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JP2016188601A - 燃料供給装置 - Google Patents

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JP2016188601A
JP2016188601A JP2015068906A JP2015068906A JP2016188601A JP 2016188601 A JP2016188601 A JP 2016188601A JP 2015068906 A JP2015068906 A JP 2015068906A JP 2015068906 A JP2015068906 A JP 2015068906A JP 2016188601 A JP2016188601 A JP 2016188601A
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賢二 船井
Kenji Funai
賢二 船井
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Denso Corp
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Abstract

【課題】 調量弁装置の開閉動作等の故障が発生しても、リンプホームモードで車両の退避走行が可能となるフォールトトレラント機構を備えた燃料供給装置を提供する。【解決手段】 燃料供給源70から調量弁装置40を経由して加圧室12に至る燃料吸入経路の他に、吸入逆止弁50を経由する燃料吸入経路を有する。このため、調量弁装置40のロータリバルブ41が閉固着する故障が発生し、調量弁装置40を経由する燃料吸入経路が遮断されても、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に燃料を吸入することが可能になる。また、コモンレール81と燃料タンク71とを接続する放出通路86の途中にリリーフ逆止弁87を有する。このため、コモンレール圧が異常高圧化しても、コモンレール81内の異常高圧燃料をリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出することにより、コモンレール圧を低下させることが可能になる。【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料供給装置に関する。
従来から、例えば車両のエンジンに燃料を供給する燃料供給装置が知られている(特許文献1参照)。一般にこの種の燃料供給装置は、燃料供給源の燃料を開閉動作を行う調量弁装置を経由して加圧室に吸入し、この加圧室に吸入した燃料をプランジャの往復移動により圧縮してコモンレールに吐出し、コモンレール内に貯留した高圧燃料をインジェクタによって内燃機関のシリンダ内に直接噴射する構造となっている。
特開2012−167697号公報
従来技術では、調量弁装置の開閉動作やプランジャの往復移動が停止する等の故障が発生すると、コモンレールへの燃料供給が停止し、更に内燃機関の動作も停止するため、車両の走行が急停止するなどの不都合を招くおそれがあった。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、調量弁装置の開閉動作やプランジャの往復移動が停止する等の故障が発生しても、リンプホーム(limp-home)モードで車両の退避走行が可能となるフォールトトレラント(fault-tolerant)機構を備えた燃料供給装置を提供することにある。
本発明の燃料供給装置は、ハウジングと、調量弁装置と、吸入逆止弁と、プランジャと、吐出逆止弁とを備え、燃料供給源から供給される燃料を加圧して燃料貯留部に吐出する。
ハウジングは、加圧室を有する。この加圧室と燃料供給源とは第1吸入通路により接続されており、この第1吸入通路に導かれて、燃料供給源から加圧室に燃料が供給される。第1吸入通路の途中には調量弁装置が設置され、燃料の流れを制御する。
燃料供給源と加圧室または燃料貯留部とは第2吸入通路により接続されており、この第2吸入通路に導かれて、燃料供給源から加圧室または燃料貯留部に燃料が供給される。第2吸入通路の途中には吸入逆止弁が設置され、燃料供給源から加圧室または燃料貯留部に供給される燃料の流れを制御する。
プランジャは、ハウジングに形成されたシリンダ内に収容され、その往復移動により加圧室内の燃料を圧縮する。加圧室と燃料貯留部とは吐出通路により接続されており、この吐出通路に導かれて、加圧室内で圧縮された燃料が燃料貯留部に吐出される。吐出通路の途中には吐出逆止弁が設置され、加圧室から吐出される燃料の流れを制御する。燃料貯留部は、加圧室内から吐出通路及び吐出逆止弁を経由して吐出される燃料を貯留する。
好ましくは、燃料貯留部に貯留された燃料の圧力を検出する圧力検出部を備える。
また、燃料供給源と貯留部とを接続する放出通路の途中に、燃料貯留部に貯留された燃料の圧力が所定値を超える場合に燃料貯留部から燃料供給源に放出される燃料の流れを制御するリリーフ逆止弁を備えることが好適である。
更に、貯留部内の燃料の圧力が所定値を超える場合に、前記燃料供給源の燃料供給作動を制御する制御部を、圧力検出部に接続して備えることが好適である。
本発明の第1実施形態による燃料供給装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第1実施形態による燃料供給装置に故障モード(I)の故障が発生した場合の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による燃料供給装置に故障モード(I)の故障が発生した場合の作動を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態による燃料供給装置に故障モード(II)の故障が発生した場合の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による燃料供給装置に故障モード(II)の故障が発生した場合の作動を説明するための模式図である。 本発明の第1実施形態による燃料供給装置に故障モード(III)の故障が発生した場合の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による燃料供給装置に故障モード(III)の故障が発生した場合の作動を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態による燃料供給装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第2実施形態による燃料供給装置に故障モード(I)の故障が発生した場合の作動を説明するためのタイムチャートである。 本発明の第2実施形態による燃料供給装置に故障モード(I)の故障が発生した場合の作動を説明するための模式図である。 本発明の第3実施形態による燃料供給装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第4実施形態による燃料供給装置の概略構成を示す模式図である。
以下、本発明の複数の実施形態について図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料供給装置を、図1に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態による燃料供給装置1は、高圧ポンプ10、高圧ポンプ10に低圧の燃料を供給する燃料供給源70、及び高圧ポンプ10から圧送されてくる高圧の燃料を貯留して噴射手段に供給するコモンレール部80等を備えている。
先ず、高圧ポンプ10について説明する。
高圧ポンプ10は、外郭を構成するポンプハウジング11、並びにポンプハウジング11にそれぞれ形成される燃料吸入部20、プランジャ部30、調量弁装置40、吸入逆止弁50、及び燃料吐出部60等を備えている。ここで、ポンプハウジング11が特許請求の範囲に記載の「ハウジング」に対応する。なお、後述する第2実施形態及び第4実施形態においても同様である。
ポンプハウジング11には、加圧室12が設置されている。この加圧室12は、燃料供給源70から燃料吸入部20を経由して吸入される低圧燃料を圧縮し、その圧縮した高圧燃料を燃料吐出部60を経由してコモンレール部80に吐出する。
燃料吸入部20は、燃料供給部70に接続する吸入通路21、23と、加圧室12に接続する吸入通路22、24とを備えている。吸入通路21と吸入通路22との間には、調量弁装置40が設置されている。また、吸入通路23と吸入通路24との間には、吸入逆止弁50が設置されている。
このため、燃料吸入部20は、燃料供給源70から吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して加圧室12に至る経路と、燃料供給源70から吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に至る経路との2系統の燃料吸入経路を有する。
ここで、吸入通路21、22が特許請求の範囲に記載の「第1吸入通路」に対応する。なお、後述する第2実施形態及び第4実施形態においても同様である。また、吸入通路23、24が特許請求の範囲に記載の「第2吸入通路」に対応する。なお、後述する第2実施形態及び第3実施形態においても同様である。
調量弁装置40は、ロータリバルブ41、ステッピングモータ42、シャフト43、連結部材44、ぜんまいバネ45、シール部材46、ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)47等を備えている。
ロータリバルブ41は、円柱形状をなし、ポンプハウジング11に形成された筒状の収容穴に回転摺動可能に収容される。この収容穴は、燃料吸入部20の吸入通路21、22と接続されている。ロータリバルブ41は、ポンプハウジング11の内壁面に摺接する第1端面411と、その反対側の第2端面412と、ポンプハウジング11の内壁面にその所定部分が摺接する側面413とを有する。このため、ロータリバルブ41が回転すると、その第1端面411及び側面413の所定部分がポンプハウジング11の内壁面に対して摺動する。
更に、ロータリバルブ41には、第1端面411及び側面413の一部を半円柱形状に切り取った切り欠き部414が設けられている。このため、ロータリバルブ41の回転に伴い、吸入通路21の端部が、ロータリバルブ41の第1端面411に当接したり、或いはまた、第1端面411の一部が切り取られた切り欠き部414と連通したりする。同様に、ロータリバルブ41の回転に伴い、吸入通路22の端部が、ロータリバルブ41の側面413に当接したり、或いはまた、側面413の一部が切り取られた切り欠き部414と連通したりする。
ロータリバルブ41の第2端面412側は、連結部材44を介して、ステッピングモータ42のシャフト43に連結されている。このステッピングモータ42は、ステッピングモータ42に駆動制御信号を送る駆動回路部としてのECU47に配線48により接続されている。
ステッピングモータ42は、ECU47からの駆動制御信号を受けてシャフト43を所定の角度だけ回転させ、更にECU47からの次の駆動制御信号を受けてシャフト43を更に所定の角度だけ回転させるというステップ動作を断続的に行う。このステッピングモータ42のステップ動作により、シャフト43に連結部材44を介して連結されるロータリバルブ41の高精度な回転位置決めが反復して行われる。
ステッピングモータ42のシャフト43の周囲には、フェールセーフ機構を構成するぜんまいバネ45が設置されている。即ち、ぜんまいバネ45は、例えばステッピングモータ42に駆動電源が供給されなくなる等、何らかの原因によりステッピングモータ42に障害が発生した場合に、シャフト43の回転を所定の回転位置で停止させるフェールセーフ機能を果たす。
ロータリバルブ41の第2端面412側の側面413の周囲には、例えばOリング等からなるシール部材46が取り付けられている。このシール部材46は、ポンプハウジング11の内壁面に接着して、ロータリバルブ41の側面413とポンプハウジング11の内壁面との摺接面からステッピングモータ42側に燃料が漏れることを防止する。
調量弁装置40は、上記のような構成となっているため、燃料吸入部20の吸入通路21、22がそれぞれにロータリバルブ41の切り欠き部414と連通すると、開状態となる。その結果、燃料供給源70から吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して加圧室12に燃料が吸入される。
他方、燃料吸入部20の吸入通路21、22の端部がそれぞれロータリバルブ41の第1端面411及び側面413に当接すると、調量弁装置40は閉状態となる。その結果、燃料供給源70から吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して加圧室12に向かう燃料の吸入は停止される。
なお、図1は、調量弁装置40の開状態を、即ち燃料吸入部20の吸入通路21、22がロータリバルブ41の切り欠き部414を介して連通している状態を示している。
吸入逆止弁50は、弁と弁座とスプリングとを備えており、弁座側の一端が吸入通路23に接続され、スプリング側の他端が吸入通路24に接続されている。このため、一方の吸入通路23側からは弁を弁座から解離しようとする燃料供給源70から供給される燃料の圧力(以下、「フィード圧」という。)が働き、他方の吸入通路24側からは弁を弁座に押圧しようとする加圧室12内の燃料の圧力(以下、「加圧室圧」という。)とスプリングの付勢力とが働く。
従って、加圧室圧が低いときは、フィード圧が加圧室圧とスプリングの付勢力の圧力換算値(以下、「スプリング力」という。)との和に勝り、吸入逆止弁50は弁が弁座から解離して開状態となる。その結果、燃料供給源70から吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に燃料が吸入される。
他方、加圧室圧が高くなり、加圧室圧とスプリング力との和がフィード圧に勝ると、吸入逆止弁50は弁が弁座に押圧されて閉状態となる。その結果、燃料供給源70から燃料吸入部20の吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に向かう燃料の吸入は停止される。
プランジャ部30は、プランジャ31、カム32、スプリング33等を備えている。
プランジャ31は、ポンプハウジング11に形成されたシリンダ内に往復移動可能に収容されている。プランジャ31の上端側のシリンダ部が加圧室12を形成する。プランジャ31の下端側には、カム32が設置されている。また、このカム32にプランジャ31の下端部を当接させるように付勢するスプリング33が設置されている。
このため、プランジャ部30は、カム32の回転によりプランジャ31がシリンダ内を往復移動し、加圧室12に吸入された燃料を圧縮する等の働きをする。
燃料吐出部60は、加圧室12に接続されている吐出通路61と、コモンレール部80に接続されている吐出通路62と、これら吐出通路61と吐出通路62との間に設置されている吐出逆止弁63とを備えている。吐出逆止弁63は、弁と弁座とスプリングとを備えており、弁座側の一端が吐出通路61に接続され、スプリング側の他端が吐出通路62に接続されている。
このため、加圧室12内の燃料の圧力が高くなり、コモンレール部80側からの圧力とスプリング力との和に勝ると、吐出逆止弁63は弁が弁座から解離して開状態となる。その結果、加圧室12から吐出通路61、62及び吐出逆止弁63を経由してコモンレール部80側に燃料が吐出される。
他方、加圧室圧が低下すると、コモンレール部80側からの圧力とスプリング力との和により、吐出逆止弁63は弁が弁座に押圧されて閉状態となる。その結果、加圧室12からコモンレール部80側への燃料の吐出が停止される。
次に、燃料供給源70について説明する。
燃料供給源70は、燃料を貯留する燃料タンク71と、燃料タンク71内の燃料を汲み上げる低圧フィードポンプ72と、低圧フィードポンプ72により汲み上げられた所定のフィード圧の燃料を送る低圧燃料通路73とを備えている。低圧燃料通路73は、一端が低圧フィードポンプ72に接続され、他端が2つに分岐して、一方が燃料吸入部20の吸入通路21に連結し、他方が燃料吸入部20の吸入通路23に連結している。
このため、燃料タンク71内の燃料は、低圧フィードポンプ72によって汲み出され、低圧燃料通路73から燃料吸入部20の吸入通路21、22及び調量弁装置40を通る経路と、低圧燃料通路73から燃料吸入部20の吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を通る経路との2系統の燃料吸入経路を通って、加圧室12に吸入される。
次に、コモンレール部80について説明する。
コモンレール部80は、高圧燃料を貯留する燃料貯留部としてのコモンレール81と、コモンレール81と吐出通路62とを連結する高圧燃料通路82と、コモンレール81に接続された直接噴射手段である例えば4個のインジェクタ83とを備えている。
このため、加圧室12において圧縮された高圧燃料は、吐出通路61、62及び吐出逆止弁63並びに高圧燃料通路82を経由してコモンレール81に圧送され貯留される。そして、コモンレール81内に貯留された高圧燃料は、インジェクタ83によって内燃機関のシリンダ内に直接噴射される。
また、コモンレール部80は、コモンレール81内の燃料の圧力(以下、「コモンレール圧」という。)を検知する圧力検知部としての圧力センサー84を備えている。この圧力センサー84は、ECU47に配線85により接続されている。このため、コモンレール圧が所定の適正範囲を逸脱した場合には、その情報は直ちにECU47に送られる。
また、コモンレール部80のコモンレール81と燃料供給源70の燃料タンク71とを接続する放出通路86の途中には、リリーフ逆止弁87が設置されている。このリリーフ逆止弁87は、弁と弁座とスプリングとを備えており、弁座側の一端がコモンレール81側の放出通路86に接続され、スプリング側の他端が燃料タンク71側の放出通路86に接続されている。
このため、コモンレール圧が所定の適正範囲に収まっている場合、フィード圧とリリーフ逆止弁87のスプリング力との和がコモンレール圧に勝り、リリーフ逆止弁87は弁が弁座に押圧されて閉状態を維持する。
他方、コモンレール圧が所定の適正範囲を超えて異常高圧になった場合、コモンレール圧がフィード圧とスプリング力との和に勝り、リリーフ逆止弁87は弁が弁座から解離して開状態となる。その結果、コモンレール81内の異常高圧燃料が、リリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出される。このようにしてコモンレール圧が低下し、異常高圧状態が解消される。
次に、本実施形態による燃料供給装置1の正常時の作動について、図2、図4、図6を参照しつつ説明する。
図2、図4、図6のタイムチャートの破線は、全て燃料供給装置1が正常に作動している状態を示している。但し、実際には、プランジャ31の挙動と吸入逆止弁50や吐出逆止弁63の開閉動作との間には一定のタイムラグが生じたり、加圧室圧は連続的に変化したり、コモンレール圧は変動したりするが、ここでは説明の便宜上、これらを無視して模式的に図示している。
以下、燃料供給装置1の正常時の作動を調量行程A、吐出行程B、吸入行程Cに分けて説明する。
(1)調量行程A
燃料供給源70は、低圧フィードポンプ72が燃料タンク71内の燃料を汲み上げて、例えばフィード圧0.4MPaで低圧燃料通路73に送り出している。
調量弁装置40は、ECU47からの駆動制御信号を受けてステッピングモータ42の回転角度がゼロ度となっている。即ち、ステッピングモータ42はシャフト43を回転させない。このため、シャフト43に連結部材44を介して連結されたロータリバルブ41は所定の回転位置に停止している。このとき、ロータリバルブ41はその切り欠き部414が燃料吸入部20の吸入通路21、22と連通するため、調量弁装置40は開状態となる。
また、吸入逆止弁50は、加圧室圧とスプリング力との和が燃料供給源70からのフィード圧0.4MPaに勝り、弁が弁座に押圧されて閉状態となる。
このような状態において、プランジャ31がカム32の回転により下死点aから上死点bに向かって上昇すると、加圧室12の容積が減少し、加圧室12内の燃料が圧縮されて、加圧室圧が0.4MPaより高くなる。この状態の加圧室圧を「0.4MPa強」と呼ぶことにする。
このとき、吐出逆止弁63には、次式で表される閉弁力が作用している。
(π/4)×(吐出逆止弁のシート径)2×(コモンレール圧)+(スプリング力)
このため、吐出逆止弁63が開状態となるためには、次式で表される開弁力が上記の閉弁力より大きくなる必要がある。
(π/4)×(吐出逆止弁のシート径)2×(加圧室圧)
ここで、スペック例としてコモンレール圧30MPa、吸入逆止弁63のシート径Φ=5mm、スプリングの付勢力5Nと仮定した場合、加圧室圧が30.25MPa以上に高くならないと、吐出逆止弁63の開弁力が閉弁力に勝ることはない。
従って、加圧室圧が0.4MPa強となっても30.25MPa以上にまで高くならない段階では、吐出逆止弁63は閉状態を維持し、加圧室12内の燃料がコモンレール81に吐出されることはない。
その結果、調量弁装置40の開状態及び吸入逆止弁50の閉状態において、加圧室圧が0.4MPa強となった加圧室12内の燃料は、燃料吸入部20の吸入通路21、22及びロータリバルブ41の切り欠き部414を経由して、燃料供給源70の燃料タンク71に流出する。即ち、加圧室12内の燃料は、開状態の調量弁装置40を経由して燃料タンク71に流出する。
(2)吐出行程B
上述した調量行程Aが進行する所定の時点において、ECU44からの駆動制御信号を受けたステッピングモータ42は、回転角度を180度にする。即ち、ステッピングモータ42はシャフト43を180度回転させる。このため、シャフト43に連結されたロータリバルブ41は、調量行程Aにおける回転位置から180度回転した回転位置に停止する。
このとき、吸入通路21の端部がロータリバルブ41の第1端面411に当接し、且つ吸入通路22がロータリバルブ41の側面413に当接する。即ち、燃料吸入部20の吸入通路21、22の端部がそれぞれロータリバルブ41の第1端面411及び側面413に当接する。このようにしてロータリバルブ41の切り欠き部414と燃料吸入部20の吸入通路21、22とのそれぞれの連通が遮断され、調量弁装置40は閉状態となる。
なお、吸入逆止弁50は、閉状態を維持している。
このような調量弁装置40及び吸入逆止弁50の閉状態において、プランジャ31は引き続き上死点bに向かって上昇する。このとき、調量弁装置40が閉状態であるため加圧室12内の燃料が燃料供給源70側に流出できず、加圧室12内の燃料は更に圧縮され、加圧室圧は更に高くなる。
このようにして加圧室圧が30.25MPa以上に達すると、吐出逆止弁63は開弁力が閉弁力に勝り開状態となる。その結果、加圧室12内で30.25MPa以上に圧縮された高圧燃料は、燃料吐出部60の吐出通路61、62及び吐出逆止弁63を経由してコモンレール部80のコモンレール81に吐出される。このときのコモンレール圧は30MPaとなる。
(3)吸入行程C
プランジャ31が上死点bに達した後、カム32の回転により上死点bから下死点aに向かって下降すると、加圧室12の容積が増大し、加圧室圧が低下する。そして、加圧室圧が30.25MPaよりも低くなると、吐出逆止弁63は閉弁力が開弁力に勝り閉状態となる。その結果、加圧室12内の高圧燃料のコモンレール81への吐出が停止する。
また、プランジャ31の上死点bからの下降と同時に、ECU44からの駆動制御信号を受けたステッピングモータ42は、回転角度を再びゼロ度にする。即ち、ステッピングモータ42はシャフト43を更に180度回転させる。このため、シャフト43に連結されたロータリバルブ41は、吐出行程Bにおける回転位置から180度回転して調量行程Aにおける回転位置と同じ回転位置になる。
このとき、調量弁装置40は、ロータリバルブ41の切り欠き部414と燃料吸入部20の吸入通路21、22とが連通して、再び開状態となる。
更に、加圧室圧が0.4MPaよりも低下し、燃料供給源70からのフィード圧0.4MPaが加圧室圧と吸入逆止弁50のスプリング力との和に勝ると、吸入逆止弁50も開状態となる。
このような調量弁装置40及び吸入逆止弁50の開状態において、加圧室圧が更に低下すると、燃料供給源70の低圧フィードポンプ72によって低圧燃料通路73に送り出されたフィード圧0.4MPaの低圧燃料は、一方で燃料吸入部20の吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由し、他方で燃料吸入部20の吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して、加圧室12に吸入される。
即ち、燃料供給源70からの燃料は、開状態の調量弁装置40及び吸入逆止弁50を経由する2系統の燃料吸入経路を通って、加圧室12に吸入される。
なお、上述した調量行程A、吐出行程B、吸入行程Cの全過程を通して、リリーフ逆止弁87は閉状態となっている。
次に、本実施形態による燃料供給装置1に故障が発生した場合の作動について、図2〜図7を参照しつつ説明する。
何らかの原因によりステッピングモータ42に障害が発生しフェールセーフ機構が働いた場合、例えば調量弁装置40の開状態においてロータリバルブ41の回転が停止し固着状態になることがある。また、ロータリバルブ41の側面413とポンプハウジング11の内壁面との間に異物等が入り込んだ場合、調量弁装置40が開状態であるか閉状態であるかを問わず、ロータリバルブ41の回転が停止して固着状態になることがある。更にまた、カム32の回転に障害が発生したり、プランジャ31の側壁面とシリンダの内壁面との間に異物等が入り込んだりした場合、プランジャ31の往復移動が停止して固着状態になることがある。
以下、調量弁装置40の閉状態においてロータリバルブ41が固着する(以下、「ロータリバルブ41が閉固着する」という。)故障モード(I)、調量弁装置40が開状態においてロータリバルブ41が固着する(以下、「ロータリバルブ41が開固着する」という。)故障モード(II)、プランジャ31が固着する故障モード(III)の各場合に分けて説明する。なお、図2、図4、図6に示すタイムチャートの実線は、それぞれ故障モード(I)、(II)、(III)の故障が発生した場合を示している。
(1)故障モード(I)の場合
図2のタイムチャートに示すように、例えば吐出行程Bにおいて故障が発生しロータリバルブ41が閉固着した場合、その直後においては、燃料供給装置1は正常時の作動を継続する。即ち、引き続きプランジャ31は上昇し、加圧室12内で圧縮された高圧燃料は吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。
しかし、次の吸入行程Cに移行すると、ロータリバルブ41が閉固着しているため、プランジャ31の下降により加圧室12の容積が増加し、加圧室圧が低下しても、燃料供給源70から調量弁装置40を経由する燃料の吸入は遮断されている。但し、この場合、加圧室圧が0.4MPaよりも低下し、吸入逆止弁50が開状態となると、燃料供給源70から送り出されたフィード圧0.4MPaの低圧燃料は、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される。
また、次の調量行程Aに移行しプランジャ31が上昇しても、ロータリバルブ41が閉固着したままであるため、加圧室12内の燃料が調量弁装置40を経由して燃料供給源70側に流出することはない。また、吸入逆止弁50は通常通り閉状態となる。このため、加圧室圧は、調量行程Aの段階から高くなり始め、吐出行程Bに移行すると正常時の30.25MPaを超えて50MPa以上に達する。なお、吐出逆止弁63は、加圧室圧が30.25MPa以上になった段階で開状態となる。
このため、図3(a)の矢印に示すように、プランジャ31の上昇に伴い、加圧室圧が50MPa以上に達した加圧室12内の異常高圧燃料が、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。このようにして、コモンレール圧が50MPaの異常高圧燃料がコモンレール81内に貯留される。
このままでは、コモンレール圧50MPaの異常高圧状態が継続し、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射に異常が発生するなどの不都合を招くおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置1においては、次に述べるようなフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば40MPaにまで高くなると、圧力センサー84がコモンレール圧の異常高圧化を検出し、異常検出信号をECU47に送信する。この圧力センサー84からの異常検出信号を受信したECU47は、例えばワーニングランプを点灯させる等の方法で運転手に警告を告知する。
ところで、リリーフ逆止弁87には、次式で表される閉弁力が作用している。
(π/4)×(リリーフ逆止弁のシート径)2×(フィード圧)+(スプリング力)
このため、リリーフ逆止弁87が開状態となるためには、次式で表される開弁力が上記の閉弁力より大きくなる必要がある。
(π/4)×(リリーフ逆止弁のシート径)2×(コモンレール圧)
ここで、スペック例としてフィード圧0.4MPa、リリーフ逆止弁87のシート径Φ=1.2mm、スプリングの付勢力56.5Nと仮定した場合、コモンレール圧が50MPaになると、リリーフ逆止弁87の開弁力が閉弁力に勝る状態となる。
従って、図3のタイムチャートに示すように、コモンレール圧が50MPaにまで高くなると、リリーフ逆止弁87が開状態となる。このため、コモンレール圧50MPaのコモンレール81内の異常高圧燃料は、放出通路86及びリリーフ逆止弁87を経由して燃料供給源70の燃料タンク71に放出される。そして、このコモンレール81から燃料タンク71への燃料放出により、コモンレール圧は低下して50MPaより低くなる。
このようにして、図3(b)の矢印に示すように、プランジャ31の上昇により加圧室圧50MPa以上に達した加圧室12内の異常高圧燃料は、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出され、コモンレール圧50MPaの異常高圧燃料が貯留されることになるものの、コモンレール81内の異常高圧燃料はリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出される。従って、コモンレール圧は50MPaより低くなる。
但し、コモンレール圧が50MPaから45MPaにまで低下すると、リリーフ逆止弁87は閉弁力が開弁力に勝り再び閉状態となる。このため、次の吐出行程Bにおいては、再び図3(a)の矢印に示すような異常高圧燃料の流れになり、コモンレール圧が再び50MPaの異常高圧となる。
コモンレール圧が再び50MPaの異常高圧となると、リリーフ逆止弁87が再び開状態となり、図5(b)の矢印に示すように、コモンレール81内の異常高圧燃料が放リリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出されるため、コモンレール圧は低下して50MPaより低くなる。
このようにして、図2のタイムチャートに示すように、リリーフ逆止弁87は周期的に開閉動作を繰り返し、コモンレール圧は45MPa〜50MPa間で変動しつつ維持されることになる。
従って、コモンレール圧が45MPa〜50MPa間に維持される状態を利用して、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射に異常が発生することを抑制しつつ、車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)故障モード(II)の場合
図4のタイムチャートに示すように、例えば吸入行程Cにおいて故障が発生しロータリバルブ41が開固着した場合、その直後においては、燃料供給装置1は正常時の作動を継続する。即ち、引き続きプランジャ31は下降し、燃料供給源70から送り出された低圧燃料は開状態の調量弁装置40及び吸入逆止弁50をそれぞれに経由する2系統の燃料吸入経路を通って加圧室12に吸入される。次の調量行程Aに移行しても、燃料供給装置1は正常時と同様に作動する。
しかし、次の吐出行程Bに移行し、図5(a)の矢印に示すように、プランジャ31が上昇して加圧室圧が0.4MPa強となっても、ロータリバルブ41が開固着したままであるため、加圧室12内の燃料は依然として開状態の調量弁装置40を経由し燃料供給源70側に流出するのみである。そして、このレベルの加圧室圧では、吐出逆止弁63は閉状態を維持したままであるため、加圧室12内の燃料がコモンレール81に吐出されることはない。
コモンレール部80では、加圧室12からの高圧燃料の吐出がないままの状態で、コモンレール81内に貯留された燃料をインジェクタ83から内燃機関のシリンダ内に継続して直接噴射する。このため、図4のタイムチャートに示すように、コモンレール圧は正常作動時の30MPaから次第に低下していく。
このままでは、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射が停止し、車両の走行が急停止するなどの不都合を招くおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置1においては、次に述べるようなフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば20MPaにまで低下すると、圧力センサー84がコモンレール圧の異常低圧化を検出し、異常検出信号をECU47に送信する。この圧力センサー84からの異常検出信号を受信したECU47は、例えばワーニングランプを点灯させる等の方法で運転手に警告を告知する。
また、図4のタイムチャートに示すように、コモンレール圧が例えば0.145MPaにまで異常低下すると、プランジャ31の上昇下降に関わらず、加圧室圧が0.4MPa強であるため、吐出逆止弁63はそのスプリング力が働いても開弁力が閉弁力に勝るようになる。即ち、閉状態となっていた吐出逆止弁63が開状態となる。
吐出逆止弁63が開状態となると、加圧室圧0.4MPa強の加圧室12内の燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール圧0.145MPaのコモンレール81に吐出される。この加圧室12からコモンレール81への燃料吐出により、加圧室圧が0.4MPaより低くなると、燃料供給源70からフィード圧0.4MPaで供給される低圧燃料が、調量弁装置40及び吸入逆止弁50を経由する2系統の燃料吸入経路を通って加圧室12に吸入される。
このようにして、図5(b)の矢印に示すように、燃料供給源70からフィード圧0.4MPaで供給される低圧燃料が調量弁装置40及び吸入逆止弁50の2系統の燃料吸入経路を通って加圧室12に吸入され、加圧室12内の燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出されることになる。
但し、加圧室圧0.4MPa強の加圧室12内の燃料がコモンレール81に吐出され、コモンレール圧が0.145MPaから0.4MPaにまで回復すると、吐出逆止弁63は閉弁力が開弁力に勝って再び閉状態となる。
この状態においてコモンレール81内に貯留された燃料をインジェクタ83から内燃機関のシリンダ内に継続して直接噴射すると、コモンレール圧は0.4MPaから再び低下する。コモンレール圧が再び0.145MPaにまで低下すると、吐出逆止弁63が開状態となり、加圧室圧0.4MPa強の加圧室12から燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。
このようにして、図4のタイムチャートに示すように、吐出逆止弁63は短周期で開閉動作を繰り返し、コモンレール圧は0.145MPa〜0.4MPa間で変動しつつ維持されることになる。
従って、コモンレール圧が0.145MPa〜0.4MPa間に維持される状態を利用し、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への噴射量を少なくしつつ車両の退避走行を確保することが可能になる。
(3)故障モード(III)の場合
図6のタイムチャートに示すように、例えば吸入行程Cにおいて故障が発生し、プランジャ31が下降を停止して固着した場合、調量弁装置40及び吸入逆止弁50が共に開状態であっても、燃料供給源70から送り出された低圧燃料を十分に加圧室12に吸入することは困難になる。
更に、次の吐出行程Bに移行しても、プランジャ31が固着しているため、図7(a)に示すように、加圧室12内の燃料は圧縮されず、加圧室圧が0.4MPaより高くなることはない。そして、このレベルの加圧室圧では、吐出逆止弁63は閉状態を維持したままであるため、加圧室12内の燃料がコモンレール部81に吐出されることはない。
コモンレール部80では、加圧室12からの高圧燃料の供給がないままの状態で、コモンレール81内に貯留された高圧燃料をインジェクタ83から内燃機関のシリンダ内に継続して直接噴射する。このため、図6のタイムチャートに示すように、コモンレール圧が正常作動時の30MPaから次第に低下していく。
このままでは、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射が停止し、車両の走行が急停止するなどの不都合を招くおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置1においては、故障モード(II)について述べた場合と同様なフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば20MPaにまで低下すると、圧力センサー84がコモンレール圧の異常低圧化を検出し、ECU47が例えばワーニングランプ点灯等の警告を告知する。
また、図6のタイムチャートに示すように、コモンレール圧が例えば0.145MPaにまで異常低圧化すると、吐出逆止弁63が開状態となり、加圧室圧0.4MPaの加圧室12内の燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。
このようにして、図7(b)の矢印に示すように、燃料供給源70からフィード圧0.4MPaで供給される低圧燃料が調量弁装置40及び吸入逆止弁50の2系統の燃料吸入経路を通って加圧室12に吸入され、加圧室12内の燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出されるため、コモンレール圧は0.145MPaから0.4MPaにまで回復する。
但し、コモンレール圧が0.4MPaにまで回復すると、吐出逆止弁63は再び閉状態となるため、コモンレール圧は再び0.145MPaにまで低下する。
このようにして、図6のタイムチャートに示すように、吐出逆止弁63は短周期で開閉動作を繰り返し、コモンレール圧は0.145MPa〜0.4MPa間で変動しつつ維持されることになる。
従って、このコモンレール圧が0.145MPa〜0.4MPa間に維持される状態を利用し、インジェクタ83からの噴射量を少なくしつつ車両の退避走行を確保することが可能になる。
次に、本実施形態による燃料供給装置1の効果を説明する。
(1)第1の効果
燃料供給装置1は、燃料供給源70から吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して加圧室12に至る燃料吸入経路の他に、燃料供給源70から吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に至る燃料吸入経路を有すると共に、コモンレール81と燃料タンク71とを接続する放出通路86の途中にリリーフ逆止弁87を有している。
このため、ロータリバルブ41が閉固着する故障モード(I)の故障が発生し、調量弁装置40を経由する燃料吸入経路が遮断されても、吸入逆止弁50を経由する燃料吸入経路を通って加圧室12に燃料を吸入することが可能になる。
また、ロータリバルブ41が閉固着しているため、プランジャ31の上昇に伴って加圧室圧が50MPa以上に異常高圧化し、その異常高圧燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出され、コモンレール圧が50MPaにまで異常高圧化しても、リリーフ逆止弁87が開状態となり、コモンレール81内の異常高圧燃料を放出通路86及びリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出することにより、コモンレール圧を50MPaよりも低下させて45MPa〜50MPa間に維持することが可能になる。
このようにして、故障モード(I)の故障が発生した場合でもフェールセーフ機構が作動し、車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)第2の効果
燃料供給装置1は、上記のように燃料供給源70から調量弁装置40及び吸入逆止弁50をそれぞれ経由して加圧室12に至る2系統の燃料吸入経路を有している。
このため、ロータリバルブ41が開固着する故障モード(II)の故障やプランジャ31が固着する故障モード(III)の故障が発生し、コモンレール圧が0.145MPaにまで異常低圧化した際に、燃料供給源70からフィード圧0.4MPaで供給される低圧燃料を加圧室12に吸入し、更に加圧室12からコモンレール81に供給する必要があるが、1系統の燃料吸入経路の場合と比較すると燃料の吸入面積が大きくなることから、燃料供給源70から加圧室12への燃料吸入がスムーズになる。
従って、故障モード(II)、(III)の故障が発生した場合のフェールセーフ機構の作動を容易にし、車両の退避走行の確保に寄与することが可能になる。
(3)第3の効果
燃料供給装置1は、上記のように調量弁装置40及び吸入逆止弁50をそれぞれ経由する2系統の燃料吸入経路を有することにより燃料の吸入面積が大きくなるため、正常作動時においても、燃料の吸入不良の回避に寄与することが可能になる。
また、燃料の吸入面積をそれほど大きくする必要がない場合には、燃料吸入部20の吸入通路21、22及び調量弁装置40を小型化することが可能になり、従って、高圧ポンプ10の小型化、引いては燃料供給装置1の小型化に寄与することが可能になる。
(4)第4の効果
燃料供給装置1は、コモンレール圧を検知する圧力センサー84を備えている。このため、コモンレール圧が例えば40MPaの異常高圧になったり20MPaの異常低圧になったりして所定の適正範囲を逸脱した場合には、圧力センサー84がコモンレール圧の異常を検出し、異常事態の発生を運転手に警告を告知する。
このため、フェールセーフ機構が作動する前段において、異常事態の発生をいち早く運転手に告知することにより、運転手の安全確保に寄与することが可能になる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料供給装置を、図8に基づいて説明する。なお、上記第1実施形態による燃料供給装置1の構成と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図8に示すように、本実施形態による燃料供給装置2は、高圧ポンプ10、燃料供給源70、及びコモンレール部80等を備えている。即ち、燃料供給装置2は、上記第1実施形態による燃料供給装置1と略同一の構成をなしている。
但し、燃料供給装置2は、燃料供給源70の低圧フィードポンプ72とECU47とが配線74により接続されている点において、上記第1実施形態による燃料供給装置1と相違する。
このように低圧フィードポンプ72とECU47とが接続されていることにより、低圧フィードポンプ72は、ECU47からの制御信号を受けて、正常作動時の運転から回転数を低下させた低速運転への切換えが可能になっている。
ここで、ECU47が特許請求の範囲に記載の「制御部」として機能する。なお、後述する第3実施形態においても同様である。
次に、本実施形態による燃料供給装置2の正常時の作動及び故障が発生した場合の作動について、図9及び図10を参照しつつ説明する。
燃料供給装置2が正常に作動している状態は、図9のタイムチャートに破線で示されているが、この破線のタイムチャートは図2に破線で示したタイムチャートと同一である。即ち、燃料供給装置2の正常時の作動は、上記第1実施形態による燃料供給装置1の正常時の作動と全く同一である。
続いて、燃料供給装置2に故障が発生した場合の作動について、ロータリバルブ41が閉固着する故障モード(I)、ロータリバルブ41が開固着する故障モード(II)、プランジャ31が固着する故障モード(III)の各場合に分けて説明する。
(1)故障モード(I)の場合
図9のタイムチャートに示すように、例えば吐出行程Bにおいてロータリバルブ41が閉固着する故障が発生した場合、その直後においては、燃料供給装置2は正常時の作動を継続する。しかし、次の吸入行程Cに移行すると、ロータリバルブ41が閉固着しているため、プランジャ31が下降し加圧室圧が低下しても、燃料供給源70から調量弁装置40を経由する燃料の吸入は遮断されている。但し、この場合、加圧室圧が0.4MPaよりも低くなると、燃料供給源70からのフィード圧0.4MPaの低圧燃料は、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される。
また、次の調量行程Aに移行しプランジャ31が上昇しても、ロータリバルブ41が閉固着したままであり、吸入逆止弁50は通常通り閉状態となるため、加圧室圧は、調量行程Aの段階から急速に高くなり始め、吐出行程Bに移行する段階では正常時の30.25MPaを超えて50MPa以上に達する。なお、吐出逆止弁63は、加圧室圧が30.25MPa以上になった段階で開状態となる。
加圧室圧50MPa以上になった加圧室12内の異常高圧燃料は、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出され、コモンレール圧50MPaの異常高圧燃料がコモンレール81内に貯留される。
このままでは、コモンレール圧50MPaの異常高圧状態が継続し、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射に異常が発生するなどの不都合を招くおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置2においては、次に述べるようなフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば40MPaにまで高くなると、上記第1実施形態による燃料供給装置1の場合と同様に、圧力センサー84がコモンレール圧の異常高圧化を検出し、ECU47が例えばワーニングランプ点灯等の警告を告知する。
また、図9のタイムチャートに示すように、コモンレール圧が50MPaにまで高くなると、上記第1実施形態による燃料供給装置1の場合と同様に、リリーフ逆止弁87が開状態となるため、コモンレール圧50MPaのコモンレール81内の異常高圧燃料が放出通路86及びリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出され、コモンレール圧は低下して50MPaより低くなる。
このようにして、図10(a)の矢印に示すように、プランジャ31の上昇により加圧室圧50MPa以上に達した加圧室12内の異常高圧燃料は、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出され、コモンレール圧50MPaの異常高圧燃料が貯留されることになるものの、コモンレール81内の異常高圧燃料はリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出される。従って、コモンレール圧は低下する。そして、コモンレール圧が50MPaから45MPaにまで低下すると、リリーフ逆止弁87は再び閉状態となる。
更にまた、圧力センサー84からの異常検出信号を受信したECU47は、低圧フィードポンプ72に制御信号を送信し、低圧フィードポンプ72の運転を正常作動時の運転から回転数を低下させた低速運転に切り換える。このため、燃料供給源70から吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される低圧燃料の送油量は、正常作動時の運転の場合よりも減少する。
この低圧フィードポンプ72の低速運転により、図9のタイムチャートに示すように、次の調量行程A及び吐出行程Bにおいてプランジャ31が上昇しても、加圧室圧は正常作動時の30MPaよりはるかに低い10MPaを超える程度にしか高くならない。この状態の加圧室圧を10MPa強と呼ぶことにする。
リリーフ逆止弁87が再び閉状態になった直後においては、コモンレール81内には未だ45MPa程度の高圧燃料が残留し高いコモンレール圧を有しているため、プランジャ31の上昇により加圧室圧が10MPa強にまで高くなっても、吐出逆止弁63は閉状態のままである。
しかし、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射が継続することによりコモンレール圧が10MPa以下に低下すると、吐出逆止弁63は開弁力が閉弁力に勝り開状態となる。
このようにして、図10(b)の矢印に示すように、低速運転の低圧フィードポンプ72により汲み上げられた低圧燃料は、吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入され、プランジャ31の上昇に伴って加圧室圧10MPa強にまで圧縮され、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。このため、コモンレール圧は10MPaに維持されることになる。
従って、このコモンレール圧が10MPaに維持される状態を利用して、インジェクタ83からの噴射量を少なくしつつ、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射に異常が発生することを防止し車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)故障モード(II)の場合
ロータリバルブ41が開固着する故障が発生した場合における故障発生直後の燃料供給装置2の作動状況、及びこのような事態に対処するフォールトトレラント機構の作動内容は、上記第1実施形態による燃料供給装置1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
(3)故障モード(III)の場合
プランジャ31が開固着する故障が発生した場合における故障発生直後の燃料供給装置2の作動状況、及びこのような事態に対処するフォールトトレラント機構の作動内容も、上記第1実施形態による燃料供給装置1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
次に、本実施形態による燃料供給装置2の効果を説明する。
(1)第1の効果
燃料供給装置2は、燃料供給源70から吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して加圧室12に至る燃料吸入経路の他に、燃料供給源70から吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に至る燃料吸入経路を有すると共に、コモンレール81と燃料タンク71とを接続する放出通路86の途中にリリーフ逆止弁87を有している。
このため、ロータリバルブ41が閉固着する故障モード(I)の故障が発生し、調量弁装置40を経由する燃料吸入経路が遮断されても、吸入逆止弁50を経由する燃料吸入経路を通って加圧室12に燃料を吸入することが可能になる。
また、ロータリバルブ41が閉固着しているため、プランジャ31の上昇に伴って加圧室圧が50MPa以上に異常高圧化し、その異常高圧燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出され、コモンレール圧が50MPaにまで異常高圧化しても、この異常高圧燃料を開状態となったリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出することにより、コモンレール圧を45MPaに低下させることが可能になる。
更に、燃料供給装置2は、コモンレール圧の異常高圧化を検知した圧力センサー84からの異常検出信号を受信したECU47が制御信号を送信して低圧フィードポンプ72の運転を低速運転に切り換える。このため、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される低圧燃料の送油量を減少させ、加圧室圧を10MPa強に抑制することにより、コモンレール圧を10MPaに維持することが可能になる。
このようにして、故障モード(I)の故障が発生した場合でもフェールセーフ機構が作動し、車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)その他の効果
燃料供給装置2は、上記第1実施形態による燃料供給装置1の第2〜第4の効果と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による燃料供給装置を、図11に基づいて説明する。なお、上記第2実施形態による燃料供給装置2の構成と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態による燃料供給装置3は、高圧ポンプ10、燃料供給源70、及びコモンレール部80等を備えている。即ち、燃料供給装置3は、上記第2実施形態による燃料供給装置2と略同一の構成をなしている。
但し、燃料供給装置3は、ポペット弁94の往復動作を利用して開閉動作を制御する調量弁装置90を用いており、この点において、切り欠き部414を有するロータリバルブ41の回転動作を利用して開閉動作を制御する調量弁装置40を用いている上記第2実施形態による燃料供給装置2と相違する。
先ず、調量弁部90について説明する。
調量弁部90は、ポンプハウジング11に接合固定された弁部ハウジング91及びコネクタハウジング92を備えている。ここで、ポンプハウジング11、弁部ハウジング91、及びコネクタハウジング92が特許請求の範囲に記載の「ハウジング」に対応する。
また、調量弁部90は、吸入通路931、932、ポペット弁94、コネクタ95、コイル96、固定コア97等を備えている。吸入通路931、932は、弁部ハウジング91に形成され、燃料吸入部20の吸入通路21、22間を連通している。また、吸入通路931と吸入通路とは、連結部933において連結している。
ここで、吸入通路21、22、931、932が特許請求の範囲に記載の「第1吸入通路」に対応する。
ポペット弁94は、弁部ハウジング91に形成された筒状の収容穴に往復移動可能に収容され、一端部が円板状の吸入弁部941をなし、他端部が可動コア部942をなしている。吸入弁部941は、吸入通路932内に収納され、その可動コア部942側の円板状の底部943が、吸入通路931と吸入通路932との連結部933に相対している。
コネクタ95は、コネクタハウジング92に設置され、ECU47に接続された端子951を有している。また、コイル96も、コネクタハウジング92に設置され、ECU47からコネクタ95の端子951を介して通電されるようになっている。
固定コア97は、コイル96の内周側に配置されている。この固定コア97の一方の壁部は、ポペット弁94の可動コア部942の壁部と相対している。そして、固定コア97と可動コア部942との相対する壁部間には、スプリング98が配置されている。このようにして、このスプリング98は、一端を固定コア97に係止され、他端を可動コア部942に係止されている。
調量弁部90は、上記のような構成となっているため、ECU47からコネクタ95の端子951を介してコイル96に通電が行われると、コイル96に発生する磁束によって固定コア97と可動コア部942との間に磁気吸引力が発生し、可動コア部942が固定コア97側に移動する。これに伴ってポペット弁94が加圧室12から離れる方向に移動する。その結果、吸入弁部941も加圧室12から離れる方向に移動し、吸入弁部941の底部943が連結部933に当接して閉塞するため、吸入通路931と吸入通路932との連通が遮断される。
一方、ECU47からコイル96への通電が行われないと、磁気吸引力は発生しないため、スプリング98の付勢力により可動コア部942が固定コア97から離間する方向に移動する。これにより、ポペット弁94が吸入弁部941と一体となって加圧室12側に移動する。その結果、吸入弁部941が加圧室12側に移動し、吸入弁部941の底部943が連結部933から解離するため、吸入通路931と吸入通路932とが連通する。
ここで、ECU47が特許請求の範囲に記載の「駆動回路部」として機能する。
次に、本実施形態による燃料供給装置3の正常時の作動について、調量行程A、吐出行程B、吸入行程Cに分けて説明する。なお、上記第2実施形態による燃料供給装置2の正常時の作動と共通する部分は、適宜説明を省略する。
(1)調量行程A
燃料供給源70は、低圧フィードポンプ72が燃料タンク71内の燃料を汲み上げて、例えばフィード圧0.4MPaで低圧燃料通路73に送り出している。
調量弁装置90は、コイル96への通電が行われていないため、スプリング98の付勢力により、可動コア部942はポペット弁94と一体となって固定コア97から離間する方向に移動する。その結果、ポペット弁94の吸入弁部941が加圧室12側に移動し、吸入弁部941の底部943が連結部933から解離するため、吸入通路931と吸入通路932とが連通する。即ち、調量弁装置90は開状態となる。
このような状態において、プランジャ31が上昇すると、加圧室12内の燃料が圧縮され、加圧室圧が0.4MPa強となる。また、吸入逆止弁50は、スプリング力と加圧室圧が燃料供給源70からのフィード圧0.4MPaに勝り、閉状態となる。
その結果、調量弁装置90の開状態及び吸入逆止弁50の閉状態において、加圧室圧が0.4MPa強となった加圧室12内の燃料は、燃料吸入部20の吸入通路21、22及び調量弁装置90の吸入通路931、932を経由して、燃料供給源70の燃料タンク71に流出する。即ち、加圧室12内の燃料は、開状態の調量弁装置90を経由して燃料タンク71に流出する。
(2)吐出行程B
上述した調量行程Aが進行する所定の時点において、ECU47からコネクタ95の端子951を介してコイル96に通電が行われる。この通電により、コイル96に発生する磁束によって固定コア97と可動コア部942との間に磁気吸引力が発生し、可動コア部942がポペット弁94と一体となって固定コア97側に移動する。その結果、ポペット弁94の吸入弁部941がから離れる方向に移動し、吸入弁部941の底部943が連結部933に当接して連結部933を閉塞するため、吸入通路931と吸入通路932との連通が遮断される。即ち、調量弁装置90は閉状態となる。
なお、吸入逆止弁50は、閉状態を維持している。
このような調量弁装置90及び吸入逆止弁50の閉状態において、プランジャ31は引き続き上昇する。このとき、調量弁装置90が閉状態であるため加圧室12内の燃料が燃料供給源70側に流出できず、加圧室12内の燃料は更に圧縮され、加圧室圧は更に高くなる。
このようにして、加圧室圧が30.25MPa以上に達すると、この加圧室12内の高圧燃料は、開状態となった吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。このときのコモンレール圧は30MPaとなる。
(3)吸入行程C
プランジャ31が上死点bに達した後、下降を開始すると、加圧室圧が低下する。そして、加圧室圧が30.25MPaよりも低くなると、吐出逆止弁63は閉状態となる。その結果、加圧室12内の高圧燃料のコモンレール81への吐出が停止する。
また、プランジャ31の下降と同時に、ECU44からコイル96への通電が停止される。このため、スプリング98の付勢力により、可動コア部942はポペット弁94と一体となって固定コア97から離間する方向に移動する。その結果、ポペット弁94の吸入弁部941の底部943が連結部933から解離し、吸入通路931と吸入通路932とが連通する。即ち、調量弁装置90は再び開状態となる。
更に、加圧室圧が0.4MPaよりも低下し、燃料供給源70からのフィード圧0.4MPaが加圧室圧と吸入逆止弁50のスプリング力との和に勝ると、吸入逆止弁50も開状態となる。
このような調量弁装置90及び吸入逆止弁50の開状態において、加圧室圧が0.4MPaよりも低くなると、燃料供給源70から送り出されたフィード圧0.4MPaの低圧燃料は、一方で燃料吸入部20の吸入通路21、22及び調量弁装置90を経由し、他方で燃料吸入部20の吸入通路23、24及び吸入逆止弁50を経由して、加圧室12に吸入される。
即ち、燃料供給源70からの燃料は、開状態の調量弁装置90及び吸入逆止弁50を経由する2系統の燃料吸入経路を通って、加圧室12に吸入される。
次に、本実施形態による燃料供給装置3に故障が発生した場合の作動について、説明する。
何らかの原因によりECU47からコイル96への通電ができなくなった場合、調量弁装置90が開状態においてポペット弁94の往復移動が停止して固着状態になることがある。また、ポペット弁94と弁部ハウジング91との間に異物等が入り込んだ場合、調量弁装置90が開状態であるか閉状態であるかを問わず、ポペット弁94の往復移動が停止して固着状態になることがある。更に、カム32の回転に障害が発生したり、プランジャ31の側壁面とシリンダの内壁面との間に異物等が入り込んだりした場合、プランジャ31の往復移動が停止して固着状態になることがある。
以下、調量弁装置90が閉状態においてポペット弁94が固着する(以下、「ポペット弁94が閉固着する」という。)故障モード(IV)、調量弁装置90が開状態においてポペット弁94が固着する(以下、「ペット弁94が開固着する」という。)故障モード(V)、プランジャ31が固着する故障モード(VI)の各場合に分けて説明する。
なお、上記第2実施形態による燃料供給装置2の故障発生時の作動と共通する部分は、適宜説明を省略する。
(1)故障モード(IV)の場合
ポペット弁94が閉固着する故障が発生した場合において、次の吸入行程Cに移行すると、ポペット弁94が閉固着しているため、プランジャ31が下降し加圧室圧が低下しても、燃料供給源70から調量弁装置90を経由する燃料の吸入は遮断されている。但し、この場合、加圧室圧が0.4MPaよりも低くなると、燃料供給源70からのフィード圧0.4MPaの低圧燃料は、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される。
また、次の調量行程Aに移行しプランジャ31が上昇しても、ポペット弁94が閉固着したままであり、吸入逆止弁50は通常通り閉状態となるため、加圧室圧は、調量行程Aの段階から急速に高くなり始め、吐出行程Bに移行する段階では正常時の30.25MPaを超えて50MPa以上に達する。
加圧室圧が50MPa以上の加圧室12内の異常高圧燃料は、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出され、コモンレール圧50MPaの異常高圧燃料がコモンレール81内に貯留されることになる。
このままでは、コモンレール圧50MPaの異常高圧状態が継続し、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射に異常が発生するなどの不都合を招くおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置3においては、次に述べるように、上記第2実施形態による燃料供給装置2の場合と同様なフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば40MPaにまで高くなると、圧力センサー84がコモンレール圧の異常高圧化を検出し、ECU47が例えばワーニングランプ点灯等の警告を告知する。
また、コモンレール圧が50MPaにまで高くなると、コモンレール圧50MPaのコモンレール81内の異常高圧燃料が、開状態となったリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出され、コモンレール圧は50MPaより低くなる。そして、コモンレール圧が45MPaにまで低下すると、リリーフ逆止弁87は再び閉状態となる。
更にまた、圧力センサー84からの異常検出信号を受信したECU47は、低圧フィードポンプ72の運転を低速運転に切り換えるため、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される低圧燃料の送油量は、正常作動時の運転の場合よりも減少する。このため、次の調量行程A及び吐出行程Bにおいてプランジャ31が上昇しても、加圧室圧は10MPa強にしか高くならない。
一方、コモンレール81においては、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射が継続することによりコモンレール圧が10MPa以下に低下するため、吐出逆止弁63は開状態となる。従って、プランジャ31の上昇に伴って加圧室圧10MPa強にまで圧縮された加圧室12内の燃料は、吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。このようにして、コモンレール圧は10MPaに維持されることになる。
従って、コモンレール圧が10MPaに維持される状態を利用して、インジェクタ83からの噴射量を少なくしつつ、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射に異常が発生することを防止し車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)故障モード(V)の場合
ポペット弁94が開固着する故障が発生した場合、次の吐出行程Bに移行すると、プランジャ31が上昇して加圧室圧が0.4MPa強となっても、ポペット弁94が開固着したままであるため、加圧室12内の燃料は、調量弁装置90を経由して燃料供給源70側に流出するのみで、コモンレール81に吐出されることはない。
このような状態で、コモンレール81内に貯留された燃料はインジェクタ83から内燃機関のシリンダ内に継続して直接噴射されるため、コモンレール圧は正常作動時の30MPaから次第に低下していき、内燃機関のシリンダ内への直接噴射が停止して車両の走行が急停止するおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置3においては、次に述べるように、上記第2実施形態による燃料供給装置2の場合と同様なフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば20MPaにまで低下すると、圧力センサー84がコモンレール圧の異常高圧化を検出し、ECU47が例えばワーニングランプ点灯等の警告を告知する。
更に、コモンレール圧が例えば0.145MPaにまで異常低下すると、吐出逆止弁63は開状態となり、加圧室圧0.4MPa強の加圧室12内の燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出される。
その後は、吐出逆止弁63が短周期で開閉動作を繰り返し、コモンレール圧は0.145MPa〜0.4MPa間で変動しつつ維持されることになる。従って、車両の退避走行を確保することが可能になる。
(3)故障モード(VI)の場合
プランジャ31が停止して固着する故障が発生した場合、調量弁装置90及び吸入逆止弁50が共に開状態であっても、燃料供給源70から送り出された低圧燃料を十分に加圧室12に吸入することは困難になり、加圧室圧が0.4MPaより高くなることはないため、加圧室12内の燃料がコモンレール部81に吐出されることはない。
従って、故障モード(VI)の場合と同様にして、コモンレール圧が正常作動時の30MPaから次第に低下していき、内燃機関のシリンダ内への直接噴射が停止して車両の走行が急停止するおそれが生じる。
このような事態になった場合、燃料供給装置3においては、故障モード(V)について述べた場合と同様なフォールトトレラント機構が作動する。
次に、本実施形態による燃料供給装置3の効果を説明する。
(1)第1の効果
燃料供給装置3は、燃料供給源70から調量弁装置90及び吸入逆止弁50を経由して加圧室12に至る2系統の燃料吸入経路を有すると共に、コモンレール81と燃料タンク71とを接続する放出通路86の途中にリリーフ逆止弁87を有している。
このため、ポペット弁94が閉固着する故障モード(IV)の故障が発生し、調量弁装置90を経由する燃料吸入経路が遮断されても、吸入逆止弁50を経由する燃料吸入経路を通って加圧室12に燃料を吸入することが可能になる。
また、ポペット弁94が閉固着しているため、プランジャ31の上昇に伴って加圧室圧が50MPa以上に異常高圧化し、その異常高圧燃料が吐出逆止弁63を経由してコモンレール81に吐出されても、コモンレール圧50MPaの異常高圧燃料をリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出することにより、コモンレール圧を45MPaに低下させることが可能になる。
更に、燃料供給装置3は、圧力センサー84がコモンレール圧の異常高圧化を検知し、ECU47が低圧フィードポンプ72の運転を低速運転に切り換える。このため、吸入逆止弁50を経由して加圧室12に吸入される低圧燃料の送油量を減少させ、加圧室圧を10MPa強に抑制することにより、コモンレール圧を10MPaに維持することが可能になる。
このようにして、故障モード(I)の故障が発生した場合でもフェールセーフ機構が作動し、車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)その他の効果
燃料供給装置3は、上記第1実施形態による燃料供給装置1の第2〜第4の効果と同様の効果を奏する。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による燃料供給装置を、図12に基づいて説明する。なお、上記第1実施形態による燃料供給装置1の構成と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態による燃料供給装置4は、高圧ポンプ10、燃料供給源70、及びコモンレール部80等を備えている。即ち、燃料供給装置4は、上記第1実施形態による燃料供給装置1と略同一の構成をなしている。
但し、燃料供給装置4は、燃料供給源70から吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して加圧室12に至る1系統の燃料吸入経路を有するのみであり、この点において、調量弁装置40を経由する経路の他に吸入逆止弁50を経由する経路の2系統の燃料吸入経路を有する上記第1実施形態による燃料供給装置1と相違する。
また、上記第1実施形態による燃料供給装置1がコモンレール部80のコモンレール81と燃料供給源70の燃料タンク71とを接続する放出通路86及び放出通路86の途中に設置されたリリーフ逆止弁87を有しているのに対し、燃料供給装置4は、このような放出経路及びリリーフ逆止弁を有していない点においても相違する。
更に、燃料供給装置4は、燃料供給源70から吸入逆止弁51を経由してコモンレール81に至る燃料吸入経路を有している点において、このような燃料供給源70からコモンレール81に至る吸入経路を有していない上記第1実施形態による燃料供給装置1と相違する。
先ず、吸入逆止弁51について説明する。
吸入逆止弁51は、弁と弁座とスプリングとを備えており、その弁座側の一端が吸入通路25に接続され、そのスプリング側の他端が吸入通路26に接続されている。また、吸入通路25は、燃料供給源70の低圧燃料通路73の2つに分岐した他端の一方に接続され、吸入通路26は、低圧燃料通路74を介してコモンレール部80のコモンレール81に接続されている。
このようにして、燃料供給源70の低圧フィードポンプ72から低圧燃料通路73、74、吸入通路25、26、及び吸入逆止弁51を経由してコモンレール部80のコモンレール81に至る燃料吸入経路が構成されている。ここで、吸入通路25、26が特許請求の範囲に記載の「第2吸入通路」に対応する。
このため、コモンレール圧と吸入逆止弁51のスプリング力との和が低圧フィードポンプ72によるフィード圧に勝る場合は、吸入逆止弁51は弁が弁座に押圧されて閉状態となる。他方、フィード圧がコモンレール圧とスプリング力との和に勝る場合は、吸入逆止弁51は弁が弁座から解離して開状態となる。
従って、フィード圧が0.4MPaであり、コモンレール圧が正常作動時の30MPaである場合は、コモンレール圧とスプリング力との和が低フィード圧に勝り、吸入逆止弁51は閉状態となる。他方、コモンレール圧が異常低圧化し、例えば0.145MPaまで低くなると、フィード圧がコモンレール圧とスプリング力との和に勝り、吸入逆止弁51は開状態となる。
次に、本実施形態による燃料供給装置4の正常時の作動について、調量行程A、吐出行程B、吸入行程Cに分けて説明する。なお、上記第2実施形態による燃料供給装置2の正常時の作動と共通する部分は、適宜説明を省略する。
(1)調量行程A
燃料供給源70は、低圧フィードポンプ72が燃料タンク71内の燃料を汲み上げて、例えばフィード圧0.4MPaで低圧燃料通路73に送り出している。
調量弁装置40は、ECU47からの駆動制御信号を受けてステッピングモータ42の回転角度がゼロ度となっている。このとき、ロータリバルブ41はその切り欠き部414が燃料吸入部20の吸入通路21、22と連通し、調量弁装置40は開状態となる。
この状態において、プランジャ31が下死点aから上死点bに向かって上昇すると、加圧室12内の燃料が圧縮されて、加圧室圧が0.4MPa強となる。この段階では、吐出逆止弁63は閉状態を維持し、加圧室12内の燃料がコモンレール81に吐出されることはない。
その結果、調量弁装置40の開状態において、加圧室12内の燃料は、燃料吸入部20の吸入通路21、22及びロータリバルブ41の切り欠き部414を経由して、燃料供給源70の燃料タンク71に流出する。即ち、加圧室12内の燃料は、開状態の調量弁装置40を経由して燃料タンク71に流出する。
(2)吐出行程B
上述した調量行程Aが進行する所定の時点において、ECU44からの駆動制御信号を受けたステッピングモータ42は回転角度を180度にして、ロータリバルブ41を調量行程Aにおける回転位置から180度回転した回転位置に停止する。
このとき、燃料吸入部20の吸入通路21、22の端部がそれぞれロータリバルブ41の第1端面411及び側面413に当接し、ロータリバルブ41の切り欠き部414と燃料吸入部20の吸入通路21、22とのそれぞれの連通が遮断され、調量弁装置40は閉状態となる。このため、加圧室12内の燃料が燃料供給源70側に流出できなくなる。
このような調量弁装置40の閉状態において、プランジャ31は引き続き上死点bに向かって上昇すると、加圧室12内の燃料は更に圧縮され、加圧室圧は更に高くなる。このようにして、加圧室圧が30.25MPa以上に達すると、燃料吐出部60の吐出逆止弁63は開状態となり、加圧室12内の高圧燃料は、吐出逆止弁63を経由してコモンレール部80のコモンレール81に吐出される。このときのコモンレール圧は30MPaとなる。
(3)吸入行程C
プランジャ31が上死点bに達した後、上死点bから下死点aに向かって下降すると、加圧室圧が30.25MPaよりも低下し、吐出逆止弁63が閉状態となるため、加圧室12内の高圧燃料のコモンレール81への吐出が停止する。
また、プランジャ31の下降と同時に、ECU44からの駆動制御信号を受けたステッピングモータ42は回転角度を再びゼロ度にして、ロータリバルブ41を吐出行程Bにおける回転位置から180度回転した調量行程Aにおける回転位置と同じ回転位置にする。このようにして、調量弁装置40は、ロータリバルブ41の切り欠き部414と燃料吸入部20の吸入通路21、22とが連通し、再び開状態となる。
このような調量弁装置40の開状態において、加圧室圧が0.4MPaよりも低くなると、燃料供給源70の低圧フィードポンプ72によって低圧燃料通路73に送り出されたフィード圧0.4MPaの低圧燃料は、燃料吸入部20の吸入通路21、22及び調量弁装置40を経由して、加圧室12に吸入される。
なお、上述した調量行程A、吐出行程B、吸入行程Cの全過程を通して、吸入逆止弁51は閉状態となっている。
次に、本実施形態による燃料供給装置4に故障が発生した場合の作動について、ロータリバルブ41が閉固着する故障モード(I)、ロータリバルブ41が開固着する故障モード(II)、プランジャ31が固着する故障モード(III)の各場合に分けて、説明する。
(1)故障モード(I)の場合
ロータリバルブ41が閉固着する故障が発生した場合、燃料供給源70から調量弁装置90を経由して加圧室12に至る唯一の燃料供給経路が遮断され、加圧室12への燃料吸入は停止するため、加圧室圧は次第に低下していく。従って、吐出逆止弁63は閉状態となり、加圧室12内の燃料はコモンレール81に吐出されなくなる。
このような状態で、インジェクタ83から内燃機関のシリンダ内への直接噴射が継続されると、コモンレール圧が正常作動時の30MPaから次第に低下していき、内燃機関のシリンダ内への直接噴射が停止して車両の走行が急停止するおそれが生じる。
(2)故障モード(II)の場合
ロータリバルブ41が開固着する故障が発生した場合、調量行程A及び吐出行程Cにおけるプランジャ31の上昇に伴い、加圧室圧が0.4MPa強となっても、加圧室12内の燃料は開状態の調量弁装置90を経由して燃料供給源70側に流出するのみである。そして、この段階では吐出逆止弁63は閉状態のままであり、コモンレール81に吐出されることはない。
従って、故障モード(I)の場合と同様にして、コモンレール圧が正常作動時の30MPaから次第に低下していき、車両の走行が急停止するおそれが生じる。
(3)故障モード(III)の場合
プランジャ31が開固着する故障が発生した場合、たとえ調量弁装置40が開状態であっても、燃料供給源70から送り出された低圧燃料を十分に加圧室12に吸入することは困難になり、加圧室圧が0.4MPaより高くなることはないため、加圧室12内の燃料がコモンレール部81に吐出されることはない。
従って、故障モード(I)、(II)の場合と同様にして、コモンレール圧が正常作動時の30MPaから次第に低下していき、車両の走行が急停止するおそれが生じる。
即ち、燃料供給装置4は、故障モード(I)、(II)、(III)のいずれの場合にも、コモンレール圧が異常低圧化するという事態になる。
このような事態になった場合、燃料供給装置4においては、次に述べるようなフォールトトレラント機構が作動する。
先ず、コモンレール圧が例えば20MPaにまで低下すると、圧力センサー84がコモンレール圧の異常高圧化を検出し、ECU47が例えばワーニングランプ点灯等の警告を告知する。
更に、コモンレール圧が例えば0.145MPaにまで低くなると、低圧フィードポンプ72のフィード圧0.4MPaがコモンレール圧と吸入逆止弁51のスプリング力との和に勝り、吸入逆止弁51は開状態となる。その結果、燃料供給源70から低圧燃料通路73、74、吸入通路25、26、及び吸入逆止弁51を経由してコモンレール81に燃料が吸入され、コモンレール圧は0.4MPaとなる。
このようにしてコモンレール圧が高くなると、コモンレール圧と吸入逆止弁51のスプリング力との和がフィード圧0.4MPaに勝り、吸入逆止弁51は再び閉状態となる。
このような状態においてコモンレール81内に貯留された燃料がインジェクタ83から内燃機関のシリンダ内に継続して直接噴射されると、コモンレール圧は0.4MPaから再び低下する。コモンレール圧が0.145MPaにまで低下すると、吸入逆止弁51が再び開状態となり、燃料供給源70からフィード圧0.4MPaの燃料が吸入逆止弁51を経由してコモンレール81に供給される。
このようにして、吸入逆止弁51は短周期で開閉動作を繰り返し、コモンレール圧は0.145MPa〜0.4MPa間で変動しつつ維持されることになる。
従って、コモンレール圧が0.145MPa〜0.4MPa間に維持される状態を利用して、車両の退避走行を確保することが可能になる。
次に、本実施形態による燃料供給装置4の効果を説明する。
(1)第1の効果
燃料供給装置4は、燃料供給源70から吸入通路25、26及び吸入逆止弁51を経由してコモンレール81に至る燃料吸入経路を有している。
このため、ロータリバルブ41が閉固着する故障モード(I)、ロータリバルブ41が開固着する故障モード(II)、プランジャ31が固着する故障モード(III)のいずれの故障が発生した場合においても、コモンレール圧が0.145MPaにまで異常低圧化した際に、燃料供給源70から吸入逆止弁51を経由してコモンレール81にフィード圧0.4MPaの燃料を断続的に供給し、コモンレール圧を0.145MPa〜0.4MPa間に維持することが可能になる。
このようにして、故障モード(I)、(II)、(III)のいずれの故障が発生した場合でもフェールセーフ機構が作動し、車両の退避走行を確保することが可能になる。
(2)その他の効果
燃料供給装置4は、上記第1実施形態による燃料供給装置1の第4の効果と同様の効果を奏する。
(その他の実施形態)
(ア)第1〜第3実施形態において、リリーフ逆止弁87をポンプハウジング11とは別体に設置しているが、リリーフ逆止弁87はポンプハウジング11に一体的に設置してもよい。
(イ)第2実施形態において、リリーフ逆止弁87を設置することにより、コモンレール圧が異常高圧化した場合にコモンレール81内の異常高圧燃料をリリーフ逆止弁87を経由して燃料タンク71へ放出しコモンレール圧を低下させるようにしているが、必ずしもリリーフ逆止弁87を設置しなくてよい。
この場合、コモンレール圧の異常高圧化を検知した圧力センサー84からの異常検出信号を受信したECU47が低圧フィードポンプ72に制御信号を送信し、低圧フィードポンプ72を低速運転に切り換えることのみによっても、加圧室12に吸入される燃料の送油量を低下させて加圧室圧を低下させ、引いてはコモンレール圧を10MPaに低下させて維持するというフォールトトレラント機構を作動させることが可能である。
1、2、3、4・・・燃料供給装置、10・・・高圧ポンプ、11・・・ポンプハウジング、12・・・加圧室、20・・・燃料吸入部、21、22、23、24、25、26、931、932・・・吸入通路、30・・・プランジャ部、31・・・プランジャ、40、90・・・調量弁装置、41・・・ロータリバルブ、414・・・切り欠き部、42・・・ステッピングモータ、45・・・ぜんまいバネ、47・・・ECU、48、74、85・・・配線、50、51・・・吸入逆止弁、60・・・燃料吐出部、63・・・吐出逆止弁、70・・・燃料供給源、71・・・燃料タンク、72・・・低圧フィードポンプ、80・・・コモンレール部、81・・・コモンレール、83・・・インジェクタ、84・・・圧力センサー、86・・・放出通路、87・・・リリーフ逆止弁、91・・・弁部ハウジング、92・・・コネクタハウジング、933・・・連結部、94・・・ポペット弁、941・・・吸入弁部、942・・・可動コア部、943・・・底部、95・・・コネクタ、96・・・コイル、97・・・固定コア、98・・・スプリング。

Claims (6)

  1. 燃料供給源(70)から供給される燃料を加圧して燃料貯留部(81)に吐出する燃料供給装置であって、
    加圧室(12)を有するハウジング(11、91、92)と、
    前記燃料供給源と前記加圧室とを接続し、前記燃料供給源から供給される燃料を前記加圧室に導く第1吸入通路(21、22、931、932)と、
    前記第1吸入通路の途中に設置され、燃料の流れを制御する調量弁装置(40、90)と、
    前記ハウジングに形成されたシリンダ内に往復移動可能に収容され、前記加圧室内の燃料を圧縮するプランジャ(31)と、
    前記加圧室と前記燃料貯留部とを接続し、前記加圧室から吐出された燃料を前記燃料貯留部に導く吐出通路(61、62)と、
    前記吐出通路の途中に設置され、前記加圧室から前記燃料貯留部に吐出される燃料の流れを制御する吐出逆止弁(63)と、
    前記燃料供給源と前記加圧室または前記燃料貯留部とを接続し、前記燃料供給源から供給される燃料を前記加圧室または前記燃料貯留部に導く第2吸入通路(23、24、25、26)と、
    前記第2吸入通路の途中に設置され、前記燃料供給源から前記加圧室または前記燃料貯留部に供給される燃料の流れを制御する吸入逆止弁(50、51)と、
    を備えることを特徴とする燃料供給装置(1、2、3、4)。
  2. 前記燃料貯留部に貯留された燃料の圧力を検出する圧力検出部(84)を備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置(1、2、3、4)。
  3. 前記燃料貯留部と前記燃料供給源とを接続する放出通路(86)の途中に設置され、前記燃料貯留部に貯留された燃料の圧力が所定値を超える場合に前記燃料貯留部から前記燃料供給源に放出される燃料の流れを制御するリリーフ逆止弁(87)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料供給装置(1、2、3)。
  4. 前記圧力検出部に接続され、前記燃料貯留部内の燃料の圧力が所定値を超える場合に、前記燃料供給源の燃料供給作動を制御する制御部(47)を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料供給装置(2、3)。
  5. 前記調量弁装置(40)は、
    前記ハウジングに形成された収容穴に回転摺動可能に収容され、前記第1吸入通路(21、22)と連通する燃料通路となる切り欠き部(414)が形成されているロータリバルブ(41)と、
    前記ロータリバルブに連結し、前記ロータリバルブを回転駆動するステッピングモータ(42)と、
    前記ステッピングモータを制御し、前記ロータリバルブを所定の角度に回転して、前記切り欠き部と前記第1吸入通路とが連通する開状態とし、前記ロータリバルブを前記所定の角度と異なる角度に回転して、前記切り欠き部と前記第1吸入通路との連通が遮断される閉状態とするように、前記ロータリバルブの開閉動作を行う駆動回路部(47)と、
    を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料供給装置(1、2、4)。
  6. 前記調量弁装置(90)は、
    前記ハウジングに形成された収容穴に往復移動可能に収容され、一端部が前記第1吸入通路内に収納された吸入弁部(941)をなし、他端部が可動コア部(942)をなすポペット弁(94)と、
    前記ハウジングに形成され、一方の壁部が前記可動コア部の壁部と相対する固定コア(97)と、
    前記固定コアと前記可動コア部との相対する壁部間に配置されたスプリング(98)と、
    通電により、前記可動コア部と前記固定コアとの間に磁気吸引力を発生させ、前記可動コア部を前記固定コア側に移動させるコイル(96)と、
    前記第1吸入通路の前記燃料供給源側部分(21、931)と前記第1吸入通路の前記加圧室側部分(22、932)との連結部(933)と、
    前記コイルへの通電を制御し、前記可動コア部と一体的に前記吸入弁部を往復移動させて、前記吸入弁部の底部(943)を前記連結部から解離して前記第1吸入通路が連通する開状態とし、前記吸入弁部の底部を前記連結部に当接し閉塞して前記第1吸入通路の連通が遮断される閉状態とする駆動回路部(47)と、
    を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の燃料供給装置(3)。
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