以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、サイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるシリンダ型ガス発生器の概略図である。図2および図3は、それぞれ図1に示すシリンダ型ガス発生器の点火器近傍の拡大断面図およびガス噴出口近傍の拡大断面図である。また、図4および図5は、それぞれ図3中に示すIV−IV線およびV−V線に沿った断面図である。まず、これら図1ないし図5を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Aの構成について説明する。
図1ないし図3に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Aは、長尺円柱状の外形を有しており、軸方向に位置する一端部および他端部が閉塞されたハウジングを有している。このハウジングの内部に設けられた空間には、内部構成部品としての点火器30、隔壁部材40A、区画部材60、ガス発生剤70、クッション部材80およびフィルタ90等が配置されている。また、ハウジングの内部に設けられた空間は、上述した隔壁部材40Aおよび区画部材60によって複数の空間に分けられており、当該複数の空間には、ガス発生剤70が主として収容された燃焼室S1と、燃焼室S1にて発生したガスをハウジングの外部に向けて排出するガス排出室S3と、これら燃焼室S1とガス排出室S3とを繋ぐガス通路室S2とが含まれている。
ハウジングは、周壁部11および閉塞部12を有する軸方向の片側が閉塞された有底長尺円筒状のハウジング本体10と、ハウジング本体10の軸方向と同方向に沿って延びる貫通部21を有する筒状のホルダ20とによって構成されている。ホルダ20は、その外周面の所定位置に後述するかしめ固定のための環状溝部23を有しており、当該環状溝部23は、ホルダ20の外周面に周方向に沿って延びるように形成されている。
ホルダ20は、ハウジング本体10の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の開口端にホルダ20が内挿された状態で、当該ホルダ20の外周面に設けられた環状溝部23に対応する部分のハウジング本体10の周壁部11を径方向内側に向けて縮径させて当該環状溝部23に係合させることにより、ホルダ20がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の一端部が、ホルダ20によって構成されることになり、ハウジングの軸方向の他端部が、ハウジング本体10の閉塞部12によって構成されることになる。
当該かしめ固定は、ハウジング本体10の周壁部11を径方向内側に向けて略均等に縮径される八方かしめと呼ばれるかしめ固定である。この八方かしめを行なうことにより、ハウジング本体10の周壁部11には、かしめ部14が設けられることになり、当該かしめ部14が環状溝部23に密着することになる。これにより、ハウジング本体10とホルダ20との間に隙間が生じることが防止されている。
ハウジング本体10は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されていてもよいし、SPCEに代表される圧延鋼板をプレス加工することで有底円筒状に成形された金属製のプレス成形品、またはSTKMに代表される電縫管の軸方向端部の一方をクロージング処理して有底円筒状に成形された金属製の成形品にて構成されていてもよい。特に、ハウジング本体10を圧延鋼板のプレス成形品や電縫管の成形品で構成した場合には、ステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材を用いた場合に比べて安価にかつ容易にハウジング本体10を形成することができるとともに、大幅な軽量化が可能になる。一方、ホルダ20は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。
図1および図2に示すように、点火器30は、ホルダ20によって支持されることでハウジングの軸方向の上述した一端部に組付けられている。点火器30は、ガス発生剤70を燃焼させるためのものであり、ハウジングの内部の空間に面するように設置されている。より詳細には、ホルダ20は、点火器30をかしめ固定するためのかしめ部22をハウジングの内部の空間に面する方の軸方向端部に有しており、点火器30が貫通部21に内挿されてホルダ20の貫通部21を規定する部分の壁部に当て留めされた状態で上述したかしめ部22がかしめられることにより、点火器30がホルダ20に挟持されて固定されている。
点火器30は、点火部31と、一対の端子ピン32とを含んでいる。点火部31の内部には、一対の端子ピン32に接続するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられており、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に接するように点火部31内に点火薬が充填されている。また、点火部31内には、必要に応じて伝火薬が装填されていてもよい。
ここで、抵抗体としては、一般にニクロム線やプラチナおよびタングステンを含む合金製の抵抗線等が用いられ、点火薬としては、一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が用いられる。また、伝火薬としては、B/KNO3、B/NaNO3、Sr(NO3)2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。なお、点火部31を囲うスクイブカップは、一般に金属製またはプラスチック製である。
衝突を検知した際には、端子ピン32を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器30が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
ホルダ20の外周面には、上述した環状溝部23とは異なる他の環状溝部24が設けられている。環状溝部24には、Oリング等からなるシール部材26が収容されている。これにより、ホルダ20に設けられた環状溝部24内に収容されたシール部材26が、当該ホルダ20とハウジング本体10の周壁部11とによって挟み込まれることになり、当該部分における気密性が確保されることになる。
また、点火器30とホルダ20との間には、Oリング等からなるシール部材27が介装されている。シール部材27は、点火器30とホルダ20との間に隙間が生じることを防止するためのものであり、これによってハウジングの内部の空間が気密に封止されることになる。
ホルダ20の外部に露出する方の軸方向端部には、上述した貫通部21に連続して窪み部25が設けられている。窪み部25は、点火器30とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れる雌型コネクタ部を形成しており、当該窪み部25内には、点火器30の端子ピン32の先端寄りの部分が露出して位置している。当該雌型コネクタ部としての窪み部25には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン32との電気的導通が実現される。
なお、ハウジングに対する点火器30の組付構造やハウジングと点火器30との間のシール構造は、上述した組付構造やシール構造に限定されるものではなく、他の組付構造やシール構造を採用することとしても当然によい。
図1および図3に示すように、ハウジングの内部の空間の所定位置には、隔壁部材40Aおよび区画部材60が配置されている。隔壁部材40Aおよび区画部材60は、上述したようにハウジングの内部の空間を相互に分ける部材として機能するものである。
隔壁部材40Aは、一対の円盤状の部位である隔壁部41および仕切り部43と、これら隔壁部41および仕切り部43を接続する支柱状のロッド部42とを有している。隔壁部41および仕切り部43は、それらの主面がハウジングの軸方向と略直交するように配置されており、ロッド部42は、その軸方向がハウジングの軸方向と略平行となるように配置されている。
隔壁部材40Aは、ハウジング本体10の軸方向の途中位置に配置されており、ハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10に隔壁部材40Aが内挿された状態で、当該隔壁部材40Aの仕切り部43の外周面に設けられた環状溝部44に対応する部分のハウジング本体10の周壁部11を径方向内側に向けて縮径させて当該環状溝部44に係合させることにより、隔壁部材40Aがハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの内部の空間は、仕切り部43によって軸方向に仕切られることになる。
当該かしめ固定も、上述した八方かしめと呼ばれるかしめ固定である。この八方かしめを行なうことにより、ハウジング本体10の周壁部11には、かしめ部15が設けられることになり、当該かしめ部15が環状溝部44に密着することになる。これにより、ハウジング本体10と隔壁部材40Aとの間に隙間が生じることが防止されている。
ここで、環状溝部44には、Oリング等からなるシール部材47が収容されている。これにより、仕切り部43に設けられた環状溝部44内に収容されたシール部材47が、上記かしめ固定の際に仕切り部43とハウジング本体10の周壁部11とによって挟み込まれることになり、当該部分における気密性が確保されることになる。
なお、隔壁部材40Aは、上述したホルダ20と同様に、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。ここで、隔壁部材40Aのうちのロッド部42は、より大きい熱容量を有することとなるように中実状に形成されている。
また、隔壁部材40Aの仕切り部43の一対の主面のうちのハウジング本体10の閉塞部12側に位置する主面には、シールテープ46が貼付されている。当該シールテープ46は、後述する仕切り部43に設けられた複数の第3連通孔45を閉塞するためのものであり、このシールテープ46としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。
一方、区画部材60は、長尺円筒状の筒状部61と、当該筒状部61の一方の軸方向端部に設けられたスカート部62とを有している。筒状部61は、その軸方向がハウジング本体10の軸方向と略平行となるように配置されており、これによりハウジングの内部の空間は、当該筒状部61によって径方向に区画されている。スカート部62は、筒状部61のハウジングの上述した一端部側から径方向外側に向けて広がるように形成されており、その一部によってハウジングの内部の空間のうちの外縁部において、当該空間が軸方向に区画されている。
区画部材60は、ハウジング本体10に固定された隔壁部材40Aに隣接するように当該隔壁部材40Aとホルダ20との間に位置しており、ハウジング本体10と隔壁部材40Aとに固定されている。具体的には、区画部材60の隔壁部材40A側の端部は、隔壁部材40Aの仕切り部43に当接するように当て留めされており、区画部材60のホルダ20側の端部である上記スカート部62の一部は、ハウジング本体10の周壁部11の内周面に当接するように配置されている。これにより、区画部材60は、ハウジングの軸方向において、ハウジングの上述した一端部および他端部のそれぞれから所定の距離をもって配置されることになる。
なお、区画部材60は、ガス発生剤70が燃焼した場合にもその圧力上昇に伴って破裂することがないように、十分に高い機械的強度を有する部材にて構成されている。区画部材60としては、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものが用いられ、好適には普通鋼や特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板やステンレス鋼板等)からなる部材が利用される。
ここで、隔壁部材40Aの隔壁部41は、区画部材60の筒状部61の内側の所定位置に配置されている。具体的には、隔壁部材40Aのロッド部42は、区画部材60の筒状部61に内挿されように仕切り部43から立設されており、これによって隔壁部41は、ロッド部42の軸方向の長さ分だけ区画部材60の筒状部61の内側へと入り込んで位置している。そのため、当該隔壁部41により、筒状部61の内側の空間が軸方向に2つの空間に隔てられることになり、当該2つの空間のうちの仕切り部43側の空間にロッド部42が位置することになる。なお、隔壁部41は、筒状部61に圧入されていることが好ましい。このように構成することにより、隔壁部41の外周面と筒状部61の内周面とが密着することになり、これらの間に隙間が生じることが防止できる。
以上により、ハウジングの内部の空間は、隔壁部材40Aおよび区画部材60によって複数の空間に分けられることになる。具体的には、区画部材60の筒状部61およびスカート部62ならびに隔壁部材40Aの仕切り部43の外縁部によって、ハウジングの内部の空間が、燃焼室S1およびガス排出室S3とガス通路室S2とに分けられることになるとともに、隔壁部材40Aの隔壁部41によって燃焼室S1とガス排出室S3とが隔てられることになる。さらには、隔壁部材40Aの仕切り部43の中央部によって、上述したガス排出室S3が、区画部材60側(すなわち、ハウジングの上記一端部側)に位置する第1空間S3Aと、ハウジング本体10の閉塞部12側(すなわち、ハウジングの上記他端部側)に位置する第2空間S3Bとに仕切られることになる。
図1ないし図3に示すように、上述した隔壁部41によって区画された区画部材60の内側の空間のうちの点火器30側に位置する空間と、点火器30と区画部材60との間に位置する空間とによって構成される燃焼室S1には、ガス発生剤70が装填されており、また、当該燃焼室S1のうちの点火器30寄りの部分には、ホルダ20とガス発生剤70との間に介在するようにクッション部材80が配置されている。
ガス発生剤70は、点火器30が作動することによって生じた熱粒子によって着火されて燃焼することでガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤70としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体として構成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩や、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
ガス発生剤70の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、シリンダ型ガス発生器1Aが組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤70の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤70の形状の他にもガス発生剤70の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
クッション部材80は、成形体からなるガス発生剤70が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、金属線材を曲げ加工することによって形成されたバネ部81および押圧部82を有している。バネ部81は、その一端がホルダ20に当接するように配置されており、その他端に押圧部82が形成されている。押圧部82は、金属線材が所定の間隔をもって略平行に配置されることで構成されており、ガス発生剤70に当接している。これにより、ガス発生剤70は、クッション部材80によって隔壁部材40A側に向けて付勢されることになり、ハウジングの内部において移動してしまうことが防止されている。なお、上述した如くのクッション部材80に代えて、たとえばセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなるクッション材を利用することとしてもよい。
ハウジングの内部の空間のうち、隔壁部材40Aが配置された空間に隣接する空間であってかつ当該隔壁部材40Aとハウジング本体10の閉塞部12とによって挟まれた空間である上記第2空間S3Bには、フィルタ90が配置されている。フィルタ90は、ハウジング本体10の軸方向と同方向に延びる中空部を有する円筒状の部材からなり、その軸方向の一方の端面が閉塞部12に当接しており、その軸方向の他方の端面が隔壁部材40Aの仕切り部43に上述したシールテープ46を介して当て留めされている。
フィルタ90は、ガス発生剤70が燃焼することによって発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれるスラグ(残渣)等を除去する除去手段としても機能する。上述したように円筒状の部材からなるフィルタ90を利用することにより、作動時においてガスに対する流動抵抗が低く抑えられることになり、効率的なガスの流動が実現可能になる。
フィルタ90としては、好適にはステンレス鋼や鉄鋼等からなる金属線材または金属網材の集合体にて構成されたものが利用できる。具体的には、メリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体、またはこれらをプレスにより押し固めたもの等が利用できる。また、これに代えて、孔あき金属板を巻き回したもの等も利用できる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用できる。
なお、隔壁部材40Aの隔壁部41および仕切り部43と、区画部材60の筒状部61とによって規定される空間である上記第1空間S3Aには、ハウジングの軸方向に沿って隔壁部材40Aのロッド部42のみが位置することになる。
図1ないし図4に示すように、区画部材60の筒状部61のうちの燃焼室S1とガス通路室S2とを区画する部分(すなわち、隔壁部41が位置する部分よりもホルダ20側に位置する部分の筒状部61)には、第1連通孔64が筒状部61の周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数の第1連通孔64は、燃焼室S1とガス通路室S2とを連通させるためのものであり、ガス発生剤70が燃焼することで燃焼室S1にて発生したガスを通過させ、これにより当該ガスをガス通路室S2に向けて流出させるためのものである。
また、図1、図3および図5に示すように、区画部材60の筒状部61のうちのガス通路室S2とガス排出室S3のうちの上記第1空間S3Aとを区画する部分(すなわち、隔壁部41が位置する部分よりも閉塞部12側に位置する部分の筒状部61)には、第2連通孔65が筒状部61の周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数の第2連通孔65は、ガス通路室S2とガス排出室S3とを連通させるためのものであり、ガス通路室S2に流入したガスを通過させ、これにより当該ガスをガス排出室S3のうちの上記第1空間S3Aに向けて流出させるためのものである。ここで、当該複数の第2連通孔65は、いずれも隔壁部材40Aのロッド部42に面するように設けられている。
加えて、図1、図3および図5に示すように、隔壁部材40Aの仕切り部43には、第3連通孔45が周方向に沿って複数設けられている。当該複数の第3連通孔45は、上記第1空間S3Aと上記第2空間S3Bとを連通させるためのものであり、上記第1空間S3Aに流入したガスを通過させ、これにより当該ガスを上記第2空間S3Bに向けて流出させるためのものである。ここで、仕切り部43に設けられた複数の第3連通孔45は、当該仕切り部43に貼付されたシールテープ46によって閉塞されている。これにより、シリンダ型ガス発生器1Aの非作動時において、燃焼室S1、ガス通路室S2および上記第1空間S3Aの気密性が確保されることになる。
一方、図1および図3に示すように、フィルタ90に対面する部分のハウジングの周壁部11には、ガス噴出口13が当該周壁部11の周方向および軸方向に沿って複数設けられている。当該複数のガス噴出口13は、ハウジングの内部の空間と外部の空間とを連通させるためのものであり、フィルタ90を通過した後のガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
図6は、図1に示すシリンダ型ガス発生器の作動時におけるガスの流れを模式的に表わした図である。次に、この図6を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Aの作動時における動作について説明する。
本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Aが搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器30が作動する。
図6に示すように、燃焼室S1に装填されたガス発生剤70は、点火器30が作動することによって生じた火炎によって着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。これにより、燃焼室S1にて発生したガスは、区画部材60に設けられた第1連通孔64を介してガス通路室S2へと流れ込む。その際、ガス通路室S2に流れ込んだガスは、ハウジングの径方向に沿ってハウジング本体10の周壁部11の内周面に吹き付けられることになり、ガス中に含まれるスラグは、当該周壁部11の内周面に付着することで相当程度除去される。
ハウジング本体10の周壁部11の内周面に吹き付けられたガスは、その後、ガス通路室S2をハウジングの軸方向に沿って流動する。その際、ガスがハウジング本体10の周壁部11に接触することで熱が奪われて冷却される。その後、ガス通路室S2を流動したガスは、区画部材60に設けられた第2連通孔65を介してガス排出室S3のうちの上記第1空間S3Aへと流れ込む。
上記第1空間S3Aに流れ込んだガスは、当該第1空間S3Aに配置されたロッド部42に吹き付けられる。ここで、ロッド部42は、上述したようにより大きい熱容量を有することとなるように中実状に構成されたものであるため、ロッド部42に吹き付けられたガスは、当該ロッド部42の外周面に接触することで熱が奪われてさらに冷却されるとともに、当該ガス中に含まれるスラグは、ロッド部42の外周面に付着することでさらに相当程度除去されることになる。
また、上記第1空間S3Aにガスが流れ込むことにより、当該第1空間S3Aの圧力が上昇し、これに伴って隔壁部材40Aに設けられた第3連通孔45を閉塞しているシールテープ46が破られることになる。これにより、ロッド部42に吹き付けられた後のガスは、第3連通孔45を介してガス排出室S3のうちの上記第2空間S3Bへと流れ込む。
上記第2空間S3Bに流れ込んだガスは、ハウジングの軸方向に沿って流動してハウジング本体10の閉塞部12に吹き付けられる。その際、閉塞部12に吹き付けられたガスは、当該閉塞部12の内面に接触することで熱が奪われてさらに冷却されるとともに、当該ガス中に含まれるスラグは、当該閉塞部12の内面に付着することでさらに相当程度除去される。
閉塞部12に吹き付けられたガスは、その後、向きを代えてフィルタ90へと到達してフィルタ90中を通過する。フィルタ90をガスが通過する際には、フィルタ90によってさらに熱が奪われてガスが冷却されるとともに、当該ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によってさらに除去される。
フィルタ90を通過した後のガスは、ハウジング本体10に設けられたガス噴出口13を介してハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、シリンダ型ガス発生器1Aに隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
以上において説明した本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Aは、ガスの流動方向に沿ってガス通路室S2よりも下流側に位置するガス排出室S3の上記第1空間S3Aに、ガスを冷却するための熱容量の大きい中実状のロッド部42が設けられた構成であるため、当該ロッド部42が設けられていない場合に比べて、格段にガスの冷却効率を高めることができる。
また、当該第1空間S3Aに支柱状のロッド部42を設ける構成とすることにより、ガス排出室S3における流路が必要以上に迷路化することもなく、ましてやガスの流動方向が略180度にわたって強制的に折り返される部分も存在しないため、ガス排出室S3におけるガスに対する流動抵抗が大幅に大きくなることもない。
加えて、上記構成を採用することにより、ガス排出室S3の上記第1空間S3Aが設けられた部分の構造は、中央部に支柱状のロッド部42が配置された二重管構造を有するに留まることになる。そのため、当該部分におけるガスの流路の断面積は、ハウジングの断面積を略二等分した面積に近い大きさにまで確保することができることになり、流路が必要以上に絞られてしまうことが回避できる。その結果、この意味においても当該部分において大きな流動抵抗が生じてしまうことがなくなる。
したがって、上記構成を採用することにより、スムーズなガスの排出と効率的なガスの冷却との両立が図られることになり、高性能のシリンダ型ガス発生器とすることができる。
また、上記構成を採用することにより、ガス排出室S3の上記第1空間S3Aが設けられた部分において流路が必要以上に絞られることもないため、作動時における燃焼室S1の内圧が必要以上に高いものとなることもなく、その分だけハウジング等に高い耐圧性能をもたせることが必要なくなり、結果として軽量化や製造コストの削減に繋がることにもなる。
また、上記構成を採用することにより、ロッド部42にガスが吹き付けられることでより多くのスラグを捕集することもできる。
さらには、上記構成を採用することにより、上記第1空間S3Aに中実状のロッド部42を設けるという非常に簡素な構成で高い冷却効率とスムーズなガスの排出との両立が図られることになり、装置構成が複雑化することもない。特に、上記のように隔壁部41と仕切り部43とロッド部42とを単一の部品である隔壁部材40Aとして一体化させることにより、組付け作業も容易化し、低コストに高い冷却効率とスムーズなガスの排出との両立が図られたガス発生器を製造することもできる。
ここで、区画部材60の筒状部61に設けられた複数の第1連通孔64の総開口面積をD1とし、区画部材60の筒状部61に設けられた複数の第2連通孔65の総開口面積をD2とし、隔壁部材40Aの仕切り部43に設けられた複数の第3連通孔45の総開口面積D3とし、ハウジング本体10の周壁部11に設けられた複数のガス噴出口13の総開口面積をD4とした場合には、これら総開口面積D1〜D4のうち、複数の第3連通孔45の総開口面積D3が、他の総開口面積D1,D2,D4よりも小さくなるように構成されていることが好ましい。
このように構成した場合には、ハウジングに加えて隔壁部材40Aの仕切り部43がもっぱら圧力隔壁として機能することになり、シリンダ型ガス発生器1Aの作動時におけるハウジングの内部の空間の内圧(特に燃焼室S1の内圧)を当該仕切り部43によって相当程度に高圧に維持することが可能になる。そのため、ガス発生剤70の持続的な燃焼が維持できるとともに、区画部材60や隔壁部41、ロッド部42、フィルタ90等の意図しない変形を抑制することができる。
なお、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Aにおいては、上述したように、上記第1空間S3Aに中実状のロッド部42を設けることでガスの冷却性能やスラグの捕集機能が格段に高まる効果が得られるものである。そのため、当該効果の程度によっては、フィルタ90を上記第2空間S3Bへ設置することを必要とせず、フィルタ90の設置自体を廃止することも可能になる。その場合には、部品点数の削減やさらなる組付け作業の容易化等が図られることになるとともに、シリンダ型ガス発生器の大幅な軽量化も図られることになる。
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2におけるシリンダ型ガス発生器のガス噴出口近傍の概略図である。以下、この図7を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Bについて説明する。
図7に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Bは、上述した実施の形態1におけるシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、区画部材60の閉塞部12側の端部の形状においてのみ相違している。
具体的には、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Bにあっては、区画部材60の筒状部61の隔壁部材40A側の端部にスカート部63が形成されている。当該スカート部63は、筒状部61のハウジングの上述した他端部側(すなわち閉塞部12側)から径方向外側に向けて広がるように形成されている。
このように構成した場合には、区画部材60の隔壁部材40A側の端部である上記スカート部63が、隔壁部材40Aの仕切り部43に当接するように当て留めされるとともに、その一部がハウジング本体10の周壁部11の内周面に当接するように配置されることになる。
以上において説明した構成を採用することにより、上述した本実施の形態1において説明した効果に加え、さらに区画部材60がより安定的にハウジング本体10に固定される効果が得られることになるとともに、組付けの際の区画部材60の位置決めがより容易に行なえることになる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3におけるシリンダ型ガス発生器のガス噴出口近傍の概略図である。以下、この図8を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Cについて説明する。
図8に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Cは、上述した実施の形態1におけるシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、図1において示した隔壁部材40Aがこれに代えて二分割された2つの部品によって構成されている点においてのみ相違している。
具体的には、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Cにあっては、上述した隔壁部材40Aのうちの隔壁部41とロッド部42とが、単一の部品である図8に示した隔壁部材40Bとして一体化されて構成されており、上述した隔壁部材40Aのうちの仕切り部43が、上記隔壁部材40Bとは異なる別部品である図8に示した仕切り部材50Aによって構成されている。
ここで、隔壁部材40Bの隔壁部41の外縁部には、燃焼室S1側に向かって立設した筒状の立壁部41aが設けられている。当該立壁部41aは、その外周面が区画部材60の内周面に当接しており、これにより組付け時における隔壁部材40Bの姿勢が安定するとともに、当該隔壁部41によって隔てられる燃焼室S1とガス排出室S3のうちの上記第1空間S3Aとの間の気密性が高められることになる。
一方、仕切り部材50Aには、ハウジングの内部の空間を軸方向に仕切る仕切り部53と、ハウジング本体10がかしめ固定されるための環状溝部54と、複数の第3連通孔55と、シールテープ56とが設けられており、さらに仕切り部53の上記第2空間S3B側の主面には、隔壁部材40Bのロッド部42の先端が挿入される係止凹部57が設けられている。当該係止凹部57にロッド部42の先端が挿入されることにより、隔壁部材40Bが仕切り部材50Aに組付けられることになり、これら2つの部材によって上述した実施の形態1における隔壁部材40Aと同様の機能が発揮されることになる。
以上において説明した構成を採用した場合にも、上述した本実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになる。
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4におけるシリンダ型ガス発生器のガス噴出口近傍の概略図である。以下、この図9を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Dについて説明する。
図9に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Dは、上述した実施の形態1におけるシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、図1において示した隔壁部材40Aがこれに代えて二分割された2つの部品によって構成されている点においてのみ相違している。
具体的には、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Dにあっては、上述した隔壁部材40Aのうちの隔壁部41が、単一の部品である図9に示した隔壁部材40Cとして構成されており、上述した隔壁部材40Aのうちのロッド部42および仕切り部43が、上記隔壁部材40Cとは異なる別部品である図9に示した仕切り部材50Bによって構成されている。
ここで、隔壁部材40Cの隔壁部41の外縁部には、燃焼室S1側に向かって立設した筒状の立壁部41aが設けられている。当該立壁部41aは、その外周面が区画部材60の内周面に当接しており、これにより組付け時における隔壁部材40Bの姿勢が安定するとともに、当該隔壁部41によって隔てられる燃焼室S1とガス排出室S3のうちの上記第1空間S3Aとの間の気密性が高められることになる。
一方、仕切り部材50Bには、ハウジングの内部の空間を軸方向に仕切る仕切り部53と、当該仕切り部53から上記第2空間S3B側に向けて立設されたロッド部52と、ハウジング本体10がかしめ固定されるための環状溝部54と、複数の第3連通孔55と、シールテープ56とが設けられている。上述した隔壁部材40Cは、仕切り部材50Bに設けられたロッド部52の先端に当て留めされており、これに伴い、隔壁部材40Cと仕切り部材50Bとによって上述した実施の形態1における隔壁部材40Aと同様の機能が発揮されることになる。
以上において説明した構成を採用した場合にも、上述した本実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになる。
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5におけるシリンダ型ガス発生器のガス噴出口近傍の概略図である。以下、この図10を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Eについて説明する。
図10に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Eは、上述した実施の形態1におけるシリンダ型ガス発生器1Aと比較した場合に、隔壁部材40Aと構成の異なる隔壁部材40Dを備えている点と、フィルタ90を備えていない点とにおいて主として構成が異なっている。
具体的には、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Eにあっては、隔壁部材40Dが、区画部材60の筒状部61の内側の空間を軸方向に隔てる隔壁部41と、当該隔壁部41からハウジング本体10の閉塞部12側に向かって立設されたロッド部42とのみを有しており、上述した実施の形態に1における隔壁部材40Aが備えていた仕切り部43を有していない。そのため、当該シリンダ型ガス発生器1Eにあっては、ガス排出室S3が2つの空間には仕切られておらず、単一の空間によってのみ構成されている。
ここで、隔壁部材40Dの隔壁部41の外縁部には、燃焼室S1側に向かって立設した筒状の立壁部41aが設けられている。当該立壁部41aは、その外周面が区画部材60の内周面に当接しており、これにより組付け時における隔壁部材40Dの姿勢が安定するとともに、当該隔壁部41によって隔てられる燃焼室S1とガス排出室S3との間の気密性が高められることになる。
また、隔壁部材40Dのロッド部42は、ハウジングの上述した他端部であるハウジング本体10の閉塞部12の内面に当接している。これにより、隔壁部材40Dは、ハウジング本体10と区画部材60とに固定されている。
また、区画部材60の筒状部61の閉塞部12側の端部には、スカート部63が形成されている。当該スカート部63は、筒状部61のハウジングの上述した他端部側(すなわち閉塞部12側)から径方向外側に向けて広がるように形成されている。
このように構成した場合には、区画部材60の閉塞部12側の端部である上記スカート部63が、ハウジング本体10に設けられたかしめ部15に当て留めされるとともに、その一部がハウジング本体10の周壁部11の内周面に当接するように配置されることになる。
また、ガス排出室S3には、上述した実施の形態1におけるフィルタ90の如くの部材は配置されていない。その一方で、ガス排出室S3を規定するハウジング本体10の周壁部11のうち、複数のガス噴出口13が設けられた部分の内周面には、シールテープ16が貼付されている。当該シールテープ16は、ハウジング本体10に設けられた複数のガス噴出口13を閉塞するためのものであり、このシールテープ16としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。これにより、シリンダ型ガス発生器1Eの非作動時において、燃焼室S1、ガス通路室S2およびガス排出室S3の気密性が確保されることになる。
以上において説明した本実施の形態における構成は、前述のとおりガス排出室S3にロッド部42を設けることでガスの冷却性能やスラグの捕集機能が格段に高まり、その結果、上述した如くのフィルタ90をガス排出室S3に設置する必要がなくなった場合の構成を例示するものである。そのため、このように構成することにより、上述した実施の形態1における効果に加え、部品点数の削減やさらなる組付け作業の容易化等の効果が得られることになるとともに、シリンダ型ガス発生器の大幅な軽量化が図られる効果も得られることになる。
ここで、複数の第1連通孔64の総開口面積D1と、複数の第2連通孔65の総開口面積をD2と、複数のガス噴出口13の総開口面積D4とは、これら総開口面積D1,D2,D4のうち、複数のガス噴出口13の総開口面積D4が、他の総開口面積D1,D2よりも小さくなるように構成されていることが好ましい。
このように構成した場合には、ハウジングの全体が圧力容器として機能することになり、シリンダ型ガス発生器1Eの作動時におけるハウジングの内部の空間の内圧(特に燃焼室S1の内圧)を当該ハウジングによって相当程度に高圧に維持することが可能になる。そのため、ガス発生剤70の持続的な燃焼が維持できるとともに、区画部材60や隔壁部材40D等の意図しない変形を抑制することができる。
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の形態6におけるシリンダ型ガス発生器のガス噴出口近傍の概略図である。以下、この図11を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Fについて説明する。
図11に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1Fは、上述した実施の形態5におけるシリンダ型ガス発生器1Eと比較した場合に、ガス排出室S3に配置されたロッド部42に金属線材の巻回体48が外挿されている点においてのみ相違している。
具体的には、金属線材の巻回体48としてたとえば図示する如くのコイルバネを利用することができ、当該コイルバネは、その軸方向に沿ってハウジング本体10の閉塞部12と隔壁部材40Dの隔壁部41とによって軽圧縮された状態となるように、これら閉塞部12と隔壁部41とによって挟持されることでハウジングに対して組付けられることができる。
このように構成した場合には、上述した実施の形態1におけるフィルタ90の如くの比較的重量の重い部材を用いずとも、上述した如くの比較的軽量の金属線材の巻回体48によって一種のフィルタの如くの機能を発揮させることが可能になり、当該巻回体48を配置することでガスの冷却性の性能やスラグの捕集機能を高めることができる。
したがって、以上において説明した構成を採用することにより、上述した実施の形態1における効果に加え、組付け作業の容易化やシリンダ型ガス発生器の大幅な軽量化等の効果も得られることになる。
なお、金属線材の巻回体48としては、上述したコイルバネに限られず、ロッド部42に1本または複数本の金属線材を単に巻き付けることでこれを構成してもよいし、他の構成のものを用いてもよい。
上述した本発明の実施の形態1ないし6においては、いずれも燃焼室が区画部材よりもホルダ側に位置する空間を含むように構成した場合を例示したが、必ずしもこのように構成する必要はない。すなわち、ホルダが区画部材に内挿された状態で固定されていてもよく、その場合には燃焼室は、隔壁部よりもハウジングの上述した一端部側(すなわち、ホルダ側)の空間であってかつ区画部材の筒状部よりも径方向内側の空間によってのみ構成されることになる。
また、上述した本発明の実施の形態1ないし6においては、点火器の点火部内に点火薬のみまたは点火薬と伝火薬とが装填された場合を例示して説明を行なったが、伝火薬を装填する場合にこれが点火器の点火部内に装填されている必要は必ずしもなく、点火器の点火部とガス発生剤との間の位置にたとえばカップ状の部材や容器等を用いてこれが装填されていてもよい。
また、上述した本発明の実施の形態1ないし6においては、ハウジング本体とホルダとを、また仕切り部を備える場合にはこれに加えてハウジング本体と仕切り部とを、かしめ固定することでこれらを連結した場合を例示して説明を行なったが、ハウジング本体とホルダおよび/または仕切り部との固定に溶接等を利用することも当然に可能である。
加えて、上述した本発明の実施の形態1ないし6においては、本発明をサイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、助手席用エアバッグ装置やカーテンエアバッグ装置、ニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に組み込まれるシリンダ型ガス発生器や、シリンダ型ガス発生器と同様に長尺状の外形を有するいわゆるT字型ガス発生器にもその適用が可能である。
さらには、上述した本発明の実施の形態1ないし6において示した特徴的な構成は、装置構成上、許容される範囲で当然に相互にその組み合わせが可能である。たとえば、上述した本発明の実施の形態1ないし4において示したロッド部に、上述した本発明の実施の形態6において示した如くの巻回体を外挿することとしてもよいし、上述した本発明の実施の形態1ないし4において示した構成において、上述した本発明の実施の形態5の如くにフィルタを廃止することとしてもよく、その場合に、上述した本発明の実施の形態5の如くに仕切り部までをも廃止することなくこれを残置させることとしてもよい。
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。