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JP2016117681A - コアシェル構造体を含有する製剤 - Google Patents

コアシェル構造体を含有する製剤 Download PDF

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JP2016117681A
JP2016117681A JP2014258103A JP2014258103A JP2016117681A JP 2016117681 A JP2016117681 A JP 2016117681A JP 2014258103 A JP2014258103 A JP 2014258103A JP 2014258103 A JP2014258103 A JP 2014258103A JP 2016117681 A JP2016117681 A JP 2016117681A
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shell structure
acid
preparation
surfactant
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JP2014258103A
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隆之 赤峰
Takayuki Akamine
隆之 赤峰
和志 伊藤
Kazuyuki Ito
和志 伊藤
紗織 利根
Saori Tone
紗織 利根
阿部 佳子
Yoshiko Abe
佳子 阿部
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Sekisui Chemical Co Ltd
Sekisui Medical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Sekisui Medical Co Ltd
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Abstract

【課題】
コアシェル構造体を含有する製剤であって、経皮吸収性と持続性の両方を兼ね備えた経皮吸収性製剤を提供する。
【解決手段】
コア部が薬物を、かつ
シェル部が界面活性剤を
それぞれ含有するコアシェル構造体
を含有する製剤であって、
(A)平均粒子径が100nm未満のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%、及び
(B)平均粒子径が100nm以上のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%
含み、
前記平均粒子径及び前記散乱強度が、当該製剤を、液体中に分散させた上で、1.0μmのフィルターにて濾過した濾過液を用いて動的光散乱法により測定して得られるものであることを特徴とする、製剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、コアシェル構造体を含有する製剤、特に持続型経皮吸収性製剤に関する。
皮膚から吸収された薬物が体内で作用を示す外用剤(経皮吸収性製剤)が用いられている。そのような経皮吸収性製剤として、コア部が薬物を、かつシェル部が界面活性剤をそれぞれ含有するコアシェル構造体を含有する製剤が提案されている(特許文献1及び2)。
経皮吸収性製剤においては、その本来求められる経皮吸収性を高めようとすると、投薬開始直後まもなく高い薬効が得られる反面、早期に吸収される結果、製剤中の主薬が枯渇し、薬効が持続しないという問題がある。また、血中濃度が薬効の発現するレベルを超えて副作用の発現するレベルにまで到達してしまうという問題もある。
このため、経皮吸収性製剤においては、経皮吸収性と持続性の両方を兼ね備えたものが求められていた。
特開2009−84293号公報 国際公開第2006/025583号
本発明は、コアシェル構造体を含有する製剤であって、経皮吸収性と持続性の両方を兼ね備えた経皮吸収性製剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ね、コアシェル構造体の粒子径に関する指標であって、理論上すべてのコアシェル構造体を二分しうる指標を用い、そのようにして分けられた二集団のそれぞれに属するコアシェル構造体群を特定の比率で製剤中に含有させることにより、上記課題を解決できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらなる試行錯誤を経て完成されたものであり、以下の態様を含む。
項1.
コア部が薬物を、かつ
シェル部が界面活性剤を
それぞれ含有するコアシェル構造体
を含有する製剤であって、
(A)平均粒子径が100nm未満のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%、及び
(B)平均粒子径が100nm以上のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%
含み、
前記平均粒子径及び前記散乱強度が、当該製剤を、液体中に分散させた上で、1.0μmのフィルターにて濾過した濾過液を用いて動的光散乱法により測定して得られるものであることを特徴とする、製剤。
項2.
さらに基剤相を含有し、
前記基剤相が前記コアシェル構造体を含有する、
項1に記載の製剤。
項3.
前記界面活性剤のHLB値が、10以下である、項1又は2に記載の製剤。
項4.
前記界面活性剤が、脂肪酸エステルである、項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
項5.
前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルである、項1〜4のいずれか一項に記載の製剤。
項6.
持続型経皮吸収性製剤である、項1〜5のいずれか一項に記載の製剤。
本発明によれば、持続性と経皮吸収性を兼ね備える外用剤を提供できる。
実施例1〜3並びに比較例1及び2の皮膚透過性試験結果を示す図である。 実施例4〜6並びに比較例3及び4の皮膚透過性試験結果を示す図である。
1. 製剤の構成
本発明の製剤は、少なくとも下記のコアシェル構造体を含有する。
1.1 コアシェル構造体
コアシェル構造体は、コア部が薬物を、かつシェル部が界面活性剤をそれぞれ含有する。
コアシェル構造体は、薬物を含有するコア部を、シェル部の界面活性剤が一部もしくは全面を被覆しているコアシェル構造を有する。コアシェル構造体がこのような構成を有していることにより、皮膚に適用した場合、本発明の製剤は、コア部の薬物を徐放させることができる。
本発明の製剤は、下記のコアシェル構造体(A)及び(B)を下記の割合で含有する:
(A)平均粒子径が100nm未満のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%;及び
(B)平均粒子径が100nm以上のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%。
上記により、本発明の製剤を、持続性と経皮吸収性を兼ね備えたものとすることができる。
ただし、前記平均粒子径及び前記散乱強度は、本発明の製剤を1.0μmのフィルターにて濾過した濾過液を用いて動的光散乱法により測定して得られるものである。
上記において、動的光散乱法による測定に供することが可能な濾過液を得ることができる場合は特に必要ないが、そうでない場合には、本発明の製剤を液体中に分散させた上で1.0μmのフィルターにて濾過することにより、動的光散乱法による測定に供するための濾過液を得てもよい。
上記において、分散のために用いる液体としては、測定に支障がない限り特に限定されないが、例えば、イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、オリーブ油、スクワラン、オレイン酸、リノール酸及び流動パラフィン等を用いることができる。
上記において、動的光散乱法による測定は、測定結果に違いが生じない限り特に限定されないが、例えば、機器ゼータサイザーNanoS(スペクトリス社製)又はその同等品を用いて行うことができる。同様に、測定結果に違いが生じない限り特に限定されないが、例えば、フィルターPTFEタイプメンブレンフィルター(ADVANTEC社製)又はその同等品を用いて行うことができる。
上記コアシェル構造体(A)の平均粒子径は、長期持続性の点で80nm未満が好ましく、50nm未満がより好ましく、20nm未満が特に好ましい。
上記コアシェル構造体(B)の平均粒子径は、初期吸収性の点で200nm以上が好ましく、500nm以上がより好ましく、1000nm以上が特に好ましい。
本発明の製剤は、持続性と吸収性の点で上記コアシェル構造体(A)と上記コアシェル構造体(B)を散乱強度で10〜99%、1〜90%で含有することが好ましく、30〜99%、1〜70%で含有することがより好ましく、50〜99%、1〜50%が特に好ましい。
本発明の製剤は、持続性と経皮吸収性の点で好ましくは、コアシェル構造体(A)及び(B)を以下の割合で含有する。
本発明の製剤は、持続性と経皮吸収性の点でより好ましくは、コアシェル構造体(A)及び(B)を以下の割合で含有する。
本発明の製剤は、持続性と経皮吸収性の点でより好ましくは、コアシェル構造体(A)及び(B)を以下の割合で含有する。
ただし、上記における前記平均粒子径及び前記散乱強度の測定方法は、既に述べた通りである。
前記コアシェル構造体(A)及び(B)を上記の割合で含有する製剤は、特に限定されないが、例えば以下のようにして得ることができる。
コアシェル構造体を所定の濃度にて所定の基剤に懸濁して得られた製剤を遠心分離やフィルター濾過にて分級し、所定の比率にて配合する方法が挙げられる。また、コアシェル構造体を調製する際に、コアシェル配合比やホモジナイズ条件を最適化したりする方法等も挙げられる。
1.1.1 コア部
薬物は、特に限定されず、幅広く選択することができる。
薬物は、好ましくは親水性薬物である。親水性薬物である場合、特に限定されないが、典型的には、以下の特性を有する薬物である:
分子量が1000以下であり、かつ
オクタノール水分配係数が−3〜6である。
上記において、分子量は、好ましくは、1000以下であり、より好ましくは500以下である。分子量の下限は特に限定されないが、通常、50以上である。
上記において、オクタノール水分配係数は、好ましくは、−2〜5であり、より好ましくは−1〜4である。
なお、本発明において、オクタノール水分配係数は、オクタノールとpH7の水系緩衝液を入れたフラスコ中に薬物を添加後、振とうし、それぞれの相の薬物濃度から以下の式で算出したものとする。
オクタノール水分配係数=Log10(オクタノール相中濃度/水相中濃度)
薬物としては、全身作用が求められるものが用いられる。
薬物の具体例としては、特に限定されないが、メマンチン、ニトログリセリン、リドカイン、フェンタニル、男性ホルモン類、女性ホルモン類、ニコチン、メマンチン塩酸塩、塩酸ドネペジル、クロミプラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ナルフラフィン塩酸塩、メトプロロール酒石酸塩徐放錠、フェソテロジンフマル酸塩、ルデナフィル塩酸塩水和物、ナルフラフィン塩酸塩、タンドスピロンクエン酸塩、ベラプロストナトリウム、タルチレリン、ルラシドン塩酸塩、ネファゾドン塩酸塩、リファキシミン、ベニジピン塩酸塩、ドキサゾシンメシル酸塩、ニカルジピン塩酸塩、フォルモテロールフマル酸塩、ロメリジン塩酸塩、アムロジピンベシル酸塩等が挙げられる。なお、薬物として、上記の薬理学的に許容される塩も用いることができる。
コアシェル構造体に含まれる薬物の量は、薬物の種類にもよるが、例えば、0.1〜30重量%とすることができる。
コア部は、必要に応じて、二種以上の薬物を含有していてもよい。この場合、本発明の持続性全身作用型外用剤は、配合剤として使用できる。
コア部は、薬物に加えてさらに他の成分を少なくとも一種さらに含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、安定化剤、経皮吸収促進剤、皮膚刺激低減剤及び防腐剤等が挙げられる。
安定化剤は、コアシェル構造を安定化させる作用を有し、コアシェル構造の意図せぬ早期の崩壊を防止し、薬物の徐放効果を担保する役割を有する。
安定化剤としては、特に限定されないが、具体的には、多糖類、タンパク質、及び親水性高分子材料等が挙げられる。安定化剤のコア部における含有量は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、薬物と安定化剤の重量比が、100:1〜1:10となるように配合することもできる。
経皮吸収促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、高級アルコール、N−アシルサルコシン及びその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、乳酸、乳酸エステル、並びにクエン酸等が挙げられる。経皮吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。経皮吸収促進剤のコア部における含有量は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、薬物と経皮吸収促進剤の重量比が、100:1〜1:50となるように配合することもできる。
皮膚刺激低減剤としては、特に限定されないが、具体的には、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、並びにメルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。皮膚刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。皮膚刺激低減剤のコア部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜50%となるように配合することもできる。
防腐剤としては、特に限定されないが、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール及びチモール等が挙げられる。防腐剤のコア部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.01%〜10%となるように配合することもできる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。
1.1.2 シェル部
界面活性剤は、コアシェル構造のシェル部を形成できるものであればよく、特に限定されない。
また、複数種の界面活性剤を併用してもよい。
界面活性剤は、HLB値が10以下、好ましくは7以下のものを用いることができる。
界面活性剤は、特に限定されず、例えば、外用剤として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。
界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。
非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエトキシレート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド及び脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、糖脂肪酸エステルが好ましい。特に、ショ糖脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、エルカ酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸及びベヘニン酸等の脂肪酸とショ糖とのエステル等が挙げられる。
その他の脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、グリセリン、ポリグリセリン、ポリオキシエチレングリセリン、ソルビタン、及びポリオキシエチレンソルビット等のうち少なくとも一種と脂肪酸とのエステル等が挙げられる。特に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。
陰イオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸塩及びリン酸エステル塩等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩及びアミン塩類等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、アルキルアミノ脂肪酸塩、アルキルベタイン及びアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
界面活性剤の配合量は、本発明の効果が奏される範囲内において適宜設定することができるが、例えば、薬物との重量比を1:5〜1:100とすることができる。このとき、本発明の持続性全身作用型外用剤は、経皮吸収性の持続性が優れている。この点では、薬物との重量比を1:15〜1:50とすることが好ましい。
界面活性剤は、特に限定されないが、アルキル鎖を有するものであってもよい。アルキル鎖長は、特に限定されないが、8〜30の中から幅広く選択でき、特に10〜24であれば好ましい。
アルキル鎖を有する界面活性剤のみを用いる場合、あるいはアルキル鎖を有する界面活性剤をその他の界面活性剤と組み合わせて用いる場合、薬物と界面活性剤に含まれるアルキル鎖の合計の重量比が、1:2〜1:70であれば、本発明の持続性全身作用型外用剤は、経皮吸収性の持続性が優れている。この点では、同重量比を1:5〜1:50とすることが好ましい。
シェル部は、界面活性剤に加えてさらに他の成分を少なくとも一種さらに含有していてもよい。他の成分としては、特に限定されないが、例えば、皮膚刺激低減剤、鎮痛剤、経皮吸収促進剤、安定化剤及び防腐剤等が挙げられる。
皮膚刺激低減剤としては、特に限定されないが、具体的には、ハイドロキノン配糖体、パンテチン、トラネキサム酸、レシチン、酸化チタン、水酸化アルミニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、大豆レシチン、メチオニン、グリチルレチン酸、BHT、BHA、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ベンゾトリアゾール、没食子酸プロピル、並びにメルカプトベンズイミダゾール等が挙げられる。皮膚刺激低減剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。皮膚刺激低減剤のシェル部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜50%となるように配合することもできる。
鎮痛剤としては、特に限定されないが、具体的には、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、ジブカイン及びプリロカイン等の局所麻酔薬及びその塩等が挙げられる。鎮痛剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。鎮痛剤のシェル部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜30%となるように配合することもできる。
経皮吸収促進剤としては、特に限定されないが、具体的には、高級アルコール、N−アシルサルコシン及びその塩、高級モノカルボン酸、高級モノカルボン酸エステル、芳香族モノテルペン脂肪酸エステル、炭素数2〜10の2価カルボン酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル及びその塩、乳酸、乳酸エステル、並びにクエン酸等が挙げられる。経皮吸収促進剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。経皮吸収促進剤のシェル部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.1%〜30%となるように配合することもできる。
安定化剤は、コアシェル構造を安定化させる作用を有し、コアシェル構造の意図せぬ早期の崩壊を防止し、薬物の徐放効果を担保する役割を有する。
安定化剤としては、特に限定されないが、具体的には、脂肪酸及びその塩、メチルパラベン,プロピルパラペン等のパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ペンジルアルコール,フェニルエチルアルコール等のアルコール類、チメロサール、無水酢酸、ソルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、プチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、タンパク質及び多糖類等が挙げられる。安定化剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。安定化剤のシェル部における含有量は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、界面活性剤と安定化剤の重量比が、1:0.01〜1:50となるように配合することもできる。
防腐剤としては、特に限定されないが、具体的には、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノール及びチモール等が挙げられる。防腐剤は、1種又は2種以上を含有してもよい。防腐剤のシェル部における含有割合は、その種類にもより、適宜設定できるが、例えば、0.01%〜10%となるように配合することもできる。
1.1.3 基剤相
本発明の持続性全身作用型外用剤は、さらに基剤を含有する相(基剤相)を含有し、前記基剤相が前記コアシェル構造体を含有するものであってもよい。このとき、前記コアシェル構造体は、前記基剤相中に分散又は溶解している。
基剤は、特に限定されず、外用剤として使用可能なもののなかから幅広く選択することができる。
基剤は、コアシェル構造体を分散させるのに適切なものの中から使用目的等に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。
また、複数種の基剤を併用してもよい。
基剤としては、特に限定されないが、例えば、植物油、動物油、中性脂質、合成油脂、ステロール誘導体、ワックス類、炭化水素類、モノアルコールカルボン酸エステル類、オキシ酸エステル類、多価アルコール脂肪酸エステル類、シリコーン類、高級(多価)アルコール類、高級脂肪酸類及びフッ素系油剤類等が挙げられる。
植物油としては、特に限定されないが、例えば、大豆油、ゴマ油、オリーブ油、やし油、バーム油、こめ油、綿実油、ひまわり油、コメヌカ油、カカオ脂、コーン油、べに花油及びなたね油等が挙げられる。
動物油としては、特に限定されないが、例えば、ミンク油、タートル油、魚油、牛油、馬油、豚油及び鮫スクワラン等が挙げられる。
中性脂質としては、特に限定されないが、例えば、トリオレイン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリステアリン及びトリアラキドニン等が挙げられる。
合成油脂としては、特に限定されないが、例えば、リン脂質及びアゾン等が挙げられる。
ステロール誘導体としては、特に限定されないが、例えば、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸及びコレステリルリノレート等が挙げられる。
ワックス類としては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス及びエチレン・プロピレンコポリマー等が挙げられる。
炭化水素類としては、流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン及び固形パラフィン等が挙げられる。
モノアルコールカルボン酸エステル類としては、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル及びクエン酸トリエチル等が挙げられる。
オキシ酸エステル類としては、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル及びモノイソステアリン酸水添ヒマシ油等が挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステル類としては、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール及びジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。
シリコーン類としては、ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、高重合ジメチコン(高重合ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン又はアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルキルエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、ペプチド変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カチオン変性又はポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性又はポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性又はポリエーテル変性シリコーン及びポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体等が挙げられる。
高級(多価)アルコール類としては、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール及びダイマージオール等が挙げられる。
高級脂肪酸類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸及び水素添加ダイマー酸等が挙げられる。
フッ素系油剤類としては、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン及びパーフルオロポリエーテル等が挙げられる。
また、その他の基剤としては、特に限定されないが、軟膏剤、クリーム剤、エアゾール剤、テープ剤、パッチ剤、パップ剤、ゲル剤又はマイクロニードル等に使用される基剤等が挙げられる。
1.1.4 その他の添加成分
本発明の製剤は、その剤形や使用目的等に応じて、その他の添加成分を含有していてもよい。
添加成分としては、特に限定されないが、賦形剤、着色剤、滑沢剤、結合剤、乳化剤、増粘剤、湿潤剤、安定剤、保存剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、緩衝剤、pH調整剤、ゲル化剤、粘着剤、酸化防止剤、経皮吸収促進剤、刺激緩和剤、防腐剤、キレート剤及び分散剤等が挙げられる。
2. 製剤の製造方法
本発明の製剤は、特に限定されないが、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、特に限定されないが、本発明のコアシェル構造体を、例えば以下のようにして製造することができる。薬物並びに所望により安定化剤、経皮吸収促進剤及び皮膚刺激低減剤等の添加成分を純水又はリン酸緩衝液等の溶媒に溶解する。これに、界面活性剤並びに所望により皮膚刺激低減剤、鎮痛剤、経皮吸収促進剤及び安定化剤等の添加成分を、シクロヘキサン、ヘキサン又はトルエン等の溶剤に溶解した溶液を加え、ホモジナイザー撹拌する。得られた溶液を凍結乾燥した後、ミリスチン酸イソプロピル等の溶媒に分散させて、さらにフィルター等で濾過するか又は遠心分離して分級を行う。
上記2種類のコアシェル構造体を用いて、例えば、溶液塗工法より持続性全身作用型外用剤を製造できる。溶液塗工法では、本発明のコアシェル構造体及び基剤に加えてさらに所望により経皮吸収促進剤、増粘剤及びゲル化剤等の添加成分を所定の割合になるようにヘキサン、トルエン又は酢酸エチル等の溶剤に添加し、攪拌して均一な溶液を調製する。溶液中の固形分濃度は、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20〜60重量%である。
次に、各成分を含有する上記溶液を、例えばナイフコーター、コンマコーター又はリバースコーターなどの塗工機を用いて、剥離ライナー(シリコーン処理したポリエステルフィルム等)上に均一に塗布し、乾燥して薬剤含有層を完成させ、該層の上に支持体をラミネートすることにより、経皮吸収型製剤を得ることができる。支持体の種類によっては、支持体に上記層を形成した後、上記層の表面に剥離ライナーをラミネートしても良い。
このようにして得られた経皮吸収型製剤は、使用用途に応じて楕円形、円形、正方形、長方形などの形状に適宜裁断する。また、必要に応じて周辺に粘着剤相等を設けてもよい。
3. 製剤の用途
本発明の製剤は、特に限定されないが、持続型経皮吸収性製剤として用いることができる。この場合、通常、1日〜1週間持続性であり、好ましい態様では1日〜1週間あたり1回適用されるように用いられる。
対象疾患は、薬物の種類によって異なる。
本発明の持続型経皮吸収性製剤は、特に限定されないが、テープ剤、軟膏剤、ローション剤、エアゾール剤、硬膏剤、水性バップ剤、クリーム剤、テープ剤、ゲル剤、エアゾール剤、パッチ剤及びマイクロニードル等として使用できる。
以下、本発明を実施例及び試験例を例に挙げて詳しく説明するが、本発明がこれらの例に限定されるものではない。
コアシェル構造体の製剤調製例1
メマンチン塩酸塩0.1gを40gの純水に溶解し、これに、ショ糖エルカ酸エステル(三菱化学フーズ社製、ER−290、融点4.0℃、HLB2、主成分はジエステル及びトリエステル)3.0gをシクロヘキサン80gに溶解した溶液を加え、ホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3100型)にて25℃でホモジナイザー攪拌(10000rpm、2分)した。この後に凍結乾燥装置(東京理化器械社製、FDU1100型)で2日間凍結乾燥することによって、コアシェル構造体を調製した。当該生成物3.0gを17.0gのミリスチン酸イソプロピルに加え、サスペンションを得た。得られたサスペンション20gを小型遠心機5430(エッペンドルフ社製)にて7500rpmにて10分間遠心し、沈殿と上清に分離した。得られた沈殿2.8gを再度、ミリスチン酸イソプロピル15.9gに懸濁した。上清または沈殿の再懸濁液をフィルター(孔径1.0μm ADVANTEC社製、PTFEタイプメンブレンフィルター)で濾過して、動的光散乱法(スペクトリス社製、ゼータサイザーNanoS)により算出した散乱強度平均粒子径は上清が3.6nm、沈殿の再懸濁液が262.8nmであった。
コアシェル構造体の製剤調製例2
実施例及び比較例
コアシェル構造体の製剤調製例1および2で得られた上清および沈殿の再懸濁液を表4の内容で配合し、実施例1から6及び比較例1から4の製剤をそれぞれ調製した。
表5に、各実施例及び各比較例の製剤をフィルターで濾過して動的光散乱法により測定した結果を示す。表5中、「Peak1」は、単一のピークが存在する場合のそのピーク又は二つのピークが存在する場合の平均粒子径が大きい側のピークを、「Peak2」は二つのピークが存在する場合の平均粒子径が小さい側のピークをそれぞれ指している。また、「散乱強度平均粒子径」及び「%」」はそれぞれ、平均粒子径及び散乱強度(%)を意味する。
試験例 ヘアレスラット皮膚透過性試験
薬物皮膚透過試験セル(図1)にヘアレスラット皮膚(日本エスエルシー社、HWY/Slc8週齢より摘出)をセットした。この装置の上部に実施例1〜6及び比較例1〜4で製造した各種外用剤を2mlを適用し、下部のレセプター層においては、蒸留水中にNaH2 PO4 を5×10−4M、Na2 HPO4 を2×10−4M、NaClを1.5×10−4M、硫酸ゲンタマイシン(和光純薬社製、G1658)を10ppm含有させた液をNaOHでpH7.2に調整した緩衝液をいれ、試験開始後より32℃に保たれた恒温槽中に装置を設置した。試験開始後、所定時間後に下部のレセプター層より槽中の液のうち1mlを採取し直後に、同じ組成の液を1ml補充した。回収した各々のレセプター液試料にメタノールを添加して溶出脂質等を抽出し遠心分離した後に、上清中の塩酸メマンチン濃度を、GC(使用カラム:日本電子社製ZB1 30m長、内径0.32mm)により定量した。
図1及び図2にその結果を示した。比較例1及び3では、傾きは直線性を維持しているものの、全体的に透過量が低く、比較例2及び4では時間の経過とともに、傾きが緩やかになるのに対して、実施例1〜3及び実施例4〜6では透過量が高く、かつ50nm未満のコアシェル構造体の比率が増えるにしたがって、傾きが直線性を維持していること、すなわち、持続吸収性を維持していることがわかる。

Claims (6)

  1. コア部が薬物を、かつ
    シェル部が界面活性剤を
    それぞれ含有するコアシェル構造体
    を含有する製剤であって、
    (A)平均粒子径が100nm未満のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%、及び
    (B)平均粒子径が100nm以上のコアシェル構造体を、散乱強度で1〜99%
    含み、
    前記平均粒子径及び前記散乱強度が、当該製剤を、液体中に分散させた上で、1.0μmのフィルターにて濾過した濾過液を用いて動的光散乱法により測定して得られるものであることを特徴とする、製剤。
  2. さらに基剤相を含有し、
    前記基剤相が前記コアシェル構造体を含有する、
    請求項1に記載の製剤。
  3. 前記界面活性剤のHLB値が、10以下である、請求項1又は2に記載の製剤。
  4. 前記界面活性剤が、脂肪酸エステルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
  5. 前記界面活性剤が、ショ糖脂肪酸エステル及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製剤。
  6. 持続型経皮吸収性製剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製剤。
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