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JP2016103398A - シールドケーブル - Google Patents

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JP2016103398A JP2014240983A JP2014240983A JP2016103398A JP 2016103398 A JP2016103398 A JP 2016103398A JP 2014240983 A JP2014240983 A JP 2014240983A JP 2014240983 A JP2014240983 A JP 2014240983A JP 2016103398 A JP2016103398 A JP 2016103398A
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Motoi Matsuda
基 松田
軽部 勝美
Katsumi Karube
勝美 軽部
優斗 小林
Yuto KOBAYASHI
優斗 小林
崇樹 遠藤
Takaki Endo
崇樹 遠藤
善祥 荒川
Yoshinaga Arakawa
善祥 荒川
隼人 松下
Hayato Matsushita
隼人 松下
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Abstract

【課題】複数本の絶縁電線の周囲にシールド導体を施したシールドケーブルにおいて、高周波域での急激な信号減衰を防止し、かつ曲げ易く柔軟性のあるシールドケーブルを提供する。【解決手段】シールドケーブル10は、第1の金属樹脂テープ5が、2本の絶縁電線3の周囲を開き巻きで覆い、第2の金属樹脂テープ6が、第1の金属樹脂テープ5の周囲に螺旋状に重ね巻きされてなる。第1及び第2の金属樹脂テープ5,6は、金属層が互いに向き合わされて配置され、重ね巻きにより第2の金属樹脂テープ6が重ねられた部分では、重ねられた一方の第2の金属樹脂テープ6の金属層と、他方の第2の金属樹脂テープ6の金属層とが、第1の金属樹脂テープ5に接触している。【選択図】図1

Description

本発明は、シールドケーブルに関し、より具体的には、2本以上の絶縁電線の周囲に金属樹脂テープによるシールド導体を施したシールドケーブルに関する。
GHz帯の高周波帯域で通信を行うための信号線として、2本の絶縁電線を対にして、デジタル信号を差動信号伝送方式で伝送するシールドケーブルが知られている。差動信号伝送方式は、例えば、位相を180度反転させた信号を2本の電線に同時に入力して送信し、受信側で差分合成するもので、これにより信号出力を2倍にすることができる。また、差動信号伝送方式では、送信から受信に至る伝送経路途中で受けたノイズ信号が2本の電線に等しく加えられているので、受信側で差動信号として出力したときにキャンセルされ、ノイズを除去することができる。
このシールドケーブルは、例えば、中心導体(信号導体)を絶縁体で絶縁した2本の絶縁電線(信号線)を、ポリエステルテープにアルミ箔を貼り付けてなるシールド導体で覆っている。そして、このシールド導体と絶縁電線との間に、シールド導体の導電面と接触するようにドレインワイヤを縦添して、グランドに接続するようにしている。シールド導体の外面は、樹脂材の押出し成型または樹脂テープの巻き付けによる外被で被覆される。
例えば特許文献1には、高周波域での急激な信号減衰を防止し、かつ量産性をよくすることを目的としたシールドケーブルが開示されている。このシールドケーブルは、複数本の信号線の周囲にシールド導体を施したもので、シールド導体は、片面が金属層である2枚の金属樹脂テープを、金属層の面が向かい合うように螺旋状に重ね巻きで巻き付けてなる。これにより、上下の金属層が互いに電気的に接触するものとされる。
特開2014−17131号公報
図11は、従来のシールドケーブルの一例の構成を示す図で、図11(A)は、2芯平行電線として構成されたシールドケーブルの端面をその長さ方向正面から見たときの積層構成を示す図、図11(B)は、シールドケーブルをその長さ方向に対して側方から見たときの積層構成を示す図である。図中、1は信号導体、2は絶縁体、3は絶縁電線、4はドレイン線、8は金属樹脂テープ、7は樹脂テープ、10はシールドケーブルである。
単心線または撚線からなる信号導体1を所定の誘電率を有する絶縁体2で被覆した絶縁電線(信号線)3を、2本平行に並べる。平行に並べた2本の絶縁電線3に対して、ドレイン線4が縦添えされる。2本の絶縁電線3およびドレイン線4の外周には、シールド導体として片面に金属層を備えた金属樹脂テープ8が巻き付けられる。ドレイン線4の表面は導電性があり、金属樹脂テープ8は、その金属層がドレイン線4と接触して導通するように配置される。金属樹脂テープ8は、その一部が重ね合わされながら螺旋状に重ね巻きされる。金属樹脂テープ8の外側には、汚染を防ぎケーブルとしての耐水性を持たせるために、樹脂テープ7が螺旋巻きされる。こうしてシールドケーブル10が構成される。
上記のように、シールド層として金属樹脂テープ8を重ね巻きした構成の場合、高周波域で信号減衰量が急激に増加するサックアウトが発生し、5Gbps以上の高周波伝送特定に影響を与えることある。
これに対して、特許文献1のように、2枚の金属樹脂テープを使用して、これらを螺旋状に重ね巻きにすることで高周波伝送特定を改善することができる。
しかしながら一般的に、金属樹脂テープを螺旋状に重ね巻すると、その一部が重ね合わされているため、シールドケーブルとしての柔軟性に欠ける。シールドケーブルは、曲げやすさを備えることで、その取扱い作業性や、多様な配線環境への適用性が向上する。
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、複数本の絶縁電線の周囲にシールド導体を施したシールドケーブルにおいて、高周波域での急激な信号減衰を防止し、かつ曲げ易く柔軟性のあるシールドケーブルを提供することを目的とする。
本発明によるシールドケーブルは、2本の絶縁電線を、金属層と樹脂層が積層された構成をそれぞれ有する第1及び第2の金属樹脂テープで覆ったシールドケーブルであって、
前記第1の金属樹脂テープは、前記2本の絶縁電線の周囲を、前記第1の金属樹脂テープが重なり合わない開き巻きで覆い、前記第2の金属樹脂テープは、前記第1の金属樹脂テープの周囲に螺旋状に重ね巻きされてなり、前記第1及び第2の金属樹脂テープは、それぞれの金属層が互いに向き合わされて接触し、前記第1の金属樹脂テープの金属層と前記第2の金属樹脂テープの金属層とがケーブルの長さ方向に繋がれている、シールドケーブルである。
本発明のシールドケーブルによれば、複数本の絶縁電線の周囲にシールド導体を施したシールドケーブルにおいて、高周波域での急激な信号減衰を防止し、かつ曲げ易く柔軟性のあるシールドケーブルを提供することができる。
本発明によるシールドケーブルの一実施形態に係る構成を示す図である。 図1の実施形態における第1及び第2の金属樹脂テープの配置構成を示す図である。 比較例における伝送特性の検証結果を示す図である。 実施例1における伝送特性の検証結果を示す図である。 本発明によるシールドケーブルの他の実施形態に係る構成を示す図である。 図5の実施形態における第1の金属樹脂テープの配置構成を説明するための図である。 図5の実施形態における第1及び第2の金属樹脂テープの積層構成を示す図である。 実施例2における伝送特性の検証結果を示す図である。 実施例2における伝送特性の他の検証結果を示す図である。 実施例2における伝送特性のさらに他の検証結果を示す図である。 従来のシールドケーブルの一例の構成を示す図である。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本願のシールケーブルに係る発明は、2本の絶縁電線を、金属層と樹脂層が積層された構成をそれぞれ有する第1及び第2の金属樹脂テープで覆ったシールドケーブルであって、前記第1の金属樹脂テープは、前記2本の絶縁電線の周囲を、前記第1の金属樹脂テープが重なり合わない開き巻きで覆い、前記第2の金属樹脂テープは、前記第1の金属樹脂テープの周囲に螺旋状に重ね巻きされてなり、前記第1及び第2の金属樹脂テープは、それぞれの金属層が互いに向き合わされて接触し、前記第1の金属樹脂テープの金属層と前記第2の金属樹脂テープの金属層とがケーブルの長さ方向に繋がれている、シールドケーブルである。これにより、複数本の絶縁電線の周囲にシールド導体を施したシールドケーブルにおいて、高周波域での急激な信号減衰を防止し、かつ曲げ易く柔軟性のあるシールドケーブルを提供することができる。
(2)前記第1の金属樹脂テープは、螺旋巻きで開き巻きされていることが好ましい。これにより、開き巻きされる第1の金属樹脂テープの具体的構成が与えられる。
(3)前記第1の金属樹脂テープと、前記第2の金属樹脂テープの螺旋巻きの巻き方向が同じであることが好ましい。これにより、第1の金属樹脂テープと第2金属樹脂テープとの金属層同士の接続を確実に得ることができる。
(4)前記第1の金属樹脂テープは、縦添えで設けられ、前記第1の金属樹脂テープの幅方向の端部が互いに重なり合わないように開き巻きされていることが好ましい。これにより、開き巻きされる第1の金属樹脂テープの他の具体的構成が与えられる。
(5)前記2本の絶縁電線の長さ方向に垂直な断面において、前記第1の金属樹脂テープは、該2本の絶縁電線の接触部分を通り、該2本の絶縁電線の配列方向に直交する線を対称軸として線対称となるように配設されることが好ましい。これにより、信号減衰量の周波数特性をばらつきなく安定化させることができる。
(6)前記2本の絶縁電線がその周囲方向に全て覆われたときを占有率を100%とするとき、前記第1の金属樹脂テープは、前記2本の絶縁電線を50〜100%の占有率で周囲方向に覆うように縦添えされていることが好ましい。これにより、信号減衰量の周は特性を安定化させる占有率範囲が特定される。
[本願発明の実施形態の詳細]
本発明に係るシールドケーブルの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
図1は、本発明によるシールドケーブルの一実施形態に係る構成を示す図で、図1(A)は、シールドケーブルの端面をその長さ方向正面から見たときの積層構成を示す図、図1(B)は、シールドケーブルをその長さ方向に対して側方から見たときの積層構成を示す図である。図中、1は信号導体、2は絶縁体、3は絶縁電線、4はドレイン線、5は第1の金属樹脂テープ、6は第2の金属樹脂テープ、7は樹脂テープ、10はシールドケーブルである。
図1(A)に示すように、シールドケーブル10は、単心線または撚線からなる信号導体1を所定の誘電率を有する絶縁体2で被覆した絶縁電線3を、例えば、2本平行に並べた対ケーブルで形成する。また絶縁電線3は、上記2本の絶縁電線を撚り合わせたツイストペア線として構成してもよい。
信号導体1は、銅やアルミ等の電気良導体、またはこれらの電気良導体に錫メッキ等を施した単心線または撚線で形成され、例えば、AWG24〜34(導体断面積が0.02mm2〜0.2mm2)相当の線材が用いられる。信号導体1を電気的に絶縁する絶縁体2としては、できるだけ誘電率の小さいもので、かつ温度や周波数の影響受けにくい安定した材料を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、フッ素樹脂等が用いられる。絶縁体2は、上記材料を用いた充実絶縁体もしくは発泡絶縁体として構成される。これらの信号導体1と絶縁体2により形成される絶縁電線3の外径は、例えば0.5〜2.2mmとされる。
そして2本の絶縁電線3に対して、ドレイン線4を縦添えする。ドレイン線4は、軟銅線や銅合金線など被覆のない導体であり、その太さは絶縁電線3の信号導体1の径と同じかやや細いことが好ましい。あるいは、ドレイン線4を用いない構成とすることもできる。
対にされた2本の絶縁電線3の外周には、第1の金属樹脂テープ5を螺旋状に巻き付け(螺旋巻き)、さらにその上から第2の金属樹脂テープ6を螺旋状に巻き付けることで、シールド導体を構成する。ここでは、第1の金属樹脂テープ5は、2本の絶縁電線3の周囲を、第1の金属樹脂テープ5が重なり合わない開き巻きで覆い、第2の金属樹脂テープ6は、第1の金属樹脂テープの周囲5に螺旋状に重ね巻きされる。
第1の金属樹脂テープ5の開き巻きの間隔は、絶縁電線3のサイズおよびテープ幅とピッチにより決定されるが、少なくともテープ間に隙間が空いた状態で開き巻きされるものであればよい。ピッチが大きくなれば生産効率は増大する。テープ間の開きは巻かれたテープの幅方向にテープ幅の1/10〜1/2とするのが好ましい。
第2の金属樹脂テープ6は、第1の金属樹脂テープ5の周囲に、その一部が重なり合った螺旋巻きに巻き付けられる。テープの重なり幅は巻かれたテープの幅方向にテープ幅の1/6〜1/2とするのが好ましい。第2の金属樹脂テープ6の螺旋巻きの巻き方向は限定されるものではないが、第1の金属樹脂テープ5の開き巻きの巻き方向と同方向とすることが好ましい。これにより、第1の金属樹脂テープと第2金属樹脂テープとの金属層同士の接続を確実に得ることができる。
また、図示する例では、2本の絶縁電線3とドレイン線4との周囲に第1及び第2の金属樹脂テープ5,6が巻き付けられているが、ドレイン線4を第1の金属樹脂テープ5と第2の金属樹脂テープ6の間に配置してもよい。
第1および第2の金属樹脂テープ5,6は、いずれも片面が金属層の樹脂テープである。より具体的には、金属樹脂テープ5,6には、アルミ箔または銅箔などの金属層を、それと同じ幅をもつポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン(PE)等の樹脂基材(樹脂テープ)にラミネートしたものを用いることができる。このときの金属層の厚さは例えば3μm以上で、樹脂基材の厚さは例えば3μm以上とする。また、金属層として、上記の樹脂基材に対して、アルミニウムや銅を蒸着した金属膜を形成してもよい。蒸着により形成した金属膜の厚さは例えば0.05μm以上とされる。
なお、銅とアルミニウムなど異種金属同士ではガルバニ腐食のおそれがあるため、第1及び第2の金属樹脂テープ5,6の金属層5b,6bには、同種の金属を用いることが好ましい。ここでは、各金属層5b,6bを全く同じ金属とすることが好ましいが、腐食が生じない組の金属を用いるものであればよい。
そして第2の金属樹脂テープ6の周囲には、樹脂テープ7が螺旋状に巻き付けられる。樹脂テープ7は、例えばPETやPE等の樹脂基材を用いたもので、その幅は1mm以上で、厚さ3μm以上とし、螺旋状に巻き付けたときに隙間が空かないピッチで巻き付けられる。また螺旋巻きの巻き方向は特に限定されない。
図2は、図1の実施形態における第1及び第2の金属樹脂テープの配置構成を示す図である。第1の金属樹脂テープ5は、PETやPE等の樹脂基材5aと、アルミニウムや銅などの箔または蒸着膜による金属層5bとが積層されて形成されている。同様に第2の金属樹脂テープは、樹脂基材6aと金属層6bとが積層されて形成されている。
第1の金属樹脂テープ5は、絶縁電線の絶縁体2の表面に開き巻きで巻き付けられる。このときに第1の金属樹脂テープ5の金属層5bが外側に位置するように配置される。そして第1の金属樹脂テープ5の上に、第2の金属樹脂テープ6がその一部を重ね合わせて螺旋状に重ね巻きされる。第2の金属樹脂テープ6は、金属層6bが内側に位置するように配置される。これにより、第1及び第2の金属樹脂テープ5,6は、その金属層5b,6bが互いに向き合わされて配置される。そして重ね巻きにより第2の金属樹脂テープ6が重ねられた部分では、重ねられた第2の金属樹脂テープ6の金属層6bが、第1の金属樹脂テープ5の金属層5bに接触する。この構成により、開き巻きされた第1の金属樹脂テープ5の金属層5bと、重ね巻きされた第2の金属樹脂テープ6の金属層6bとが電気的に接続されたシールド層が形成される。第二の金属樹脂テープ6の金属層6bはドレイン線とも接する。
上記の構成により、第1および第2の金属樹脂テープ5,6をシールド層として用いた二重シールド電線を構成することができ、高周波伝送特性を改善させることができる。また、第1の金属樹脂テープ5を開き巻きで間隔を空けて巻き付けているため、2層の金属樹脂テープ5,6を巻き付けた構成であるにもかかわらず、その柔軟性が確保され、曲げ易く利便性の高いシールドケーブルを得ることができる。また、本実施形態のシールドケーブルを複数集合させて、例えば1対から24対程度の多芯ケーブルとして構成することもできる。
(実施例1)
図1に記載した構成により、試作品を作成し、伝送特性を確認した。
試作品の構成は、AWG26相当の信号導体1を2心平行に配列させ、その周囲に発泡PEによる絶縁体2を設けて、直径1.2mmの絶縁電線3を作成した。
第1の金属樹脂テープ5は、アルミニウム箔とPETとの積層構成により形成し、厚さ15μm、幅4mmとした。また、第2の金属樹脂テープ6は、同じくアルミニウム箔とPETとの積層構成により形成し、厚さ15μm、幅10mmとした。
そして上記絶縁電線3の周囲に、第1の金属樹脂テープ5をその金属層を外側にして螺旋状に開き巻きで巻き付け、さらにその周囲に第2の金属樹脂テープ6を螺旋状に重ね巻きで巻き付けた。ここでは第1の金属樹脂テープ5は、1/6開き(テープ幅の1/6。テープは4mm幅なので0.67mm開きになるが、テープが電線の長さ方向に沿って斜めに巻かれるので電線の長さ方向にはテープ間の開いた間隔が1mmになる)で開き巻きにした。また第2の金属樹脂テープ6は、1/3重なり(テープ幅の1/3。テープの幅が4mmなので3mmになるが、電線の長さ方向に沿って1.5mm。)によって重ね巻きにした。また、ドレイン線4は、第1の金属樹脂テープ5と第2の金属樹脂テープ6との間に縦添えした。
最外層の樹脂テープ7は、厚さ12μmで幅9mmのPETテープを使用した。樹脂テープ7は1/3開きで巻き付けその巻き付けピッチは18mmとした。
また、比較のためにシールドケーブルを作成した。比較用のシールドケーブルは、図11に示した従来例の構成のものとした。ここでは絶縁電線3は、上記実施例1と同じ構成として、ドレイン線4を縦添えし、その周囲に1層の金属樹脂テープ8を重ね巻きで設けた。金属樹脂テープ8は、アルミニウム箔とPETとの積層構成により形成し、厚さ15μm、幅10mmとした。重ね巻きの重なりは、1/2重なり(約5mmの重なり)とした。そして最外層の樹脂テープ7は、厚さ12μmで幅9mmのPETテープを使用した。樹脂テープ7の巻き付けピッチは8mmとし、樹脂テープ7の重ね巻きの重なりは、1/2重なり(4〜5mmの重なり)とした。
図3および図4は、上記実施例1と比較例における伝送特性の検証結果を示す図で、信号減衰量の周波数特性を示している。図3は、比較例による従来のシールドケーブルの伝送特性であり、図3に示すように、10〜12GHz付近で信号が落ち込むサックアウト現象が生じている。
これに対し、図4に示すように、本発明の実施例1に係るシールドケーブルでは、0を超えて20GHzまでの周波数方向の信号減衰はなだらかで、比較例のようなサックアウト現象は生じていない。
比較例のように、1層の金属樹脂テープを重ね巻きで巻き付けた構成では、金属樹脂テープ5が上下に重ね合わされた部分で、上下の金属樹脂テープの各金属層は、樹脂基材の存在により電気的に絶縁される。このため、シールド電流は絶縁電線3の周りを螺旋状に流れることになる。
一方、本発明に係る実施例では、重ね巻きされた第2の金属樹脂テープ6の金属層6bが、第1の金属樹脂テープ5の金属層5bに接触して導通しているため、シールド電流が絶縁電線3と平行に直線状に流れる。これにより、金属樹脂テープの巻きピッチによる信号減衰の影響がないため、サックアウト現象の発生を無くすことができると考えられる。
次に本発明に係るシールドケーブルの第2の実施形態を説明する。
図5は、本発明によるシールドケーブルの他の実施形態に係る構成を示す図で、図5(A)は、シールドケーブルの端面をその長さ方向正面から見たときの積層構成を示す図、図5(B)は、シールドケーブルをその長さ方向に対して側方から見たときの積層構成を示す図である。図中、1は信号導体、2は絶縁体、3は絶縁電線、4はドレイン線、5は第1の金属樹脂テープ、6は第2の金属樹脂テープ、7は樹脂テープ、10はシールドケーブルである。
図5(A)に示すように、本実施形態によるシールドケーブル10は、単心線または撚線からなる信号導体1を所定の誘電率を有する絶縁体2で被覆した絶縁電線3を、例えば、2本平行に並べた対ケーブルで形成する。
絶縁電線3、ドレイン線4は第一の実施形態と同様である。
対にされた2本の絶縁電線3の外周には、第1の金属樹脂テープ5が縦添えで設けられる。ここでは第1の金属樹脂テープ5の幅方向の端部が互いに重なり合わないように、開き巻きされている。そして第1の金属樹脂テープ5の周囲に、第2の金属樹脂テープ6を螺旋状に重ね巻きで巻き付けることで、シールド導体を構成する。
第1の金属樹脂テープ5の開き巻きの間隔は、絶縁電線3のサイズおよびテープ幅により決定されるが、少なくとも隙間が空いた状態で開き巻きされるものであればよい。ここで、2本の絶縁電線3が全て覆われたときの占有率を100%とするとき、第1の金属樹脂テープ5は、2本の絶縁電線3を50〜100%の占有率で覆うように縦添えされていることが好ましく、60〜90%とすることがより好ましい。
第1の金属樹脂テープの占有率が50%未満になると、2本の絶縁電線3の間に第1の金属樹脂テープ5が落ち込みやすくなる。また占有率が100%を超えた場合、絶縁電線3の周囲を覆ってさらに余った第1の金属樹脂テープ5が皺になり、伝送特性の悪化につながる。また占有率を60%以上にすることで、第1の金属樹脂テープ5の落ち込みをより確実に防止することができる。また90%以下とすることで、ドレイン線4を第1の金属樹脂テープ5の開き巻きの間隙に配置する構成に対応することができる。
また、第1の金属樹脂テープ5は、図6に示すように、電線の長さ方向に垂直な断面で見て、2本の絶縁電線3間(図6ではyで示される直線)を中心として左右対称となるように設けることが好ましい。非対称に第1の金属樹脂テープ5を設けると、伝送特性の悪化につながる。
第2の金属樹脂テープ6は、第1の金属樹脂テープ5の周囲に、その一部が重なり合った重ね巻きで螺旋状に巻き付けられる。第2の金属樹脂テープ6の巻き方向は、特に限定されない。
ドレイン線4は、図示するように、開き巻きされた第1の金属樹脂テープ5の幅方向の間隙部分(第1の金属樹脂テープ5が存在しない部分)に縦添えで設けられる。この場合、第1の金属樹脂テープ5の間隙部分でドレイン線4を第2の金属樹脂テープ6の金属層に接触させる。もしくはドレイン線4を、第1の金属樹脂テープ5と第2の金属樹脂テープ6との間に配置してもよい。
第1および第2の金属樹脂テープ5,6は、第一の実施形態と同様である。
図6は、図5の実施形態における第1の金属樹脂テープの配置構成を説明するための図である。上記のように、本実施形態では、第1の金属樹脂テープ5は、2本の絶縁電線3間を中心としてその断面が左右対称となるように設けることが好ましい。より具体的には、図6に示すように、二本の絶縁電線3の接する部分pを通って絶縁電線3の配列方向に直交する線を対称軸yとして線対称となるように、第一の金属樹脂テープが絶縁電線3に縦添えで巻かれる。そして、開き巻きにより第1の金属樹脂テープ5が開かれた領域kは、対称軸yに線対称に設けられる。
このように、第1の金属樹脂テープ5を、絶縁電線3の接する部分を対して対称となるように縦添えすることにより、シールドケーブルの伝送特性の悪化を防ぐことができる。上記の対称な位置からずれた位置に第1の金属樹脂テープ5が配置されると、伝送特性にばらつきが生じるため、対称配置することが好ましい。
図7は、図5の実施形態における第1及び第2の金属樹脂テープの積層構成を示す図である。第1の金属樹脂テープ5は、PETやPE等の樹脂基材5aと、アルミニウムや銅などの箔または蒸着膜による金属層5bとが積層されて形成されている。同様に第2の金属樹脂テープは、樹脂基材6aと金属層6bとが積層されて形成されている。
第1の金属樹脂テープ5は、絶縁電線の絶縁体2の表面に縦添えによる開き巻きで巻き付けられる。このときに第1の金属樹脂テープ5の金属層5bが外側に位置するように配置される。
そして第1の金属樹脂テープ5の上に、第2の金属樹脂テープ6がその一部を重ね合わせて螺旋状に重ね巻きされる。第2の金属樹脂テープ6は、金属層6bが内側に位置するように配置される。これにより、第1及び第2の金属樹脂テープ5,6は、その金属層5b,6bが互いに向き合わされて配置され、第2の金属樹脂テープ6の金属層6bと、第1の金属樹脂テープ5の金属層5bとが接触する。この構成により、縦添えで開き巻きされた第1の金属樹脂テープ5の金属層5bと、重ね巻きされた第2の金属樹脂テープ6の金属層6bとが電気的に接続されたシールド層が形成される。第二の金属樹脂テープ6の金属層6bはドレイン線とも接する。
上記の構成により、第1および第2の金属樹脂テープ5,6をシールド層として用いた二重シールド電線を構成することができ、シールドケーブルの伝送特性を改善させることができる。また、第1の金属樹脂テープ5を縦添えの開き巻きで巻き付けているため、2層の金属樹脂テープ5、6を巻き付けた構成であるにもかかわらず、その柔軟性が確保され、曲げ易く利便性の高いシールドケーブルを得ることができる。また、ドレイン線とシールド層との接触が確保できる。本実施形態のシールドケーブルを複数集合させて、例えば1対から24対程度の多芯ケーブルとして構成することもできる。
(実施例2)
図5に記載した構成により、試作品を作成し、伝送特性を確認した。
試作品の構成は、AWG26相当の信号導体1を2心平行に配列させ、その周囲に発泡PEによる絶縁体2を設けて、直径1.2mmの絶縁電線3を作成した。第1の金属樹脂テープ5は、アルミニウム箔とPETとの積層構成により形成し、厚さ15μm、幅4mmとした。また、第2の金属樹脂テープ6は、同じくアルミニウム箔とPETとの積層構成により形成し、厚さ15μm、幅10mmとした。
そして上記絶縁電線3の周囲に、第1の金属樹脂テープ5をその金属層を外側にして縦添えによる開き巻きで巻き付け、さらにその周囲に第2の金属樹脂テープ6を螺旋状に重ね巻きで巻き付けた。第2の金属樹脂テープ6は、30%重なりで螺旋状に重ね巻きにした。また、ドレイン線4は、第1の金属樹脂テープ5と第2の金属樹脂テープ6との間に縦添えした。最外層の樹脂テープ7は、厚さ12μmで幅9mmのPETテープを使用し、巻き付けピッチは14mmとした。樹脂テープ7は30%重なりで螺旋状に重ね巻きにした。
上記の構成で、第1の金属樹脂テープ5の幅を変え、占有率を変化させて3種類の試作品を作成した。具体的には、第1の金属樹脂テープ5の幅を、4mm、5mm、6mmの3種類とした。第1の金属樹脂テープ5の幅が4mmのときには占有率は65%であり、幅が5mmのときには占有率は81%であり、幅が6mmのときには占有率は97%となる。このときに、占有率65%の試作品は、第1の金属樹脂テープ5が、2本の絶縁電線3間を中心としてその断面が左右対称となるように設けられた。また占有率81%の試作品は、上記左右対称の形態から大きくずれた状態で第1の金属樹脂テープ5が配置された。さらに占有率97%の試作品は、上記左右対称の形態からわずかにずれた状態で第1の金属樹脂テープ5が配置された。
図8から図10は、上記実施例2における伝送特性の検証結果を示す図で、信号の挿入損失の周波数特性を示している。図では対ごとの挿入損失を示す。図8は、第1の金属樹脂テープ5が占有率65%で左右対称に配置された試作品の伝送特性であり、図9は、第1の金属樹脂テープ5が占有率81%で作用対称から大きくずれた状態に配置された試作品の伝送特性であり、図10は、第1の金属樹脂テープ5が占有率97%で左右対称からわずかにずれた状態で配置された試作品の伝送特性を示す。各試作品においては、3点のシールドケーブルを試作し、それぞれについて信号減衰量の周波数特性を測定することで、その伝送特性とばらつきを確認した。
図8〜図10に示すように、それぞれの試作品においては、周波数方向の信号減衰はなだらかで、急激に信号が落ち込むサックアウト現象は生じていない。そして図8に示す第1の金属樹脂テープ5を左右対称に設けた試作品では、複数の試作品間にて特性のばらつきが少なく安定した高周波伝送特性を示した。
一方、図9に示すように、第1の金属樹脂テープ5が左右対称から大きくずれた試作品では、各試作品間のばらつきが見られた。また図10に示すように、第1の金属樹脂テープ5が左右対称からわずかにずれた試作品においても、ばらつきの程度は図7の伝送特性のばらつきよりも小さいが、各試作品間に伝送特性のばらつきが見たられた。
本実施例では、重ね巻きされた第2の金属樹脂テープ6の金属層6bが、縦添えされた第1の金属樹脂テープ5の金属層5bに接触して導通しているため、シールド電流が絶縁電線3と平行に直線状に流れる。これにより、第2の金属樹脂テープ6の巻きピッチによる信号減衰の影響がないため、サックアウト現象の発生を無くすことができると考えられる。
そして、第1の金属樹脂テープ5は、本の絶縁電線3間を中心としてその断面が左右対称となるように設けられていることが好ましい。上記左右対称の状態からずれると、伝送特性にばらつきが生じる。例えば、シールドケーブルを複数本集合させて多心ケーブルを作成した場合、ケーブル内のシールドケーブル間で、伝送特性のばらつきが生じて好ましくない。つまり本実施形態では、第1の金属樹脂テープ5の対称性が重要となる。
上記の構成により、シールドケーブルの伝送特性を改善させることができる。また、第1の金属樹脂テープ5を縦添えの開き巻きで巻き付けているため、2層の金属樹脂テープ5、6を巻き付けた構成であるにもかかわらず、ドレイン線とシールド層との電気的接続が確保される。さらに、その柔軟性が確保され、曲げ易く利便性の高いシールドケーブルを得ることができる。
1…信号導体、2…絶縁体、3…絶縁電線、4…ドレイン線、5…第1の金属樹脂テープ、5a…樹脂基材、5b…金属層、6…第2の金属樹脂テープ、6a…樹脂基材、6b…金属層、7…樹脂テープ、8…金属樹脂テープ、10…シールドケーブル。

Claims (6)

  1. 2本の絶縁電線を、金属層と樹脂層が積層された構成をそれぞれ有する第1及び第2の金属樹脂テープで覆ったシールドケーブルであって、
    前記第1の金属樹脂テープは、前記2本の絶縁電線の周囲を、前記第1の金属樹脂テープが重なり合わない開き巻きで覆い、
    前記第2の金属樹脂テープは、前記第1の金属樹脂テープの周囲に螺旋状に重ね巻きされてなり、
    前記第1及び第2の金属樹脂テープは、それぞれの金属層が互いに向き合わされて接触し、前記第1の金属樹脂テープの金属層と前記第2の金属樹脂テープの金属層とがケーブルの長さ方向に繋がれている、シールドケーブル。
  2. 前記第1の金属樹脂テープは、螺旋巻きで開き巻きされている、請求項1に記載のシールケーブル。
  3. 前記第1の金属樹脂テープと、前記第2の金属樹脂テープの螺旋巻きの巻き方向が同じである、請求項2に記載のシールドケーブル。
  4. 前記第1の金属樹脂テープは、縦添えで設けられ、前記第1の金属樹脂テープの幅方向の端部が互いに重なり合わないように開き巻きされている、請求項1に記載のシールドケーブル。
  5. 前記2本の絶縁電線の長さ方向に垂直な断面において、前記第1の金属樹脂テープは、該2本の絶縁電線の接触部分を通り、該2本の絶縁電線の配列方向に直交する線を対称軸として線対称となるように配設される、請求項4に記載のシールドケーブル。
  6. 前記2本の絶縁電線がその周囲方向に全て覆われたときを占有率100%とするとき、前記第1の金属樹脂テープは、前記2本の絶縁電線を50〜100%の占有率で周囲方向に覆うように縦添えされている、請求項4に記載のシールドケーブル。
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