低速で充填し、加圧力も重力程度であるのに対し、普通ダイカスト法においては、溶湯速度が高く(例えば、プランジャー速度3〜5m/s、ゲート速度50m/s)、更にアルミニウム溶湯圧力が高く(例えば、500気圧〜1000気圧)、それらの塗型膜が剥離・破壊したり、膜内の気孔部にアルミ溶湯が浸透したりすることにより、塗型の耐久性が全くないからである。
このように重力金型鋳造法の塗型は、普通ダイカストにおいては全く耐久性がない。そこで、もう少し密着強度、膜強度の高いセラミック溶射の可能性が考えられるが、上記のような通常のダイカスト溶湯圧力や速度では、重力金型鋳造用塗型と同じく耐久性がない。すなわち、溶射膜はセラミックや金属をプラズマ、高速フレームなどで溶融し、金属表面に吹き付けるものであるが、溶射膜には微小な開口部が多数存在し、高圧アルミ溶湯が浸透し、アルミ離型時に、溶射膜ごと剥離してしまうからである。場合によってはセラミックの封孔処理をすることも可能ではあるが、完全には封孔できず、逆にひび割れが生じやすくなり、ひび割れ部に高圧溶湯が侵入し剥離しやすくなる。また溶射膜と金型の界面は、化学的結合力はなく、密着力は弱い。下地に金属溶射を行い、上層に保温性の良いセラミック溶射をすることも行われるが、従来の高速高圧ダイカストでの耐久性は不十分である。
本発明の第1の態様にかかるダイカスト方法は、
(1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティを画成する形状を有する可動金型及び固定金型からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
(2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記複数の異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、
(3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に金属溶湯が保持された断熱性カプセルを収容するカプセル収容工程と、
(4)前記カプセル収容工程後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて型締する閉型工程と、
(5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
(6)前記閉型工程後、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、前記カプセルを前記キャビティに移動させカプセルを破壊してカプセル内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
(7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
(8)前記可動金型と前記固定金型を離間させた後、前記キャビティ内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程とを含んでなる
ことを特徴とする。
本発明の第2の態様に係るダイカスト方法は、
(1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティを画成する形状を有する可動金型及び固定金型からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
(2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記複数の異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、
(3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に、円筒形に成型された薄膜保温材を挿入し、当該円筒形の薄膜保温材の中に金属溶湯を注湯する工程と、
(4)前記工程で、金属溶湯の注湯完了後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて型締する閉型工程と、
(5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
(6)前記閉型工程後、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、前記金属溶湯が充填された円筒形の薄膜保温材を前記キャビティに移動させ円筒形の薄膜保温材を破壊して当該薄膜保温材内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
(7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
(8)前記可動金型と前記固定金型を離間させた後、前記キャビティ内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程とを含んでなる
ことを特徴とする。
本発明の第3の態様に係るダイカスト方法は、
(1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティを画成する形状を有する可動金型及び固定金型からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
(2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記複数の異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、
(3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に、前記可動金型と固定金型との間の隙間より金属溶湯を注入する収容工程と、
(4)前記工程で、金属溶湯の注湯完了後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて前記可動金型と固定金型とを微開した状態で所定の時間の間保持する工程と、
(5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
(6)前記工程後、高真空に達した後、前記可動金型と固定金型とを完全に閉じてから、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
(7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
(8)前記可動金型と前記固定金型を離間させた後、前記キャビティ内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程とを含んでなる
ことを特徴とする。
前記アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程の前に、前記可動金型及び前記固定金型の内表面にショットがけを行う工程を含んでなることが好ましい。
前記アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程が、前記可動金型及び前記固定金型の内表面に金属溶射膜を形成し、当該金属溶射膜上にセラミック溶射を行ってセラミック溶射膜を形成して、保温被膜を成膜する工程であることが好ましい。
前記金属溶射膜の膜厚は約50μmであることが好ましい。
前記金属溶射膜はNi−Cr系であることが好ましい。
前記セラミック溶射膜の膜厚は約5〜300μmであることが好ましい。
前記セラミック溶射膜はジルコニア系又はカルシア系、又はアルミナ系であることが好ましい。
本発明の第4の態様に係るダイカスト方法は、前記第1〜3の態様に係る発明において前記可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程が、
(i)湯流れ凝固シミュレーションを行い、凝固が最も遅い部位を決定する工程と、
(ii)前記工程により決定した最も遅い凝固時間と同一の凝固時間となるように、保温被膜の膜厚を決定する工程と、
(iii)前記被膜厚と熱抵抗値との相関関係より熱抵抗値を決定し、当該決定された熱抵抗値で、再度、湯流れ凝固シミュレーションを行う工程と、
(iv)成型されるべき製品の各部位の凝固時間がほぼ同一の凝固時間になることを確認する工程と、
(v)前記工程(iv)において凝固時間が異なる部位がある場合、熱抵抗値を増減させて、凝固時間を確認し、更に指向性凝固になるように変更する工程と、
(vi)前記工程(iii)のシミュレーションで得られた最適な熱抵抗値より前記被膜層の最適な膜厚を決定し、当該最適な膜厚にて金型への被膜処理を施工する工程と
を含んでなることを特徴とする。
本発明の第1〜第4の態様に係るダイカスト方法によれば、均一な肉厚を有していない成型されるべき製品が大型かつ複雑な形状であっても、金型保温被膜による凝固制御を行うことによりダイカストを行うことができる。
本発明の実施形態1のダイカスト方法に用いるダイカスト装置を示す図である。 図1に示すダイカスト装置のサブインジェクタの拡大図である。 本発明の実施形態2のダイカスト方法の給湯工程(図3の(a))と射出工程(図3の(b))を示す図である。 本発明の実施形態3のダイカスト方法の給湯工程を示す図である。 本発明の実施形態3のダイカスト方法の真空工程を示す図である。 本発明の実施形態3のダイカスト方法の型締め工程を示す図である。 本発明の実施形態3のダイカスト方法の射出工程を示す図である。 本発明の実施形態3のダイカスト方法の給湯工程(図3の(a))を示す図である。 アルミニウムダイカスト製品の肉厚、保温被膜の膜厚と凝固時間の関係を示すグラフである。 各種の肉厚を有するダイカスト製品の一例を示す模式図である。 保温被膜の膜厚と熱抵抗値との相関関係を示すグラフである。
[実施形態1]
以下、本発明に係るダイカスト装置は、上述の特許文献1に開示されたダイカスト装置が好適に採用される。
図1は、本発明に係るダイカスト装置の概略図である。図1(a)は、本発明のダイカスト装置の固定金型の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線におけるダイカスト装置の断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B線におけるダイカスト装置の断面図である。本発明のダイカスト装置(1)は、可動金型(2)と、可動金型(2)の下方に配される固定金型(3)と、固定金型(3)と接続して、下方に延設するメインインジェクタ(4)とサブインジェクタ(5)を備える。
可動金型(2)と、固定金型(3)は重なり合った状態で型締され、可動金型(2)と固定金型(3)の境界面にキャビティ(6)が形成される。キャビティ(6)は、所望のダイカスト製品の外形輪郭と略同一の形状をなす。図1に示された例においては、固定金型(3)上面に凹部(61)が形成され、可動金型(2)下面は平坦に形成され、凹部(61)の形状を定める固定金型(3)の面と、可動金型(2)下面とで、キャビティ(6)が形成されているが、本発明はこれに限られるものではなく、可動金型(2)側に凹部(61)が形成され、固定金型(3)上面を平坦に形成する形態や可動金型(2)及び固定金型(3)両方に凹部(61)を形成する形態も、所望するダイカスト製品の形状・種類に応じて、適宜採用可能である。また、図中においては、単一の金型(2,3)が示されているが、所望するダイカスト製品の形状・種類に応じて、追加の金型を用いることも本発明の技術的範囲に含まれる。
図1(a)に示す例においては、凹部(61)は平面視略矩形状に形成されているが、凹部(61)の平面視形状は、所望するダイカスト製品の形状に応じて、適宜定められる。
固定金型(3)上面には、凹部(61)を取り囲むようにパッキン溝が形成され、このパッキン溝に耐熱性パッキン(31)が配される。可動金型(2)と固定金型(3)が型締され、互いに圧接すると、耐熱性パッキン(31)は圧縮変形し、キャビティ(6)に対して、高いシール性を発揮することとなる。
凹部(61)の略中央にメインインジェクタ(4)に接続する射出口(34)が形成される。また、凹部(61)の角隅部には、サブインジェクタ(5)と接続する開口部(35)が形成される。
図1(b)に示す如く、メインインジェクタ(4)は、円筒形状のスリーブ(41)を備える。スリーブ(41)の上端部(411)は、固定金型(3)に固定され、射出口(34)を形成する。
スリーブ(41)は、固定金型(3)下面から下方に延出する。スリーブ(41)の下端部(412)に、アクチュエータが取付けられる。図1に示す例において、アクチュエータとして、電動サーボシリンダ(42)が用いられている。
スリーブ(41)内部には、プランジャチップ(43)が配される。図1(b)に示す例において、プランジャチップ(43)の上部(431)と下部(432)は、上部(431)及び下部(432)の間の中間部(433)よりも径大に形成される。図1(b)に示す例において、プランジャチップ(43)の上部(431)外周面とスリーブ(41)内周面との間には、0.05mm以上0.1mm以下の間隙が設けられる。また、プランジャチップ(43)の下部(432)外周面とスリーブ(41)の間に真空シール材(434)が配され、真空シール材(434)は、プランジャチップ(43)の下部(432)外周面とスリーブ(41)の間で圧縮変形され、高い気密シール性能を発揮する。
図1(b)に示す例において、電動サーボシリンダ(42)のロッド(421)の大部分は、電動サーボシリンダ本体部(422)に収容された状態であり、電動サーボシリンダ(42)のロッド(421)に接続するプランジャチップ(43)は後退位置にある。尚、本明細書において、後退位置とは、機械的動作範囲の下限位置を意味するものではなく、成型工程において、プランジャチップ(43)がキャビティから後退した状態の位置を意味する。プランジャチップ(43)は、スリーブ(41)よりも短く形成されるため、最下位置にプランジャチップ(43)があるとき、スリーブ(41)上部には空間が形成される。この形成された空間に断熱性カプセル(7)が配される。断熱性カプセル(7)はその内部に金属溶湯を収容し、金属溶湯の温度低下を防止するように高い断熱性能を発揮する。
スリーブ(41)の内部には、吸引口(44)が設けられ、吸引口(44)は真空ポンプ等の真空発生装置(図示せず)に接続する。真空発生装置が作動すると、ダイカスト装置(1)内部のガスが、吸引口(44)を介して、ダイカスト装置(1)外部へ放出されることとなる。上述の如く、金属溶湯の冷却がないため吸引時間を十分に確保することができるのに加えて、プランジャチップ(43)の下部(432)とスリーブ(41)内周面との間には真空シール(434)が配され、高い気密シール性能を発揮するため、キャビティ(6)から多くのガスが吸引されることとなり、キャビティ(6)内を高い真空状態に保つことができる。これにより、ダイカスト製品内の気泡の形成を好適に防止することができる。上述の如く、ガスはキャビティ(6)から吸引口(44)へ流れることとなる。このガス体の流れ経路の途中に断熱性カプセル(7)が存在する。断熱カプセル(7)内部に金属溶湯が保持されているため、金属溶湯が吸引により吸引口へ吸い込まれることがない。また、断熱性カプセル(7)は、高い断熱性能を発揮するため、このガス流れに断熱性カプセル(7)が曝されても、断熱性カプセル(7)内部の金属溶湯の温度低下を招くことがない。更に、高真空下において、金属溶湯が脱ガス化され、金属溶湯を清浄化することが可能となる。
図2は、図1(c)に示すサブインジェクタ(5)の部分を取り出した拡大図である。サブインジェクタ(5)は、メインインジェクタ(4)と略同様の構造をなす。サブインジェクタ(5)は、円筒形状のスリーブ(51)を備える。スリーブ(51)の上端部(511)は、固定金型(3)に固定され、スリーブ(51)の内部空間は、開口部(35)を介して、キャビティ(6)と連通する。スリーブ(51)は、固定金型(3)下面から下方に延出する。スリーブ(51)の下端部(512)に、アクチュエータが取付けられる。図1及び図2に示す例において、アクチュエータとして、電動サーボシリンダ(52)が用いられている。
スリーブ(51)内部には、プランジャチップ(53)が配される。図1(c)及び図2に示す例において、プランジャチップ(53)の上部(531)と下部(532)は、上部(531)及び下部(532)の間の中間部(533)よりも径大に形成される。
図1(c)及び図2に示す例において、プランジャチップ(53)の上部(531)外周面とスリーブ(51)内周面の間には、0.05mm以上0.1mm以下の間隙が設けられる。また、プランジャチップ(53)の下部(532)外周面とスリーブ(51)の間に真空シール材(534)が配され、真空シール材(534)は、プランジャチップ(53)の下部(532)外周面とスリーブ(51)の間で圧縮変形され、高い気密シール性能を発揮する。
スリーブ(51)の内部には、吸引口(54)が設けられ、吸引口(54)は真空ポンプ等の真空発生装置(図示せず)に接続する。真空発生装置が作動すると、ダイカスト装置(1)内部のガスが、吸引口(54)を介して、ダイカスト装置(1)外部へ放出されることとなる。上述の如く、プランジャチップ(53)の下部(532)とスリーブ(51)内周面との間には真空シール(534)が配され、高い気密シール性能を発揮するため、キャビティ(6)から多くのガスが吸引されることとなり、キャビティ(6)内を減圧することができる。これにより、ダイカスト製品内の気泡の形成を好適に防止することができる。本実施例において、メインインジェクタ(4)の吸引口(44)とサブインジェクタ(5)の吸引口のうち少なくとも一方には、減圧センサが取り付けられ、キャビティ(6)内の真空度が測定可能である。
本発明者は、図1及び図2に例証されたダイカスト装置を用いて、低速・低圧(10〜100atm程度、プランジャー速度0.1〜0.5m/s)にて、耐火物被膜による凝固制御を行うことにより、以下に詳述する複雑大型形状、薄肉形状のアルミニウムダイカスト方法を実現した。
図1及び2を参照すると、実施形態1のダイカスト方法はつぎの工程を含んでいる。
(工程1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティ(6)を画成する形状を有する可動金型(2)及び固定金型(3)からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
(工程2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型(2)及び固定金型(3)の表面に保温被膜(図示せず)を形成する工程と、
(工程3)前記キャビティ(6)に連通するメインインジェクタのスリーブ(51)内部に配されるプランジャチップ(53)を該スリーブ(51)内で後退させて生じた該スリーブ(51)内の空間に金属溶湯が保持された断熱性カプセル(7)を収容するカプセル収容工程と、
(工程4)前記カプセル収容工程後、可動金型(2)を前記固定型(3)の方向に移動させて型締する閉型工程と、
(工程5)前記キャビティ(6)内を減圧する真空工程と、
(工程6)前記閉型工程後、前記プランジャチップ(53)を前記スリーブ(51)内で前記キャビティ(6)の方に向かって前進させて、前記カプセル(7)を前記キャビティ(6)に移動させカプセル(7)を破壊して(潰して)カプセル(7)内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
(工程7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ(6)内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
(工程8)前記可動金型(2)と前記固定金型(3)を離間させた後、前記キャビティ(6)内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程。
そして、本実施形態に係るダイカスト方法では、前記アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティ(6)と接する可動金型(2)及び固定金型(3)の表面に保温被膜を形成する工程の前に、前記可動金型(2)及び前記固定金型(3)の内表面にショットがけを行う工程を含んでいる。
また、前記アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティ(6)と接する可動金型(2)及び固定金型(3)の表面に保温被膜を形成する工程が、前記可動金型(2)及び前記固定金型(3)の内表面に金属溶射膜を形成し、当該金属溶射膜上にセラミック溶射を行ってセラミック溶射膜を形成して、保温被膜を成膜する工程とする好ましい。
すなわち、本実施形態では、
金型(2、3)の表面(例えば、SKD61材)にショットがけを行い、下地の金属溶射膜の密着性を向上させる工程と、
下地として機能する金属溶射膜を形成する工程
を含んでいる。
そして金属溶射膜としては、例えば、Ni−Cr系(膜厚50μm)が好適であり密着性・熱衝撃性が向上する。次に金属溶射膜上に表面層となるセラミック溶射膜を形成する。セラミック溶射膜としては、例えば、ジルコニア系、カルシア系、アルミナ系のセラミック(厚さ50〜300μm)が好適に採用される。このような2層の金型保温被膜(以下、保温被膜ともいう)を用いた低速低圧ダイカストプロセスで、十分な強度と耐久性、及び保温性が得られる。また離型性を向上させるためには従来の離型剤との併用も可能である。ただし、前述のように、従来のプロセスの高速高圧ダイカストへの適用は、耐久性、離型性の点から困難である。
ここで、この2層の金型保温被膜を用いて、例えば、アルミニウムダイカスト製品の肉厚が最大5mmで、3mm、2mm、1,5mmの異なる肉厚を有する部位への適用例について説明する。
本実施形態のダイカスト法では、アルミニウムダイカスト製品の各部位の肉厚の凝固時間は、それぞれ、0.1秒、0.06秒、0.02秒、0.01秒である(図9参照)。
このようにアルミニウムダイカスト製品の各部位の肉厚の凝固時間が異なるので、もっとも凝固の早い0.01秒以内に充填しないと、凝固が進み、湯回り不良となる。また、凝固の遅い5mmの部位の凝固時の収縮欠陥を防ぐため、圧力が伝播し指向性凝固となるように方案や肉厚を変更する必要がある。すなわち、もっとも薄肉の部位の湯回り不良を防ぐために高速射出(0.01秒以内に充填完了させることが必要である(例えば、プランジャーの移動速度の高速化(5−10m/s))。また厚肉の部位の収縮欠陥を防ぐため、高圧(例えば、500−1000atm)が必要となる。しかしながら、高圧化するだけでは、凝固の遅い部位への圧力伝播は困難であり、その圧力伝播経路を確保するために、薄肉部の肉厚を厚くする必要も生じることになり、薄肉・軽量を確保することができなくなる場合もある。あるいは、厚肉部を別の加圧ピンにて加圧する場合もある。すなわち従来のダイカスト法では、高速高圧のダイカスト装置が必要となり、場合よっては厚肉化、加圧ピン設置なども必要となり、軽量化が難しくなるのであるが、本実施形態の場合、最大肉厚を5mmとした場合、それより肉厚の薄い部位に保温被膜を施し、凝固時間を延ばす。
例えば、肉厚3mmの部位では50μm被膜を施し、肉厚2mmの部位では100μm被膜を施し、肉厚1.5mmの部位では200μm被膜を施す。この被膜処理により、肉厚5〜1.5mmの各部位の凝固時間はいずれも0.1秒と同時間になる。従って、充填時間は0.1秒以内に行えば十分となり、従来法の充填時間0.01秒に対して0.1秒となり、射出速度は、10分の1の低速で十分となる。
また、凝固時間も全肉厚部が、0.1秒となり、射出部からの温度低下を考慮すれば、遠いところの凝固は相対的に早く、近いところは凝固が遅くなり、指向性凝固が可能となり、収縮欠陥は発生しなくなる。すなわち、高圧で無理に加圧する必要がなくなる。
以上より、前記2層の被膜(金型保温被膜)による凝固制御を行うことにより、低速低圧で、薄肉、肉厚変化の大きい複雑大型品のダイカストが可能となる。また、本実施形態のプロセスのポイントである、複数射出プランジャーの採用により、各プランジャーあたりの充填・加圧必要範囲が減り、射出速度や射出圧力の低減が可能になるという点も大きなメリットである。
本実施形態のダイカスト方法を実際のダイカスト品に適用する手順は以下となる(図10参照;射出プランジャーが2か所の場合)。
(i)もっとも厚肉の部位を調べる(例えば、厚さt=10mmとする)。
(ii)それより薄肉の部位(t=5,t=4,t=3,t=2mm)について、それぞれ凝固時間が同じになるように、被膜の厚みを決める(図11より、50、75、100、210μm)。
(iii)もっとも厚肉の部位の凝固時間内(0.2秒以内)に充填できるように、射出速度を決める。
[実施形態2]
本実施の形態において実施形態1と異なるのは、実施形態1の以下の工程である。
(工程3)前記キャビティ(6)に連通するメインインジェクタのスリーブ(51)内部に配されるプランジャチップ(53)を該スリーブ(51)内で後退させて生じた該スリーブ(51)内の空間に金属溶湯が保持された断熱性カプセル(7)を収容するカプセル収容工程。
(工程4)前記カプセル収容工程後、可動金型(2)を前記固定型(3)の方向に移動させて型締する閉型工程。
(工程5)前記キャビティ(6)内を減圧する真空工程と。
(工程6)前記閉型工程後、前記プランジャチップ(53)を前記スリーブ(51)内で前記キャビティ(6)の方に向かって前進させて、前記カプセル(7)を前記キャビティ(6)に移動させカプセル(7)を破壊して(潰して)カプセル(7)内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程。
すなわち、本実施形態では、
(工程3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に、円筒形に成型された薄膜保温材を挿入し、当該円筒形の薄膜保温材の中に金属溶湯を注湯する工程と、
(工程4)前記工程で、柄杓(D)を用いて金属溶湯の注湯完了後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて型締する閉型工程と(図3の(a)参照)、
(工程5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
(工程6)前記閉型工程後、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、前記金属溶湯が充填された円筒形の薄膜保温材を前記キャビティに移動させ円筒形の薄膜保温材を破壊して(押し潰して)当該薄膜保温材内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と
を含んでいる。
例えば、以下の工程(1)〜(4)、すなわち、
工程(A1):セラミックペーパー(例えば、アルミナ・シリカ系のファイバーと少量のバインダーから抄造、200mm×300mm×0.2mm)を準備する、
工程(A2):円柱形治具(例えば、外径99.5φ)にセラミックペーパーを巻きつけ、上端は折り曲げる、
工程(A3):接着アルミテープにより前記セラミックペーパーを仮付けし、成型体として上部が開放した有底円筒形保温材(内径99.0φ、外径100φ)を成型する、
工程(A4):前記円柱形治具の一部をスライドさせて、円柱形治具の径を縮径し、前記円筒形保温材を取り出すことを含む。
円筒形の薄膜保温材の作成工程では、液体状の潤滑剤の余分な量はセラミックペーパーに吸収され、溶湯と反応することはなく、清浄のまま保持されることができる。もちろん、射出スリーブ(41)の内壁やプランジャー(53)との接触には(図1参照)、必要十分な潤滑剤は残留しており、潤滑性は十分に確保される。すなわち、薄膜保温材は、溶湯の保温と潤滑剤との非接触化による溶湯清浄性の2点で効果が得られる。
約700℃のアルミ溶湯を注湯する際には、アルミ接着テープが、その接着力を消失することが予想されるが、アルミ溶湯は薄膜保温材を介しているため、アルミ接着テープに直接接することなく、注湯から射出までの短時間(10数秒程度)においては十分その機能をはたすことができる。そのため、耐熱性の接着剤を使用せずに容易に、簡易な工程で高精度な円筒形の保温材を成型することができるという利点がある。またアルミ接着テープは剛性を備えているので、薄膜円筒の形状を保持し得るという利点もある。アルミ接着テープは純アルミ製であるので、射出終了後のビスケット部を再溶解し再生する場合に、不純物としての悪影響が無いという利点もある。本発明においては、アルミ接着テープ以外の、接着テープ、接着剤、両面接着テープ等も使用することができる。
図3を参照すると、前記工程(3)により得られた成型体である薄膜保温材(C)は、フレキシブルであるので、薄膜保温材(C)の一部を潰すことで、薄膜保温材(C)の外径を若干収縮させ、射出スリーブ(41)内に装入し、ならし板で、射出スリーブ(41)内壁に薄膜保温材(C)を密着させることができる。その際に、アルミ接着テープがあるため、0.2mm厚のセラミックペーパーの形状保持に役に立つ。以上の工程により、容易に短時間で脆弱な薄膜成型体(C)を、射出スリーブ(IS)内壁に前記成型体(薄膜保温材(C))を密着させ得る。
以上述べた方法により、射出スリーブ(41)内壁に、脆弱な薄膜保温材(C)を密着させることができる。好適には、射出スリーブ(41)内には、既に液体のチップ潤滑剤(L)が塗布されているが、非常に少量であり、一部は薄膜保温材(C)に吸収され、アルミ溶湯と接することなく本来の潤滑機能を果たし得る。通常、潤滑剤はアルミ溶湯と直接接触し、突沸したり、溶湯に巻き込まれたりして、溶湯を汚染することになるが、本発明によれば、その虞がなく、清浄な溶湯が、温度低下することなく保持され、高品質なアルミダイカスト製品の生産が可能となる。
また、この内壁に溶湯圧で密着保持されていた保温材は、射出時には内壁部に提灯のように圧縮され破壊され(押し潰され)、スリーブに留まり、破損しないため、製品キャビティに流入することはない。したがって、高温で高清浄な溶湯が製品キャビティ内に射出される。
[実施形態3]
本実施の形態において実施形態1と異なるのは、実施形態1の以下の工程である。
(工程3)前記キャビティ(6)に連通するメインインジェクタのスリーブ(51)内部に配されるプランジャチップ(53)を該スリーブ(51)内で後退させて生じた該スリーブ(51)内の空間に金属溶湯が保持された断熱性カプセル(7)を収容するカプセル収容工程。
(工程4)前記カプセル収容工程後、可動金型(2)を前記固定型(3)の方向に移動させて型締する閉型工程。
(工程5)前記キャビティ(6)内を減圧する真空工程と。
(工程6)前記閉型工程後、前記プランジャチップ(53)を前記スリーブ(51)内で前記キャビティ(6)の方に向かって前進させて、前記カプセル(7)を前記キャビティ(6)に移動させカプセル(7)を破壊して(潰して)カプセル(7)内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程。
すなわち本実施形態では、図1、4〜7を参照すると、
(工程3)前記キャビティ(6)に連通するメインインジェクタのスリーブ(51)内部に配されるプランジャチップ(53)を該スリーブ(51)内で後退させて生じた該スリーブ(51)内の空間に、前記可動金型(2)と固定金型(1)との間の隙間より金属溶湯(MA)を注入する収容工程と、
(工程4)前記工程で、金属溶湯(MA)の注湯完了後、可動金型(2)を前記固定型(1)の方向に移動させて前記可動金型(2)と固定金型(1)とを微開した状態で所定の時間の間(例えば<3+1秒>)保持する工程と、
(工程5)前記キャビティ(6)内を減圧する真空工程と、
(工程6)前記工程後、高真空に達した後、前記可動金型(2)と固定金型(1)とを完全に閉じてから、前記プランジャチップ(53)を前記スリーブ(51)内で前記キャビティ(6)の方に向かって前進させて、金属溶湯(MA)を前記キャビティ(6)内に充填する射出工程とを含んでいる。
そして、本実施形態では、工程3〜6により、特殊な保温材を使用することなく、また、傾転スリーブ法、バキュラル法(真空吸い上げ法)、低圧注湯法(MP法)などの特殊な注湯金型機構を必要とせず、さらに、高価な真空バルブやチルベントなどが不要であり、金型の閉じるストロークを半開、微開、前閉の3段階に保持することにより、竪型ダイカスト法において、容易に、低速・低圧で、大物、薄肉品を作ることができる。
[実施形態4]
実施形態4のダイカスト方法は、実施形態1〜3それぞれの工程2において、可動金型(2)及び固定金型(3)の表面に保温被膜(図示せず)を形成する工程は、つぎの工程(i)〜工程(vi)を含んでなる。
工程(i):湯流れ凝固シミュレーションを行い、凝固の遅い部位を見つける。(できるならば、凝固の遅い部位をゲートに近い部位にするのがよい。なお射出速度を増減させ、凝固の遅い部位の凝固時間より短い時間で充填するようにする。)
工程(ii):図3よりその凝固時間と同一の凝固時間となるように、保温被膜厚を決める。
工程(iii):その被膜厚と熱抵抗値の相関図(図11)より、熱抵抗値を求め、その値で、再度、湯流れ凝固シミュレーションを行う。
工程(iv):成型されるべきダイカスト製品の各部位がほぼ同一の凝固時間になることを確認する。
工程(v):もし、凝固時間が異なる部位があるならば、熱抵抗値を増減させて、凝固時間を確認し、更に指向性凝固になるように変更する。(この場合、充填中の溶湯の温度低下があるので、射出部より遠い部位は凝固が早く、近いところは遅くなるが、更に熱抵抗値を修正して指向性凝固の度合いを向上させることも可能である)
工程(vi):前記工程(iii)のシミュレーションで得られた最適な熱抵抗値より被膜厚を決定し、金型への被膜処理を施工する。
比較的に単純な形状の場合は、実施形態1に開示した簡便な方法で、被膜厚さを決めることができるが、複雑な形状の場合は、コンピュータシミュレーションを活用した実施形態2に開示した方法で被膜厚さを決めることができる。
以上の工程(i)〜(vi)により、最適な射出条件により良品を得ることができる。そして叙上の方法により、肉厚の変化のある複雑大型のダイカスト製品も、本プロセスにて容易に製造可能となる。
本発明のダイカスト方法によれば、均一な肉厚を有していない成型されるべき製品が大型かつ複雑な形状であっても、金型保温被膜による凝固制御を行うことによりダイカストを行うことができる。
1・・・・・ダイカスト装置
100・・・ダイカスト製品
2・・・・・可動金型
3・・・・・固定金型
4・・・・・メインインジェクタ
41・・・・スリーブ
42・・・・電動サーボシリンダ
43・・・・プランジャチップ
44・・・・吸引口
5・・・・・サブインジェクタ
51・・・・スリーブ
52・・・・電動サーボシリンダ
53・・・・プランジャチップ
54・・・・吸引口

Claims (10)

  1. (1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティを画成する形状を有する可動金型及び固定金型からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
    (2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記複数の異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、
    (3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に金属溶湯が保持された断熱性カプセルを収容するカプセル収容工程と、
    (4)前記カプセル収容工程後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて型締する閉型工程と、
    (5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
    (6)前記閉型工程後、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、前記カプセルを前記キャビティに移動させカプセルを破壊してカプセル内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
    (7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
    (8)前記可動金型と前記固定金型を離間させた後、前記キャビティ内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程とを含んでなる
    ことを特徴とするダイカスト方法。
  2. (1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティを画成する形状を有する可動金型及び固定金型からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
    (2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記複数の異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、
    (3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に、円筒形に成型された薄膜保温材を挿入し、当該円筒形の薄膜保温材の中に金属溶湯を注湯する工程と、
    (4)前記工程で、金属溶湯の注湯完了後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて型締する閉型工程と、
    (5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
    (6)前記閉型工程後、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、前記金属溶湯が充填された円筒形の薄膜保温材を前記キャビティに移動させ円筒形の薄膜保温材を破壊して当該薄膜保温材内に保持された金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
    (7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
    (8)前記可動金型と前記固定金型を離間させた後、前記キャビティ内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程とを含んでなる
    ことを特徴とするダイカスト方法。
  3. (1)複数の異なる肉厚を有するアルミニウムダイカスト製品を成型するキャビティを画成する形状を有する可動金型及び固定金型からなる金型を、当該可動金型を後退させて開く開型工程と、
    (2)前記開型工程後、アルミニウムダイカスト製品の前記複数の異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程と、
    (3)前記キャビティに連通するメインインジェクタのスリーブ内部に配されるプランジャチップを該スリーブ内で後退させて生じた該スリーブ内の空間に、前記可動金型と固定金型との間の隙間より金属溶湯を注入する収容工程と、
    (4)前記工程で、金属溶湯の注湯完了後、可動金型を前記固定型の方向に移動させて前記可動金型と固定金型とを微開した状態で所定の時間の間保持する工程と、
    (5)前記キャビティ内を減圧する真空工程と、
    (6)前記工程後、高真空に達した後、前記可動金型と固定金型とを完全に閉じてから、前記プランジャチップを前記スリーブ内で前記キャビティの方に向かって前進させて、金属溶湯を前記キャビティ内に充填する射出工程と、
    (7)前記キャビティ内に充填された金属溶湯に圧力を加えるとともに前記キャビティ内で前記金属溶湯を固化させる加圧工程と、
    (8)前記可動金型と前記固定金型を離間させた後、前記キャビティ内で固化して成型されたダイカスト製品を押し出す押出工程とを含んでなる
    ことを特徴とするダイカスト方法。
  4. 前記アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程の前に、前記可動金型及び前記固定金型の内表面にショットがけを行う工程を含んでなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダイカスト方法。
  5. 前記アルミニウムダイカスト製品の前記異なる肉厚が異なる部位の各肉厚に対応する膜厚にて前記キャビティと接する可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程が、前記可動金型及び前記固定金型の内表面に金属溶射膜を形成し、当該金属溶射膜上にセラミック溶射を行ってセラミック溶射膜を形成して、保温被膜を成膜する工程であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のダイカスト方法。
  6. 前記金属溶射膜の膜厚は約50μmである請求項5に記載のダイカスト方法。
  7. 前記金属溶射膜はNi−Cr系である請求項1乃至6のいずれか1項に記載のダイカスト方法。
  8. 前記セラミック溶射膜の膜厚は約5〜300μmである請求項5乃至7に記載のダイカスト方法。
  9. 前記セラミック溶射膜はジルコニア系又はカルシア系、又はアルミナ系である請求項5乃至8に記載のダイカスト方法。
  10. 前記可動金型及び固定金型の表面に保温被膜を形成する工程が、
    (i)湯流れ凝固シミュレーションを行い、凝固が最も遅い部位を決定する工程と、
    (ii)前記工程により決定した最も遅い凝固時間と同一の凝固時間となるように、保温被膜の膜厚を決定する工程と、
    (iii)前記被膜厚と熱抵抗値との相関関係より熱抵抗値を決定し、当該決定された熱抵抗値で、再度、湯流れ凝固シミュレーションを行う工程と、
    (iv)成型されるべき製品の各部位の凝固時間がほぼ同一の凝固時間になることを確認する工程と、
    (v)前記工程(iv)において凝固時間が異なる部位がある場合、熱抵抗値を増減させて、凝固時間を確認し、更に指向性凝固になるように変更する工程と、
    (vi)前記工程(iii)のシミュレーションで得られた最適な熱抵抗値より前記被膜層の最適な膜厚を決定し、当該最適な膜厚にて金型への被膜処理を施工する工程と
    を含んでなることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のダイカスト方法。
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